【課題】複数の繰出ケースに繰出回転体の駆動力を分配伝動する分配伝動軸から繰出回転体に駆動力が伝動され、この伝動が繰出クラッチによって入り切り操作される繰出装置ユニットにおいて、分配伝動軸に連結する複数の繰出ケースにおいて、繰出ケースに対する繰出クラッチの位置が異なるなどの問題を発生し難くする。
【解決手段】繰出ケース31に回転可能に支持された入力軸51に入力ギヤ52が相対回転可能に支持されている。入力ギヤ52と入力軸51とにわたり、入力ギヤ52に入力軸51を連動連結する入り状態、入力ギヤ52に対する前記入力軸51の連動を絶つ切り状態に切換え可能な繰出クラッチ50を装備してある。入力ギヤ52は、分配伝動軸47に相対回転不能に支持された複数の伝動ギヤ60のうちの一つの伝動ギヤ60に咬み合うように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の場合、繰出ケースの組付けと、繰出クラッチの分配伝動軸などの伝動系への組み付けとを別々に行なわねばならず、組付け作業に手間が掛かるのみならず、分配伝動軸に連結する複数の繰出ケースにおいて、繰出ケースに対する繰出クラッチの位置が異なるなど、仕上り状態での問題や、繰出クラッチとクラッチ操作体とを連動させ難いなど、組付け作業面での問題が発生しがちである。
【0005】
本発明の目的は、分配伝動軸から駆動力を入力するものでありながら、良好な仕上り状態に組付け作業し易い繰出装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、
粉粒体をタンクから繰り出す繰出回転体が回転駆動可能に収容された繰出ケースと、
前記繰出ケースに回転可能に支持され、前記繰出回転体を駆動する駆動力を入力する入力軸と、
前記入力軸に相対回転可能に支持された入力ギヤと、
前記入力ギヤと前記入力軸とにわたって配備され、前記入力ギヤに前記入力軸を連動連結する入り状態、及び前記入力ギヤに対する前記入力軸の連動を絶つ切り状態に切換え可能な繰出クラッチとを備え、
前記入力ギヤは、前記繰出ケース、及び前記繰出ケースとは異なる別の繰出ケースに繰出回転体の駆動力を分配伝動する分配伝動軸に相対回転不能に支持された複数の伝動ギヤのうちの一つの伝動ギヤに咬み合うように構成されている繰出装置ユニットである。
【0007】
本第1発明の構成によると、繰出クラッチ及び入力ギヤが入力軸に支持されているので、入力ギヤが分配伝動軸の伝動ギヤに咬み合う組付け状態で繰出ケースを組み付けることにより、繰出クラッチのための特別な組付け作業をせずとも、繰出クラッチは、入り状態に操作されることによって、分配伝動軸からの駆動力を入力軸に伝達して繰出回転体を駆動し、切り状態に操作されることによって、入力軸に対する伝動を絶って繰出回転体を停止操作するよう支持された状態になる。
【0008】
従って、本第1発明によると、分配伝動軸から繰出回転体に入力するものでありながら、繰出ケースの組付けを行なうだけで繰出クラッチを所定の支持状態にでき、能率良く組付け作業できる。そして、繰出ケースと繰出クラッチとを別々に組付けるものに比べ、繰出ケースに対する繰出クラッチの位置が繰出ケースによって変化することがあまりなく、例えば、複数の繰出クラッチを同一の操作体によって一挙に切換え操作するよう構成する場合でも、各繰出クラッチと、操作体の操作部との位置合わせが行い易くて組付け作業を行ない易い。
【0009】
本第2発明では、前記繰出クラッチの操作部が前記繰出ケースに支持されている。
【0010】
本第2発明によると、繰出ケースを組付けることにより、繰出クラッチを所定の支持状態にできると共に、操作部を繰出クラッチの操作を所定どおり行なうよう支持された状態にでき、繰出ケースの支持フレームなど、繰出ケースとは異なる部材に操作部を支持させるものに比べ、繰出ケースの組付け後における繰出クラッチと操作部との連動具合の調節を行なう必要がほとんどなく、能率良く組付け作業できる。
【0011】
本第3発明では、前記分配伝動軸は、前記伝動ギヤがそれぞれ設けられた複数の分割分配伝動軸に分割可能であり、前記入力ギヤは、前記分割分配伝動軸の前記伝動ギヤに咬み合うように構成されている。
【0012】
本第3発明によると、作業装置に装備する繰出装置ユニットの数量が異なる場合、繰出装置ユニットと等しい数量の分割分配伝動軸を準備すれば、所定数量の繰出ケースに繰出回転体の駆動力を伝達できる分配駆動軸を得ることができ、装備する繰出装置ユニットの異なる数量それぞれに対応した長さを備えた一本の分配駆動軸を準備するのに比べ、分配駆動軸を安価に準備できる。
【0013】
本第4発明では、前記繰出ケースは、この繰出ケースのみに連通する単独のタンクが装着されるように構成してある。
【0014】
本第4発明によると、作業装置に装備する繰出装置ユニットの数量が異なる場合でも、複数の繰出装置ユニットの繰出ケースにわたる一つのタンクを採用するの比べ、装備する繰出装置ユニットの数量が異なる毎に繰出装置ユニットの数量に対応した大きさのタンクを準備する必要がなく、タンクを安価に準備できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る繰出装置ユニットを乗用型田植機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る乗用型田植機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る乗用型田植機の後部を示す平面図である。
図1,2に示すように、本発明の実施例に係る乗用型田植機は、機体フレーム1の下部に左右一対の前車輪2,2及び左右一対の後車輪3,3が装備された走行機体を備えている。走行機体の前部には、左右一対の前車輪2,2及び左右一対の後車輪3,3を駆動するエンジン4aを有した原動部4、及び、原動部4の両横側に位置する予備苗貯留装置5が設けられている。走行機体の後部側には、運転座席6a及び左右一対の前車輪2,2を操向操作するステアリングハンドル6bを有した運転部6が設けられている。左右一対の後車輪3,3は、機体フレーム1の後部から後方向きに上下揺動可能に延出した後輪駆動ケース7の延出端部に駆動可能に支持されている。後輪駆動ケース7の延出端側は、サスペンションスプリング8を介して機体フレーム1に支持されている。
【0017】
機体フレーム1の後部からリンク機構9が後方に上下揺動可能に延出され、リンク機構9の延出端部に5条植え型の苗植付装置10が支持されている。苗植付装置10は、リンク機構9が油圧シリンダで成る昇降シリンダ9aによって揺動操作されることにより、接地フロート11が圃場面に接地した下降作業状態と、接地フロート11が圃場面から高く上昇した上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。苗植付装置10は、エンジン4aからの駆動力がリンク機構9の下方に位置する回転伝動軸12を介して伝達されることによって駆動されるようになっている。走行機体の後部に、運転座席6aの後方に位置するタンク21を有した施肥装置20が設けられている。
【0018】
乗用型田植機は、苗植付装置10を下降作業状態に下降させて走行機体を走行させることにより、苗植付装置10によって5条植えが可能な苗植付作業を行ない、各植付条の植付苗に施肥装置20によって粉粒状の肥料を供給する施肥作業を行なう。
【0019】
苗植付装置10について説明する。
図1,2に示すように、苗植付装置10は、走行機体の機体横方向(以下、単に機体横方向と称する。)に所定間隔を空けて並ぶ三つの植付駆動ケース13が装備された植付フレームAを備えている。三つの植付駆動ケース13のうちの両横外側の植付駆動ケース13の後端部の両横側部に苗植付機構14が駆動可能に取り付けられ、三つの植付駆動ケース13のうちの内側の植付駆動ケース13の後端部の横側部に苗植付機構14が駆動可能に取付られている。植付フレームAの前端側の上方に、五つの苗植付機構14に苗供給する苗載台15が設けられている。植付フレームAの下部に、機体横方向に所定間隔を空けて並ぶ三つの接地フロート11が取り付けられている。
【0020】
図1,2に示すように、五つの苗植付機構14それぞれは、植付駆動ケース13に機体横向きの回転支軸を介して回転駆動可能に支持された回転ロータ14a、及び、回転ロータ14aの長手方向での両端部に回転駆動可能に装着された植付アーム14bを備えている。回転ロータ14aは、回転伝動軸12からフィードケース16(
図1参照)に入力され、フィードケース16から植付駆動ケース13に伝達される駆動力によって回転支軸が回転駆動されることによって回転駆動される。各苗植付機構14は、回転ロータ14aが回転駆動されることにより、一対の植付アーム14bが回転ロータ14aの回転軸芯まわりに公転しながら、回転ロータ14aに対する機体横向きの回転軸芯まわりに自転し、一方の植付アーム14bに取り付けてある植付爪と、他方の植付アーム14bに取り付けてある植付爪とが交互に上下に回転移動し、一対の植付爪によって交互に、苗載台15の下端部から苗を取出し、取出した苗を圃場面のうちの接地フロート11の滑走によって整地された箇所に下降搬送して植付け、植付後に上昇して苗載台15の下端部に戻る苗植え運動を行なう。
【0021】
苗載台15には、五つの苗植付機構14に供給するマット状苗を機体横方向に並べて載置する五つの苗載置部15aを設けてある。苗載台15は、苗載台15とフィードケース16とにわたって設けられた苗横送り駆動機構(図示せず)によって、苗植付機構14の苗植え運動に連動させて機体横方向に往復移送され、各苗植付機構14がマット状苗の下端部から苗取出しを行なうように、かつ、この苗取出しがマット状苗の下端部の一端側から他端側に向けて順次に行われるように、各苗載置部15aのマット状苗を苗植付機構14に対して横移送する。
【0022】
苗載台15の各苗載置部15aの下端側に、マット状苗を苗植付機構14に向けて縦送りする苗縦送りベルト17を設けてある。各苗載置部15aの苗縦送りベルト17は、苗載台15が横移動の左右のストロークエンドに到達した際、苗載台15とフィードケース16とにわたって設けられた苗縦送り駆動機構(図示せず)によって設定ストロークだけ回転駆動され、マット状苗を苗植付機構14による取出し苗のマット状苗縦方向での長さに相当する長さだけ、苗植付機構14に向けて縦送りする。
【0023】
施肥装置20について説明する。
図2,3,4に示すように、施肥装置20は、平面視で機体前後向きの左右一対の支柱フレーム22,22を有し、左右の支柱フレーム22が機体フレーム1の後部から後方上方に延出されていることによって機体フレーム1に支持された施肥フレームBを備えている。施肥フレームBは、左右一対の支柱フレーム22,22を備える他、左右一対の支柱フレーム22の延出端側に支持され、運転座席6aの後方に位置する機体横方向に長いユニット支持フレーム23を備えている。
【0024】
左右一対の支柱フレーム22それぞれの延出端部22aの側面視での形状を、後述する機体横向きの回転伝動軸45の下方及び後方を通って回転伝動軸45を迂回する湾曲形状にしてある。左右一対の支柱フレーム22にわたって機体横向きの補強フレーム24を連結してある。補強フレーム24の左右の支柱フレーム22それぞれに対する連結は、支柱フレーム22のうちの機体フレーム1に対する連結部とユニット支持フレーム23に対する連結部との間に位置する部位に連結している。詳述すると、支柱フレーム22は、機体フレーム1から後方に水平又はほぼ水平に延出する基部と、この基部に対して機体後方上方にユニット支持フレーム23に向かって立ち上がる延出側傾斜部とを備えている。補強フレーム24は、延出側傾斜部のうちの基部に近い部位に連結している。
【0025】
施肥装置20は、機体横方向に所定間隔を空けて一列に並んでユニット支持フレーム23に支持された三つの繰出装置ユニット30、及び、三つの繰出装置ユニット30それぞれの繰出ケース31に送風ダクト26を介して接続された送風装置としての電動ブロワ27を備えている。各繰出装置ユニット30の繰出ケース31の上端側に、三つの繰出装置ユニット30の上方にわたって位置する機体横方向に長い一つのタンク21を装着してある。タンク21は、タンク内が三つの繰出ケース31の内部に連通するよう形成され、三つの繰出装置ユニット30に共用のタンクになっている。
【0026】
三つの繰出装置ユニット30それぞれは、ユニット支持フレーム23に上端側が支持された繰出ケース31、繰出ケース31に駆動回転可能に収容された繰出回転体32、繰出回転体32に対する伝動を入り状態と切り状態とに切換え操作する繰出クラッチ50を備えている。三つの繰出装置ユニット30それぞれの繰出回転体32は、繰出クラッチ50が入り状態に操作されることにより、走行機体の横側部に設けられた動力取出部41(
図1参照)から後述する伝動装置40によって伝達される駆動力によって回転駆動され、繰出回転体32の周面に回転方向に所定間隔を空けて設けてある繰出凹部(図示せず)によってタンク21から粉粒状の肥料を設定量ずつ間欠的に繰り出し、繰出した肥料を、繰出ケース31の下部に設けてある左右一対の粉粒体吐出筒部34,34に供給するように構成してある。
【0027】
三つの繰出装置ユニット30のうちの両横外側の繰出装置ユニット30においては、左右一対の粉粒体吐出筒部34,34が五つ苗植付機構14のうちの機体横外側の二つの苗植付機構14の横側部に振り分け配備された一対の作溝施肥器35,35に一対の施肥ホース36,36を介して各別に接続されている。
【0028】
三つの繰出装置ユニット30のうちの内側の繰出装置ユニット30においては、左右一対の粉粒体吐出筒部34,34のうちの一方の粉粒体吐出筒部34がキャップ37によって閉塞され、左右一対の粉粒体吐出筒部34,34のうちの他方の粉粒体吐出筒部34が五つ苗植付機構14のうちの内側の一つの苗植付機構14の横側部に配備された一つの作溝施肥器35に施肥ホース36を介して接続されている。
【0029】
各作溝施肥器35は、苗植付機構14の横側近くで圃場面に溝に形成し、形成した溝に施肥ホース36からの肥料を落下させて供給するように構成してある。
【0030】
従って、施肥装置20は、三つの繰出装置ユニット30それぞれの繰出クラッチ50が入り状態に操作されることにより、三つの繰出装置ユニット30それぞれによってタンク21から肥料を設定量ずつ間欠的に繰出す。
【0031】
施肥装置20は、三つの繰出装置ユニット30のうちの機体左横外側の繰出装置ユニット30によって繰出した肥料を、電動ブロワ27から送風ダクト26を介して供給される搬送風によって左右一対の粉粒体吐出筒部34,34から一対の施肥ホース36,36に吐出し、五つの苗植付機構14のうちの機体左横外側の二つの苗植付機構14の横側部に振り分けて配備された一対の作溝施肥器35に供給し、機体左外側の2条の植付条の植付苗に対する肥料供給を行なう。
【0032】
施肥装置20は、三つの繰出装置ユニット30のうちの機体右横外側の繰出装置ユニット30によって繰出した肥料を、電動ブロワ27から送風ダクト26を介して供給される搬送風によって左右一対の粉粒体吐出筒部34,34から一対の施肥ホース36,36に吐出し、五つの苗植付機構14のうちの機体右横外側の二つの苗植付機構14の横側部に振り分けて配備された一対の作溝施肥器35に供給し、機体右外側の2条の植付条の植付苗に対する肥料供給を行なう。
【0033】
施肥装置20は、三つの繰出装置ユニット30のうちの内側の繰出装置ユニット30によって繰出した肥料を、電動ブロワ27から送風ダクト26を介して供給される搬送風によって一つの粉粒体吐出筒部34から施肥ホース36に吐出し、五つの苗植付機構14のうちの内側の一つの苗植付機構14の横側部に配備された作溝施肥器35に供給し、内側の1条の植付条の植付苗に対する肥料供給を行なう。
【0034】
各繰出装置ユニット30の繰出回転体32を駆動する伝動装置40について説明する。
図1に示すように、走行機体の横側部に設けられた動力取出部41に、機体横向き軸芯まわりに回転駆動されるクランクアーム42を設けてある。
図5,6に示すように、各繰出装置ユニット30に、繰出ケース31の横外側に配備した入力部38を備えてある。
【0035】
図7は、各繰出装置ユニット30の繰出回転体31を駆動する伝動装置40を示す線図である。
図1,3,4,6,7に示すように、伝動装置40は、クランクアーム42の駆動力を、クランクアーム42に下端側が連動連結された連動ロッド43、連動ロッド43の上端側に連結された揺動アーム44を介して機体横向きの回転伝動軸45に伝達し、回転伝動軸45の駆動力を、繰出量調節機構46を介して機体横向きの分配伝動軸47に伝達し、分配伝動軸47から各繰出装置ユニット30の入力部38に入力するように構成してある。
【0036】
繰出量調節機構46は、回転伝動軸45の往復回転の駆動力を一方向回転の駆動力に変換し、変換した駆動力によって分配伝動軸47を一方向に回転駆動するように構成してある。繰出量調節機構46は、調節機構部のケースよりも機体前方側に位置する調節ハンド46a(
図2参照)が回転操作されることにより、回転伝動軸45の往復回転に対する分配伝動軸47の回転角を変更し、回転伝動軸45の往復回転に対する繰出回転体32の駆動回転角を変更することにより、繰出回転体32の設定駆動時間当たりの繰出量を変更するものである。回転伝動軸45は、繰出量調節機構46、及び、繰出量調節機構46に対して連動ロッド43が位置する側に離れた箇所でユニット支持フレーム23に支持された支持部材48(
図3,6,7参照)に回転可能に支持されている。分配伝動軸47は、繰出量調節機構46、及び、各繰出ケース31に設けられた支持部31a(
図3,7参照)に相対回転可能に支持されている。
【0037】
図5,6,7に示すように、三つの繰出装置ユニット30それぞれの入力部38は、繰出ケース31に回転可能に支持され、繰出ケース31の内部で繰出回転体32を相対回転不能に支持する回転支軸で成る機体横向きの入力軸51と、入力軸51に相対回転可能に支持された入力ギヤ52と、入力ギヤ52と入力軸51とにわたって設けられた繰出クラッチ50とを備えている。
【0038】
繰出クラッチ50は、入力軸51に一体回転可能にかつスライド可能に支持されたクラッチ体50aと、クラッチ体50aの一端部に設けられたクラッチ爪の係合及び離脱を可能に構成して入力ギヤ52の側部に設けられたクラッチ爪とを備え、咬み合いクラッチに構成されている。
【0039】
図4,6に示すように、繰出クラッチ50は、支持部53に支持ピン54を介して支持された操作部55を備え、操作部55が支持ピン54の機体上向きの軸芯を揺動支点にして揺動操作されることにより、入力軸51を入力ギヤ52に一体回転可能の連動連結する入り状態と、入力ギヤ52に対する入力軸51の連動連結を絶つ切り状態とに切り換わるように構成してある。
【0040】
すなわち、操作部55が入り側に揺動操作されると、クラッチ体50aが入り付勢バネ56の操作力によって入力ギヤ52に向けてスライド操作され、クラッチ体50aのクラッチ爪と入力ギヤ52のクラッチ爪とが咬み合う。操作部55が切り側に揺動操作されると、クラッチ体50aの操作溝部に係入するように構成して操作部55に備えてある操作ピン55a(
図4参照)の操作力により、クラッチ体50aが入り付勢バネ56に抗して入力ギヤ52から離れる側にスライド操作され、クラッチ体50aのクラッチ爪と入力ギヤ52のクラッチ爪との咬み合いが外れる。
【0041】
操作部55を揺動操作可能に支持する支持部53は、繰出ケース31に備えられている。従って、操作部55は、繰出ケース31に支持され、繰出ケース31がユニット支持フレーム23に組み付けられることにより、繰出クラッチ50と共に所定の組付け状態になる。
【0042】
操作部55を揺動操作可能に支持する支持部53は、ユニット支持フレーム23に連結ボルトによって連結されることによって繰出ケース31をユニット支持フレーム23に取付ける取付部材57によって構成されている。
【0043】
入力ギヤ52は、分配伝動軸47に相対回転不能に支持された三つの伝動ギヤ60のうちの一つの伝動ギヤ60に咬み合うように構成してある。
【0044】
すなわち、三つの繰出装置ユニット30それぞれにあっては、入力ギヤ52が伝動ギヤ60に咬み合うようにして繰出ケース31をユニット支持フレーム23に支持させることにより、繰出クラッチ50及び繰出クラッチ50の操作部55の組付けを一挙にできる。
【0045】
そして、三つの繰出装置ユニット30それぞれは、繰出クラッチ50が入り状態に切り換えられることにより、分配伝動軸47の伝動ギヤ60から入力ギヤ52に入力した駆動力が繰出クラッチ50によって入力軸51に伝達されて入力軸51が駆動されることにより、繰出回転体32を回転駆動する。
【0046】
三つの繰出装置ユニット30それぞれは、繰出クラッチ50が切り状態に切換えられることにより、入力軸51の入力ギヤ52に対する連動連結が絶たれて入力軸51が停止することにより、繰出回転体32を停止させる。
【0047】
三つの繰出クラッチ50は、三つの操作部55に操作ケーブル(図示せず)を介して各別に連動連結され、運転座席6aの両横側に振り分けて配備された三つの端数条クラッチレバー61(
図2参照)によって各別に切換え操作できるように構成してある。
【0048】
三つの繰出クラッチ50は、ユニット支持フレーム23の横端部に配備された全条クラッチレバー62(
図6参照)によって纏めて切換え操作できるように構成されている。
【0049】
すなわち、
図6に示すように、三つの操作部55に各別に作用する三つの操作突部63aを備えた機体横方向に長い帯板状の操作体63がユニット支持フレーム23に機体横方向にスライド可能に支持されている。各操作突部63aは、操作体63の本体に対して立ち上がるように折り曲げられた操作体63の一部分によって構成してある。操作体63をユニット支持フレーム23にスライド可能に支持する支持構造として、操作体63の複数個所に設けた機体横方向に長い取付孔64、及び、各取付孔64に相対移動可能に係入した状態でユニット支持フレーム23に設けられた支持ピン65を備えた支持構造を採用してある。
【0050】
全条クラッチレバー62は、全条クラッチレバー62の基部に設けられた支軸部を介してユニット支持フレーム23に揺動可能に支持されている。操作体63と全条クラッチレバー62とは、全条クラッチレバー62の支軸部に相対回転不能に支持された揺動リンク66、及び揺動リンク66と操作体63とを連動連結する屈曲連動杆67を介して連動連結されている。
【0051】
図6(a)に示すように、全条クラッチレバー62を支軸部の機体上下向きの軸芯を揺動支点にして揺動操作して入り位置P1に操作すると、屈曲連動杆67が揺動リンク66によってガイド溝68に沿って移動操作され、操作体63が屈曲連動杆67による押し操作によって機体左側にスライド操作され、各操作突部63aが操作部55に対する押圧操作を解除し、クラッチ体50aを入り付勢バネ56によって入力ギヤ52に係合させる。
【0052】
図6(b)に示すように、全条クラッチレバー62を切り位置P2に操作すると、屈曲連動杆67が揺動リンク66によってガイド溝68に沿って移動操作され、操作体63が屈曲連動杆67による引き操作によって機体右側にスラド操作され、各操作突部63aが操作部55を入り付勢バネ56に抗して揺動操作し、クラッチ体50aを入力ギヤ52から離脱させる。
【0053】
〔別実施例〕
(1)
図8は、第1の別実施構造を備えた施肥装置20を示す正面図である。
図8に示すように、別の実施構造を備えた施肥装置20では、三つの繰出装置ユニット30それぞれの繰出ケース31のみに連通するよう構成して三つの繰出ケース31に各別に装着された三つのタンク21を備えている。
【0054】
(2)
図9は、第2の別実施構造を備えた施肥装置20を示す概略図である。
図9に示すように、第2の別実施構造を備えた施肥装置20では、分配伝動軸47は、伝動ギヤ60が一つずつ設けられた三つの分割分配伝動軸47a、隣り合う分割分配伝動軸47aどうしを一体回転可能に連結するジョイント47b、及び、分割分配伝動軸47aと繰出量調節機構46の出力軸46bとを連結するジョイント47cを備え、ジョイント47bの部位で三つの分割分配伝動軸47aに分割できるようになっている。三つの分割分配伝動軸47aそれぞれは、対応する繰出装置ユニット30の繰出ケース31に設けられた支持部31aに相対回転可能に支持され、繰出ケース31がユニット支持フレーム23に組み付けられることにより、分配伝動軸47の組付けも一挙にできるように構成してある。
【0055】
(3) 上記した実施例では、ユニット支持フレーム28を一つの構造体に構成した例を示したが、三つの繰出装置ユニット30が各別に取り付けられた三つ分割ユニット支持フレームに分割可能に構成し、分割ユニット支持フレームを連結してユニット支持フレームの組み立てを行なうことにより、三つの繰出装置ユニット30の組付けも一挙にできるように構成して実施してもよい。
【0056】
(4) 上記した実施例では、三つ繰出装置ユニット30を備えた例を示したが、二つあるいは四つ以上の繰出装置ユニットを備えて実施してもよい。