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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-20871(P2015-20871A)
(43)【公開日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】エレベーター制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/14 20060101AFI20150106BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20150106BHJP
   B66B 13/26 20060101ALI20150106BHJP
【FI】
   B66B13/14 M
   B66B3/00 L
   B66B3/00 F
   B66B13/26 D
   B66B13/26 H
   B66B13/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-150557(P2013-150557)
(22)【出願日】2013年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】会田 敬一
(72)【発明者】
【氏名】武内 英里香
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 秀二
(72)【発明者】
【氏名】岡田 肇
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋平
【テーマコード(参考)】
3F303
3F307
【Fターム(参考)】
3F303CB25
3F303CB33
3F303DB26
3F303DC01
3F303DC11
3F303DC21
3F307DA03
3F307DA11
3F307DA13
3F307DA31
3F307EA02
3F307EA13
3F307EA39
(57)【要約】
【課題】
利用者が乗りかごに乗ってからの待機時間を少なくしつつ、エレベーターの運用効率を向上させる。
【解決手段】
エレベーター制御装置は、乗りかご内の荷重を検出する荷重センサと、荷重センサの検出値が入力されるエレベーター制御部とを備える。エレベーター制御部は、乗り場側及びかご側に設けられたドアの開閉を制御するドア開閉制御部と、荷重センサの検出値が入力されドアの開閉を判定するドア開閉判定手段と、ドアの開閉の情報を制御する情報制御部とを有する。ドア開閉判定手段は、荷重センサの検出値が第1の所定値を超えたら情報制御部に警報を発するよう指令するとともにドア開閉制御部にドアの閉じを阻止するよう指令する。また、ドア開閉判定手段は、荷重センサの検出値が第1の所定値よりも低い第2の所定値を超えたらドア開閉制御部に強制的に前記ドアを閉めるよう指令する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかご内の荷重を検出する荷重センサと、前記荷重センサの検出値が入力され前記乗りかごの昇降を制御するエレベーター制御部とを備えたエレベーター制御装置において、
前記エレベーター制御部に、乗り場側及び前記かご側に設けられたドアの開閉を制御するドア開閉制御部と、前記荷重センサの検出値が入力され前記ドアの開閉を判定するドア開閉判定手段と、前記ドアの開閉の情報を制御する情報制御部とを設け、
前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が第1の所定値を超えたら前記情報制御部に警報を発するよう指令するとともに前記ドア開閉制御部に前記ドアの閉じを阻止するよう指令し、
前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値を超えたら前記ドア開閉制御部に強制的に前記ドアを閉めるよう指令することを特徴とするエレベーター制御装置。
【請求項2】
前記乗りかごに設けられた開きボタンの出力が入力される入出力処理部を有し、前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が前記第2の所定値を超えていても、前記入出力処理部に前記開きボタンからドア開き要求が入力されたら、強制的にドアを閉めることを無効とするよう前記ドア開閉制御部に指令することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【請求項3】
前記ドアの開閉部に設けられ障害物の接触を検出可能なドアセーフティーシューの出力が入力される入出力処理部を有し、前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が前記第2の所定値を超えていても、前記入出力処理部に前記ドアセーフティーシューから障害物検出の信号が入力されたら、強制的に前記ドアを閉めることを無効とするよう前記ドア開閉制御部に指令することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【請求項4】
前記ドアを駆動するドア駆動装置が過負荷になったら過負荷信号が入力されるドア開閉制御装置用入出力処理部を有し、前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が前記第2の所定値を超えていても、前記ドア開閉制御装置用入出力処理部に過負荷信号が入力されたら、前記ドア開閉制御部に強制的にドアを閉めることを無効とするよう指令することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【請求項5】
前記ドアの開閉部に設けられた非接触で障害物を検出するドアセンサの出力が入力されるセンサ入力部を有し、前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が前記第2の所定値を超えたら、前記センサ入力部に前記ドアセンサから障害物の検出信号が入力されても、前記ドア開閉制御部に強制的にドアを閉めるよう指令することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【請求項6】
前記ドア開閉判定手段は、前記ドア開閉制御部にドアを強制的に閉めるように指令したときは、少なくとも前記乗りかごまたは乗り場のいずれかに設けられた案内装置からエレベーターの利用者に前記ドアが強制的に閉められることを報知されるよう前記情報制御部に指令することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの昇降と乗り場側ドア及びかごドアの開閉を制御するエレベーター制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されているエレベーター装置に関しては、安全性を考慮して種々の法律による規制がある。例えば、非特許文献1に記載の建築基準法施行令では、エレベーターの乗りかご内の荷重が、エレベーターごとに定めた積載荷重の110%を超えると警報を発し、かつ出入り口のドア閉じを阻止することを求めている。また、エレベーターのドアが開いている間に火災が発生したら、警報を発して直ちにドアを閉じるように定められている。
【0003】
この様な規制のもと、従来のエレベーター装置では例えば特許文献1に記載のように、満員になるまでに乗り込み可能人数を音声案内し、エレベーターの乗降所要時間を短くし、輸送効率の向上を図っている。そのため、エレベーターかごに利用者が乗降しているときに、荷重検出手段がかご内荷重を検出し、エレベーター制御装置の判定回路がかご内荷重を最大許容積載荷重と比較して余裕荷重を算出している。さらに乗り込み可能人数を算出し、この算出した乗り込み可能人数を音声合成措置により音声で利用者に知らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−206218号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】建築基準法施行令第129条の10第3項第四号イ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記法令に従う従来のエレベーターにおいては、エレベーターの乗りかご内の荷重が積載荷重の110%を超えるとドア開きのまま待機状態が継続し、エレベーターの乗りかごを出発させることができない。そのため、利用者の幾人かにエレベーターから降りて頂いてかご内荷重が積載荷重の110%未満になるようにするが、降りる人の決定等に手間取り、乗車から出発まで時間を要する場合がある。
【0007】
また、特許文献1に記載のエレベーターの乗り込みガイダンス装置においては、エレベーターを常に満員近い状態で昇降させるので輸送効率が一見向上するが、逆に満員近くまでエレベーターの出発を待たされるので、利用者が少ない段階でエレベーターに到着した人については、乗りかごの昇降開始までの待ち時間が長くなる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、利用者が乗りかごに乗ってからの待機時間を少なくしながら、エレベーターの運用効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の特徴は、昇降路内を昇降する乗りかご内の荷重を検出する荷重センサと、前記荷重センサの検出値が入力され前記乗りかごの昇降を制御するエレベーター制御部とを備えたエレベーター制御装置において、前記エレベーター制御部に、乗り場側及び前記かご側に設けられたドアの開閉を制御するドア開閉制御部と、前記荷重センサの検出値が入力され前記ドアの開閉を判定するドア開閉判定手段と、前記ドアの開閉の情報を制御する情報制御部とを設け、前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が第1の所定値を超えたら前記情報制御部に警報を発するよう指令するとともに前記ドア開閉制御部に前記ドアの閉じを阻止するよう指令し、前記ドア開閉判定手段は、前記荷重センサの検出値が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値を超えたら前記ドア開閉制御部に強制的に前記ドアを閉めるよう指令することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少しでも多くの利用者を同一の乗りかごに乗車させることよりも、所定人数の利用者を乗車させるようにして早めにドアを閉じ、乗りかごの昇降を開始するので、利用者が乗りかごに乗ってからの待機時間を少なくできる。また、エレベーターをピストン輸送的に活用するので、運用効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る複数台のエレベーターを備えたシステムの模式図である。
図2】本発明に係るエレベーターの一実施例のブロック図である。
図3】本発明に係るエレベーター制御装置内の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係るエレベーター設備の一実施例を説明する。図1は、複数台のエレベーターを群管理する場合の模式図である。図2は、図1に示した複数台のエレベーターの中から1台だけを取り上げた図で、制御装置を主として示すブロック図である。図3は、図2に示したエレベーター制御装置1内での処理の一例を示すフローチャートである。
【0013】
図1において、最上段部は、3台のエレベーターからなるエレベーター群を、群管理する場合の制御装置80を示している。各々のエレベーターには、エレベーター制御装置1が設けられており、各エレベーター制御装置1は群管理制御装置8に接続されている。群管理制御装置8は、各エレベーターを群管理して、エレベーターの効率的な輸送を実現する。
【0014】
図1の上から2段目は、詳細を後述する乗りかご2を模式的に示した図である。各乗りかご2は、図示しない昇降路内を昇降する。また、乗りかご2はエレベーター制御装置1に制御ラインが接続されており、ドアの開閉や昇降をエレベーターの制御装置1が制御する。乗りかご2内には、乗りかご2の現在位置や昇降方向を乗りかご内の乗客に知らせるためのかご内表示器25や、異常発生時等に情報を乗りかご2内の乗客に報知するかご内音声用スピーカ24が上部に設けられている。さらに、乗りかご1内の乗客が行先階をエレベーター制御装置1にかご呼び登録するための操作盤20が操作しやすい高さに1個ないし複数個設けられている。
【0015】
乗りかご1の底面であって外部側には、乗りかご1内の乗客数を把握するために、荷重センサ23が複数個取り付けられている。乗りかご1の天井側であって外部側には、乗りかご2のケージドアと後述する乗り場側のハッチドアとを同期して開閉するために、ドア開閉制御装置3が配設されている。ドア開閉制御装置3は、ドア開閉制御装置の近傍に配置したドアモータ40により駆動される。
【0016】
図1の上から3段目から最下段までに、エレベーターの乗り場を模式的に示している。3段面は最上階の乗り場の正面図であり、4段目は中間階の乗り場の正面図である。最下段は最下階の乗り場の正面図である。中間階は建物の大きさにより1ないし複数階設けられる。
【0017】
各階の乗り場では、乗り場ドア22の上方に、乗りかご2の現状位置等を表示するインジケーター51Bと、このインジケーター51Bの一方の側に配置された昇降方向を示すランタン51Bと、インジケーター51Bの他の側に配置された音声出力手段が配置されている。また、乗り場ドア22の横側には、一般用乗り場側ボタン50A〜50Cが設けられている。
【0018】
次に図2を用いて、エレベーターのドア制御に付いて詳述する。図2(a)はエレベーター制御装置1のブロック図であり、図2(b)は乗りかごの模式図である。図2(c)は乗り場ドア22部の正面図である。図中の丸囲み英大文字は、図示の便のために信号線を分割したポイントを示している。同じ丸囲み文字のところで、2つの信号線はつながっている。
【0019】
エレベーター制御装置1は、昇降路内の適宜個所に制御盤等として配置されており、エレベーター制御部10と入出力処理部11を有している。入出力処理部11は、乗りかご2内に設けた操作盤20のかご呼びボタン201から利用者が入力したかご呼び信号310が入力されるかご呼び入出力処理部111と、乗り場側に設けた一般用乗り場側ボタン50から利用者が入力した乗り場呼び信号320が入力される乗り場呼び入出力処理部112とを有している。
【0020】
エレベーターでは、乗り場側に設けたハッチドア22及び乗りかご2側に設けたケージドア21からなるエレベータードアを開閉するために、乗りかご2内には、「ドア開」ボタン202および「ドア閉」ボタン203が設けられている。これらの「ドア開」ボタン202および「ドア閉」ボタン203からの指令信号330が入力されるかご内開・閉ボタン入出力処理部113と、各種センサの検出信号が入力されるセンサ入力処理部114も、入出力処理部11に設けられている。
【0021】
ここで各種センサとしては、乗りかご2の外部側に取り付けた荷重センサ23やケージドア21の開口端側に設けた障害物の接触を検出するドアセーフティーシュー231や利用者の乗車を検出するマルチビームドアセンサ232がある。ドアセーフティーシュー231やマルチビームドアセンサ232の検出信号362と荷重センサの検出信号361とは、センサ信号360としてセンサ入力処理部114に入力される。入出力処理部が備えるかご呼び入出力処理部111及び乗り場呼び入出力処理部112、かご内開・閉ボタン入出力処理部113、センサ入力処理部114の処理信号307a〜307dは、制御部10に入力処理信号307として入力される。
【0022】
エレベーターのハッチドア22及びケージドア21を駆動するために、乗りかご2の上面にはドア駆動装置31およびドア過負荷検出装置32を有するドア開閉制御装置3が設けられている。ドア過負荷検出装置32は、エレベータードアに障害物が触れたときの圧力や衝撃・戸袋に指が引き込まれた時などの異常外力を検出するために設けられている。
【0023】
ドア駆動装置31の駆動信号とドア過負荷検出装置32の検出信号は、信号線340を介して、エレベーター制御装置1の入出力処理部11が有するドア開閉制御装置用入出力処理部115へ入力または出力される。なお、ドア駆動装置31は付設するドアモータ40を駆動する。
【0024】
入出力処理部11は、エレベーター制御部10からの情報に基づいて、乗り場及び乗りかご2内に情報を出力するための情報処理部116を有している。すなわち、各階の乗り場には、信号線350を介してスピーカ等の音声出力手段に案内音声等が、信号線352を介してランタン51Aには乗りかご2の上昇または下降の方向が、インジケーター51Bには乗りかご2の現在位置等が報知される。一方、乗りかご2内では、信号線350を介してかご内表示器25に乗りかごの現在位置等が、信号線351を介してかご内音声用スピーカ24に停車階等が報知される。
【0025】
制御部10は、走行制御部103とドア開閉制御部102と呼び制御部101と情報制御部104とを有している。走行制御部103は、乗りかご2の昇降を制御する。ドア開閉制御部102は、エレベータードアの開閉を制御する。呼び制御部101は、一般用乗り場側ボタン50から入力された乗り場呼び及び乗りかご2内の操作盤20から入力されたかご呼びの登録や登録のキャンセルを制御する。情報制御部104は、入出力処理部11の情報出力処理部116に、乗り場及び乗りかご2内に報知すべき情報の報知を制御する。
【0026】
ところで、本発明ではエレベーターの運用効率の向上と利用者が乗りかご2の到着を待つ待ち時間の低減を図るため、乗りかご2に新たな荷重制限を設けている。そのため、エレベーター制御装置1の制御部10には、荷重によるドア開閉判定手段120が設けられている。エレベーター制御装置1が有する記憶手段には、予め定員超過用荷重判定値(110%)121と強制ドア閉用荷重判定値(80%)とが記憶されており、荷重によるドア開閉判定手段120は、随時これらのデータを参照301,302して、ドア開閉制御部102にドア開閉制御指令303を、情報制御部104に報知すべき情報の制御指令304を送信する。
【0027】
ここで、定員超過用荷重判定値(110%)121は、エレベーターに関する上記非特許文献1に規定された値であり、乗りかご2ごとに定めた積載荷重の110%の荷重である。荷重センサ23が乗りかご2の荷重がこの判定値を超えたのを検出すると、定員を超えているのでかご内音声用スピーカ24から乗客に報知する。それとともにエレベータードア21,22を強制開状態にし、乗りかご2の昇降を停止状態に維持する。
【0028】
強制ドア閉用荷重判定値(80%)122は、上記乗りかご2ごとに定めた定格荷重の80%の荷重である。なお、本実施例では強制ドア閉用荷重判定値を80%としたが、この値は上記定員超過用荷重判定値(110%)より少なければ任意に設定できる。ただし、定員超過用荷重判定値(110%)とからは有意の差があるのが望ましい。
【0029】
ここで強制ドア閉用荷重判定値(80%)122について、以下に説明する。強制ドア閉用荷重判定値(80%)122は、法令で定められた乗りかご2の制限荷重よりも小さな制限荷重を定めて、乗りかご2が定員超過になる前に速やかに且つ安全に昇降させるためのものである。この制限荷重の設定により、乗客がある程度乗りかごに乗車した段階で自動的にエレベータードアが閉まるので、ドア閉ボタンの操作やさらなる乗客の乗車を待つ必要が無くなる。エレベーターの乗りかご2の運行効率が向上するとともに、一旦乗りかご2に乗車した利用者も、これから乗りかご2に乗車しようとして他階等の乗り場で待つ利用者の待ち時間をも低減できる。
【0030】
図3に、図2に示した荷重によるドア開閉判定手段120での処理内容を、フローチャートで示す。初めにドア開閉判定手段120は図示しない記憶手段を参照し、荷重センサ23が検出した乗りかご2内の乗客の荷重と、法定の定員超過用荷重判定値(110%)(第1の所定値)121とを比較する(ステップS10)。比較した結果、荷重センサ23が検出した乗りかご2内の荷重が、定員超過用荷重判定値(110%)(第1の所定値)121を超えていると判定したら、ステップS61に進む。ステップS61では、エレベータードア21,22を強制的に開くようドア開閉制御部102に指令出力303する。それとともに、ステップS62において、情報制御部104に定員超過案内要求の指令304を出力する。指令に含まれる案内は、乗りかご1内に設けたかご内音声用スピーカ24から乗客に報知される。
【0031】
ステップS10において、乗りかご2内の荷重が法定荷重未満であれば、ステップS20に進む。ステップS20では、荷重センサ23が検出した乗りかご2内の荷重が、本発明で新たに設定した強制ドア閉用荷重判定値(80%)(第2の所定値)122を超えているか否かを判定する。検出された乗りかご2内の荷重が強制ドア閉用荷重判定値(80%)122を超えていたら、ステップS30に進む。超えていなければ、エレベータードア21,22が開いてからの時間が所定時間に達するまで、荷重センサ23から新たな検出値が入力されるのを待つ。
【0032】
ステップS20において、荷重センサ23が検出した乗りかご2内の荷重が第2の所定値を超えていると判定されたので、ステップS30では、乗りかご2内の「戸開」ボタン202からの信号330がかご内開・閉ボタン入出力処理部113を経由して荷重によるドア開閉判定手段120に入力されているか否かを判定する。「戸開」ボタン202が押されていないと判断したときは、ステップS40に進む。「戸開」ボタン202が押されていれば、エレベータードア21,22を開にして、次の荷重センサ23からの入力または「戸閉」ボタン203からの入力等を待つ。
【0033】
ステップS30で「戸開」ボタン20が押されていないと判断したので、ステップS40では、ドア駆動装置31が作動してドアモータ40を駆動し、エレベータードア21,22を閉じる準備をする。その際、ドアモータ40をモニタするドア過負荷検出装置32が動作したか否かを判定する。ドア過負荷検出装置32が動作していなければ、ステップS50に進む。ドア過負荷検出装置32が作動していれば、エレベータードア21,22に障害物が触れているか、または戸袋に指が引き込まれたなどの不具合が発生しているので、ドア駆動装置31の駆動を停止してエレベータードア21,22を開いた状態に保つ。障害等の不具合が排除されるまで、エレベータードア21,22は開状態であり、乗りかご2は昇降しない。
【0034】
ドアモータ40が準備中のステップS50では、ケージドア21の先端部に取り付けたドアセーフティーシュー231が、動作したか否かを判定する。ドアセーフティーシュー231が動作していたら、ドア駆動装置31の駆動を停止し、障害発生原因が排除されるまで、エレベータードア21,22を開放状態にする。
【0035】
ドアセーフティーシュー231が動作していなければ、ステップS71に進む。ステップS71では、エレベータードア21,22の閉じ動作の準備段階において、全ての安全装置の作動が無くエレベータードア21,22を安全に閉じることが可能と判断されたので、ドア開閉制御部102にドア閉じ指令要求303を指令する。それとともに、情報制御部104に強制ドア閉案内要求304を指令する(ステップS72)。
【0036】
なお上記ステップS10〜S72の処理において、乗客の乗りかご2内への乗り込みを検出するドアセンサ232が動作していても、ステップS10〜S50までの判定にしたがってステップS71に進んだ場合には、ステップS71のドア閉じ指令要求は実行される。これは、第2の所定値は定格荷重の80%に設定されているので、乗客1名程度が増加しても第1の所定値を超えないことが十分に推定されるからである。また、この乗客の乗り込みにより第1の所定値を超えれば、当然ながら安全手段としてエレベータードア21,22は開放され、音声報知等も実行される。
【0037】
また、ステップS61のドア開き指令要求やステップS71のドア閉じ指令要求は、図3に示したドア開閉制御部102で処理される。ステップS62の定員超過案内要求とステップS72の強制ドア閉案内要求は、図3に示した情報制御部104で処理される。ステップS72の強制ドア閉案内要求は、具体的には、例えば、「ドアを閉めますのでご注意ください。」などの乗りかご2内や乗り場へのアナウンスやインジケーター25,51Bへの報知である。
【0038】
上記実施例によれば、法定荷重である第1の所定値よりも少ない第2の所定値でエレベーターのドアを閉じるようにしたので、荷重超過して放送を開始した場合に、誰が次のエレベーターで昇降するかとの選択時間が不要となり、エレベーターのスムースな運行が可能となる。
【0039】
つまり、これまでのエレベーターでは、積載荷重の110%を超えるとエレベータードアが開き待機を続け、乗りかごの昇降を開始することができなくなる。そのため、一部の利用者が乗りかごから降りて積載荷重の110%未満にしてドア閉じを可能にし、その後昇降を開始するようになっている。積載荷重の110%未満にならないと乗りかごは昇降できないので、乗車から出発まで時間を要している。特に、例えば非常事態が起き、避難するためエレベーターに多くの人が殺到した場合、積載荷重の110%を超過しても、誰もが早く避難しようとして降りる人が少なくなり、出発が大幅に遅れ、運転効率低下する。
【0040】
これに対して上記実施例では、少しでも多くの人を乗せることよりも、ある一定以上の乗車をしていれば、早めにドアを閉じて出発することで、到着してから出発するまでの時間を短縮することによりターンアラウンドタイムが減少し、昇降回数を増やすことで乗車人数を結果として増やしている。
【0041】
さらに、特にエレベーターを群管理している場合には、エレベーター1台についての1回の昇降に要する時間を低減できるので、全体としての昇降回数を増やすことができる。その結果、乗り場呼びのある階床にきめ細かく短時間で乗りかごを到着させることが可能になり、待ち時間を少なくした快適なエレベーターの利用が可能になる。
【符号の説明】
【0042】
1…エレベーター制御装置、2…乗りかご、3…ドア開閉制御装置、8…群管理制御装置、10…エレベーター制御部、11…入出力処理部、20…操作盤、21…ケージドア、22…ハッチドア、23…荷重センサ、24…かご内音声用スピーカ、25…かご内表示器、31…ドア駆動装置、32…ドア過負荷検出装置、40…ドアモータ、50、50A〜50C…一般用乗り場側ボタン、51…乗り場側表示器、51A…ランタン、51B…インジケーター、51C…音声出力手段、80…制御装置、101…呼び制御、102…ドア開閉制御、103…走行制御、104…情報制御、111…かご呼び入出力処理、112…乗場呼び入出力処理、113…かご内開・閉ボタン入出力処理、114…センサ入力処理、115…ドア開閉制御装置用入出力処理、116…情報出力処理部、120…荷重によるドア開閉判定手段、121…定負超過用荷重判定値、122…強制ドア閉用荷重判定値、201…かご呼びボタン、202…「戸開」ボタン、203…「戸閉」ボタン、231…ドアセーフティーシュー、232…マルチビームドアセンサ。
図1
図2
図3