【解決手段】一面が開口した収納凹部30を有する第一内装部材20と、収納凹部30の内壁に対して係合し、起立状態から、収納凹部30の開口した一面をカバーするカバー状態まで回転するキャップ部材40とを備える組み付け構造である。キャップ部材40は、収納凹部の開口した一面をカバーする本体部41と、本体部41を回転させるための回転支持部42とを備えている。収納凹部30の内面をなす一つの壁部(後側壁部32)には、キャップ部材40の回転支持部42に対して閉じる方向に付勢する付勢手段(台座部321)が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ヒンジ部(5a−1)の厚みが薄いために、その部分の剛性が低下してしまう。他方、剛性を高めるべくヒンジ部(5a−1)を厚くしてしまうと、キャップ部材のスムーズな移動を阻害してしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、キャップ部材の剛性低下を抑制したとしても、キャップ部材の円滑な移動を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
一面が開口した収納凹部を有する第一内装部材と、
前記収納凹部の内壁に対して係合し、起立状態から、前記収納凹部の開口した一面をカバーするカバー状態まで回転するキャップ部材とを備える組み付け構造において、
前記キャップ部材は、
前記収納凹部の開口した一面をカバーする本体部と、
前記本体部を回転させるための回転支持部と、を備え、
前記収納凹部の内面をなす一つの壁部には、前記キャップ部材の回転支持部に対して閉じる方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の組み付け構造において、
前記付勢手段は、前記キャップ部材が起立状態である場合に前記回転支持部を支える台座部であり、
前記台座部の両側にはスリットが形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の組み付け構造において、
前記台座部の外側面には、補強用のリブが設けられ、
前記台座部の両側のスリットのうち、一方のスリットが他方のスリットよりも長い場合、前記リブは、前記一方のスリット側に寄って配置されていることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の組み付け構造において、
前記回転支持部には、前記台座部を摺動することで前記キャップ部材を前記カバー状態となる方向に案内する案内面が設けられ、
前記案内面は、凸状に湾曲した第一湾曲面と、当該第一湾曲面に連続して凸状に湾曲した第二湾曲面とを備え、
前記キャップ部材が前記カバー状態となる方向に回転する際の初期段階では前記台座部が前記第一湾曲面を摺動し、初期段階後の所定段階では前記台座部が前記第二湾曲面を摺動するように、前記第一湾曲面及び前記第二湾曲面が配置されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の組み付け構造において、
前記台座部における前記回転支持部が当接する部分には第一凸部が形成されていて、
前記回転支持部には前記第一凸部が収容される凹部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の組み付け構造において、
前記回転支持部には、前記キャップ部材の起立状態時に前記スリット内に進入する第二凸部が形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の組み付け構造において、
前記回転支持部における前記台座部に当接する台座当接部には、前記台座部よりも外側に延在した一対の延在部が備えられていて、
前記第一内装部材には、起立状態における前記キャップ部材の前記台座当接部に当接する前記台座部とともに、前記延在部に当接することで前記回転支持部を挟む挟持部が、前記延在部の上方に設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の組み付け構造において、
前記挟持部には、前記一対の延在部に係合して、前記キャップ部材の倒れを規制する係止爪が設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項9記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組み付け構造を備える車両用内装品であって、
前記第一内装部材は車両のドア本体に取り付けられ、
前記第一内装部材が取り付けられる第二内装部材を備え、
前記収納凹部における前記付勢手段を備える壁部とは異なる壁部に、前記第二内装部材と前記第一内装部材とを固定するための貫通孔が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、第一内装部材の収納凹部の内面をなす一つの壁部に、キャップ部材の回転支持部に対して閉じる方向に付勢する付勢手段が設けられているので、キャップ部材に薄肉のヒンジ部を設けなくともキャップ部材に対して閉じる方向への力を付勢することができる。これにより、キャップ部材の剛性低下を抑制し、なおかつキャップ部材の円滑な移動を可能とすることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、付勢手段である台座部の両側にスリットが形成されているので、台座部を弾性変形しやすくするとともにその弾性変形による反力をキャップ部材に対する付勢力として作用させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、台座部の外側面に補強用のリブが設けられているので、当該リブによって台座部を強固なものにすることができる。
ここで、台座部の両側のスリットのうち、一方のスリットが他方のスリットよりも長い場合、台座部が長い側の一方のスリットに寄って撓むことになる。しかしながら請求項3記載の発明のように、補強用のリブが一方のスリット側に寄って配置されていれば、台座部を均一に撓ませることが可能となる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、台座部を摺動することでキャップ部材をカバー状態となる方向に案内する案内面が回転支持部に設けられているので、キャップ部材をスムーズにカバー状態とすることができる。
さらに、キャップ部材がカバー状態となる方向に回転する際の初期段階では台座部が第一湾曲面を摺動し、初期段階後の所定段階では台座部が第二湾曲面を摺動するので、初期段階及び所定段階のそれぞれのキャップ部材の動作に適した曲面を個別に設定することができる。これにより、起立状態からカバー状態までの動作をより円滑に行うことができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、キャップ部材の回転支持部の凹部に台座部の第一凸部が収容されるので、凹部と第一凸部との係合によってキャップ部材の位置規制が可能となる。
また、第一凸部が、スリットに挟まれた台座部に形成されているので、スリットによる剛性低下を第一凸部によって抑制することができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、キャップ部材の起立状態時にスリット内に進入する第二凸部が回転支持部に形成されているので、スリットと第二凸部との係合によってキャップ部材の位置ズレを規制することが可能となる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、起立状態におけるキャップ部材の台座当接部に当接する台座部とともに、延在部に当接することで、回転支持部を挟む挟持部が第一内装部材に設けられているので、キャップ部材の起立状態を維持することができる。これにより、仮組みの確実性を高めることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、一対の延在部に係合してキャップ部材の倒れを規制する係止爪が、挟持部に設けられているので、仮組み時におけるキャップ部材の倒れを抑制することができる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、収納凹部における付勢手段を備える壁部とは異なる壁部に、第二内装部材と第一内装部材とを固定するための貫通孔が設けられているので、台座部と貫通孔が同じ壁部に設けられた場合よりも強度低下を分散させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、車両用内装品1の分解斜視図である。本実施形態では、この車両用内装品1がドアトリムであるものとして、車両用内装品1の説明を行う。但し、本発明に係る車両用内装品はドアトリム以外の内装品にも適用することができる。
【0026】
車両用内装品1は内装品本体10、第一内装部材20及びキャップ部材40等を備える。
【0027】
内装品本体10は、ボルト、ネジ、金属製リベット、樹脂製リベット、鋲、係止爪その他の留め具によって自動車のドア本体の車室内側の面に取り付けられる。内装品本体10は樹脂成形品であって、射出成形法、モールドプレス法、複数色成形法、モールド成形法その他の成形法によって成形されたものである。内装品本体10は、別々に成形された樹脂成形品を組み立てることによって作られた複合品であってもよい。
【0028】
内装品本体10の上部には、ドアノブが収まる穴11が形成されている。
内装品本体10の上端と下端の間の中間部には膨出部15形成されており、この膨出部15が車室の内側へ膨出し、膨出部15の裏側(車室の外側)に空洞が形成されている。この膨出部15は、穴11の下において前後に延在する。膨出部15の上面には、取付穴17が形成されている。その取付穴17は膨出部15の裏側の空洞に通じている。
【0029】
この取付穴17には、第一内装部材20とキャップ部材40を仮組した組み付け構造が設けられている。この組み付け構造は第一内装部材20及びキャップ部材40等を備えるものであり、組み付け構造の構成について以下に詳細に説明する。
【0030】
第一内装部材20は、車両のドア本体に取り付けられており、車両のドアを閉める際に使用される。つまり、人差し指、中指、薬指及び小指を取付穴17から第一内装部材20の中空21に入れて、第一内装部材20及び膨出部15を掴んで、車両用内装品1ごとドア本体を引くことで、ドアを閉じることができる。つまり、第一内装部材20は把手部である。
第一内装部材20の内壁をなす一壁部には、一面が開口した収納凹部30が設けられている。
【0031】
図2は収納凹部30を第一内装部材20の内側から示す斜視図である。
図3は収納凹部30を第一内装部材20の外側から示す斜視図である。
図2及び
図3に示すように、収納凹部30は、前後方向に沿う略三角柱状の窪みとなっている。収納凹部30をなす前側壁部31は右側を底辺とした略三角形状の外形になっている。同様に、収納凹部30をなす後側壁部32は右側を底辺とした略三角形状の外形になっている。また、収納凹部30をなす下側壁部33は前側壁部31及び後側壁部32の下側の一辺に沿って上方に行くに連れて左側に寄る傾斜面となっている。下側壁部33には、貫通孔331が形成されている。この貫通孔331は、第一内装部材20が取り付けられる第二内装部材22(
図5参照)に対して第一内装部材20を固定するためのものである。具体的には、例えば図示しないネジ等の締結具を貫通孔331内に挿入し第二内装部材22に形成されたネジ穴に螺合することで、第一内装部材20と第二内装部材22とを固定するようになっている。
他方、収納凹部30をなす上側壁部34は前側壁部31及び後側壁部32の上側の一辺に沿って下方に行くに連れて左側に寄る傾斜面となっている。
【0032】
後側壁部32には、起立状態となったキャップ部材40を支持する台座部321が設けられている。台座部321は、左右方向に延在していて、左側の端部が上側壁部34に一体的に形成されている。また、台座部321の右側の端部は、キャップ部材40に当接する当接部322であり、後側に向かって屈曲している。キャップ部材40から当接部322を介して力が作用すると、台座部321は、左側の端部を略中心として前後方向に撓むこととなる。また、当接部322におけるキャップ部材40に当接する部分には、第一凸部326が形成されている。
そして、台座部321の上下の両側には、左右方向に切り掛かれたスリット323,324が設けられている。ここで、下側のスリット323は、上側のスリット324よりも長く形成されている。また、台座部321の外側面には、後方に向かって突出した補強用のリブ325が左右方向に沿って延在している。このリブ325は、台座部321の両側のスリットのうち、長い方のスリット323側に寄って配置されている。
【0033】
また、後側壁部32における台座部321よりも右側の領域には、上下方向に延在する開口327,328が設けられている。下側の開口327は、上側の開口328よりも短く形成されている。
そして、収納凹部30の後側部分には、開口327,328を介して台座部321の当接部322に略平行な挟持部329,330が設けられている。なお、挟持部329,330の間になる当接部322に対向する部分には空間Sが設けられている。
また、挟持部329,330の外側面には、キャップ部材40の倒れを規制する凸状の係止爪332,333が設けられている。係止爪332,333は、開口327,328から離れるに連れて徐々に突出する傾斜面332a,333aを備えている(
図9参照)。
【0034】
図4は、キャップ部材40の概略構成を示す側面図である。
図5は、キャップ部材40の裏面側の構成を示す正面図である。
図6は、
図5の一部分を拡大した背面図である。
なお、
図5及び
図6においては第一内装部材20に対して起立した状態で係合したキャップ部材40を示している。
図4〜
図6に示すように、キャップ部材40には、収納凹部30の開口した一面をカバーする本体部41と、本体部41を回転させるための回転支持部42とが一体的に備えられている。
【0035】
本体部41は、収納凹部30の開口した一面の外形に対応した形状となっており、当該開口した一面内に嵌合するようになっている。本体部41の一端部に回転支持部42が設けられている。また、本体部41における回転支持部42が設けられた側とは反対側の他端部には、収納凹部30の開口した一面の一辺に摺動して、キャップ部材40自体を前記開口内に案内する案内爪45が設けられている。案内爪45は、本体部41の他端部からわずかに突出した形状となっており、この案内爪45の外面は滑らかに湾曲した曲面となっている。
【0036】
回転支持部42は、キャップ部材40の起立状態時に台座部321に当接する台座当接部43と、当該台座当接部43及び本体部41を連結する連結部44とを備えている。
台座当接部43には、キャップ部材40の起立状態時にスリット323,324に進入する第二凸部431,432が設けられている。また、この第二凸部431,432の間には、台座部321の第一凸部326が収容される凹部433が形成されている。
また、台座当接部43には、台座部321よりも外側に延在した一対の延在部434,435が設けられている。一対の延在部434,435のうち、下側の延在部434は、収納凹部30の下側の開口327に対応した長さとなっている。他方、上側の延在部434は、収納凹部30の上側の開口328に対応した長さとなっている。これら一対の延在部434,435が開口327,328に係合することで、キャップ部材40が起立状態となる。つまり、開口327,328が一対の延在部434,435に係合する本発明に係る係合口である。
【0037】
ここで、台座当接部43及び一対の延在部434,435における台座部321に当接する部分は凸状に湾曲した第一湾曲面436となっている。この第一湾曲面436は、キャップ部材40が起立状態からカバー状態へと切り替わる際の初期段階に台座部321に摺動することになる。
【0038】
連結部44は、本体部41の一端部の裏面から左右方向に延在して台座当接部43に連結されている。連結部44の裏面には、左右方向に延在する一対の凸条441,442が設けられている。この凸条441,442の左側端部の表面は、第一湾曲面436に連続して凸状に湾曲した第二湾曲面443となっている。この第二湾曲面443は、キャップ部材40が起立状態からカバー状態へと切り替わる際の初期段階後の所定の段階以降に台座部321に摺動することになる。
また、凸条441,442の第二湾曲面443よりも右側の部分は右に行くに連れ徐々に後方へと傾く傾斜面444となっている。つまり、凸条441,442の高さは台座当接部43側から本体部41側に向けて徐々に低くなっている。
【0039】
このように、第一湾曲面436及び第二湾曲面443は、キャップ部材40が起立状態からカバー状態へと切り替わる際に、台座部321を摺動することでキャップ部材40をカバー状態となる方向に案内する案内面である。
【0040】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、第一内装部材20に対してキャップ部材40を取り付ける手順について説明する。
図7は、第一内装部材20に対してキャップ部材40を取り付ける直前の状態を示す斜視図である。
図8は、第一内装部材20に対してキャップ部材40を取り付けた直後の状態(起立状態)を示す斜視図である。
図9は、
図8に示す起立状態の一部を拡大した破断斜視図である。
【0041】
取り付け前においては、作業者は
図7に示すように、キャップ部材40の回転支持部42を収納凹部30内に入れて、一対の延在部434,435と収納凹部30の一対の開口327,328とを位置合わせする。このとき、下側の延在部434と開口327同士が対応した長さに形成されており、上側の延在部435と開口328同士が対応した長さに形成されているので、対応したもの同士を合わせないと組み付けができなくなっている。
【0042】
位置合わせ後、キャップ部材40を後方に移動させて空間S内に進入させると、一対の延在部434,435が開口327,328内に進入する(
図8及び
図9参照)。このとき、台座当接部43が台座部321に干渉したとしても、台座部321自体が後方に撓むためにキャップ部材40を押し込むことができる。通過後においては台座部321が弾性復帰して、元の状態に戻る。これにより、台座当接部43の凹部433内に、台座部321の第一凸部326が収容される。
また、位置合わせ後、キャップ部材40を後方に移動させる際には、一対の延在部434,435は、係止爪332,333の傾斜面332a,333aに沿いながら移動し、傾斜面332a,333aを乗り越えることで、係止爪332,333によって係止されることになる。
【0043】
また、キャップ部材40が起立状態である場合、スリット323,324内に第二凸部431,432が進入しており、これらの係合によってキャップ部材40の位置ズレが規制されている。
また、キャップ部材40が起立状態である場合、延在部434,435に挟持部329,330が当接することになる。これにより、台座部321とともに挟持部329,330が回転支持部42を挟んで、起立状態を維持することになる。
【0044】
次に、起立状態からカバー状態に切り替わる際のキャップ部材40の動作について説明する。
図10〜
図15は、起立状態からカバー状態に切り替わる際のキャップ部材40の各段階での状態を示す断面図である。
【0045】
図10に示すように起立状態にあるキャップ部材40を倒すように作業者はキャップ部材40に対して力を付与する。それにより、台座部321の当接部322と、台座当接部43との接点を回転中心としてキャップ部材40は回転する。具体的には、
図10の状態から
図11の状態までの回転の初期段階においては、台座部321の当接部322がキャップ部材40の第一湾曲面436に対して摺動する。この摺動時の接点が初期段階におけるキャップ部材40の回転中心となる。
【0046】
そして、キャップ部材40の回転時においては、収納凹部30がキャップ部材40の連結部44に当接するために、連結部44から作用する反力によってキャップ部材40が台座部321を押圧する。これにより、台座部321が矢印Yの方向へ弾性変形する。弾性変形中においては台座部321は常に弾性復帰しようとするため、この復元力がキャップ部材40の回転支持部42に対して閉じる方向に付勢することになる。つまり、台座部321が本発明に係る付勢手段である。台座部321からの付勢力によって、キャップ部材40はカバー状態へとスムーズに移行することとなる。
【0047】
次いで、回転の初期段階後の所定段階、つまり
図11に示す状態以降においては、キャップ部材40の回転に伴って台座部321の当接部322がキャップ部材40の第二湾曲面443に対して摺動する。
ここで、凸条441,442の高さが台座当接部43側から本体部41側に向けて徐々に低くなっているために、キャップ部材40が回転し傾倒していくことで、収納凹部30の外側へと案内されることになる(
図12〜
図14参照)。
このときにおいても台座部321からの付勢力が回転支持部42に作用しているために、キャップ部材40はカバー状態へとスムーズに移行する。
【0048】
そして、
図14に示すように、本体部41が収納凹部30の開口した一面内に収まる直前の状態になると、台座部321は元の状態に復帰するため、台座部321からの付勢力はキャップ部材40に作用しない。その後、作業者が本体部41を収納凹部30内に押し込むことで、キャップ部材40は
図15に示すカバー状態となる。
なお、本体部41を収納凹部30内に押し込む際には、案内爪45の外面によって本体部41が収納凹部30内に案内される。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、第一内装部材20の収納凹部30の内面をなす一つの後側壁部32に、キャップ部材40の回転支持部42に対して閉じる方向に付勢する付勢手段(台座部321)が設けられているので、従来のようにキャップ部材に薄肉のヒンジ部を設けなくともキャップ部材40に対して閉じる方向への力を付勢することができる。これにより、キャップ部材40の剛性低下を抑制し、なおかつキャップ部材40の円滑な移動を可能とすることができる。
【0050】
また、付勢手段である台座部321の両側にスリット323,324が形成されているので、台座部321を弾性変形しやすくするとともにその弾性変形による反力をキャップ部材40に対する付勢力として作用させることができる。
【0051】
また、台座部321の外側面に補強用のリブ325が設けられているので、当該リブ325によって台座部321を強固なものにすることができる。
ここで、台座部321の両側のスリット323,324のうち、一方のスリット323が他方のスリット324よりも長い場合、台座部321が長い側の一方のスリット323に寄って撓むことになる。しかしながら、本実施形態のように補強用のリブ325が一方のスリット323側に寄って配置されていれば、台座部321を均一に撓ませることが可能となる。
【0052】
また、収納凹部30における台座部321を備える後側壁部32とは異なる壁部(下側壁部33)に、第二内装部材22と第一内装部材20とを固定するための貫通孔331が設けられているので、台座部321と貫通孔331が同じ壁部に設けられた場合よりも強度低下を分散させることができる。
【0053】
また、台座部321を摺動することでキャップ部材40をカバー状態となる方向に案内する案内面が回転支持部42に設けられているので、キャップ部材40をスムーズにカバー状態とすることができる。
そして、キャップ部材40がカバー状態となる方向に回転する際の初期段階では台座部321が第一湾曲面436を摺動し、初期段階後の所定段階では台座部321が第二湾曲面443を摺動するので、初期段階及び所定段階のそれぞれのキャップ部材40の動作に適した曲面を個別に設定することができる。これにより、起立状態からカバー状態までの動作をより円滑に行うことができる。
【0054】
また、キャップ部材40の回転支持部42の凹部433に台座部321の第一凸部326が収容されるので、凹部433と第一凸部326との係合によってキャップ部材40の位置規制が可能となる。
また、第一凸部326が、スリット323,324に挟まれた台座部321に形成されているので、スリット323,324による剛性低下を第一凸部326によって抑制することができる。
【0055】
また、キャップ部材40の起立状態時にスリット323,324内に進入する第二凸部431,432が回転支持部42に形成されているので、スリット323,324と第二凸部431,432との係合によってキャップ部材40の位置ズレを規制することが可能となる。
【0056】
また、起立状態におけるキャップ部材40の台座当接部43に当接する台座部321とともに、延在部434,435に当接することで、回転支持部42を挟む挟持部329,330が第一内装部材20に設けられているので、キャップ部材40の起立状態を維持することができる。これにより、仮組みの確実性を高めることができる。
【0057】
また、一対の延在部434,435に係合してキャップ部材40の倒れを規制する係止爪332,333が、挟持部329,330に設けられているので、仮組み時におけるキャップ部材40の倒れを抑制することができる。
【0058】
また、互いに長さの異なる一対の延在部434,435のそれぞれに長さに対応した係合口(開口327,328)に、一対の延在部434,435が係合するので、キャップ部材40が反転している場合には一対の延在部434,435は係合口内に係合されなくなる。したがって、キャップ部材40の誤組を防止することができる。
【0059】
また、収納凹部30の開口した一面の一辺に摺動してキャップ部材40自体を開口内に案内する案内爪45がキャップ部材40の本体部41に設けられているので、収納凹部30内にスムーズにキャップ部材40を嵌め込むことができる。
【0060】
また、本実施形態で例示したキャップ部材40であればアンダーカット形状を廃止することもでき、スライドを用いずに成型することも可能となり、金型構造の簡略化も図ることができる。