【解決手段】ミラー2を保持するミラーハウジング3を車両のフロントドアDに支持するベース4は、略円筒状のベース側筒部44と、ベース側筒部44の径方向外側に位置する内側湾曲板部45とを備えている。そして、ベース側筒部44及び内側湾曲板部45にそれぞれ形成された筒部側組付溝44a及び板部側組付溝45aにワイヤーハーネスWを組み付けるようにし、筒部側組付溝44aの縁部から板部側組付溝45aの縁部まで延びる支持板部46によって、ワイヤーハーネスWの外周面を支持するようにした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両用ドアミラーのワイヤーハーネスの先端部は、車両用ドアミラーの取付時や取付後の検査時に、引っ張られることがある。このときに、ベースのハーネスガイドには無理な力が作用するので、ハーネスガイドが破損するおそれがある。また、ハーネスが引っ張られたときには、ハーネスにおけるハーネスガイドとの接触部分に局所的に力が加わり、ハーネスに傷が付くことが考えられる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワイヤーハーネスに引張力が作用しても、そのハーネスを保持するベースの破損を抑制するとともに、ワイヤーハーネスに傷が付くのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、第1板部及び第2板部にそれぞれ形成された第1組付溝及び第2組付溝にワイヤーハーネスを組み付けるようにし、第1組付溝の縁部から第2組付溝の縁部まで延びる支持板部によってワイヤーハーネスの外面を支持するようにした。
【0008】
第1の発明は、
ミラーを保持するミラーハウジングと、
上記ミラーハウジングを車両のドアに支持するベースと、
上記ミラーハウジング側から延びるワイヤーハーネスとを備えた車両用ドアミラーにおいて、
上記ベースは、上記ワイヤーハーネスの中間部分が挿入されて組み付けられる第1組付溝が形成された第1板部と、該第1板部と対向するように設けられ、上記ワイヤーハーネスの中間部分が挿入されて組み付けられる第2組付溝が形成された第2板部と、上記第1板部における上記第1組付溝の縁部から上記第2板部における上記第2組付溝の縁部まで延び、上記第1組付溝及び上記第2組付溝に組み付けられた上記ワイヤーハーネスの外面に対向して該外面を支持する支持板部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ワイヤーハーネスの中間部分が第1組付溝及び第2組付溝に挿入された状態でベースに組み付けられる。この状態で、例えばワイヤーハーネスに対して先端部から引張力が作用すると、ワイヤーハーネスの外面が支持板部によって支持される。このとき、支持板部が第1組付溝の縁部と第2組付溝の縁部とを連結しており、第1板部、第2板部及び支持板部が一体化しているので、これら板部に外力が分散して作用し、各板部の破損が抑制される。また、支持板部はワイヤーハーネスの外面に対向しているので、ワイヤーハーネスに対しては外力が局所的に作用することはなく、広い範囲に分散される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
上記第1組付溝は、上記ワイヤーハーネスの中間部分が挿入される挿入溝と、該挿入溝の挿入方向奥側に連なって該挿入溝の延びる方向に対し屈曲して延び、組み付け状態にある上記ワイヤーハーネスの中間部分が挿入されて停止状態とされる停止溝とを有し、
上記第2組付溝は、上記停止溝で停止状態とされている上記ワイヤーハーネスが上記挿入溝へ移動するのを阻止するように形成され、
上記支持板部は、上記停止溝の縁部から上記第2組付溝の縁部に亘って延びていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第1組付溝の停止溝に挿入したワイヤーハーネスの中間部分が挿入溝側に移動してしまうのを第2組付溝によって阻止することが可能となる。これにより、組み付け状態にあるワイヤーハーネスの中間部分が停止溝内において停止状態で保たれる。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、
上記第2組付溝は、該第2組付溝における上記ワイヤーハーネスの挿入方向手前側が上記支持板部の縁部から離れるように屈曲していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第2組付溝にワイヤーハーネスの中間部分を挿入する際、挿入方向手前側が支持板部の縁部から離れているので、支持板部がワイヤーハーネスの挿入作業の邪魔になりにくい。
【0014】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記支持板部の縁部は湾曲していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第1組付溝や第2組付溝にワイヤーハーネスの中間部分を挿入する際に支持板部の縁部にワイヤーハーネスが引っかかりにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ベースの第1板部及び第2板部に第1組付溝及び第2組付溝をそれぞれ形成し、第1組付溝の縁部から第2組付溝の縁部まで延びる支持板部を、ワイヤーハーネスの外面に対向するように設け、引張力が作用したワイヤーハーネスの外面を支持板部によって支持するようにしたので、ワイヤーハーネスに引張力が作用した場合にワイヤーハーネスを支持しているベースの破損を抑制できるとともに、ワイヤーハーネスに傷が付くことも抑制できる。
【0017】
第2の発明によれば、第1組付溝が、挿入溝の延びる方向に対し屈曲して延びる停止溝を有しており、停止溝で停止状態とされているワイヤーハーネスが挿入溝へ移動するのを阻止するように第2組付溝を形成したので、引張力が作用したワイヤーハーネスがベースから外れるのを抑制できる。
【0018】
第3の発明によれば、第2組付溝におけるワイヤーハーネスの挿入方向手前側が支持板部の縁部から離れているので、第2組付溝にワイヤーハーネスを挿入する際の挿入作業性を良好にすることができる。
【0019】
第4の発明によれば、支持板部の縁部を湾曲させたので、第1組付溝や第2組付溝にワイヤーハーネスを挿入する際に支持板部の縁部にワイヤーハーネスが引っかかりにくくなり、挿入作業性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1〜
図5は、本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー1を示すものである。車両用ドアミラー1は、運転者の後方確認のために用いられるものであり、自動車のフロントドアDの前端部近傍に固定されるようになっている。
【0023】
尚、以下の説明では、左側の車両用ドアミラー1について説明するが、右側の車両用ドアミラーについては、左側の車両用ドアミラー1と左右対称であることを除けば同様の構成であることから、その説明は省略する。
【0024】
図1に分解斜視図として示すように、車両用ドアミラー1は、後方確認用のミラー2と、ミラー2を保持するためのミラーハウジング3と、ミラーハウジング3をフロントドアDに対して支持するためのベース4とを備えている。
【0025】
尚、以下の説明では、ベース4がフロントドアDに対して取り付けられ、かつ、ミラー2が車幅方向に延びる状態(使用可能状態(
図3に示す))を基準として、「後側」とは、「車両後側」を示し、「前側」とは、「車両前側」を示し、「右側」とは、「車両右側」を示し、「左側」とは、「車両左側」を示している。
【0026】
図1や
図2に示すように、ミラーハウジング3の後面には、ミラー2を収容するミラー収容凹部31が形成されている。ミラー2は、図示しないミラーホルダーを介してミラーハウジング3のミラー収容凹部31内で保持されている。
図1に示すように、ミラーハウジング3の前面は、前側へ膨出しており、その上下方向中央部近傍には、ウインカーランプ32が設けられている。ウインカーランプ32には、後述するワイヤーハーネスWの基端部が接続されている。つまり、ワイヤーハーネスWはミラーハウジング3側から延びることになる。
【0027】
図示しないが、ミラーハウジング3の内部には、ミラー2の角度調整を行う角度調整ユニットや、ミラーハウジング3を後方へ倒して格納状態とするための可倒ユニット等が内蔵されている。角度調整ユニット及び可倒ユニットは従来周知のものなので、詳細な説明は省略するが、それぞれ電動モーターを有している。これら電動モーターにも、後述するワイヤーハーネスWの基端部が接続されている。
【0028】
ミラーハウジング3の可倒ユニットにおける支軸(図示せず)がベース4に固定された状態で、ミラーハウジング3がベース4に支持される。この状態で、可倒ユニットの動作により、ミラーハウジング3が支軸周りに回動し、格納状態と使用可能状態とに切り替えられるようになっている。
【0029】
また、ミラー2の霜を溶かすためのヒーターをミラー2の裏面に設けることもでき、このヒーターにもワイヤーハーネスWの基端部が接続される。さらに、ミラー2の下方を撮影するカメラ等をミラーハウジング3に設けることもでき、このカメラにもワイヤーハーネスWの基端部が接続される。
【0030】
ワイヤーハーネスW(
図2〜
図4に示す)は、上記ウインカーランプ32や電動モーター等の電装部品に接続される基端部からミラーハウジング3の下壁部を貫通してベース4側へ延び、ベース4内を通ってフロントドアDの内部へ引き入れられている。ワイヤーハーネスWの先端部には、車両側ハーネス(図示せず)に接続されるコネクタCが設けられている。尚、車両側ハーネスはフロントドアDの内部に配設されているので、車両用ドアミラー1のワイヤーハーネスWをフロントドアDの内部に引き込む必要がある。
【0031】
図1及び
図4等に示すように、ベース4は、フロントドアDに固定されるドア固定部41と、ミラーハウジング3を支持するハウジング支持部42とを備えており、これらドア固定部41及びハウジング支持部42は一体成形されている。ドア固定部41は、
図1及び
図3に示すようにフロントドアDのサッシュ部D1に固定される。
【0032】
すなわち、
図1にも示すように、フロントドアDのサッシュ部D1の前端部は、ドア本体D2の前端部から上方に延びており、ドアミラー取付部D3となっている。ドアミラー取付部D3には、ワイヤーハーネスWをフロントドアDの内部へ引き込むための引き込み孔D4が形成されている。また、ドアミラー取付部D3には、車両用ドアミラー1を締結するための複数の締結孔D5も形成されている。各締結孔D5には、締結部材としてのボルトB(
図3に示す)が車室側から挿通されるようになっている。
【0033】
図1に示すように、ベース4のドア固定部41は、フロントドアDのドアミラー取付部D3に沿って上下方向に延びる板状に形成されている。一方、ハウジング支持部42は、ドア固定部41の下端部から車幅方向外側(左側)へ延出する板状に形成されている。つまり、ベース4は、前後方向から見て、ドア固定部41とハウジング支持部42とが略L字をなすように形成されている。
【0034】
ハウジング支持部42は、ハウジング支持部42の本体部分を上方から覆うアッパーカバー421と、本体部分を下方から覆うロアカバー422とを有している。アッパーカバー421及びロアカバー422は、ハウジング支持部42の本体部分に固定されている。アッパーカバー421は、上記可倒ユニットの支軸(図示せず)を回転不能に支持するように構成されている。アッパーカバー421には、ワイヤーハーネスW(
図2〜
図4等に示す)をミラーハウジング3側からベース4内へと挿通するための開口部421aが形成されている。また、ハウジング支持部42の本体部分とロアカバー422との間には、ワイヤーハーネスWを配設することが可能な空間が形成されている。
【0035】
ハウジング支持部42の本体部分には、ミラーハウジング3側から延びるワイヤーハーネスWを下方へ通すための貫通孔42aが該本体部分を上下方向に貫通するように形成されている。また、ハウジング支持部42の本体部分には、ミラーハウジング3をベース4に締結するための締結部材(図示せず)が挿通する複数の締結部材挿通孔42bが、貫通孔42aを囲むように形成されている。
【0036】
図4〜
図6に示すように、ドア固定部41には、ドア固定部41をフロントドアDに締結するためのボルトB(
図3に示す)が挿通する3つのボス部411が右側へ突出するように形成されている。3つのボス部411のうち、2つはドア固定部41の下部において前後に並ぶように配置されている。残りの1つは、他の2つよりも上方に位置している。
【0037】
また、ドア固定部41の右側の面には、外側環状板部43が右側へ突出するように形成されている。外側環状板部43は、3つのボス部411と一体化しており、右側から見た時に、多角形に近い形状となっている。外側環状板部43の下板部431は前後方向に延びており、下に位置する2つのボス部411を連結している。外側環状板部43の前板部432は、下板部431の前端部から上に向かって延びており、上に行くほど後に位置するように傾斜している。外側環状板部43の後板部433は、下板部431の後端部から上に向かって延びている。前板部432の上端部と後板部433の上端部とが上側のボス部411と一体化した状態で連なっている。
図5に示すように、下板部431における後側部分には、ワイヤーハーネスW(
図4等に示す)の基端側部分が挿通される切欠部431aが形成されている。
【0038】
また、
図4〜
図6に示すように、ドア固定部41の右側の面には、ワイヤーハーネスWの中間部分が挿入される略円筒状のベース側筒部44が右側へ突出するように設けられている。ベース側筒部44は、外側環状板部43で囲まれた部分に位置しており、突出方向の先端面である右端面が開放されている。ベース側筒部44の周壁部が本発明の第1板部を構成している。
【0039】
図6及び
図7等に示すように、ベース側筒部44の下部には、ワイヤーハーネスWの中間部分が挿入されて組み付けられる筒部側組付溝44a(第1組付溝)が形成されている。
図7に示すように、筒部側組付溝44aは、ワイヤーハーネスWの中間部分が挿入される筒部側挿入溝44bと、組み付け状態にある上記ワイヤーハーネスWの中間部分が挿入されて停止状態とされる停止溝44cとを有している。
【0040】
筒部側挿入溝44bは、ベース側筒部44の下部における後側寄りの部位に形成されており、該ベース側筒部44の右端部から左端部近傍に亘って直線状に形成されている。筒部側挿入溝44bの幅は、ワイヤーハーネスWの直径よりも大きめに設定されており、各図に示すワイヤーハーネスWよりも直径の大きなワイヤーハーネスWの挿入も可能になっている。
【0041】
停止溝44cは、筒部側挿入溝44bの左側(挿入方向奥側)に連なって、前方(挿入溝44bの延びる方向に対して屈曲する方向)に延びている。したがって、筒部側挿入溝44bと停止溝44cとは、略直角に交わることとなり、ベース側筒部44を下方から見たときに略L字状をなしている。
【0042】
図4〜
図6に示すように、ベース側筒部44の径方向外側であって、外側環状板部43の内側には、略C字状に湾曲した内側湾曲板部45(第2板部)が右側へ突出するように設けられている。内側湾曲板部45は、ベース側筒部44を囲むように配置され、ベース側筒部44との間に所定の隙間が形成されて該ベース側筒部44と対向している。内側湾曲板部45は、前側に向けて開放されており、内側湾曲板部45の両端部は外側環状板部43の前板部432に連なっている。したがって、内側湾曲板部45と外側環状板部43の前板部432とによってベース側筒部44を囲む環状壁を構成している。
【0043】
図7及び
図8に示すように、内側湾曲板部45の突出方向の寸法(左右方向の寸法)は、ベース側筒部44の突出方向の寸法(左右方向の寸法)よりも短く設定されており、具体的には、内側湾曲板部45の突出方向先端部は、ベース側筒部44の突出方向の中央部よりも基端側に位置している。
【0044】
図6及び
図7等に示すように、内側湾曲板部45の下部、即ち、ベース側筒部44の下部と対向する部位には、ワイヤーハーネスWの中間部分が挿入されて組み付けられる板部側組付溝45a(第2組付溝)が形成されている。
図7に示すように、板部側組付溝45aは、ワイヤーハーネスWの中間部分が挿入される板部側挿入溝45bと、ベース側筒部44の停止溝44cで停止状態とされているワイヤーハーネスWが挿入溝44bへと移動するのを阻止するための阻止溝45cと、からなる。
【0045】
板部側挿入溝45bは、内側湾曲板部45の右縁部から左側に延びている。阻止溝45cは、板部側挿入溝45bの端部に連なって左側へ延び、内側湾曲板部45の基端部に達している。互いに延びる方向が異なっている板部側挿入溝45b及び阻止溝45cを連続させているので、板部側組付溝45aは屈曲することになる。つまり、板部側組付溝45aは、板部側組付溝45aにおけるワイヤーハーネスWの挿入方向手前側(板部側挿入溝45b側)が後述する支持板部46の湾曲縁部461から離れるように屈曲することになる。
【0046】
図6及び
図7に示すように、ベース側筒部44と内側湾曲板部45との間には、ワイヤーハーネスWが端部側からの引張力を受けた際に、ワイヤーハーネスWの中間部分における外周面を支持するための支持板部46が、ベース側筒部44と内側湾曲板部45とを連結するように両者に一体に設けられている。
図8及び
図9にも示すように、支持板部46は、ベース側筒部44における停止溝44cの右側の縁部から、内側湾曲板部45における阻止溝45cの前側の縁部まで延びている。
図6に示すように、支持板部46は、車幅方向内側から見ると略扇形の形状となっており、支持板部46における後側下方に位置する縁部は、円弧状に湾曲している湾曲縁部461である。また、支持板部46は、略上下方向に延びており、後述するように、ワイヤーハーネスWが停止溝44c及び阻止溝45cに組み付けられた状態にあるときに、支持板部46がワイヤーハーネスWの外周面に対して右側から対向するように配置されることになる。
【0047】
図7に示すように、支持板部46の後側の縁部には、ワイヤーハーネスWの中間部分に係合する係合部462が、停止溝44cの内側(左側)へ突出する凸部として設けられている。係合部462は、停止溝44cに完全に挿入されたワイヤーハーネスWの中間部分の外周面に接触してワイヤーハーネスWの中間部分が停止溝44c側から筒部側挿入溝44b側へ移動するのを抑制するストッパとして機能する。
【0048】
図1及び
図2に示すように、ベース4のドア固定部41の右側には、弾性部材からなるシール材5が、ベース4とフロントドアDとの間に介在するように配設されている。シール材5は、ドア固定部41に沿う形状とされている。すなわち、シール材5は、ドア固定部41の外側環状板部43の突出方向先端部が嵌まるように形成されており、シール材5をドア固定部41に装着した状態で、外側環状板部43がシール材5に覆われるようになっている。また、
図1に示すように、シール材5の左側の面には、ドア固定部41のベース側筒部44を収容するための筒部収容凹部51が、左側が開放された円形凹部として形成されている。この筒部収容凹部51の下側には、上記停止溝44c及び阻止溝45cに組み付けられたワイヤーハーネスWを挿入方向奥側(左側)へと押し付ける押付突起511が、左側へと突出するように設けられている。
【0049】
図2に示すように、シール材5には、車両用ドアミラー1をフロントドアDに締結固定するためのボルトBが挿通されるボルト挿通孔50aが形成されている。また、シール材5には、ワイヤーハーネスWが挿通される弾性筒部52が、シール材5の中央部近傍から右側へ突出するように形成されている。弾性筒部52は、
図6に示すベース4のベース側筒部44の中心部近傍に対応する位置にある。
【0050】
この車両用ドアミラー1において、ワイヤーハーネスWは、
図4及び
図8等に示すように、ベース4の下側から上方に向かって延びるように配設された後、阻止溝45c及び停止溝44cを通るように配設される。そして、ベース側筒部44の中心部近傍において右側(車幅方向内側)へ屈曲し、シール材5の弾性筒部52(
図2に示す)を通ることになる。弾性筒部52から突出したワイヤーハーネスWの先端側は、
図3に示すように、フロントドアDの引き込み孔D4からフロントドアDの内部に導入された後、下方へ延びるように配設される。フロントドアDの引き込み孔D4は、シール材5の弾性筒部52が挿入可能となるように配置されている。
【0051】
次に、上記のように構成された車両用ドアミラー1の製造要領について説明する。
【0052】
まず、ミラーハウジング3側から延びているワイヤーハーネスWの中間部分を、ドア固定部41(
図5等に示す)の右側に配設した後、
図9に示すように、ベース側筒部44の筒部側挿入溝44b及び内側湾曲板部45の板部側挿入溝45bに挿入する。このとき、
図9(b)に示すように、板部側組付溝45aにおけるワイヤーハーネスWの挿入方向手前側(板部側挿入溝45b側)は、支持板部46の湾曲縁部461から離れるように屈曲しているため、支持板部46がワイヤーハーネスWの挿入の邪魔になりにくい。また、
図9(a)に示すように、支持板部46における後側下方に位置する湾曲縁部461は円弧状に湾曲しているため、湾曲縁部461にワイヤーハーネスWが引っかかりにくい。したがってワイヤーハーネスWの挿入作業性は良好である。
【0053】
そして、ワイヤーハーネスWの中間部分を筒部側挿入溝44b及び板部側挿入溝45bから前側、すなわち、停止溝44c及び阻止溝45cへの挿入方向に押すと、
図10に示すように、ワイヤーハーネスWが係合部462(
図10(b)に示す)を乗り越え、停止溝44c及び阻止溝45cに挿入されて停止状態とされる。この状態では、例えばワイヤーハーネスWに対して先端部から引張力が作用しても、ワイヤーハーネスWの中間部分における外周面は支持板部46及び阻止溝45cの縁部に当接して支持されるため、ワイヤーハーネスWの中間部分は停止溝44c内において停止状態で保たれる。したがって、引張力が作用したワイヤーハーネスWがベース4から外れるのを抑制できる。
【0054】
このとき、
図10に示すように、支持板部46は停止溝44cの縁部と阻止溝45cの縁部とを連結しており、ベース側筒部44、内側湾曲板部45及び支持板部46が一体化しているため、ワイヤーハーネスWに対して先端部から引張力が作用しても、この引張力はワイヤーハーネスWを介してベース側筒部44、内側湾曲板部45及び支持板部46に分散して作用する。したがって、このときの引張力によるベース側筒部44、内側湾曲板部45及び支持板部46の破損が抑制される。また、支持板部46はワイヤーハーネスWの外周面に対向するように配置されているため、ワイヤーハーネスWに対して先端部から引張力が作用すると、ワイヤーハーネスWの外周面に対して支持板部46の左側の面が広い範囲で接触する。したがって、ワイヤーハーネスWに対してベース4からの外力が局所的に作用することはなく、広い範囲に分散されるため、ワイヤーハーネスWに傷が付くことも抑制できる。
【0055】
以上説明したように、この実施形態に係る車両用ドアミラー1によれば、ベース4に支持板部46を設けたので、ワイヤーハーネスWに引張力が作用した場合にワイヤーハーネスWを支持しているベース4の破損を抑制できるとともに、ワイヤーハーネスWに傷が付くことも抑制できる。
【0056】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、停止溝44cが筒部側挿入溝44bに対して略直角に交わるように形成されているが、これに限らず、筒部側挿入溝44bと停止溝44cとの交差角度は任意に設定することができる。
【0057】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。