特開2015-209185(P2015-209185A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209185(P2015-209185A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】天井走行車用ストッパ
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/06 20060101AFI20151027BHJP
   B61B 3/02 20060101ALI20151027BHJP
   B66C 7/16 20060101ALI20151027BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   B61B13/06 H
   B61B3/02 C
   B66C7/16
   B66C15/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-93985(P2014-93985)
(22)【出願日】2014年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】深谷 師康
(72)【発明者】
【氏名】山本 太郎
【テーマコード(参考)】
3F202
3F204
【Fターム(参考)】
3F202CA03
3F202CD05
3F204AA01
3F204CA05
3F204FB18
3F204FC08
3F204FD03
(57)【要約】
【課題】走行レールに対する着脱作業の効率を維持しつつ、十分な強度を確保することができる天井走行車用ストッパを提供する。
【解決手段】天井走行車用ストッパ1は、天井走行車50が走行する走行レール60に対して着脱可能であり、走行レール60に取り付けられた状態において、天井走行車50に設けられた光センサ装置51に検出させることで天井走行車50を停止させる。天井走行車用ストッパ1は、走行レール60に対して着脱可能であり、走行レール60に取り付けられた状態において、検出部によって検出される被検出部11を有するストッパ本体10と、走行レール60に対して着脱可能であり、走行レール60に取り付けられた状態において、ストッパ本体10と連結されるストッパ補強体20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井走行車が走行する走行レールに対して着脱可能であり、前記走行レールに取り付けられた状態において、前記天井走行車に設けられた検出部に検出させることで前記天井走行車を停止させる天井走行車用ストッパであって、
前記走行レールに対して着脱可能であり、前記走行レールに取り付けられた状態において、前記検出部によって検出される被検出部を有するストッパ本体と、
前記走行レールに対して着脱可能であり、前記走行レールに取り付けられた状態において、前記ストッパ本体と連結されるストッパ補強体と、を備える、天井走行車用ストッパ。
【請求項2】
前記ストッパ本体及び前記ストッパ補強体は、前記走行レールのうち前記天井走行車が走行する走行部分以外の部分に設けられたブラケットに対して着脱可能となっている、請求項1記載の天井走行車用ストッパ。
【請求項3】
前記ストッパ本体及び前記ストッパ補強体が前記走行レールに取り付けられた状態において、前記ストッパ本体と前記ストッパ補強体との連結の解除を規制する連結錠を更に備える、請求項1又は2記載の天井走行車用ストッパ。
【請求項4】
前記ストッパ本体は、
前記走行レールに対して着脱可能である第1棒状部材と、
一端部が前記第1棒状部材に固定され、前記被検出部が取り付けられた第1梁状部材と、を更に有し、
前記ストッパ補強体は、
前記走行レールに対して着脱可能である第2棒状部材と、
一端部が前記第2棒状部材に固定され、前記走行レールに取り付けられた状態において、他端部が前記第1梁状部材の他端部に連結される第2梁状部材と、を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の天井走行車用ストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井走行車用ストッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井走行車用ストッパとして、天井走行車が走行する走行レールに対して着脱可能であり、走行レールに取り付けられた状態において、天井走行車に設けられた検出部に検出させることで天井走行車を停止させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4465418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような天井走行車用ストッパは、検出部に検出させることで天井走行車を停止させることができなかった場合に備えて、衝突した天井走行車を停止させるのに十分な強度を確保する必要がある。しかしながら、十分な強度を確保することで天井走行車用ストッパの重量が増加してしまうと、作業者が走行レールに対して天井走行車用ストッパを着脱し難くなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、走行レールに対する着脱作業の効率を維持しつつ、十分な強度を確保することができる天井走行車用ストッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の天井走行車用ストッパは、天井走行車が走行する走行レールに対して着脱可能であり、走行レールに取り付けられた状態において、天井走行車に設けられた検出部に検出させることで天井走行車を停止させる天井走行車用ストッパであって、走行レールに対して着脱可能であり、走行レールに取り付けられた状態において、検出部によって検出される被検出部を有するストッパ本体と、走行レールに対して着脱可能であり、走行レールに取り付けられた状態において、ストッパ本体と連結されるストッパ補強体と、を備える。
【0007】
この天井走行車用ストッパでは、ストッパ補強体が、走行レールに取り付けられた状態において、ストッパ本体と連結される。これにより、作業者は、ストッパ本体とストッパ補強体とを別々に取り扱うことができるため、走行レールに対してストッパ本体及びストッパ補強体を容易に着脱することができる。一方で、走行レールに取り付けられた状態においては、ストッパ本体とストッパ補強体とが連結されているので、天井走行車用ストッパの全体の強度を十分に確保することができる。従って、この天井走行車用ストッパによれば、走行レールに対する着脱作業の効率を維持しつつ、十分な強度を確保することができる。
【0008】
本発明の天井走行車用ストッパでは、ストッパ本体及びストッパ補強体は、走行レールのうち天井走行車が走行する走行部分以外の部分に設けられたブラケットに対して着脱可能となっていてもよい。この構成によれば、天井走行車が天井走行車用ストッパに衝突したとしても、走行レールの走行部分が損傷するのを抑制することができる。
【0009】
本発明の天井走行車用ストッパは、ストッパ本体及びストッパ補強体が走行レールに取り付けられた状態において、ストッパ本体とストッパ補強体との連結の解除を規制する連結錠を更に備えていてもよい。この構成によれば、例えば、走行レールに天井走行車用ストッパを取り付けた作業者以外の作業者が誤って走行レールから天井走行車用ストッパを取り外すのを防止することができる。
【0010】
本発明の天井走行車用ストッパでは、ストッパ本体は、走行レールに対して着脱可能である第1棒状部材と、一端部が第1棒状部材に固定され、被検出部が取り付けられた第1梁状部材と、を更に有し、ストッパ補強体は、走行レールに対して着脱可能である第2棒状部材と、一端部が第2棒状部材に固定され、走行レールに取り付けられた状態において、他端部が第1梁状部材の他端部に連結される第2梁状部材と、を有していてもよい。この構成によれば、棒状部材及び梁状部材という汎用的な部材によってストッパ本体及びストッパ補強体を構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走行レールに対する着脱作業の効率を維持しつつ、十分な強度を確保することができる天井走行車用ストッパを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の天井走行車用ストッパが適用された搬送システムの斜視図である。
図2図1の走行レールに設けられたブラケットの斜視図である。
図3図1の天井走行車用ストッパのストッパ本体の斜視図である。
図4図1の天井走行車用ストッパのストッパ補強体の斜視図である。
図5図1の天井走行車用ストッパの連結錠の斜視図である。
図6図1のストッパ本体とストッパ補強体とが連結した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に示されるように、搬送システム100は、走行レール60と、天井走行車50と、を備えている。走行レール60は、例えば、半導体デバイスが製造されるクリーンルーム内の天井付近に敷設されている。天井走行車50は、走行レール60に沿って走行し、例えば、複数枚の半導体ウェハが収容されたカセット(いわゆるFOUP(Front Opening Unified Pod))を被搬送物として搬送すると共に、半導体ウェハに各種処理を施す処理装置に設けられたロードポート等において被搬送物の移載を行う。
【0015】
天井走行車用ストッパ1は、天井走行車50が走行する走行レール60に対して着脱可能であり、走行レール60に取り付けられた状態において、天井走行車50に設けられた検出部に検出させることで天井走行車50を停止させるものである。天井走行車用ストッパ1は、走行レール60等の保守又は点検を行うために、天井走行車50の走行を一時的に停止させるものである。
【0016】
天井走行車50の走行方向(Y方向)の前面には、光センサ装置(検出部)51が取り付けられている。光センサ装置51は、光射出部51aと、受光部51bと、を有している。光射出部51aは、走行方向の前方に向けて検出光Lを射出する。受光部51bは、走行方向の前方で反射された検出光Lを受光する。天井走行車50は、光センサ装置51の光射出部51aから検出光Lを射出しながら走行する。この天井走行車50の走行方向の前方に障害物が存在する場合、検出光Lが障害物によって反射され、その反射光が受光部51bに受光される。これにより、天井走行車50の前方に障害物が存在するか否かを判断することができると共に、天井走行車50と障害物との距離を算出することができる。天井走行車50は、障害物との距離が所定値以下になった場合に、減速又は停止するようになっている。
【0017】
天井走行車50には、全周に亘って接触式スイッチ(検出部)52が取り付けられている。接触式スイッチ52は、隙間を空けて二重に巻き付けられたテープ状の外側スイッチ52aと、外部から外側スイッチ52aが内側に押し付けられ際に、外側スイッチ52aと接触されることで作動する内側スイッチ(不図示)と、を有している。接触式スイッチ52の外側スイッチ52aは、天井走行車50の側面より突出している。この接触式スイッチ52が作動すると、天井走行車50は停止する。
【0018】
走行レール60は、断面矩形状の部材であって、走行方向に延びている。天井走行車50は、走行レール60の内側に沿って走行する。走行レール60には、図2に示されるように、天井走行車50の走行方向に沿ってブラケット61,62がそれぞれ設けられている。ブラケット61,62は、走行レール60のうち天井走行車50が走行する走行部分以外の部分60a,60bに設けられている。部分60aは、走行レール60の外側の側面である。部分60bは、部分60aの端部から直交方向に延びる外側の上面である。ストッパ本体10は、ブラケット61に対して着脱可能となっており、ストッパ補強体20は、ブラケット62に対して着脱可能となっている。ブラケット61及びブラケット62は同一の構成となっているため、以下では、ブラケット61の構成のみを説明し、ブラケット62の構成の説明は省略する。
【0019】
ブラケット61は、走行レール60に対して固定された固定板61aと、ストッパ本体10を保持する上ガイド板61b及び下ガイド板61cと、ストッパ本体10が所定以上に天井W側へ移動しないように規制する規制板61dと、を有している。
【0020】
固定板61aは、走行レール60の走行部分以外の部分60a,60bに沿うような形状で走行レール60に対して当接すると共に固定されている。固定板61aは、走行レール60に固定された面と反対側の面に、上ガイド板61b及び下ガイド板61cを保持する保持部61i,61jを有している。保持部61i,61jは、後述する上ガイド板61b及び下ガイド板61cの孔部61e,61fを遮らないように位置している。
【0021】
上ガイド板61b及び下ガイド板61cは、その面が略水平となるように固定板61aの保持部61i,61jに保持され、固定板61aに固定されている。上ガイド板61b及び下ガイド板61cは、天井Wに向かう方向(Z方向)に沿って並べられており、略水平の面が互いに対向している。上ガイド板61bは、下ガイド板61cよりも天井W側に位置している。上ガイド板61bの略水平の面には、上ガイド板61bを貫通する孔部61eが設けられている。孔部61eの孔形状は、丸孔の両側にそれぞれ切り欠きが加えられた形状となっている。更に、上ガイド板61bの略水平の面のうち天井W側の上面61hには、後述するストッパ本体10の落下防止ピン12bと係合するように窪み形状の係合部61gが設けられている。下ガイド板61cの略水平の面には、下ガイド板61cを貫通する孔部61fが設けられている。孔部61fの孔形状は、孔部61eと同様、丸孔の両側にそれぞれ切り欠きが加えられた形状となっている。上ガイド板61b及び下ガイド板61cの各孔部61e,61fに形成された切欠き部分は、天井W側からみたときに、互いの位相が異なるように、例えば約45度ずれて形成されている。
【0022】
規制板61dは、一面が上ガイド板61bの上面61hと対向するように配置され、固定板61aに対して固定されている。規制板61dの当該一面は、ストッパ本体10が所定の位置よりも天井W側に移動しないようにストッパ本体10の丸棒12aの先端部と当接する。
【0023】
次に、天井走行車用ストッパ1の構成を説明する。図1に示されるように、天井走行車用ストッパ1は、走行レール60に対して着脱可能なストッパ本体10と、走行レール60に対して着脱可能であり、走行レール60に取り付けられた状態において、ストッパ本体10と連結されるストッパ補強体20と、ストッパ本体10及びストッパ補強体20が走行レール60に取り付けられた状態において、ストッパ本体10とストッパ補強体20との連結の解除を規制する連結錠30と、を備えている。
【0024】
図3に示されるように、ストッパ本体10は、走行レール60に取り付けられた状態において光センサ装置51によって検出される被検出部11と、ブラケット61を介して走行レール60に対して着脱可能である第1棒状部材12と、一端部が第1棒状部材12に固定され、被検出部11が取り付けられた第1梁状部材13と、を有している。
【0025】
被検出部11は、平面視で矩形状を呈する板部材で形成されており、例えばプラスチック等の軽量な材料を用いて形成されている。被検出部11の被検出面11aの寸法は、光センサ装置51から射出される検出光Lの広がり幅に対応している。被検出部11の少なくとも一部は、ストッパ本体10が走行レール60に取り付けられた状態において、天井走行車50の走行領域内に位置している。また、被検出面11aは、ストッパ本体10が走行レール60に取り付けられた状態において、天井走行車50の走行方向に対して直交している。
【0026】
第1棒状部材12は、丸棒12aと、丸棒12aの一端部に配置される共に丸棒12aの外周面から突出するように丸棒12aの孔部12cに挿入された落下防止ピン12bと、を有している。丸棒12aは、例えばアルミニウム等の材料を用いて形成されている。落下防止ピン12bは、ストッパ本体10を保持する強度を有すると共に、丸棒12aの外径よりも長くなっている。丸棒12aの他端部は、作業者が持ちやすいような形状であればよい。
【0027】
第1梁状部材13は、被検出部11が取り付けられる細長い底板13bと、底板13bの両側端から立設され且つ互いに対向する側板13c,13dと、を有している。第1梁状部材13の一端部は、側板13c,13dによって丸棒12aに固定されており、第1梁状部材13の他端部は、丸棒12aと直交する方向に延びている。他端部のうち側板13dの部分には、ストッパ補強体20と連結できるようにピン部13aが形成されている。ピン部13aは、天板と直交する方向に突出しており、先端の外径がわずかに大きくなっている。なお、ピン部13aは、側板13dの内側に突出するように形成してもよい。被検出部11は、その上部が底板13bに取り付けられる。第1梁状部材13は、例えば、板金に曲げ加工を施すことによって形成してもよい。
【0028】
図4に示されるように、ストッパ補強体20は、ブラケット62を介して走行レール60に対して着脱可能である第2棒状部材21と、一端部が第2棒状部材21に固定され、走行レール60に取り付けられた状態において、他端部が第1梁状部材13の他端部に連結される第2梁状部材22と、を有している。
【0029】
第2棒状部材21は、丸棒21aと、丸棒21aの一端部に配置される共に丸棒21aの外周面から突出するように丸棒21aの孔部21cに挿入された落下防止ピン21bと、を有している。第2棒状部材21は、第1棒状部材12と同様の構成となっている。丸棒21aは、例えばアルミニウム等の材料を用いて形成されている。落下防止ピン21bは、ストッパ補強体20を保持する強度を有すると共に、丸棒21aの外径よりも長くなっている。丸棒21aの他端部は、作業者が持ちやすいような形状であればよい。
【0030】
第2梁状部材22は、細長い天板22bと、天板22bと共に平面視でL字状を呈するように天板22bの一側端から立設された側板22cと、を有している。第2梁状部材22の一端部は、天板22bによって丸棒21aに固定されており、第2梁状部材22の他端部は、丸棒21aと直交する方向に延びている。第2梁状部材22の他端部のうち天板22bの部分には、ストッパ補強体20と連結するように孔部22aが形成されている。
第2梁状部材22は、例えば、板金に曲げ加工を施すことによって形成してもよい。
【0031】
図5に示されるように、連結錠30は、ストッパ本体10の第1棒状部材12に固定される第1継手部31と、ストッパ補強体20の第2棒状部材21に固定される第2継手部32と、第1継手部31と第2継手部32とを連結する錠部33とを、有している。
【0032】
第1継手部31は、第1棒状部材12の丸棒12aの外周面と内側で当接する円筒部31aと、円筒部31aの外周面から突出する突出部31bと、を有している。第1継手部31の円筒部31aは、第1棒状部材12の丸棒12aの長手方向において、作業者の手の届く位置に配置されると共に、丸棒12aに対して固定されている。突出部31bの先端部には、孔部31cが形成されている。
【0033】
第2継手部32は、第2棒状部材21の丸棒21aの外周面と内側で当接する円筒部32aと、円筒部32aの外周面から突出する突出部32bと、を有している。第2継手部32の円筒部32aは、第2棒状部材21の丸棒21aの長手方向において、作業者の手の届く位置に配置されると共に、丸棒21aに対して固定されている。第2継手部32は、第1継手部31に対して対向するように位置している。突出部32bの先端部には、孔部32cが形成されている。また、突出部32bの突出長さは、ストッパ本体10及びストッパ補強体20が走行レール60に取り付けられた状態において、第1継手部31の孔部31cに対して第2継手部32の孔部32cが重なり合う程度の長さを必要とする。
【0034】
錠部33は、第1継手部31の孔部31cと第2継手部の孔部32cとが所定の間隔以上離れないようにロックする。例えば、錠部33は、工場内で作業者を守る目的で装置をロックアウト/タグアウトする際に用いられる掛け金等であってもよい。
【0035】
上述したような天井走行車用ストッパ1を走行レール60に取り付ける場合の操作の一例を図2図6を用いて説明する。なお、ブラケット61,62は、走行レール60の走行方向に対して、所定の間隔ごとにあらかじめ設けられている。
【0036】
図2に示されるように、作業者は、ストッパ補強体20の第2棒状部材21をブラケット62の下ガイド板62cの孔部62dに挿入する。このとき、孔部62dの切欠き部分と第2棒状部材21の落下防止ピン21bとの位置が、重なり合うように挿入する。これにより、第2棒状部材21の先端部は、下ガイド板62cを通過して上ガイド板62bに突き当たる。このとき、下ガイド板62cの孔部62dの切欠き部分と、上ガイド板62bの孔部62eの切欠き部分との位相がずれているため、作業者は、第2棒状部材21を回しながら、上ガイド板62bに突き当てる必要がある。第2棒状部材21を回転させることで、落下防止ピン21bと孔部62eの切欠き部分とが重なり合うと、第2棒状部材21の先端は、上ガイド板62bを通過する。上ガイド板62bを通過した後に、第2棒状部材21を更に回転させ、上ガイド板62bの上面62fに形成された窪み形状の係合部62gに対して第2棒状部材21の落下防止ピン21bを係合させる。以上の手順によって、ストッパ補強体20は、ブラケット62を介して走行レール60に取り付けられる。なお、孔部62d,62eの切欠き部分の位相がずれているため、仮に、上ガイド板62bから第2棒状部材21が抜けたとしても、下ガイド板62cによりストッパ補強体20の落下を防止することができる。ストッパ本体10においても、上記のストッパ補強体20と同様の手順で、走行レール60に取り付けられる。
【0037】
ストッパ本体10が走行レール60に取り付けられたのちに、図3図4図6に示されるように、第2梁状部材22の他端部に形成された孔部22aに対して、第1梁状部材13の他端部に形成されたピン部13aを挿入する。これにより、ストッパ本体10とストッパ補強体20とが連結される。ピン部13aの先端部は、外径がわずかに大きくなっており、孔部22aがピン部13aから抜けることを抑制している。
【0038】
その後、図5に示されるように、連結錠30の第1継手部31及び第2継手部32に設けられた各孔部31c,32cを重なり合わせ、錠部33によって各孔部31c,32cを連結する。
【0039】
ストッパ本体10及びストッパ補強体20を走行レール60から取り外す場合は、上記の取り付け作業とは逆の手順を行う。
【0040】
以上、説明したように、天井走行車用ストッパ1では、ストッパ補強体20が、走行レール60に取り付けられた状態において、ストッパ本体10と連結される。これにより、作業者は、ストッパ本体10とストッパ補強体20とを別々に取り扱うことができるため、走行レール60に対してストッパ本体10及びストッパ補強体20を容易に着脱することができる。一方で、走行レール60に取り付けられた状態においては、ストッパ本体10とストッパ補強体20とが連結されるので、天井走行車用ストッパ1の全体の強度が十分に確保できる。従って、天井走行車用ストッパ1によれば、走行レール60に対する着脱作業の効率を維持しつつ、十分な強度を確保することができる。
【0041】
また、天井走行車用ストッパ1では、ストッパ本体10及びストッパ補強体20は、走行レール60のうち天井走行車50が走行する走行部分以外の部分に設けられたブラケット61,62に対して着脱可能となっている。これにより、天井走行車50が天井走行車用ストッパ1に衝突したとしても、走行レール60の走行部分が損傷するのを抑制することができる。また、ストッパ本体10及びストッパ補強体20が着脱されるブラケット61,62が、天井走行車50の走行を遮ることを抑制することができる。
【0042】
また、天井走行車用ストッパ1は、ストッパ本体10及びストッパ補強体20が走行レール60に取り付けられた状態において、ストッパ本体10とストッパ補強体20との連結の解除を規制する連結錠30を備えている。これにより、例えば、走行レール60に天井走行車用ストッパ1を取り付けた作業者以外の作業者が誤って走行レール60から天井走行車用ストッパ1を取り外すのを防止することができる。
【0043】
また、天井走行車用ストッパ1では、ストッパ本体10は、走行レール60に対して着脱可能である第1棒状部材12と、一端部が第1棒状部材12に固定され、被検出部11が取り付けられた第1梁状部材13と、を有し、ストッパ補強体20は、走行レール60に対して着脱可能である第2棒状部材21と、一端部が第2棒状部材21に固定され、走行レール60に取り付けられた状態において、他端部が第1梁状部材13の他端部に連結される第2梁状部材22と、を有している。この構成によれば、棒状部材及び梁状部材という汎用的な部材によってストッパ本体10及びストッパ補強体20を構成することができる。また、天井走行車用ストッパ1は、棒状部材及び梁状部材という入手容易な部材を用いるため、低コストで構成することができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形形態に限定されない。例えば、走行レール60に対するストッパ本体10及びストッパ補強体20の着脱位置は、本実施形態で説明した着脱位置と走行レール60を挟んで対向する側にあってもよい。また、ストッパ補強体20の着脱位置のみを、対向する側に設けてもよい。また、複数のブラケットを走行レール60に設ける必要はなく、例えば単一のブラケットに対してストッパ本体10及びストッパ補強体20が着脱可能となっていてもよい。また、本実施形態では、検出部として、光センサ装置51及び接触式スイッチ52の両方を用いているが、いずれか一方でもよい。
【0045】
また、天井走行車用ストッパ1は、半導体デバイスを製造するためのクリーンルームに設置された走行レール60に着脱される場合に限定されない。そして、天井走行車用ストッパ1の構成部材の材料及び形状は、上述されるような材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…天井走行車用ストッパ、10…ストッパ本体、11…被検出部、12…第1棒状部材、13…第1梁状部材、20…ストッパ補強体、21…第2棒状部材、22…第2梁状部材、30…連結錠、50…天井走行車、51…光センサ装置(検出部)、52…接触式スイッチ(検出部)、60…走行レール、61,62…ブラケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6