特開2015-209189(P2015-209189A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209189(P2015-209189A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20151027BHJP
   B60C 11/04 20060101ALI20151027BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20151027BHJP
   B60C 11/01 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   B60C11/12 D
   B60C11/06 B
   B60C11/04 H
   B60C11/01 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-94058(P2014-94058)
(22)【出願日】2014年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 皓一朗
(57)【要約】
【課題】ウエット性能と操縦安定性とをより高いレベルで両立させる。
【解決手段】ショルダー主溝とクラウン主溝とに区分されるミドルリブショルダーリブとを具える。ショルダーリブは、接地端側からタイヤ軸方向内側にのびるショルダーラグ溝と、ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびるショルダーサイプとを具える。
ミドルリブは、ラグ溝を具えず、ショルダー主溝からタイヤ軸方向内側にのびる外のミドルサイプと、クラウン主溝からタイヤ軸方向外側にのびる内のミドルサイプとを具える。ミドルリブの踏面とショルダー主溝の溝壁面とのコーナ部に、外のミドルサイプからのびる三角形状の面取り部を具える。外のミドルサイプは、ショルダーサイプの仮想延長線に沿いかつ仮想延長線からの周方向距離が5mm以下である。ショルダーサイプ、外のミドルサイプ、ショルダーラグ溝の内ラグ溝部は周方向に対する角度が70〜80度である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、接地端側でタイヤ周方向にのびる一対のショルダー主溝と、各ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびるクラウン主溝と、前記クラウン主溝と前記ショルダー主溝との間に配される一対のミドルリブと、前記ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側に配される一対のショルダーリブとを具える空気入りタイヤであって、
前記ショルダーリブは、前記接地端を横切ってタイヤ軸方向内側にのびかつ内端が前記ショルダー主溝に達することなく途切れるショルダーラグ溝と、前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ外端が接地端に達することなく途切れるショルダーサイプとを具え、
前記ミドルリブは、ラグ溝を具えず、しかも前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向内側にのびかつ内端がクラウン主溝に達することなく途切れる外のミドルサイプと、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ外端がショルダー主溝に達することなく途切れる内のミドルサイプとを具え、
前記ミドルリブの踏面とショルダー主溝の溝壁面とが交わるコーナ部に、前記外のミドルサイプからタイヤ周方向にのびる三角形状の面取り部が設けられ、かつ該面取り部の周方向長さを、前記外のミドルサイプの周方向長さよりも大とするとともに、
前記外のミドルサイプは、前記ショルダーサイプをタイヤ軸方向内側に延長した仮想延長線からの周方向距離が5mm以下の範囲で該仮想延長線に沿ってのび、
しかも前記ショルダーサイプと外のミドルサイプとは、タイヤ周方向に対する角度がそれぞれ70〜80度、かつ前記ショルダーラグ溝は、内端側にタイヤ周方向に対する角度が70〜80度の内ラグ溝部を含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記外のミドルサイプのタイヤ軸方向内端は、前記内のミドルサイプのタイヤ軸方向外端よりも、タイヤ軸方向外側に位置することを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ショルダーラグ溝は、前記内ラグ溝部と、この内ラグ溝部からタイヤ軸方向外側にのびかつタイヤ周方向に対する角度が前記内ラグ溝部よりも大きい外ラグ溝部とを具えるとともに、前記ショルダーサイプのタイヤ軸方向外端は、外ラグ溝部のタイヤ軸方向内側で途切れることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエット性能とドライ路面での操縦安定性(以下単に操縦安定性という場合がある。)とをより高いレベルで両立させうる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
操縦安定性を向上させた空気入りタイヤとして、下記特許文献1に記載のものが知られている。このタイヤでは、図5に示すように、ショルダー主溝aとクラウン主溝bとによって区分されたショルダー陸部rsとミドル陸部rmとが、タイヤ周方向に連続するリブとして形成される。そのため、パターン剛性が高まり、操縦安定性を向上させることができる。
【0003】
又ショルダー陸部rsでは、接地端Te側からのびるショルダーラグ溝cと、ショルダー主溝aからのびるショルダーサイプssとが周方向に交互に配され、かつ前記ショルダーラグ溝cの内端とショルダーサイプssの外端とが、それぞれショルダー陸部rs内で途切れている。又ミドル陸部rmでは、ショルダー主溝aからのびる外のミドルサイプms1と、クラウン主溝bからのびる内のミドルサイプms2とが周方向に交互に配され、かつ前記外のミドルサイプms1の内端と内のミドルサイプms2の外端とが、それぞれミドル陸部rm内で途切れている。そのため、前記パターン剛性を高く維持しながら、排水性を発揮してウエット性能を確保することができる。
【0004】
しかし近年、車両の高性能化に伴い、ウエット性能と操縦安定性とのさらなる向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−17001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで発明は、ウエット性能と操縦安定性とをより高いレベルで両立させうる空気入りタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トレッド部に、接地端側でタイヤ周方向にのびる一対のショルダー主溝と、各ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびるクラウン主溝と、前記クラウン主溝と前記ショルダー主溝との間に配される一対のミドルリブと、前記ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側に配される一対のショルダーリブとを具える空気入りタイヤであって、
前記ショルダーリブは、前記接地端を横切ってタイヤ軸方向内側にのびかつ内端が前記ショルダー主溝に達することなく途切れるショルダーラグ溝と、前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ外端が接地端に達することなく途切れるショルダーサイプとを具え、
前記ミドルリブは、ラグ溝を具えず、しかも前記ショルダー主溝からタイヤ軸方向内側にのびかつ内端がクラウン主溝に達することなく途切れる外のミドルサイプと、前記クラウン主溝からタイヤ軸方向外側にのびかつ外端がショルダー主溝に達することなく途切れる内のミドルサイプとを具え、
前記ミドルリブの踏面とショルダー主溝の溝壁面とが交わるコーナ部に、前記外のミドルサイプからタイヤ周方向にのびる三角形状の面取り部が設けられ、かつ該面取り部の周方向長さを、前記外のミドルサイプの周方向長さよりも大とするとともに、
前記外のミドルサイプは、前記ショルダーサイプをタイヤ軸方向内側に延長した仮想延長線からの周方向距離が5mm以下の範囲で該仮想延長線に沿ってのび、
しかも前記ショルダーサイプと外のミドルサイプとは、タイヤ周方向に対する角度がそれぞれ70〜80度、かつ前記ショルダーラグ溝は、内端側にタイヤ周方向に対する角度が70〜80度の内ラグ溝部を含むことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、前記外のミドルサイプのタイヤ軸方向内端は、前記内のミドルサイプのタイヤ軸方向外端よりも、タイヤ軸方向外側に位置することが好ましい。
【0009】
本発明に係る前記空気入りタイヤでは、前記ショルダーラグ溝は、前記内ラグ溝部と、この内ラグ溝部からタイヤ軸方向外側にのびかつタイヤ周方向に対する角度が前記内ラグ溝部よりも大きい外ラグ溝部とを具えるとともに、前記ショルダーサイプのタイヤ軸方向外端は、外ラグ溝部のタイヤ軸方向内側で途切れることが好ましい。
【0010】
本発明において「サイプ」は、溝巾1.5mm以下の切り込み状或いは極細の溝を意味し、接地に際して溝壁面同士が互いに接触して溝を閉じる。これに対して「ラグ溝」及び「主溝」は、接地に際して溝壁面同士が接触しない巾広の溝を意味し、前記サイプとは区別される。
【0011】
又接地端とは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態のタイヤに正規荷重を負荷した時に接地するトレッド接地面のタイヤ軸方向最外端を意味し、この接地端間のタイヤ軸方向巾を、接地巾と呼ぶ。
【0012】
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ショルダー主溝とクラウン主溝とにより区分されるトレッド部の陸部が、タイヤ周方向に連続するリブ(即ち、ショルダーリブとミドルリブ)として形成される。そのため、パターン剛性が高まり、操縦安定性を向上させることができる。
【0014】
又ショルダーリブでは、接地端側からのびるショルダーラグ溝と、ショルダー主溝からのびるショルダーサイプとが周方向に交互に配され、しかも前記ショルダーラグ溝の内端とショルダーサイプの外端とが、それぞれショルダーリブ内で途切れている。又ミドル陸部では、ショルダー主溝からのびる外のミドルサイプと、クラウン主溝からのびる内のミドルサイプとが周方向に交互に配され、しかも前記外のミドルサイプの内端と内のミドルサイプの外端とが、それぞれミドルリブ内で途切れている。そのため、前記リブパターンによるパターン剛性を高く維持しながら、排水性を発揮してウエット性能を確保することができる。
【0015】
さらに本発明では、外のミドルサイプは、ショルダーサイプの仮想延長線からの周方向距離が5mm以下の範囲で該仮想延長線に沿ってのびる。即ち、外のミドルサイプとショルダーサイプとが、ショルダー主溝を介してほぼ1本に連なるように配される。これにより排水性がより高められる。この場合、1本に連なることにより剛性が低下傾向となるが、この外のミドルサイプからのびる三角形状の面取り部により、この剛性低下が抑制される。
【0016】
前記面取り部は、接地の際、前記外のミドルサイプの開口端側でのゴムの動きを抑える。そのため、外のミドルサイプに起因する剛性低下を抑制する。又面取り部を介して路面の水をショルダー主溝内に導くため、排水性の向上にも役立つ。
【0017】
又ショルダーサイプ、外のミドルサイプ及びショルダーラグの内ラグ溝部において、タイヤ周方向に対する角度をそれぞれ70〜80度の範囲に設定している。これにより、ショルダー側での横剛性を高く維持でき、操縦安定性、特に旋回性能を高めることが可能となる。
【0018】
そしてこのような効果が有機的に結合して発揮される結果、ウエット性能と操縦安定性とをより高いレベルで両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す展開図である。
図2】その部分拡大図である。
図3】面取り部を概念的に示す部分斜視図である。
図4】面取り部を概念的に示す平面図である。
図5】従来タイヤのトレッドパターンの一例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2に、接地端Te側でタイヤ周方向にのびる一対のショルダー主溝4と、各ショルダー主溝4のタイヤ軸方向内側でタイヤ周方向にのびるクラウン主溝3とを具える。これにより、トレッド部2に、クラウン主溝3とショルダー主溝4との間に配される一対のミドルリブ6、及びショルダー主溝4のタイヤ軸方向外側に配される一対のショルダーリブ7が形成される。
【0021】
本例では、2本のクラウン主溝3が設けられ、これによりクラウン主溝3、3間に、タイヤ赤道Co上をのびるセンタリブ5がさらに形成される場合が示される。
【0022】
前記ショルダーリブ7、ミドルリブ6、センタリブ5は、ラグ溝によって複数のブロックに分割されることなくタイヤ周方向に連続してのびるリブ体として形成される。このようなリブ体からなるリブパターンのタイヤは、ブロックパターンのタイヤに比べてパターン剛性が高いため、操縦安定性を向上させることができる。
【0023】
前記クラウン主溝3及びショルダー主溝4は、タイヤ周方向に直線状にのびるストレート溝として形成される。このようなストレート溝は、排水抵抗が小さいためウエット性能を向上させるのに役立つ。特に本例では、図2、3に示すように、ショルダー主溝4のタイヤ軸方向内側の溝壁面4Sが、周方向にのびる平面部8と、溝の内側に向かって小高さで突出するV字状突起部9とからなり、かつ平面部8とV字状突起部9とがタイヤ周方向に交互に繰り返される場合が示される。このV字状突起部9により溝壁面4Sの倒れ込みが抑えられ、高い排水性を維持しながらミドルリブ6の剛性がより高められる。なおV字状突起部9の平面部8からの突出量Jは、ショルダー主溝4の溝巾W4の10〜30%の範囲が好ましい。
【0024】
なおクラウン主溝3及びショルダー主溝4における溝巾W3、W4(溝中心線と直角方向に測定される溝巾であり、他の溝についても同様とする。)及び溝深さについては、慣例に従って種々定めることができる。しかし、ウエット性能と操縦安定性とのバランスから、クラウン主溝3及びショルダー主溝4の各溝巾W3、W4が、それぞれ接地巾TW(図1に示す)の3.0〜6.0%の範囲が好ましく、溝深さは例えば6〜12mmの範囲が好ましい。
【0025】
図2に示すように、前記ショルダーリブ7は、ショルダーラグ溝10とショルダーサイプ11とを具える。ショルダーラグ溝10は、接地端Teを横切ってタイヤ軸方向内側にのび、その内端10Eは、前記ショルダー主溝4に達することなく途切れている。これに対してショルダーサイプ11は、前記ショルダー主溝4からタイヤ軸方向外側にのび、その外端11Eは、接地端Teに達することなく途切れている。なおショルダーラグ溝10とショルダーサイプ11とは、タイヤ周方向に交互に配される。
【0026】
前記ショルダーラグ溝10は、その内端10E側に、タイヤ周方向に対して70〜80度の角度α1で傾く内ラグ溝部10Aを含む。本例のショルダーラグ溝10は、前記内ラグ溝部10Aと、この内ラグ溝部10Aから折れ曲がりタイヤ軸方向外側にのびる外ラグ溝部10Bとから形成される。この外ラグ溝部10Bのタイヤ周方向に対する角度α2は、内ラグ溝部10Aの前記角度α1よりも大に設定される。なおショルダーラグ溝10のタイヤ軸方向の長さL10は、前記接地巾TWの15〜20%の範囲が好ましく、又
ショルダーリブ巾W7の70〜90%の範囲が好ましい。
【0027】
前記ショルダーサイプ11は、内ラグ溝部10Aと傾斜方向が同じであり、かつタイヤ周方向に対する角度α3を70〜80度としている。ショルダーサイプ11の前記外端11Eは、本例では前記内端10Eよりタイヤ軸方向外側、かつ前記外ラグ溝部10Bよりタイヤ軸方向内側で途切れている。即ち、ショルダーサイプ11は、ほぼ同傾斜の内ラグ溝部10Aとのみ周方向で重複している。これにより剛性の局部的な弱所の発生を抑えながら、ショルダーリブ7のほぼ全域に亘り排水性を確保している。
【0028】
又前記ミドルリブ6は、内外のミドルサイプ12、13を具えるが、ラグ溝は具えない。内のミドルサイプ12は、クラウン主溝3からタイヤ軸方向外側にのび、その外端12Eはショルダー主溝4に達することなく途切れている。これに対して外のミドルサイプ13は、ショルダー主溝4からタイヤ軸方向内側にのび、その内端13Eはクラウン主溝3に達することなく途切れている。なお内外のミドルサイプ12、13は、タイヤ周方向に交互に配される。
【0029】
外のミドルサイプ13は、タイヤ周方向に対する角度α4が70〜80度であり、かつショルダーサイプ11とは同方向に傾斜する。なお内のミドルサイプ12の傾斜方向は、外のミドルサイプ13と相違している。なお内のミドルサイプ12のタイヤ周方向に対する角度α5は特に規制されないが、45度以上さらには60度以上が好ましい。
【0030】
本例の場合、外のミドルサイプ13の内端13Eは、内のミドルサイプ12の外端12Eよりもタイヤ軸方向外側に位置する。即ち、内外のミドルサイプ12、13は、タイヤ軸方向内外に間隔Kを隔てて離間し、これによりミドルリブ6の剛性がさらに高められる。
【0031】
又前記ショルダーサイプ11をタイヤ軸方向内側に延長した仮想延長線をXとしたとき、外のミドルサイプ13は、前記仮想延長線Xからの周方向距離Lが5mm以下の範囲で該仮想延長線Xに沿ってのびる。前記距離Lは、好ましくは4mm以下、さらには3mm以下である。これにより、外のミドルサイプ13とショルダーサイプ11とは、ショルダー主溝4を介してほぼ1本に連なるように配される。これにより、排水性が高められるが、1本に連なることにより、剛性の低下傾向となる。しかしこの剛性低下は、後述する面取り部15の形成により抑制される。
【0032】
図3、4に拡大して示すように、本例では、前記外のミドルサイプ13の側壁面13Sと、前記V字状突起部9の一側面9S1とが整一している。
【0033】
又前記ミドルリブ6の踏面6Sとショルダー主溝4の溝壁面4Sとが交わるコーナ部Pに、三角形状の面取り部15が形成される。この面取り部15は、前記外のミドルサイプ13からタイヤ周方向の一方側にのびる第1の面取り部15Aと他方側にのびる第2の面取り部15Bとを含む。
【0034】
本例の第1の面取り部15Aは、前記平面部8と踏面6Sとのコーナ部PAに設けられ、前記平面部8上をのびる下辺A1と、踏面6S上をのびる上辺A2と、ミドルサイプ13の側壁面13S上をのびる側辺A3とで囲む三角形状をなす。
【0035】
又第2の面取り部15Bは、前記前記V字状突起部9と踏面6Sとのコーナ部PBに設けられ、前記V字状突起部9の他側面9S2上をのびる下辺B1と、踏面6S上をのびる上辺B2と、V字状突起部9の一側面9S1(ミドルサイプ13の側壁面13Sに相当する)上をのびる側辺B3とで囲む三角形状をなす。
【0036】
本例では、前記上辺B2はタイヤ周方向に沿ってのびる。又前記上辺A2は他側面9S2と平行にのびる。これにより第1、第2の面取り部15A、15Bは、上面視において略相似形の形状をなす。又本例では、第1、第2の面取り部15A、15Bは、タイヤ周方向に連なっている。しかし第1、第2の面取り部15A、15B間に、面取りされないコーナ部Pが介在しても良い。
【0037】
このような面取り部15は、接地の際、前記外のミドルサイプ13の開口端側でのゴムの動きを抑え、外のミドルサイプ13に起因する剛性低下を抑制する。しかも前記面取り部15を介して路面の水をショルダー主溝4内に導くため、排水性の向上にも役立つ。そのためには、第1、第2の面取り部15A、15Bの周方向長さTA、TBが、それぞれ前記外のミドルサイプ13の周方向長さTよりも大であることが必要である。これを下回ると、面取り部15の前記効果が十分発揮されなくなる。
【0038】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0039】
図1のトレッドパターンを基本パターンとした空気入りタイヤ(235/55R20)の乗用車用空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの操縦安定性(ドライ路面での操縦安定性)とウエット性能とがテストされた。表1に記載以外は実質的に同仕様であり、共通仕様は以下の通りである。
クラウン主溝
・溝巾:10.4mm
・溝深さ:8.1mm
ショルダー主溝
・溝巾:9.6mm
・溝深さ:8.1mm
ショルダーラグ溝
・溝巾:4.5mm
・溝深さ:6.8mm
・タイヤ軸方向長さ/接地巾:17.5%
各サイプの深さ:6.5mm
テスト方法は以下の通りである。
【0040】
(1)操縦安定性:
試供タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、ドライアスファルト路面のテストコースを走行したときの操縦安定性を、ドライバーの官能評価により評価した。結果は、比較例1を100とする指数で示す、数値が大きい程良好である。
リム:7.5J×20
内圧:230kPa
テスト車両:国産FF車(排気量2500cc)
荷重状態:フロント側2名乗車、リア側1名乗車
【0041】
(2)ウエット性能:
前記と同一条件の車両を用い、半径100mのアスファルト路面上に水深5mm、長さ20mの水たまりを設けたテストコースに、速度を段階的に増加させながら進入させ、速度50〜80km/hにおける前輪及び後輪の平均横加速度を測定した。結果は、比較例1を100とする指数で示す、数値が大きい程良好である。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、実施例のタイヤでは、ウエット性能及び操縦安定性に対するポテンシャル全体を引き上げることができ、ウエット性能と操縦安定性とをより高いレベルで両立させうるのか確認できる。
【符号の説明】
【0044】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 クラウン主溝
4 ショルダー主溝
4S 溝壁面
6 ミドルリブ
6S 踏面
7 ショルダーリブ
10 ショルダーラグ溝
10A 内ラグ溝部
10B 外ラグ溝部
11 ショルダーサイプ
12 内のミドルサイプ
13 外のミドルサイプ
15 面取り部
Te 接地端
P コーナ部
X 仮想延長線
図1
図2
図3
図4
図5