【解決手段】噴射操作と連動するステム6およびステムガスケット8などを収容し、内容物の上方向への内側通路域Bを設定するする中央筒状部4bと、この外側に配設されて内容器2の上端側内周面2a,2bと係合する外側筒状部4aと、中央筒状部外周面と外側筒状部内周面との間に複数設定された縦板リブ状部4jと、を備えたハウジング4に、その下側を囲む形でハウジングカバー5(3)を設けた。ハウジングカバー5(3)は、ハウジング4の外周面との間に、内容器2の上端側内部空間域から下方向に内側通路域Bまで続く外側通路域Aを形成する。また、上端側片部5gが、縦板リブ状部4jの隣同士間に設定される個々の上端側内部空間域に入り込んで外側通路域Aの入口部分として作用するので、縦板リブ状部間の残留空気が確実に排出される。
上開口の外容器と、その内側に配設されて噴射対象の内容物を収容する上開口で軟性袋状の内容器との間の空間域に充填した噴射用ガスの作用により、当該内容物が外部空間域に噴射される内外二重容器エアゾール噴射機構において、
前記内容物の噴射操作と連動するバルブ作用部と、
前記バルブ作用部を収容し、前記内容器の上開口の部分に取り付けられて前記内容物の上方向への内側通路域を設定するハウジングと、
前記ハウジングの下側を囲む形で設けられて、当該ハウジングの外周面との間に、前記内容器の内部空間域上端側から下方向に前記内側通路域まで続く外側通路域を形成する、上開口のハウジングカバーと、を備え、
前記外部空間域に噴射される前記内容物は、
前記外側通路域を前記上端側から下方向に移動した後、その下流側の前記内側通路域を上方向に移動して前記バルブ作用部を通過する、
ことを特徴とする内外二重容器エアゾール噴射機構。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜
図7を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
なお、以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば外上端側環状部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば外容器1)の一部であることを示している。
【0023】
図示の内外二重容器エアゾール噴射機構は、大略、
・硬性状の外容器1
・軟性袋状で噴射対象内容物(原液)を収容した内容器2
・噴射用ガスが充填されている与圧空間域3
・バルブ機構(ステム6+コイルスプリング7+ステムガスケット8)
・バルブ機構を保持するハウジング4
・ハウジングカバー5(1)〜5(5)
・ハウジングガスケット9
・二重シール作用の中間カバー体10
・外容器1,内容器2およびハウジング4などに対するカバーキャップ11
の構成要素からなっている。
【0024】
ここで、本発明の内外二重容器エアゾール噴射機構に特徴的な構成要素はハウジングカバー5(1)〜5(5)であり、その他の構成要素はそれぞれ汎用的なものである。
【0025】
ハウジング4,ハウジングカバー5(1)〜5(5),バルブ機構(6,7,8),ハウジングガスケット9,中間カバー体10およびカバーキャップ11の各構成要素は、その全体を一体化した形のバルブユニットVU態様で外容器1および内容器2に組み込まれる。
【0026】
この組込み前のバルブユニットVUにおけるカバーキャップ11の環状垂下部11bはまだクリンチ加工されていない。
【0027】
内容器2の上端側内部空間域からステム通路部6aにいたる内容物噴射経路は、ハウジング4およびハウジングカバー5(1)〜5(5)の間の下方向への外側通路域Aと、その下流側で当該ハウジング内部の上方向への内側通路域Bと、からなっている。
【0028】
なお、エアゾール式製品の組立て製造の手順自体は周知であり、概略、
(21)外容器1の内部に内容器2を初期高さ形状を維持する形で組み込み、その開口上端部分から当該内容器に噴射対象内容物(原液)を入れ、
(22)次に、バルブユニットVUを、外容器1および内容器2の上端周回部分の内外両側に上方から装着して、ハウジング4の外周面と当該内容器の上端側内周面とが係合し、かつ、当該バルブユニットの全体が外容器1から少し上方に離間した状態に設定し、
(23)次に、周知のガス充填装置により、外容器1の上端側外周面とカバーキャップ11の環状垂下部内周面との隙間部分から、未シール状態のハウジングガスケット9の下側部分およびその先の外容器1,内容器2の隙間部分へ、噴射用ガスを充填し、
(24)同じく周知のガス充填装置により、バルブユニットVUを押し下げ、かつ、カバーキャップ11の環状垂下部11bの下端側を内方にクリンチ加工する、
といった作業手順になる。
【0029】
上記(21)の工程で外容器1に組み込まれた内容器2は、その蛇腹状部2cが初期長さのままで上下方向に収縮せずに、かつ、その下端部分が外容器1の底面に当接した起立状態に保持されている。このとき、内容器2の上端部分は、外容器1のそれよりも上方に位置して当該外容器から少し突出した状態になっている。
【0030】
また、上記(24)の工程でバルブユニットVUが押し下げられるとき、内容器2の蛇腹状部2cは上記(21)の初期状態から上下方向に縮み、当該内容器の上端部分も外容器1の中に入り込んだ形(
図1〜
図3,
図5)に移行する。
【0031】
図1乃至
図7において、
Aは内容器2の内部空間域上端側部分から後述の中央下筒状部4dの流入開口部分までの、「後述の外側縦溝状部4h−後述の下向き段部4eと上向き段部5dとの離間部分−当該中央下筒状部の外周面と後述の有底筒状部5aの内周面との離間部分」などからなる外側通路域(上流側通路域),
Bはこの流入開口部分から「後述の中央下筒状部4dの内部空間−後述の縦孔部4k−後述の中央上筒状部4bの内部空間−後述のステム孔部6b」を経てステム通路部6aにいたる内側通路域(下流側通路域),
をそれぞれ示している。
【0032】
また、
1はその内部に後述の内容器2が配設される上開口で硬性状の外容器,
1aは当該外容器の上端側部分であって、ハウジング4などが配設される外上端側環状部,
1bは外上端側環状部1aの下端連続部分に初期形成されている中間環へこみ状部,
2は外容器1の内部に配設されて噴射対象の内容物(原液)を収容する上開口で軟性袋状の内容器,
2aは当該内容器の上端側部分であって、外容器1の外上端側環状部1aとハウジング4の外側筒状部4aとの間に配設保持される内上端側環状部(内容器の上端側内周面),
2bは当該内容器のブロー成型の際に形成されて、外容器1の中間環へこみ状部1bの対向部分に配設される内側環へこみ状部(内容器の上端側内周面),
2cは当該内容器の上側部分に形成されて上下方向に伸縮する蛇腹状部,
3は外容器1と内容器2との間の環状周回部分および底側部分からなり、噴射用ガスが充填された与圧空間域,
をそれぞれ示している。
【0033】
また、
4は従前のマウンティングカップ機能も備えたプラスチック製の一体成形品であり、外容器1および内容器2の上端側に保持されて、周知のバルブ機構(ステム6+コイルスプリング7+ステムガスケット8)を中央筒状部分に収容保持するハウジング,
4aは当該ハウジングの一部であり、その外周面から外方に向かって、内容器2の上端側部分と、外容器1の上端側部分と、カバーキャップ11の環状垂下部11bと、がこの順に、いわば三層状態で配設される外側筒状部,
4bは外側筒状部4aと同一の上下方向中心軸を持ち、ステム6の下側部分およびコイルスプリング7を収容保持する大径の中央上筒状部,
4cは外側筒状部4aと中央上筒状部4bとの間のいわば天板部分として作用する環天井部,
4dは中央上筒状部4bからその下方に連続形成されて、内容器2の噴射対象内容物(原液)の内側通路域Bの入力側として作用し、かつ、本発明では使用しない周知の内容物流入用ディップチューブ(図示省略)が取付け可能な小径の中央下筒状部,
4eは中央下筒状部4dの上端部分と中央上筒状部4bの下端部分との間に連続形成された環状の下向き段部,
4fは外側筒状部4aの上端側外周面に形成されて、後述のハウジングガスケット9の内周面を保持する外側環凹状部,
4gは中央上筒状部4bの内周面に等間隔で飛び飛びに形成された計六個の内容物通過用の内側縦溝状部(内側通路域Bの一部),
4hは中央上筒状部4bの外周面の、内側縦溝状部4gが設けられていない内周面部分の裏側に等間隔で飛び飛びに形成された計六個の内容物通過用の外側縦溝状部(内容物通過用溝状部:外側通路域Aの一部),
4jは外側筒状部4aの内周面と、中央上筒状部4bの外周面における内側縦溝状部4gの裏側部分(=外側縦溝状部4hが形成されていない凸状部分)と、の間の当該外側筒状部および当該中央上筒状部の径方向に、環天井部4cまで続く上下平板態様で等間隔の飛び飛びに形成された計六個の強度アップ用の縦板リブ状部,
4kは中央上筒状部4bと中央下筒状部4dとの境界部分に形成された内容物通過用の縦孔部,
4mは環天井部4cの最内側部分に形成されて後述のステムガスケット8を保持する環状の下内側段部,
4nは下内側段部4mの外側直上部分に形成されて、中間カバー体10を保持する環状の上外側段部,
4pは外側筒状部4aの上端から横平面外方に飛び出した形の環天井部4cの外端側部分であって、ハウジングガスケット9を保持する環鍔状部,
をそれぞれ示している。
【0034】
また、
5(1)〜5(5)はそれぞれハウジング4の中央上筒状部4bの外周面に嵌合して、内容器2の上端側内部空間域から中央下筒状部4dの流入開口部までの外側通路域Aを設定する鞘状のハウジングカバー(5(1)は
図1で使用,5(2)は
図2で使用,5(3)は
図3および
図4で使用,5(4)は
図5および
図6で使用,5(5)は
図7で使用),
5aは当該ハウジングカバーの下側部分からなり、中央下筒状部4dの外側に離間する形で設定された小径の有底筒状部,
5bは有底筒状部5aの底面中央に形成された膨らみ部分,
5cは当該ハウジングカバーの上側部分からなり、中央上筒状部4bの外周面に嵌合する形で設定された大径のカバー上筒状部,
5dは有底筒状部5aの内側上端部分とカバー上筒状部5cの内側下端部分との間に連続形成された環状の上向き段部,
5eはカバー上筒状部5cの上端部分から横平面外方に連続形成されてハウジング4の縦板リブ状部4jの下端面に当接した幅広環鍔状部(
図1参照),
5fはカバー上筒状部5cの上端部分から横平面外方に連続形成されてハウジング4の縦板リブ状部4jの下端面に当接した幅狭環鍔状部(
図2参照),
5gはカバー上筒状部5cの上端部分から横平面外方(径方向)への昇り階段の態様、かつ、ハウジング4の隣同士の縦板リブ状部4jの間に配設される態様で周方向飛び飛びに形成された計六個の径方向階段状片部(周方向の上端側片部:
図3,
図4参照),
5hは径方向階段状片部5gの下内側部分からなる計六個の下面環状部,
5jは径方向階段状片部5gの上外側部分からなる計六個の上面環状部,
5kはカバー上筒状部5cの上端部分から上方へ広がるすり鉢状の態様、かつ、ハウジング4の隣同士の縦板リブ状部4jの間に配設される態様で周方向飛び飛びに形成された計六個のすり鉢状片部(周方向の上端側片部:
図5〜
図7参照),
5mは隣同士の径方向階段状片部5g,すり鉢状片部5kの隙間部分からカバー上筒状部5cの上下方向に連続する形に設定され、ハウジングカバー5(3),5(4),5(5)をハウジング4に取り付ける際に縦板リブ状部4jへの進入空間域として作用する計六個の縦切欠状部、
5nはハウジングカバー5(3),5(4),5(5)をハウジング4に取り付けた状態で縦板リブ状部4jの下端面と当接する縦切欠状部底面,
5pはハウジングカバー5(4)の縦切欠状部5mの周方向入口側を拡大するように略45度の面取り態様で設けられ、縦板リブ状部4jを案内してその当該縦切欠状部の下側部分への進入を容易にするためのテーパー状案内部(
図7参照),
をそれぞれ示している。
【0035】
また、
6は操作ボタン(図示省略)に取り付けられて上下方向に連動し、後述のステムガスケット8との間でバルブ作用を呈する周知のステム,
6aはステム内部空間域であって噴射対象内容物(原液)通過用のステム通路部,
6bは内容物噴射操作時の作動モードにおいてステム通路部6aと中央上筒状部4bの内部空間域とを連通させる一対のステム孔部(バルブ作用部),
6cはステム孔部6bを含む形のステム外周面周方向に形成されて、後述のステムガスケット8との間の弁作用を呈する内側環凹状部,
7は中央上筒状部4bの底面部分とステム6の下側段部との間に配設されて、当該ステムを上方向に付勢する周知のコイルスプリング,
8はハウジング4の下内側段部4mおよびステム6の内側環凹状部6cに保持されて、ステム孔部6bへの弁作用および中央上筒状部4bの内部空間域のシール作用を呈する環状のステムガスケット(バルブ作用部),
9は外容器1および内容器2の各上端環状部や、ハウジング4の外側環凹状部4fおよび環鍔状部4pなどに密接してシール作用を呈する環状のハウジングガスケット,
をそれぞれ示している。
【0036】
また、
10はステムガスケット8の内端側を除く上面を覆う形でハウジング4の上外側段部4nに保持されて、当該ステムガスケットと、当該ハウジングの下内側段部4mとの間でのシール漏れ分への、いわば二重シール作用を呈する環状の中間カバー体,
11はステム移動用の中心開口部を持つ天面およびその側面からなって、内容物を収容した内容器2にバルブ機構を取り付け、かつ、与圧空間域3に噴射用ガスを充填した状態で、周知のクリンチ加工により、内外の各容器およびバルブ機構を密に一体化する例えばアルミ製のカバーキャップ,
11aは当該カバーキャップの上面内端側に設定されて中間カバー体10を押圧保持する上側環凹状部,
11bは当該カバーキャップの天面外端側に形成された環状垂下部,
11cはクリンチ加工により環状垂下部11bの下端側に形成された外側環へこみ状部,
をそれぞれ示している。
【0037】
ここで、内容器2,ハウジング4,ハウジングカバー5(1)〜5(5),ステム6および中間カバー体10などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものであり、コイルスプリング7はステンレスなどの金属製のものである。なお、コイルスプリングはプラスチック製にしてもよい。
【0038】
また、外容器1およびカバーキャップ11は金属製のものであり、ステムガスケット8およびハウジングガスケット9はプラスチック製,ゴム製のものである。
【0039】
図示の内外二重容器エアゾール噴射機構としての基本的特徴は、
(31)噴射対象内容物が中央下筒状部4dの下開口側から流入して上方のステム通路部6aへと移動する内側通路域Bを備え、当該中央下筒状部には周知の内容物流入用のディップチューブ(図示省略)の取付けも可能な、汎用構造のハウジング4をそのまま使い、
(32)この汎用構造のハウジング4をその下方から鞘状のハウジングカバー5(1)〜5(5)で囲むことにより、ハウジング外周面とハウジングカバー内周面との間に内容器2の上端側内部空間域から下方向に内側通路域Bまで続く外側通路域Aを形成した、
ことである。
【0040】
すなわち、内容器2の上端側内部空間域を外側通路域Aの流入部として設定することにより、エアゾール式製品の出荷前などに初期噴射操作を一回〜数回おこなえば、この上端側内部空間域の残留空気が外部空間域へ噴射されるようにしている。
【0041】
ここでハウジングカバー5(1)〜5(5)のいずれを用いても、内容器2の上端側内部空間域の残留空気が外部空間域へ噴射されるのは勿論である。
【0042】
周知のように、内外二重容器エアゾール噴射機構の場合、上記(22)のバルブユニットVUの内容器2への装着作業終了後における当該内容器の上端側内部空間域には、いわば当該バルブユニットの内部空間域に対応した分の空気が必然的に残留する。
【0043】
この残留空気層は、噴射操作により内容物(原液)とともに外部空間域に圧縮状態で噴射されて、噴射内容物の飛び散りの原因となっている。
【0044】
図示の汎用ハウジングからなる内外二重容器エアゾール噴射機構は、内容器2の上端側内部空間域への存在がいわば不可避で悪性の残留空気を、製品完成後の初期噴射操作で外側通路域Aに確実に流入させ、外部空間域に排出する機能を備えている。
【0045】
内容器2に噴射対象内容物(原液)を収容し、次に与圧空間域3に噴射用ガスを充填して、バルブユニットVUと内容器2との一体物を下方に押しながら環状垂下部11bの下端側をクリンチ加工することにより、最終的なエアゾール式製品が製造される。
【0046】
このエアゾール式製品の、周知の操作ボタン(図示省略)が例えば押下げ操作されていない静止モードのとき、ステム6は、コイルスプリング7の弾性作用により上方に付勢されてステム孔部6bが略水平状態のステムガスケット8で閉塞された形になっている。
【0047】
このとき、ステム孔部6bの下流側のステム通路部6aと、その上流側の内側通路域Bとはステムガスケット8で遮断されるので、内容器2の収容内容物が当該ステム通路部およびその先の操作ボタン通路部を経て外部空間域に噴射されることはない。
【0048】
図1〜
図3および
図5は、それぞれ静止モードの操作ボタン(図示省略)を例えば押下げ操作したときのいわゆる作動モードを示している。
【0049】
この作動モードでは、ステム6が、操作ボタンとともに静止モード位置からコイルスプリング7の弾性力に抗しながら下方に移動することにより、ステムガスケット8の内側自由端側がステム外周面の環凸状部に押されていわば「おじぎ」形状に変位する。
【0050】
このステム6の下動およびステムガスケット8の「おじぎ」形状への変位により、それまで当該ステムガスケットで閉塞されたステム孔部6bが開状態へとシフトする。このシフト動作自体は周知のものである。
【0051】
その結果、与圧空間域3の噴射用ガスの作用で収縮するように付勢されている内容器2の中の噴射対象内容物(原液)が、「外側通路域A−内側通路域B−ステム孔部6b−ステム通路部6a−操作ボタン通路部(図示省略)」を経て外部空間域へと噴射される。
【0052】
利用者が操作ボタンの押下げ操作をやめると、ステム6はコイルスプリング7の弾性力で上動して静止モードの位置に復帰し、ステムガスケットも「おじぎ」状態から略水平状態の静止モード形態に復帰する。この復帰動作は周知のものである。
【0053】
図1〜
図3および
図5の内外二重容器エアゾール噴射機構のそれぞれで相違する部分はハウジングカバー5(1),5(2),5(3),5(4)の形状である。
【0054】
すなわち、各ハウジングカバーを、ハウジング4の中央上筒状部4bの外周面に嵌合させて取り付けた状態で、
(41)
図1のハウジングカバー5(1)は,その幅広環鍔状部5eがハウジング4の六個の縦板リブ状部4jそれぞれの下端面に当接し、
(42)
図2のハウジングカバー5(2)は,その幅狭環鍔状部5fがハウジング4の六個の縦板リブ状部4jそれぞれの下端面に当接し、
(43)
図3,
図4のハウジングカバー5(3)は,その径方向階段状片部5gが、個々に、ハウジング4の縦板リブ状部4jの隣同士の上端側空間域(内容器2の上端側内部空間域)まで入り込み、かつ、その縦切欠状部底面5nが縦板リブ状部4jの下端面と当接し、
(44)
図5,
図6のハウジングカバー5(4)は,そのすり鉢状片部5kが、個々に、ハウジング4の縦板リブ状部4jの隣同士の上端側空間域(内容器2の上端側内部空間域)まで入り込み、かつ、その縦切欠状部底面5nが縦板リブ状部4jの下端面と当接する、
態様にそれぞれ設定されている。
【0055】
これらのハウジングカバー5(1),5(2),5(3),5(4)の中では、ハウジングカバー5(3),5(4)を用いた場合の外側通路域Aの入口部分(流入部)が、内容器2およびハウジング4からなる上端側内部空間域であって隣同士の縦板リブ状部4jの間ごとに設定される。
【0056】
このようにハウジングカバー5(3),5(4)の場合、その外側通路域Aの入口部分を構成する径方向階段状片部5gまたはすり鉢状片部5kが隣同士の縦板リブ状部4jの間に個々に設定される。
【0057】
そのため、噴射対象内容物(原液)の注入後の内容器2にバルブユニットVUを装着したときに縦板リブ状部4jの隣同士間の上端側内部空間域それぞれで生じる空気層が、より確実に外側通路域Aへと流入する。
【0058】
すなわち、ハウジングカバー5(3),5(4)の場合、バルブユニットVUの取付け後の内容器2の縦板リブ状部間に存在する空気は、そこを個々の流入部(入口)とする外側通路域Aから内側通路域Bおよびステム通路部6aを経て外部空間域へと、より確実に噴射される。
【0059】
図7のハウジングカバー5(5)は、
図5,
図6のハウジングカバー5(4)の縦切欠状部5mの入口側に、縦板リブ状部4jを案内してその進入を容易にするためのテーパー状案内部5pを設けたものである。ハウジングカバー5(5)をハウジング4に装着する際に、縦板リブ状部4jと縦切欠状部5mの周方向中央部分とが大きくずれていても、テーパー状案内部5pが縦板リブ状部4jを当該周方向中央部分に案内して位置合わせするので、容易に装着することができる。テーパー状案内部5pを大きく設けると、縦板リブ状部4jとの間に隙間ができて外側通路域Aの流入部(入口)が下がってしまうので、テーパー状案内部5pの高さは当該テーパー状案内部を含む縦切欠状部5mの全体深さの1/2〜1/3程度とするのが望ましい。
【0060】
なお、ハウジングカバー5(1)〜5(5)のそれぞれに共通するハウジング4などに関して、
(51)ハウジング4を構成する、外側筒状部4a,中央上筒状部4b,環天井部4cおよび中央下筒状部4dの全体が、プラスチック製の一体成形物であり、
(52)外側筒状部4aと中央上筒状部4bとの間に強度アップ用の縦板リブ状部4jが同じく一体成形されており、
(53)縦板リブ状部4jの形成方向が、外側筒状部4aおよび中央上筒状部4bそれぞれの径方向であり、
(54)中央上筒状部4bの、内側縦溝状部4gが設けられていない部分それぞれの外周面側(裏側)に外側縦溝状部4hを形成して、その分、当該中央上筒状部自体の厚みを小さくし、
(55)縦板リブ状部4jを、外側筒状部4aの内周面と、中央上筒状部4bの内側縦溝状部4gの裏側外周面部分(=外側縦溝状部4hが形成されず、当該外側縦溝状部よりも外側筒状部内周面に近い部分)と、の間に形成し、
(56)環天井部4cの中央上筒状部側に形成した上外側段部4nで、ステムガスケット8の上面に配設されたプラスチック製で二重シール用の中間カバー体10を保持し、
(57)外側筒状部4aの外周面を、内上端側環状部2a,外上端側環状部1aおよび環状垂下部11bの三層部材により保護している。
【0061】
すなわち、上記(51),(52)、(53)のように、外側筒状部4aと中央上筒状部4bとの間に縦板リブ状部4jを配設する態様でハウジング全体を一体成形することより、従前のマウンティングカップ機能も併せ備えたサイズのハウジング4の強度を高めている。
【0062】
そして縦板リブ状部4jの強度アップ作用により、ハウジング4のその他の部分(外側筒状部4a,中央上筒状部4bおよび環天井部4cなど)の厚みを少しでも小さくして、当該ハウジングの一体成形に必要な合計樹脂量の削減化を図っている。
【0063】
また、上記(54),(55)のように、中央上筒状部4bの内側縦溝状部4gが存在しない部分の厚みを小さくしたり、縦板リブ状部4jの径方向の長さを短くしたりすることによっても、同様に、ハウジング4の一体成形に必要な合計樹脂量の削減化を図っている。
【0064】
また、上記(56)のように、ステムガスケット8の上面の、プラスチック製の中間カバー体10をハウジング4の上外側段部4nで保持することにより、内容器2に収容された噴射対象容物(原液)が接触しえる部分全体の金属レス化を図っている。
【0065】
この中間カバー体10を省略した場合、ハウジング4の下内側段部4mとステムガスケット8との当接部分のシール漏れや、噴射内容物自体の浸透性や噴射用ガスの圧力で内容物がステムガスケット8を浸透・透過することがある。
【0066】
このとき、内容器2の噴射対象内容物が金属製のカバーキャップ11に接触して、その劣化,変形や当該内容物自体の変性などが生じえる。
【0067】
なお、内容器2に収容した噴射対象内容物の接触部分は、内容器2,ハウジング4,ハウジングカバー5(1)〜5(5),ステム6,コイルスプリング7,ステムガスケット8,ハウジングガスケット9および中間カバー体10である。これらすべを非金属製の構成要素として設定できる。
【0068】
また、上記(57)のように、ハウジング4の外側筒状部4aの外側面の周りを、内上端側環状部2a,外上端側環状部1aおよび環状垂下部11bの三層態様で覆っている。
【0069】
これにより、縦板リブ状部4jの補強作用とあいまって例えば当該環状垂下部への衝撃に対するハウジング4の変形・破損防止化を図っている。この衝撃とは、カバーキャップ11の環状垂下部11bの下端側をクリンチしてハウジング機構を外容器1に固定する際に垂直下方に押し付けられる力やクリンチにより内側方向に加えられる力などである。
【0070】
なお、本発明が図示の内容に限定されないことは勿論であり例えば、
(61)ハウジングカバー5(3)の縦切欠状部5mの上側部分にハウジングカバー5(5)と同様のテーパー状案内部5pを設ける、
(62)ハウジング4を、従前のマウンティングカップとそれに取り付けられたハウジング部分との構成物に設定する。
(63)ハウジング4の縦板リブ状部4jを省略する、
(64)ステム6を駆動する操作部として押下げタイプ,傾動タイプ(スパウトタイプ)などの各種操作ボタンを用いる、
(65)縦板リブ状部4jの個数や厚み,形状などを任意に設定する、
(66)上記金属レス化の目的を捨象して、プラスチック製のコイルスプリングに代えて金属製のコイルスプリングを用いる、
ようにしてもよい。
【0071】
噴射対象内容物としては、液状,発泡性(泡状),クリーム状、ペースト状,ジェル状,粉状などの各種性状のものがある。
【0072】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、染毛剤、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント剤などのヘアケア製品、日焼け止め、化粧水、クレンジング、制汗剤、シェービング、害虫忌避剤などのスキンケア製品、などの各種用途のものがある。
【0073】
容器本体に収容される噴射対象内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0074】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,塩化マグネシウム,シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、ゼオライト、ナイロンパウダー、これらの混合物などを用いる。
【0075】
油成分としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油,ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油、パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油などの油脂,流動パラフィンなどの炭化水素油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などの脂肪酸、などを用いる。
【0076】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールやセタノールなどの1価の高級アルコール,1,3−ブチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールなどを用いる。
【0077】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0078】
高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0079】
各用途に応じた有効成分としては、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤、アクリル系樹脂やワックスなどのセット剤、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤、レチノールやdl−α−ト コフェロールなどのビタミン、ヒアルロン酸などの保湿剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤、ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、などを用いる。
【0080】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,乳化剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0081】
噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,亜酸化窒素,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスを用いる。