【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.帯状の容器フィルムに形成された複数のポケット部を収容可能な複数の収容部を外周に有するとともに、回転可能なフィルム受けロールと、
自身の外周が前記フィルム受けロールの外周に向けて押付けられるとともに、帯状のカバーフィルムを加熱可能であり、かつ、回転可能なシールロールとを備え、
前記容器フィルムに対し、内容物の充填された前記ポケット部を塞ぐようにして張力の加えられた前記カバーフィルムを重ねた状態で、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを前記フィルム受けロール及び前記シールロール間を通過させることにより、前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムを取着するシール装置であって、
前記シールロールの外周のうち、少なくとも前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムと相対向する部位には、外周方向に突出し、平行四辺形の網目状をなす凸条部が設けられ、
前記凸条部は、その頂部が、角形状をなすとともに、前記カバーフィルムと接触可能に構成され、
前記フィルム受けロールの外周のうち、前記収容部を除く、少なくとも前記両ロール間を通過する前記容器フィルムと相対向する部位には、
平行四辺形の網目状をなすように設けられた窪み状の谷部と、
四方を前記谷部で囲まれてなり、前記容器フィルムと接触可能な複数の島部とが設けられることを特徴とするシール装置。
【0011】
上記手段1によれば、シールロールの凸条部と島部とが重なり合う領域、或いは、その近傍においては、凸条部と島部、或いは、その近傍とで、容器フィルムとカバーフィルムとを挟むことでシールされるが、それ以外の部分では両ロールはフィルムを挟むことなく、カバーフィルムに接触するシールロールの凸条部でカバーフィルムと容器フィルムとをフィルム受けロール外周に編み目状をなすように設けられた窪み状の谷底側に向かって撓ませることでシールされる。本発明が解決しようとする課題で述べた亀裂は、言い換えれば両ロールで挟むことで発生するので、上記手段1によれば、シールロールの凸条部と島部とが重なり合う領域、或いは、その近傍において容器フィルムとカバーフィルムとを挟む部位は連続的ではなく散在するので、凸条部に沿った形状の連続する亀裂や破断が発生してしまう事をより確実に防止でき、歩留まりや生産性の向上を図ることができる。
【0012】
手段2.前記シールロールの外周のうち前記凸条部の形成された部位においては、前記頂部で囲まれた平行四辺形状の閉領域が、隙間なく並んで設けられており、
前記フィルム受けロールの外周において、前記島部は、前記フィルム受けロールの軸方向及び周方向に沿って、並んで設けられており、
前記シールロールの軸方向に沿った、前記閉領域の長さをPdとし、
前記シールロールの周方向に沿った、前記閉領域の長さをQdとし、
前記フィルム受けロールの軸方向に沿った、隣り合う前記島部の間隔をPsとし、
前記フィルム受けロールの周方向に沿った、隣り合う前記島部の間隔をQsとしたとき、
Ps<Pd、及び、Qs<Qd
を満たすことを特徴とする手段1に記載のシール装置。
【0013】
シール時において、容器フィルムは、主として島部において支持されることとなる。ここで、島部の配置によっては、シール時に、凸条部で囲まれる閉領域に対して、島部が対向しない状態となり得る。また、島部の対向しない閉領域が隣り合う状態となってしまうこともある。島部の対向しない閉領域が隣り合う状態の周囲の、島部と対向した閉領域では、閉領域を成す凸条部でカバーフィルムと容器フィルムとは谷部側へ撓みを生じているが、島部の対向しない閉領域が隣り合った境の凸条部は島部と対向した閉領域の凸条部と同じ高さなので、それ以上にはカバーフィルムと容器フィルムとを撓ませられない。したがって、この部分のシール性は保証されない。
【0014】
この点、上記手段2によれば、Ps<Pd、及び、Qs<Qdを満たすため、容器フィルムのうち、シール時において前記閉領域と向き合う部分は、少なくとも1つの島部によって確実に支持されることとなる。これにより、シールロールの凸条部と島部とが重なり合う領域、或いは、その近傍においては、凸条部と島部、或いは、その近傍とで、容器フィルムとカバーフィルムとを挟む以外の場所で、シール時において凸条部でのカバーフィルムと容器フィルムとの撓みが無い状態を確実に防止できる。その結果、容器フィルムに対しカバーフィルムの全域を十分な圧力をもって押付けることができ、両フィルムのシール性を非常に良好なものとすることができる。
【0015】
また、上記手段2によれば、Ps及びPdがそれぞれ異なる値であり、また、Qs及びQdがそれぞれ異なる値である。そのため、シール時において、凸条部の頂部と島部又はその近傍とにより両フィルムが全く挟み込まれなくなってしまうという事態をより確実に防止できる。
【0016】
手段3.Ps≧Pd/2、及び、Qs≧Qd/2
を満たすことを特徴とする手段2に記載のシール装置。
【0017】
上記手段3によれば、シールロールの外周において、島部が、比較的まばらな状態で設けられている。従って、PTPフィルムにおいて、凸条部の頂部と島部又はその近傍によって挟み込まれた部位がさほど多くならず、より散在することとなる。その結果、カバーフィルムにおける亀裂等の発生をより一層確実に防止することができ、歩留まりや生産性をさらに高めることができる。
【0018】
また、シールロールの製造時における加工工数を減らすことができるため、シール装置の製造に関し、コストの低減や製造効率の向上を図ることができる。
【0019】
手段4.前記シールロールは、自由回転可能に構成されており、前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムの移動に従って回転するように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかにシール装置。
【0020】
上記手段4によれば、シールロールは、自由回転可能であり、カバーフィルムの移動に従って回転するように構成されている。従って、シールロールを回転させるための駆動手段などを設ける必要がなく、シール装置の簡素化やシール装置の製造に係るコストの低減を図ることができる。
【0021】
尚、シールロールの回転動作がフィルム受けロールの回転動作に同期していなくても、上記手段1等による、カバーフィルムにおける亀裂等の発生防止という作用効果を得ることができる。シールロールの回転動作とフィルム受けロールの回転動作とを同期させる必要がないという点は、上記手段1等のシール装置における大きな特徴であり、この点において、上記手段1等のシール装置と、両ロールを同期回転させることを必要とするシール装置(例えば、ストリップ包装等の製造に用いられる)とは大きく異なる。
【0022】
手段5.前記島部の頂部分は、非尖端状であることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のシール装置。
【0023】
上記手段5によれば、シール時において、島部の頂部分の接触により、容器フィルムに損傷が生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0024】
また、上記手段5によれば、島部の頂部分における損耗や破損が生じにくくなる。そのため、シール装置における耐久性やメンテナンス性を高めることができる。
【0025】
さらに、島部の頂部分が尖端状である場合に比べ、島部ごとの突出量のバラツキを抑制することができる。
【0026】
手段6.手段1乃至5のいずれかに記載のシール装置を備えるPTP包装機。
【0027】
上記手段6によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。