【解決手段】環状溝1bを容器の口頚部先端2に嵌合させて固定保持するベース1eと、このベース1eを取り囲んで該容器の該口頚部先端2aに対する嵌合力を強化する環状帯3と、該ベース1eおよび該環状帯3をその下端若しくは上端の少なくとも一方で分離可能に連結する弱化片4、6と、該ベース1eおよび該環状帯3をその後方の下方部位で分離不能に連結するとともに該環状帯3の引き起こしにより該ベース1eを容器の口頚部先端2より離脱させて抜栓する連結片5とを備えたものにおいて、前記環状溝3の壁部に、該環状帯3の軸方向Lに沿って伸延し、かつ該環状帯3の引き起こしに際して該環状帯3の引き伸ばし若しくは破断を誘導して嵌合部での引っ掛かりを軽減する少なくとも1つの弱化部8を設ける。
容器の注出開口を閉塞する天板を、下向きに開放された環状溝を形成する内側、外側の筒体に一体連結して、該環状溝を容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースと、該ベースを取り囲んで配置され該筒体の該口頚部先端に対する嵌合力を強化する環状帯と、該ベースおよび該環状帯をその下端若しくは上端の少なくとも一方で分離可能に連結する弱化片と、該ベースおよび該環状帯をその後方の下方部位で分離不能に連結するとともに該環状帯の引き起こしにより該ベースを容器の口頚部先端より離脱させて抜栓する連結片とを備えた容器用キャップであって、
前記環状溝の壁部に、該環状帯の軸方向に沿って伸延し、かつ該環状帯の引き起こしに際して該環状帯の引き伸ばし若しくは破断を誘導して嵌合部での引っ掛かりを軽減する少なくとも1つの弱化部を設けたことを特徴とする容器用キャップ。
前記弱化部は、前記環状帯の引き起こし開始位置側に設けられた切欠き凹所からなり、前記連結片は、該弱化部の対向位置側に設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載した容器用キャップ。
前記嵌合は、前記環状溝に設けられた環状凸部と、容器の口頚部に設けられた環状凹部とが相互に係合するアンダーカットによるものであり、このうち該環状凸部は、前記弱化部の隣接位置に設けられ、容器用キャップの側方に行くに従って突出代が漸減する異形断面領域を有することを特徴する請求項1または2に記載した容器用キャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるにこの従来の容器用キャップは、胴部がビン口内壁に単に嵌合しているにすぎず、破断可能連結部を破断せずとも容器の注出開口から引き抜くことできるおそれがあり、不正な開封が行われたかどうかを確実に判断できるとはいえないところに問題を残している。
【0006】
本発明の課題は、容器の注出開口に対する嵌合力を高めて容器の確実な密封が行える一方、開封時には容易に開封を行うことが可能であり、しかも容器を正規に開封する前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断できる容器用キャップを提案することにある
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器用キャップは、容器の注出開口を閉塞する天板を、下向きに開放された環状溝を形成する内側、外側の筒体に一体連結して、該環状溝を容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースと、該ベースを取り囲んで配置され、該筒体の該口頚部先端に対する嵌合力を強化する環状帯と、該ベースおよび該環状帯をその下端若しくは上端の少なくとも一方で分離可能に連結する弱化片と、該ベースおよび該環状帯をその後方の下方部位で分離不能に連結するとともに該環状帯の引き起こしにより該ベースを容器の口頚部先端より離脱させて抜栓する連結片とを備えた容器用キャップであって、前記環状溝の壁部に、該環状帯の軸方向に沿って伸延し、かつ該環状帯の引き起こしに際して該環状帯の伸ばし若しくは破断を誘導して嵌合部の引っ掛かりを軽減する少なくとも1つの弱化部を設けたことを特徴とする容器用キャップである。
【0008】
本発明において、前記弱化部は、前記環状帯の引き起こし開始位置側(指掛け片が存在する側)に設けられたものとし、前記連結片は、該弱化部の対向位置側に設けられたものとするのが好ましい。
【0009】
また、本発明において、前記嵌合は、前記環状溝に設けられた環状凸部と、容器の口頚部に設けられた環状凹部とが相互に係合する、いわゆるアンダーカットによるものであり、このうち該環状凸部は、前記弱化部の隣接位置に設けられ、容器用キャップの側方に行くに従って突出代が漸減する異形断面領域を有するものとするのが望ましい。ここで、「弱化部の隣接位置」とは、環状凸部が、該環状凸部から若干離隔して位置する場合、あるいは該環状凸部の縁部に一体的に連結している場合をも含むものとする。
【0010】
また、本発明は、上記の構成からなる容器用キャップにおいては以下の構成要素を付加するのが好ましい。
1)弱化片としてベースおよび環状帯をその天面上端部の少なくとも一部分において分離可能に連結する天面弱化片を設けること。
2)天面弱化片は、環状帯の引き起こし起点となる該環状帯の前面側の側方位置に設けられたものであること。
3)天面弱化片が設けられた領域を除く下方領域においてベースおよび環状帯を分離可能に連結する少なくとも1つの弱化ブリッジを設けること。
4)ベースの外周壁および前記環状帯の内周壁の少なくとも一方に、前記弱化ブリッジに隣接する保護突起を設けること。さらに、
5)ベースの外周壁および前記環状帯の内周壁の少なくとも一方に、前記天面弱化片に隣接する保護突起を設けること。
【0011】
上記の「天面弱化片に隣接する」、「弱化ブリッジに隣接する」とは、天面弱化片、弱化ブリッジから離隔して位置する場合の他、天面弱化片、弱化ブリッジの縁部に一体的に連結している場合をも含むものとする。
【0012】
また、保護突起としては、突起状のもの、あるいはリブ状のものを適用することが可能であり、天面弱化片、弱化ブリッジの破断痕が残る部分(ベース、環状帯のいずれか一方)に隣接する場合のみならず、その上方および下方の少なくとも一方に設けることもできる。
【0013】
また、弱化片として天面弱化片、弱化ブリッジを設ける場合、その破断を容易にするため、薄肉部、ミシン目状の穿孔あるいはスリット状の切れ込み等の分断予定端を設けておくことが好ましい。保護突起については、ベースを構成する外側の筒体の外周壁に設けておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記構成からなる本発明の容器用キャップによれば、ベースの周りに環状帯を設け、該環状帯をベースの箍として機能させるようにしたため容器用キャップの、容器の口頚部に対する嵌合がより強固になる。
【0015】
また、本発明の容器用キャップによれば、環状帯の引き起こすことにより、容器用キャップの、容器の口頚部における嵌合力を弱めることが可能となり、連結部を介してベースを引き上げるだけで容器を簡単に開封することができる。この際、環状帯は弱化部により引き延ばされるか、あるいはその部位を起点にして破断することになるため、嵌合部での引っ掛かりが軽減され、比較的小さな力でもってスムーズな抜栓が可能となる(引っ掛かりによる反動でもって内容物がこぼれ出ることがない)。とくに、ベースと容器の口頚部先端との嵌合を、環状溝に設けられた環状凸部と、容器の口頚部に設けられた環状凹部とが相互に係合する、いわゆるアンダーカットによるものとし、このうち該環状凸部を、弱化部の隣接位置に設けられ、容器用キャップの側方に行くに従って突出代が漸減する異形断面領域を有するものとすることで容器の密封に必要な嵌合力を確保しつつ嵌合部での引っ掛かりを軽減することが可能となる。
【0016】
また、本発明の容器用キャップによれば、環状帯を引き起こす際に、弱化片が破断するため、容器の正規の開封前に不正な開封が行われたかどうかを見分けることができる。
【0017】
また、本発明の容器用キャップによれば、天面弱化片を、環状帯の引き起こし起点となる該環状帯の前面側の側方位置に設けることにより、環状帯を引き起こす向きと天面弱化片が破断する向きがほぼ一致することになり、該天面弱化片をより小さな力でスムーズに破断することができる。
【0018】
また、本発明の容器用キャップによれば、天面弱化片が設けられた領域を除く下方領域に、該ベースおよび該環状帯を分離可能に連結する少なくとも1つの弱化ブリッジを設けることにより、環状帯の、ベースに対する取り付け姿勢を安定的に保持することができる。
【0019】
また、本発明の容器用キャップによれば、ベースの外周壁および環状帯の内周壁の少なくとも一方に、弱化ブリッジに隣接する保護突起を設けた場合に、容器の開封時に該弱化ブリッジの破断箇所に、先端が尖った、内向きまたは外向きの破断痕が発生しても、保護突起の作用下で、開封作業を行う需要者の手指への破断痕の接触の程度を小さくすることが可能となり、それによる不快な刺激を軽減することができる。
【0020】
とくに、天面弱化片に隣接する部位に保護突起を設ける場合にあっては、該天面弱化片の破断箇所に、先端が尖った、内向きまたは外向きの破断痕が発生しても、保護突起の作用下で、開封作業を行う需要者の手指への破断痕の接触の程度を小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明に従う容器用キャップの実施の形態を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)はA−A線に沿う断面図、(c)は底面図である。また、
図2は、
図1(a)のB−B線に沿う断面図であり、
図3は、本発明に従う容器用キャップを容器の口頚部に装着した状態を示した図であり、
図4は、
図1(c)の要部を拡大して示した図であり、さらに
図5は、
図3に示した容器用キャップについて環状帯を引き起こした状態(抜栓状態)を示した図である。
【0023】
図1〜5において、符号1は、容器用キャップである。この容器用キャップ1は、容器の口頚部先端2の注出開口2aを閉塞する天板1aと、上端同士を一体連結して下向きに開放された環状溝1bを形成するとともにその内側下端を連結部1hに連結した内側、外側の筒体1c、1d(以下、内側の筒体を内筒1cで表示し、外側の筒体を外筒1dで表示する)とによって構成されたベース1eを備えている。
【0024】
このベース1eは、
図3に示すように、内筒1cと外筒1dとの間に形成された環状溝1bを打栓によって容器の口頚部先端2に嵌合させて該ベース1eを固定保持するものであって、このベース1eの外側には、該ベース1eを取り囲んで内筒1c、外筒1dの口頚部先端2に対する嵌合力を強化する環状帯3が設けられている。なお、環状帯3はその前面側の外壁(その中心軸線に対し連結片の形成位置とは、直径方向に対向する外周面)に、半径方向外方へ突出する、たとえばリップ状の平面形状の指掛け片3aを設けられる。
【0025】
ベース1eの、口頚部先端2への装着は、環状溝1b、とくに外筒1dの内周壁に設けられた一条の環状凸部1fと、容器の口頚部先端2に設けられ、該環状凸部1fに係合する一条の環状凹部2bをアンダーカット嵌合させることによって実現している。
【0026】
また、符号4は、ベース1eの外筒1dと環状帯3との相互間に設けられた弱化片である(以下、この弱化片を天面弱化片4と記す)。この天面弱化片4は、ベース1eの外筒1dおよび環状帯3を、その天面上端部の少なくとも一部分において分離可能に連結する薄肉板状部材から構成されている。この天面弱化片4は、指掛け片3aを把持して帯状体3を引き起こすことによってベース1eの外筒1dと環状帯3を分離するとき、該天面弱化片4は前側端縁4aから破断が始まり後側端縁4bにおいて破断を完了するものであって、この前側端縁4aと後側端縁4bとの相互間に破断予定端(線)4cが形成される。
【0027】
ここでは、天面上端部の少なくとも一部分として、天面弱化片4を、環状帯3の引き起こし起点となる該環状帯3の前面側(指掛け片3aが設けられている側)の側方位置に二つ設け、前側端縁4a、後側端縁4bおよびこれらを結ぶ破断予定端4cをベース1eの外筒1dの外周壁に一致させることにより該天面弱化片4を該外筒1dの外周壁に沿わせて破断させるものを例として示したが、前側端縁4a、後側端縁4bおよび破断予定端4cを環状帯3の内周壁に一致させて天面弱化片4を破断することも可能であり、この点については限定されない。
【0028】
前側端縁4a、後側端縁4bおよび破断予定端4cをベース1eの外周壁に一致させて天面弱化片4を破断する場合、その破断痕は、環状帯3の内周壁に残ることになり、逆に、前側端縁4a、後側端縁4bおよび破断予定端4cを環状帯3の内周壁に一致させて天面弱化片4を破断する場合には、その破断痕は、ベース1eの外筒1dの外周壁に残ることになる。なお、天面弱化片4の破断を容易ならしめるため、破断予定端4cは、薄肉部、ミシン目状の穿孔あるいはスリット状の切れ込み等によって形成するのが好ましい。
【0029】
天面弱化片4の平面形状は所要に応じて適宜変更することができるものであって図示のものに限定されることはない。
【0030】
また、5は、ベース1eの外筒1dおよび環状帯3を分離不能に連結する連結片である。この連結片5は、ベース1eの背面側(指掛け片3aが設けられた対向位置)で、天面弱化片4よりも下方の部位に設けられており、環状帯3を引き起こして容器を開封する際に、ベース1eはこの連結片5を介して容器の口頚部先端2から離脱する。
【0031】
連結片5は、天面弱化片4よりも下方に設けられていればよいが、とりわけ、ベース1eの外筒1dの下端および環状帯3の下端に設けるのが好ましく、これにより、環状帯3を引き起こす際に、外筒1dに設けられた環状凸部1fが径方向の外側へ向けて引っ張られるため、口頚部先端2に設けられた環状凹部2bとのアンダーカットによる嵌合が解除しやすくなり、より小さい力(抜栓力)で容器の開封が可能となる。
【0032】
また、符号6は、天面弱化片4が設けられた領域を除く下方領域、とくに、ベース1eと環状帯3との下端に設けられた弱化片である(以下、この弱化片を弱化ブリッジ6と記す)。この弱化ブリッジ6は、ベース1eおよび環状帯3を分離可能に連結するものであって、この弱化ブリッジ6によって環状帯3の、ベース1eに対する取り付け姿勢の安定化が図られている。この弱化ブリッジ6は、環状帯3の引き起こしに際して破断する。
【0033】
弱化ブリッジ6は、少なくとも1つ設けられるものである。弱化ブリッジン6を複数設ける場合には、ベース1eの周りに沿って間隔をおいて配置するのが好ましい。
【0034】
弱化ブリッジ6の平面形状は、環状帯3に向けて先細りとなる台形形状としたものを例示したが、弱化ブリッジ6の配設個所や平面形状等は、適宜変更することができる。
【0035】
弱化ブリッジ6の平面形状を、環状帯3に向けて先細りとなる台形形状とし、かつ、その断面形状を、環状帯3に向けて漸次に薄肉化したものを適用する場合には、該弱化ブリッジ6の分断予定端6aは、環状帯3との連結部位(環状帯3と弱化ブリッジ6の境界)に位置し、抜栓時に弱化ブリッジ4の破断痕は、外筒1d側に残ることになる。とくに弱化ブリッジ4の破断痕が外筒1d側に残る場合においては、環状帯3そのものに指を掛けて引き起こす際に、弱化ブリッジ4の破断痕による手指への不快な刺激を無くすことができる利点がある。
【0036】
なお、弱化ブリッジ6の分断予定端6aは、外筒1dとの連結部位としてもよく、その場合には、先端が尖った弱化ブリッジ6の破断痕は環状帯3の内周壁に残ることになる。
【0037】
分断予定端6aは、弱化ブリッジ6の幅寸法や厚さを適宜変更してその平面形状を変化させることによって容易に形成することができる(幅寸法の変更等)が、薄肉部を設けたり、ミシン目状の穿孔、あるいはスリット状の切れ込みを設けることによって形成してもよい。
【0038】
また、符号7は、弱化ブリッジ6に隣接して設けられた保護突起である。この保護突起7は、弱化ブリッジ6の破断痕が残る部位、すなわち、ベース1eの外筒1dの外周壁あるいは環状帯3の内周壁の少なくとも一方に設けることができるものであって、容器の口頚部先端2から容器用キャップ1を取り外す際に需要者の手指を、弱化ブリッジ6の、先端が尖った破断痕から保護して破断痕による手指への不快な刺激を軽減する。
【0039】
保護突起7の数は、それが弱化ブリッジ6に隣接して存在する限りにおいて種々に変更することができる。また、保護突起7の形態は、凸状とすることもでき、しかも、該保護突起7は、弱化ブリッジ6の上方および下方の少なくとも一方に設けることを可としている。なお、保護突起7が弱化ブリッジ6に隣接して設けられているとは、上記の保護突起6と同様に、数ミリ程度の間でもって離間して位置する場合や弱化ブリッジ6に一体的に連結している場合を含んでいる。
【0040】
さらに、符号8は、環状帯1bの引き起こし開始位置側、すなわち、指掛け片3aが設けられている側で該環状溝1bの壁部、とくに外筒1dの内周壁(とくに抜栓時にベース1eと容器の口頚部先端2との嵌合部が引っ掛かりやすい部分)に設けられた弱化部である(
図1(b)、
図2参照)。この弱化部8は、その要部断面を
図2に示すように環状帯1dの軸方向Lに沿ってその下端から上端に向けて伸延する切欠き凹所(溝状のもの)から構成される。切欠き凹所は、環状帯1dのほぼ半分程度の高さに設定した
図1(c)に示した如き台形状の溝部を例として示したが、該切欠き凹所の高さや断面形状については任意に変更することができる。
【0041】
弱化部8は、環状帯1dの壁部を局所的に薄くして環状帯1dの引き起こしに際してその部位を引き伸ばすか、あるいは破断させる機能を有するもの(嵌合力を局所的に弱める)であって、この弱化部8により嵌合力を弱めてその部位での引っ掛かりを軽減させている。
【0042】
この実施の形態では指掛け片3aの幅寸法とほぼ同等の間隔でもって弱化部8を2つ設けた場合を例として示したが、該弱化部8は1つ、あるいは3つ以上設けることも可能であり、この点については限定されない。とくに弱化部8を2つ設けたものにあっては、抜栓時にその相互間に位置する環状凸部1fでの嵌合力を弱めることができる。
【0043】
また、9は、弱化部8と同等の構成、すなわち、切欠き凹所にて構成された弱化部である。この弱化部9は、連結片5の幅寸法とほぼ同等の間隔でもって2つ設けた場合を例として示してある。
【0044】
かかる弱化部9は、その部位での嵌合力を弱めてベース1eの、口頚部先端2からの引き上げをスムーズにするために設けられるものである。嵌合部での引っ掛かりがとくに問題にならない場合には、弱化部9は省略することができる。
【0045】
さらに、10は、弱化部8の隣接位置に設けられた異形断面領域である。この異形断面領域10は、2つの弱化部8の一端側(内側端)でそれらを相互につなぐ中央領域10aと、該弱化片8の他端側でそれにそれぞれつながる縁部領域10bからなっている。この異形断面領域10の中央領域10aは、指掛け片3aの幅方向中央部に位置する部分が最も突出しており(環状凸部1fと同じ吐出代を有する)、容器用キャップ1の側方に行くに従ってその突出代が漸減するものであって、この異形断面領域10によって必要最低限の嵌合力を保持しつつその部位の引っ掛かりを軽減している。
【0046】
異形断面領域10は、突出代を段階的(階段状)小さくすることもできる。なお、異形断面領域10は、その要部を拡大して
図4(図中、異径断面領域10は、網掛け線で表示)示すように、注出キャップ1の中心Oおよび弱化部8の幅方向の中心O1を通る直線を基準線Wとしかつ、該注出キャップ1の中心Oを回転中心とした場合、角度θはθ=30°程度、より好ましくはθ=28°程度(環状凸部1fの周長の15.55%程度)の範囲で設けるのが好ましい。指掛け片3aの幅方向の中心O2および注出キャップ1の中心Oを通る直線を基準線W1とし、かつ該注出キャップ1の中心Oを回転中心とした場合、異形断面領域10の端縁に至るまでの角度θ1は、60°程度、より好ましくは59°程度とするのが好ましい。弱化片8を図示の如く2つ設けたものを適用するにあたっては、異形断面領域10の端縁相互間の角度θ2は、120°程度、より好ましくは118°程度(環状凸部1fの周長の32.77%程度)に設定されることになる。
【0047】
上記の構成からなる容器用キャップ1においては、天面弱化片4、その下方に位置する弱化ブリッジ6をそれぞれ破断させて
図5に示すように環状帯3を引き起こし、その環状帯3を引っ張ることで、連結片5を介してベース1eの一端部(図では右端部)が引き上げられる。この引き上げにより、容器の口頚部先端2とベース1eとの嵌合が上記一端部側から解除されて容器の開封が可能となる。その際、従来の容器用キャップにあっては、連結片5の対向位置側、すなわち環状帯3の引き起こし開始位置側(指掛け片3aが存在する側)で環状凸部1fが環状凹部2aに引っ掛かってスムーズに抜栓することができないばかりか該引っ掛かりの解除による反動で内容物がこぼれ出ることがあったが、本発明では、弱化部8により環状帯3の一端部側(連結片5の対向位置側)が引き伸ばされる、あるいは破断するため、その部位での嵌合力が弱められる結果として引っ掛かりは軽減され、スムーズに抜栓することができる。
【0048】
この実施例では、容器の注出開口2aを閉塞する天板1aを、内筒1c、外筒1dと同心の環状周壁1gおよび連結部1hを介して外周縁を内筒1cの下端部に一体連結した構成のキャップを例として示したが、天板1aの外周縁を内筒1cの上端部に一体連結して該内筒1cをインナーシール筒部11とした
図6に示すようなタイプのキャップに適用することも可能である。また、天板1aの上面を、内筒1cの下端部もしくはそれよりも低い位置に設けることも可能であり(図示せず)、この点については、図示のものに限定されることはない。
【0049】
また、かかる構成の容器用キャップ1によれば、抜栓前については、環状帯3が容器の口頸部先端2に対する嵌合力が強化されているので、天面弱化片4、弱化ブリッジ6を破断させて環状帯3を引き起こさない限り容器を開封することはできず、しかも、容器の正規の開封前に不正な開封が行われた場合には、天面弱化片4の破断が見てとれるので、該天面弱化片4の破断の有無を確認するだけで不正な開封が行われたがどうかを簡単に、しかも確実に見分けることができる。
【0050】
なお、本発明の容器用キャップ1は、容器が開封されたのちにおいても、ベース1は初期形状をそのまま維持するため容器用キャップ1を再利用できる利点がある。
【0051】
本発明の容器用キャップは、天面弱化片4の両端側に隣接して保護突起7と同様の保護突起を設けることもできる。保護突起7と同様の保護突起を設けることにより、容器の口頚部先端2から容器用キャップ1のベース1eを離脱させる際に、需要者の手指を、天面弱化片4の先端が尖った破断痕から保護することが可能であり、これによって破断痕による手指への不快な刺激を軽減することができる。