(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209293(P2015-209293A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】ワークの搬送装置及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 13/06 20060101AFI20151027BHJP
B22D 45/00 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
B65G13/06
B22D45/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-90890(P2014-90890)
(22)【出願日】2014年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰嗣
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033BA06
3F033BB02
3F033BB05
3F033BB16
3F033BC03
3F033BC07
(57)【要約】
【課題】搬送されるワークの蛇行を防止することができ、かつ昇降リフタへのワークの移し替えが容易に行えるワークの搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】本発明のワークの搬送装置は、ワーク搬送用の駆動ローラ4が片持ち構造で多数取り付けられた左右のローラフレーム2と、それぞれのローラフレーム2に個別に取り付けられた減速モータ7と、各減速モータ7によってそれぞれの駆動ローラ4が有しているチェインホイール5を介して各ローラを駆動するために各ローラフレーム2に設けられたローラチェイン6とからなる。また、左右のローラフレーム2を、回転軸9を中心としてアクチェータにて開閉可能とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬送用の駆動ローラが片持ち構造で多数取り付けられた左右のローラフレームと、それぞれのローラフレームに個別に取り付けられた減速モータと、各減速モータによってそれぞれの駆動ローラが有しているチェインホイールを介して各駆動ローラを駆動するために各ローラフレームに設けられたローラチェインとからなることを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項2】
左右のローラフレームを、回転軸を中心としてアクチェータにて開閉可能としたことを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項3】
駆動ローラを回転軸の下方に配置する場合は、左右のローラフレームの回転軸の取付けピッチを、左右の駆動ローラピッチより小さく設定し、駆動ローラを回転軸の上方に配置する場合は、左右のローラフレームの回転軸の取付けピッチを、左右の駆動ローラピッチより大きく設定したことを特徴とする請求項2記載のワークの搬送装置。
【請求項4】
請求項1記載のワークの搬送装置を用い、2台の減速モータをそれぞれ個別のインバータで速度制御を行うことを特徴とするワークの搬送方法。
【請求項5】
請求項2記載のワークの搬送装置を用い、左右のローラフレームを閉じた状態でワークを搬送し、左右のローラフレームを開いてワークを昇降させることを特徴とするワークの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ローラを用いたワークの搬送装置及び搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば鋳型造型設備においては、ワークの搬送装置として、左右のローラフレームに所定ピッチで駆動ローラを配置したローラコンベヤが用いられている。これらの駆動ローラはそれぞれチェインホイールを備え、特許文献1の
図4に示されるように、一台のモータによって駆動されている。このような従来のワークの搬送装置では、モータの駆動力は左右のローラフレームを貫通する動力伝達軸によって左右のローラチェインに伝達され、左右のローラフレームに配置された駆動ローラを回転させている。
【0003】
ところが、例えば動力伝達軸に使用されているキーの打たれ方等によってガタツキが発生した場合、微小ではあるが左右の駆動ローラの起動停止のタイミングがずれるため、搬送されるワークに蛇行が生ずる原因となり、ワークの搬送面に角があるような場合には、駆動ローラの鍔にワークの角部が引っ掛かり、搬送に支障を来たすことがあった。
【0004】
また鋳型造型設備においては、特許文献1に記載されているように、駆動ローラに支持されているワークを昇降リフタにより昇降させることがあるが、従来のワークの搬送装置では動力伝達軸が貫通している左右のローラフレームの間隔は一定であるため、昇降リフタへのワークの移し替えに制約があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭47−040930号公報(第3図、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、搬送されるワークの蛇行を防止することができ、かつ昇降リフタへのワークの移し替えが容易に行えるワークの搬送装置及び搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明のワークの搬送装置は、ワーク搬送用の駆動ローラが片持ち構造で多数取り付けられた左右のローラフレームと、それぞれのローラフレームに個別に取り付けられた減速モータと、各減速モータによってそれぞれの駆動ローラが有しているチェインホイールを介して各駆動ローラを駆動するために各ローラフレームに設けられたローラチェインとからなることを特徴とするものである。
【0008】
なお請求項2のように、左右のローラフレームを、回転軸を中心としてアクチェータにて開閉可能とすることができる。また請求項3のように、駆動ローラを回転軸の下方に配置する場合は、左右のローラフレームの回転軸の取付けピッチを、左右の駆動ローラピッチより小さく設定し、駆動ローラを回転軸の上方に配置する場合は、左右のローラフレームの回転軸の取付けピッチを、左右の駆動ローラピッチより大きく設定することが好ましい。
【0009】
また請求項4の発明のワークの搬送方法は、請求項1記載のワークの搬送装置を用い、2台の減速モータをそれぞれ個別のインバータで速度制御を行うことを特徴とするものであり、請求項5の発明のワークの搬送方法は、請求項2記載のワークの搬送装置を用い、左右のローラフレームを閉じた状態でワークを搬送し、左右のローラフレームを開いてワークを昇降させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のワークの搬送装置及び搬送方法によれば、左右のローラフレームに取付けられたワーク搬送用の駆動ローラをそれぞれ別個の減速モータによって駆動するので、ワークの蛇行防止を図ることができる。また、左右のローラフレームを開閉することができるので、左右のローラフレームを開いてワークを昇降させることを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のワークの搬送装置を示す平面図である。
【
図2】
図1のA−A矢視(左右のローラフレームが閉じている状態)である。
【
図4】
図1のA−A矢視(左右のローラフレームが開いている状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜
図3にて、本発明のワークの搬送装置1の構造を説明する。
本搬送装置1は、左右のローラフレーム2に、片持ち軸3により多数の駆動ローラ4を取付けたものである。駆動ローラ4はワーク搬送用のローラであり、ワークの脱落を防止するための鍔付ローラである。図示のように、ワークは左右のローラフレーム2の駆動ローラ4に左右両端部を支持され、駆動ローラ4の回転によって搬送される。
【0013】
それぞれの駆動ローラ4はチェインホイール5を備えており、それぞれのローラフレーム2が有しているローラチェイン6が
図3に示すようにチェインホイール5と噛み合っている。それぞれのローラフレーム2には減速モータ7が1台ずつ取付けられており、それぞれのローラフレーム2のローラチェイン6を駆動する。このため、それぞれのローラフレーム2の駆動ローラ4はそれぞれのローラフレーム2の減速モータ7によって個別に駆動される。
【0014】
このように本搬送装置1は、左右のローラフレーム2及び減速モータ7から駆動ローラ4に至るまでの駆動系が、左右それぞれ個別に構成されているため、2台の減速モータ7を図示しないそれぞれ別個のインバータで速度制御を行う事により、片持ち軸3と駆動ローラ4、チェインホイール5を結合している図示しない平行キーと、キー溝の隙間による左右の駆動ローラ4の加速、減速、停止の応答のずれを矯正する事が出来るため、搬送物の蛇行を防止する事が出来る。
【0015】
また、本搬送装置1は、左右のローラフレーム2及び減速モータ7から駆動ローラ4に至るまでの駆動系を、左右それぞれ個別に構成した事により、シリンダ8等のアクチェータにて、左右のローラフレーム2を開閉する事ができる。
【0016】
具体的には、
図2、
図3に示すようにそれぞれのローラフレーム2を下方に水平に設けられた回転軸9を介してフレーム10に固定し、それぞれのローラフレーム2をシリンダ8のロッド側とシリンダ側の継手ピン11、12で結合し、シリンダ8の伸縮に合わせ、回転軸9を中心に回転する構造とした。左右のローラフレーム2の回転角度を同調させるため、それぞれのローラフレーム2の回転軸9に取り付けてあるアーム13、14をタイロッド15にて結合してある。この時、
図2、
図4では駆動ローラ4が回転軸9より上方に配置されているため、搬送物の落下防止目的として、左右のローラフレーム2の回転軸9の取付けピッチ(回転軸9、9間の距離)を、ワーク16外寸、すなわち、左右の駆動ローラ4のピッチより大きく設定する。
【0017】
図2、4にて、本搬送装置1の作用を説明する。
図2は、シリンダ8が縮み、左右のローラフレーム2が閉じた状態を示す。この状態で、駆動ローラ4上にワーク16を載せ、搬入出する事が出来る。
図4は、シリンダ8が伸び、左右のローラフレーム2が開いた状態を示す。左右の駆動ローラ4にて構成された開口部17がワーク16外寸より大きく開くため、昇降リフタ18で、ワーク16を昇降させる事が出来る。
【0018】
上記のように、回転軸9の取付けピッチをワーク16外寸、すなわち、左右の駆動ローラ4のピッチより大きく設定する事により、ワーク16の重力方向下向きの力が加わった場合、左右のローラフレーム2はさらに閉じる側に力が働くため、図示しないエアコンプレッサ、油圧ポンプの停止等によりシリンダ8の駆動力がなくなった場合でもワーク16を落とす事はない。
【0019】
なお、回転軸9の取付けピッチをワーク16の外寸、すなわち、左右の駆動ローラ4ピッチより大きく設定する事により、左右の駆動ローラ4を開く場合、駆動ローラ4の搬送レベル19の上を通って開く構造となるため、まず駆動ローラ4の回転上昇範囲をかわすレベルまで、ワーク16を昇降リフタ18で持ち上げておく必要がある。
【0020】
すなわち、本搬送装置1を使用する場合のワーク16の昇降工程は以下の工程となる。
(ワーク16下降時)
1.駆動ローラ4にて本搬送装置1上にワーク16を搬入。
2.昇降リフタ18で駆動ローラ4の開閉時の干渉範囲外までワーク16を持ち上げ。
3.左右のローラフレーム2開き。
4.昇降リフタ18上のワーク16下降。
(ワーク16上昇時)
1.昇降リフタ18で駆動ローラ4の開閉時の干渉範囲外までワーク16持ち上げ。
2.左右のローラフレーム2閉じ。
3.昇降リフタ18を下降し、ワーク16を駆動ローラ4上に移し換え。
4.駆動ローラ4にて本搬送装置1からワーク16を搬出。
【0021】
以上に説明したように、本発明のワークの搬送装置及び搬送方法によれば、左右のローラフレーム2に取付けられたワーク搬送用の駆動ローラ4をそれぞれ別個の減速モータ7によって駆動するので、ワーク16の蛇行防止を図ることができる。また、左右のローラフレーム2を開いてワーク16を昇降させることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 本搬送装置
2 ローラフレーム
3 片持ち軸
4 駆動ローラ
5 チェインホイール
6 ローラチェイン
7 減速モータ
8 シリンダ
9 回転軸
10 フレーム
11 継手ピン
12 継手ピン
13 アーム
14 アーム
15 タイロッド
16 ワーク
17 開口部
18 昇降リフタ
19 搬送レベル