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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209387(P2015-209387A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】ジオール組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20151027BHJP
   C08G 65/28 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   C07D493/04 101C
   C08G65/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-91130(P2014-91130)
(22)【出願日】2014年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中野 孝之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一樹
【テーマコード(参考)】
4C071
4J005
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC12
4C071DD04
4C071EE05
4C071FF15
4C071HH05
4C071LL03
4J005AA12
4J005BA00
4J005BB02
(57)【要約】
【課題】樹脂の構成単位とする場合の反応性が高く、得られた樹脂の機械物性に優れるジオール組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物(a)を含有するジオール組成物(A)であって、(A)中の(a1)の含有率が、(A)の重量に基づいて65〜100重量%であるジオール組成物。
【化1】

[式中、R、Rは、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルキレン基を表す。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(a1)を含有するジオール組成物(A)であって、(A)中の(a1)の含有率が、(A)の重量に基づいて65〜100重量%であるジオール組成物。
【化1】
[式中、R、Rは、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルキレン基を表す。]
【請求項2】
ジオール組成物(A)中のイソソルビドの含有率が、(A)の重量に基づいて2重量%以下である請求項1に記載のジオール組成物。
【請求項3】
ジオール組成物(A)中の下記一般式(2)で表される化合物(a2)の含有率が、(A)の重量に基づいて15重量%以下である請求項1又は2に記載のジオール組成物。
【化2】
[式中、Rは、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。]
【請求項4】
ジオール組成物(A)中の下記一般式(3)で表される化合物(a3)の含有率が、(A)の重量に基づいて18重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のジオール組成物。
【化3】
[式中、R、Rは、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルキレン基、m、nはそれぞれ独立に1〜5の整数であり、m+n=3〜10を満たす。]
【請求項5】
(A)の水酸基の総数に対する1級水酸基の総数の割合が、80〜100%である請求項1〜4のいずれかに記載のジオール組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のジオール組成物(A)の製造方法であって、触媒(b)及び溶剤(c)の存在下で、イソソルビドにアルキレンオキサイドを付加する工程を含むジオール組成物(A)の製造方法。
【請求項7】
触媒(b)のプロトン親和性が990〜1050kJ/molである請求項6に記載のジオール組成物(A)の製造方法。
【請求項8】
溶剤(c)の溶解度パラメーターが、8.0〜25.0(cal/cm1/2である請求項6又は7に記載のジオール組成物(A)の製造方法。
【請求項9】
溶剤(c)の量が、イソソルビドの重量に基づいて5〜30重量%である請求項6〜8のいずれかに記載のジオール組成物(A)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオール組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の枯渇が大きな問題となる中で、植物由来のバイオマス資源から製造される原料による石油由来原料の代替は、石油資源の保護につながる。また、バイオマス資源由来の原料は、廃棄の際の二酸化炭素排出量削減に寄与する。このため、バイオマス資源由来の原料は、近年注目をされている。
このようなバイオマス資源由来の原料の一つであるイソソルビドは、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂等にハードセグメント骨格を導入する目的で使用されている。イソソルビドを用いたこれらの樹脂は、機械物性、耐熱性、光学特性等に優れていることが知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
また、イソソルビドの水酸基は環状炭化水素中の2級炭素に結合しているため、直鎖状炭化水素中の炭素に結合している水酸基に比べて、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等を形成させる際の反応速度が遅い。このため、工程時間が長引き生産性を損なうと同時に、所望の樹脂物性を得ることが困難となることがある。そこで、イソソルビドの水酸基にエチレンオキサイド(以下EOと略記)を付加することによって、直鎖状炭化水素中の1級炭素に結合した水酸基をイソソルビドに導入する方法が提案されている(例えば特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−112821号公報
【特許文献2】特開2012−72350号公報
【特許文献3】特開2013−139584号公報
【特許文献4】特開2013−142128号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のイソソルビドは樹脂の構成単位とする場合には他の構成単位との反応性が悪く、特許文献4に記載のイソソルビドのEO付加物は他の構成単位との反応性が高いものの、これらを構成単位とした場合には得られた樹脂の機械物性が劣るという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、樹脂の構成単位とする場合には他の構成単位との反応性が高く、得られた樹脂の機械物性に優れるジオール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(a)を含有するジオール組成物(A)であって、(A)中の(a1)の含有率が、(A)の重量に基づいて65〜100重量%であるジオール組成物(A)及び前記ジオール組成物(A)の製造方法を提供することである。
【化1】
[式中、R、Rは、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルキレン基を表す。]
【発明の効果】
【0008】
本発明のジオール組成物(A)は、樹脂の構成単位とした場合の反応性が高く、得られた樹脂の機械物性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のジオール組成物(A)は、一般式(1)で表される化合物(a)を含有する。
一般式(1)において、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数2〜8のアルキレン基であり、好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは2〜4であり、特に好ましくは、2又は3である。R、Rは、炭素数が8を超えると、イソソルビドのアルキレンオキサイド付加物の嵩高さが大きくなりすぎて樹脂強度が悪くなる。
【0010】
本発明のジオール組成物(A)のアルキレン基として、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、スチレン基等が挙げられ、この内の1種または2種類以上を併用することが出来る。付加されるアルキレン基は、配列も任意であり、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0011】
本発明のジオール組成物(A)中の化合物(a1)の含有率は、(A)の重量に基づいて65〜100重量%である。樹脂物性の観点より、好ましくは75〜100重量%であり、より好ましくは85〜100重量%である。
ジオール組成物(A)中の化合物(a1)の含有率は、以下の方法で測定することができる。
<ジオール組成物(A)中の化合物(a1)の含有率の測定方法>
本発明のジオール組成物(A)中における化合物(a1)の含有率は、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定することができる。GCの測定条件の一例を以下に示す。
[GCの測定条件]
装置: GC−2014(島津製作所(株)製)
カラム: レステック Rtx−1
(4.6mmO X 250mm)
試料溶液: 10重量%のメタノール溶液
注入量: 2μl
【0012】
本発明のジオール組成物(A)は、イソソルビドを含有していてもよい。
ジオール組成物(A)中のイソソルビドの含有率は、樹脂物性の観点より、(A)の重量に基づいて好ましくは2重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。
本発明のジオール組成物(A)中のイソソルビドの含有率は、前記(A)中の(a1)の含有率の測定と同様の方法で測定することができる。
【0013】
本発明のジオール組成物(A)は下記一般式(2)で表される化合物(a2)を含んでいても良い。
【化2】
一般式(2)において、Rは、炭素数2〜8のアルキレン基であり、好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは2〜4であり、特に好ましくは、2又は3である。
【0014】
本発明のジオール組成物(A)中の化合物(a2)の含有率は、樹脂の機械物性の観点より、(A)の重量に基づいて好ましくは2重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。
本発明のジオール組成物(A)中における化合物(a2)の含有率は、前記(A)中の(a1)の含有率の測定と同様の方法で測定することができる。
【0015】
本発明のジオール組成物(A)中の下記一般式(3)で表される化合物(a3)を含んでいても良い。
【化3】
【0016】
一般式(3)において、R、Rはそれぞれ独立に、好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくは2〜6であり、特に好ましくは、2又は3である。
【0017】
一般式(3)におけるm、nは、それぞれ独立に1〜5の数であるのが好ましく、m+n=3〜10を満たす数であるのが好ましい。このうち樹脂物性の観点より、m+nは好ましくは3〜6であり、より好ましくは3又は4である。
【0018】
本発明のジオール組成物(A)中の化合物(a3)の含有率は、樹脂物性の観点より、好ましくは(A)の重量に基づいて18重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。なお、(A)中の(a3)の含有率は、(A)中の(a3)に該当するすべての化合物の含有率を意味する。
本発明のジオール組成物(A)中における化合物(a3)の含有率は、前記(A)中の(a1)の含有率の測定と同様の方法で測定することができる。
【0019】
本発明のジオール組成物(A)の水酸基の総数に対する1級水酸基の総数の割合が、樹脂製造の際の反応性の観点より、好ましくは80〜100%であり、より好ましくは90〜100重量%である。
ジオール組成物(A)の水酸基の総数に対する1級水酸基の総数の割合は、以下の方法で測定することができる。
<ジオール組成物(A)の水酸基の総数に対する1級水酸基の総数の割合の測定方法>
ジオール組成物(A)中の1級水酸基と2級水酸基の含有量は、H−NMR法により測定し算出する。使用するH−NMRの装置は、周波数300MHzのものを用いる。
ジオール組成物(A)約30mgとトリフルオロ無水酢酸100mgを直径5mmのNMR用試料菅に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化アセトン、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることの出来る溶媒を適宜選択する。
調整した試料を通常の条件でH−NMRを測定すると、1級水酸基のメチレン基由来の信号(P)は4.4〜4.6ppmに観測され、2級水酸基のメチン基由来の信号(S)が5.3〜5.4ppmに観測される。測定試料中における1級水酸基と2級水酸基の含有量(モル%)は、次の計算式によって算出される。
1級水酸基(モル%)=〔(P)/2〕/〔(S)+(P)/2〕×100
2級水酸基(モル%)=〔(P)/2〕/〔(S)+(P)/2〕×100
ただし、式中(S)は5.3〜5.4ppmに観測されるメチン基由来の信号の積分値;(P)は4.4〜4.6ppmに観測されるメチレン基由来の信号の積分値である。
【0020】
本発明におけるジオール組成物(A)は、公知の方法で製造することができるが、例えば以下の方法が挙げられる。
活性水素を有する化合物を加圧反応容器に投入し、無触媒又は触媒の存在下に、炭素数2〜8のアルキレンオキサイドを滴下し、1段階又は多段階で反応を行なう。炭素数2〜8のアルキレンオキサイドとしては、EO、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド、へキシレンオキサイド及びスチレンオキサイド等が挙げられ、この内の1種または2種類以上を併用することができる。
反応温度は、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは70〜140℃である。反応圧力は、好ましくは0.001〜0.5MPaである。反応時間は、好ましくは2〜24時間であり、更に好ましくは3〜10時間である。
触媒としては、アルカリ触媒(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)等が挙げられる。触媒の使用量は、(A)の重量に基づき好ましくは0.01〜5重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
反応終了後、触媒は(A)中にそのまま残しておいてもよいし、吸着剤を用いて吸着・ろ過し除去する方法、酸で中和して触媒を不活性化する方法等により処理することができる。
【0021】
本発明のジオール組成物(A)の製造方法は、触媒(b)及び溶剤(c)の存在下で、イソソルビドにアルキレンオキサイドを付加する工程を含む。
【0022】
触媒(b)として、例えば、水酸化リチウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TMAHと略記する)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが挙げられ、この内の1種または2種類以上を併用することが出来る。本発明に用いる触媒(b)は、記載のものに限定されるものではない。
【0023】
反応時間の観点より、本発明にて用いる触媒(b)として、水酸化リチウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、TMAHを用いることが好ましく、さらに好ましくは水酸化リチウム、TMAHである。
【0024】
触媒(b)のプロトン親和性は水酸基との反応速度の観点より、好ましくは990〜1050KJ/molであり、より好ましくは1000〜1020KJ/molである。
【0025】
本発明のジオール組成物(A)の製造時に使用する溶剤(c)として、例えば、水、メチルエチルケトン(以下MEKと略記)、メチルブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、アセトニトリル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられ、この内の1種または2種類以上を併用することが出来る。本発明に用いる溶剤(c)は、記載のものに限定されるものではない。
【0026】
イソソルビドの溶剤への溶解性の観点より、本発明にて用いる溶剤(c)として、水、MEK、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましく、さらに好ましくは水、MEKである。
【0027】
溶剤(c)の溶解度パラメーターは、イソソルバイドの溶解度の観点より、好ましくは8.0〜25.0(cal/cm1/2であり、より好ましくは9.0〜16.0(cal/cm1/2である。
【0028】
アルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜8のアルキレンオキサイドが挙げられ、具体的には、EO、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド、へキシレンオキサイド及びスチレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0029】
本発明のジオール組成物(A)の製造時の触媒(b)の使用量は、(A)の重量に基づき好ましくは0.01〜5重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。反応終了後、触媒は(A)中にそのまま残しておいてもよいし、吸着剤を用いて吸着・ろ過し除去する方法、酸又はアルカリで中和して触媒を不活性化する方法及び加熱分解して減圧除去する方法等により処理することができる。
【0030】
本発明のジオール組成物(A)の製造時の溶剤の使用量はイソソルビドの重量に対して、好ましくは5〜30重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。
溶剤使用量が30重量%以下であれば生産効率が向上し、5重量%以上であれば、(A)中の化合物(a3)の含量が少なくなるため好ましい。
【0031】
本発明のジオール組成物(A)の製造時の反応温度は、好ましくは60〜130℃であり、より好ましくは80〜110℃である。
反応温度が130℃以下であれば、生成する化合物(a3)の量が少なくなるため好ましい。
また、反応温度が60℃以上であれば、製造時間が短くなるため好ましい。
【0032】
本発明のジオール組成物(A)の製造時に使用する溶剤(c)は、アルキレンオキサイド付加後に減圧下にて除去する。溶剤除去時の温度は、好ましくは100〜130℃であり、減圧度は好ましくは0.002MPa以下である。溶剤除去時の温度が100℃以上であれば、溶剤除去に要する時間が短くなり、130℃以下であれば、溶剤が激しく沸騰することを防ぐことができ好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
<実施例1>
ガラス製オートクレーブに、イソソルビド624重量部、水100重量部、TMAH(プロトン親和性:1040KJ/mol)4重量部を投入し、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、イソソルビドと水とTMAHを均一混合した。その後、90〜100℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でEO376重量部を5時間かけて滴下反応させた。反応中、GCでイソソルビドのEO付加モル分布を前記の方法で測定し、EO1モル付加物が2重量%以下になるまで反応させた。続いて、150〜160℃まで昇温し、同温度で圧力0.002MPa以下にて減圧を行い、系中の水とTMAHを除去することによって、本発明のジオール組成物(A−1)を1000重量部得た。
【0035】
<実施例2>
実施例1において、水の代わりにMEK100重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−2)を1000重量部得た。
【0036】
<実施例3>
実施例1において、TMAHの代わりにトリブチルアミン4重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−3)を1000重量部得た。
【0037】
<実施例4>
実施例3において、水の代わりにMEK100重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−4)を1000重量部得た。
【0038】
<実施例5>
ガラス製オートクレーブに、イソソルビド624重量部、水100重量部、水酸化リチウム(プロトン親和性:1000KJ/mol)2重量部を投入し、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、イソソルビドと水と水酸化リチウムを均一混合した。その後、90〜100℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でEO376重量部を6時間かけて滴下反応させた。反応中、GCでイソソルビドのEO付加モル分布を前記の方法で測定し、EO1モル付加物が2重量%以下になるまで反応させた。続いて、80〜90℃に冷却し、キョーワード600(協和化学工業(株)製)を10重量部投入した後15分攪拌した。この後、90〜100℃まで昇温し、同温度で圧力0.002MPa以下にて減圧を行い、系中の水を除去した後にろ過を行い、本発明のジオール組成物(A−5)を981重量部得た。
【0039】
<実施例6>
実施例5において、水の代わりにMEK100重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−6)を972重量部得た。
【0040】
<実施例7>
実施例1において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−7)を1000重量部得た。
【0041】
<実施例8>
実施例2において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−8)を1000重量部得た。
【0042】
<実施例9>
実施例3において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−9)を1000重量部得た。
【0043】
<実施例10>
実施例4において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−10)を1000重量部得た。
【0044】
<実施例11>
実施例5において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−11)を979重量部得た。
【0045】
<実施例12>
実施例6において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−12)を981重量部得た。
【0046】
<比較例1>
実施例1において、水の代わりにノルマルヘキサン100重量部を用いることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−1)を1000重量部得た。
【0047】
<比較例2>
実施例5において、水酸化リチウムの代わりに水酸化カリウム2重量部を用いることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−2)を980重量部得た。
【0048】
<比較例3>
実施例1において、水酸化リチウムの代わりにトリメチルアミン4重量部を用いることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−3)を1000重量部得た。
【0049】
<比較例4>
ガラス製オートクレーブに、イソソルビド624重量部、TMAH4重量部を投入し、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、イソソルビドとTMAHを均一混合した。その後、90〜100℃、反応圧0.4MPa以下でEO376重量部を4時間かけて滴下反応させた。GCでイソソルビドのEO付加モル分布を前記の方法で測定し、イソソルビドが5重量%以下になるまで反応させた。続いて、反応物温度を150〜160℃まで昇温し、同温度で圧力0.002MPa以下にて減圧を行い、TMAHを除去することによって、比較のジオール組成物(A’−4)を1000重量部得た。
【0050】
<比較例5>
実施例1において、イソソルビドを499重量部、水を500重量部、EOを301重量部で8時間滴下反応させることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−5)を800重量部得た。
【0051】
<比較例6>
比較例1において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−6)を1000重量部得た。
【0052】
<比較例7>
比較例2において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−7)を1000重量部得た。
【0053】
<比較例8>
比較例3において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−8)を1000重量部得た。
【0054】
<比較例9>
比較例4において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−9)を1000重量部得た。
【0055】
<比較例10>
比較例5において、イソソルビド446重量部、EOの代わりにPO354重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−10)を800重量部得た。
【0056】
ジオール組成物(A−1)〜(A−12)、(A’−1)〜(A’−10)の組成及び製造条件を表1〜4に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
得られたジオール組成物(A−1)〜(A−12)、(A’−1)〜(A’−10)を用いて、ポリエステル樹脂を合成した(実施例13〜24、比較例11〜20)。
【0062】
<実施例13>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸647重量部、ジオール組成物(A−1)399重量部及びチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら3時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、水を留去しながら5時間反応させポリエステル樹脂(PE−1)を1000重量部得た。
【0063】
<実施例14>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−2)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−2)を1000重量部得た。
【0064】
<実施例15>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−3)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−3)を1000重量部得た。
【0065】
<実施例16>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−4)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−4)を1000重量部得た。
【0066】
<実施例17>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−5)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−5)を1000重量部得た。
【0067】
<実施例18>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−6)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−6)を1000重量部得た。
【0068】
<実施例19>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−7)666重量部、無水フタル酸376重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−7)を1000重量部得た。
【0069】
<実施例20>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−8)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−8)を1000重量部得た。
【0070】
<実施例21>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−9)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−9)を1000重量部得た。
【0071】
<実施例22>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−10)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−10)を1000重量部得た。
【0072】
<実施例23>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−11)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−11)を1000重量部得た。
【0073】
<実施例24>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−12)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−12)を1000重量部得た。
【0074】
<比較例11>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−1)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−1)を1000重量部得た。
【0075】
<比較例12>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−2)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−2)を1000重量部得た。
【0076】
<比較例13>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−3)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−3)を1000重量部得た。
【0077】
<比較例14>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−4)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−4)を1000重量部得た。
【0078】
<比較例15>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−5)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−5)を1000重量部得た。
【0079】
<比較例16>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−6)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−6)を1000重量部得た。
【0080】
<比較例17>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−7)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−7)を1000重量部得た。
【0081】
<比較例18>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−8)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−8)を1000重量部得た。
【0082】
<比較例19>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−9)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−9)を1000重量部得た。
【0083】
<比較例20>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−10)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−10)を1000重量部得た。
【0084】
ジオール組成物(A−1)〜(A−12)、(A’−1)〜(A’−10)の反応性と、ポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)、(PE’−1)〜(PE’−10)の樹脂強度を以下の方法で評価した。結果を表5〜8に示す。
【0085】
[1]ジオール組成物(A)、(A’)の反応性の評価方法
ポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)、(PE’−1)〜(PE’−10)を合成した後、平均分子量を下記条件のGPCにて測定した。平均分子量が高いほど、ジオール組成物(A)、(A’)の反応性に優れることを意味する。
<ポリエステル樹脂の平均分子量の測定方法>
ポリエステル樹脂の平均分子量は、GPCを用いて以下の条件で測定される。
装置 : 東ソー(株)製HLC−8120
カラム : TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量: 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン
数平均分子量は分子量分布リストの全ての値の積分値から求める。測定にあたっては、樹脂粒子中の任意の粒子1粒を取り出し、これをTHFに溶解したものを試料溶液とする。この試料溶液の測定を10粒子について行う。
【0086】
[2]ポリエステル樹脂(PE)、(PE’)の樹脂強度の評価方法
ポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)、(PE’−1)〜(PE’−10)を250℃に温調したホットプレスで厚さ1mmになるように30秒プレスし、フィルムを得た。
フィルム化したポリエステル樹脂から、JIS K6301(1995年)の引裂試験片ダンベルB号形を3枚打ち抜いた。板厚は曲がっている場所の近傍5カ所の最小値をとった。これを恒温槽の設置されたオートグラフに取り付け、25℃に温調し、2時間放置した後、200mm/minの速さで引っ張り、試験片が破断にいたる最大強度を算出した。樹脂強度が大きいほど、ポリエステル樹脂(PE)、(PE’)の機械物性が優れていることを示す。
【0087】
表1〜4の結果から、実施例1〜12のジオール組成物(A−1)〜(A−12)は、比較例1〜10のジオール組成物(A’−1)〜(A’−10)と比較して、化合物(a1)の含量量が高い。
【0088】
表5〜8の結果から、実施例13〜24のポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)は、比較例11〜20のポリエステル樹脂(PE’−1)〜(PE’−10)と比較して、ポリエステル樹脂を構成するジオール組成物の反応性が高く、ポリエステル樹脂の樹脂強度が高い。
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【産業上の利用分野】
【0093】
本発明のジオール組成物(A)は、樹脂の構成単位とした場合の反応性が高く、得られた樹脂の機械物性に優れることから、種々の樹脂の構成単位として使用することができる。