【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
<実施例1>
ガラス製オートクレーブに、イソソルビド624重量部、水100重量部、TMAH(プロトン親和性:1040KJ/mol)4重量部を投入し、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、イソソルビドと水とTMAHを均一混合した。その後、90〜100℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でEO376重量部を5時間かけて滴下反応させた。反応中、GCでイソソルビドのEO付加モル分布を前記の方法で測定し、EO1モル付加物が2重量%以下になるまで反応させた。続いて、150〜160℃まで昇温し、同温度で圧力0.002MPa以下にて減圧を行い、系中の水とTMAHを除去することによって、本発明のジオール組成物(A−1)を1000重量部得た。
【0035】
<実施例2>
実施例1において、水の代わりにMEK100重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−2)を1000重量部得た。
【0036】
<実施例3>
実施例1において、TMAHの代わりにトリブチルアミン4重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−3)を1000重量部得た。
【0037】
<実施例4>
実施例3において、水の代わりにMEK100重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−4)を1000重量部得た。
【0038】
<実施例5>
ガラス製オートクレーブに、イソソルビド624重量部、水100重量部、水酸化リチウム(プロトン親和性:1000KJ/mol)2重量部を投入し、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、イソソルビドと水と水酸化リチウムを均一混合した。その後、90〜100℃、反応圧0.4MPa以下の範囲でEO376重量部を6時間かけて滴下反応させた。反応中、GCでイソソルビドのEO付加モル分布を前記の方法で測定し、EO1モル付加物が2重量%以下になるまで反応させた。続いて、80〜90℃に冷却し、キョーワード600(協和化学工業(株)製)を10重量部投入した後15分攪拌した。この後、90〜100℃まで昇温し、同温度で圧力0.002MPa以下にて減圧を行い、系中の水を除去した後にろ過を行い、本発明のジオール組成物(A−5)を981重量部得た。
【0039】
<実施例6>
実施例5において、水の代わりにMEK100重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−6)を972重量部得た。
【0040】
<実施例7>
実施例1において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−7)を1000重量部得た。
【0041】
<実施例8>
実施例2において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−8)を1000重量部得た。
【0042】
<実施例9>
実施例3において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−9)を1000重量部得た。
【0043】
<実施例10>
実施例4において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−10)を1000重量部得た。
【0044】
<実施例11>
実施例5において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−11)を979重量部得た。
【0045】
<実施例12>
実施例6において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、本発明のジオール組成物(A−12)を981重量部得た。
【0046】
<比較例1>
実施例1において、水の代わりにノルマルヘキサン100重量部を用いることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−1)を1000重量部得た。
【0047】
<比較例2>
実施例5において、水酸化リチウムの代わりに水酸化カリウム2重量部を用いることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−2)を980重量部得た。
【0048】
<比較例3>
実施例1において、水酸化リチウムの代わりにトリメチルアミン4重量部を用いることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−3)を1000重量部得た。
【0049】
<比較例4>
ガラス製オートクレーブに、イソソルビド624重量部、TMAH4重量部を投入し、窒素置換を行った後、110℃まで昇温し、イソソルビドとTMAHを均一混合した。その後、90〜100℃、反応圧0.4MPa以下でEO376重量部を4時間かけて滴下反応させた。GCでイソソルビドのEO付加モル分布を前記の方法で測定し、イソソルビドが5重量%以下になるまで反応させた。続いて、反応物温度を150〜160℃まで昇温し、同温度で圧力0.002MPa以下にて減圧を行い、TMAHを除去することによって、比較のジオール組成物(A’−4)を1000重量部得た。
【0050】
<比較例5>
実施例1において、イソソルビドを499重量部、水を500重量部、EOを301重量部で8時間滴下反応させることと「EO1モル付加物が2重量%以下」を「イソソルビドが5重量%以下」に置き換えた以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−5)を800重量部得た。
【0051】
<比較例6>
比較例1において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−6)を1000重量部得た。
【0052】
<比較例7>
比較例2において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−7)を1000重量部得た。
【0053】
<比較例8>
比較例3において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−8)を1000重量部得た。
【0054】
<比較例9>
比較例4において、イソソルビド557重量部、EOの代わりにPO443重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−9)を1000重量部得た。
【0055】
<比較例10>
比較例5において、イソソルビド446重量部、EOの代わりにPO354重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、比較のジオール組成物(A’−10)を800重量部得た。
【0056】
ジオール組成物(A−1)〜(A−12)、(A’−1)〜(A’−10)の組成及び製造条件を表1〜4に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
得られたジオール組成物(A−1)〜(A−12)、(A’−1)〜(A’−10)を用いて、ポリエステル樹脂を合成した(実施例13〜24、比較例11〜20)。
【0062】
<実施例13>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸647重量部、ジオール組成物(A−1)399重量部及びチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら3時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、水を留去しながら5時間反応させポリエステル樹脂(PE−1)を1000重量部得た。
【0063】
<実施例14>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−2)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−2)を1000重量部得た。
【0064】
<実施例15>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−3)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−3)を1000重量部得た。
【0065】
<実施例16>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−4)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−4)を1000重量部得た。
【0066】
<実施例17>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−5)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−5)を1000重量部得た。
【0067】
<実施例18>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−6)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−6)を1000重量部得た。
【0068】
<実施例19>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A−7)666重量部、無水フタル酸376重量部を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−7)を1000重量部得た。
【0069】
<実施例20>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−8)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−8)を1000重量部得た。
【0070】
<実施例21>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−9)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−9)を1000重量部得た。
【0071】
<実施例22>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−10)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−10)を1000重量部得た。
【0072】
<実施例23>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−11)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−11)を1000重量部得た。
【0073】
<実施例24>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A−12)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE−12)を1000重量部得た。
【0074】
<比較例11>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−1)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−1)を1000重量部得た。
【0075】
<比較例12>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−2)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−2)を1000重量部得た。
【0076】
<比較例13>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−3)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−3)を1000重量部得た。
【0077】
<比較例14>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−4)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−4)を1000重量部得た。
【0078】
<比較例15>
実施例13において、ジオール組成物(A−1)の代わりにジオール組成物(A’−5)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−5)を1000重量部得た。
【0079】
<比較例16>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−6)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−6)を1000重量部得た。
【0080】
<比較例17>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−7)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−7)を1000重量部得た。
【0081】
<比較例18>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−8)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−8)を1000重量部得た。
【0082】
<比較例19>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−9)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−9)を1000重量部得た。
【0083】
<比較例20>
実施例19において、ジオール組成物(A−7)の代わりにジオール組成物(A’−10)を用いること以外は全て同一の操作を行い、ポリエステル樹脂(PE’−10)を1000重量部得た。
【0084】
ジオール組成物(A−1)〜(A−12)、(A’−1)〜(A’−10)の反応性と、ポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)、(PE’−1)〜(PE’−10)の樹脂強度を以下の方法で評価した。結果を表5〜8に示す。
【0085】
[1]ジオール組成物(A)、(A’)の反応性の評価方法
ポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)、(PE’−1)〜(PE’−10)を合成した後、平均分子量を下記条件のGPCにて測定した。平均分子量が高いほど、ジオール組成物(A)、(A’)の反応性に優れることを意味する。
<ポリエステル樹脂の平均分子量の測定方法>
ポリエステル樹脂の平均分子量は、GPCを用いて以下の条件で測定される。
装置 : 東ソー(株)製HLC−8120
カラム : TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量: 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン
数平均分子量は分子量分布リストの全ての値の積分値から求める。測定にあたっては、樹脂粒子中の任意の粒子1粒を取り出し、これをTHFに溶解したものを試料溶液とする。この試料溶液の測定を10粒子について行う。
【0086】
[2]ポリエステル樹脂(PE)、(PE’)の樹脂強度の評価方法
ポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)、(PE’−1)〜(PE’−10)を250℃に温調したホットプレスで厚さ1mmになるように30秒プレスし、フィルムを得た。
フィルム化したポリエステル樹脂から、JIS K6301(1995年)の引裂試験片ダンベルB号形を3枚打ち抜いた。板厚は曲がっている場所の近傍5カ所の最小値をとった。これを恒温槽の設置されたオートグラフに取り付け、25℃に温調し、2時間放置した後、200mm/minの速さで引っ張り、試験片が破断にいたる最大強度を算出した。樹脂強度が大きいほど、ポリエステル樹脂(PE)、(PE’)の機械物性が優れていることを示す。
【0087】
表1〜4の結果から、実施例1〜12のジオール組成物(A−1)〜(A−12)は、比較例1〜10のジオール組成物(A’−1)〜(A’−10)と比較して、化合物(a1)の含量量が高い。
【0088】
表5〜8の結果から、実施例13〜24のポリエステル樹脂(PE−1)〜(PE−12)は、比較例11〜20のポリエステル樹脂(PE’−1)〜(PE’−10)と比較して、ポリエステル樹脂を構成するジオール組成物の反応性が高く、ポリエステル樹脂の樹脂強度が高い。
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】