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特開2015-209537樹脂成形用材料及びこれを用いた樹脂成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209537(P2015-209537A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】樹脂成形用材料及びこれを用いた樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20151027BHJP
   G01K 11/12 20060101ALI20151027BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   C08L101/00
   G01K11/12 L
   C09K3/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-93941(P2014-93941)
(22)【出願日】2014年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(72)【発明者】
【氏名】藤好 一平
(72)【発明者】
【氏名】松本 康弘
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002CF211
4J002FD206
4J002GC00
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】樹脂成形品が温度変化によって示温材の色を表出したときに、その変化した状態を明瞭に認識できるようにすることのできる材料と、当該材料を用いた樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】熱硬化性樹脂をベース樹脂として示温材13を含ませて硬化物を形成し、当該硬化物を分割して加飾材として樹脂成形用材料12が形成される。この樹脂成形用材料12は、熱硬化性樹脂等のベース樹脂に配合され、型成形により、例えば、浴槽や、キッチンカウンター等の樹脂成形品として成形される。樹脂成形品が温度変化したときに、成形用材料に含まれる示温材13がベース樹脂の地色と異なる色を表出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース樹脂に示温材を含ませて硬化物を形成し、当該硬化物を分割して加飾材としたことを特徴とする成形用材料。
【請求項2】
請求項1記載の成形用材料をベース樹脂に分散して成形したことを特徴とする樹脂成形品。
【請求項3】
請求項2記載のベース樹脂に示温材を含ませるとともに、請求項1記載の成形用材料を更に含ませ、複数の温度領域で異なる色を表出可能としたことを特徴とする樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂成形用材料及びこれを用いた樹脂成形品に係り、更に詳しくは、特定の温度域において発色する示温材を分散させた樹脂成形用材料と、この材料をベース樹脂に含ませてベース樹脂の地色と異なる色を特定の温度域で表出することのできる樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
システムバスの浴槽や、キッチンカウンター、洗面ボウル等は、熱硬化性樹脂等をベース樹脂として成形されている。これら成形品の中には、特定の温度で色を表出(発色)する特殊材料である示温材を熱硬化性樹脂に含ませて成形されたものが存在する。
例えば、特許文献1には、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂をベース樹脂とし、これに粒子状の示温材を分散させて成形された浴槽が開示されている。この示温材が用いられた浴槽は、湯が適温領域にあるときに、ベース樹脂に配合された顔料の色である地色と異なる色が浴槽内面に表出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の浴槽にあっては、示温材の粒子を単にベース樹脂に配合して成形するものであり、例えば、図1(C)に示されるように、粒子状の示温材21がベース樹脂である熱硬化性樹脂20内で分散若しくは拡散した状態となるため、浴槽の内面側が、示温材21を発色させる温度に至って当該示温材21が発色しても、その色が全体的にぼやけてしまい、鮮明性に欠けて浴槽の温度変化を明確には認識できない、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、従来タイプに比べ、単位面積当たりにおいて、色が変化する程度の鮮明度を向上させること、つまり、樹脂成形品が温度変化によって示温材の色を表出したときに、当該色を明瞭に視認することができる樹脂成形用材料と、それを用いて成形される樹脂成形品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、複数の温度域において、それぞれ地色と異なる色を表出し得る樹脂成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、ベース樹脂に示温材を含ませて硬化物を形成し、当該硬化物を分割して加飾材として樹脂成形用材料とするものである。ここで、加飾材とは、大理石などの模様を樹脂成形品に付加する粒状または薄板状の樹脂硬化物である。ここでは、加飾材に用いるベース樹脂と樹脂成形品に用いるベース樹脂を同色にして、目視で判別できない模様も含む。
【0007】
また、本発明は、請求項1記載の成形用材料をベース樹脂に分散して成形する、という構成を採っている。
【0008】
更に、本発明は、請求項2記載のベース樹脂に示温材を含ませるとともに、請求項1記載の成形用材料を更に含ませ、複数の温度領域で異なる色を表出可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、示温材を含む樹脂硬化物を分割して加飾材とすることで、樹脂成形品に含まれる示温材を局所的に配置することができるので、単位面積当たりの色の変化を従来タイプに比べて明確なものとすることができる。
また、従来では、示温材を樹脂成形品のベース樹脂に分散させているので、色を明確に表出させるには大量の示温材が必要となるが、本発明によれば、樹脂成形品に含まれる示温材を局所的に配置することで示温材の視認性を良くして示温材の使用量を少なくすることができ、コスト削減を図ることができる。
また、複数の示温材を含む樹脂成形品とすることで、異なる温度域で、それぞれ色を表出させることができ、その色に特定の意味を付与しておけば、成形品の温度の変化状態を、より具体的に視覚を通じて認識することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A)は示温材が凝集された成形用材料を用いた樹脂成形品の模式図、(B)は変形例を示す樹脂成形品の模式図、(C)は従来例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(A)に示されるように、本実施形態に係る樹脂成形品10は、浴槽やキッチンカウンター等を成形対象に含み、当該樹脂成形品10は、例えば、白色顔料を添加したベース樹脂としての熱硬化性樹脂11と、これに配合された成形用材料12とを含んで構成されている。熱硬化性樹脂11としては、不飽和ポリエステル樹脂が好適に用いられている。成形用材料12は、熱硬化性樹脂をベース樹脂として示温材13を含ませて硬化させた後に、これを粉砕して加飾材としたものが用いられている。
本実施形態における樹脂成形品10は、実質的に同様の成形を2回行うことによって成形されたものとなる。
すなわち、第1回目の成形において、粒状の示温材を熱硬化性樹脂に配合し、これを硬化させた後に粉砕して成形用材料12を成形する。第2回目の成形において、成形用材料12を熱硬化性樹脂に配合し、これを硬化させることで成形品とされるものである。
なお、上記成形材料12に含まれる示温材は、或る温度(例えば、35℃〜40度)の範囲において、「有彩色」を表出し、それ以外の温度では、「透明」になるもの等が例示できる。
【0012】
従って、このような実施形態によれば、示温材が分散した加飾材により成形用材料12が構成されているので、これを熱硬化性樹脂に配合して所定の成形品としたときに、示温材が熱硬化性樹脂内で従来例のように分散することがなくなり、これにより、ぼやけることなく、樹脂成形品の地色との色のコントラストを明瞭に表出させることができる、という効果を得る。
また、地色と異なる色を表出したときの当該色に特別な意味を持たせることにより、成形品の用途に応じて、これの利用者に対し、視覚を通じて成形品の温度状態を認識させることができる。
【0013】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0014】
例えば、実施例では、示温材を分散させた硬化物を分割して加飾材を作製したが、示温材を分散させた硬化物をシート状に硬化させ、破砕または裁断して加飾材を作製しても良い。
【0015】
また、図1(B)に示されるように、熱硬化性樹脂11に成形用材料12を配合すると同時に、粒状の示温材14を配合して一体成形してもよい。ここで、示温材14は、成形用材料12を構成する加飾材に含まれる示温材13とは温度特性が異なるものが用いられている。
このような構成では、示温材13、14の色を表出する温度域を異ならせれば、それぞれの温度域で樹脂成形品の地色が変化するようになるので、例えば、浴槽に適用したときに、適温であるときの色と、適温を上回って熱くなりすぎたときの色とを区別できるようにして湯加減を視覚で確認できることになる。
また、季節の温度変化に応じて、樹脂成形品の色が変わるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0016】
10…樹脂成形品、11…熱硬化性樹脂(ベース樹脂)、12…成形用材料、13、14…示温材
図1