特開2015-209620(P2015-209620A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209620(P2015-209620A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】編地とその編成方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/00 20060101AFI20151027BHJP
【FI】
   D04B1/00 A
   D04B1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-93560(P2014-93560)
(22)【出願日】2014年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】高水 達哉
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅史
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002BA00
4L002BA02
4L002BA05
4L002EA00
4L002EA06
4L002FA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウェール(縦)方向にもコース(横)方向にも伸びにくい編地と、その編成方法の提供。
【解決手段】コース方向に沿って表目が複数目続き、かつ裏目が複数目続く、リブ組織を有する編地であって、隣接する表目と表目との間にミスの目が配置され、隣接する裏目と裏目との間にミスの目が配置され、かつ表目と裏目とミスの目との配置が、1コース毎にコース方向に沿ってシフトしている編地であり、好ましくは、表目が2目以上で4目以下続き、裏目が2目以上で4目以下続き、かつ隣接する表目と表目との間にミスの目が1目配置され、隣接する裏目と裏目との間にミスの目が1目配置されている編地。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コース方向に沿って表目が複数目続き、かつ裏目が複数目続く、リブ組織を有する編地であって、
隣接する表目と表目との間にミスの目が配置され、
隣接する裏目と裏目との間にミスの目が配置され、
かつ表目と裏目とミスの目との配置が1コース毎にコース方向に沿ってシフトしている編地。
【請求項2】
表目が2目以上で4目以下続き、裏目が2目以上で4目以下続き、
かつ隣接する表目と表目との間にミスの目が1目配置され、隣接する裏目と裏目との間にミスの目が1目配置されていることを特徴とする、請求項1の編地。
【請求項3】
表目が2目または3目続き、裏目が2目または3目続くことを特徴とする、請求項2の編地。
【請求項4】
表目と表目との間にミスの目が1目配置され、
裏目と裏目との間にミスの目が1目配置され、
さらに表目と裏目とミスの目との配置が1コース毎に1目ずつシフトしている、ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの編地。
【請求項5】
前後少なくとも一対の針床を有する横編機により、コース方向に沿って表目が複数目続き、かつ裏目が複数目続く、リブ組織を有する編地を編成する編成方法であって、
隣接する表目と表目との間にミスの目が配置され、隣接する裏目と裏目との間にミスの目が配置されているリブ組織を、1コース毎に表目と裏目とミスの目との配置をコース方向に沿ってシフトさせながら編成する、編地の編成方法。
【請求項6】
隣接する表目と裏目はミスの目無しに接続されていることを特徴とする、請求項5の編地の編成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦横の伸びが少ない編地とその編成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
布帛に比べ編地は縦横に伸びやすく、通常はこの性質を活かすように編地は用いられる。しかし縦横に伸び難く、力が加わっても一定の形状を保つことが要求される場合もある。例えば椅子やシートの表皮材では、体重が加わっても適度な張りを保って、身体を支持することが必要である。またベルトでは力が加わっても伸びないことが必要である。
【0003】
代表的な編地として、平編地とリブ編地とがあり、平編地はリブ編地に比べて伸び難い。特許文献1(特許3139727)は、タックの目とミスの目とを含ませることにより、編地の伸びを制限することを開示している。編地にテンションが加わると、編目のループが変形して、編糸が引き出されることが、編地の伸びの原因である。ミスの目にはループがないので、横方向(コース方向)の伸びが抑制される。タックの目ではニードルループが小さいので、縦方向(ウェール方向)の伸びが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3139727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、編地の伸びをさらに少なくすることを検討した。編目の基端と先端との間隔(編目の丈)が、編目の1コース分であると、編目のループの役割が大きくなり、縦方向の伸びを抑えるのは難しい。これに対して、編目の基端と先端とが、編目の2コース分以上離れているようにすると、ウェール方向の伸びが小さくなることが分かった。リブ組織を用いると、表目と裏目との間の渡糸が横方向の伸びの原因となる。発明者は、表目と裏目とミスの目との配置を工夫し、かつこの配置をコース毎にシフトさせることにより、縦方向にも横方向にも伸びにくい編地を編成できることを見出した。
【0006】
この発明の課題は、縦方向に横方向にも伸びにくい編地とその編成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のリブ組織を有する編地では、コース方向に沿って表目が複数目続き、かつ裏目が複数目続き、
隣接する表目と表目との間にミスの目が配置され、
隣接する裏目と裏目との間にミスの目が配置され、
かつ表目と裏目とミスの目との配置が1コース毎にコース方向に沿ってシフトしている。
【0008】
この発明では、前後少なくとも一対の針床を有する横編機により、コース方向に沿って表目が複数目続き、かつ裏目が複数目続く、リブ組織を有する編地を編成する。この発明では、隣接する表目と表目との間にミスの目が配置され、隣接する裏目と裏目との間にミスの目が配置されているリブ組織を、1コース毎に表目と裏目とミスの目との配置をコース方向に沿ってシフトさせながら編成する。
【0009】
この発明では、
・ 1コース毎に、表目と裏目とミスの目との配置を、コース方向に沿ってシフトさせ、
・ 隣接する表目と表目との間にミスの目が配置され、隣接する裏目と裏目との間にもミスの目が配置されている。このようにすると、基端と先端との間隔(編目の丈)が、2コース以上となる編目が形成される。また隣接する表目と裏目との間にミスの目が無くても、これらの編目は丈が2コース以上となる。このようにして編目はウェール方向に引き伸ばされ(図3)、編地にテンションが加わった際に、編目のループから引き出される編糸が少なくなる。
【0010】
このため編地は伸び難くなり、特にウェール方向に伸び難くなる。なお隣接する表目と裏目との間にミスの目を設けると、丈がさらに長い編目が形成される。例えば2×2のリブ組織で、表目と表目の間、裏目と裏目の間、及び表目と裏目の間に、1目ずつミスの目を入れると、丈が2コースの編目と6コースの編目とが形成される。連続する表目の数、あるいは連続する裏目の数をさらに増すと、さらに丈が長い編目が生じて編成が難しくなる。このため、隣接する表目と裏目との間にはミスの目を設けないことが好ましい。
【0011】
ミスの目は編地が伸びることを制限し、特にコース方向に伸びることを制限する。このこと自体は、特許文献1と同様である。表目と裏目との間には、編地の前後に渡る渡糸(編地の表裏に渡る渡糸)がある。この発明の編地では、編地の前後に渡る渡糸は、丈が2コース以上の両側の編目により引かれて、コース方向に引き出され難くなる。言い換えると、リブ組織の表裏が強く密接して、コース方向への引っ張りに対して伸び難くなる。また編目は丈が長く、ウェール方向に沿って引き伸ばされているので、ウェール方向の引っ張りにも伸び難くなる。以上のために、この発明の編地はコース方向にもウェール方向にも伸び難い。
【0012】
編目の配置は1コース毎にシフトし、一方向にシフトを繰り返しても、所定の周期でシフト方向を反転しても良い。この発明の編地では、表目と裏目とミスの目の配置が斜めにシフトする。
【0013】
好ましくは、表目が2目以上で4目以下続き、裏目が2目以上で4目以下続き、かつ隣接する表目と表目との間にミスの目が1目配置され、隣接する裏目と裏目との間にミスの目が1目配置されている。例えば表目と表目との間にミスの目を1目配置し、同様に裏目と裏目との間にミスの目を1目配置し、1目ずつシフトさせる場合を考える。表目を基準に見れば、連続する表目の端の位置では、シフトにより次コース以降は裏目とミスが交互に繰り返され、再び表目になるまでのコース数だけ、編目が引き伸ばされる。また、このコース数はリブの目数に比例して増える。
【0014】
そして表目が2目または3目続き、裏目が2目または3目続くと、編目をウェール方向に引き伸ばす長さが適正で、比較的編みやすく、しかも伸び難い編地が得られる。
【0015】
好ましくは、表目と表目との間にミスの目が1目配置され、裏目と裏目との間にミスの目が1目配置され、さらに表目と裏目とミスの目との配置が1コース毎に1目ずつシフトしている。すると、単純な針の割り当てで、伸びが少ない編地を編成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】最適実施例の編成方法を示す図
図2】最適実施例の編成組織を示す図
図3】最適実施例の編地のシミュレーション画像を示す図
図4】第2の実施例の編成方法を示す図
図5】第2の実施例の編地のシミュレーション画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0018】
図1図5に、実施例の編地とその編成方法を示す。横編機は、前後一対、あるいは前後と上下に合計4枚の針床を有する、周知の横編機を用いる。図1図3は、最適実施例の編成方法と編地とを示す。図1の下のコースC1から上のコースC6への順に、編成は6コース周期で行われ、簡単のために一部の針のみを示す。
【0019】
図1で、各コースの下側の編目は前針床の針に保持された表目で、上側の編目は後針床の針に保持された裏目で、表目が2目続いてこの間に1目ミスの目があり、裏目が2目続いてこの間に1目ミスの目があり、隣接する表目と裏目との間にはミスの目はない。また編目の配置は、1コース毎に例えば図1の左側へ1目ずつシフトするが、右側へ1目ずつシフトしても良い。コース方向に沿って、6目周期で編目が配置され、ウェール方向に沿って、6コース周期で編目の配置が繰り返す。なお編成の1周期となる6コース毎に、あるいは2周期の12コース毎等に、シフト方向を反転させても良い。
【0020】
コースC1で、針a,c,d,fに形成した編目と、それらの次の編目とを、図1に黒く示す。針a,dではコースC1の次にコースC3で編目が形成され、針c,fではコースC1の次にコースC5で編目が形成されている。
【0021】
図2は、図1の編成方法で編成された編地の編組織を示し、|は表目、∩は裏目を表し、記号のないマスはミスの目を表す。図1と同様に、表目が2目、裏目が2目続き、表目と表目の間、及び裏目と裏目の間にはミスの目があり、隣接する表目と裏目の間にはミスの目はない。また編目の配置は1コース毎に、1目ずつ左側へシフトし、右下から左上へ同種の編目が続いている。
【0022】
図3は、図1の編成方法で編成された編地のシミュレーション画像を示し、編地に対して斜めの視点から見ているように示す。なお実際の編地はさらに密度が高い。シンカーループとニードルループとが2コース分離れた編目と、4コース分離れた編目とがあり、編目はウェール方向に引き伸ばされて、テンションが加わっても編糸が引き出され難くなっている。またミスの目の位置ではループがないので、編地は伸び難い。
【0023】
表目と裏目とを接続する渡糸の一部を、図3に実線でマークして示す。この渡糸の両側の編目は丈が2コース以上に引き伸ばされているため、渡糸をウェール方向に引き出そうとする。このため渡糸には伸びる余地に乏しく、編地はコース方向に伸び難くなる。
【0024】
図3から分かるように、実施例の編地はウェール方向に編糸が重なるように配置されている。またミスの目は、前後から編糸で挟まれている。このため実施例の編地は、面積当たりの編糸の量が多く、厚手で丈夫な編地となる。
【0025】
図4は、第2の実施例での編成方法を示し、編成の順序は下から上向きである。この編成方法では、表目が3目続き、裏目が3目続き、表目と表目との間、及び裏目と裏目との間に、ミスの目が1目配置され、隣接する表目と裏目の間にはミスの目が無い。また編目の配置は1コース毎に左側へ1目ずつシフトするが、右側へシフトしても、あるいは10コースから成る編成の周期毎に、もしくは2周期、3周期毎等に、シフト方向を反転しても良い。コース方向に沿って、10目周期で編目が配置され、ウェール方向に沿って、10コース周期で編目の配置が繰り返す。
【0026】
図5に、図4の編成方法による編地のシミュレーション画像を示す。コース方向に沿ってリブ組織の1周期6目の編目中で、4目はウェール方向に2コース引き伸ばされ、2目は6コース引き伸ばされ、これ以上に編目が引き伸ばされると、編成が難しくなる。なお10目から成るリブ組織の周期で、残る4目はミスの目である。上下に伸びる編糸により、編地の前後に渡る渡糸が前後から挟まれている個所の内で見やすい部分を、図5に実線で囲んで示す。
【0027】
実施例での編目の配置を表1に示す。例えば番号1は図1図3の編地で、コース方向の1周期の間に、表目が2目あり、それらの間にミスの目が1目あり、1コース毎に一定の方向に1目シフトする。編目は、2コース上の編目に接続されるものが2目、4コース上の編目に接続されるものが4目である。そして周期はコース方向が6目、ウェール方向が6コースである。表1の多様な編目の配置で、コース方向にもウェール方向にも伸び難い編地が得られる。なお番号6は6コース毎にシフト方向を反転させるものを、番号7は1コース毎に編目の配置を3目左側へシフトさせるものを表す。
【0028】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5