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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209809(P2015-209809A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/12 20060101AFI20151027BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20151027BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20151027BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20151027BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   F04C29/12 C
   F25B43/00 C
   F04B39/12 101Z
   F04B39/00 102T
   F04C29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-91377(P2014-91377)
(22)【出願日】2014年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】金山 武弘
(72)【発明者】
【氏名】富岡 直人
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BB05
3H003CD01
3H003CD05
3H003CE01
3H129AA04
3H129AA13
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB21
3H129BB31
3H129BB32
3H129CC09
3H129CC26
(57)【要約】
【課題】従来の圧縮機では、アキュームレータの側面に配置された弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるおそれがある。
【解決手段】アキュームレータ2の側面に、ゴム部材50(弾性部材)が嵌合する凹部24が形成されており、ゴム部材50(弾性部材)は、凹部24に嵌合された状態で、アキュームレータ2の側面より外周側に突出する突出部を有する。そして、アキュームレータ2は、支持台30がゴム部材50の突出部と接触した状態で支持台30に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構及び駆動機構を収容する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体の側方に配置されたアキュームレータと、
前記アキュームレータを前記圧縮機本体に固定するための固定機構とを備え、
前記固定機構は、
前記圧縮機本体に設けられた支持台と、
前記アキュームレータの側面を前記支持台に対して固定する固定部材と、
前記アキュームレータと前記支持台との間に設けられる弾性部材とを有し、
前記アキュームレータの側面には、前記弾性部材が嵌合する凹部が形成されており、
前記弾性部材は、前記凹部に嵌合された状態で、前記アキュームレータの側面より外周側に突出する突出部を有し、
前記アキュームレータは、前記支持台が前記弾性部材の突出部と接触した状態で前記支持台に固定されることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記突出部の先端部は、前記支持台に向かって凸状に構成されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記弾性部材が、Oリングであることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記凹部が、前記アキュームレータの周方向に沿って形成されており、
前記弾性部材が、前記凹部の周方向全域において嵌合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項5】
前記アキュームレータは、筒状部材の両端が絞り加工されることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項6】
前記アキュームレータの内側面に固定される内部部材を有し、
前記凹部は、前記アキュームレータの軸方向において前記内部部材と略同一位置にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュームレータを圧縮機本体に固定するための固定機構を備えた圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮機の固定機構としては、圧縮機本体に設けられた支持台と、アキュームレータの側面に配置された弾性部材(ゴム部材)と、アキュームレータの側面を支持台に対して固定する固定バンドとを備えたものがある。この固定バンドによって、支持台と弾性部材とが接触した状態でアキュームレータが圧縮機本体に押さえつけられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4591619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の圧縮機では、アキュームレータの円筒部分(凹凸のない平坦な面)に弾性部材が単に巻き付けられているだけなので、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるおそれがある。その結果、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じ、圧縮機の製品音がばらつくおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるのを防止できる圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかる圧縮機は、圧縮機構及び駆動機構を収容する圧縮機本体と、前記圧縮機本体の側方に配置されたアキュームレータと、前記アキュームレータを前記圧縮機本体に固定するための固定機構とを備え、前記固定機構は、前記圧縮機本体に設けられた支持台と、前記アキュームレータの側面を前記支持台に対して固定する固定部材と、前記アキュームレータと前記支持台との間に設けられる弾性部材とを有し、前記アキュームレータの側面には、前記弾性部材が嵌合する凹部が形成されており、前記弾性部材は、前記凹部に嵌合された状態で、前記アキュームレータの側面より外周側に突出する突出部を有し、前記アキュームレータは、前記支持台が前記弾性部材の突出部と接触した状態で前記支持台に固定されることを特徴とする。
【0007】
この圧縮機では、アキュームレータの側面に凹部が形成されており、その凹部に弾性部材が嵌合しているので、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるのを防止できる。その結果、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じるのを低減でき、圧縮機の製品音がばらつくのを防止できる。
【0008】
第2の発明にかかる圧縮機は、第1の発明にかかる圧縮機において、前記突出部の先端部は、前記支持台に向かって凸状に構成されることを特徴とする。
【0009】
この圧縮機では、弾性部材の突出部の先端部が支持台に向かって凸状に構成されるので、圧縮機の各部材の寸法公差や取付精度等の要因によってアキュームレータの支持台への取付位置がばらついたとしても、弾性部材と支持台とが常に凸状に構成される部分において接触する。したがって、弾性部材と支持台との接触位置が安定する。その結果、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じるのをより低減できる。
【0010】
第3の発明にかかる圧縮機は、第2の発明にかかる圧縮機において、前記弾性部材が、Oリングであることを特徴とする。
【0011】
この圧縮機では、弾性部材がOリングであるので、アキュームレータの側面に形成された凹部に弾性部材を容易に嵌め込むことができ、組立性に優れる。また、弾性部材に汎用品を用いることができるので、弾性部材のコストを低減できる。
【0012】
第4の発明にかかる圧縮機は、第1〜第3のいずれかの発明にかかる圧縮機において、前記凹部が、前記アキュームレータの周方向に沿って形成されており、前記弾性部材が、前記凹部の周方向全域において嵌合することを特徴とする。
【0013】
この圧縮機では、弾性部材がアキュームレータの側面に形成された凹部の周方向全域において嵌合しているので、凹部に水滴が入って凹部が錆びるのを防止できる。
【0014】
第5の発明にかかる圧縮機は、第1〜第4のいずれかの発明にかかる圧縮機において、前記アキュームレータは、筒状部材の両端が絞り加工されることによって形成されたものであることを特徴とする。
【0015】
この圧縮機では、アキュームレータが筒状部材の両端が絞り加工されることによって形成されたもの(1ピースアキュームレータ)である圧縮機において、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるのを防止できる。
【0016】
第6の発明にかかる圧縮機は、第1〜第5のいずれかの発明にかかる圧縮機において、前記アキュームレータの内側面に固定される内部部材を有し、前記凹部は、前記アキュームレータの軸方向において前記内部部材と略同一位置にあることを特徴とする。
【0017】
この圧縮機では、内部部材をアキュームレータの内側面に固定するための凹部に弾性部材が嵌合されるので、内部部材をアキュームレータの内側面に固定するための凹部と弾性部材が嵌合する凹部とを共通化できる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の発明では、アキュームレータの側面に凹部が形成されており、その凹部に弾性部材が嵌合しているので、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるのを防止できる。その結果、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じるのを低減でき、圧縮機の製品音がばらつくのを防止できる。
【0020】
第2の発明では、弾性部材の突出部の先端部が支持台に向かって凸状に構成されるので、圧縮機の各部材の寸法公差や取付精度等の要因によってアキュームレータの支持台への取付位置がばらついたとしても、弾性部材と支持台とが常に凸状に構成される部分において接触する。したがって、弾性部材と支持台との接触位置が安定する。その結果、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じるのをより低減できる。
【0021】
第3の発明では、弾性部材がOリングであるので、アキュームレータの側面に形成された凹部に弾性部材を容易に嵌め込むことができ、組立性に優れる。また、弾性部材に汎用品を用いることができるので、弾性部材のコストを低減できる。
【0022】
第4の発明では、弾性部材がアキュームレータの側面に形成された凹部の周方向全域において嵌合しているので、凹部に水滴が入って凹部が錆びるのを防止できる。
【0023】
第5の発明では、アキュームレータが筒状部材の両端が絞り加工されることによって形成されたもの(1ピースアキュームレータ)である圧縮機において、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるのを防止できる。
【0024】
第6の発明では、内部部材をアキュームレータの内側面に固定するための凹部に弾性部材が嵌合されるので、内部部材をアキュームレータの内側面に固定するための凹部と弾性部材が嵌合する凹部とを共通化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る圧縮機の正面図である。
図2図1に示す圧縮機の断面図である。
図3図1に示す圧縮機の平面図である。
図4図1に示す圧縮機の固定機構の斜視図である。
図5図3に示す圧縮機のV−V線一部断面図である。
図6図1に示す圧縮機の効果を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る圧縮機の実施の形態について説明する。
【0027】
[圧縮機の全体構成]
図1図3に示すように、本実施形態の圧縮機は、圧縮機本体1と、圧縮機本体1の側方に配置されたアキュームレータ2と、アキュームレータ2を圧縮機本体1に固定するための固定機構3とを有している。なお、図1の上下方向を単に上下方向として、圧縮機について以下説明する。
【0028】
[圧縮機本体]
図2に示すように、圧縮機本体1は、例えば1シリンダ型のロータリ圧縮機であって、円筒状の密閉容器10と、密閉容器10の内部に配置されるモータ11(駆動機構)と、密閉容器10の内部に配置されるとともにモータ11にシャフト12を介して接続される圧縮機構13とを有している。モータ11は、圧縮機構13の上方に配置されている。このモータ11は、例えばロータ14と、ロータ14の径方向外側に配置されたステータ15とを有し、ロータ14の内側にシャフト12が固定されている。圧縮機構13は、モータ11の駆動により、圧縮機構13内の冷媒を圧縮する。この圧縮機構13は、圧縮室16aを有するシリンダ本体16と、シリンダ本体16の上端に配置されるフロントヘッド17と、シリンダ本体16の下端に配置されるリアヘッド18とを有している。この圧縮機本体1では、継手管7を介してアキュームレータ2から冷媒が圧縮機構13内に吸入され、シリンダ本体16の圧縮室16aで圧縮される。圧縮室16aで圧縮された冷媒は、ロータ14とステータ15との間の隙間などを通って、密閉容器10内を上昇し、吐出管19から圧縮機本体1外に吐出される。
【0029】
[アキュームレータ]
アキュームレータ2は、圧縮機構13に供給される冷媒を一時的に貯留する筒状(本実施形態では、円筒状)の容器である。このアキュームレータ2は、図2に示すように、筒状部材(本実施形態では、円筒状部材)の両端が絞り加工されることによって形成されたものであり、円筒状の胴体部21と、胴体部21の上下に配置される2つの絞り部22、23とを有する。上方の絞り部22の略中央には、入口管4が接続されている。また、下方の絞り部23の略中央には、吸入管5が接続されている。吸入管5は、圧縮機本体1の外周面に設けられた継手管7に挿入され、継手管7の内周面に溶接されている。入口管4からアキュームレータ2の内部に導入された冷媒は、吸入管5を通り圧縮機構13に吸入される。吸入管5は、アキュームレータ2の内部において、アキュームレータ2の下部から上方に向かって延びた内側配管6を有する。
【0030】
アキュームレータ2の胴体部21の外周面には、環状の(周方向全域に沿った)凹部24が形成されている。この凹部24は、胴体部21の内側面にフィルタ部26(内部部材)を固定するためのものであり、例えば胴体部21の外周面を絞り加工することによって形成される。この凹部24は、図5に示すように、縦断面形状が略半円形である。この凹部24が形成されることによって、胴体部21の内側面には、内側に突出する環状の凸部25が形成される。なお、この凹部24には、後述する固定機構3のゴム部材50(弾性部材)が嵌合する。
【0031】
フィルタ部26は、入口管4から供給される冷媒に含まれる異物(ゴミ)等を取り除くためのものであり、外形形状が円形のバッフルとフィルタとからなる。このフィルタ部26は、上記した環状の凸部25により圧入固定される。したがって、凹部24は、上下方向(アキュームレータ2の軸方向)においてフィルタ部26と略同一位置(上下方向におけるフィルタ部26の近傍を含む)にある。
【0032】
[固定機構]
図3及び図4に示すように、固定機構3は、圧縮機本体1に設けられた支持台30と、アキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)を支持台30に対して固定する固定バンド40(固定部材)と、アキュームレータ2と支持台30との間に設けられるゴム部材50(弾性部材)とを有している。
【0033】
支持台30は、金属製の板材であって、密閉容器10の外周面に溶接される溶接部31と、溶接部31の両端からアキュームレータ2側に延びる延出部32、32と、延出部32、32の端部から胴体部21の外周面に沿って延び、ゴム部材50に当接する当接部33、33と、当接部33、33から圧縮機本体1側に折り返された折り返し部34、35とを有する。当接部33、33のうちゴム部材50に当接する当接面は、凹凸のない平坦な面とされている。なお、この支持台30は、図2に示すように、例えば圧縮機構13よりも上方に配置されている。
【0034】
固定バンド40(固定部材)は、金属製の板材であって、アキュームレータ2の胴体部21の外周面に巻回され、支持台30に取り付けられている。固定バンド40の一端は、支持台30の一方の折り返し部34に係止され、固定バンド40の他端は、支持台30の他方の折り返し部35にボルト等の締結部材36を介して締結されている。
【0035】
ゴム部材50(弾性部材)は、Oリング(断面が円形のゴム部材)であって、上記した凹部24に嵌合している。上記したとおり、凹部24の縦断面形状は半円形であるため、ゴム部材50は、アキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)より外周側に突出している。したがって、ゴム部材50は、凹部24に嵌合された状態で、アキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)より外周側に突出する突出部51(図5中においてゴム部材50のうち鎖線よりも支持台30側の部分)を有する。また、ゴム部材50は、Oリングであるため、突出部51の先端部52が支持台30に向かって凸状(より詳しくは湾曲状)に構成される。
【0036】
したがって、この圧縮機では、図3及び図5に示すように、支持台30とゴム部材50とが接触した状態で、アキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)が支持台30に固定されている(押さえつけられている)。そのため、圧縮機本体1の例えばモータ11(駆動機構)で発生する振動がアキュームレータ2に伝達されることが抑制される。
【0037】
ここで、従来の圧縮機では、図6(a)に示すように、アキュームレータAの側面に配置された弾性部材Rと圧縮機本体Cに設けられた支持台Sとが接触した状態で、アキュームレータAが支持台Sに押さえつけられている。しかし、この圧縮機では、アキュームレータAの円筒部分(凹凸のない平坦な面)に弾性部材Rが単に巻き付けられているだけなので、圧縮機の組立時や運転時などにおいて弾性部材Rが上下方向にずれるおそれがある。例えば、図6(b)では、弾性部材Rが上方にずれた例を示している。図6(b)に示すように、弾性部材Rが上方にずれると、弾性部材Rと支持台Sとの接触位置が、弾性部材Rが正常位置に巻き付けられる場合(図6(a)の場合)に比べて上方にずれる(例えばhほどずれる)。その結果、アキュームレータに対する弾性部材と支持台との接触位置が変わるので、アキュームレータの振動固有値が変化する。そのため、従来の圧縮機では、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれることによって、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じるおそれがある。
【0038】
一方、本実施形態の圧縮機では、図6(c)に示すように、ゴム部材50(弾性部材)がアキュームレータ2の側面に形成された凹部24に嵌合しているので、ゴム部材50がアキュームレータ2に確実に位置決めされる。したがって、ゴム部材50がアキュームレータ2の軸方向にずれることが防止される。その結果、従来の圧縮機のように、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれることがなく、アキュームレータの振動固有値にばらつきが生じることが抑制される。
【0039】
<本実施形態の圧縮機の特徴>
本実施形態の圧縮機には、以下の特徴がある。
【0040】
本実施形態の圧縮機では、図5に示すように、アキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)に凹部24が形成されており、その凹部24にゴム部材50(弾性部材)が嵌合しているので、ゴム部材50がアキュームレータ2の軸方向にずれるのを防止できる。その結果、アキュームレータ2の振動固有値にばらつきが生じるのを低減でき、圧縮機の製品音がばらつくのを防止できる。
【0041】
また、本実施形態の圧縮機では、ゴム部材50(弾性部材)の突出部51の先端部52が支持台30の当接部33、33に向かって凸状に構成されるので、圧縮機の各部材の寸法公差や取付精度等の要因によってアキュームレータ2の支持台30への取付位置がばらついたとしても、ゴム部材50と支持台30とが常に凸状に構成される部分において接触する。したがって、ゴム部材50と支持台30との接触位置が安定する。その結果、アキュームレータ2の振動固有値にばらつきが生じるのをより低減できる。
【0042】
また、本実施形態の圧縮機では、ゴム部材50(弾性部材)がOリングであるので、アキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)に形成された凹部24にゴム部材50を容易に嵌め込むことができ、組立性に優れる。また、ゴム部材50に汎用品を用いることができるので、ゴム部材50のコストを低減できる。
【0043】
また、本実施形態の圧縮機では、ゴム部材50(弾性部材)がアキュームレータ2の胴体部21の外周面(側面)に形成された凹部24の周方向全域において嵌合しているので、凹部24に水滴が入って凹部24が錆びるのを防止できる。
【0044】
また、本実施形態の圧縮機では、アキュームレータ2が筒状部材の両端が絞り加工されることによって形成されたもの(1ピースアキュームレータ)である圧縮機において、ゴム部材50(弾性部材)がアキュームレータ2の軸方向にずれるのを防止できる。
【0045】
また、本実施形態の圧縮機では、フィルタ部26(内部部材)をアキュームレータ2の内側面に固定するための凹部24にゴム部材50(弾性部材)が嵌合されるので、フィルタ部26(内部部材)をアキュームレータ2の内側面に固定するための凹部とゴム部材50(弾性部材)が嵌合する凹部とを共通化できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
[変形例]
上記実施形態では、図5に示すように、ゴム部材50(Oリング)の線径が、凹部24の幅と略同じであるが、圧縮機の組立時や運転時などに、ゴム部材50がアキュームレータ2の軸方向にずれない範囲で、ゴム部材50の線径を、凹部の幅よりも大きくしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、ゴム部材50(弾性部材)がOリングであるが、例えばゴム部材が板状であって、凹部24に嵌合された状態でアキュームレータ2の側面より外周側に突出した突出部を有し、その突出部の先端部が支持台30に向かって凸状に構成されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ゴム部材50(弾性部材)の先端部52が支持台30に向かって凸状に構成されるが、例えばゴム部材50の外周面が凹凸のない平坦な面であってもよい。すなわち、縦断面視において、ゴム部材50の外周面の全体が支持台30の当接部33、33と接触してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、凹部24が環状であるが、凹部24は、アキュームレータ2の側面のうち支持台30の当接部33、33と対向する部分に少なくとも形成されていればよい。
【0051】
また、上記実施形態では、凹部24が環状であって、ゴム部材50(弾性部材)がOリング(断面形状が円形)であるため、ゴム部材50が凹部24に周方向全域において嵌合するが、ゴム部材50の断面形状が円形でなく、ゴム部材50が凹部24の周方向一部において嵌合してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、凹部24は、胴体部21の外周面を絞り加工することによって形成されるが、胴体部21の外周面を切削加工することによって形成されてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、凹部24は、胴体部21の外周面に形成されるが、アキュームレータ2の側面であればどこに形成されてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、アキュームレータ2が筒状部材(例えば円筒状部材)の両端が絞り加工されることによって形成されたもの(1ピースアキュームレータ)であるが、それに限られない。例えば、アキュームレータが筒状部材の一端がプレス加工されたお椀状の2つの筐体を有し、その2つの筐体のそれぞれ他端側が溶接されることにより形成されたもの(2ピースアキュームレータ)であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ゴム部材50(弾性部材)が嵌合する凹部24が、アキュームレータ2の軸方向においてフィルタ部26(内部部材)と略同一位置にあるが、異なる位置にあってもよい。したがって、ゴム部材50(弾性部材)が嵌合する凹部と、フィルタ部26(内部部材)を固定するための凹部が別であってもよいし、フィルタ部26(内部部材)がなくてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、内部部材がフィルタ部26であるが、内部部材が内側配管6の外周側に配置され、アキュームレータ2の内側面を補強するまたは内部配管6を補強する円筒状の補強部材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明を利用すれば、弾性部材がアキュームレータの軸方向にずれるのを防止できる。
【符号の説明】
【0058】
1 圧縮機本体
2 アキュームレータ
3 固定機構
11 モータ(駆動機構)
13 圧縮機構
24 凹部
26 フィルタ部(内部部材)
30 支持台
40 固定バンド(固定部材)
50 ゴム部材(弾性部材)
51 突出部
52 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6