【解決手段】バーナ3へのガス供給路5には、一対の遮断弁11より下流に、検査弁12が設けられる。さらに、ガス供給路5には、検査弁12の前後をバイパス路13で接続して、そのバイパス路13にオリフィス14を設けるのが好ましい。下流側遮断弁11Bと検査弁12との間に、圧力検出手段15が設けられる。各遮断弁11および検査弁12を閉じた状態で、圧力検出手段15の検出圧力に基づき各遮断弁11の閉鎖時のガス漏れを判定する。
前記制御器は、前記各遮断弁の閉鎖による前記バーナの燃焼停止中に、さらに前記検査弁を閉じ、前記圧力検出手段の検出圧力が設定圧力を超えると、前記各遮断弁の閉鎖中のガス漏れがあると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバルブプルービングシステムは、非常に高価であるから、安価で高精度のガス漏れ検知が望まれる。また、バルブプルービングシステムを設置する場合でも、缶体内の換気を図るプレパージなしの点火を行おうとすれば、さらに安全性を向上することが望まれる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、安価で信頼性の高いガス漏れ検知が可能なボイラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、バーナへのガス供給路に設けられ、前記バーナへのガス供給の有無を切り替える一対の遮断弁と、前記各遮断弁より下流の前記ガス供給路に設けられる検査弁と、前記各遮断弁より下流であるが前記検査弁より上流の前記ガス供給路内の圧力を監視する圧力検出手段と、前記各遮断弁および前記検査弁を閉じた状態で、前記圧力検出手段の検出圧力に基づき前記各遮断弁の閉鎖時のガス漏れを判定する制御器とを備えることを特徴とするボイラである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、各遮断弁とそれより下流の検査弁とを閉じた状態で、下流側遮断弁と検査弁との間の圧力を圧力検出手段で監視する。従って、各遮断弁の閉鎖不良によるガス漏れがあれば、圧力検出手段の検出圧力が上昇するので、各遮断弁の閉鎖時のガス漏れを検知することができる。しかも、構成が簡易であるから、安価に実現することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記制御器は、前記各遮断弁の閉鎖による前記バーナの燃焼停止中に、さらに前記検査弁を閉じ、前記圧力検出手段の検出圧力が設定圧力を超えると、前記各遮断弁の閉鎖中のガス漏れがあると判定することを特徴とする請求項1に記載のボイラである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、各遮断弁の閉鎖によるバーナの燃焼停止中に、さらに検査弁を閉じて、下流側遮断弁と検査弁との間の圧力を圧力検出手段で監視する。そして、圧力検出手段の検出圧力が設定圧力を超えると、各遮断弁の閉鎖時のガス漏れがあると判定することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記ガス供給路には、前記検査弁の前後を接続するバイパス路が設けられており、このバイパス路には、オリフィスが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボイラである。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、オリフィス付きのバイパス路を検査弁と並列に設けることで、各遮断弁および検査弁の閉鎖時、各遮断弁の閉鎖不良によるガス漏れがあれば、オリフィスを流れるガスにより、圧力検出手段の設置位置では、オリフィスを流れる流量の二乗に比例した圧力上昇が生じるので、一層容易で確実に、各遮断弁の閉鎖時のガス漏れを検知することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、バルブプルービングシステムをさらに備え、このバルブプルービングシステムは、前記遮断弁間の圧力を開放した状態で閉鎖された前記遮断弁間に圧力上昇があるか否かにより、上流側遮断弁の閉鎖中のガス漏れの有無を判定し、前記遮断弁間にガス供給圧をかけた状態で閉鎖された前記遮断弁間に圧力降下があるか否かにより、下流側遮断弁の閉鎖中のガス漏れの有無を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のボイラである。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、バルブプルービングシステムを備えることで、各遮断弁の閉鎖時のガス漏れをさらに確実に検知することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、バルブプルービングシステムをさらに備え、このバルブプルービングシステムは、閉鎖された前記遮断弁間を所定時間内に所定圧力まで昇圧できないか否かにより、下流側遮断弁の閉鎖中のガス漏れの有無を判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のボイラである。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、バルブプルービングシステムを備えることで、下流側遮断弁の閉鎖時のガス漏れをさらに確実に検知することができる。
【0017】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記バーナとしてのメインバーナと、このメインバーナに点火するためのパイロットバーナとを備え、これら両バーナの双方の燃焼が停止した待機状態から、前記パイロットバーナに点火する直前、プレパージを行わないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のボイラである。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、メインバーナとパイロットバーナとの双方の燃焼が停止した状態から、パイロットバーナに点火する直前、プレパージを行わない。パージレス制御の場合、負荷に対する応答性を向上することができる。また、プレパージによる放熱損失も低減することができる。なお、各遮断弁の閉鎖中、閉鎖不良によるガス漏れが検知されない限り、缶体内に未燃ガスが滞留せず、プレパージを行わなくても、安全性は確保される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安価で信頼性の高いガス漏れ検知が可能なボイラを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例のボイラ1を示す概略図である。
【0022】
本実施例のボイラ1は、多数の水管を備えた缶体2と、この缶体2の水管内の水を加熱するバーナ3と、このバーナ3に燃焼用空気を供給する送風機4と、前記バーナ3に燃料ガスを供給するガス供給路5とを備える。
【0023】
缶体2は、上部管寄せと下部管寄せとの間を多数の水管で接続して構成され、缶体カバーで覆われる。缶体2の形状は、特に問わないが、本実施例では角形とされる。缶体2は、下部管寄せから適宜給水され、缶体2内の水位は所望に維持される。缶体2は、一端部にバーナ3が設けられ、他端部に排ガス路6が接続される。排ガス路6には、所望によりエコノマイザが設けられる。バーナ3からの燃焼ガス(当初は火炎を含む)は、各水管内の水と熱交換した後、排ガスとして排ガス路6から排出される。バーナ3からの燃焼ガスにより、各水管内の水は加熱され、蒸気として上部管寄せから気水分離器7を介して導出される。
【0024】
バーナ3は、本実施例では予混合バーナとされるが、場合により先混合バーナであってもよい。図示例では、平面状の燃焼面(予混合気噴出面)を有する完全予混合式のバーナとされる。このバーナ3は、燃焼の有無をオンオフで切り替えられてもよいし、燃焼量を段階的または連続的に調整されてもよい。たとえば、バーナ3は、高燃焼(100%燃焼)、低燃焼(たとえば50%燃焼)および停止の三位置で、燃焼量を切り替えられる。もしくは、バーナ3は、高燃焼、中燃焼、低燃焼および停止の四位置で、燃焼量を切り替えられる。または、バーナ3は、蒸気の使用負荷に比例して、連続的に燃焼量を調整される。いずれにしても、バーナ3には、燃焼量に応じた量の燃焼用空気とガスとが供給される。
【0025】
送風機4は、吸込口4aから気体を吸入し、吐出口4bへ吐出する。送風機4は、典型的には遠心式とされ、渦巻きケーシング内でインペラを回転させ、ケーシングの中央部に設けた吸込口4aから気体を吸入し、ケーシングの外周部に設けた吐出口4bから吐出する。本実施例では、送風機4の吸込口4aには、吸込口4aへの空気の吸込みに伴いガスを吸引して空気と共に吸込口4aへ送り込むガス吸引機構8が設けられる。
【0026】
ガス吸引機構8は、本実施例では、ベンチュリ管9を備える。ベンチュリ管9は、周知のとおり、スロートの前後にテーパ部を備えて構成される。具体的には、最小径部のスロート(符号省略)の上流側には、下流へ行くに従って縮径する漸次縮小管9aが設けられる一方、スロートの下流側には、下流へ行くに従って拡径する漸次拡大管9bが設けられる。
【0027】
ベンチュリ管9のスロート部には、ガス供給路5がオリフィス10を介して接続される。このガス供給路5には、オリフィス10より上流側に、一対の遮断弁11(上流側遮断弁11A,下流側遮断弁11B)が直列に設けられる。バーナ3へガスを供給する際、各遮断弁11を開放し、バーナ3へのガス供給を停止する際、各遮断弁11を閉鎖する。本実施例では、下流側遮断弁11Bは、開放時、その出口側のガス圧力を所定圧力に維持する機能を備える。本実施例のようにベンチュリ管9でガスを吸引するボイラ1の場合、下流側遮断弁11Bは、開放時、ゼロガバナとして機能し、出口側の圧力を大気圧に調整するのがよい。
【0028】
ところで、前記バーナ3がパイロットバーナを用いて点火される点火方式の場合、ボイラ1は、前記バーナとしてのメインバーナ3の他、パイロットバーナ(図示省略)をさらに備える。パイロットバーナは、メインバーナ3に近接して設けられ、点火装置により点火される。パイロットバーナの燃焼時、パイロットバーナには、燃焼用空気とガスとが供給される。パイロットバーナに燃焼用空気を供給する送風機は、メインバーナ3に燃焼用空気を供給する送風機4と同一あるいは一体的に構成されてもよいし、メインバーナ3用の送風機4と別に備えられてもよい。いずれにしても、所望によりダンパも用いて、各バーナへの燃焼用空気の供給の有無や量を、個別に変更可能に構成するのがよい。
【0029】
本実施例のボイラ1は、さらに、各遮断弁11の閉鎖時のガス漏れ(閉鎖すべき条件での閉鎖不良によるガス漏れ)を検知可能に構成される。具体的には、ガス供給路5には、各遮断弁11より下流に、検査弁12が設けられる。この検査弁12は、典型的には電磁弁から構成される。また、ガス供給路5には、好ましくは、検査弁12の前後を接続するバイパス路13が設けられると共に、そのバイパス路13にはオリフィス14が設けられる。さらに、下流側遮断弁11Bと検査弁12との間において、ガス供給路5内の圧力を監視可能に、圧力検出手段としての圧力スイッチ15が設けられる。但し、圧力スイッチ15に代えて、場合により圧力センサを用いてもよい。各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れの有無の判定方法については、後述する。
【0030】
ボイラ1は、図示しない制御器より制御される。制御器は、蒸気圧(缶体内またはそこから蒸気が供給される箇所の蒸気圧)に基づきバーナ3の燃焼量を調整する他、各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れの有無の判定などを行う。この判定時以外、検査弁12は開いた状態に維持される。
【0031】
制御器は、蒸気圧を検出する圧力センサ(または圧力スイッチ)、送風機4のモータ、各遮断弁11、検査弁12および圧力スイッチ15などに接続されており、各センサの検出信号などに基づきモータや弁などを制御する。また、ボイラ1が後述するバルブプルービングシステム(VPS)16を備える場合、制御器はバルブプルービングシステム16にも接続される。
【0032】
バーナ3においてガスを燃焼させるには、送風機4を作動させると共に各遮断弁11を開放して、パイロットバーナ(または点火装置)により点火すればよい。一方、バーナ3における燃焼を停止するには、送風機4からの燃焼用空気の供給を停止すると共に、各遮断弁11を閉鎖してガスの供給を停止すればよい。バーナ3の燃焼停止時、送風機4を停止させてもよいし、それに代えてまたはそれに加えて、送風機4の入口側もしくは出口側にダンパを設けてそのダンパを閉じるか、排ガス路6にダンパを設けてそのダンパを閉じてもよい。
【0033】
バーナ3においてガスを燃焼させるために、送風機4を作動させると、フィルタを介した外気がベンチュリ管9を介して、送風機4の吸込口4aへ吸い込まれる。ベンチュリ管9に空気が通される際、ベンチュリ管9に負圧が生じるので、各遮断弁11を開放しておけば、ガス供給路5からガスがベンチュリ管9へ引き込まれる。このようにして、送風機4の吸込口4aへの空気の吸込みに伴い、ベンチュリ管9においてガスを吸引して空気と共に、吸込口4aへ送り込まれる。そして、送風機4内において空気とガスとが混合され、ダクト17を介してバーナ3へ供給され、バーナ3において燃焼される。
【0034】
送風機4への空気の吸込みを利用して、ベンチュリ管9においてガスを吸引するので、ガス供給圧(各遮断弁11より上流のガス圧)が比較的低くても、所望のガス量をバーナ3へ供給して、所期の燃焼を図ることができる。また、前述したとおり、下流側遮断弁11Bは、その出口側圧力を所定に維持することで、ベンチュリ管9にて生じる負圧(言い換えればベンチュリ管9の通風量)に応じた所望の流量で、安定してガスを空気に混入することができる。しかも、下流側遮断弁11Bの出口側を大気圧とする場合、ベンチュリ管9に空気が流れない限りガスが流れないので、送風機4の停止時のガス漏れを確実に防止することができる。
【0035】
バーナ3の燃焼量の調整は、バーナ3へ供給される燃焼用空気とガスの流量を調整してなされる。燃焼用空気の流量の調整は、ベンチュリ管9への空気導入口にダンパ(図示省略)を設けてこのダンパの位置を調整するか、これに代えてまたはこれに加えて、インバータを用いて送風機4のモータの回転速度を変えることでなされる。そして、前述したとおり、ベンチュリ管9への通風量を変えれば、ガスの流量も変わるが、燃焼量に応じた空気比とするために、ベンチュリ管9へのガス供給路5にガス流量調整弁(図示省略)を設けてもよい。燃焼量に応じて、ガス流量調整弁の開度を変更することで、燃焼量に応じた空気比に調整することができる。
【0036】
制御器は、各遮断弁11の閉鎖中(つまりバーナ3の燃焼停止中)、設定タイミングにおいて、各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れの有無を判定する。具体的には、各遮断弁11および検査弁12を閉じた状態で、下流側遮断弁11Bと検査弁12との間の圧力に基づき、各遮断弁11の閉鎖時の閉鎖不良によるガス漏れの有無を判定する。
【0037】
より詳細には、制御器は、各遮断弁11の閉鎖によるバーナ3の燃焼停止中に、さらに検査弁12を閉じる。各遮断弁11の閉鎖中、送風機4の運転の有無に関わらず、下流側遮断弁11Bより下流のガス供給路は圧力が開放された状態となっているので、検査弁12を閉じると、下流側遮断弁11Bと検査弁12との間も、ガスにより加圧されない状態であるのが本来である。ところが、仮に各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れがあるとすると、検査弁12の入口側の圧力が上昇することになる。そこで、検査弁12の入口側の圧力が設定圧力を超えると、圧力スイッチ15によりその旨検知し、各遮断弁11の閉鎖中のガス漏れがあると判定する。
【0038】
ガス漏れがあると判定した場合、制御器は、その旨ユーザに報知する(警報を出す)と共に、送風機4が作動中の場合それを停止させるのがよい。前述したとおり、ベンチュリ管9でガスを引き込む場合、送風機4を止めることで、缶体2側へのガスの供給を停止できる。さらに、各遮断弁11より上流に設けた元弁を自動で閉じるか、手動で閉じるよう指示するのがよい。
【0039】
検査弁12の前後をバイパス路13で接続し、そのバイパス路13にオリフィス14を設けておけば、より正確で迅速にガス漏れを検知することができる。すなわち、オリフィス14付きのバイパス路13を検査弁12と並列に設けることで、各遮断弁11および検査弁12の閉鎖時、各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れがあれば、オリフィス14を流れるガスにより、圧力スイッチ15の圧力検出位置では、オリフィス14を流れる流量の二乗に比例した圧力上昇が生じるので、一層容易に確実に、各遮断弁11の閉鎖時のガス漏れを検知することができる。
【0040】
このような漏れ検知方法によれば、各遮断弁11の閉鎖中、さらに検査弁12を閉じるだけで、ガス漏れの有無を常時監視することができる。また、各弁の閉動作や環境温度の変化などによる圧力変動に左右されずに、ガス漏れの有無を監視することができる。さらに、圧力スイッチ15および監視制御は、高ガス圧カット用のものと共用でき、構成の簡素化とコストダウンを図ることができる。つまり、ガス供給路5には、下流側遮断弁11Bの出口側において、ガス圧力が規定圧力(本実施例では大気圧よりも所定値だけ高い圧力)以上になっていないかを監視し、万一、ガス圧力が規定圧力以上であれば、各遮断弁11を閉鎖すると共に送風機4の運転を停止する圧力スイッチ15とそれによる監視制御が設けられるが、この圧力スイッチ15を各遮断弁11の閉鎖時の漏れ判定に用いることもできる。その他、バイパス路13に設けたオリフィス14のサイズを変更することで、検知する漏れ流量を変更することもできる。
【0041】
このように、本実施例のボイラ1の場合、各遮断弁11を閉鎖してバーナ3の燃焼を停止した状態で、各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れを監視することができる。従って、そのようなガス漏れがなければ、缶体2内に未燃ガスが滞留しないので、プレパージなしに燃焼を再開することも可能となる。
【0042】
たとえば、パイロットバーナ点火方式のパージレス制御として、蒸気圧が上限圧力を上回ると、各遮断弁11を閉鎖してメインバーナ3の燃焼を停止(待機状態へ移行)し、その後、蒸気圧が下限圧力を下回ると、プレパージなしにパイロットバーナに点火し、さらにメインバーナ3に点火(起動状態へ復帰)した後、パイロットバーナの燃焼を停止することができる。両バーナの双方の燃焼が停止した状態から、パイロットバーナに点火する直前、プレパージを行わないので、放熱損失を低減することができる。また、プレパージを実行しない分だけ、負荷追従性(つまり蒸気圧変動に対する応答性)を向上することができる。しかも、両バーナの燃焼停止中は、缶体2内への通風を完全に遮断できるから、連続パイロット制御に比べて、負荷待ち待機状態の時間が長くなっても、放熱が増すおそれもない。
【0043】
あるいは、パージレスの交替パイロット制御として、蒸気圧が上限圧力を上回ると、各遮断弁11を閉鎖してメインバーナ3の燃焼を停止(待機状態へ移行)してから、プレパージなしにパイロットバーナに点火して、パイロットバーナを連続燃焼させておき、蒸気圧が下限圧力を下回ると、各遮断弁11を開けてメインバーナ3に点火(起動状態へ復帰)した後、パイロットバーナの燃焼を停止するようにしてもよい。ボイラ1に待機信号が入ると、直ちにメインバーナ3の燃焼を停止することで、出力(蒸気圧)のオーバーシュートを防止することができる。そして、パイロットバーナに点火して連続燃焼させておくことで、負荷要求があった際には、直ちにメインバーナ3の燃焼を開始することができ、負荷追従性(つまり蒸気圧変動に対する応答性)を向上することができる。
【0044】
もちろん、従来どおり、プレパージを実行するボイラにも、本実施例のボイラ1は適用可能なことは言うまでもない。たとえば、パイロット制御として、蒸気圧が上限圧力を上回ると、各遮断弁11を閉鎖してメインバーナ3の燃焼を停止し、その後、蒸気圧が下限圧力を下回ると、プレパージを実行後に、パイロットバーナに点火し、そのパイロットバーナによりメインバーナ3に点火した後、パイロットバーナの燃焼を停止してもよい。あるいは、交替パイロット制御として、蒸気圧が上限圧力を上回ると、パイロットバーナに点火した後、各遮断弁11を閉鎖してメインバーナ3の燃焼を停止し、その後、蒸気圧が下限圧力を下回ると、各遮断弁11を開放してメインバーナ3に点火した後、パイロットバーナの燃焼を停止してもよい。いずれにしても、メインバーナ3の燃焼中、蒸気圧に基づき燃焼量を変更してもよい。
【0045】
ところで、ボイラ1は、バルブプルービングシステム(VPS)16が備えられていてもよい。バルブプルービングシステム16は、各遮断弁11間の圧力上昇または圧力降下を監視することで、各遮断弁11の閉鎖時の閉鎖不良によるガス漏れを検知する装置である。本実施例では、バルブプルービングシステム16は、以下のようにして、ガス漏れの有無を判定するが、場合により一部の判定機能のみを有していてもよい。
【0046】
上流側遮断弁11Aのガス漏れ判定は、下記(a1)または(a2)によりなされる。
【0047】
(a1)一対の遮断弁11を閉じた後、その遮断弁11間は、バルブプルービングシステム16を介して大気圧に開放される。そして、その開放部を閉じた状態で、遮断弁11間の圧力を監視する。遮断弁11間に所定の圧力上昇があれば、上流側遮断弁11Aの閉鎖不良によるガス漏れがあると判定する。一方、そのような圧力上昇がなければ、上流側遮断弁11Aは適正に閉鎖していると判定する。
【0048】
(a2)一対の遮断弁11を閉じた状態で、下流側遮断弁11Bを一旦開いた後、閉じる。あるいは、バーナ3の燃焼停止に際して遮断弁11を閉じる際、まずは上流側遮断弁11Aを閉じた後、遅れて下流側遮断弁11Bを閉じる。いずれの場合も、遮断弁11間の圧力を所定(本実施例では大気圧)まで下げることができ、その後、遮断弁11間の圧力を監視する。遮断弁11間に所定の圧力上昇があれば、上流側遮断弁11Aの閉鎖不良によるガス漏れがあると判定する。一方、そのような圧力上昇がなければ、上流側遮断弁11Aは適正に閉鎖していると判定する。
【0049】
下流側遮断弁11Bのガス漏れ判定は、下記(b1)または(b2)によりなされる。
【0050】
(b1)一対の遮断弁11を閉じた後、その遮断弁11間には、バルブプルービングシステム16を介して(言い換えれば上流側遮断弁11Aを介さずに)、ガス供給源からのガスが供給可能とされる。たとえば、遮断弁11間の圧力を開放した後、遮断弁11間にガス供給圧をかける。閉鎖された遮断弁11間を所定に昇圧(ここでは所定時間内に所定圧力まで昇圧)できなければ、下流側遮断弁11Bの閉鎖不良によるガス漏れがあると判定する。一方、所定に昇圧できれば、下流側遮断弁11Bは適正に閉鎖していると判定する。
【0051】
(b2)一対の遮断弁11を閉じた状態で、上流側遮断弁11Aを一旦開いた後、閉じる。あるいは、バーナ3の燃焼停止に際して遮断弁11を閉じる際、まずは下流側遮断弁11Bを閉じた後、遅れて上流側遮断弁11Aを閉じる。いずれの場合も、遮断弁11間にガス供給圧をかけた状態とでき、その後、遮断弁11間の圧力を監視する。遮断弁11間に所定の圧力降下があれば、下流側遮断弁11Bの閉鎖不良によるガス漏れがあると判定する。一方、そのような圧力降下がなければ、下流側遮断弁11Bは適正に閉鎖していると判定する。
【0052】
以上のように、ボイラ1がバルブプルービングシステム16を備え、設定タイミングで各遮断弁11の閉鎖不良を判定することで、各遮断弁11の閉鎖不良によるガス漏れの監視を行うことができる。これにより、前述した検査弁12と圧力スイッチ15とを用いたガス漏れ判定との併用により、安全性を一層確実に図ることができる。好ましくは、バルブプルービングシステム16によるガス漏れ監視に加えて、二重遮断弁11の下流の実際の漏れガス流れをオリフィス14前後の差圧で監視する前述の方法をバックアップとして採用することで、安全監視の多重化を実現することができる。これにより、プレパージなしの着火も安全に行うことができる。
【0053】
本発明のボイラ1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、二重遮断弁11より下流のガス供給路5に検査弁12を設け、各弁11,12を閉じた状態で、下流側遮断弁11Bと検査弁12との間の圧力を監視して各遮断弁11の閉鎖時のガス漏れを判定するのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。たとえば、前記実施例において、オリフィス14付きのバイパス路13の設置は、場合により省略してもよい。
【0054】
また、ボイラ1の缶体2は、角形に限らず円筒型としてもよく、その場合、バーナ3は缶体2の上部に、下方へ向けて設置するのがよい。また、それに応じて、バーナ3の構成は適宜変更される。本発明のガス漏れ検知方法は、任意のガスバーナに対して適用可能である。また、バーナ3は、パイロットバーナによる点火ではなく、点火装置により点火されてもよい。さらに、ボイラ1は、前記実施例では蒸気ボイラとしたが、場合により温水ボイラなどでもよい。その他、場合により、ボイラ1以外の各種燃焼装置のバーナにも適用可能である。
【0055】
さらに、前記実施例では、バーナ3に供給される燃焼用空気へのガスの混合は、送風機4より上流側で行ったが、場合により送風機4より下流側で行ってもよい。その場合、送風機4からバーナ3へ燃焼用空気を供給するダクト17に、ガスを噴出させるノズルを設けておき、ガス供給路5の末端部を、ベンチュリ管9に接続する代わりに、ダクト17内のノズルに接続すればよい。この場合も、ダクト17内へのガスの供給の有無は、ガス供給路5に設けた一対の遮断弁11の開閉により切り替えられる。一対の遮断弁11を開放すれば、ガス圧により、送風機4からの燃焼用空気にガスを混入することができる。このような構成の場合、ベンチュリ管9の設置は省略される。各遮断弁11の閉鎖時の漏れ判定のための構成は、前記実施例と同様であるため、説明を省略する。