特開2015-210072(P2015-210072A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開2015210072-焼成炉 図000004
  • 特開2015210072-焼成炉 図000005
  • 特開2015210072-焼成炉 図000006
  • 特開2015210072-焼成炉 図000007
  • 特開2015210072-焼成炉 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-210072(P2015-210072A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】焼成炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/02 20060101AFI20151027BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20151027BHJP
   F27B 9/04 20060101ALI20151027BHJP
   F27B 9/36 20060101ALI20151027BHJP
   F27D 5/00 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   F27B9/02
   F27B9/24 R
   F27B9/04
   F27B9/36
   F27D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-149593(P2014-149593)
(22)【出願日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0050767
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】チャ・ベーム・ハ
(72)【発明者】
【氏名】イ・チュル・スン
(72)【発明者】
【氏名】ハ・ムン・ス
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ビュン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】キム・サン・ヒョク
【テーマコード(参考)】
4K050
4K055
【Fターム(参考)】
4K050AA04
4K050BA07
4K050BA16
4K050CA13
4K050CC07
4K050CG04
4K055AA08
4K055NA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被処理物をローラー搬送により一定温度領域に移動させ、領域毎に温度が設定されている各領域を通過しながら、昇温、保持、冷却過程を経て焼成が完了する焼成炉において、昇温速度が大きい急昇温領域を設ける。
【解決手段】入口から出口まで一定長さの内部通路120を有する焼成炉本体110と、上記内部通路の中央部に駆動手段によって出口側方向に回転するように設けられる搬送ローラー130と、上記内部通路の上部と下部にそれぞれ設けられる上部ヒーター150及び下部ヒーター160と、上記内部通路が区域別に境界を有するように設けられる隔壁と、を含み、上記隔壁のうち少なくとも一つの隔壁は、他の隔壁より厚い厚壁部250である焼成炉。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口から出口まで一定長さの内部通路を有する焼成炉本体と、
前記内部通路の中央部に駆動手段によって出口側方向に回転するように設けられる搬送ローラーと、
前記内部通路の上部と下部にそれぞれ設けられる上部ヒーター及び下部ヒーターと、
前記内部通路が区域別に境界を有するように設けられる隔壁と、を備え、
前記隔壁のうち少なくとも一つの隔壁は、他の隔壁より厚い厚壁部である焼成炉。
【請求項2】
前記厚壁部の厚さが50mm以上である、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項3】
前記厚壁部の厚さが50mm〜180mmである、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項4】
前記隔壁は、前記内部通路の上部に設けられる上部隔壁と前記内部通路の下部に設けられる下部隔壁を含む、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項5】
前記上部隔壁と下部隔壁は、30mm以下の間隔を置いて離隔して設けられる、請求項4に記載の焼成炉。
【請求項6】
前記厚壁部は、対向する少なくとも一対の上部厚壁部と下部厚壁部を含む、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項7】
前記上部厚壁部及び下部厚壁部の厚さはともに50mm以上である、請求項6に記載の焼成炉。
【請求項8】
前記厚壁部が設けられた領域は、他の隔壁が設けられた領域に比べて、隔壁の前の領域から隔壁の後の領域への昇温速度が大きい急昇温領域である、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項9】
前記急昇温領域は、昇温速度が350℃/min以上である、請求項8に記載の焼成炉。
【請求項10】
前記隔壁は、前記内部通路の各区域の温度と雰囲気条件が異なるように制御するようにする、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項11】
前記隔壁はジルコニア−アルミナ複合体からなる、請求項1に記載の焼成炉。
【請求項12】
入口から出口まで一定長さの内部通路を有する焼成炉本体と、
前記内部通路の中央部に駆動手段によって出口側方向に回転するように設けられる搬送ローラーと、
前記内部通路の上部と下部にそれぞれ設けられる上部ヒーター及び下部ヒーターと、
前記内部通路が区域別に境界を有するように設けられる隔壁と、を備え、
前記隔壁のうち少なくとも一つの隔壁が設けられた領域は、他の隔壁が設けられた領域に比べて、隔壁の前の領域から隔壁の後の領域への昇温速度が大きい急昇温領域である焼成炉。
【請求項13】
前記急昇温領域は昇温速度が350℃/min以上である、請求項12に記載の焼成炉。
【請求項14】
前記急昇温領域に設けられた隔壁は、厚さが50mm〜200mmである、請求項12に記載の焼成炉。
【請求項15】
前記隔壁は、前記内部通路の上部に設けられる上部隔壁と前記内部通路の下部に設けられる下部隔壁を含む、請求項12に記載の焼成炉。
【請求項16】
前記上部隔壁と下部隔壁は、30mm以下の間隔を置いて離隔して設けられる、請求項12に記載の焼成炉。
【請求項17】
前記急昇温領域は対向する少なくとも一対の上部厚壁部と下部厚壁部を含み、前記上部厚壁部及び下部厚壁部の厚さはともに50mm以上である、請求項12に記載の焼成炉。
【請求項18】
前記隔壁はジルコニア−アルミナ複合体からなる、請求項12に記載の焼成炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型セラミック電子部品の製造において、内部電極と誘電体は焼成時の焼成温度が異なる。金属である内部電極が低温領域で先に焼成され、その後、高温領域で誘電体が焼成される。
【0003】
このように、内部電極と誘電体の焼成温度が異なるため、高温領域での内部電極の過度な焼成により、電極凝集等の不良が発生する。また、焼成時の内部電極(金属)/誘電体(セラミック)間の収縮率差によって応力が一箇所に集中して垂直クラック等の不良も発生する。
【0004】
特に、高容量製品の製造のために超微粒粉末を適用するようになってから、このような問題がより多く発生している。
【0005】
一方、従来の積層型セラミック電子部品の焼成炉は、焼成する積層型セラミック電子部品をローラー上に位置させて一定温度領域に移動させ、領域毎に温度が設定されている各領域を通過しながら、昇温、保持、冷却過程を経て焼成が完了する。
【0006】
この際、焼成炉内の昇温領域における昇温速度が低いほど、内部電極と誘電体は異なる温度領域で焼成され、電極凝集等の不良が発生する可能性が高くなる。しかし、従来の焼成炉は、発現可能な最大昇温速度が約30℃/minと限定的であるため、電極凝集等の不良が発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0003168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態の目的は、急速昇温により内部電極と誘電体の同時焼成を誘導し、電極凝集等の不良発生を防止する焼成炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決すべく、本発明の一実施形態は、入口から出口まで一定長さの内部通路を有する焼成炉本体と、上記内部通路の中央部に駆動手段によって出口側方向に回転するように設けられる搬送ローラーと、上記内部通路の上部と下部にそれぞれ設けられる上部ヒーター及び下部ヒーターと、上記内部通路が区域別に境界を有するように設けられる隔壁と、を含み、上記隔壁のうち少なくとも一つの隔壁は、他の隔壁より厚い厚壁部である焼成炉を提供する。
【0010】
上記厚壁部の厚さは50mm〜180mmであってもよく、厚壁部の領域は他の隔壁が設けられた領域に比べて、隔壁の前の領域から隔壁の後の領域への昇温速度が大きい急昇温領域である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によると、急速昇温により内部電極と誘電体の同時焼成を容易にし、区域別の雰囲気条件を容易に制御して、電極凝集等の不良発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による焼成炉の構造を示した断面図である。
図2】本発明の他の一実施形態による焼成炉の概略的な構造を示した断面図である。
図3】本発明の一実施形態による厚壁部の厚さが50mmのときの昇温速度を説明するためのグラフである。
図4】本発明の一実施形態による厚壁部の厚さが180mmのときの昇温速度を説明するためのグラフである。
図5】本発明の一実施形態による厚壁部の厚さが200mmのときの昇温速度を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
焼成炉
図1は、本発明の一実施形態による焼成炉の構造を示した断面図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による焼成炉には、入口から出口まで一定長さの内部通路120を有する焼成炉本体110と、上記内部通路120の中央部に駆動手段によって出口側方向に回転するように設けられる搬送ローラー130と、上記内部通路120の上部と下部にそれぞれ設けられる上部ヒーター150及び下部ヒーター160と、上記内部通路120が区域別に境界を有するように設けられる隔壁210、220と、が備えられる。
【0016】
また、上記搬送ローラー130の上部に載置されて一定速度で出口側方向に移動するトレイ140と、内部通路120の内部に雰囲気ガスを供給するために焼成炉本体110の下部一側に貫通して設けられるガス供給部170と、上記ガス供給部170により内部通路120に供給された雰囲気ガスが外部に排出されるために焼成炉本体110の上部他側に貫通して設けられるガス排出部180と、が備えられる。
【0017】
上記トレイ140に焼成製品が置かれた状態で上記トレイ140が搬送ローラー130によって出口側方向に移送されるとき、上記搬送ローラー130の上部及び下部にそれぞれ設けられている上部ヒーター150及び下部ヒーター160から供給される熱源と、焼成炉本体110の下部に貫通して設けられているガス供給部170を介して供給される雰囲気ガスによって焼成製品の焼成が行われる。
【0018】
上記ガス供給部170を通じて内部通路120の内部に供給された雰囲気ガスは、焼成炉本体110の上部他側に固設されているガス排出部180を介して焼成炉本体110の外部に排出される。
【0019】
このとき、トレイ140に置かれた焼成製品は、上記トレイ140が搬送ローラー130によって出口側方向に移動しながら、焼成炉内の温度や雰囲気条件の異なる領域を通過することにより、昇温段階、保持段階及び冷却段階を経るようになる。
【0020】
上記内部通路120の各区域の熱交換や雰囲気ガスの流れを制御して各区域別の内部温度及び雰囲気条件が異なるように制御するために、隔壁210、220が垂直に複数連続して配置される。
【0021】
上記隔壁210、220は、焼成製品が内部温度や雰囲気条件の異なる段階に搬送される際、前段階の内部通路の空気が焼成製品が搬送された後の段階の内部通路に伝達されないようにするセパレータ(Separator)の役割を担う。
【0022】
上記隔壁210、220は、各区域の熱交換や雰囲気ガスの流れを制御することができるものであれば特に制限されず、例えば、ジルコニア−アルミナ複合体からなってもよい。
【0023】
上記隔壁は、内部通路120の上部に設けられる上部隔壁210と、内部通路120の下部に設けられる下部隔壁220と、を含む。
【0024】
上記上部隔壁210及び下部隔壁220は、一定間隔離隔して設けられる。
【0025】
上記上部隔壁210と下部隔壁220の間の空間に、搬送ローラー130によってトレイ140が移動しながらトレイ140に置かれた焼成製品が搬送される。
【0026】
図2は、本発明の他の一実施形態による焼成炉の概略的な構造を示した断面図である。
【0027】
図2を参照すると、上記上部隔壁210と下部隔壁220の間隔をDwとすると、本発明の一実施形態は、上記Dwが30mm以下を満たすように上部隔壁210と下部隔壁220が備えられる。
【0028】
上部隔壁210と下部隔壁220の間隔Dwが30mm以下に備えられることにより、各区域別の温度及び雰囲気をより効果的に制御することができる。
【0029】
各区域別の温度及び雰囲気を制御しながら、搬送ローラー130によりトレイ140が移動する空間を確保しなければならないため、上部隔壁210と下部隔壁220の間隔Dwは、20mm〜30mmであることがより好ましい。
【0030】
上記焼成炉により焼成製品を焼成するとき、昇温段階に該当する区域では、内部温度を上昇させるために、その前段階の区域より高い熱を加える。
【0031】
この際、昇温段階に該当する区域に備えられた隔壁を前後にして温度上昇が起き、昇温速度が低いと、内部電極と誘電体は異なる温度領域で焼成が起きてしまい、電極凝集等の不良が発生する可能性が高くなる。
【0032】
そこで、本発明の一実施形態は、上記隔壁のうち昇温段階に該当する区域に備えられた隔壁を、他の隔壁210、220より厚い厚壁部250にした。
【0033】
上記厚壁部250が設けられた領域は、他の隔壁210、220が設けられた領域に比べて、隔壁の前の領域から隔壁の後の領域への昇温速度が大きい急昇温領域Yとなる。
【0034】
即ち、本発明の一実施形態は、他の隔壁210、220より厚い厚壁部250を備えることにより、急昇温が可能となり、急昇温を通じて内部電極と誘電体を同時に焼成させることができる。そのため、電極凝集等の不良発生を防止することができる。
【0035】
上記厚壁部250は、他の隔壁210、220と同様に、ジルコニア−アルミナ複合体からなることができる。
【0036】
上記厚壁部250は、対向する少なくとも一対の上部厚壁部251と下部厚壁部252を含む。
【0037】
昇温段階に該当する区域に備えられた対向する上部隔壁及び下部隔壁をともに、他の隔壁210、220より厚くして、対向する一対の上部厚壁部251及び下部厚壁部252にする。
【0038】
対向する一対の上部厚壁部251及び下部厚壁部252を備えることにより、急昇温をより効果的に具現することができる。
【0039】
上記厚壁部250の厚さは50mm以上であってもよい。
【0040】
厚壁部250の厚さを50mm以上にすることで、昇温速度を向上させて急昇温領域を具現することができ、これにより、内部電極と誘電体の同時焼成を誘導し、電極凝集等の不良発生を防止することができる。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態による厚壁部の厚さが50mmのときの昇温速度を説明するためのグラフである。
【0042】
図3を参照すると、厚壁部Iの厚さが50mmの場合であり、厚壁部Iの前の区域の設定温度は700℃で、上記厚壁部Iの後の区域の設定温度は1200℃である。
【0043】
上記厚壁部Iを前後にして温度上昇が起きるが、図3の場合は、A地点とB地点の間から昇温が始まる。
【0044】
厚壁部Iを通りながら継続的に昇温し、D地点を過ぎた地点で厚壁部Iの後の区域の設定温度である1200℃となり、昇温が終了する。
【0045】
このとき、測定される昇温速度は、約350℃/minである。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態による厚壁部の厚さが180mmのときの昇温速度を説明するためのグラフである。
【0047】
図4を参照すると、厚壁部IIの厚さが180mmの場合であり、図3と同様に、厚壁部IIの前の区域の設定温度は700℃で、上記厚壁部IIの後の区域の設定温度は1200℃である。
【0048】
上記厚壁部IIを前後にして温度上昇が起きるが、図4の場合は、A地点を過ぎてB地点から昇温が始まる。
【0049】
図3と同様に、厚壁部IIを通りながら継続的に昇温し、D地点を過ぎた地点で厚壁部IIの後の区域の設定温度である1200℃となり、昇温が終了する。
【0050】
厚さが50mmの厚壁部Iに比べて、厚さが180mmの厚壁部IIの場合、厚壁部とより隣接する地点から昇温が始まり、同一地点で昇温が終了するため、厚さが180mmとより厚い厚壁部IIのときに昇温速度がさらに向上する。
【0051】
厚さが180mmの厚壁部IIのときに測定される昇温速度は、約500℃/minである。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態による厚壁部の厚さが200mmのときの昇温速度を説明するためのグラフである。
【0053】
図5を参照すると、厚壁部IIIの厚さが200mmの場合であり、図3と同様に、厚壁部IIIの前の区域の設定温度は700℃で、上記厚壁部IIIの後の区域の設定温度は1200℃である。
【0054】
図5の場合、図3及び図4と同様に、D地点を過ぎた地点で厚壁部IIIの後の区域の設定温度である1200℃となり、昇温が終了する。
【0055】
しかし、厚壁部IIIの前のB地点からはむしろ温度が下降し、厚壁部IIIを通る領域でも温度降下が起きる。
【0056】
この場合、厚壁部IIIの前後の昇温速度を測定すると、昇温速度は向上するが、厚壁部IIIの前のB地点から厚壁部IIIを通りながら温度降下が発生するため、焼成には適さない。
【0057】
即ち、本発明の一実施形態による厚壁部250の厚さは、50mm〜180mmであることがより好ましい。
【0058】
厚壁部250の厚さが50mm未満では、昇温速度が低くて、内部電極と誘電体が異なる温度領域で焼成され、電極凝集等の不良が発生する可能性が高くなり、厚壁部250の厚さが180mmを超えると、厚すぎる厚壁部のために温度下降区間が発生して好ましくない。
【0059】
対向する一対の上部厚壁部251及び下部厚壁部252の厚さはともに50mm以上であってもよいが、上部厚壁部251及び下部厚壁部252の厚さはともに50mm〜180mmであることがより好ましい。
【0060】
上記厚壁部250が設けられた急昇温領域Yは、昇温速度が350℃/min以上であることができる。
【0061】
昇温速度が350℃/min以上に向上することにより、内部電極と誘電体の同時焼成を誘導し、電極凝集等の不良発生を防止することができる。
【0062】
下表1は、昇温速度の向上による内部電極の連結性を観察した結果である。
【0063】
焼成製品のサイズ毎に昇温速度による内部電極の連結性を観察し、昇温速度が30℃/minのときを基準に内部電極の連結性の向上程度を示した。
【0064】
【表1】
【0065】
昇温速度による内部電極の連結性を観察した結果、昇温速度が低いほど、電極の連結性が低下し、昇温速度が350℃/min以上に向上した場合、電極の連結性が約2.0%〜5.0%向上した。
【0066】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0067】
110 焼成炉本体
120 内部通路
130 搬送ローラー
140 トレイ
150 上部ヒーター
160 下部ヒーター
170 ガス供給部
180 ガス排出部
210 上部隔壁
220 下部隔壁
250 厚壁部
251 上部厚壁部
252 下部厚壁部
Y 急昇温領域
図1
図2
図3
図4
図5