【解決手段】電流センサ1では、ブスバー9に流れる電流によってフィードバックコア3の内側に磁界を発生させ、その際の磁束を磁界センサ6によって検出する。次に、磁界センサ6での検出結果に対応する電流をフィードバックコイル4に供給し、ブスバー9に流れる電流によって発生した磁界を打ち消した時点でのフィードバックコイル4に供給した電流値によって、ブスバー9に流れる電流を検出する。フィードバックコア3において、磁界センサ6に対してY方向の両側には、フィードバックコア3の第4コア部34と第5コア部35とがX方向で離間する第1磁気ギャップ306と、第6コア部36と第7コア部37とがX方向で離間する第2磁気ギャップ307とが設けられている。
前記磁界センサは、前記第1磁気ギャップに対して前記第2磁気ギャップの側、および前記第2磁気ギャップに対して前記第1磁気ギャップの側を通って前記第1方向に延在するプローブコアと、該プローブコアの周りを周回するプローブコイルと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
前記フィードバックコアは、プレス加工により打ち抜かれた複数枚の磁性板からなり、前記第1コア部と前記第2コア部との接続部分、前記第1コア部と前記第3コア部との接続部分、前記第2コア部と前記第4コア部との接続部分、前記第2コア部と前記第6コア部との接続部分、前記第3コア部と前記第5コア部との接続部分、および前記第3コア部と前記第7コア部との接続部分のいずれにも、前記磁性板の折り曲げ加工部分を有していないことを特徴とする請求項9に記載の電流センサ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、互いに交差する3方向をX方向(第1方向)、Y方向(第2方向)およびZ方向(第3方向)として説明する。本形態において、X方向(第1方向)、Y方向(第2方向)およびZ方向(第3方向)は互いに直交している。本発明における「互いに交差する3方向をX方向(第1方向)、Y方向(第2方向)およびZ方向(第3方向)」とは、各方向が互いに直交する形態を含むとともに、各方向が互いに直交する方向からわずかに傾いた形態も含む意味である。以下に説明する電流センサ1においては、X方向(第1方向)、Y方向(第2方向)およびZ方向(第3方向)が互いに直交する形態である。
【0022】
(電流センサの全体構成)
図1は、本発明を適用した電流センサ1の外観を示す説明図であり、
図1(a)、(b)は、X方向の一方側X1からみた斜視図、およびX方向の他方側X2からみた斜視図である。
【0023】
図1に示す電流センサ1は、ブスバー9に流れる電流を検出可能なセンサであり、電流の測定対象となる電線等がブスバー9に接続された状態で使用される。本形態において、電流センサ1は、ブスバー9等を保持するホルダ8と、ホルダ8に対してY方向の他方側Y2から被さるカバー2とを有している。本形態において、カバー2およびホルダ8は樹脂製である。カバー2は、四角形の端板部21と、端板部21の縁からY方向の一方側Y1に向けて延在する角筒状のカバー胴部22とを有している。カバー胴部22において、Z方向で対向する2つの側面には、ブスバー9の一部を露出させる切り欠き23が形成されている。また、カバー胴部22において、X方向の他方側X2に位置する側面には、Y方向の一方側Y1の縁に、端子12を外部に引き出すための切り欠き24が形成されている。
【0024】
(磁気的構成)
図2は、本発明を適用した電流センサ1の断面図であり、
図2(a)、(b)は、XY断面図、およびYZ断面図である。
【0025】
図2に示すように、本形態の電流センサ1は、カバー2の内側に、ループ状のフィードバックコア3と、フィードバックコア3の周りで周回するフィードバックコイル4と、ホール素子またはフラックスゲートセンサ等の磁界センサ6とを有している。かかる電流センサ1では、まず、フィードバックコア3の内側に通したブスバー9に流れる電流によっ
て、フィードバックコア3の内側に磁界を発生させ、その際の磁束を磁界センサ6によって検出する。次に、磁界センサ6での検出結果に対応する電流をフィードバックコイル4に供給する。そして、ブスバー9に流れる電流によってフィードバックコア3の内側に発生した磁界を打ち消したとき、フィードバックコイル4に供給した電流値によって、ブスバー9に流れる電流を検出する。フィードバックコア3は、パーマロイ等、保磁力が低く、透磁率の高い軟磁性合金からなる。
【0026】
かかる電流センサ1において、フィードバックコア3は、ブスバー9を通す第1コア開口部301と、磁界センサ6を配置する第2コア開口部302とを有する必要がある。このため、フィードバックコア3は、X方向の一方側X1から他方側X2に延在する第1コア部31と、第1コア部31からY方向の一方側Y1に延在する第2コア部32と、第1コア部31において第2コア部32からX方向の他方側X2に離間した位置からY方向の一方側Y1に延在する第3コア部33とを有している。また、フィードバックコア3は、第1コア部31からY方向の一方側Y1で離間する位置に、第2コア部32から第3コア部33に向けて突出した第4コア部34と、第3コア部33から第2コア部32に向けて突出した第5コア部35とを有している。このため、フィードバックコア3には、第1コア部31、第2コア部32、第3コア部33、第4コア部34および第5コア部35で囲まれた第1コア開口部301が構成されており、かかる第1コア開口部301をブスバー9が通っている。
【0027】
また、フィードバックコア3は、第4コア部34および第5コア部35が形成されている位置からさらにY方向の一方側Y1(第1コア部31とは反対側)に、第2コア部32から第3コア部33に向けて突出した第6コア部36と、第3コア部33から第2コア部32に向けて突出した第7コア部37とを有している。このため、フィードバックコア3には、第2コア部32、第3コア部33、第4コア部34、第5コア部35、第6コア部36、および第7コア部37で囲まれた第2コア開口部302が構成されており、かかる第2コア開口部302に磁界センサ6が配置されている。
【0028】
ここで、第4コア部34と第1コア部31との離間距離と、第5コア部35と第1コア部31との離間距離とは等しい。また、第4コア部34は、第2コア部32のY方向の一方側Y1の途中部分から第5コア部35に向けて突出し、第5コア部35は、第3コア部33のY方向の一方側Y1の途中部分から第4コア部34に向けて突出している。但し、第4コア部34と第5コア部35とは重なっておらず、接触していない。このため、第4コア部34と第5コア部35との間には、第4コア部34の先端部と第5コア部35の先端部とがX方向で離間する第1磁気ギャップ306が構成されている。
【0029】
また、第2コア部32と第3コア部33とは、Y方向における長さ寸法が等しい。また、第6コア部36は、第2コア部32のY方向の一方側Y1の端部から第3コア部33に向けて突出し、第7コア部37は、第3コア部33のY方向の一方側Y1の端部から第2コア部32に向けて突出している。このため、第6コア部36は、第7コア部37に向けて突出し、第7コア部37は、第6コア部36に向けて突出している。但し、第6コア部36と第7コア部37とは重なっておらず、接触していない。このため、第6コア部36と第7コア部37との間には、第6コア部36の先端部と第7コア部37の先端部とがX方向で離間する第2磁気ギャップ307が構成されている。
【0030】
従って、本形態では、磁界センサ6に対して第1コア部31が位置する側(Y方向の他方側Y2)に第1磁気ギャップ306が位置し、磁界センサ6に対して第1コア部31が位置する側とは反対側(Y方向の一方側Y1)に第2磁気ギャップ307が位置する。このため、電流検出時、フィードバックコア3から磁界センサ6への漏れ磁束を増大させることができる。それ故、磁界センサ6の感度を高めることができるので、電流センサ1の
感度を高めることができる。より具体的には、電流センサ1の感度は、ブスバー9に流れる電流とプローブコア61に発生する磁束密度との関係に対応し、本形態では、同じ電流をブスバー9に流しても、プローブコア61に発生する磁束密度をより高くすることができる。
【0031】
本形態において、磁界センサ6は、フラックスゲートセンサ60であり、第1磁気ギャップ306に対して第2磁気ギャップ307の側、および第2磁気ギャップ307に対して第1磁気ギャップ306の側を通ってX方向に延在するプローブコア61と、プローブコア61の周りを周回するプローブコイル62とを備えている。プローブコア61は、Y方向に厚さ方向を向ける板状あるいはシート状のアモルファスコアであり、コバルト系合金等の強磁性の非晶質金属材料からなる。
【0032】
また、フィードバックコイル4は、第1コア開口部301と、第6コア部36および第7コア部37に対して第1コア部31とは反対側(Y方向の一方側Y1)とを通って巻回された1つのコイルからなる。
【0033】
(ホルダ8およびブスバー9の構成)
図3は、本発明を適用した電流センサ1の内部構成をX方向の一方側X1からみた説明図であり、
図3(a)、(b)は、カバー2を外した状態をX方向の一方側X1からみた分解斜視図、およびさらにホルダ8を外した状態をX方向の一方側X1からみた分解斜視図である。
図4は、本発明を適用した電流センサ1の内部構成をX方向の他方側X2からみた説明図であり、
図4(a)、(b)は、カバー2を外した状態をX方向の他方側X2からみた分解斜視図、およびさらにホルダ8を外した状態をX方向の他方側X2からみた分解斜視図である。なお、
図3および
図4では、フィードバックコア3の全体が、フィードバックコイル用ボビン5に直接、保持されている形態を示してあるが、電流センサ1を組み立てる際、フィードバックコイル用ボビン5をホルダ8に取り付けた後、フィードバックコア3の一部がフィードバックコイル用ボビン5およびホルダ8に取り付けられる。
【0034】
図2、
図3および
図4に示すように、ブスバー9はホルダ8によって保持されている。ブスバー9は金属製である。また、ホルダ8は、フィードバックコイル4が巻回されたフィードバックコイル用ボビン5を保持している。このため、ホルダ8は、フィードバックコイル用ボビン5を内側に挿入する保持穴82を備えた筒状のホルダ胴部81を有している。保持穴82は、ホルダ胴部81のX方向の他方側X2の端面812で開口している一方、ホルダ胴部81のX方向の一方側X1の端面811は、後述するコア収容用第2溝86以外の部分が塞がっている。
【0035】
さらに、ホルダ8はフィードバックコア3を保持している。このため、ホルダ8において、ホルダ胴部81の外面のうち、Y方向の他方側Y2の外面には、X方向に延在してフィードバックコア3の第1コア部31を内側に収容するコア収容用第1溝830が形成されている。また、ホルダ胴部81のX方向の一方側X1に向く端面811には、Y方向に延在してフィードバックコア3の第2コア部32を内側に収容するコア収容用第2溝86が形成されている。本形態では、ホルダ胴部81の外面において、Y方向の他方側Y2の端面から、さらにY方向の他方側Y2に向けて突出した第1フランジ部831、第1板状部832、第2板状部833、および第2フランジ部834がZ方向の一方側Z1から他方側Z2に向かって形成されており、第1板状部832と第2板状部833との間がコア収容用第1溝830になっている。第1フランジ部831と第1板状部832との間の凹部、および第2板状部833と第2フランジ部834との間の凹部は、
図2(b)に示すように、カバー2の端板部21の内面に形成された凸部211、212が嵌ることによって、カバー2とホルダ8との位置決めが行われる。
【0036】
ブスバー9は、フィードバックコア3の第1コア開口部301をZ方向に貫通する第1部分91と、第1部分91のZ方向の一方側Z1の端部からY方向の一方側Y1に向けて屈曲した第2部分92と、第1部分91のZ方向の他方側Z2の端部からY方向の一方側Y1に向けて屈曲した第3部分93とを有している。かかるブスバー9は、棒材を2個所で折り曲げてなる。
【0037】
本形態において、ホルダ8は、ブスバー9がインサート成形された樹脂成形品である。このため、ホルダ8のホルダ胴部81のうち、保持穴82よりY方向の他方側Y2に位置する部分をZ方向に貫通する貫通穴87が形成され、貫通穴87の内側には、ブスバー9においてフィードバックコア3の第1コア開口部301をZ方向に貫通する第1部分91が位置する。また、第1フランジ部831の外面(Z方向の一方側Z1の面)には、貫通穴87からY方向の一方側Y1に延在する溝881が形成され、溝881の内側にはブスバー9の第2部分92が位置する。また、第2フランジ部834の外面(Z方向の他方側Z2の面)には、貫通穴87からY方向の一方側Y1に延在する溝882が形成され、溝882の内側にはブスバー9の第3部分93が位置する。
【0038】
本形態において、ホルダ8を成形する際、例えば、ブスバー9を、
図3(a)および
図4(b)に示すように、Z方向に直線状に延在する棒材90の状態でインサート成形し、その後、棒材90を折り曲げてブスバー9とする。従って、本形態では、インサート成形する際の棒材90の本数を変えることによって、ブスバー9の本数を変えることができる。本形態では、最大で5本のブスバー9を設けることが可能であるが、3本のブスバー9のみが設けられている。このため、溝881、882の数は各々5つであるが、貫通穴87の数は3つである。これに対して、インサート成形する際の棒材90の本数を5本とすれば、貫通穴87も、溝881、882と同様、5つ形成されることになる。かかる構成によれば、ホルダ8を成形するための金型をブスバー9の本数毎に準備する必要がない。また、ホルダ8が一体品であるため、ブスバー9の第1部分91は、ホルダ部材同士を重ねた接合面を貫通せずにホルダ8に保持される。このため、ブスバー9の第1部分91と他の導電部材とが接合面を介して繋がっていないので、絶縁耐圧が高い。
【0039】
(フィードバックコイル用ボビン5およびフィードバックコイル4の構成)
図5は、本発明を適用した電流センサ1のフィードバックコイル用ボビン5等をX方向の一方側X1からみた説明図であり、
図5(a)、(b)は、フィードバックコイル用ボビン5等をX方向の一方側X1からみた斜視図、およびフィードバックコイル用ボビン5からプローブコイルボビン7等を外した状態をX方向の一方側X1からみた分解斜視図である。
図6は、本発明を適用した電流センサ1のフィードバックコイル用ボビン5等をX方向の他方側X2からみた説明図であり、
図6(a)、(b)は、フィードバックコイル用ボビン5等をX方向の他方側X2からみた斜視図、およびフィードバックコイル用ボビン5からプローブコイルボビン7等を外した状態をX方向の他方側X2からみた分解斜視図である。
図7は、本発明を適用した電流センサ1のフィードバックコイル用ボビン5の説明図であり、
図7(a)、(b)は、フィードバックコイル用ボビン5からフィードバックコイル4を外した状態をX方向の一方側X1からみた斜視図、およびフィードバックコイル用ボビン5にフィードバックコア3を取り付ける様子を示す説明図である。なお、
図5、
図6および
図7(a)では、フィードバックコア3の全体が、フィードバックコイル用ボビン5に直接、保持されている形態を示してあるが、電流センサ1を組み立てる際、フィードバックコイル用ボビン5をホルダ8に取り付けた後、フィードバックコア3の一部がフィードバックコイル用ボビン5およびホルダ8に取り付けられる。
【0040】
図5、
図6および
図7に示すように、フィードバックコイル用ボビン5は、フィードバックコイル4が巻回された状態で、
図3および
図4を参照して説明したホルダ8のホルダ胴部81の保持穴82に収容される。また、フィードバックコイル用ボビン5は、
図8お
よび
図9を参照して後述するように、磁界センサ6を保持するプローブコイル用ボビン7を保持した状態で
図3および
図4を参照して説明したホルダ8のホルダ胴部81の保持穴82に収容される。
【0041】
このため、フィードバックコイル用ボビン5は、X方向の延在する筒状のボビン胴部51を備えており、ボビン胴部51内側の保持穴55に、プローブコイル用ボビン7を介して磁界センサ6が収容される。また、ボビン胴部51の周りにフィードバックコイル4が巻回されている。より具体的には、フィードバックコイル用ボビン5は、ボビン胴部51のX方向の一方側X1の端部で拡径する第1フランジ部52と、ボビン胴部51のX方向の他方側X2の端部で拡径する第2フランジ部53とを備えており、第1フランジ部52と第2フランジ部53との間において、ボビン胴部51の周りにフィードバックコイル4が巻回されている。
【0042】
ボビン胴部51の保持穴55には、後述する第1シールド部材66および第2シールド部材67が収容されるとともに、フィードバックコア3の第4コア部34、第5コア部35、第6コア部36および第7コア部37も収容される。このため、第1フランジ部52の第2フランジ部53側とは反対側の端面521(X方向の一方側X1の端面521)には、保持穴55からY方向の他方側Y2に向けて延在する第2コア部位置決め部522が形成され、第2コア部位置決め部522には、フィードバックコア3の第2コア部32が嵌ってZ方向で位置決めされている。また、第2フランジ部53の第1フランジ部52側とは反対側の端面531(X方向の他方側X2の端面531)には、保持穴55からY方向の他方側Y2に向けて延在する第3コア部位置決め部532が形成されており、第3コア部位置決め部532には、フィードバックコア3の第3コア部33が嵌ってZ方向で位置決めされている。
【0043】
このような構成によれば、フィードバックコイル用ボビン5を基準にフィードバックコア3、フィードバックコイル4、プローブコイル用ボビン7、磁界センサ6、第1シールド部材66、および第2シールド部材67の位置を合わせることができる。また、フィードバックコア3の第1コア開口部301と、第6コア部36および第7コア部37に対して第1コア部31とは反対側とを通るようにフィードバックコイル4を設けるのが容易である。ここで、第2コア部位置決め部522は、第2コア部32のX方向の寸法に相当する深さをもってX方向の他方側X2に向けて凹んだ溝状の位置決め部であり、第3コア部位置決め部532は、第3コア部33のX方向の寸法に相当する深さをもってX方向の一方側X1に向けて凹んだ溝状の位置決め部である。このため、フィードバックコイル用ボビン5からフィードバックコア3がX方向に突出することを抑制することができる。
【0044】
本形態では、第2フランジ部53は、第3コア部位置決め部532の両側が肉厚部分57になっており、肉厚部分57には、X方向の他方側X2およびY方向の他方側Y2に向けて突出する2つの端子581、582が形成されている。2つの端子581、582において、Y方向の他方側Y2に向けて突出する部分581a、582aには、
図7(b)に示すように、フィードバックコイル4の一方の端部4aおよび他方の端部4bが絡げられている。その際、フィードバックコイル4の端部4a、4bは、第2フランジ部53の内面(ボビン胴部51側の面)に沿って交差するように延在している。なお、2つの端子581、582において、X方向の他方側X2に向けて突出する部分581b、582bは、基板11の穴110に嵌められて駆動用IC16に電気的に接続される。基板11には、端子ホルダ13を介して端子12が取り付けられている。
【0045】
(フィードバックコア3の磁気ギャップ306の詳細構成)
図8は、本発明を適用した電流センサ1のフィードバックコア3の説明図であり、
図8(a)、(b)、(c)は、フィードバックコア3をZ方向からみた説明図、フィードバ
ックコア3を第1コア板38と第2コア板39とに分解した分解斜視図、およびフィードバックコア3を4枚の磁性板に分解した分解斜視図である。
【0046】
図2を参照して説明したように、本形態の電流センサ1に用いたフィードバックコア3では、磁界センサ6に対して第1コア部31が位置する側(Y方向の他方側Y2)に第1磁気ギャップ306が位置し、磁界センサ6に対して第1コア部31が位置する側とは反対側(Y方向の一方側Y1)に第2磁気ギャップ307が位置する。また、磁界センサ6は、フラックスゲートセンサ60であることから、プローブコア61、第1磁気ギャップ306および第2磁気ギャップ307を以下のように構成してある。
【0047】
まず、
図8(a)に示すように、第1磁気ギャップ306におけるX方向の寸法をB1とし、第2磁気ギャップ307におけるX方向の寸法をB2とし、第4コア部34および第5コア部35に対するプローブコア61のY方向における離間距離をF1とし、第6コア部36および第7コア部37に対するプローブコア61のY方向における離間距離をF2としたとき、寸法B1、B2および離間距離F1、F2は、以下の関係
F1<B1
F2<B2
を全て満たしている。すなわち、第1磁気ギャップ306におけるX方向の寸法B1は、第4コア部34および第5コア部35に対するプローブコア61のY方向における離間距離F1より広く、第2磁気ギャップ307におけるX方向の寸法B2は、第6コア部36および第7コア部37に対するプローブコア61のY方向における離間距離F2より広い。このため、電流検出時、フィードバックコア3から磁界センサ6(フラックスゲートセンサ60)への漏れ磁束を増大させることができる。従って、フラックスゲートセンサ60の感度を高めることができるので、電流センサ1の感度を高めることができる。
【0048】
また、プローブコア61のX方向における長さ寸法をJとしたとき、
寸法B1、B2と長さ寸法Jは、以下の関係
B1<J
B2<J
を全て満たしている。このため、第1磁気ギャップ306と第2磁気ギャップ307との間にプローブコア61が確実に位置することになるため、フラックスゲートセンサ60は、フィードバックコア3からの漏れ磁束をより多く受けることができる。従って、フラックスゲートセンサ60の感度を高めることができるので、電流センサ1の感度を高めることができる。
【0049】
また、フィードバックコア3のZ方向の寸法(厚さ)をtとしたとき(
図7(a)参照)、
寸法t、B1、B2は、以下の関係
B1<t
B2<t
を全て満たしている。
【0050】
本形態において、寸法B1は寸法B2と等しく、離間距離F1は離間距離F2と等しい。第4コア部34と第5コア部35とは、X方向における長さ寸法が等しく、第6コア部36と第7コア部37とは、X方向における長さ寸法が等しい。このため、第1磁気ギャップ306および第2磁気ギャップ307は、フィードバックコア3においてX方向の中央に位置し、プローブコア61のX方向における中央および中央に対してY方向で隣り合う位置にある。このため、いずれの方向に磁界が発生した場合でも、フィードバックコア3から磁界センサ6(フラックスゲートセンサ60)に漏れる磁束が安定する。特に、第1磁気ギャップ306および第2磁気ギャップ307は、フィードバックコア3のX方向
の中央に対してY方向で隣り合う位置にあるため、フィードバックコア3からの漏れ磁束がプローブコア61に均等に加わる。また、プローブコア61は、Y方向において第1磁気ギャップ306と第2磁気ギャップ307との中間位置にあるため、フィードバックコア3からの漏れ磁束がプローブコア61に均等に加わる。従って、フラックスゲートセンサ60(磁界センサ6)の感度を高めることができる。
【0051】
ここで、ブスバー9に一定の電流を流したとき、プローブコア61の長さ寸法Jが長い程、プローブコア61に発生する磁束密度が高くなる。特に、プローブコア61の長さ寸法Jが10mm位になるまでは、プローブコア61の長さ寸法Jが長くなるに伴い、プローブコア61に発生する磁束密度の上昇率が高く、10mmを超えると、磁束密度の上昇率が低下していく。従って、本形態では、プローブコア61のX方向の寸法Jを10mm以上とし、かつ、可能な限り長くしてある。また、ブスバー9に一定の電流を流したとき、第4コア部34および第5コア部35に対するプローブコア61のY方向における離間距離をF1(第6コア部36および第7コア部37に対するプローブコア61のY方向における離間距離F2)が短い程、プローブコア61発生する磁束密度が高くなる。従って、本形態では、第4コア部34および第5コア部35に対するプローブコア61のY方向における離間距離F1、F2を可能な限り短くしてある。また、ブスバー9に一定の電流を流したとき、第1磁気ギャップ306におけるX方向の寸法B1(第2磁気ギャップ307におけるX方向の寸法B2)が長くしていくと、プローブコア61発生する磁束密度が低くなる傾向にあることから、寸法B1、B2については、上限を設定してある。
【0052】
例えば、本形態においては、寸法B1、B2は0.5〜1.5mmであり、離間距離F1、F2は0.3〜0.8mmであり、寸法tは1.0〜1.6mmであり、寸法Jは12.7mmである。
【0053】
また、プローブコア61のZ方向の一方側Z1および他方側Z2のいずれにもフィードバックコア3が位置しない。
【0054】
(フィードバックコア3の詳細構成)
図8(b)、(c)に示すように、フィードバックコア3は、Z方向に板厚方向を向ける板状コアからなる。このため、磁性板に対するプレス加工等によって、所定形状のフィードバックコア3を構成でき、折り曲げ加工が一切不要、あるいは折り曲げ加工の回数を最小限に止めることができる。それ故、折り曲げ加工に起因する寸法精度や形状精度の低下が発生しにくい。本形態において、フィードバックコア3は、プレス加工により打ち抜かれた複数枚の磁性板からなるため、折り曲げ加工が一切不要である。従って、フィードバックコア3は、第1コア部31と第2コア部32との接続部分、第1コア部31と第3コア部33との接続部分、第2コア部32と第4コア部34との接続部分、第2コア部32と第6コア部36との接続部分、第3コア部33と5コア部35との接続部分、および第3コア部33と第7コア部37との接続部分等のいずれの個所にも、磁性板に対する折り曲げ加工部分を有していない。従って、折り曲げ加工に起因する寸法精度や形状精度の低下が発生しない。
【0055】
また、フィードバックコア3は、Z方向に板厚方向を向ける第1コア板38と、Z方向に板厚さ方向を向けて第1コア板38にZ方向で重なる第2コア板39とを含んでいる。このため、薄い磁性板に対してプレス加工を行えばよいので、プレス加工を効率よく行うことができる。また、1枚のコア板を用いてフィードバックコア3を形成した場合より、2枚のコア板(第1コア板38および第2コア板39)を積層した場合、コア板が薄いため、交流に対する磁気抵抗を小さくすることができ、磁気効率の高い磁路が形成することができるという利点もある。
【0056】
本形態において、第1コア板38および第2コア板39は、同一の平面形状をもって積層されており、フィードバックコア3と同一の平面形状を有している。このため、第1コア板38は、第1コア部31を構成する第1部分38aと、第2コア部32を構成する第2部分38bと、第3コア部33を構成する第3部分38cと、第4コア部34を構成する第4部分38dと、第5コア部35を構成する第5部分38eと、第6コア部36を構成する第6部分38fと、第7コア部37を構成する第7部分38gとを有している。同様に、第2コア板39は、第1コア部31を構成する第1部分39aと、第2コア部32を構成する第2部分39bと、第3コア部33を構成する第3部分39cと、第4コア部34を構成する第4部分39dと、第5コア部35を構成する第5部分39eと、第6コア部36を構成する第6部分39fと、第7コア部37を構成する第7部分39gとを有している。
【0057】
また、本形態では、フィードバックコア3には、X方向あるいはY方向に複数の磁性板を配列することによってコア板が構成されている。より具体的には、第1コア板38は、境目380をもって接続された第1磁性板381および第2磁性板382を含み、第2コア板39は、境目390をもって接続された第3磁性板391および第4磁性板392を含んでいる。かかる複数枚の磁性板(第1磁性板381、第2磁性板382、第3磁性板391および第4磁性板392)はいずれも、プレス加工により打ち抜かれてなる。
【0058】
ここで、2つの境目380、390はいずれも、第1磁気ギャップ306および第2磁気ギャップ307に対してY方向にずれている。また、2つの境目280、390は重なっていない。このため、第1磁性板381と第2磁性板382との間に位置ずれが発生し、第3磁性板391と第4磁性板392との間に位置ずれが発生した場合でも、境目380、390同士が重ならないので、フィードバックコア3には、第1磁気ギャップ306および第2磁気ギャップ307以外に磁気ギャップが発生しにくい。
【0059】
本形態において、第1コア板38および第2コア板39は各々、Y方向に延在する部分に境目380、390を有しており、複数の磁性板がY方向に配列された構成を有している。より具体的には、第1コア板38は、第1部分38aと第2部分38bとの間に第1磁性板381と第2磁性板382との境目380を有している。このため、第1磁性板381は、第1部分38a、第3部分38c、第5部分38eおよび第7部分38gを有し、第2磁性板382は、第2部分38b、第4部分38dおよび第6部分38fを有している。第2コア板39は、第1部分39aと第3部分38cとの間に第3磁性板391と第4磁性板392との境目390を有している。このため、第3磁性板391は、第1部分39a、第2部分39b、第4部分39dおよび第6部分39fを有し、第4磁性板392は、第3部分39c、第5部分39eおよび第7部分39gを有している。従って、表裏反転すれば、第1磁性板381と第3磁性板391とは同一の平面形状を有し、第2磁性板382と第4磁性板392とは同一の平面形状を有している。従って、フィードバックコア3を構成する磁性板の種類が2種類で済む。
【0060】
また、第1コア板38および第2コア板39は各々、Y方向に延在する部分に境目380、390を有しているため、4枚の磁性板(第1磁性板381、第2磁性板382、第3磁性板391および第4磁性板392)を、プローブコイル用ボビン7、フィードバックコイル用ボビン5およびホルダ8に取り付ける際、第1磁性板381、第2磁性板382、第3磁性板391および第4磁性板392のいずれをもX方向から差し込むことができる。例えば、
図7(b)に示すように、第1磁性板381の第5部分38e、第1磁性板381の第7部分38g、第4磁性板392の第5部分39e、および第4磁性板392の第7部分39gをプローブコイル用ボビン7とともに、フィードバックコイル用ボビン5のボビン胴部51にX方向の他方側X2から挿入する一方、第2磁性板382の第4部分38d、第2磁性板382の第6部分38f、第3磁性板391の第4部分38d、
および第3磁性板391の第6部分39fをフィードバックコイル用ボビン5のボビン胴部51にX方向の一方側X1から挿入することができる。
【0061】
(プローブコイル用ボビン7の構成)
図9は、本発明を適用した電流センサ1のプローブコイル用ボビン7をX方向の一方側X1からみたときの説明図であり、
図9(a)、(b)、(c)は、プローブコイル用ボビン7にフラックスゲートセンサ60を搭載した状態の斜視図、プローブコイル用ボビン7からプローブコイル62を外した状態の斜視図、およびプローブコイル用ボビン7からフラックスゲートセンサ60を外した状態の斜視図である。
図10は、本発明を適用した電流センサ1のプローブコイル用ボビン7をX方向の他方側X2からみたときの説明図であり、
図10(a)、(b)、(c)は、プローブコイル用ボビン7にフラックスゲートセンサ60を搭載した状態の斜視図、プローブコイル用ボビン7にシールド部材を取り付けた状態の斜視図、およびプローブコイル用ボビン7にフィードバックコア3を取り付けた状態の斜視図である。
【0062】
図9および
図10に示すように、本形態の電流センサ1において、フラックスゲートセンサ60(磁界センサ6)は、プローブコイル用ボビン7に保持されている。具体的には、プローブコイル用ボビン7は、X方向の延在するプローブコア支持部71を有しており、プローブコア支持部71のY方向の他方側Y2の面には、X方向に延在する溝状の凹部711が形成されている。従って、凹部711にプローブコア61を収容した状態で、プローブコア支持部71の周りにプローブコイル62が巻回されている。
【0063】
プローブコア支持部71のX方向の一方側X1の第1端部716は、プローブコア支持部71より外形寸法が大になっている。また、プローブコア支持部71のX方向の他方側X2の第2端部717も、第1端部716と同様、プローブコア支持部71より外形寸法が大になっている。
【0064】
ここで、プローブコイル用ボビン7は、第1端部716に対してZ方向の一方側Z1に第1板部72を備え、第2端部717に対してZ方向の一方側Z1に第2板部73を備えている。また、プローブコイル用ボビン7は、第1端部716に対してZ方向の他方側Z2に第3板部74を備え、第2端部717に対してZ方向の他方側Z2に第4板部75を備えている。
【0065】
また、プローブコイル用ボビン7は、第2板部73に対してX方向の他方側X2で隣り合う位置には、プローブコア支持部71よりZ方向の一方側Z1に端子台78を備えている。また、端子台78には、X方向の他方側X2およびY方向の他方側Y2に向けて突出する第1端子781と、X方向の他方側X2およびY方向の一方側Y1に向けて突出する第2端子782とが保持されている。第1端子781において、Y方向の他方側Y2に向けて突出する部分781aには、プローブコイル62に用いたコイル線の第1引き回し部62aが接続されている。また、第2端子782において、Y方向の一方側Y1に向けて突出する部分782aには、プローブコイル62に用いたコイル線の第2引き回し部62bが接続されている。ここで、端子台78のY方向の一方側Y1の端部には、プローブコイル62の第1引き回し部62aが通された第1位置決め溝786が形成され、端子台78のY方向の他方側Y2の端部には、プローブコイル62の第2引き回し部62bが通された第2位置決め溝787が形成されている。このため、第1端子781において第1引き回し部62aが接続されている部分781aは、第1位置決め溝786よりZ方向の一方側Z1で端子台78からY方向の他方側Y2に突出し、第2端子782において第2引き回し部62bが接続されている部分782aは、第2位置決め溝787よりZ方向の一方側Z1で端子台78からY方向の一方側Y1に突出している。
【0066】
従って、第1引き回し部62aおよび第2引き回し部62bは、端子台78の外側の端面780(X方向の他方側X2の面、プローブコア支持部71側とは反対側の端面70)に沿って交差するように延在している。それ故、第1引き回し部62aおよび第2引き回し部62bを、フィードバックコア3、第1シールド板66、および第2シールド板67と接触させずに引き回すことができる。また、プローブコイル用ボビン7には、プローブコア支持部71よりZ方向の一方側Z1に端子台78が設けられているため、プローブコイル用ボビン7に対してフィードバックコア3を位置決めする際、端子台78が邪魔にならない。
【0067】
なお、端子台78の外面(X方向の他方側X2の面)には基板11が取り付けられており、第1端子781においてX方向の他方側X2に向けて突出する部分781b、および第2端子782においてX方向の他方側X2に向けて突出する部分782bは、基板11の穴110に嵌められて、駆動用IC16に電気的に接続される。
【0068】
(プローブコイル用ボビン7のフィードバックコア3に対する位置決め部の構成)
本形態においては、以下に説明するように、プローブコイル用ボビン7には、フィードバックコア3のX方向の双方向、Y方向の双方向、およびZ方向の双方向の何れかの位置決めを行うフィードバックコア用位置決め部が設けられている。また、プローブコイル用ボビン7には、フィードバックコア用位置決め部として、フィードバックコア3をZ方向の双方向で位置決めするフィードバックコア用第1位置決め部、およびフィードバックコア3をX方向の双方向およびY方向の双方向において位置決めするフィードバックコア用第2位置決め部の少なくとも一方が設けられている。本形態において、プローブコイル用ボビン7には、フィードバックコア用第1位置決め部およびフィードバックコア用第2位置決め部の双方が設けられている。従って、磁界センサ6を保持するプローブコイル用ボビン7に対してフィードバックコア3を適正に位置決めことができる。
【0069】
より具体的には、まず、プローブコイル用ボビン7において、第1板部72と第3板部74との間隔は、フィードバックコア3のZ方向の寸法t(厚さ寸法)と等しく、第2板部73と第4板部75との間隔は、フィードバックコア3のZ方向の寸法t(厚さ寸法)と等しい。従って、第1板部72の内面72aと第3板部74の内面74aとは対になってフィードバックコア3に対するZ方向の位置決め部(フィードバックコア用第1位置決め部)を構成し、第2板部73の内面73aと第4板部75の内面75aとは対になってフィードバックコア3に対するZ方向の位置決め部(フィードバックコア用第1位置決め部)を構成している。具体的には、
図7(b)に示すように、フィードバックコア3をプローブコイル用ボビン7に取り付ける際、フィードバックコア3は、第1板部72と第3板部74とよってZ方向の両側から位置決めされるとともに、第2板部73と第4板部75とよってZ方向の両側から位置決めされる。
【0070】
また、プローブコア支持部71の第1端部716は、フィードバックコア3の第4コア部34と第6コア部36との間に入り込んでフィードバックコア3に対するY方向の位置決め部として機能するとともに、フィードバックコア3の第2コア部32と当接し、フィードバックコア3に対するX方向の位置決め部として機能する。また、プローブコア支持部71の第2端部717は、フィードバックコア3の第5コア部35と第7コア部37との間に入り込んでフィードバックコア3に対するY方向の位置決め部として機能するとともに、フィードバックコア3の第3コア部33と当接し、フィードバックコア3に対するX方向の位置決め部として機能する。このようにして、本形態では、プローブコア支持部71の第1端部716および第2端部717によって、フィードバックコア3をX方向の双方向およびY方向の双方向で位置決めするフィードバックコア用第2位置決め部が構成されている。
【0071】
(シールド部材およびシールド部材用位置決め部等の構成)
図11は、本発明を適用した電流センサ1のシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)とフィードバックコア3との位置関係を示す説明図であり、
図11(a)、(b)、(c)、(d)は、シールド部材をZ方向の一方側Z1からみた説明図、シールド部材をY方向の一方側Z1からみた説明図、シールド部材をX方向の一方側X1からみた説明図、およびプローブコア61とシールド部材との位置関係をZ方向の一方側Z1からみた説明図である。
図12は、本発明を適用した電流センサ1のシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)とフィードバックコア3との離間距離と、外部磁界に対するシールド効果との関係を示すグラフである。
【0072】
図11に示すように、本形態の電流センサ1では、磁界センサ6(フラックスゲートセンサ60)に対してZ方向の一方側Z1には第1シールド部材66が配置され、磁界センサ6(フラックスゲートセンサ60)に対してZ方向の他方側Z2には第2シールド部材67が配置されている。ここで、第1シールド部材66および第2シールド部材67はいずれも、パーマロイ等からなる磁性板からなり、X方向に流れる外部磁界に対する磁気シールドとして機能している。本形態において、第1シールド部材66および第2シールド部材67は、フィードバックコア3と別体の磁性板からなる。また、Z方向からみたとき、第1シールド部材66および第2シールド部材67は四角形状を有しており、本形態において、第1シールド部材66および第2シールド部材67は、X方向に長辺が延在する長方形である。
【0073】
第1シールド部材66および第2シールド部材67は、Z方向からみたとき、フィードバックコア3において、磁界センサ6(フラックスゲートセンサ60)が配置された第2コア開口部302全体に重なるように配置されている。また、Z方向からみたとき、第1シールド部材66の外縁および第2シールド部材67の外縁は、フィードバックコア3の第2コア部32の外縁(X方向の一方側X1の縁)、第3コア部33の外縁(X方向の他方側X2の縁)、第6コア部36の外縁(Z方向の一方側Z1の縁)、第7コア部37の外縁(Z方向の一方側Z1の縁)、第4コア部34のY方向の他方側Y2の縁、および第5コア部35のY方向の他方側Y2に重なっている。従って、Z方向からみたとき、第1シールド部材66および第2シールド部材67は、フィードバックコア3の第4コア部34、第5コア部35、第6コア部36および第7コア部37と重なっている。また、Z方向からみたとき、第1シールド部材66および第2シールド部材67は、フィードバックコア3において第4コア部34と第6コア部36との間に位置する第2コア部32、および第5コア部35と第7コア部37との間に位置する第3コア部33とも重なっている。
【0074】
ここで、第1シールド部材66および第2シールド部材67は、プローブコイル用ボビン7によって位置決めされており、フィードバックコア3に対してZ方向で離間している。より具体的には、
図9および
図10に示すように、第1シールド部材66を配置した際、第1シールド部材66は、プローブコイル用ボビン7の第1板部72および第2板部73のZ方向の一方側Z1の面(外面72b、73b)に当接し、Z方向で位置決めされている。このようにして、第1板部72の外面72bおよび第2板部73の外面72bによって、第1シールド板66をZ方向で位置決めするシールド部材用第1位置決め部が構成されている。また、第2シールド部材67を配置した際、第2シールド部材67は、プローブコイル用ボビン7の第3板部74および第4板部75のZ方向の他方側Z2の面(外面74b、75b)に当接し、Z方向で位置決めされている。このようにして、第1板部72の外面72bおよび第2板部73の外面72bによって、第1シールド板66をZ方向で位置決めするシールド部材用第2位置決め部が構成されている。さらに、第1シールド部材66は、プローブコイル用ボビン7において第2板部73と端子台78との間に形成された凹部79に入り込んで凹部79の底部に当接し、X方向の他方側X2で位置決めされる。このようにして、プローブコイル用ボビン7には、凹部79によって、第1シー
ルド部材66をX方向で位置決めするシールド部材用第3位置決め部が構成されている。
【0075】
従って、磁界センサ6に対して第1シールド部材66および第2シールド部材67を適正に配置することができるので、外部磁界の磁界センサ6への影響を抑制することができる。
【0076】
例えば、第1シールド部材66とフィードバックコア3との離間距離S1(
図11参照)は、第1板部72および第2板部73の厚さによって規定され、第2シールド部材67とフィードバックコア3との離間距離S2(
図11参照)は、第3板部74および第4板部75の厚さによって規定されている。それ故、磁界センサ6に近い位置に第1シールド部材66および第2シールド部材67を配置することができるので、磁気シールド効果が高い。このため、磁界センサ6では、外部磁界に起因する誤検出や検出精度の低下等が発生しにくい。また、フィードバックコア3に対して第1シールド部材66および第2シールド部材67が離間しているので、フィードバックコア3から第1シールド部材66および第2シールド部材67に磁界が漏れにくい。また、第1シールド部材66および第2シールド部材67は、フィードバックコア3とは別体である。このため、フィードバックコア3の構成や製造方法にかかわらず、第1シールド部材66および第2シールド部材67を適正な位置に配置することができる。また、磁気シールドが、電流を検出するための磁気回路と別体であるため、磁気シールドの寸法精度等が磁界センサ6の検出精度に影響を及ぼしくい。それ故、磁気シールドを適正に行うことができる。
【0077】
このように構成した第1シールド部材66および第2シールド部材67は、
図7(b)に示すように、フィードバックコア3の第1磁性板381の第5部分38e、第1磁性板381の第7部分38g、第4磁性板392の第5部分39e、および第4磁性板392の第7部分39gとともにプローブコイル用ボビン7に重なった状態で、フィードバックコイル用ボビン5のボビン胴部51にX方向の他方側X2から挿入すると、ボビン胴部51の内部で保持される。
【0078】
このように構成した電流センサ1において、フィードバックコア3とシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)との離間距離S1、S2(S1=S2)を変えた場合、外部磁界がプローブコア61に及ぼす影響をシミュレーションした結果を、
図12に示す。
図12に示す結果は、シールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)を配置しない状態で外部磁場を加えた際にプローブコア61で発生する最大磁束密度を、シールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)によって、どの程度低減できるかを示すグラフである。従って、
図12において、シールド率が100%とは、プローブコア61を外部磁場から完全にシールドできたことを意味し、シールド率が0%とは、プローブコア61を外部磁場からシールドできなかったこと意味する。なお、
図12に示す結果は、外部磁界を10Gとし、フィードバックコア3の厚さtを1.6mmとした条件でシミュレーションした結果である。
【0079】
図12から分かるように、フィードバックコア3とシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)との離間距離S1、S2が0に近い程、シールド効率が高く、離間距離S1、S2が長くなるに伴い、シールド率が低下している。
【0080】
本形態では、フィードバックコア3とシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)とを、プローブコイル用ボビン7の第1板部72、第2板部73、第3板部74および第4板部75によって離間させている。従って、プローブコイル用ボビン7を成形する際の第1板部72、第2板部73、第3板部74および第4板部75の厚さの限界や強度等を考慮して、フィードバックコア3とシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)との離間距離S1、S2の下限を0.16mmと設定
することが好ましい。かかる寸法は、フィードバックコア3の厚さt(mm)の0.1倍に相当する。また、シールド効果からみて、フィードバックコア3とシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)との離間距離S1、S2の上限を16mmと設定することが好ましい。かかる寸法は、フィードバックコア3の厚さt(mm)の10倍に相当する。従って、フィードバックコア3とシールド部材(第1シールド部材66および第2シールド部材67)との離間距離S1、S2は、以下の条件の何れかを満たすことが好ましい。
0.16mm≦S1(S2)≦16mm
0.1×t≦S1(S2)≦10×t
【0081】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電流センサ1において、フィードバックコア3には、磁界センサ6に対してY方向の両側には、フィードバックコア3の第4コア部34と第5コア部35とがX方向で離間する第1磁気ギャップ306と、第6コア部36と第7コア部37とがX方向で離間する第2磁気ギャップ307とが設けられている。このため、電流検出時、フィードバックコア3から磁界センサ6への漏れ磁束を増大させることができる。従って、磁界センサ6の感度を高めることができるので、電流センサ1の感度を高めることができる。
【0082】
また、磁界センサ6は、Y方向に厚さ方向を向けるプローブコア61の周りをプローブコイル62が周回するフラックスゲートセンサ60であり、第1磁気ギャップ306におけるX方向の寸法をB1とし、第2磁気ギャップ307におけるX方向の寸法をB2とし、第4コア部34および第5コア部35に対するプローブコア61のY方向における離間距離をF1とし、第6コア部36および第7コア部37に対するプローブコア61のY方向における離間距離をF2としたとき、寸法B1、B2および離間距離F1、F2は、以下の関係
F1<B1
F2<B2
を全て満たしている。また、プローブコア61のX方向における長さ寸法をJとしたとき、寸法B1およびB2と長さ寸法Jは、以下の関係
B1<J
B2<J
を全て満たしている。このため、電流検出時、フィードバックコア3から磁界センサ6(フラックスゲートセンサ60)への漏れ磁束を増大させることができる。従って、フラックスゲートセンサ60の感度を高めることができるので、電流センサ1の感度を高めることができる。
【0083】
また、フィードバックコア3は、プレス加工により打ち抜かれた複数枚の磁性板からなるため、折り曲げ加工が一切不要である。従って、折り曲げ加工部分がないので、各部位の寸法精度が高いという利点もある。
【0084】
[他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の形態に適用可能である。例えば、上記実施の形態において、ブスバー9は折り曲げたものをホルダ8とインサート成形してもよい。また、インサート成形に代えて、ホルダ8の貫通孔に棒材を挿してから曲げた構成を採用してもよい。また、ブスバー9の本数は、3本以外、例えば、4本であってもよい。また、フィードバックコア3の板厚方向に配置される磁性板の枚数は、1枚あるいは3枚以上であってもよい。また、第1コア板38および第2コア板39は、3枚以上の磁性板で構成してもよいし、1枚の磁性板で構成してもよい。また、Y方向からみたとき、第1磁気ギャップ306と第2磁気ギャップ307とは重なっていない構成を採用してもよく、
第1磁気ギャップ306と第2磁気ギャップ307とにおいて、幅寸法が相違している構成であってもよい。また、第1磁気ギャップ306および第2磁気ギャップ307は、X方向の中央からずれている位置に設けられていてもよい。また、フィードバックコイル4は、第1コア部31にも巻回されている等、2箇所に配置されていてもよい。また、プローブコア61はアモルファスコア以外のコアであってもよい。また、第1シールド板66および第2シールド板67の形状は長方形でなくてもよい。