特開2015-210325(P2015-210325A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015210325-露光装置 図000003
  • 特開2015210325-露光装置 図000004
  • 特開2015210325-露光装置 図000005
  • 特開2015210325-露光装置 図000006
  • 特開2015210325-露光装置 図000007
  • 特開2015210325-露光装置 図000008
  • 特開2015210325-露光装置 図000009
  • 特開2015210325-露光装置 図000010
  • 特開2015210325-露光装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-210325(P2015-210325A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20151027BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20151027BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   G02B26/10 F
   B41J2/47 101D
   H04N1/04 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-90330(P2014-90330)
(22)【出願日】2014年4月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古堂 将広
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆宏
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362BA04
2C362BA87
2H045AA01
2H045DA04
5C072AA03
5C072BA02
5C072DA04
5C072DA21
5C072DA23
5C072HA02
5C072HA09
5C072HA13
5C072HA20
5C072XA01
5C072XA05
(57)【要約】
【課題】ハウジング構造を簡略化でき、かつ、ミラーの角度調整が容易な露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、ハウジング内で光源から照射された光を被露光対象物に向けて反射するミラーと、反射面または反射面に対向する面に当接し、押圧する弾性部材と、ミラーを挟んで弾性部材の反対側に配置され、ミラーの長手方向の一端側の中央近傍に位置する第1のミラー支持点を外周部で支持し、その回転軸を中心した回転に対応して回転軸と第1のミラー支持点との距離を変動させる偏心形状の第1の偏心カムと、ミラーの長手方向の他端側に位置する2つの支持点のうち、一方の第2のミラー支持点を外周部で支持し、その回転軸を中心した回転に対応して回転軸と第2のミラー支持点との距離を変動させる偏心形状の第2の偏心カムと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内で光源から照射された光を被露光対象物に向けて反射するミラーと、
前記ミラーの長手方向の両端部にそれぞれ配置され、前記ミラーの反射面または前記反射面に対向する面に当接し、押圧する弾性部材と、
前記ミラーを挟んで前記弾性部材の反対側に配置され、前記ミラーの長手方向の一端側の中央近傍に位置する第1のミラー支持点を外周部の当接によって支持し、その回転軸を中心した回転に対応して前記回転軸と前記第1のミラー支持点との距離を変動させる偏心形状の第1の偏心カムと、
前記ミラーを挟んで前記弾性部材の反対側に配置され、前記ミラーの長手方向の他端側に位置する2つのミラー支持点のうち、一方の第2のミラー支持点を外周部の当接によって支持し、その回転軸を中心した回転に対応して前記回転軸と前記第2のミラー支持点との距離を変動させる偏心形状の第2の偏心カムと、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記第1の偏心カムおよび第2の偏心カムの各々の回転軸は、前記ハウジングの底面に対して垂直方向に固定されていることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1の偏心カムおよび第2の偏心カムは、前記反射面側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1の偏心カムおよび第2の偏心カムは、各々の回転軸から前記第1ミラー支持点および第2のミラー支持点までの距離をそれぞれ段階的に切り替える調整ギアを前記回転軸の周りにそれぞれ有し、かつ、
前記調整ギアと嵌め合う爪部が形成され、前記調整ギアを所望の調整位置で固定するストッパーを更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項5】
前記ストッパーは、前記第1の偏心カムおよび第2の偏心カムを前記ハウジング内で回転自在に固定する脱落防止機構を更に有することを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記第1および第2の偏心カムは、前記回転軸の底面上に調整用凹部がそれぞれ形成されており、かつ、前記ハウジングの底面には、前記調整用凹部の方向に貫通した偏心カム調整穴がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置に搭載される露光装置は、レーザービームを照射する光源部、光源部から照射されたレーザービームを集束するコリメータレンズ、結像レンズ、集束された光を偏向するポリゴンミラー(回転多面鏡)、ポリゴンミラーで偏向されたレーザービームを被露光対象物である感光体ドラム上に向けて反射する折り返しミラー等から構成されている。折り返しミラーは、露光装置内においてレーザービームの進行方向の最下流に位置し、ミラー支持部の位置調整手段により反射面の角度を調整可能となっている。例えば、折り返しミラーは反射面(またはその反対側の面)の、長手方向の一端部に2点、他端部に1点のミラー支持点を持っており、この3つのミラー支持点の相対位置によって折り返しミラーの姿勢が決定され、更に、板バネ等によりミラー支持方向と反対方向の荷重がかけられることで固定される。図9は、従来の露光装置における折り返しミラー100の角度調整構造を説明する図である。ここでは、折り返しミラー100が反射面側で2つのミラー支持点A、Bで支持されている。調整ネジ102の先端部の突出量によってミラー支持点Aの位置を決定し、折り返しミラー100の角度を調整することができる。
【0003】
しかしながら、従来技術において折り返しミラーの角度調整を行う場合、図9に示すように、ミラー面に対して直角方向から調整ネジを入れる必要があるため、露光装置ハウジングに対してネジ穴を斜めに開ける必要があり、金型構造が難しくなる、あるいは調整角度に応じた別部品を設ける必要がある。このため、複数の折り返しミラーがあり、かつ、その調整角度が各々異なる場合には、それぞれの角度に合わせてハウジングにネジ穴を形成しなければならない、あるいは調整角度に応じた別部品が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3087457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、ハウジング構造を簡略化でき、かつ、折り返しミラーの角度調整が容易な露光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る露光装置は、ハウジング内で光源から照射された光を被露光対象物に向けて反射するミラーと、前記ミラーの長手方向の両端部にそれぞれ配置され、前記ミラーの反射面または前記反射面に対向する面に当接し、押圧する弾性部材と、前記ミラーを挟んで前記弾性部材の反対側に配置され、前記ミラーの長手方向の一端側の中央近傍に位置する第1のミラー支持点を外周部の当接によって支持し、その回転軸を中心した回転に対応して前記回転軸と前記第1のミラー支持点との距離を変動させる偏心形状の第1の偏心カムと、前記ミラーを挟んで前記弾性部材の反対側に配置され、前記ミラーの長手方向の他端側に位置する2つのミラー支持点のうち、一方の第2のミラー支持点を外周部の当接によって支持し、その回転軸を中心した回転に対応して前記回転軸と前記第2のミラー支持点との距離を変動させる偏心形状の第2の偏心カムと、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る露光装置が搭載される画像形成装置の模式図。
図2図1に示す露光装置の斜視図。
図3図2に示す露光装置からカバーが外された状態を示す斜視図。
図4図3に示す第1のミラー角度調整部の拡大図。
図5図3に示す第2のミラー角度調整部の拡大図。
図6図5に示す第2のミラー角度調整部からストッパーが外された状態を示す図。
図7図6に示す第2のミラー角度調整部の上面図。
図8図6に示す第2のミラー角度調整部の断面図。
図9】従来の露光装置における折り返しミラーの角度調整構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、一実施形態に係る露光装置が搭載される画像形成装置の模式図である。図1に示す画像形成装置は、画像読取手段としてのスキャナ部1と、画像形成手段としてのプリンタ部2を備えている。スキャナ部1は、第1のキャリッジ3、第2のキャリッジ4、結像レンズ5、及び光電変換素子6を備える。第1のキャリッジ3は、矢印A方向に移動する。スキャナ部1は、原稿台7上に載置した原稿Mの画像を1ラインごとに順次読取り、読取画像を画像処理部(図示省略する)に出力する。画像処理部は、読取画像を入力すると、画像の濃淡を示す、例えば8ビットのデジタル画像信号に変換する。
【0010】
プリンタ部2は、露光装置13と画像形成部14を備えている。画像形成部14は、記録媒体であるシートS上に電子写真方式で画像形成を行う。シートSはシート格納部19に格納されており、画像形成時には、シートSはシート格納部19からピックアップローラ20によって1枚ずつ取出され、搬送ローラ21によって画像形成部14へ搬送される。
【0011】
CPU、ROM、RAM等から構成される画像処理部(図示省略する)は、スキャナ部1が原稿Mを読取ることで出力した画像信号を処理する。その後、露光装置13内のレーザーダイオードは、処理後の画像信号に対応するレーザービーム(光)を照射する。
【0012】
感光体ドラム15は、回転軸を中心として回転し、露光装置13から出射されたレーザービームによって画像信号に対応する静電潜像が表面に形成される像担持体である。感光体ドラム15上の静電潜像は、現像器17からのトナー(現像剤)によりトナー像となる。転写チャージャ18が感光体ドラム15のトナー像を、転写位置の地点で給紙系によりタイミングをとって供給されるシートS上に転写する。
【0013】
定着装置22は、画像形成部14によって画像形成されたシートSを加圧しながら加熱し、シートS上に画像を定着させる。排紙部23は、定着装置22よりもシート搬送方向の下流側に設けられており、排紙されたシートSを受け取る。以上のプロセスを繰り返すことにより、画像形成が連続的に行なわれる。
【0014】
図2は、図1に示す露光装置13の斜視図であり、図3は、図2に示す露光装置13からカバーが外された状態を示す斜視図である。これらの図に示すように、露光装置13のハウジングは、略矩形状の底部と、この底部から垂直上方向に延びる側壁部を含んでおり、所定の剛性を持つために、例えば合成樹脂や金属板によって一体形成されている。また、ハウジングの内部には、光源130、ポリゴンミラー131、結像レンズ(図示省略する)、および折り返しミラー132などが収納されている。
【0015】
光源130は、レーザービームを出力するレーザーダイオード(図示省略する)、レーザービームを集束するコリメータレンズ(図示省略する)、およびこの有限焦点のコリメータレンズを通過したレーザービームを折り曲げてポリゴンミラー131に案内する反射ミラー(図示省略する)などを備えている。ポリゴンミラー131は、ポリゴンモータ(図示省略する)によって回転し、画像光を主走査方向に偏向する偏向部を構成する。結像レンズは、ポリゴンミラー131の各反射面により所定の方向に偏光されたレーザービームに所定の光学特性を与える。折り返しミラー132は、結像レンズを通過して反射面に照射されたレーザービームを感光体ドラム15に向けて反射する。本実施形態では、折り返しミラー132は、反射面の一端側の短手方向中央近傍の1点と、他端側の2点の合計3点において支持される。同一面上にある3点を結ぶと2等辺三角形となるものとする。また、折り返しミラー132は、長手方向の一端側に配置されている第1のミラー角度調整部133と他端側に配置されている第2のミラー調整部134によってミラー角度が調整される。折り返しミラー132の調整は、反射面方向の角度とミラー長手方向の傾きの2種類がある。具体的には、1点支持である一端側を第1のミラー角度調整部133で動かすことによって長手方向の傾きを調整でき、また、2点支持である他端側を第2のミラー角度調整部134で動かすことにより、ミラー角度(反射角度)を調整できる。
【0016】
図4は、図3に示す第1のミラー角度調整部133の拡大図である。第1のミラー角度調整部133は、板バネ135、第1の偏心カム136、およびストッパー138から構成されている。
【0017】
第1の偏心カム136は、折り返しミラー132を挟んで弾性部材である板バネ135の反対側に配置され、折り返しミラー132の長手方向の一端側の中央近傍に位置する第1のミラー支持点P1を外周部136aの当接によって支持し、その回転軸136bを中心した回転に対応して回転軸136bと第1のミラー支持点P1との距離を変動させる偏心形状の部材である。本実施形態では、第1の偏心カム136の形状・大きさは、回転軸136bと第1のミラー支持点P1との距離が第1の偏心カム136の回転角度に応じて一定の比率で変動するように決定されているものとする。変動比率が一定のため、調整作業員は基準位置からのミラー角度の微調整を容易に行うことができる。
【0018】
第1の偏心カム136は、回転軸136bから第1のミラー支持点P1までの距離をそれぞれ段階的に切り替える調整ギア136cを有している。調整ギア136cの外周には、所定間隔で凹部が形成されている。各凹部の大きさは一定であることが好ましい。凹部の大きさが小さいほどミラー角度の微調整が可能となる。
【0019】
ストッパー138は、調整ギア136bと嵌め合う爪部が形成されており、調整ギア136cを所望の位置で固定するための部材である。また、ストッパー138は、第1の偏心カム136が回転時にハウジング内から脱落することを防止するために、第1の偏心カム136をハウジング内に回転自在に固定する脱落防止機構を更に有している。図4に示すストッパー138では、第1の偏心カム136の回転軸136bを通す穴部を有する脱落防止機構がカム上部を覆うように台形状に形成されている。ストッパー138は、後述する第2のミラー角度調整部134にも備えられている。
【0020】
図5は、図3に示す第2のミラー角度調整部134の拡大図であり、図6は、図5に示す第2のミラー角度調整部134からストッパー138が外された状態を示す図である。
【0021】
第2のミラー角度調整部134は、板バネ135、第2の偏心カム137、およびストッパー138から構成されており、第1のミラー角度調整部133と同様の構造である。
【0022】
第2の偏心カム137は、折り返しミラー132を挟んで板バネ135の反対側に配置され、折り返しミラー132の長手方向の他端側に位置する2つの支持点のうち、一方の第2のミラー支持点P2を外周部137aの当接によって支持し、その回転軸137bを中心した回転に対応して回転軸137bと第2のミラー支持点P2との距離を変動させる偏心形状の部材である。他端側の残り一つの支持点(以下、「第3のミラー支持点P3」という。)は、第2の偏心カム137を回転させても影響を受けず、ハウジング内での位置は固定である。本実施形態では、第2の偏心カム137の形状・大きさは、第1の偏心カム136と同一であるため、回転軸137bと第2のミラー支持点P2との距離が第2の偏心カム137の回転角度に応じて一定の比率で変動する。また、部材の共通化により、製造コストを削減できる利点もある。
【0023】
尚、本実施形態では、第1の偏心カム136と第2の偏心カム137は、同一の形状、大きさとしているが、異なっていてもよい。ミラー反射面への突出量、すなわち、回転軸136b,137bからミラー支持点P1,P2までの距離はカムの形状や大きさにより任意に変更可能である。このため、従来よりも調整感度を自由に設定できる。例えば、カムの上面に複数のミラー調整角度にそれぞれ対応付けされた基準点をそれぞれマークしておけば、カムを各マークに合わせて回転させることで、所望のミラー角度に調整できる。
【0024】
図7は、図6に示す第2のミラー角度調整部134の上面図である。ここでは、第2の偏心カム137の上面に、調整時の目安となる調整用マーク137dが形成されている。例えば、調整用マーク137dの位置から反時計回りに手動で回転させると、第2の偏心カム137の回転軸137bから外周部137aまでの距離は次第に短くなり、A点で最小となる。この場合、折り返しミラー132は、板バネ135からの弾性力によって第2の支持点P2の空間上の位置が次第にカム側に移動する。
【0025】
逆に、第2の偏心カム137を時計回りに回転させると、第2の偏心カム137の回転軸137bから外周部137aまでの距離は次第に長くなり、B点で最大となる。この場合、第2の偏心カム137による押圧によって第2の支持点P2の空間上の位置が板バネ135側に移動する。
【0026】
また、第2の偏心カム137には、調整ギア137cが設けられているため、調整ギア137cとストッパー138の爪部とが嵌め合うことによりミラー角度を段階的に調整することが可能である。第2の偏心カム137を時計回りまたは反時計回りで回転させると、調整ギア137cとストッパー138の爪部との嵌め合いが一旦解除され、別の位置で再度嵌め合う。この際、角度調整を行う調整作業員には偏心カム側から微小な振動が伝わるため、ギア位置の変更を感知し易い。
【0027】
図8は、図6に示す第2のミラー角度調整部134の断面図である。ここでは、第2の偏心カム137は、回転軸137bの底面上に調整用凹部137eが形成されており、かつ、露光装置のハウジングの底面には調整用凹部137eの位置に合わせて垂直方向に貫通した偏心カム調整穴139が形成されている。偏心カム調整穴137から六角レンチなどを差し込んで調整ギア137cを回すことで裏側からも容易に調整することができる。この構造は、第1の偏心カム137側も同様に備えているものとする。
【0028】
本実施形態に係る露光装置13によれば、偏心カムの回転軸はハウジングの底面に対して垂直方向に固定されており、従来のように、折り返しミラーの反射面と垂直な角度に合わせる必要がない。すなわち、露光装置13のハウジング側には底面に偏心カムの回転軸用に垂直な穴を形成すればよいため、ミラーの角度に合わせて金型を形成する必要がなくなり、金型構造を簡略化できる。また、ミラーの角度に合わせて調整用の部品を用意する必要もない。
【0029】
また、調整角度がそれぞれ異なる複数のミラーがある場合でも、共通の偏心カムを使用し、ミラーの位置に対応して固定することでミラー角度を調整可能である。また、偏心カムの回転軸を固定するための穴の位置は、折り返しミラーの近傍に設ければ良いため、調整ネジを使用する従来型のものよりも調整用部材の配置の自由度が高い。
【0030】
また、ハウジングの底面側から調整用凹部の形状に対応する調整ツールで偏心カムを回転させることができる構造のため、露光装置のハウジング上部のカバーを外すことなく折り返しミラー132の角度調整を行うこともできる。
【0031】
更に、偏心カムの回転軸はハウジングの底面に対して垂直方向に固定され、折り返しミラーは板バネと偏心カムの間に挟まれて支持される構造のため、露光装置に上下方向の振動等が加わっても偏心カムのミラー調整位置にずれが生じにくい。
【0032】
尚、上記実施形態では、偏心カム136,137を折り返しミラー132の反射面側に配置し、板バネ135を反射面に対向する面側に配置するものとしたが、偏心カム136,137と板バネ135で折り返しミラー132の両端部を挟み込んで3点で支持し、3点のうち2つのミラー支持点の空間上の位置を変更してミラー角度を調整できればよく、逆の配置にすることもできる。また、板バネ135以外の弾性部材を使用することもできる。
【0033】
更に、上記実施形態では、偏心カム136,137に調整ギア136c,137cをそれぞれ設ける構成を例示したが、調整ギア136c,137cを設けない構成にすることもできる。この場合、偏心カム136,137がギア構造を有する場合よりも自由に回転可能となり、偏心カム136,137の回転角度を任意の位置で調整することができる。ストッパー138の形状は、偏心カム136,137を調整位置で確実に固定できればどのような形状でもよい。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
130…光源、
131…ポリゴンミラー、
132…折り返しミラー、
133…第1のミラー角度調整部、
134…第2のミラー角度調整部、
135…板バネ、
136…第1の偏心カム、
137…第2の偏心カム、
138…ストッパー、
139…偏心カム調整穴、
P1…第1のミラー支持点、
P2…第2のミラー支持点、
P3…第3のミラー支持点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9