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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-210566(P2015-210566A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】規則性推定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 19/00 20110101AFI20151027BHJP
【FI】
   G06F19/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-90190(P2014-90190)
(22)【出願日】2014年4月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】502087460
【氏名又は名称】株式会社トヨタIT開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 竜也
(72)【発明者】
【氏名】柳原 正
(72)【発明者】
【氏名】吉津 沙耶香
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049DD01
(57)【要約】
【課題】ユーザの行動の規則性を精度良く推定する。
【解決手段】場所ID定義部34によって、ユーザの位置情報の時系列データに基づいて、位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、地点IDの系列を生成する。移動列分割部36によって、地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成し、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する。そして、地点IDの系列を、始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、複数の移動列を生成する。ヒストグラム生成部38によって、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成する。ユーザ規則性推定部40によって、生成されたヒストグラムに基づいて、ユーザの行動の規則性を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段と、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段と、
前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段と、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段と、
前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、
前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、前記推定対象となるユーザの行動の規則性を推定するユーザ規則性推定手段と、
を含む規則性推定装置。
【請求項2】
推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段と、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段と、
前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段と、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段と、
前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、
前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、前記推定対象となるユーザが、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定する地点規則性推定手段と、
を含む規則性推定装置。
【請求項3】
前記ユーザ規則性推定手段は、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて求められる各移動列の確率の2乗和を、前記推定対象となるユーザの行動の規則性として推定する請求項1記載の規則性推定装置。
【請求項4】
前記地点規則性推定手段は、前記地点IDの各々について、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて求められる前記地点IDを含む移動列の確率の2乗和を、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性として推定する請求項2記載の規則性推定装置。
【請求項5】
前記地点IDの各々について、前記地点規則性推定手段によって前記地点IDについて推定された前記規則性が閾値以下である場合、前記地点IDを含む各移動列における前記地点IDを所定の変数に置換したパターンを生成するパターン生成手段を更に含む請求項2又は4に記載の規則性推定装置。
【請求項6】
前記始点終点決定手段は、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、次数が最も高いノードの地点IDを、前記始点かつ終点となるノードの地点IDとして決定する請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の規則性推定装置。
【請求項7】
コンピュータを、
推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段、
前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段、
前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、及び
前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、前記推定対象となるユーザの行動の規則性を推定するユーザ規則性推定手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段、
前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段、
前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段、
前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、及び
前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、前記推定対象となるユーザが、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定する地点規則性推定手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規則性推定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、GPS履歴を使って目的地を予測する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−156350号公報
【特許文献2】国際公開第03/014670号
【特許文献3】特開2009−53202号公報
【特許文献4】特開2013−54560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ユーザにより行動の規則性にばらつきがあるため、目的地の予測がいつでも当たるわけではなく、予め、精度のよい人や場所に予測サービスを限定すると、対象ユーザが少なくなってしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、ユーザの行動の規則性を精度良く推定することができる規則性推定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明の規則性推定装置は、推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段と、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段と、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段と、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段と、前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、前記推定対象となるユーザの行動の規則性を推定するユーザ規則性推定手段と、を含んで構成されている。
【0007】
第2の発明に係るプログラムは、コンピュータを、推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段、前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、及び前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、前記推定対象となるユーザの行動の規則性を推定するユーザ規則性推定手段として機能させるためのプログラムである。
【0008】
第1の発明及び第2の発明によれば、地点ID割当手段によって、推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する。グラフ生成手段によって、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成する。
【0009】
そして、始点終点決定手段によって、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する。移動列分割手段によって、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する。
【0010】
そして、ヒストグラム生成手段によって、前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成する。ユーザ規則性推定手段によって、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、前記推定対象となるユーザの行動の規則性を推定する。
【0011】
このように、位置情報の時系列データに基づいて生成された地点IDの系列を、始点かつ終点となる地点IDで分割して、複数の移動列を生成し、各移動列の頻度を表すヒストグラムに基づいて、ユーザの行動の規則性を推定することにより、ユーザの行動の規則性を精度良く推定することができる。
【0012】
第3の発明に係る規則性推定装置は、推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段と、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段と、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段と、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段と、前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、前記推定対象となるユーザが、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定する地点規則性推定手段と、を含んで構成されている。
【0013】
第4の発明に係るプログラムは、コンピュータを、推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する地点ID割当手段、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成するグラフ生成手段、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する始点終点決定手段、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する移動列分割手段、前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、及び前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、前記推定対象となるユーザが、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定する地点規則性推定手段として機能させるためのプログラムである。
【0014】
第3の発明及び第4の発明によれば、地点ID割当手段によって、推定対象となるユーザの位置情報の時系列データに基づいて、前記位置情報の各々に対して地点IDを割り当て、前記地点IDの系列を生成する。グラフ生成手段によって、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成する。
【0015】
そして、始点終点決定手段によって、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する。移動列分割手段によって、前記地点ID割当手段によって生成された地点IDの系列を、前記始点終点決定手段によって決定された前記始点かつ終点となるノードの地点IDで分割して、前記始点かつ終点となるノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する。
【0016】
そして、ヒストグラム生成手段によって、前記移動列分割手段によって生成された前記複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成する。地点規則性推定手段によって、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、前記推定対象となるユーザが、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定する。
【0017】
このように、位置情報の時系列データに基づいて生成された地点IDの系列を、始点かつ終点となる地点IDで分割して、複数の移動列を生成し、各移動列の頻度を表すヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、推定対象となるユーザが、地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定することにより、ユーザについて、地点毎の規則性を精度良く推定することができる。
【0018】
上記のユーザ規則性推定手段は、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて求められる各移動列の確率の2乗和を、前記推定対象となるユーザの行動の規則性として推定するようにすることができる。
【0019】
上記の地点規則性推定手段は、前記地点IDの各々について、前記ヒストグラム生成手段によって生成されたヒストグラムに基づいて求められる前記地点IDを含む移動列の確率の2乗和を、前記地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性として推定するようにすることができる。
【0020】
第2の発明に係る規則性推定装置は、前記地点IDの各々について、前記地点規則性推定手段によって前記地点IDについて推定された前記規則性が閾値以下である場合、前記地点IDを含む各移動列における前記地点IDを所定の変数に置換したパターンを生成するパターン生成手段を更に含むようにすることができる。
【0021】
上記の始点終点決定手段は、前記グラフ生成手段によって生成されたグラフに基づいて、次数が最も高いノードの地点IDを、前記始点かつ終点となるノードの地点IDとして決定するようにすることができる。
【0022】
なお、本発明のプログラムを記憶する記憶媒体は、特に限定されず、ハードディスクであってもよいし、ROMであってもよい。また、CD−ROMやDVDディスク、光磁気ディスクやICカードであってもよい。更にまた、該プログラムを、ネットワークに接続されたサーバ等からダウンロードするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の規則性推定装置及びプログラムによれば、位置情報の時系列データに基づいて生成された地点IDの系列を、始点かつ終点となる地点IDで分割して、複数の移動列を生成し、各移動列の頻度を表すヒストグラムに基づいて、ユーザの行動の規則性を推定することにより、ユーザの行動の規則性を精度良く推定することができる、という効果が得られる。
【0024】
また、本発明の規則性推定装置及びプログラムによれば、位置情報の時系列データに基づいて生成された地点IDの系列を、始点かつ終点となる地点IDで分割して、複数の移動列を生成し、各移動列の頻度を表すヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、推定対象となるユーザが、地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定することにより、ユーザについて、地点毎の規則性を精度良く推定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る予測システムの機能的構成を示すブロック図である。
図2】地点IDを割り当てる方法を説明するための図である。
図3】グラフを説明するための図である。
図4】複数の移動列を説明するための図である。
図5】ヒストグラムを示す図である。
図6】パターンデータベースの内容を示す図である。
図7】行動の規則性と目的地の予測精度との関係を示すグラフである。
図8】目的地予測結果を提示する画面を示す図である。
図9】本発明の第1の実施の形態における目的地予測処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
図10】移動列のイメージ図である。
図11】移動列に対して、変数で置き換えたパターンを示す図である。
図12】ヒストグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、ユーザの行動の規則性に応じて目的地を予測する予測システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0027】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る予測システム10は、複数の情報端末12と、複数の情報端末12から送信された位置情報を受信して、複数の情報端末12を持つユーザの行動の規則性を推定して目的地を予測する目的地予測装置14とを備えている。複数の情報端末12と目的地予測装置14とは、インターネットなどのネットワーク16を介して接続されている。なお、目的地予測装置14は、規則性推定装置の一例である。
【0028】
情報端末12は、GPS(Global Positioning System)衛星及び基地局から送信されたGPS情報を受信するGPSセンサ20と、GPSセンサ20によって受信したGPS情報に基づいて計測された自端末の位置情報を、ユーザIDと共に目的地予測装置14へ逐次送信すると共に、ユーザIDを含む目的地予測要求を送信し、予測結果を受信する通信部22と、受信した予測結果を利用する予測結果利用部24とを備えている。ユーザIDは、情報端末12に予め設定されている。
【0029】
目的地予測装置14は、CPU、後述する目的地予測処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM、データを一時的に記憶するRAM、記憶手段としてのメモリ、ネットワークインタフェース等を含むサーバで構成されており、機能的には、通信部30、位置情報データベース32、場所ID定義部34、移動列分割部36、ヒストグラム生成部38、ユーザ規則性推定部40、場所規則性推定部42、パターン生成部44、パターンデータベース46、及び予測部48を含んだ構成で表すことができる。なお、場所ID定義部34は本発明の地点ID割当手段の一例であり、移動列分割部36は、グラフ生成手段、始点終点決定手段、及び移動列分割手段の一例であり、場所規則性推定部42は、地点規則性推定手段の一例である。
【0030】
通信部30は、情報端末12から送信されたユーザID及び位置情報を受信し、位置情報データベース32に格納するように制御する。通信部30は、情報端末12から送信された目的地予測要求を受信すると、場所ID定義部34へ出力し、予測部48により出力された予測結果を、当該情報端末12へ送信する。
【0031】
位置情報データベース32は、通信部30によって受信したユーザID及び位置情報を蓄積し、ユーザID毎に、位置情報の時系列データを記憶する。
【0032】
場所ID定義部34は、通信部30によって目的地予測要求を受信すると、目的地予測要求に含まれるユーザIDの位置情報の時系列データを、位置情報データベース32から読み込み、位置情報の時系列データに含まれる位置情報の各々に対して、地点IDを割り当て、地点IDの系列を生成する。例えば、位置情報の時系列データに基づいて、同一地点となる位置情報をグルーピングし、グルーピングされた位置情報の各々に対して、同一の地点IDを割り当てる(図2参照)。情報端末12が車載されている場合には、少なくとも100m以上は移動すると仮定し、100mを閾値とした階層的クラスタリング手法を使って、位置情報の時系列データをグルーピングする。階層的クラスタリング手法としては、従来既知の手法を用いればよく、例えば、参考文献(Segaran,Toby.“集合知プログラミング”、オライリージャパン、2008年)に記載されている手法を用いればよい。
【0033】
移動列分割部36は、目的地予測要求に含まれるユーザIDについて、場所ID定義部34によって生成された地点IDの系列に基づいて、各地点IDをノードとし、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成する。連続する地点IDに対応するノードをリンクで結ぶと、ユーザの移動履歴は、図3に示すようなグラフ表現ができる。
【0034】
移動列分割部36は、生成されたグラフに基づいて、始点かつ終点となるノードの地点IDを決定する。本実施の形態では、グラフ中最も次数(リンク数)が多い地点IDに対応するノードを、始点かつ終点となる家ノードと判定し、始点かつ終点となる家ノードの地点IDを決定する。
【0035】
移動列分割部36は、生成された地点IDの系列を、決定された家ノードの地点IDで分割して、家ノードの地点IDを始点及び終点とする、地点IDの部分系列からなる複数の移動列を生成する。これにより、図4に示すように、ユーザの移動履歴は、家を始点・終点とする移動列に分割することができる。
【0036】
ヒストグラム生成部38は、目的地予測要求に含まれるユーザIDについて、移動列分割部36によって生成された複数の移動列に基づいて、各移動列の頻度を表すヒストグラムを生成する。各移動列の出現回数をカウントして、図5のようなヒストグラムを生成する。
【0037】
ユーザ規則性推定部40は、ヒストグラム生成部38によって生成されたヒストグラムに基づいて、目的地予測要求に含まれるユーザIDについて、ユーザの行動の規則性を推定する。
【0038】
例えば、以下の(1)式に示すように、ヒストグラムに基づいて求められる各移動列Lの確率pLの2乗和を、ユーザの規則性として推定する。
【0039】
ユーザの規則性=ΣLL ・・・(1)
【0040】
場所規則性推定部42は、ヒストグラム生成部38によって生成されたヒストグラムに基づいて、目的地予測要求に含まれるユーザIDについて、地点ID毎に、当該地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定する。
【0041】
例えば、以下の(2)式に示すように、ヒストグラムに基づいて求められる、地点IDxを含む各移動列Lの確率pLの2乗和を、ユーザが地点xに訪問する規則性として推定する。
【0042】
地点xの規則性=Σx∈LL ・・・(2)
【0043】
パターン生成部44は、地点IDの各々について、場所規則性推定部42によって当該地点IDについて推定された地点xの規則性が閾値以下である場合、当該地点IDを含む各移動列における当該地点IDを、変数xに置換したパターンを生成し、パターンデータベース46に格納する。
【0044】
例えば、図6に示すように、地点の規則性が低い地点IDを変数xで変換して生成されたパターンを、パターンデータベース46に格納する。
【0045】
予測部48は、目的地予測要求を受信した時点のユーザIDの直近の移動列から得られる地点IDの部分系列と、パターンデータベース46に格納された当該ユーザIDのパターンとを比較して、直近の位置情報から得られる地点IDの部分系列と合致するパターンに基づいて、目的地を予測する。このとき、図7に示すように、ユーザの行動の規則性が低いほど、予測精度が低いため、ユーザ規則性推定部40によって推定されたユーザの規則性が、閾値より低い場合には、予測を行わない。また、予測された目的地の場所の規則性に応じて、予測提示を切り替える。例えば、図8に示すように、場所の規則性が高い目的地と、場所の規則性が低い目的地とを区別して、目的地の予測結果を提示する。
【0046】
予測部48は、予測結果を、通信部30により情報端末12へ送信する。
【0047】
次に、予測システム10の作用について説明する。
【0048】
まず、複数の情報端末12が、逐次、ユーザID及び位置情報を、目的地予測装置14へ送信し、目的地予測装置14は、受信したユーザID及び位置情報を、位置情報データベース32に蓄積する。
【0049】
また、情報端末12が、ユーザIDを含む目的地予測要求を、目的地予測装置14へ送信したときに、目的地予測装置14によって、図9に示す目的地予測処理ルーチンを実行する。
【0050】
ステップS100で、位置情報データベース32から、受信した目的地予測要求に含まれるユーザIDに対応する位置情報の時系列データを取得する。次のステップS102では、上記ステップS100で取得した位置情報の時系列データに基づいて、位置情報の各々に対して、地点IDを割り当て、地点IDの系列を生成する。
【0051】
そして、ステップS104において、上記ステップS102で生成した地点IDの系列に基づいて、連続する地点IDに対応するノードをエッジで結んだグラフを生成する。ステップS106では、上記ステップS104で生成されたグラフに基づいて、グラフ中、最も次数が多いノードを、始点かつ終点となる家ノードと判定し、始点かつ終点となる家ノードの地点IDを決定する。
【0052】
そして、ステップS108において、上記ステップS106で決定された始点かつ終点となる家ノードの地点IDを用いて、上記ステップS102で生成した地点IDの系列を、複数の移動列に分割する。
【0053】
ステップS110では、上記ステップS108で分割された複数の移動列に基づいて、ヒストグラムを生成する。次のステップS112では、上記ステップS110で生成されたヒストグラムに基づいて、上記(1)式に従って、ユーザの行動の規則性を推定する。
【0054】
そして、ステップS114において、上記ステップS110で生成されたヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、上記(2)式に従って、当該地点IDの場所へユーザが訪問する規則性を推定する。
【0055】
次のステップS116では、上記ステップS114で地点IDの各々について推定された当該地点IDの場所へユーザが訪問する規則性に基づいて、上記ステップS108で分割された複数の移動列に対し、当該規則性が低い地点IDを変数に置き換えて、パターンを生成し、パターンデータベース46に格納する。
【0056】
そして、ステップS118では、上記ステップS112で推定されたユーザの行動の規則性が閾値以上であるか否かを判定する。ユーザの行動の規則性が閾値以上である場合には、ステップS120において、受信した目的地予測要求に含まれるユーザIDに対応する直近の位置情報から得られる地点IDの部分系列と、パターンデータベース46に格納されている各パターンとを比較して、直近の位置情報から得られる地点IDの部分系列と合致するパターンに基づいて、ユーザの目的地を予測する。
【0057】
ステップS122では、上記ステップS120で予測されたユーザの目的地の候補の各々について、上記ステップS114で推定された当該地点IDの場所へユーザが訪問する規則性に基づいて、規則性があるか否かを区別した予測結果を生成し、目的地予測要求を送信した情報端末12へ送信し、目的地予測処理ルーチンを終了する。
【0058】
一方、上記ステップS118において、ユーザの行動の規則性が閾値未満であると判定された場合には、ステップS124において、目的地予測を行わない旨のメッセージを、目的地予測要求を送信した情報端末12へ送信し、目的地予測処理ルーチンを終了する。
【0059】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る予測システムによれば、ユーザIDと共に情報端末から送信された位置情報の時系列データに基づいて生成された地点IDの系列を、始点かつ終点となる家ノードの地点IDで分割して、複数の移動列を生成し、各移動列の頻度を表すヒストグラムに基づいて、ユーザの行動の規則性を推定することにより、ユーザの行動の規則性を精度良く推定することができる。また、各移動列の頻度を表すヒストグラムに基づいて、地点IDの各々について、ユーザが、当該地点IDが割り当てられた位置情報に訪問する規則性を推定することにより、ユーザについて、場所毎の規則性を精度良く推定することができる。
【0060】
また、ユーザについて得られた複数の移動列から、場所毎の規則性を用いて、移動列の適切なパターンを生成することができる。
【0061】
また、目的地として予測された地点ID毎に、当該地点IDについての規則性に応じて、規則的な場所と不規則な場所とを区別して、目的地の予測結果を提示することにより、予測間違いの問題を回避できる。また、予測精度が低いユーザがいる場合においても信頼できる目的地予測サービスを提供できる。
【0062】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る予測システムの構成は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
第2の実施の形態では、パターンの生成方法が、第1の実施の形態と異なっている。
【0064】
第2の実施の形態に係る予測システム10の目的地予測装置14では、パターン生成部44によって、まず、図10(A)、(B)に示す複数の移動列の各々について、図11に示すように、当該移動列に含まれる地点IDを変数で変換した可能な全てのパターンを列挙する。
【0065】
また、パターン生成部44は、図12に示すように、全移動列のパターンのヒストグラムを生成する。頻度が閾値以上のパターンについて、変数の数が少なく、頻度の高いものから、移動列分割部36によって得られた全ての移動列にパターンが割り当てられるまで、パターンを、パターンデータベース46に登録していく。
【0066】
例えば、図12の例で説明すると、変数の数0のパターンに当てはまる移動列は、1_2_1であるため、1_2_1自体をパターンとして割り当てて、パターンデータベース46に登録する。
【0067】
次に、変数の数1のパターンに当てはまる移動列は、1_y_1、x_2_1などであり、1_y_1を、1_3_1、1_4_1、1_5_1にパターンとして割り当てて、パターンデータベース46に登録する。このとき、x_2_1は、1_2_1のパターンに相当するが、1_2_1はパターン割り当て済みであるため、パターンとして登録されない。
【0068】
なお、第2の実施の形態に係る予測システム10の他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
このように、第2の実施の形態に係る予測システムによれば、ユーザについて得られた複数の移動列から、移動列の適切なパターンを生成することができる。
【0070】
なお、上記実施の形態では、情報端末を車両等の移動体に搭載した形態を想定しているが、歩行者が情報端末を携帯している形態としてもよい。
【0071】
また、推定した規則性を用いて、目的地の予測を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、推定した規則性を用いて、目的地予測以外の処理を行ってもよい。
【0072】
また、目的地予測装置が、サーバ上に実装される場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、情報端末上に、目的地予測装置が実装されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 予測システム
12 情報端末
14 目的地予測装置
16 ネットワーク
20 GPSセンサ
22 通信部
24 予測結果利用部
30 通信部
32 位置情報データベース
34 場所ID定義部
36 移動列分割部
38 ヒストグラム生成部
40 ユーザ規則性推定部
42 場所規則性推定部
44 パターン生成部
46 パターンデータベース
48 予測部
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図5
図12