【解決手段】住居に備えられるエネルギー機器の機器分野毎の一次エネルギー消費量を算出する第1の処理、機器分野毎の一次エネルギー消費量を、場所毎に分類する第2の処理、場所毎に分類した一次エネルギー消費量をエネルギーの種類で分類する第3の処理、エネルギー機器毎の一次エネルギー消費量の割合を算出する第4の処理、エネルギーの種類毎のエネルギー消費推定量を算出する第5の処理、エネルギーの種類毎に、エネルギー機器毎のエネルギー消費推定量を算出する第6の処理、算出されたエネルギー機器毎のエネルギー消費推定量の単位時間当たりの量を算出する第7の処理、エネルギー機器毎の所定期間の料金データを算出する第8の処理、算出された料金データを需要家の端末に送信する第9の処理、を実行する。
前記端末において、現在の料金プランから異なる料金プランへの変更が入力された場合、前記演算装置は、前記料金プランの変更に関する情報をエネルギー事業者システムへ送信する処理を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエネルギー診断システム。
前記端末から新たな料金プランに関する情報が入力された場合、前記演算装置は、前記記憶装置に対して当該新たな料金プランを記憶させる処理を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のエネルギー診断システム。
前記エネルギー消費量の実測値は、前記需要家の住居に設けられた計測機器による計測値であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のエネルギー診断システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1〜
図12を参照して、第1実施形態に係るエネルギー診断システム100について述べる。なお、本実施形態における「エネルギー(エネルギーの種類)」は、電気及びガスを示すが、エネルギー(エネルギーの種類)はこれに限られない。たとえば、エネルギーとして灯油等を含む場合も本発明の範囲に含まれる。
【0011】
[エネルギー診断システムの概要]
図1は、本実施形態に係るエネルギー診断システム100を含むネットワーク構成例を示す図である。
【0012】
エネルギー診断システム100は、機器毎のエネルギーの使用状況を需要家に提供するためのコンピュータシステムである(詳細は後述する)。
【0013】
需要家の住居200には、一般に複数の場所(主たる居室、その他居室、非居室(廊下)等)があり、それぞれの場所にはエネルギー機器300が配置されている(エネルギー機器300が配置されていない場所があってもよい)。エネルギー機器300は、電気、ガス等をエネルギーとして稼働する装置である。電気をエネルギーとして稼働するエネルギー機器300を「電気機器」、ガスをエネルギーとして稼働するエネルギー機器300を「ガス機器」という場合がある。
【0014】
図2は本実施形態に係る住居200の例を示す図である。住居200は、主たる居室A、その他居室B〜D、及び非居室Eを有する。主たる居室Aには、エネルギー機器300として暖房機器、冷房機器、照明機器が配置されている。その他居室Bには、エネルギー機器300として暖房機器、冷房機器、照明機器が配置されている。その他居室Cには、エネルギー機器300として給湯機器が配置されている。その他居室Dには、エネルギー機器300として換気機器が配置されている。非居室Eには、エネルギー機器300として照明機器が配置されている。照明機器、冷房機器、暖房機器、給湯機器、及び換気機器の種別は、「エネルギー機器の種類」の一例である。また、主たる居室A、その他居室B〜D、及び非居室Eは、「エネルギー機器が配置されている場所」の一例である。
【0015】
また、住居200には計測機器400が設けられている。計測機器400は、エネルギー機器300で実際に使用されるエネルギーの消費量を計測する(実測値)。計測機器400は、エネルギーの種類毎に設けられている。本実施形態ではガス用の計測機器400a及び電気用の計測機器400bが設けられている。計測機器400は、たとえば、スマートメータ、パルスメータ等である。或いは、計測機器400としてHEMS(Home Energy Management System)のようなエネルギー管理システムを用いてもよい。
【0016】
計測機器400は、ネットワークNを介して本実施形態のエネルギー診断システム100と通信可能に結ばれている。計測機器400は、エネルギーの種類毎のエネルギーの消費量データを所定時間毎に自動でエネルギー診断システム100に送信することができる。
【0017】
ここで、計測機器400の配置に関する具体例について説明する。
図3は、本実施形態に係る計測機器400aの具体的な構成を示す図である。一般家庭においては、給湯機器(エネルギー機器300)から各設備(浴室、洗面台、床暖房等)に給湯する場合、ヘッダー配管Hを用いることが主流となってきている。ヘッダー配管Hは、一端が給湯機器に連結されている。また、ヘッダー配管Hは、給湯機器から給湯された湯を住居内の各設備へ提供するサブ配管Sが複数連結されている。計測機器400aは、ヘッダー配管Hと給湯機器との連結部分に設けられている。従って、計測機器400aは給湯機器から給湯される全湯量を計測できる。計測機器400aは、給湯した全湯量から給湯機器で使用したガスの消費量を求めることができる。このような構成を採用することにより、一の計測機器を設けるだけで住居200に供給されるエネルギー(ガス)の消費量を把握することが可能となる。
【0018】
端末500は、住居200に所在する需要家が所持する情報端末であり、具体的には携帯電話機やタブレット端末、或いはノートPC等を想定できる。この需要家端末500は、エネルギー診断システム100と協働するアプリケーションとしてアプリ510を保持しており、このアプリ510を実行して必要な機能を実現することができる。
【0019】
エネルギー事業者システム600は、各エネルギーを提供する会社(ガス会社、電力会社)が保有するシステムである。エネルギー事業者システム600は、住居200が契約する料金プランを含む契約者に関する情報を保持している。
【0020】
本実施形態に係るエネルギー診断システム100は、ネットワークNを介して、需要家が所有する端末500、およびエネルギー事業者システム600と通信可能に結ばれている。
【0021】
[エネルギー診断システムの詳細について]
次に、
図4を参照して、本実施形態におけるエネルギー診断システム100の具体的な構成を説明する。エネルギー診断システム100は、記憶装置101と、メモリ102と、演算装置103と、入力装置104と、出力装置105と、通信装置106とを含んで構成されている。本発明におけるエネルギー診断システム100は、少なくとも記憶装置101と演算装置103とを含んでいる。
【0022】
記憶装置101は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される。記憶装置101は、演算装置103に所定の機能を実行させるためのプログラム110と、顧客データベース111、ライフログデータベース112、計算データベース113、機器データベース114、及びプランデータベース115を含む。
【0023】
メモリ102は、RAMなど揮発性記憶装置で構成される。演算装置103は、エネルギー診断システム100全体の制御を行う。演算装置103は、たとえば、本実施形態におけるプログラム110をメモリ102に読み出して実行することにより、第1の処理部110A〜第9の処理部110Iとして機能する(詳細は後述する)。入力装置104は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける。出力装置105は、処理データの表示を行うディスプレイ等である。通信装置106は、ネットワークNと接続し端末500やエネルギー事業者システム600等の他装置との通信を行う。上述の他装置との間でのみデータ授受を行う場合、エネルギー診断システム100は入力装置104および出力装置105を備えなくともよい。
【0024】
[エネルギー診断システムによる具体的な処理について]
次に、
図5〜
図11を参照して、エネルギー診断システム100が実行する具体的な処理について述べる。前述の通り、演算装置103は、プログラム110を実行することにより第1の処理部110A〜第9の処理部110Iとして機能する。なお、住居200の構造(主たる居室A等)やエネルギー機器300の種類等は
図2で示した例を参照する。
【0025】
(第1の処理)
第1の処理部110Aは、記憶装置101に記憶された、住居200に備えられるエネルギー機器300の種類と当該エネルギー機器300が配置されている場所とを含む機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数に基づいて、エネルギー機器300の機器分野毎の一次エネルギー消費量を算出する。
【0026】
エネルギー機器300の機器分野とは、各機器を機能別(暖房、冷房、給湯等)に分類したものである。本実施形態では、機器分野として、暖房機器分野、冷房機器分野、給湯機器分野、照明機器分野、換気機器分野があるものとする。
【0027】
記憶装置101のライフログデータベース112は、住居200に備えられるエネルギー機器300の種類とエネルギー機器300が配置されている場所とを含む機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数を記憶している。ライフログデータベース112は、機器情報、断熱性能、及び日射熱取得係数について予め複数のパターンを記憶している。
【0028】
たとえば、需要家は、端末500でアプリ510を起動させ、エネルギー診断システム100にアクセスする。そして、需要家はアプリ510によって表示されるアンケート画面においてアンケート項目に入力を行う。この項目は、たとえば、需要家を識別する個人ID、個人ページにログインするためのパスワード、郵便番号、住宅タイプ、住宅築年数、生活スタイル情報、住居に配置されたエネルギー機器に関する情報、太陽光発電の有無、エネルギーの使用情報(消費量、料金プラン、過去の料金)である。住宅タイプは、たとえば、造り(木造、RC造、鉄骨造)、集合住宅か戸建か、集合住宅の場合、需要家が住んでいる階層・部屋の方位・間取り等、戸建の場合、建屋の構造(2階建て、平屋建て、地下室があるか等)・方位・間取り等」である。生活スタイル情報は、需要家がエネルギー機器を使用する期間を推測するための情報であり、たとえば、需要家の活動時間(朝方、夜型、平日日中に家に居るか等)に関する情報である。
【0029】
項目の入力が完了すると、演算装置103は、当該項目を顧客データベース111に記憶すると共に、ライフログデータベース112に当該情報を送る。演算装置103は、入力された項目(たとえば、郵便番号と住宅タイプ、住宅築年数)に対応する情報(機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数)をライフログデータベース112から読み出す。住居200の断熱性能は、たとえば、単位温度差あたりの外皮熱損失量、床の断熱率、断熱配管の有無として読み出される。住居200の日射熱取得係数は、たとえば、単位日射強度あたりの冷房期(暖房期)日射熱取得量として読み出される。また、入力された項目に応じて読み出される他の情報としては、居室(主たる居室、その他居室)の床面積、住居の合計床面積、通風の利用の有無、蓄熱の利用の有無、床暖房敷設率、配管方式、水栓種類、高断熱浴槽の有無等がある。これらの他の情報は、ライフログデータベース112に記憶されている。なお、機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数が予めわかっている場合、需要家は、端末500からそれらの情報を直接入力してもよい。読み出された(或いは直接入力された)機器情報、断熱性能、及び日射熱取得係数は、顧客データベース111に記憶される。また、この値を一端、端末500に送信し、需要家がその値を確認したり、端末500を操作して修正することも可能である。修正された機器情報等は、端末500からエネルギー診断システム100に送信され、顧客データベース111に記憶される。
【0030】
第1の処理部110Aは、読み出した(或いは直接入力された)機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数を所定のアルゴリズムで処理することで、エネルギー機器の機器分野毎の一次エネルギー消費量を算出する。
図6は、機器分野毎に算出した一次エネルギー消費量の例を示すグラフである。縦軸は、エネルギー消費量(MJ)である。
【0031】
第1の処理部110Aで使用されるアルゴリズムは、公知のアルゴリズム(たとえば、独立行政法人建築研究所(協力:国土交通省国土技術政策総合研究所)が提供する「省エネルギー基準(平成25年1月公布)及び低炭素建築物の認定基準(平成24年12月公布)の告示に沿った計算方法(プログラム等)」(以下、「国交省が提供するプログラム等」という場合がある)に記載のアルゴリズムを参照)を用いることが可能である。
【0032】
なお、機器情報は、エネルギー機器300の種類や配置されている場所以外に、使用するアルゴリズムに応じた各種の情報が含まれる。たとえば、冷暖房機器であれば、配置している機器の数の情報を含む。給湯機器であれば、給湯器の仕様(給湯のみ、床暖房を含む)、給湯能力、水栓の数、水栓の種類、食洗機の有無等の情報を含む。照明機器であれば、配置している機器の数の情報を含む。
【0033】
(第2の処理)
第2の処理部110Bは、機器情報、断熱性能、日射熱取得係数、及び記憶装置101に記憶された、機器分野毎に予め設定された所定の定数により、算出された機器分野毎の一次エネルギー消費量を、場所毎に分類する。
【0034】
所定の定数は、第1の処理で算出された一次エネルギー消費量を居室毎に分けるために使用する値である。所定の定数は、計算データベース113に記憶されている。たとえば、第1の処理において示した公知のアルゴリズムを用いる場合、住居200の全居室の一次エネルギー消費量を合算した値しか得ることができない。そこで、第1の処理で算出された一次エネルギー消費量を居室毎に分けるために、所定の定数を用いる。この場合の所定の定数は、たとえば、国交省が提供するプログラム等の内容を元に設定された値である。
【0035】
第2の処理部110Bは、機器情報、断熱性能、日射熱取得係数、及び所定の定数を用い、たとえば、国交省が提供するプログラム等に記載の処理を実行し、第1の処理部110Aで算出された機器分野毎の一次エネルギー消費量を場所毎に分類する。
図7は、
図6に示した機器のうち、暖房機器の一次エネルギー消費量を主たる居室Aとその他の居室Bに分けた例を示すグラフである。縦軸は、エネルギー消費量(MJ)である。
【0036】
(第3の処理)
第3の処理部110Cは、機器情報、及び記憶装置101に記憶された、エネルギー機器300に使用されるエネルギーの種類に基づいて、場所毎に分類した一次エネルギー消費量をエネルギーの種類で分類する。
【0037】
記憶装置101の機器データベース114は、エネルギー機器300の種類毎にどのようなエネルギーを使用するか(エネルギーの種類を示す情報)を記憶している(たとえば、エアコンであれば電気、床暖房であればガス)。第3の処理部110Cは、機器情報及び機器データベース114に記憶されたエネルギーの種類を示す情報に基づいて、需要家の住居200(居室)に配置された各エネルギー機器300がどのエネルギーで稼働するかを判断する。
【0038】
たとえば、第3の処理部110Cは、機器情報から、主たる居室Aにある暖房機器の種類を床暖房であると判断し、エネルギーの種類を示す情報から床暖房に使用されるエネルギーはガスであると判断する。そして、第3の処理部110Cは、第2の処理部110Bで分類された主たる居室Aの暖房機器の一次エネルギー消費量をガスによるものとして分類する。第3の処理部110Cは、住居200に配置された各エネルギー機器300に対して同様の処理を行う。
図8は、第3の処理部110Cでの処理結果を示したグラフである。縦軸は、エネルギー消費量(MJ)である。
図8に示すように、住居200に配置された機器毎に、使用するエネルギー(電気とガス)で分類することができる。
【0039】
(第4の処理)
第4の処理部110Dは、第3の処理結果に基づいて、エネルギーの種類毎に、エネルギー機器毎の一次エネルギー消費量の割合を算出する。
【0040】
具体的には、第4の処理部110Dは、第3の処理部110Cで算出された電気(ガス)の全一次エネルギー消費量を100とした場合に、電気(ガス)で稼働する各エネルギー機器300の一次エネルギー消費量が占める割合を算出する。
図9は、第4の処理部110Dでの処理結果を示したグラフである。縦軸は、一次エネルギー消費量の割合(%)である。
【0041】
(第5の処理)
第5の処理部110Eは、予め入力されたエネルギーの種類毎のエネルギー消費量の実測値と、記憶装置101に記憶された、住居200に備えられ且つエネルギー機器に含まれないその他の設備機器に使用されるエネルギーの種類毎のエネルギー消費量とに基づいて、エネルギーの種類毎のエネルギー消費推定量を算出する。
【0042】
実測値は、計測機器400で得られた具体的な計測値である。或いは、実測値は、端末500を介して需要家が入力した、ある期間(たとえば、1月や1年)に使用したエネルギー消費量の実際の値である。この実際の値は、たとえば、電気料金やガス料金の支払い明細から把握することができる。
【0043】
その他の設備機器とは、エネルギー(電気、ガス)等で稼働する機器であって、暖房、冷房、照明、換気、給湯の分野に含まれない機器(たとえば、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ等)をいう。なお、暖房、冷房、照明、換気、給湯の分野に含まれる機器は、たとえば、ダクト式セントラル空調器、ルームエアーコンディショナー、FF暖房機器、パネルラジエーター、温水床暖房、ファンコンベクター、電気ヒーター式床暖房、電気蓄熱式暖房器、ダクト式換気設備、壁付け式換気設備、天井照明、独立照明、足元灯、ガス給湯器、石油給湯器、ヒートポンプ・ガス瞬間式併用給湯器、電気ヒーター温水器、電気ヒートポンプ給湯器、太陽熱温水器、ソーラーシステム温水器、コジェネ機器である。住居200に配置される可能性のある機器のうち、エネルギー機器300に該当するものと、その他の設備機器に該当するものとは予め分類されている。ある住居200にその他の設備機器が備えられているか(備えられている場合にはその種類)は、端末500を介して予め入力される。本実施形態では、住居200にその他の設備機器が設けられているものとする。
【0044】
実測値及びその他の設備機器に関する情報は、顧客データベース111に記憶される。また、その他の設備機器で使用するエネルギーの種類及びエネルギー消費量の予測値は予め機器データベース114に記憶されている(たとえば、コンロであれば、[ガスを使用:エネルギー消費量は○○[m
3]/年])。この値は、たとえば、エネルギー事業者から提供される情報、機器メーカの公表値、一般家庭に計測機器を設置して取得した値等に基づいて決定される。
【0045】
第5の処理部110Eは、顧客データベース111に記憶されたその他の設備機器に関する情報及び機器データベース114に記憶された上記情報に基づいて、その他の設備機器で使用されるエネルギー消費量の合計値を求めることができる。なお、第5の処理部110Eは、上記合計値を求める際にライフログデータベース112に記憶された生活スタイル情報に基づく補正値を適用してもよい。
【0046】
第5の処理部110Eは、ガスの実測値の合計(たとえば、X[m
3]/年)からその他の設備機器で使用されるガス消費量の合計値(たとえば、Y[m
3]/年)を減算することにより、ガスのエネルギー消費推定量(X−Y=Z[m
3]/年)を算出する。同様に、第5の処理部110Eは、電気の実測値の合計(たとえば、x[kWh]/年)からその他の設備機器で使用される電気消費量の合計値(たとえば、y[kWh]/年)を減算することにより、ガスのエネルギー消費推定量(x−y=z[kWh]/年)を算出する。
図10は、第5の処理部110Eでの処理結果を示したグラフである。
図10の(A)は、電気のエネルギー消費推定量を示すグラフである。縦軸は、消費量(kWh)である。
図10の(B)は、ガスのエネルギー消費推定量を示すグラフである。縦軸は、消費量(m
3)である。なお、各値を求める範囲としては、年単位だけでなく、月単位等であってもよい。
【0047】
(第6の処理)
第6の処理部110Fは、エネルギー消費推定量と算出された割合とに基づいて、エネルギーの種類毎に、エネルギー機器毎のエネルギー消費推定量を算出する。
【0048】
たとえば、第6の処理部110Fは、第5の処理部110Eで算出したガスのエネルギー消費推定量(Z[m
3]/年)に、第4の処理部110Dで算出したガスを使用する暖房機器の割合(25%)を乗算することにより(Z[m
3]×25%)、ガスを使用する暖房機器のエネルギー消費推定量を求めることができる。第6の処理部110Fは、この処理を第4の処理部110Dで割合が算出された機器毎に行う。これにより、住居200に配置された機器毎のエネルギー消費推定量がわかる。
図11は、第6の処理部110Fでの処理結果を示したグラフである。
図11の(A)は、機器毎の電気のエネルギー消費推定量を示すグラフである。縦軸は、消費量(kWh)である。
図11の(B)は、機器毎のガスのエネルギー消費推定量を示すグラフである。縦軸は、消費量(m
3)である。
【0049】
(第7の処理)
第7の処理部110Gは、予め入力された、需要家がエネルギー機器を使用する期間を推測するための生活スタイル情報に基づいて、算出されたエネルギー機器毎のエネルギー消費推定量の単位時間当たりの量を算出する。
【0050】
上述の通り、生活スタイル情報は、たとえば、需要家の活動時間(朝方、夜型、平日日中に家に居るか等)に関する情報である。第7の処理部110Gは、たとえば、エアコンの年間エネルギー消費推定量を100%とし、1月1日0:00から12月31日23:00における一時間毎のエネルギー消費推定量を生活スタイル情報に基づいて割り振ることで、エアコンのエネルギー消費推定量の単位時間当たりの量を算出する。生活スタイル情報による割り振りは、たとえば、専業主婦のいる家庭の場合、平日の日中もある程度エネルギーを使用しているような割り振り方になる。逆に、日中、住居に誰もいない家庭の場合には、日中のエネルギーをほぼ使わないよう割り振る。
【0051】
(第8の処理)
第8の処理部110Hは、単位時間当たりのエネルギー消費推定量を、記憶装置101に記憶された、需要家がエネルギー事業者と契約しているエネルギーの種類毎の料金プランに適用し、エネルギー機器毎の所定期間の料金データを算出する。
【0052】
一般にガス及び電気を使用する需要家は、それぞれ所定の料金プランをエネルギー事業者と契約している。契約中の料金プランに関する情報は、端末500を介して入力され、プランデータベース115に記憶される。
【0053】
たとえば、第7の処理部110Gで算出された電気を使用する暖房機器の単位時間当たりの電気消費推定量が1[kWh]、現在契約している電気料金プランが1[kwh]あたり20円である場合、第8の処理部110Hは、電気を使用する暖房機器の所定期間(たとえば、1月(30日))の料金(14,400円)を算出する。第8の処理部110Hは、住居200に配置された各エネルギー機器300について所定期間の料金を算出する。
【0054】
(第9の処理)
第9の処理部110Iは、通信装置106を介し、算出された料金データを需要家の端末500に送信する。需要家は、エネルギー診断システム100が提供するWebサイトやアプリ510によって、端末500に送られた料金データを確認することができる。すなわち、需要家は、料金データを確認することで、現在のエネルギー使用状況を機器毎に確認できる。
【0055】
なお、料金データの提供形式は様々なものが可能である。たとえば、第9の処理部110Iは、第8の処理部110Hで算出された機器毎の所定期間の料金データをそのまま送信する(この場合、端末500では機器毎の料金データを確認できる)。或いは、第9の処理部110Iは、第8の処理部110Hで算出された機器毎の所定期間の料金データをエネルギーの種類毎に合算し、その情報を送信してもよい(この場合、端末500ではエネルギーの種類毎の料金データを確認できる)。
【0056】
[エネルギー診断システムの処理フロー]
次に、
図12を参照して本実施形態に係るエネルギー診断システム100の処理を説明する。以下の例では、演算装置103は、所定のプログラム110が読み出されて実行されているものとする。
【0057】
エネルギー診断を希望する需要家は、たとえば端末500でアプリ510を起動させ、エネルギー診断システム100にアクセスする。そして、需要家は、アプリ510によって表示されるアンケート画面において所定の項目について入力を行う(S10)。
【0058】
演算装置103は、入力された所定の項目に対応する機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数をライフログデータベース112から読み出す。演算装置103は、第1の処理として、機器情報、住居200の断熱性能、及び住居200の日射熱取得係数を所定のアルゴリズムで処理することで、需要家の住居200に配置されたエネルギー機器300の機器分野毎の一次エネルギー消費量を算出する(S11)。
【0059】
演算装置103は、第2の処理として、機器情報、断熱性能、日射熱取得係数、及び記憶装置101に記憶された、機器分野毎に予め設定された所定の定数により、S11で算出された機器分野毎の一次エネルギー消費量を、住居200の場所毎に分類する(S12)。
【0060】
演算装置103は、第3の処理として、機器情報、及び記憶装置101に記憶された、各エネルギー機器300に使用されるエネルギーの種類に基づいて、S12で場所毎に分類した一次エネルギー消費量をエネルギーの種類で分類する(S13)。
【0061】
演算装置103は、第4の処理として、S13の処理結果に基づいて、エネルギーの種類毎に、各エネルギー機器300の一次エネルギー消費量の割合を算出する(S14)。
【0062】
演算装置103は、第5の処理として、予め入力されたエネルギーの種類毎のエネルギー消費量の実測値と、記憶装置101に記憶された、住居200に備えられ且つエネルギー機器に含まれないその他の設備機器のエネルギーの種類毎のエネルギー消費量とに基づいて、エネルギーの種類毎のエネルギー消費推定量を算出する(S15)。
【0063】
演算装置103は、第6の処理として、S15で算出されたエネルギー消費推定量とS14で算出された割合とに基づいて、エネルギーの種類毎に、各エネルギー機器300のエネルギー消費推定量を算出する(S16)。
【0064】
演算装置103は、第7の処理として、予め入力された、需要家がエネルギー機器を使用する期間を推測するための生活スタイル情報に基づいて、S16で算出されたエネルギー機器毎のエネルギー消費推定量の単位時間当たりの量を算出する(S17)。
【0065】
演算装置103は、第8の処理として、S17で算出された単位時間当たりのエネルギー消費推定量を、記憶装置101に記憶された、需要家がエネルギー事業者と契約しているエネルギーの種類毎の料金プランに適用し、エネルギー機器毎の所定期間の料金データを算出する(S18)。
【0066】
演算装置103は、第9の処理として、算出された料金データを需要家の端末500に送信する(S19)。
【0067】
このように、本実施形態に係るエネルギー診断システム100によれば、需要家にエネルギーの使用状況を、たとえば、機器毎の所定期間における料金データとして提供できる。需要家は、この情報を元にして新たなプランを検索したり、エネルギーの節約に取り組むことが可能となる。
【0068】
なお、料金データを需要家の端末500に送信する際、第9の処理部110Iは、付加情報を併せて送信することでもよい。付加情報は、たとえば、予め顧客データベース111に記憶されている。付加情報は、たとえば、エネルギー診断を行った需要家と類似タイプの住居に居住している者が最も選択している料金プランに関する情報である。第9の処理部110Iは、需要家により入力された住宅タイプの情報に基づいて、当該料金プランを読み出し、料金データと併せて端末500に送信する。
【0069】
また、エネルギー消費推定量を算出する際に、気象条件や太陽光発電ユニットによって発電される電力量を考慮してもよい。
【0070】
この場合、住居200には太陽光による発電を行う太陽光発電ユニットが設けられる。太陽光発電ユニットの設置の有無、及び太陽光発電ユニットでの発電量に直接影響する日射量や住居200におけるエネルギー消費に影響する気温・湿度・降水量といった気象データは、たとえば、端末500を介して入力される。エネルギー診断システム100(演算装置103)は、気象データを所定の気象予測アルゴリズム(既存の気象予測プログラムを採用すればよい)に適用して、たとえば、現時点から1日間、1週間といった短期間、および1ヶ月、1年といった長期間の各々の日射量、気温、湿度、および降水量の各予測を行って気象予測の情報を取得し、これを記憶装置101に記憶させる。上述の気象予測アルゴリズムに与える気象データは、直近1週間分の観測値、過去1年間および10年間における同月の観測値に関する統計値等であり、これら観測値と統計値は組み合わされて気象予測アルゴリズムに与えるものとする。なお、気象予測の情報は、気象予測アルゴリズムに気象データを適用して得る場合のみならず、予め気象予測機関が発表している情報を、該当機関のサーバ装置等から取得してもよい。
【0071】
エネルギー診断システム100は、所定の発電予測アルゴリズムに、記憶装置101から読み出した気象予測の情報と、住居200に設置された太陽光発電ユニットにおける発電能力の情報とを適用し、たとえば1年先の未来までの住居200における予想発電量を算出する。住居200に設置された太陽光発電ユニットにおける発電能力の情報は、端末500を介して入力される。或いは、発電能力の情報は、端末500を介して入力された太陽光発電ユニットの有無の情報に基づいて、エネルギー診断システム100が、記憶装置101(ライフログデータベース112)から当該ユニットの性能に応じた値を読み出すことでもよい。
【0072】
エネルギー診断システム100(演算装置103)は、第5の処理を行う際に、予め入力されたエネルギーの種類(電力)のエネルギー消費量の実測値から予想発電量を減算することにより、発電量を加味したエネルギー消費推定量(エネルギー事業者から提供を受けるエネルギーの推定量)を算出することができる。
【0073】
<第2実施形態>
次に、
図13〜
図15を参照して、第2実施形態に係るエネルギー診断システム100について述べる。本実施形態では、需要家に対して、料金プランを含む所定のプラン(最適化プラン)を提示する例について述べる。なお、第1実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する。
【0074】
[エネルギー診断システムによる具体的な処理について]
図13を参照して、本実施形態に係るエネルギー診断システム100が実行する具体的な処理について述べる。本実施形態においては、記憶装置101に記憶されたプログラム110(プログラムの記述は第1実施形態と異なる)を実行することにより、演算装置103は、第10の処理部110J〜第15の処理部110Oとして機能する。
【0075】
(第10の処理)
第10の処理部110Jは、記憶装置101に記憶された、住居200に備えられるエネルギー機器300の種類を含む機器情報、及び住居200における使用可能なエネルギーの種類に基づいて、所定のプランに組み込むことが可能な、エネルギー機器300及びエネルギーの種類毎の料金プランを選定する。
【0076】
機器情報及びエネルギーの種類は、需要家毎に顧客データベース111に記憶される。これらのデータは予め顧客データベース111に記憶されているものを用いても良いし、所定のプラン作成の指示を行う際に改めて入力されたデータを用いてもよい。本実施形態における機器情報は、少なくとも住居200に備えられるエネルギー機器300の種類を含む。また、プランデータベース115は、電力会社やガス会社が提供する複数の料金プランを記憶している。
【0077】
ここで、たとえば、ある需要家が、端末500を介してエネルギー診断システム100に対して所定のプラン作成の指示を行ったとする。この場合、第10の処理部110Jは、その需要家に対応する情報を顧客データベース111から読み出す。具体的には、第10の処理部110Jは、その需要家の住居200に備えられたエネルギー機器300の種類(たとえば、エアコン、給湯器)、及び住居200で使用可能なエネルギーの種類(たとえば、ガス、電気)を読み出す。そして、第10の処理部110Jは、読み出したエネルギー機器300の種類に応じて、所定のプランに組み込むことが可能なエネルギー機器300を選定する。また、第10の処理部110Jは、エネルギーの種類に応じた料金プランをプランデータベース115から読み出す。
【0078】
なお、選定するエネルギー機器300は、住居200に実際に備えられたものに限らなくともよい。たとえば、読み出した料金プランに適用されるエネルギー機器300が住居200に実際に備えられていない場合、第10の処理部110Jは、当該エネルギー機器300を所定のプランに組み込むことが可能な機器として選定してもよい。
【0079】
(第11の処理)
第11の処理部110Kは、第10の処理で選定されたエネルギー機器300及び料金プランを組み合わせた複数のパターンを作成する。
【0080】
たとえば、エネルギー機器300としてガス機器G1、ガス機器G2、電気機器E1、電気機器E2が選定され、電気の料金プランとして電気プランEP1、電気プランEP2が選定され、ガスの料金プランとしてガスプランGP1、ガスプランGP2が選定されたとする。この場合、第11の処理部110Kは、これらの全ての組み合わせを求めたパターン(パターン1〜パターン16。
図14参照)を作成する。
【0081】
(第12の処理)
第12の処理部110Lは、予め得られた、エネルギー機器毎の単位時間当たりのエネルギー消費推定量と、エネルギー機器毎に予め設定された係数とに基づいて、複数のパターン毎に、選定されたエネルギー機器300のエネルギー消費推定量を算出する。
【0082】
エネルギー機器300の単位時間当たりのエネルギー消費推定量は、たとえば、第1実施形態の処理により得られた値を予め顧客データベース111に記憶しておく。エネルギー機器毎に予め設定された係数は、機器データベース114に予め記憶されている。この係数は、たとえば、エネルギー事業者から提供される情報、機器メーカの公表値、一般家庭に計測機器を設置して取得した値等に基づいて決定される。
【0083】
たとえば、
図14のパターン1に対し、第12の処理部110Lは、ガス機器G1の単位時間当たりのエネルギー消費推定量に係数を掛け、ガス機器G1のエネルギー消費推定量EC1を算出する。同様に、第12の処理部110Lは、電気機器E1の単位時間当たりのエネルギー消費推定量に係数を掛け、電気機器E1のエネルギー消費推定量EC2を算出する。第12の処理部110Lは、作成されたパターンすべてに対して同様の処理を行う。なお、あるパターンにおいて、同じエネルギーを用いるエネルギー機器300が複数含まれている場合、第12の処理部110Lは、算出したエネルギー消費推定量を合算する。本実施形態において、「第12の処理部110Lが選定されたエネルギー機器300のエネルギー消費推定量を算出する」ことには、算出した値を合算することも含む。
【0084】
(第13の処理)
第13の処理部110Mは、第12の処理で算出されたエネルギーの種類毎のエネルギー消費推定量を、選定された料金プランに適用し、複数のパターン毎の料金データを算出する。
【0085】
たとえば、
図14のパターン1に対し、第13の処理部110Mは、ガス機器G1のエネルギー消費推定量EC1にガス料金プランGP1を適用し、料金データを算出する。同様に、第13の処理部110Mは、電気機器E1のエネルギー消費推定量EC1に電気料金プランEP1を適用し、料金データを算出する。第13の処理部110Mは、作成されたパターンすべてに対して同様の処理を行う。
【0086】
(第14の処理)
第14の処理部110Nは、第13の処理で算出された料金データに基づいて、複数のパターンから所定のプランを決定する。
【0087】
所定のプランの決定は、第14の処理部110Nにおいて予め設定されている基準に基づいて行われる。たとえば、第14の処理部110Nは、作成されたパターンの中から、最も累計コスト(需要家が入力した値)が安くなるパターンを所定のプランとして決定する。なお、所定のプランは一つに限られない。たとえば、第14の処理部110Nは、作成されたパターンの中から、累計コストが安くなるパターンとエネルギー消費が最も少なくなるパターンとを所定のプランとして決定してもよい。
【0088】
(第15の処理)
第15の処理部110Oは、第14の処理で決定された所定のプランを需要家の端末500に送信する。所定のプランには、エネルギー機器300の組み合わせ、料金プランの組み合わせ、一次エネルギー消費量、一年間に係るエネルギー別の料金、累計コスト等が含まれている。需要家は、エネルギー診断システム100が提供するWebサイトやアプリ510によって、端末500に送られた所定のプランを確認することができる。なお、需要家が端末500を介して、送信された所定のプランの登録を指示した場合、演算装置103は、当該所定のプランを顧客データベース111に記憶させる。
【0089】
[エネルギー診断システムの処理フロー]
次に、
図15を参照して本実施形態に係るエネルギー診断システム100の処理を説明する。以下の例では、演算装置103は、所定のプログラム110が読み出されて実行されているものとする。
【0090】
所定のプラン(たとえば自己の住居200にあった最適プラン)の作成を希望する需要家は、たとえば端末500でアプリ510を起動させ、エネルギー診断システム100にアクセスする。そして、需要家は、アプリ510によって表示されるプラン作成画面において、プラン作成を指示する(この際、希望する累計コスト算出年数等を入力してもよい)(S20)。
【0091】
演算装置103は、第10の処理として、記憶装置101に記憶された、住居200に備えられるエネルギー機器300の種類を含む機器情報、及び住居200における使用可能なエネルギーの種類に基づいて、所定のプランに組み込むことが可能な、エネルギー機器300及びエネルギーの種類毎の料金プランを選定する(S21)。
【0092】
演算装置103は、第11の処理として、S21で選定されたエネルギー機器300及び料金プランを組み合わせた複数のパターンを作成する(S22)。
【0093】
演算装置103は、第12の処理として、予め得られた、各エネルギー機器300の単位時間当たりのエネルギー消費推定量と、各エネルギー機器300に予め設定された係数とに基づいて、複数のパターン毎に、S21で選定されたエネルギー機器300のエネルギー消費推定量を算出する(S23)。
【0094】
演算装置103は、第13の処理として、S23で算出されたエネルギーの種類毎のエネルギー消費推定量を、S21で選定された料金プランに適用し、複数のパターン毎の料金データを算出する(S24)。
【0095】
演算装置103は、第14の処理として、S24で算出された料金データに基づいて、複数のパターンから所定のプランを決定する(S25)。
【0096】
演算装置103は、第15の処理として、S25で決定された所定のプランを需要家の端末500に送信する(S26)。
【0097】
このように、本実施形態に係るエネルギー診断システム100によれば、需要家にエネルギーの使用状況等に応じたプラン(料金プランを含む)を提示することができる。需要家は、この情報を元に新たな料金プランを検討したり、エネルギーコストを把握することができる。
【0098】
なお、演算装置103は、作成された複数のパターンそれぞれに用いるエネルギー機器300の初期投資額を複数のパターン毎に算出する処理を実行してもよい。各エネルギー機器300の初期投資額は、機器データベース114に予め記憶されている。この場合、第15の処理部110Oは、所定のプランとして決定されたパターンに対応する初期投資額を併せて端末500に送信する。
【0099】
また、需要家は送信された所定のプランに対して修正を加えることも可能である。たとえば、提示された料金プランには含まれないエネルギー機器300の導入を検討している場合、需要家は端末500を介して、当該エネルギー機器300の種類を入力する。演算装置103は、入力されたエネルギー機器300を含む料金プランを再度選定する。その後、演算装置103は、第11の処理から第14の処理を実行し、需要家が導入を検討するエネルギー機器300を含む所定のプランを決定することができる。
【0100】
更に、演算装置103は、決定された所定のプランと現在のプラン(現時点で需要家が選択しているプラン)とを比較するシミュレーションを行うことも可能である。現在のプランは、たとえば、予め顧客データベース111に記憶されている。
【0101】
たとえば、所定のプランが送信された場合、需要家はアプリ510によって表示されるシミュレーション画面において、シミュレーションを指示する。演算装置103は、現在のプランを顧客データベース111から読み出し、所定のプランと比較を行う。演算装置103は、比較結果を端末500に送信する。比較結果は様々な方法で提供することが可能である。需要家は比較結果を参照しながら、現在のプランに含まれる情報の修正等を行うことができる。
【0102】
また、所定のプランやシミュレーション結果を確認した需要家が、現在契約中の料金プランの変更を希望する場合がある。たとえば、端末500において、現在の料金プランから異なる料金プラン(たとえば、所定のプランで提示された料金プラン)への変更が入力された場合、演算装置103は、料金プランの変更に関する情報をエネルギー事業者システム600へ送信する処理を実行する。料金プランの変更に関する情報は、たとえば、需要家の氏名、メールアドレス、電話番号、住所といった個人情報、現在契約中の料金プラン、所定のプランで提示された料金プランである。このようなエネルギー診断システム100によれば、需要家は料金プランの変更を容易に行うことができる(改めてエネルギー事業者に連絡する必要がない)。なお、このような料金プランの変更処理は、第1実施形態に係るエネルギー診断システム100でも適用可能である。
【0103】
<変形例>
上述の通り、プランデータベース115は、エネルギーの種類毎に複数の料金プランを記憶している。一方、電力供給の自由化等により新たなエネルギー事業者が登場してくる可能性や、ある地方特有の料金プランというものが存在する。需要家としてはエネルギーの料金プランを決定する際に、これらの新たな料金プランも含めて検討したいという希望がある。
【0104】
そこで、本変形例における演算装置103は、端末500から新たな料金プランに関する情報が入力された場合、記憶装置101(プランデータベース115)に対して当該新たな料金プランを記憶させる処理を実行する。
【0105】
新たな料金プランに関する情報は、様々な方法により入力することができる。たとえば、需要家は、アプリ510により表示される情報登録画面で新たな料金プランを入力することができる。或いは、需要家は端末500においてSNSを利用して新たな料金プランに関する情報をエネルギー診断システム100に提供してもよい。
【0106】
演算装置103は、入力された新たな料金プランが既に登録されているかを判断し、登録されていない場合には新たな料金プランとしてプランデータベース115に記憶させる。
【0107】
なお、新たな料金プランを登録した場合、演算装置103は、当該情報を提供した需要家に対してエネルギー料金割引の電子クーポン等を送信するようにしてもよい。
【0108】
また、エネルギー診断システム100は、省エネに関する様々な処理を実行することも可能である。
たとえば、演算装置103は、計測機器4による計測値と、現在契約中の料金プランとを比較し、計測値が閾値以上の場合には端末500に警告メッセージを送信する。たとえば、契約中の電気の料金プランにおいて、一定量以上の電気を使うと単位当たりの料金が上がるとなっている場合、演算装置103は、計測機器4から送信される計測値を記憶しておき、たとえば、一定量まであと20%(閾値の一例)となった場合には端末500に警告メッセージを送信する。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。これら実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。それらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。