【実施例】
【0024】
(実施例)
上記コネクタの製造方法に係る実施例を、図を用いて説明する。まず、Cu−Fe系合金よりなる芯材40の表面にSnめっき膜4を有するコネクタピン2を準備した後、
図2に示すようにコネクタピン2をハウジング3に圧入する。その後、
図3に示すように、コネクタピン2における、ハウジング3の外部に露出した露出部21に曲げ加工を施して屈曲部22を形成する。そして、屈曲部22を加熱してSnめっき膜4を溶融させる処理(
図4参照)を、曲げ加工と同時または曲げ加工の後に行う。上記製造方法は、以上の工程を含んでいる。以下、各工程についてより詳細な説明をしつつ、得られるコネクタ1の構成について説明する。
【0025】
<ハウジング3の準備>
コネクタ1のハウジング3には種々の形状のものがあるが、本例のハウジング3は、
図1に示すように略直方体状を呈しており、コネクタピン2が貫通する底壁部31と、底壁部31の外周縁部から立設された側壁部32とを有している。図には示さないが、底壁部31及び側壁部32により囲まれた空間には、コネクタピン2の接点部が配置され、相手方コネクタのメス型端子と接触可能に構成されている。また、底壁部31には、コネクタピン2を挿入するための貫通穴が予め設けられている。
【0026】
<コネクタピン2の準備>
本例のコネクタピン2は、例えば、以下の方法によりCu−Fe合金よりなる板材から作製することができる。まず、Cu−Fe合金よりなる板材を準備し、当該板材に打ち抜き加工を施して
図5に示す端子中間体200を作製する。端子中間体200は、後にコネクタピン2となる複数のピン部201がキャリア部202により連なった構造を有している。
【0027】
次いで、端子中間体200に電気めっき処理を施し、全面にSnめっき膜4を形成する。その後、端子中間体200を加熱してリフロー処理を施し、Snめっき膜4をリフローさせる。Snめっき膜4の形成及びリフロー処理は、従来公知の条件により行うことができる。
【0028】
Snめっき膜4をリフローさせた後、キャリア部202を切り離すことにより、コネクタピン2を得ることができる。
【0029】
なお、上記の方法に替えて、Cu−Fe合金よりなる線材からコネクタピン2を作製することも可能である。この場合には、線材の表面にSnめっき膜4を形成し、リフロー処理を行った後に所定の長さに切断することにより、コネクタピン2を得ることができる。線材を切断した後、必要に応じて、プレス加工等によりコネクタピン2の形状を整える工程を追加しても良い。
【0030】
<コネクタピン2の圧入及び曲げ加工>
上記のようにして得られたコネクタピン2をハウジング3の貫通穴に圧入し、
図2に示すように底壁部31を貫通させる。コネクタピン2の接点部は、底壁部31及び側壁部32により囲まれた空間内に配置される。また、コネクタピン2における、ハウジング3の外部に露出した露出部21は、
図2に示すように底壁部31からまっすぐに伸びた状態となっている。
【0031】
次いで、曲げ治具5を用いて露出部21に曲げ加工を施し、屈曲部22を形成する。曲げ治具5は、例えば
図3に示すように、楔状を呈し、屈曲部22の内側となる面に押し当てる支持部51と、平板状を呈し、屈曲部22の外側となる面に押し当てる押圧部52とを有している。まず、
図3(a)に示すように、押圧部52の板面521に、コネクタピン2における、屈曲させる部分220から露出部21の先端211までの略全面を当接させつつ、支持部51の先端511と押圧部52との間に屈曲させる部分220を狭持する。
【0032】
次いで、押圧部52を回動させることにより、コネクタピン2における、屈曲させる部分220から露出部21の先端211までが支持部51の板面512に密着するように露出部21を折り曲げる(
図3(b)参照)。以上により、屈曲部22を形成することができる。
【0033】
<屈曲部22の加熱>
屈曲部22を加熱してSnめっき膜4を溶融させる処理は、曲げ加工と同時に行っても良く、曲げ加工の後に行っても良い。例えば、支持部51及び押圧部52を加熱した状態で曲げ加工を行うことにより、曲げ加工とSnめっき膜4の溶融処理とを同時に行うことができる。また、曲げ加工の後にSnめっき膜4の溶融処理を行う場合には、屈曲部22をヒーター等により加熱する工程を追加すればよい。以上により、コネクタ1を作製することができる。
【0034】
次に、本例の作用効果を説明する。本例の製造方法は、コネクタピン2をハウジング3に圧入する工程(
図2)と、露出部21に曲げ加工を施す工程(
図3)と、曲げ加工と同時または曲げ加工の後に、屈曲部22を加熱してSnめっき膜4を溶融させる工程とを含んでいる。通常、曲げ加工を施すと、
図4(a)に示すようにSnめっき膜4に割れCが発生する。それ故、芯材40のCu−Fe合金が外気と直接接触し、Fe相にさびや腐食等が発生しやすくなる。一方、曲げ加工と同時または曲げ加工の後にSnめっき膜4を溶融させることにより、
図4(b)に示すように、Snめっき膜4の割れCを修復し、芯材40の表面がSnめっき膜4に覆われた状態を実現することができる。
【0035】
それ故、上記製造方法によれば、芯材40にCu−Fe系合金を用い、従来と同等以上の耐食性を有するコネクタピン2を備えたコネクタ1を得ることができる。
【0036】
また、コネクタ1は、コネクタピン2の芯材40にCu−Fe系合金を用いているため、容易にコストを低減することができる。
【0037】
以上のように、上記製造方法によれば、優れた耐食性を有し、安価なPCB用コネクタ1を提供することができる。