【解決手段】半導体装置10を内部にパッケージングしたセンサモジュール100は、モジュール電源端子T101とモジュール出力端子T102及びT103を有しているが、データ通信専用端子は有していない。半導体装置10は、モジュール出力端子T102が非通常状態であるか否かをMON端子T15から検出し、モジュール出力端子T102が非通常状態であるときに通常モードからデータ通信モードに移行し、モジュール出力端子T103ないしはモジュール電源端子T101を流用してセンサモジュール100外部とのデータ通信を行う。
前記半導体装置は、前記モジュール電源端子に印加される電源電圧からこれに重畳されたクロック信号を抽出して前記インタフェイス部に与えるレベルシフタ部をさらに有し、
前記インタフェイス部は、前記クロック信号に同期してデータ通信を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
前記半導体装置は、入力信号に応じた出力信号を生成して前記モジュール出力端子に出力する信号処理部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不揮発性メモリと通信端子を備えた半導体装置であれば、装置外部からトリミングデータを書き換えることにより、その回路特性を任意に調整することができるので、これをパッケージングしたセンサモジュールの精度向上に寄与し得る。ただし、一般的なセンサモジュールは、端子数の制限上、必要最小限の外部端子(電源端子、接地端子、出力端子)しか有していないので、半導体装置に設けられた通信端子をメモリモジュールの外部端子に割り当てることができない。そのため、半導体装置の不揮発性メモリには、センサモジュールへのパッケージング前しかアクセスすることができないので、パッケージングに起因する半導体装置の回路特性ずれをパッケージング後に解消することはできなかった。
【0006】
また、従来では、センサモジュールの出力信号が通常範囲に収まっているか否かをモニタして故障判定が行われていた。しかしながら、センサモジュールの出力信号をモニタするだけでは、センサ素子と半導体装置のいずれに不具合があるのかを判別することができなかった。
【0007】
なお、上記の課題は、センサモジュールに限らず、他のモジュールでも起こり得る。
【0008】
本明細書中に開示された発明は、本願の発明者によって見出された上記の課題に鑑み、モジュールの外部端子を増やさずにパッケージング後のメモリアクセスを実現することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本明細書中に開示された発明は、本願の発明者によって見出された上記の課題に鑑み、モジュールの出力信号をモニタするだけでモジュールの故障原因を切り分けることのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中に開示されている半導体装置は、モジュール内にパッケージングされるものであって、前記モジュールは、モジュール電源端子と少なくとも一つのモジュール出力端子とを有しているが、データ通信専用端子は有しておらず、前記半導体装置は、装置外部とのデータ通信を行うインタフェイス部と、前記モジュール出力端子の一つが非通常状態であるか否かを検出する検出部と、を有しており、前記インタフェイス部は、前記モジュール出力端子の一つが非通常状態であるときに、前記モジュール出力端子ないしは前記モジュール電源端子を流用して前記モジュール外部とのデータ通信を行うデータ通信モードに移行する構成(第1の構成)とされている。
【0011】
なお、上記第1の構成から成る半導体装置は、前記モジュール電源端子に印加される電源電圧からこれに重畳されたクロック信号を抽出して前記インタフェイス部に与えるレベルシフタ部をさらに有し、前記インタフェイス部は、前記クロック信号に同期してデータ通信を行う構成(第2の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第2の構成から成る半導体装置は、前記電源電圧から内部電源電圧を生成して装置各部に供給する電源部をさらに有する構成(第3の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る半導体装置において、前記検出部の監視対象とされるモジュール出力端子は、通常時に所定周波数範囲内の周波数信号を出力するものであり、前記検出部は、前記モジュール出力端子の論理レベルが所定期間に亘って固定されたときに当該モジュール出力端子が非通常状態であることを検出する構成(第4の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る半導体装置において、前記検出部の監視対象とされるモジュール出力端子は、通常時に所定周波数範囲内のアナログ信号を出力するものであり、前記検出部は、前記モジュール出力端子に前記所定周波数範囲外の高周波信号が印加されたときに、当該モジュール出力端子が非通常状態であることを検出する構成(第5の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る半導体装置において、前記検出部の監視対象とされるモジュール出力端子は、通常時に所定電圧値を上回らない電圧信号を出力するものであり、前記検出部は、前記モジュール出力端子に前記所定電圧値を上回る高電圧が印加されたときに当該モジュール出力端子が非通常状態であることを検出する構成(第6の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成る半導体装置は、データを不揮発的に格納する記憶部をさらに有し、前記インタフェイス部は、前記モジュール外部と前記記憶部の間で前記データの読み書きを行う構成(第7の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成る半導体装置は、入力信号に応じた出力信号を生成して前記モジュール出力端子に出力する信号処理部をさらに有している構成(第8の構成)にするとよい。
【0018】
また、本明細書中に開示されているモジュールは、入力信号を生成する信号源と、前記入力信号に応じた出力信号を生成する上記第8の構成から成る半導体装置とをパッケージングして成る構成(第9の構成)とされている。
【0019】
なお、上記第9の構成から成るモジュールにおいて、前記信号源はセンサ素子である構成(第10の構成)にするとよい。
【0020】
また、本明細書中に開示されている半導体装置は、モジュール内にパッケージングされるものであって、信号源からの入力信号が所定範囲内に収まっているときには、前記入力信号に応じた出力信号を生成してモジュール出力端子に出力する一方、前記入力信号が前記所定範囲内に収まっていないときには、前記出力信号を所定の異常検出値に固定する信号処理部を有する構成(第11の構成)とされている。
【0021】
なお、上記第11の構成から成る半導体装置において、前記異常検出値は、前記出力信号が異常であるか否かを検出するための第1異常検出値よりも低い値に設定されている構成(第12の構成)にするとよい。
【0022】
また、上記第12の構成から成る半導体装置において、前記信号処理部は、前記入力信号が所定の下側閾値を下回っているときに前記出力信号を第2異常検出値に固定し、前記入力信号が所定の上側閾値を上回っているときに前記出力信号を前記第2異常検出値とは異なる第3異常検出値に固定する構成(第13の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第13の構成から成る半導体装置において、前記入力信号は、アナログ入力信号であり、前記出力信号は、前記入力信号に応じた周波数を持つ周波数信号、または、前記入力信号に応じたエンコード値を持つデジタル信号である構成(第14の構成)にするとよい。
【0024】
また、上記第14の構成から成る半導体装置において、前記信号処理部は、前記アナログ入力信号をデジタル入力信号に変換するアナログ/デジタル変換部と、前記デジタル入力信号をデジタル処理してデジタル出力信号を生成するデジタル処理部と、前記デジタル入力信号と前記上側閾値及び前記下側閾値との比較結果に応じて前記デジタル出力信号の信号値を固定する異常検出部と、前記デジタル出力信号の信号値に応じたパルス信号を生成するパルス生成部と、を含む構成(第15の構成)にするとよい。
【0025】
また、上記第15の構成から成る半導体装置において、前記デジタル処理部、前記異常検出部、及び、前記パルス生成部は、いずれもデジタル信号プロセッサとして実装される構成(第16の構成)にするとよい。
【0026】
また、上記第16の構成から成る半導体装置は、トリミングデータを格納する記憶部をさらに有し、前記信号処理部は、前記記憶部から読み出されたトリミングデータに応じて前記アナログ/デジタル変換部ないしは前記デジタル信号プロセッサのトリミング処理を行うトリミング処理部をさらに含む構成(第17の構成)にするとよい。
【0027】
また、上記第14の構成から成る半導体装置において、前記信号処理部は、前記アナログ入力信号を増幅してアナログ電圧信号を生成するアナログ増幅部と、前記アナログ入力信号と前記上側閾値及び前記下側閾値との比較結果に応じて前記アナログ電圧信号の電圧値を固定する異常検出部と、前記アナログ電圧信号の電圧値に応じた発振周波数のパルス信号を生成する電圧制御発振部と、を含む構成(第18の構成)にするとよい。
【0028】
また、本明細書中に開示されているモジュールは、入力信号を生成する信号源と、前記入力信号に応じた出力信号を生成する上記第11〜第18いずれかの構成から成る半導体装置とをパッケージングして成る構成(第19の構成)とされている。
【0029】
なお、上記第19の構成から成るモジュールにおいて、前記信号源はセンサ素子である構成(第20の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0030】
本明細書中に開示された半導体装置によれば、モジュールの外部端子を増やさずにパッケージング後のメモリアクセスを実現することが可能となる。
【0031】
また、本明細書中に開示された半導体装置によれば、モジュールの出力信号をモニタするだけでモジュールの故障原因を切り分けることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<半導体装置>
図1は、半導体装置10の一構成例を示すブロック図である。本構成例の半導体装置10は、センサモジュール100(後出の
図4、
図5、
図7、
図9、及び、
図11を参照)の内部にパッケージングされる信号処理用LSIであり、電源部11と、駆動部12と、信号処理部13と、インタフェイス部14と、記憶部15と、レベルシフタ部16と、セレクタ部17と、検出部18と、を有する。
【0034】
また、半導体装置10は、装置外部との電気的な接続を確立する手段として、外部端子T11〜T19(VCCピンT11、CLKピンT12、DATピンT13、ENピンT14、MONピンT15、OUTピンT16、DRVピンT17、INピンT18、及びGNDピンT19)を有する。
【0035】
電源部11は、VCCピンT11に印加される電源電圧Vcc(例えば12V)から内部電源電圧Vreg(例えば5Vや1.5V)を生成して装置各部に供給する。電源部11としては、スイッチングDC/DCコンバータなどを好適に用いることが可能である。なお、センサモジュール100の内部に半導体装置10をパッケージングした後で、センサモジュール100の外部から半導体装置10の記憶部15にアクセスする場合には、電源電圧Vccにクロック信号CLK2が重畳される(詳細は後述)。従って、電源部11には、電源電圧Vccにクロック信号CLK2が重畳されていても、所望の内部電源電圧Vregを安定的に生成することのできる電源能力が要求される。
【0036】
駆動部12は、センサ駆動電圧Vdrvを生成してDRVピンT17から出力する。
【0037】
信号処理部13は、INピンT18から入力される入力信号Siに応じた出力信号So(例えば入力信号Siに応じて発振周波数が変化する周波数信号)を生成し、これをOUTピンT16に出力するセンス回路である。なお、信号処理部13は、記憶部15から読み出されるトリミングデータDtrimに基づいて、その回路特性を任意に微調整する機能を備えている。信号処理部13の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0038】
インタフェイス部14は、セレクタ部17から入力されるクロック信号CLKに同期して半導体装置10の外部とシリアルデータ通信を行い、記憶部15に対してデータの読み書きを行う。なお、インタフェイス部14の動作モードは、検出部18から入力されるモード切替信号MODEに応じて通常モードとデータ通信モード(メモリアクセスモード)のいずれか一方に切り替わる。インタフェイス部14が通常モード(MODE=L)である場合には、シリアルデータ通信に際して、従前と同じく、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14が用いられる。一方、インタフェイス部14がデータ通信モード(MODE=H)である場合には、シリアルデータ通信に際して、VCCピンT11とDATピンT13が用いられる。各動作モード時におけるシリアルデータ通信の詳細については後述する。
【0039】
記憶部15は、回路特性調整用のトリミングデータDtrimや製品識別コードDidを不揮発的に格納する半導体記憶装置である。なお、記憶部15としては、OTPROM[one time programmable read-only memory]、EEPROM[electrically erasable programmable ROM]、ないしは、フラッシュメモリなどを好適に用いることができる。、一般的な不揮発メモリ(EEPROMやフラッシュメモリ)は、フローティングゲートに電子を貯めることでデータ(0/1)を記憶するが、OTPROMはサイドウォールに電子を貯めてデータ(0/1)を記憶する。サイドウォールは絶縁体なので、一旦電子が格納されると抜けにくく、フローティングゲートタイプと比較して保持特性に優れている。
【0040】
レベルシフタ部16は、VCCピンT11に印加される電源電圧Vccからこれに重畳されたクロック信号CLK2を抽出する。その際、レベルシフタ部16は、クロック信号CLK2のパルスレベル(波高値)をインタフェイス部14の入力ダイナミックレンジに適合させる。例えば、レベルシフタ部16は、8V−12Vでパルス駆動される電源電圧Vccから0V−1.5Vでパルス駆動されるクロック信号CLK2を生成する。
【0041】
セレクタ部17は、インタフェイス部14から入力されるセレクタ制御信号SLに応じて、CLKピンT12から入力されるクロック信号CLK1とレベルシフタ部16から入力されるクロック信号CLK2のいずれか一方を選択し、これをクロック信号CLKとしてインタフェイス部14に出力する。より具体的に述べると、インタフェイス部14が通常モード(MODE=L)であるときには、セレクタ制御信号SLが通常モード時の論理レベル(例えばローレベル)となり、セレクタ部17がクロック信号CLK1を選択出力する状態となる。一方、インタフェイス部14がデータ通信モード(MODE=H)であるときには、セレクタ制御信号SLがデータ通信モード時の論理レベル(例えばハイレベル)となり、セレクタ部17がクロック信号CLK2を選択出力する状態となる。
【0042】
検出部18は、MONピンT15を監視してモード切替信号MODEを生成し、これをインタフェイス部14に出力する。なお、センサモジュール100の内部に半導体装置10をパッケージングする際には、MONピンT15が監視対象のモジュール出力端子に接続される。すなわち、検出部18では、MONピンT15に接続されたモジュール出力端子を監視対象としてモード切替信号MODEが生成される。より具体的に述べると、検出部19は、監視対象のモジュール出力端子が通常状態であるときにモード切替信号MODEを通常モード時の論理レベル(例えばローレベル)とし、監視対象のモジュール出力端子が非通常状態であるときにモード切替信号MODEをデータ通信モード時の論理レベル(例えばハイレベル)とする。なお、非通常状態の検出基準は、監視対象となるモジュール出力端子毎に異なる。この点については、後ほど具体例を挙げて詳細に説明する。
【0043】
図2は、半導体装置10単体のテスト形態を示すアプリケーション図である。本テスト形態において、半導体装置10のVCCピンT11は、電源電圧Vcc(例えば12V)の印加端に接続されている。CLKピンT12、DATピンT13、ENピンT14、及び、OUTピンT16は、いずれも試験装置300に接続されている。MONピンT15は、スイッチSWを介してOUTピンT16とショートされている。INピンT18は、テスト電圧Vtestの印加端に接続されている。GNDピンT19は、接地端に接続されている。
【0044】
上記の接続を行うことにより、OUTピンT16には、入力信号Si(テスト電圧Vtest)に応じた出力信号So(例えば周波数信号)が現れる。このとき、MONピンT15を監視する検出部18は、OUTピンT16から出力信号Soが出力されていることを受けて、モード切替信号MODEを通常モード時の論理レベル(例えばローレベル)とする。このとき、インタフェイス部14は、シリアルデータ通信に際して、従前と同様、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いる状態となる。
【0045】
図3は、単体テスト動作(通常モード時におけるシリアルデータ通信動作)の一例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14の各挙動が描写されている。なお、本図の動作例では、試験装置300から半導体装置10のCLKピンT12に対して、所定周波数のクロック信号CLK1が常時入力されているものとする。
【0046】
時刻t1以前には、試験装置300によってENピンT14がローレベル(ディセーブル時の論理レベル)とされており、インタフェイス部14が通信禁止状態とされている。従って、たとえDATピンT13に何らかの信号が入力されたとしても、意図しないシリアルデータ通信が生じることはない。
【0047】
時刻t1〜t2では、試験装置300によってENピンT14がローレベルからハイレベル(イネーブル時の論理レベル)に立ち上げられる。その結果、インタフェイス部14が通信許可状態となり、半導体装置10と試験装置30との間でDATピンT13を介したデータ信号の送受信が行われる。
【0048】
より具体的には、インタフェイス部14がクロック信号CLK1に同期してデータ信号の送受信を行い、記憶部15と試験装置300との間でデータの読み書き(例えば、トリミングデータDtrimの書き込み、ないしは、製品識別コードDidの読み出し)を行う。このように、通常モードでは、CLKピンT12を介してクロック信号CLK1が伝達され、DATピンT13を介してデータ信号が入出力される。
【0049】
時刻t2では、試験装置300によってENピンT14が再びハイレベルからローレベル(ディセーブル時の論理レベル)に立ち下げられる。その結果、時刻t2以降では、インタフェイス部14が再び通信禁止状態となり、DATピンT13を介したデータ信号の送受信が禁止される。
【0050】
このように、本構成例の半導体装置10は、インタフェイス部14の通常モード時において、従前と同様のメモリアクセスを行うことができる。従って、試験装置300は、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いたシリアルデータ通信により、パッケージング前における半導体装置10の記憶部16に任意のトリミングデータDtrimを書き込むことができる。その結果、出力信号Soが規格範囲内に収まるように、信号処理部13の回路特性を微調整することが可能となる。
【0051】
なお、3線式のシリアル通信では、上記のクロック、データ、イネーブルを使うのが一般的であるが、シリアル通信方式としては、2線式のシリアル通信(例えばI
2C)を採用することも可能である。この場合にはデータとクロックしか用いないので、ENピンT14が不要となる。
【0052】
<センサモジュール>
図4は、センサモジュール100の通常使用形態を示すアプリケーション図である。センサモジュール100は、先出の半導体装置10と、センサ素子20と、サーミスタ素子30とをパッケージングして成る。
【0053】
また、センサモジュール100は、モジュール外部との電気的な接続を確立する手段として、モジュール電源端子T101(VCC端子)と、モジュール出力端子T102及びT103(OUT1端子及びOUT2端子)と、モジュール接地端子T104(GND端子)と、を有する。ただし、センサモジュール100は、端子数の制限上、半導体装置10のCLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14に各々割り当てられるデータ通信専用端子を有していない。
【0054】
半導体装置10は、センサ素子20からの入力信号Siに応じた出力信号Soを生成する信号処理LSIであり、その内部構成は先述した通りである。センサモジュール100の内部において、半導体装置10のVCCピンT11は、モジュール電源端子T101に接続されている。なお、インタフェイス部14(
図1を参照)がデータ通信モード(MODE=H)であるときには、モジュール電源端子T101がクロック入力端子として流用される。不使用のCLKピンT12は、接地端に接続されている。DATピンT13は、モジュール出力端子T103に接続されている。このような接続を行うことにより、インタフェイス部14(
図1を参照)がデータ通信モード(MODE=H)であるときには、モジュール出力端子T103がデータ信号DATの入出力端子として流用される。不使用のENピンT14は、接地端に接続されている。MONピンT15及びOUTピンT16は、いずれもモジュール出力端子T102に接続されている。このような接続を行うことにより、検出部18(
図1を参照)では、MON端子T15に接続されたモジュール出力端子T102を監視対象としてモード切替信号MODEが生成される。DRVピンT17は、センサ素子20の駆動電圧印加端に接続されている。INピンT18は、センサ素子20の信号出力端に接続されている。GNDピンT19は、モジュール接地端子T104に接続されている。
【0055】
なお、センサモジュール100の通常使用形態では、MONピンT15の監視結果に応じて半導体装置10のインタフェイス部14が通常モード(MODE=L)となるので、インタフェイス部14は、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いてシリアルデータ通信を行うことが可能な状態となる。ただし、不使用のCLKピンT12及びENピンT14は、いずれもローレベルに固定されているので、モジュール出力端子T103の出力信号OUT2(温度に応じたアナログ電圧信号)がDATピンT13に入力されたとしても、意図しないシリアルデータ通信が生じることはない。
【0056】
センサ素子20は、半導体装置10の入力信号Siを生成する信号源に相当する。センサ素子20の一例としては、エアフローセンサ、圧力センサ、及び、電流センサなどを挙げることができる。
【0057】
サーミスタ30は、温度変化に対して抵抗値が大きく変化する抵抗体(セラミック体またはポリマー体)であり、センサモジュール100の温度センサとして利用されている。サーミスタ30は、センサモジュール100の内部において、モジュール出力端子T103とモジュール接地端子T104との間に接続されている。サーミスタ30としては、NTC[negative temperature coefficient]サーミスタ、PTC[positive temperature coefficient]サーミスタ、及び、CTR[critical temperature resistor]サーミスタのいずれを用いても構わない。
【0058】
センサモジュール100の外部において、モジュール電源端子T101は、電源電圧Vcc(例えば12V)の印加端に接続されている。モジュール出力端子T102及びT103は、それぞれプルアップ抵抗R1及びR2を介して定電圧V1(例えば5V)の印加端にプルアップされている。モジュール接地端子T104は、接地端に接続されている。
【0059】
マイコン200は、モジュール出力端子T102の出力信号OUT1(入力信号Siに応じて発振周波数が変化する周波数信号)を監視して、センサ素子20の測定結果(空気流量、圧力、または、電流量など)を取得することができる。また、マイコン200は、モジュール出力端子T103の出力信号OUT2(温度に応じて電圧値が変化する電圧信号)を監視して、サーミスタ30の測定結果(温度)を取得することができる。
【0060】
図5は、センサモジュール100の第1テスト形態を示すアプリケーション図である。センサモジュール100の内部における接続関係は、先出の
図4と全く同一であることから、重複した説明を割愛する。本図の第1テスト形態では、センサモジュール100の外部に試験装置300が接続される。試験装置300は、クロック生成部310と、ローレベル固定部320と、通信部330と、を含む。
【0061】
センサモジュール100の外部において、モジュール電源端子T101は、クロック生成部310に接続されている。モジュール出力端子T102は、ローレベル固定部320に接続されている。モジュール出力端子T103は、通信部330に接続されている。モジュール接地端子T104は、接地端に接続されている。
【0062】
クロック生成部310は、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を行う際、電源電圧Vccにクロック信号CLK2を重畳する。より具体的に述べると、クロック生成部310は、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を行う際、電源電圧Vccを電圧値Vcc2と電圧値Vcc1との間(例えば8V−12V)でパルス駆動する。
【0063】
ローレベル固定部320は、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を行う際、モジュール出力端子T102をローレベル(0V)に固定する。
【0064】
通信部330は、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を行う際、モジュール出力端子T103を介してデータ信号DATの送受信を行う。なお、モジュール出力端子T103には、プルアップ抵抗R1とサーミスタ30が接続されているので、データ信号DATが鈍ったり歪んだりしないように、通信部330のパルス駆動能力を十分に高めておくことが望ましい。これは、半導体装置10のインタフェイス部14にも言えることである。
【0065】
図6は、第1テスト動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、モジュール電源端子T101、モジュール出力端子T102、モジュール出力端子T103、及び、モード切替信号MODEの各挙動が描写されている。
【0066】
時刻t11以前には、モジュール出力端子T102がローレベルに固定されておらず、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力されている。このとき、モード切替信号MODEは、ローレベル(通常モード時の論理レベル)となっている。なお、時刻t11以前には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えば12V)とされている。また、時刻t11以前には、出力信号OUT2として温度に応じたアナログ電圧信号が出力されている。
【0067】
時刻t11では、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を開始すべく、ローレベル固定部320によってモジュール出力端子T102がローレベルに固定される。ただし、モジュール出力端子T102のローレベル固定が所定期間Tdに亘って継続するまで、モード切替信号MODEはローレベルに維持される。また、電源電圧Vccは電圧値Vcc1に維持されたままとなり、出力信号OUT2としては温度に応じたアナログ電圧信号の出力が継続される。
【0068】
例えば、出力信号OUT1が1kHz〜100kHzの周波数信号である場合、モジュール出力端子T102には、先のパルスが生成されてから必ず1ms以内に次のパルスが生成されることになる。このことを鑑みると、上記の所定期間Tdは、1msよりも長い値(例えばTd=2ms)に設定すればよいことが分かる。
【0069】
時刻t12において、モジュール出力端子T102のローレベル期間が所定期間Tdに達すると、半導体装置10の検出部18は、モジュール出力端子T102が非通常状態であることを検出し、モード切替信号MODEをハイレベル(データ通信モード時の論理レベル)とする。
【0070】
このように、検出部18の監視対象とされるモジュール出力端子T102が通常時に所定周波数範囲内の周波数信号を出力するものである場合、検出部18は、モジュール出力端子T102の論理レベルが所定期間Tdに亘って固定されたときに、モジュール出力端子T102が非通常状態であることを検出する構成とすればよい。
【0071】
モード切替信号MODEがハイレベルになると、インタフェイス部14は、モジュール電源端子T101とモジュール出力端子T103を流用してセンサモジュール100外部とのデータ通信を行うデータ通信モードに移行する。このとき、インタフェイス部14は通信許可状態となる。つまり、モード切替信号MODEは、インタフェイス部14の通信動作を許可/禁止するイネーブル信号としての側面も有している。一方、半導体装置10を制御する試験装置300では、通信部330がデータ信号DATの送受信待機状態とされるので、モジュール出力端子T103はローレベルとなる。ただし、時刻t12では、実際のシリアルデータ通信が開始されておらず、電源電圧Vccは電圧値Vcc1に維持されている。
【0072】
時刻t13〜t14では、センサモジュール100と試験装置300との間で、実際にシリアルデータ通信が行われる。より具体的に述べると、時刻t13〜t14において、クロック生成部310は、電源電圧Vccにクロック信号CLK2を重畳すべく、電源電圧Vccを電圧値Vcc2と電圧値Vcc1との間(例えば8V−12V)でパルス駆動し、インタフェイス部14は、レベルシフタ部16で抽出したクロック信号CLK2の入力を受け付ける。また、インタフェイス部14と通信部330は、それぞれ、クロック信号CLK2に同期してデータ信号DAT(出力信号OUT2)の送受信を行い、記憶部15と試験装置300との間でデータの読み書き(例えば、トリミングデータDtrimの書き込み、ないしは、製品識別コードDidの読み出し)を行う。このように、データ通信モードでは、モジュール電源端子T101を介してクロック信号CLK2が伝達され、モジュール出力端子T103を介してデータ信号DATが入出力される。
【0073】
時刻t15において、ローレベル固定部320によるモジュール出力端子T102のローレベル固定が解除されると、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力される状態となる。このとき、モード切替信号MODEは、再びローレベル(通常モード時の論理レベル)に切り替わるので、インタフェイス部14は、シリアルデータ通信に際して、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いる通常モードに復帰する。なお、時刻t15以降には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えばVcc1=12V)とされる。また、時刻t15以降には、出力信号OUT2として温度に応じたアナログ電圧信号が出力される状態となる。
【0074】
上記したように、本構成例のセンサモジュール100であれば、既存の外部端子をデータ通信端子として流用することができるので、半導体装置10のパッケージング後であっても、記憶部15に対するデータの読み書きを行うことが可能となる。
【0075】
例えば、半導体装置10のパッケージング後にトリミングデータDtrimの書き込みを行うことにより、パッケージングに起因する半導体装置10の回路特性ずれをパッケージング後に解消することができるので、センサモジュール100の精度向上に寄与することが可能となる。また、記憶部15に格納されている製品識別コードDidを半導体装置10のパッケージング後に読み出すこともできるので、製品のトレースアビリティ向上を見込むことも可能となる。
【0076】
図7は、センサモジュール100の第2テスト形態を示すアプリケーション図である。第1テスト形態(
図5)と第2テスト形態(
図7)との主な相違点は、モジュール出力端子T102及びT103の役割が逆転されていること、及び、試験装置300のローレベル固定部320が高周波印加部340に置き換えられていることの2点である。
【0077】
より具体的に述べると、本図の第2テスト形態では、センサモジュール100の内部において、半導体装置10のDATピンT13がモジュール出力端子T102に接続されている。このような接続を行うことにより、インタフェイス部14(
図1を参照)がデータ通信モード(MODE=H)であるときには、モジュール出力端子T102がデータ信号DATの入出力端子として流用される。また、半導体装置10のMONピンT15は、モジュール出力端子T103に接続されている。このような接続を行うことにより、検出部18(
図1を参照)では、MONピンT15に接続されたモジュール出力端子T103を監視対象としてモード切替信号MODEが生成される。一方、センサモジュール100の外部において、モジュール出力端子T102は、通信部330に接続されている。モジュール出力端子T103は、高周波印加部340に接続されている。なお、上記以外の接続関係については、第1テスト形態(
図5)と同様であるので、重複した説明を割愛する。
【0078】
高周波印加部340は、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を行う際、モジュール出力端子T103に高周波信号を印加する。なお、高周波印加部340は、クロック生成部310を一部(または全部)流用して実装してもよい。
【0079】
図8は、第2テスト動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、モジュール電源端子T101、モジュール出力端子T102、モジュール出力端子T103、及び、モード切替信号MODEの各挙動が描写されている。
【0080】
時刻t21以前には、モジュール出力端子T103に高周波信号が印加されておらず、出力信号OUT2として温度に応じたアナログ電圧信号が出力されている。このとき、モード切替信号MODEはローレベル(通常モード時の論理レベル)となっている。なお、時刻t21以前には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えば12V)とされている。また、時刻t21以前には、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力されている。
【0081】
時刻t21では、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を開始すべく、高周波印加部340によってモジュール出力端子T103に高周波信号が印加される。その結果、半導体装置10の検出部18は、モジュール出力端子T103が非通常状態であることを検出し、モード切替信号MODEをハイレベル(データ通信モード時の論理レベル)とする。
【0082】
このように、検出部18の監視対象とされるモジュール出力端子T103が通常時に所定周波数範囲内のアナログ電圧信号を出力するものである場合、検出部18は、モジュール出力端子T103に所定周波数範囲外の高周波信号が印加されたときに、モジュール出力端子T103が非通常状態であることを検出する構成とすればよい。
【0083】
例えば、出力信号OUT2は、温度に応じたアナログ電圧信号であることから、その周波数は1kHz程度であると考えられる。このことを鑑みると、上記の高周波信号の発振周波数は、数十kHz〜数百kHzに設定すればよいことが分かる。
【0084】
モード切替信号MODEがハイレベルになると、インタフェイス部14は、モジュール電源端子T101とモジュール出力端子T102を流用してセンサモジュール100外部とのデータ通信を行うデータ通信モードに移行する。このとき、インタフェイス部14は通信許可状態となる。つまり、モード切替信号MODEは、インタフェイス部14の通信動作を許可/禁止するイネーブル信号としての側面も有している。一方、半導体装置10を制御する試験装置300では、通信部330がデータ信号DATの送受信待機状態とされるので、モジュール出力端子T102はローレベルとなる。なお、データ通信モード時(MODE=H)には、信号処理部13の出力動作を禁止しておくことが望ましい。このような出力禁止処理により、データ信号DATと出力信号Soとの混在による通信エラーを防止することが可能となる。ただし、時刻t21では、実際のシリアルデータ通信が開始されておらず、電源電圧Vccは電圧値Vcc1に維持されている。
【0085】
時刻t22〜t23では、センサモジュール100と試験装置300との間で、実際にシリアルデータ通信が行われる。より具体的に述べると、時刻t22〜t23において、クロック生成部310は、電源電圧Vccにクロック信号CLK2を重畳すべく、電源電圧Vccを電圧値Vcc2と電圧値Vcc1との間(例えば8V−12V)でパルス駆動し、インタフェイス部14は、レベルシフタ部16で抽出したクロック信号CLK2の入力を受け付ける。また、インタフェイス部14と通信部330は、それぞれ、クロック信号CLK2に同期してデータ信号DAT(出力信号OUT1)の送受信を行い、記憶部15と試験装置300との間でデータの読み書き(例えば、トリミングデータDtrimの書き込み、ないしは、製品識別コードDidの読み出し)を行う。このように、データ通信モードでは、モジュール電源端子T101を介してクロック信号CLK2が伝達され、モジュール出力端子T102を介してデータ信号DATが入出力される。
【0086】
時刻t24において、高周波印加部340によるモジュール出力端子T103への高周波印加が停止されると、出力信号OUT2として温度に応じたアナログ電圧信号が出力される状態となる。このとき、モード切替信号MODEは、再びローレベル(通常モード時の論理レベル)に切り替わるので、インタフェイス部14は、シリアルデータ通信に際して、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いる通常モードに復帰する。なお、時刻t24以降には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えばVcc1=12V)とされる。また、時刻t24以降には、信号処理部13の出力禁止処理が解除され、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力される状態となる。
【0087】
図9は、センサモジュール100の第3テスト形態を示すアプリケーション図である。第3テスト形態(
図9)は、先の第2テスト形態(
図7)とほぼ同様であり、試験装置300の高周波印加部340が高電圧印加部350に置き換えられている点に特徴がある。
【0088】
高電圧印加部350は、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を行う際、モジュール出力端子T103に高電圧V2(>V1)を印加する。
【0089】
図10は、第3テスト動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、モジュール電源端子T101、モジュール出力端子T102、モジュール出力端子T103、及び、モード切替信号MODEの各挙動が描写されている。
【0090】
時刻t31以前には、モジュール出力端子T103に高電圧V2が印加されておらず、出力信号OUT2として温度に応じたアナログ電圧信号が出力されている。このとき、モード切替信号MODEはローレベル(通常モード時の論理レベル)となっている。なお、時刻t31以前には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えば12V)とされている。また、時刻t31以前には、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力されている。
【0091】
時刻t31では、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を開始すべく、高電圧印加部350によってモジュール出力端子T103に高電圧V2が印加される。その結果、半導体装置10の検出部18は、モジュール出力端子T103が非通常状態であることを検出し、モード切替信号MODEをハイレベル(データ通信モード時の論理レベル)とする。
【0092】
このように、検出部18の監視対象とされるモジュール出力端子T103が通常時に定圧V1を上回らないアナログ電圧信号を出力するものである場合、検出部18は、モジュール出力端子T103に定電圧V1を上回る高電圧V2が印加されたときに、モジュール出力端子T103が非通常状態であることを検出する構成とすればよい。
【0093】
例えば、出力信号OUT2は、定電圧V1(例えば5V)を分圧することにより得られるアナログ電圧信号であることから、その電圧値が定電圧V1を上回ることはない。このことを鑑みると、上記の高電圧V2としては、例えば、クロック生成部310で用意されている電圧値Vcc1(12V)及び電圧値Vcc2(8V)のいずれかを印加すればよいことが分かる。
【0094】
モード切替信号MODEがハイレベルになると、インタフェイス部14は、モジュール電源端子T101とモジュール出力端子T102を流用してセンサモジュール100外部とのデータ通信を行うデータ通信モードに移行する。このとき、インタフェイス部14は通信許可状態となる。つまり、モード切替信号MODEは、インタフェイス部14の通信動作を許可/禁止するイネーブル信号としての側面も有している。一方、半導体装置10を制御する試験装置300では、通信部330がデータ信号DATの送受信待機状態とされるので、モジュール出力端子T102はローレベルとなる。なお、データ通信モード時(MODE=H)には、信号処理部13の出力動作を禁止しておくことが望ましい。このような出力禁止処理により、データ信号DATと出力信号Soとの混在による通信エラーを防止することが可能となる。ただし、時刻t31では、実際のシリアルデータ通信が開始されておらず、電源電圧Vccは電圧値Vcc1に維持されている。
【0095】
時刻t32〜t33では、センサモジュール100と試験装置300との間で、実際にシリアルデータ通信が行われる。より具体的に述べると、時刻t32〜t33において、クロック生成部310は、電源電圧Vccにクロック信号CLK2を重畳すべく、電源電圧Vccを電圧値Vcc2と電圧値Vcc1との間(例えば8V−12V)でパルス駆動し、インタフェイス部14は、レベルシフタ部16で抽出したクロック信号CLK2の入力を受け付ける。また、インタフェイス部14と通信部330は、それぞれ、クロック信号CLK2に同期してデータ信号DAT(出力信号OUT1)の送受信を行い、記憶部15と試験装置300との間でデータの読み書き(例えば、トリミングデータDtrimの書き込み、ないしは、製品識別コードDidの読み出し)を行う。このように、データ通信モードでは、モジュール電源端子T101を介してクロック信号CLK2が伝達され、モジュール出力端子T102を介してデータ信号DATが入出力される。
【0096】
時刻t34において、高電圧印加部350によるモジュール出力端子T103への高電圧印加が停止されると、出力信号OUT2として温度に応じたアナログ電圧信号が出力される状態となる。このとき、モード切替信号MODEは、再びローレベル(通常モード時の論理レベル)に切り替わるので、インタフェイス部14は、シリアルデータ通信に際して、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いる通常モードに復帰する。なお、時刻t34以降には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えばVcc1=12V)とされる。また、時刻t34以降には、信号処理部13の出力禁止処理が解除され、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力される状態となる。
【0097】
図11はセンサモジュール100の第4テスト形態を示すアプリケーション図である。先の第1テスト形態(
図5)を基礎とするが、センサモジュール100からモジュール出力端子T103が削除されており、これに伴う端子接続の変更が加えられている。
【0098】
より具体的に述べると、本図の第4テスト形態では、センサモジュール100の内部において、モジュール出力端子T102には、MONピンT15及びOUTピンT16だけでなくDATピンT13も接続されている。このような接続を行うことにより、インタフェイス部14(
図1を参照)がデータ通信モード(MODE=H)であるときには、モジュール出力端子T102がデータ信号DATの入出力端子として流用される。一方、センサモジュール100の外部において、モジュール出力端子T102は、ローレベル固定部320と通信部330の双方に接続されている。なお、上記以外の接続関係については、第1テスト形態(
図5)と同様であるので、重複した説明を割愛する。
【0099】
図12は、第4テスト動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、モジュール電源端子T101、モジュール出力端子T102、及び、モード切替信号MODEの各挙動が描写されている。
【0100】
時刻t41以前には、モジュール出力端子T102がローレベルに固定されておらず、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力されている。このとき、モード切替信号MODEは、ローレベル(通常モード時の論理レベル)となっている。なお、時刻t41以前には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えば12V)とされている。
【0101】
時刻t41では、センサモジュール100と試験装置300との間でシリアルデータ通信を開始すべく、ローレベル固定部320によってモジュール出力端子T102がローレベルに固定される。ただし、モジュール出力端子T102のローレベル固定が所定期間Tdに亘って継続するまで、モード切替信号MODEはローレベルに維持される。また、電源電圧Vccは電圧値Vcc1に維持されたままとなる。
【0102】
例えば、出力信号OUT1が1kHz〜100kHzの周波数信号である場合、モジュール出力端子T102には、先のパルスが生成されてから必ず1ms以内に次のパルスが生成されることになる。このことを鑑みると、上記の所定期間Tdは、1msよりも長い値(例えばTd=2ms)に設定すればよいことが分かる。
【0103】
時刻t42において、モジュール出力端子T102のローレベル期間が所定期間Tdに達すると、半導体装置10の検出部18は、モジュール出力端子T102が非通常状態であることを検出し、モード切替信号MODEをハイレベル(データ通信モード時の論理レベル)にラッチする。以降、モード切替信号MODEは、所定のリセット条件が満たされない限り、ハイレベルに維持されたままとなる。
【0104】
なお、上記のリセット条件としては、データ通信終了(クロック停止)やリセットコマンド受信などを挙げることができる。ただし、モード切替信号MODEのリセット(ラッチ解除)は必須ではなく、電源遮断までハイレベルを維持しても構わない。
【0105】
モード切替信号MODEがハイレベルになると、インタフェイス部14は、モジュール電源端子T101とモジュール出力端子T102を流用してセンサモジュール100外部とのデータ通信を行うデータ通信モードに移行する。このとき、インタフェイス部14は通信許可状態となる。つまり、モード切替信号MODEは、インタフェイス部14の通信動作を許可/禁止するイネーブル信号としての側面も有している。このとき、通信部330は、データ信号DATの送受信待機状態となるので、モジュール出力端子T102はローレベルとなる。この時点で、ローレベル固定部320はその役割を終える。一方、時刻t42では、実際のシリアルデータ通信が開始されておらず、電源電圧Vccは電圧値Vcc1に維持されている。
【0106】
時刻t43〜t44では、センサモジュール100と試験装置300との間で、実際にシリアルデータ通信が行われる。より具体的に述べると、時刻t43〜t44において、クロック生成部310は、電源電圧Vccにクロック信号CLK2を重畳すべく、電源電圧Vccを電圧値Vcc2と電圧値Vcc1との間(例えば8V−12V)でパルス駆動し、インタフェイス部14は、レベルシフタ部16で抽出したクロック信号CLK2の入力を受け付ける。また、インタフェイス部14と通信部330は、それぞれ、クロック信号CLK2に同期してデータ信号DAT(出力信号OUT1)の送受信を行い、記憶部15と試験装置300との間でデータの読み書き(例えば、トリミングデータDtrimの書き込み、ないしは、製品識別コードDidの読み出し)を行う。このように、データ通信モードでは、モジュール電源端子T101を介してクロック信号CLK2が伝達され、モジュール出力端子T102を介してデータ信号DATが入出力される。
【0107】
時刻t45において、モード切替信号MODEのリセット条件が満たされると、モード切替信号MODEは、再びローレベル(通常モード時の論理レベル)に切り替わるので、インタフェイス部14は、シリアルデータ通信に際して、CLKピンT12、DATピンT13、及び、ENピンT14を用いる通常モードに復帰する。このとき、モジュール出力端子T102は、出力信号OUT1として入力信号Siに応じた周波数信号が出力される状態となる。なお、時刻t45以降には、電源電圧Vccがパルス駆動されることなく一定の電圧値Vcc1(例えばVcc1=12V)とされる。
【0108】
このように、第4テスト形態を採用すれば、3端子のセンサモジュール100についても、半導体装置10のパッケージング後に記憶部15へのデータの読み書きを行うことが可能となる。
【0109】
<信号処理部>
図13は、信号処理部13の第1構成例を示すブロック図である。本構成例の信号処理部13は、アナログ/デジタル変換部131と、デジタル信号プロセッサ132と、オープンドレイン出力部133と、トリミング処理部134と、を含む。
【0110】
アナログ/デジタル変換部131は、センサ素子20から入力されるアナログ入力信号Si(アナログ電圧信号)をデジタル入力信号Sdに変換する。なお、アナログ/デジタル変換部131の入力ダイナミックレンジは、アナログ入力信号Siとして入力が想定されている電圧レンジ(SiL≦Si≦SiH)よりも広く設計されている。従って、アナログ/デジタル変換部131は、アナログ入力信号Siの入力下限値SiLよりも低いアナログ電圧値や、アナログ入力信号Siの入力上限値SiHよりも高いアナログ電圧値についても、正しくデジタル変換することが可能である。
【0111】
デジタル信号プロセッサ132は、デジタル入力信号Sdにデジタル信号処理を施してパルス信号Spを生成するための手段であり、デジタル処理部132aと、異常検出部132bと、パルス生成部132cを実装する。
【0112】
デジタル処理部132aは、デジタル入力信号Sdをデジタル処理してデジタル出力信号Saを生成する。
【0113】
異常検出部132bは、デジタル入力信号Sdと所定の上側閾値(VthH相当)及び下側閾値(VthL相当)との比較結果に応じてデジタル出力信号Saの信号値を固定する。異常検出部132bの動作については後述する。
【0114】
パルス生成部132cは、デジタル出力信号Saの信号値に応じたパルス信号Spを生成する。パルス信号Sp(延いては出力信号So)は、アナログ入力信号Siに応じた周波数を持つ周波数信号であってもよいし、アナログ入力信号Siに応じたエンコード値を持つデジタル信号であってもよい。
【0115】
オープンドレイン出力部133は、パルス信号Spに応じた出力信号Soを出力する。なお、オープンドレイン出力部133としては、ゲートがパルス信号Spの印加端に接続されて、ドレインがOUTピンT16に接続されて、ソースが接地端に接続されたNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]を用いることができる。NMOSFETは、パルス信号Spがハイレベルであるときにオンとなり、パルス信号Spがローレベルであるときにオフとなる。なお、先出の
図3などで示したように、OUTピンT16にはプルアップ抵抗が接続される。従って、出力信号Soは、パルス信号Spがハイレベルであるときにローレベルとなり、パルス信号Spがローレベルであるときにハイレベルとなる。
【0116】
トリミング処理部134は、記憶部15から読み出されたトリミングデータDtrimに応じてアナログ/デジタル変換部131ないしはデジタル信号プロセッサ132のトリミング処理(オフセット調整やゲイン調整など)を行う。
【0117】
図14は、入力信号Siと出力信号Soとの相関図である。センサ素子20からの入力信号Siが所定範囲内(VthL≦Si≦VthH)に収まっている場合、信号処理部13は、入力信号Siに応じた出力信号Soを生成してOUTピンT16(延いてはこれに接続されるモジュール出力端子T102)に出力する。すなわち、入力信号Siが所定範囲内(VthL≦Si≦VthH)に収まっている限り、異常検出部132bによってデジタル出力信号Saの信号値が固定されることはない。ただし、出力信号Soには下限周波数f0が設けられており、入力信号Siが所定値よりも低い範囲では、出力信号Soが下限周波数f0に固定される。
【0118】
なお、上記の下側閾値VthLは、入力信号Siの入力下限値SiLよりも低い値に設定されている。また、上記の上側閾値VthHは、入力信号Siの入力上限値SiHよりも高い値に設定されている。
【0119】
ここで、半導体装置10とセンサ素子20の両方が正常であれば、出力信号Soは、入力信号Siに応じた周波数信号となるので、出力信号So(出力周波数f)が下限周波数f0(入力下限値SiLに対応する出力周波数f、例えばf0=500Hz)を下回ることはない。一方、半導体装置10及びセンサ素子20のいずれかが故障すると、出力周波数fが下限周波数f0を下回る状態となる。以下では、故障発生時の動作について、詳細に説明する。
【0120】
入力信号Siが所定範囲内(VthL≦Si≦VthH)に収まっていない場合、信号処理部13は、出力周波数fを所定の異常検出値(f2またはf3)に固定する。すなわち、入力信号Siが所定範囲内(VthL≦Si≦VthH)に収まっていなければ、異常検出部132bによってデジタル出力信号Saの信号値が固定される。
【0121】
より具体的に説明すると、信号処理部13は、入力信号Siが下側閾値VthLを下回っているときに出力周波数fを異常検出値f2(例えばf2=200Hz)に固定し、入力信号Siが上側閾値VthHを上回っているときに出力周波数fを異常検出値f3(例えばf3=220Hz≠f2)に固定する。
【0122】
なお、異常検出値f2及びf3は、いずれも、出力信号Soが異常であるか否かを検出するための異常検出値f1(例えばf1=250Hz)よりも低い値に設定されている。
【0123】
以上の出力動作をまとめると次のようになる。
【0124】
半導体装置10及びセンサ素子20の双方が正常状態である場合には、入力信号Siが所定範囲内(VthL≦Si≦VthH)に収まるので、出力周波数fが入力信号Siに応じた値(f≧f0)となる。従って、f≧f0であるときには、半導体装置10及びセンサ素子20の双方が正常状態であると判定することができる。
【0125】
半導体装置10が正常状態であって、センサ素子20が異常状態(低出力状態)である場合には、入力信号Siが下側閾値VthLを下回るので、出力周波数fが異常検出値f2に固定される。従って、f=f2であるときには、半導体装置10が正常状態であってセンサ素子20が異常状態(低出力状態)であると判定することができる。
【0126】
半導体装置10が正常状態であって、センサ素子20が異常状態(高出力状態)である場合には、入力信号Siが上側閾値VthHを上回るので、出力周波数fが異常検出値f3に固定される。従って、f=f3であるときには、半導体装置10が正常状態であってセンサ素子20が異常状態(高出力状態)であると判定することができる。
【0127】
半導体装置10が異常状態である場合には、出力信号Soの生成動作自体が正しく行われなくなるので、出力周波数fが異常検出値f1を下回る(基本的には0Hzとなる)。また、当然のことながら、上記で説明した出力周波数fの固定機能も働かないので、出力周波数fが異常検出値f2またはf3に固定されることもない。従って、f<f1であって、かつ、f≠f2及びf≠f3であるときには、少なくとも半導体装置10が異常状態である(センサ素子20については不問)と判定することができる。
【0128】
上記したように、本構成例の信号処理部13によれば、故障モードに応じた出力信号Soを生成することができる。従って、センサ素子20の出力状態を直接検査することができなくても、センサモジュール100の出力信号Soをモニタするだけで、センサモジュール100の故障原因を切り分けることができるので、故障時の解析時間を短縮することが可能となる。
【0129】
図15は、信号処理部13の第2構成例を示すブロック図である。本構成例の信号処理部13は、先の第1構成例(
図13)をアナログ回路で実現するものであり、アナログ増幅部135と、異常検出部136と、電圧制御発振部137と、を含む。
【0130】
アナログ増幅部135は、アナログ入力信号Siをアナログ増幅してアナログ電圧信号Vaを生成する。
【0131】
異常検出部136は、アナログ入力信号Siと上側閾値VthH及び下側閾値VthLとの比較結果に応じてアナログ電圧信号Vaの電圧値を固定する。異常検出部136の動作については、アナログ処理であるかデジタル処理であるかの違いを除いて、第1構成例における異常検出部132bの動作(
図14)と基本的に同一である。
【0132】
電圧制御発振部137は、アナログ電圧信号Vaの電圧値に応じた発振周波数のパルス信号(周波数信号)Spを生成する。
【0133】
本構成例の信号処理部13によれば、先の第1構成例と同じく、故障モードに応じた出力信号Soを生成することができる。従って、センサ素子20の出力状態を直接検査することができなくても、センサモジュール100の出力信号Soをモニタするだけでセンサモジュール100の故障原因を切り分けることができるので、故障時の解析時間を短縮することが可能となる。
【0134】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。