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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-211078(P2015-211078A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】半導体光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20151027BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20151027BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20151027BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01L31/02 B
   H01L23/14 R
   H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-90421(P2014-90421)
(22)【出願日】2014年4月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】平山 雅裕
【テーマコード(参考)】
5F088
5F173
【Fターム(参考)】
5F088AA01
5F088BB01
5F088JA03
5F088JA07
5F173ME03
5F173ME25
5F173ME48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】FPC基板の信号配線に大きな伝送信号が入力される場合であっても、受光素子への影響が低減される半導体光モジュールを提供する。
【解決手段】TOSA型半導体光モジュール1は、FPC基板60に、第1リードに接続される第1配線61、及び第2リード及び第3リードと接続される第2配線62を有する。第1配線61は、孔64aが形成され、孔64aに第1リードを貫通させて接続される第1接続部63aを有し、第2配線62は、孔64b及び孔64cが形成され、孔64b及び孔64cのそれぞれに第2リード及び第3リードを貫通させて接続される第2接続部63b及び第3接続部63cを有する。第2接続部63b及び第3接続部63cは、第1接続部63aを挟むように配置され、第2配線62は、第2接続部63b及び第3接続部63cが互いに繋がり、第1接続部63aを包囲するような形状を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、レーザ光を発振する発光部と、
前記筐体内において前記発光部の光軸上に配置され、前記レーザ光を受光する受光部と、
前記受光部を搭載する第1領域と、前記発光部に接続される第1信号配線及び該第1信号配線の両側にそれぞれ配置された二つの第1グランド配線を含む第2領域と、前記筐体の一の側壁の外側に位置し、前記二つの第1グランド配線にそれぞれ接続される二つの第2グランド配線、及び前記第1信号配線に接続される第2信号配線を含む第3領域とを有するフィードスルーと、
前記第2信号配線に接続される第1リードと、
前記第1リードの両側に配置され、前記二つの第2グランド配線の一方及び他方にそれぞれ接続される第2リード及び第3リードと、
表面と前記表面に対向する裏面とを有し、前記第1リードに接続される第1配線を前記表面に有し、前記第2リードおよび前記第3リードと接続される第2配線を前記裏面に有し、前記第1配線及び前記第2配線によってマイクロストリップ線路を形成するフレキシブルプリント配線基板と、
を備え、
前記第1配線は、前記フレキシブルプリント配線基板の一の端部に第1孔が形成され、前記第1孔に前記第1リードを貫通させて接続される第1接続部を有し、
前記第2配線は、前記フレキシブルプリント配線基板の前記一の端部に第2孔及び第3孔が形成され、前記第2孔及び前記第3孔のそれぞれに前記第2リード及び前記第3リードを貫通させて接続される第2接続部及び第3接続部を有し、
前記第2接続部及び前記第3接続部は、前記第1接続部を挟むように配置され、
前記フレキシブルプリント配線基板の前記一の端部において、前記第2配線は、前記第2接続部及び前記第3接続部が互いに繋がり、前記第1接続部を包囲するような形状を有する、半導体光モジュール。
【請求項2】
前記第1信号配線に接続される第3信号配線と、前記発光部を搭載するための金属配線とを有するキャリアを更に備える、請求項1に記載の半導体光モジュール。
【請求項3】
前記キャリアに設けられる第3グランド配線の上に位置し、前記第1信号配線と前記第3信号配線とを接続する第4信号配線を有する伝送基板を更に備える、請求項2に記載の半導体光モジュール。
【請求項4】
前記フィードスルーは、前記筐体の底面からの高さが前記第1領域と同じである面上に形成され、前記二つの第1グランド配線及び前記二つの第2グランド配線に、それぞれビアを介して接続される第4グランド配線を更に有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の半導体光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体光モジュールが記載されている。この特許文献1では、半導体レーザ素子が半導体光モジュールの筐体内の中央部に配置されて、半導体レーザ素子の前方への出力光が光出射窓部を通して外部に出力されている。一方、半導体レーザ素子の後方への出力光は、半導体レーザ素子の後方に配置された受光素子によって、光強度のモニタリングを受けている。
【0003】
特許文献2には、半導体光モジュールなどに用いられるフレキシブルプリント配線(FPC)基板について開示されている。FPC基板では、基板の表面には信号パターン(信号配線)が形成され、基板の裏面には導電膜(グランド配線)が形成されている。信号配線とグランド配線とのアンバランスが発生しないように、信号配線はFPC基板の中央部に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−327031号公報
【特許文献2】特開平09−307208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体光モジュールには小型化への要求があり、この半導体光モジュールの一つであるTransmit Optical Sub-Assembly(TOSA)では、フィードスルー内に凹状の段差が形成され、その段差を利用してモニタリング用の受光素子が配置されている。従って、FPC基板がフィードスルーの近くに設けられ、また、信号配線がFPC基板の中央付近に配置されるので、信号配線が発光素子に近接できる利点がある半面、信号配線と受光素子とが互いに近接した構成となる。このため、FPC基板の信号配線に大きな伝送信号が入力されると、受光素子が伝送信号の影響を受けるという問題があった。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、FPC基板の信号配線に大きな伝送信号が入力される場合であっても、受光素子への影響が低減される半導体光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係る半導体光モジュールは、筐体と、筐体内に配置され、レーザ光を発振する発光部と、筐体内において発光部の光軸上に配置され、レーザ光を受光する受光部と、受光部を搭載する第1領域と、発光部に接続される第1信号配線及び第1信号配線の両側にそれぞれ配置された二つの第1グランド配線を含む第2領域と、筐体の一の側壁の外側に位置し、二つの第1グランド配線にそれぞれ接続される二つの第2グランド配線、及び第1信号配線に接続される第2信号配線を含む第3領域とを有するフィードスルーと、第2信号配線に接続される第1リードと、第1リードの両側に配置され、二つの第2グランド配線の一方及び他方にそれぞれ接続される第2リード及び第3リードと、表面と表面に対向する裏面とを有し、第1リードに接続される第1配線を表面に有し、第2リードおよび第3リードと接続される第2配線を裏面に有し、第1配線及び第2配線によってマイクロストリップ線路を形成するフレキシブルプリント配線基板と、を備え、第1配線は、フレキシブルプリント配線基板の一の端部に第1孔が形成され、第1孔に第1リードを貫通させて接続される第1接続部を有し、第2配線は、フレキシブルプリント配線基板の一の端部に第2孔及び第3孔が形成され、第2孔及び第3孔のそれぞれに第2リード及び第3リードを貫通させて接続される第2接続部及び第3接続部を有し、第2接続部及び第3接続部は、第1接続部を挟むように配置され、フレキシブルプリント配線基板の一の端部において、第2配線は、第2接続部及び第3接続部が互いに繋がり、第1接続部を包囲するような形状を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る半導体光モジュールによれば、FPC基板の信号配線に大きな伝送信号が入力される場合であっても、受光素子への影響が低減されることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るTOSA型半導体光モジュールの上面図である。
図2図1のII−II線に沿った断面図である。
図3図1のIII−III線に沿った断面図である。
図4図1のIV−IV線に沿った断面図である。
図5図1のV−V線に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るFPC基板を示す図である。
図7】比較例に係るFPC基板を示す図である。
図8】変形例に係るFPC基板の模式図である。(a)部は、FPC基板の上面図であり、(b)部は、FPC基板の側面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るFPC基板の模式図である。(a)部は、FPC基板の上面図であり、(b)部は、FPC基板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。本願発明による半導体光モジュールは、(1)筐体と、筐体内に配置され、レーザ光を発振する発光部と、筐体内において発光部の光軸上に配置され、レーザ光を受光する受光部と、受光部を搭載する第1領域と、発光部に接続される第1信号配線及び第1信号配線の両側にそれぞれ配置された二つの第1グランド配線を含む第2領域と、筐体の一の側壁の外側に位置し、二つの第1グランド配線にそれぞれ接続される二つの第2グランド配線、及び第1信号配線に接続される第2信号配線を含む第3領域とを有するフィードスルーと、第2信号配線に接続される第1リードと、第1リードの両側に配置され、二つの第2グランド配線の一方及び他方にそれぞれ接続される第2リード及び第3リードと、表面と表面に対向する裏面とを有し、第1リードに接続される第1配線を表面に有し、第2リードおよび第3リードと接続される第2配線を裏面に有し、第1配線及び第2配線によってマイクロストリップ線路を形成するフレキシブルプリント配線基板と、を備え、第1配線は、フレキシブルプリント配線基板の一の端部に第1孔が形成され、第1孔に第1リードを貫通させて接続される第1接続部を有し、第2配線は、フレキシブルプリント配線基板の一の端部に第2孔及び第3孔が形成され、第2孔及び第3孔のそれぞれに第2リード及び第3リードを貫通させて接続される第2接続部及び第3接続部を有し、第2接続部及び第3接続部は、第1接続部を挟むように配置され、フレキシブルプリント配線基板の一の端部において、第2配線は、第2接続部及び第3接続部が互いに繋がり、第1接続部を包囲するような形状を有する。
【0010】
この半導体光モジュールでは、第1領域の凹状の段差に受光部が置かれるので、受光部が、発光部の光軸上に配置された状態においても、モジュールの小型化が図られる。また、FPC基板の第2配線の端部において、第2接続部及び第3接続部が互いに繋がって、第1接続部を包囲するような形状となるので、第1配線に大きな伝送信号が入力されても、第2配線がシールドとして機能し、受光部において受光特性への影響が低減される。第1配線に高周波信号が入力されても同様である。
【0011】
(2)上記の半導体光モジュールは、第1信号配線に接続される第3信号配線と、発光部を搭載するための金属配線とを有するキャリアを更に備えてもよい。
【0012】
(3)上記の半導体光モジュールは、キャリアに設けられる第3グランド配線の上に位置し、第1信号配線と第3信号配線とを接続する第4信号配線を有する伝送基板を更に備えてもよい。
【0013】
(4)上記の半導体光モジュールでは、フィードスルーは、筐体の底面からの高さが第1領域と同じである面上に形成され、二つの第1グランド配線及び二つの第2グランド配線に、それぞれビアを介して接続される第4グランド配線を更に有してもよい。この半導体光モジュールでは、モジュールの小型化が更に図られる。
【0014】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態にかかる半導体光モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るTOSA型半導体光モジュールの上面図である。本実施形態では、半導体光モジュールとしてTOSA型半導体光モジュール1が用いられる。TOSA型半導体光モジュール1は筐体10を備えるので、図1では、筐体10の内部を示すために、筐体10が部分的に破断されている。図2は、図1のII−II線に沿った断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。図4は、図1のIV−IV線に沿った断面図であり、図5は、図1のV−V線に沿った断面図である。TOSA型半導体光モジュール1の筐体10は、側壁10A〜10D、及び底面10Eを有し、また、筐体10の材質は、例えばニッケルコバルト鉄合金(NiCoFe系)などである。
【0016】
図1に示されるように、TOSA型半導体光モジュール1は、筐体10内に、発光部20、受光部30、レンズホルダ40、レセプタクル41、フィードスルー50、及びFPC基板60を備える。発光部20は、半導体レーザ素子21及び変調素子22を有し、例えば筐体10内の中央付近に配置される。受光部30は、筐体10内において、半導体レーザ素子21の光軸20L上に配置される。レンズホルダ40は、レンズ40aを収容し、レセプタクル41は、出射窓41a、レンズ41bを収容する。レンズホルダ40及びレセプタクル41は、発光部20に対して受光部30の反対側に配置される。レセプタクル41では、出射窓41aが収容される領域41Cが、側壁10Aに埋め込まれ、レンズ41bが収容される領域41Dは、側壁10Aの外部に設けられる。フィードスルー50は、側壁10Bの内部から外部に亘って設けられる。発光部20は、受光部30と光学的に結合される。また、発光部20は、レンズホルダ40のレンズ40aと光学的に結合され、レンズ40aは、レセプタクル41の出射窓41aと光学的に結合される。出射窓41aは、レセプタクル41のレンズ41bと光学的に結合される。レンズ41bは、レンズ40a及び出射窓41aを介して、発光部20と光学的に結合される。発光部20は、フィードスルー50と電気的に結合され、フィードスルー50は、FPC基板60と電気的に結合される。
【0017】
半導体レーザ素子21は、レーザ光L1を出射する端面21Aと、端面21Aに対向し、レーザ光L2を出射する端面21Bとを有する。変調素子22は、半導体レーザ素子21の端面21A側に配置され、レーザ光L1を変調する。図1及び図2に示されるように、受光部30は、受光素子31及び受光素子キャリア32を含み、受光素子31によって、レーザ光L2の光強度がモニタリングされる。受光素子31は、例えばフォトダイオードなどからなり、受光素子キャリア32は、例えば酸化アルミニウムを含むセラミックなどの熱伝導率の高い絶縁物からなる。受光部30は、半導体レーザ素子21の端面21B側に配置される。レンズホルダ40、出射窓41a、及びレセプタクル41は、端面21A側に配置される。本実施形態では、光軸20Lは、筐体10の中心軸10Lの近傍に沿って延びている。レセプタクル41を通過したレーザ光L1は、例えば、レセプタクル41の外側にあってレセプタクル41と光学的に接続された光ファイバ(不図示)などを介して、外部に提供される。
【0018】
図1に示されるように、TOSA型半導体光モジュール1では、半導体レーザ素子21を発振させるための駆動部23が設けられる。駆動部23は、例えば第1キャパシタ23a、第2キャパシタ23b、抵抗23c、及びサーミスタ23dなどを含む。第1キャパシタ23aは、バイアス回路としての働きを有する。第2キャパシタ23b及び抵抗23cは、マッチング回路としての働きを有する。駆動部23では、例えば、ボンディングワイヤ11aが設けられ、半導体レーザ素子21と第1キャパシタ23aとは、ボンディングワイヤ11aによって電気的に接続されている。発光部20は、例えば外部変調方式の吸収型変調器集積レーザ(Electro-absorption Modulator Integrated Laser:EML)などを含むことができる。また、発光部20は、例えば直接変調レーザ(Directly modulated laser:DML)などを含むこともできる。
【0019】
図3図5に示されるように、TOSA型半導体光モジュール1では、筐体10の底面10Eの上に、例えばThermoelectric Cooler(TEC)などを含む温度制御素子12が配置される。温度制御素子12は、発光部20の温度を一定に保持し、半導体レーザ素子21からのレーザ光L1及びL2の波長を一定に保つように制御を行う。温度制御素子12の上には、第1キャリア13が搭載される。第1キャリア13の上には、第2キャリア14とレンズホルダ40とが搭載される。第2キャリア14の上には、第3信号配線15a、第3グランド配線15b、発光部20を載せるための金属配線16、及び駆動部23を載せる誘電体基板17a、17bなどが搭載される。誘電体基板17a、17bには、電気配線が形成されている。第3グランド配線15bの上には、伝送基板18が搭載され、また、伝送基板18には、第4信号配線18a及び裏面金属配線18dが設けられる。伝送基板18にはビア18b及び18cが設けられ、また、ビア18b及び18cには、それぞれボンディングワイヤ11t及び11sが設けられる。ボンディングワイヤ11t及び11sは、それぞれビア18b及び18cを介して、裏面金属配線18dと電気的に接続される。第1キャリア13及び第2キャリア14は、例えば酸化アルミニウムを含むセラミックなどからなる。
【0020】
フィードスルー50は、筐体10内と側壁10Bの外側とを電気的に接続する。フィードスルー50には、電気端子である第1リード51a〜第8リード51hが設けられる。フィードスルー50は、端面50Aを有し、第1リード51a〜第8リード51hは、端面50Aに設けられる。また、フィードスルー50は、受光部30を搭載する第1領域50Pのほか、第2領域50Q及び第3領域50Rを収容する。第2領域50Qは、第1信号配線52a、第1グランド配線52b及び52c、ビア52d及び52e、並びに第4グランド配線53を有する。ビア52d及び52eは、それぞれ第1グランド配線52b及び52cに設けられる。第3領域50Rは、第2信号配線54a、第2グランド配線54b及び54c、ビア54d及び54e、並びに第4グランド配線53を有する。ビア54d及び54eは、それぞれ第2グランド配線54b及び54cに設けられる。図2に示されるように、第2領域50Qでは、第2領域50Qの筐体10の底面10Eからの高さが第1領域50Pより高く、且つ、第2領域50Qの位置が第1領域50Pの外側になるように配置される。このため、第1領域50Pには、筐体10の底面10Eからの高さが第2領域50Qに比べて低くなるような凹状の段差50Dが設けられるので、この凹状の段差50Dによって生じた空間を利用して受光部30が配置されている。第3領域50Rは、筐体10の側壁10Bの内部及び側壁10Bの外側に配置される。フィードスルー50は、領域50E〜50Hを有する。また、フィードスルー50は、例えば酸化アルミニウムを含むセラミックなどからなる。
【0021】
図1に示されるように、第1グランド配線52b及び52cは、第1信号配線52aの両側に配置される。第2グランド配線54b及び54cは、第2信号配線54aの両側に配置される。第1信号配線52aは、第2信号配線54aと電気的に接続される。また、第1信号配線52aは、第4信号配線18aと電気的に接続され、さらに、第4信号配線18aを介して第3信号配線15aと電気的に接続される。最終的に、第1信号配線52aは、第4信号配線18a及び第3信号配線15aを介して、変調素子22と電気的に接続される。ボンディングワイヤ11p、11q及び11rが設けられ、第1信号配線52aと第4信号配線18aとはボンディングワイヤ11pを介して電気的に接続される。第4信号配線18aと第3信号配線15aとはボンディングワイヤ11qを介して電気的に接続される。第3信号配線15aと変調素子22とはボンディングワイヤ11rを介して電気的に接続される。第1グランド配線52b及び52cは、それぞれ第2グランド配線54b及び54cと電気的に接続される。また、第1グランド配線52b及び第2グランド配線54bは、それぞれビア52d及びビア54dを介して第4グランド配線53と電気的に接続される。第1グランド配線52c及び第2グランド配線54cは、それぞれビア52e及びビア54eを介して第4グランド配線53と電気的に接続される。第1グランド配線52bは、ボンディングワイヤ11sを介して伝送基板18と電気的に接続され、第1グランド配線52cは、ボンディングワイヤ11tを介して伝送基板18と電気的に接続される。第2信号配線54aは、第1信号配線52aに加えて、第1リード51aと電気的に接続される。また、第2グランド配線54b及び54cは、それぞれ第2リード51b及び第3リード51cと電気的に接続される。第2リード51b及び第3リード51cは、第1リード51aの両側に配置される。第1信号配線52a及び第2信号配線54aは、レーザ光L1を変調するための変調信号を変調素子22に伝送するための配線である。
【0022】
図1に示されるように、第1リード51aは、フィードスルー50の端面50Aの中央付近、即ち、筐体10の中心軸10Lの軸線付近に設けられる。また、フィードスルー50内で、第2信号配線54aは、中心軸10Lの軸線付近より外側に配置された第2領域50Qの第1信号配線52aと接続される。このため、第2信号配線54aの伝送進路は、フィードスルー50の領域50Eでは、中心軸10Lの軸線にほぼ沿っているが、領域50F及び50Gでは、中心軸10Lの軸線から傾斜している。第2グランド配線54b及び54cは、第2信号配線54aの両側に配置される。このため、第2グランド配線54b及び54cの伝送進路も、フィードスルー50の領域50Eでは、共に中心軸10Lの軸線にほぼ沿っているが、領域50Fと50Gでは、共に中心軸10Lの軸線から傾斜している。
【0023】
図6は、本発明の一実施形態に係るFPC基板を示す図である。図6では、FPC基板60が筐体10と電気的に接続された様子が示される。TOSA型半導体光モジュール1は、第1リード51a〜第8リード51hと電気的に接続されるFPC基板60を備える。FPC基板60は、表面60Aと、表面60Aに対向する裏面60Bとを有し、また、端部(一の端部)60Cと、端部60Cに対向する端部60Dとを有する。更に、FPC基板60は、表面60Aに第1配線61を有し、裏面60Bに第2配線62を有する。第1配線61は、第1接続部63aを有し、端部60Cにおいて、第1接続部63aには、第1孔64aが形成される。第1孔64aには第1リード51aが貫通するので、これにより、第1配線61は、第1接続部63aによって第1リード51aと電気的に接続される。第2配線62は端部62Aを有し、第2配線62は、端部62Aに第2接続部63b及び第3接続部63cを有する。端部60Cにおいて、第2接続部63b及び第3接続部63cには、それぞれ第2孔64b及び第3孔64cが形成される。第2孔64b及び第3孔64cには、それぞれ第2リード51b及び第3リード51cが貫通するので、これにより、第2配線62は、第2接続部63b及び第3接続部63cを介して、それぞれ第2リード51b及び第3リード51cと電気的に接続される。第1配線61は、伝送信号用の配線であり、第2配線62は、グランド用の配線である。FPC基板60では、第1配線61及び第2配線62によってマイクロストリップ線路が形成される。TOSA型半導体光モジュール1では、第1配線61からの伝送信号が、第1リード51a、第2信号配線54a、第1信号配線52a、第4信号配線18a、及び第3信号配線15aの順番に伝送されて変調素子22に送られる。この結果、変調素子22によって、半導体レーザ素子21からのレーザ光L1が外部変調を受ける。
【0024】
図6に示されるように、第1配線61は、端部60Cについての中心線60L又は端部60Dについての中心線60Mの軸線付近に沿うように、表面60A上に配置されている。本実施形態では、中心線60Lの軸線と中心線60Mの軸線とが一致しないので、第1配線61は、一部に屈曲形状61aを有する。一方、第1配線61が第2配線62の中心軸と重なるように、第2配線62が裏面60Bに設けられる。FPC基板60が第1リード51a〜第8リード51hを介して筐体10に接続される際には、FPC基板60の裏面60Bは、フィードスルー50の端面50Aに接するような態様をとる。FPC基板60は、例えばポリイミドなどの上に、例えば銅などからなる第1配線61及び第2配線62などが設けられて作製される。
【0025】
FPC基板60の第2配線62では、第2接続部63b及び第3接続部63cが、第1接続部63aを挟むように配置されている。また、第2配線62の端部62Aは、第2接続部63b及び第3接続部63cが互いに繋がって、第1接続部63aを包囲するような形状を有している。本実施形態では、第2接続部63b及び第3接続部63cが、例えば弧を描くような形状をとりながら、互いに繋がって第1接続部63aを包囲している。第2配線62の端部62Aは、第1接続部63aと端部62Aの外縁62Eとの距離がほぼ同じ程度の値をとるように弧を描く形状だけでなく、例えば四角形を含む形状など、基本的にはどのような形状を有してもよい。本実施形態では、第1配線61に大信号の伝送信号が入力しても、受光部30において、受光特性への影響は観察されなかった。高周波信号が入力されても同様であった。第2配線62の端部62Aが、第1接続部63a付近からの電磁波を遮蔽するシールド効果を有することに基づく。
【0026】
以上に説明したTOSA型半導体光モジュール1によって得られる効果について説明する。本実施形態のTOSA型半導体光モジュール1では、第1領域50Pの凹状の段差50Dに受光部30が置かれるので、受光部30が、発光部20の光軸20L上に配置された状態においても、モジュールの小型化が図られる。また、FPC基板60の第2配線62の端部62Aにおいて、第2接続部63b及び第3接続部63cが互いに繋がって、第1接続部63aを包囲するような形状となるので、第1配線61に大信号の伝送信号が入力されても、受光部30において受光特性への影響が低減される。第1配線61に高周波信号が入力されても同様である。さらに、FPC基板60では、第1配線61及び第2配線62が、FPC基板60の中心線60L又は60Mの軸付近に配置されるので、第1配線61及び第1接続部63aが発光部20に近接できる上に、FPC基板60に対する第1配線61及び第2配線62の信号バランスが向上する。なお、第1配線61は、インピーダンスZ0を50Ωより小さくすることで、配線幅(線路幅)を太くでき、第1配線61の導体抵抗が低減することで、大信号の伝送信号を入力しやすくすることができる。例えば、第1配線61のインピーダンスZ0を30Ωで形成することで、大信号の信号ロスを少なく伝送することができる。第1配線61は、TOSA型半導体光モジュールの配線の中では、最も長い配線になるため、信号ロスの低減に効果がある。また、第1配線61のインピーダンスZ0を30Ωで形成することで変化したインピーダンスZ0は、TOSA型半導体光モジュールの中のワイヤやキャリアパターンによるリアクタンス成分によりマッチングをとることができる。
【0027】
(比較例)
以下、FPC基板の第2配線の形状を変更して行った比較例について説明する。図7は、比較例で用いたTOSA型半導体光モジュール1YのFPC基板70を示す図である。TOSA型半導体光モジュール1Yは、FPC基板70の第2配線72を除いて、TOSA型半導体光モジュール1と同様である。
【0028】
比較例のFPC基板70は、表面70Aと表面70Aに対向する裏面70Bとを有する。FPC基板70は、表面70Aに第1配線71を有し、裏面70Bに第2配線72を有する。第1配線71は、第1接続部73aを有し、第1配線71は、第1接続部73aによって第1リード51aと電気的に接続される。第2配線72は端部72Aを有し、第2配線72は、その端部72Aに、第2接続部73b及び第3接続部73cを有する。第2配線72は、第2接続部73b及び第3接続部73cを介して、第2リード51b及び第3リード51cと電気的に接続される。第1配線71は、伝送信号用の配線であり、第2配線72は、グランド用の配線である。FPC基板70は、第1リード51a〜第8リード51hを介して筐体10に接続される際には、FPC基板70の裏面70Bが、フィードスルー50の端面50Aに接するような態様となる。FPC基板70においても、例えばポリイミドなどの上に、例えば銅などからなる第1配線71及び第2配線72などが設けられる。
【0029】
比較例の第2配線72では、第2接続部73b及び第3接続部73cが、第1接続部73aを挟むように配置されている。一方で、図6のFPC基板60の場合と異なり、第2接続部73b及び第3接続部73cは互いに繋がっていない。このため、第1接続部73aは、第2接続部73b及び第3接続部73cが互いに繋がった部分によって包囲されるような構造とはなっていない。比較例では、第1配線71に実施形態と同様の大信号の伝送信号が入力された場合に、第1接続部73aが包囲されていないので、第2配線72において、第1接続部73a付近からの電磁波を遮蔽するシールド効果が低下する。
【0030】
(変形例)
次に、FPC基板において、第1配線及び第2配線の配置を変更して行った変形例について説明する。図8は、変形例に係るFPC基板の模式図である。図8の(a)部は、FPC基板の上面図であり、(b)部は、FPC基板の側面図である。FPC基板80は、表面80Aと、表面80Aに対向する裏面80Bとを有する。FPC基板80は、表面80Aに第1配線81を有し、裏面80Bに第2配線82を有する。第2配線82は、側面82Wを有し、また、FPC基板80は、側面80Wを有する。
【0031】
図8では、第2配線82の側面82WがFPC基板80の側面80Wに沿うように、第2配線82は、FPC基板80の裏面80Bの上に設けられている。また、FPC基板80の表面80A上において、第1配線81は、FPC基板80の側面80W付近に沿うように配置されている。その結果、FPC基板80に対する第1配線81及び第2配線82の信号バランスが低下する。さらに、第1配線81と第2配線82との互いの信号バランスも低下している。
【0032】
図9は、本発明の一実施形態に係るFPC基板の模式図である。図9の(a)部は、FPC基板の上面図であり、(b)部は、FPC基板の側面図である。図9では、上記実施形態の図6に示されるように、FPC基板90の表面90Aの上において、第1配線91は、FPC基板90の中心線90Lの軸線付近に沿うように配置されている。また、第2配線92は、第2配線92の中心軸92LがFPC基板80の中心線80Lの軸線付近に沿うように、裏面90Bの上に設けられている。その結果、FPC基板90に対する第1配線91及び第2配線92の信号バランスが向上している。
【符号の説明】
【0033】
1、1Y…TOSA型半導体光モジュール、10…筐体、12…温度制御素子、13…第1キャリア、14…第2キャリア、15a…第3信号配線、15b…第3グランド配線、16…金属配線、17a、17b…誘電体基板、18…伝送基板、18a…第4信号配線、20…発光部、21…半導体レーザ素子、22…変調素子、23…駆動部、30…受光部、31…受光素子、32…受光素子キャリア、40…レンズホルダ、40a…レンズ、41…レセプタクル、41a…出射窓、41b…レンズ、50…フィードスルー、51a…第1リード、51b…第2リード、51c…第3リード、52a…第1信号配線、52b、52c…第1グランド配線、52d、52e…ビア、53…第4グランド配線、54a…第2信号配線、54b、54c…第2グランド配線、54d、54e…ビア、60…FPC基板、60C…端部(一の端部)、61…第1配線、62…第2配線、63a…第1接続部、63b…第2接続部、63c…第3接続部、64a…第1孔、64b…第2孔、64c…第3孔、70、80、90…FPC基板、L1、L2…レーザ光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9