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特開2015-211247ネットワーク装置及びネットワークシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-211247(P2015-211247A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】ネットワーク装置及びネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20151027BHJP
   H04L 29/14 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   H04L12/28 200Z
   H04L13/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-89811(P2014-89811)
(22)【出願日】2014年4月24日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
(71)【出願人】
【識別番号】303013763
【氏名又は名称】NECエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】大和田 稔
【テーマコード(参考)】
5K033
5K035
【Fターム(参考)】
5K033AA06
5K033CB15
5K033DA01
5K033DA11
5K033DB20
5K033EA04
5K035AA03
5K035BB01
5K035CC03
5K035DD01
5K035EE14
5K035FF02
5K035HH07
5K035JJ03
5K035MM03
5K035MM06
(57)【要約】
【課題】PHY設定の関係性と、Sync−E設定とが不一致である場合に、ネットワーク装置に対して不一致を示すアラームを通知する。
【解決手段】
ネットワーク装置10は、所定のクロックに同期して動作する同期ネットワークシステム1に接続され、Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を行う物理層デバイス13と、Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を監視し、設定が一致するか否かを検出するアラーム検出部15とを備える。アラーム検出部15は、設定の不一致を検出した場合に、ネットワーク装置10に対してアラームを通知する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のクロックに同期して動作する同期ネットワークシステムに接続されたネットワーク装置であって、
Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を行う物理層デバイスと、
前記Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を監視し、該設定が一致するか否かを検出するアラーム検出部とを備え、
前記アラーム検出部は、前記設定の不一致を検出した場合に、前記ネットワーク装置に対してアラームを通知することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記アラーム検出部は、前記設定の不一致を検出した場合に、前記ネットワーク装置に接続された他のネットワーク装置に対してアラームを通知することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
前記アラーム検出部は、前記ネットワーク装置に対するアラームと、前記他のネットワーク装置に対するアラームとを区別可能に通知することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
所定のクロックに同期して動作する、複数のネットワーク装置が直列的に接続された同期ネットワークシステムであって、
前記ネットワーク装置は、
Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を行う物理層デバイスと、
前記Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を監視し、該設定が一致するか否かを検出するアラーム検出部とを備え、
前記アラーム検出部は、前記設定の不一致を検出した場合に、前記ネットワーク装置に対してアラームを通知することを特徴とするネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置及びネットワークシステムに関し、特に、設定の異常を検出した際にネットワーク装置に対してアラームを通知する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、キャリアネットワークにおいて使用される伝送装置網は、固定電話や専用線サービス等を中心に提供するための回線ベースのネットワーク網と、インターネットやイーサネット(登録商標)専用線等のIP(Internet Protocol)系サービスを提供するためのパケットベースのネットワーク網とが存在する。
【0003】
これら2つのネットワーク網は、各々が独立しており、個別に保守運用管理が必要となっている。そのため、設備効率化のために2つのネットワークを同一網上で効率的に収容することが要望されている。
【0004】
このような要望に応えるため、近年、回線ベースのネットワーク網を低コストで収容効率の高いパケットベースのネットワーク網に収容する、パケットトランスポートと称する技術が出現した。
【0005】
例えば、回線ベースの代表的なネットワークであるSDH(Synchronous Digital Hierarchy)網は、通信を行う際にネットワークの同期が前提である。これに対して、パケットベースの代表的なネットワークであるイーサネット網では、通信を行う際にネットワークの同期を必要としない。そのため、SDH網をイーサネット網に収容するためには、イーサネット網においてもネットワークを同期させるような仕組みが必要となる。すなわち、上述したパケットトランスポートを実現するにあたっては、ネットワーク同期機能が必要となる。
【0006】
そこで、イーサネット網において同期を行うための技術である「Sync−E(Synchronous-Ethernet)」が、ITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standarization Sector)勧告G.8261に規定され、標準化された。
【0007】
Sync−Eは、ネットワーク内で使用するクロックを共通化することで同期を行う方式である。この方式では、基準となるネットワーク装置のマスタとなるポートから、イーサネットを介して接続された他のネットワーク装置のスレーブとなるポートへクロックを供給する。そして、クロックを受信したネットワーク装置は、さらに他のネットワーク装置へクロックを供給する。このようにして、互いに接続された複数のネットワーク装置が数珠つなぎでネットワークを同期させることができる。
【0008】
ところで、イーサネットのインターフェースには、例えば、「1000BASE−T」と称する物理層デバイス(以下「PHY(PHYsical layer)」という。)の規格が存在し、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3abに規定されている。この規格では、1000BASE−TのPHY間の通信におけるリンク速度や半二重/全二重を適切に決定するオートネゴシエーションの動作について言及している。また、上述した項目の他に、PHY間のデータ送受信タイミングにおけるマスタ/スレーブの関係性を決定している。
【0009】
1000BASE−Tでは、同一の信号線上でデータの送受信を行うように規定されており、送受信信号を分離する必要がある。そのため、インターフェース間で親子関係(マスタ/スレーブ)を設定し、マスタのPHYのデータ送受信タイミングにスレーブのPHYのデータ送受信タイミングを同期させることにより、送受信信号の分離を行っている。
【0010】
一般的なPHYでは、このマスタ/スレーブ設定をAdvertiseモードと呼ばれる設定で行い、Auto(Repeater)、Auto(DTE)、Manual(Master)、Manual(Slave)の4種のうちいずれかを設定して使用する。
【0011】
例えば、2つのPHYをAuto(Repeater)及びAuto(DTE)のペアで使用した場合には、一意的にAuto(Repeater)側がPHYのマスタとなる。一方、2つのPHYをAuto(Repeater)及びAuto(Repeater)のペアや、Auto(DTE)及びAuto(DTE)のペアで使用した場合には、オートネゴシエーションによりいずれか一方がマスタとなり、一意的にPHYのマスタを決めることができない。尚、Manual(Master)及びManual(Slave)を使用した場合には、設定どおりの固定設定となる。
【0012】
通常、1000BASE−TのPHYを備えたネットワーク装置がSync−Eのようなネットワーク同期機能を使用する場合には、各ポートにおけるPHYのマスタ/スレーブの関係性と、Sync−Eにおけるマスタ/スレーブの関係性を一致させる必要がある。
【0013】
既存のネットワーク装置においては、Sync−Eのマスタ/スレーブ設定をユーザの操作により設定し、PHYのマスタ/スレーブ設定をSync−Eの設定に連動させる方法が一般的である。すなわち、Sync−Eの設定がマスタの場合には、PHYをAuto(Repeater)に設定し、Sync−Eの設定がスレーブの場合には、PHYをAuto(DTE)に設定する。これにより、Sync−E及びPHYの親子関係を一致させている。
【0014】
ところで、誤設定等により、Sync−Eがスレーブに設定されたポート同士が接続されてしまった場合、PHYは接続性を優先するため、オートネゴシエーションの設定において一致状態を無視し、一方がマスタとなり、他方がスレーブとなるように自動的に設定する。これにより、接続された一方のポートにおいては、PHYの設定がマスタであり、Sync−Eの設定がスレーブであるといった不一致状態が発生し、同期機能が正常に動作しなくなる。
【0015】
このような場合、従来のSync−Eを用いた同期ネットワークシステムでは、ネットワーク装置におけるSync−Eの誤設定や誤接続等による、PHYのマスタ/スレーブの関係性と、Sync−Eにおけるマスタ/スレーブの関係性との不一致を速やかに検出することができないという問題があった。
【0016】
これは、上述したように、イーサネット網がネットワークの同期を必要としないため、両者の不一致が発生している装置においてイーサネットフレームの損失が発生せず、正常に通信ができているように見えてしまうからである。
【0017】
そのため、パケットトランスポートによってイーサネット網にSDH網を収容した場合、ネットワーク運用者は、SDH信号の損失により初めて障害を認識することとなる。しかし、ネットワーク運用者は、SDH信号の損失によって障害を認識することができても、イーサネット網に接続されたどの装置で問題が発生したのかを切り分けるのが困難であった。
【0018】
そこで、このようなPHYのマスタ/スレーブの関係性と、Sync−Eにおけるマスタ/スレーブの関係性との不一致を防止する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ネットワーク装置のSync−Eの設定がスレーブとなるポートのPHYに対して、オートネゴシエーションの設定をスレーブに固定することにより、PHYの関係性とSync−Eの関係性とに不一致が発生しないようにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2012−222524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、特許文献1に記載された方法では、Sync−Eの設定がスレーブとなる装置においては、PHYの設定も必ずスレーブとなるため、Sync−EとPHYとの間で不一致は発生しないが、例えば、Sync−Eの設定がスレーブに設定されたポート同士が接続された場合、接続された装置間で正常に通信を行うことができなくなるという問題があった。
【0021】
このような場合には、接続が確立できないことにより、その装置において異常が発生していることを検出することはできるが、接続が切断されるため、ネットワーク管理者に対して異常を知らせるためのアラームを通知することができない。
【0022】
また、Sync−EとPHYとの間で不一致が発生したポートを有するネットワーク装置に対してアラームを通知する方法も考えられるが、不一致が発生したネットワーク装置でSync−Eの設定を誤っているとは限らず、例えば、接続先のネットワーク装置でSync−Eの設定を誤っていることによる不一致が発生している可能性も考えられる。そのため、Sync−EとPHYとの間で不一致が発生している装置だけでなく、Sync−Eにおける接続先のネットワーク装置に対してもアラームを通知する必要がある。
【0023】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、PHYのマスタ/スレーブの関係性と、Sync−Eのマスタ/スレーブの関係性との間で不一致が発生した場合に、当該不一致を検出すると共に、ネットワーク装置に対して不一致を示すアラームを通知するネットワーク装置及びネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するため、本発明は、所定のクロックに同期して動作する同期ネットワークシステムに接続されたネットワーク装置であって、Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を行う物理層デバイスと、前記Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を監視し、該設定が一致するか否かを検出するアラーム検出部とを備え、前記アラーム検出部は、前記設定の不一致を検出した場合に、前記ネットワーク装置に対してアラームを通知することを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、所定のクロックに同期して動作する、複数のネットワーク装置が直列的に接続された同期ネットワークシステムであって、前記ネットワーク装置は、Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を行う物理層デバイスと、前記Sync−Eのマスタ/スレーブ設定及びPHYのマスタ/スレーブ設定を監視し、該設定が一致するか否かを検出するアラーム検出部とを備え、前記アラーム検出部は、前記設定の不一致を検出した場合に、前記ネットワーク装置に対してアラームを通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、PHYのマスタ/スレーブの関係性と、Sync−Eのマスタ/スレーブの関係性との間で不一致が発生した場合に、当該不一致を検出すると共に、接続先のネットワーク装置に対して不一致を示すアラームを通知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係るネットワークシステムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2】本発明に係るネットワーク装置の一実施の形態を示すブロック図である。
図3】Sync−Eの設定及びPHYの設定が異常である場合について説明するためのブロック図である。
図4】Sync−Eの設定の関係性と、PHYの設定の関係性との状態を判断する方法について説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係るネットワークシステムの一実施の形態を示し、このネットワークシステム1は、PSN(Packet Switched Network)20上に複数のネットワーク装置10A、10B、・・・が設けられ、隣接するネットワーク装置10が互いに直列的に接続されて構成される。尚、この例では、ネットワーク装置10Aが基準となるクロックを生成するマスタとなり、ネットワーク装置10Aからネットワーク装置10B以降のネットワーク装置10(スレーブ)に対してクロックを供給する場合を示す。
【0030】
ネットワーク装置10は、図2に示すように、クロック源11、PLL(Phase Locked Loop)回路12、物理層デバイス(以下「PHY」という。)13_1及び13_2、接続インターフェース(以下「接続I/F」という。)14_1及び14_2、アラーム検出部15を備える。尚、以下の説明において、PHY13_1及び13_2を特に区別する必要がない場合には、単にPHY13と称して説明する。また、接続I/F14_1及び14_2についても同様に、接続I/F14と称して説明する。
【0031】
ネットワーク装置10は、ネットワーク運用者により、各ネットワーク装置10を同期させるための基準となるクロックを他のネットワーク装置10に対して供給するマスタと、他のネットワーク装置10から供給されたクロックに同期して動作するスレーブとのいずれかに予め設定される。
【0032】
クロック源11は、自装置がマスタに設定された場合に、基準クロックとなるクロックを生成し、生成したクロックを後述するPLL回路12に対して出力する。尚、クロック源11は、自装置がスレーブに設定された場合、クロックを生成しない。
【0033】
PLL回路12は、クロック源11から供給されたクロックをネットワーク装置10内に設けられた各デバイスに対して供給する。また、PLL回路12は、自装置がマスタに設定された際に、クロック源11から供給されたクロックをPHY13に対して出力する。一方、PLL回路12は、自装置がスレーブに設定された際に、PHY13_1又は13_2から供給されたクロックに同期して、クロックをPHY13_2又は13_1に対して出力する。
【0034】
PHY13は、PLL回路12から供給されたクロックを接続I/F14に対して出力すると共に、接続I/F14から供給されたクロックをPLL回路12に対して出力する。
【0035】
また、PHY13では、Sync−Eの設定及びPHYの設定が行われ、後述する接続I/F14の設定状態(マスタ/スレーブ)に対応して、Sync−Eの設定(マスタ/スレーブ)が行われると共に、Sync−Eの設定に対応してAdvertiseの設定(Auto(Repeater)/Auto(DTE))が行われる。そして、接続された他のネットワーク装置10におけるAdvertiseの設定との関係に基づき、オートネゴシエーションによりPHYの設定(マスタ/スレーブ)が行われる。
【0036】
具体的には、接続I/F14がマスタに設定された場合には、Sync−Eがマスタに設定されると共に、AdvertiseがAuto(Repeater)に設定され、接続I/F14がスレーブに設定された場合には、Sync−Eがスレーブに設定されると共に、AdvertiseがAuto(DTE)に設定される。
【0037】
そして、自装置におけるAdvertiseの設定と、接続された他のネットワーク装置10におけるAdvertiseの設定とに基づき、PHYが設定される。この場合のPHYの設定は、背景技術の項で説明したように、Auto(Repeater)及びAuto(DTE)のペアで使用した場合には、Auto(Repeater)側がPHYのマスタとなる。また、Auto(Repeater)同士のペアや、Auto(DTE)同士のペアで使用した場合には、オートネゴシエーションによりいずれか一方がマスタとなり、他方がスレーブとなる。
【0038】
接続I/F14は、マスタポート及びスレーブポートの2ポートのイーサネットポートを有し、隣接する他のネットワーク装置10に設けられた接続I/F14と接続し、双方向でのデータ通信及びマスタからスレーブへのクロックの授受を行う。接続I/F14は、マスタに設定された場合に、PHY13から供給されたクロックを、接続された他のネットワーク装置10に対してマスタポートを用いて出力する。一方、接続I/F14は、スレーブに設定された場合に、接続された他のネットワーク装置10からスレーブポートを用いて供給されたクロックを、PHY13に対して出力する。
【0039】
接続I/F14は、ネットワーク装置10がマスタ及びスレーブのいずれかに設定された場合に、その設定に対応してネットワーク運用者によりマスタ及びスレーブのいずれかに設定される。具体的には、ネットワーク装置10がマスタに設定された場合には、接続I/F14がマスタに設定され、マスタポートが用いられ、ネットワーク装置10がスレーブに設定された場合には、接続I/F14がスレーブに設定され、スレーブポートが用いられる。
【0040】
アラーム検出部15は、PHY13におけるSync−Eの設定とPHYの設定とを監視し、これらの関係性を判断し、不一致であることを検出した場合には、アラーム情報を生成し、自装置及び/又は接続されたネットワーク装置10のアラーム検出部15に対して出力する。
【0041】
アラーム情報は、例えば、不一致を検出している間、所定の間隔で出力してもよい。また、例えば、ネットワーク装置10でアラームを保持する機能を有する場合には、状態が変化した場合に出力してもよい。
【0042】
また、アラーム検出部15は、Sync−Eの設定とPHYの設定との不一致を検出しなくなった場合に、アラーム通知を解除すると共に、互いに接続された2つのネットワーク装置10間の接続が切断した場合にも、アラーム通知を解除する。
【0043】
これは、不一致からの復旧通知をアラーム検出部15から接続されたネットワーク装置10のアラーム検出部15に対して行わないことを意味し、アラームからの解除は、各ネットワーク装置10において自律的に行われるものとする。
【0044】
ここで、自装置に接続されたネットワーク装置10に対するアラーム情報は、例えば、アラーム通知フレームを用いることができる。このアラーム通知フレームは、イーサフレームとし、トランスポート層にはUDP(User Datagram Protocol)を使用する。
【0045】
尚、アラーム通知フレームのデータ領域は、このフレーム以外のフレームと区別が可能で、かつ接続されたネットワーク装置10で不一致を示すアラームが発生していることを認識できるものとする。
【0046】
次に、上記構成を有するネットワークシステム1の動作について説明する。
【0047】
まず、接続された複数のネットワーク装置10で構成されたネットワークシステム1において、2つのネットワーク装置10A及び10BにおけるSync−Eの設定及びPHYの設定が正常である場合について、図1を参照して説明する。図1に示す例は、ネットワーク装置10Aがマスタに設定され、ネットワーク装置10Bがスレーブに設定された場合を示す。尚、この例では、説明が煩雑となるのを防ぐため、動作の説明に不要となる部分についての図示を省略する。
【0048】
ネットワーク装置10Aは、ネットワーク運用者により装置及び接続I/F14A_1がマスタに設定される。接続I/F14A_1がマスタに設定されることにより、PHY13A_1は、Sync−Eをマスタに設定すると共に、AdvertiseをAuto(Repeater)に設定する。
【0049】
一方、ネットワーク装置10Bは、ネットワーク運用者により装置及び接続I/F14B_2がスレーブに設定され、接続I/F14B_1がマスタに設定される。接続I/F14B_2がスレーブに設定されることにより、PHY13B_2は、Sync−Eをスレーブに設定すると共に、AdvertiseをAuto(DTE)に設定する。また、接続I/F14B_1がマスタに設定されることにより、PHY13B_1は、Sync−Eをマスタに設定すると共に、AdvertiseをAuto(Repeater)に設定する。
【0050】
このように設定された2つのネットワーク装置10A及び10Bが接続I/F14A_1及び14B_2を介して接続されると、PHY13A_1及び13B_2は、互いに接続先のPHY13におけるAdvertiseの設定を確認する。そして、この場合には、Advertiseの設定がAuto(Repeater)及びAuto(DTE)のペアとなるため、PHY13A_1は、オートネゴシエーションによりPHYをマスタに設定する。また、PHY13B_2は、オートネゴシエーションによりPHYをスレーブに設定する。
【0051】
次に、マスタに設定されたネットワーク装置10Aにおいて、クロック源11Aは、基準となるクロックを生成し、PLL回路12Aに供給する。PLL回路12Aは、クロック源11Aから供給されたクロックをネットワーク装置10A内の各デバイスに供給すると共に、PHY13A_1に供給する。PHY13A_1は、PLL回路12Aから供給されたクロックを、接続I/F14A_1を介してネットワーク装置10Bに出力する。
【0052】
ネットワーク装置10Bにおいて、クロック源11Bは、ネットワーク装置10Bがスレーブに設定されていることからクロックの生成を行わない。そして、PHY13B_2は、接続I/F14B_2を介してネットワーク装置10Aからクロックを受け取り、PLL回路12Bに供給する。PLL回路12Bは、PHY13B_2から供給されたクロックをネットワーク装置10B内の各デバイスに供給すると共に、PHY13B_1に供給する。PHY13B_1は、PLL回路12Bから供給されたクロックを、接続I/F14B_1を介して接続された次のネットワーク装置10に出力する。
【0053】
以下、このようにしてネットワーク装置10Aのクロック源11Aで生成されたクロックを、数珠つなぎ状に接続された次のネットワーク装置10に対して順次供給する。これにより、数珠つなぎ状に接続されたネットワーク装置10をネットワーク装置10Aに同期させることができる。
【0054】
尚、この場合には、ネットワーク装置10A及び10BにおけるSync−Eの設定の関係性と、PHYの設定の関係性とが一致するため、アラーム検出部15A及び15B(不図示)は、アラーム通知を行わない。
【0055】
次に、接続された複数のネットワーク装置10で構成されたネットワークシステム1において、2つのネットワーク装置10A及び10BにおけるSync−Eの設定及びPHYの設定が異常である場合について、図3を参照して説明する。図3に示す例は、ネットワーク装置10Aをマスタに設定し、ネットワーク装置10Bをスレーブに設定する予定のものを、ネットワーク運用者の誤設定によりネットワーク装置10Aをスレーブに設定した場合を示す。尚、この例では、図1の説明と同様に、説明が煩雑となるのを防ぐため、動作の説明に不要となる部分についての図示を省略する。
【0056】
ネットワーク装置10Aは、ネットワーク運用者により装置及び接続I/F14A_1がスレーブに設定される。接続I/F14A_1がスレーブに設定されることにより、PHY13A_1は、Sync−Eをスレーブに設定すると共に、AdvertiseをAuto(DTE)に設定する。
【0057】
一方、ネットワーク装置10Bは、ネットワーク運用者により装置及び接続I/F14B_2がスレーブに設定され、接続I/F14B_1がマスタに設定される。接続I/F14B_2がスレーブに設定されることにより、PHY13B_2は、Sync−Eをスレーブに設定すると共に、AdvertiseをAuto(DTE)に設定する。また、接続I/F14B_1がマスタに設定されることにより、PHY13B_1は、Sync−Eをマスタに設定すると共に、AdvertiseをAuto(Repeater)に設定する。
【0058】
このように設定された2つのネットワーク装置10A及び10Bが接続I/F14A_1及び14B_2を介して接続されると、PHY13A_1及び13B_2は、互いに接続先のPHY13におけるAdvertiseの設定を確認する。そして、この場合には、Advertiseの設定がAuto(DTE)同士のペアとなるため、PHY13A_1及び13B_2は、オートネゴシエーションにより一方のPHYをマスタに設定し、他方のPHYをスレーブに設定する。
【0059】
このとき、どちらのPHYをマスタに設定するかについては、例えば、各々のPHY13A_1及び13B_2が有する固有の値であるシード値によって決定され、このシード値が高い(又は低い)方のPHY13がマスタに設定される。この例では、オートネゴシエーションによりPHY13B_2がマスタに設定され、PHY13A_1をスレーブに設定されたものとする。
【0060】
この場合、スレーブに設定されたネットワーク装置10Aは、クロック源11Aによるクロックの生成を行わない。そして、PHY13A_1は、接続I/F14A_1を介してネットワーク装置10Bからクロックを受け取り、PLL回路12Aに供給する。PLL回路12Aは、PHY13A_1から供給されたクロックをネットワーク装置10A内の各デバイスに供給する。すなわち、ネットワーク装置10Aは、ネットワーク装置10Bからクロックが供給されるため、ネットワーク装置10Bに同期して動作することになる。
【0061】
一方、ネットワーク装置10Bにおいて、PHY13B_2は、ネットワーク装置10Bがスレーブに設定されていることから、PLL回路12Bに対してクロックを供給する。PLL回路12Bは、PHY13B_2から供給されたクロックをネットワーク装置10B内の各デバイスに供給すると共に、PHY13B_1に供給する。PHY13B_1は、PLL回路12Bから供給されたクロックを、接続I/F14B_1を介して接続された次のネットワーク装置10に出力する。
【0062】
このとき、PHY13B_2は、いずれからもクロックの供給を受けていないため、ネットワーク装置10Bは、どのネットワーク装置10とも同期せず、フリーランの状態となる。
【0063】
従って、ネットワーク装置10Aが誤って設定され、Sync−Eの設定及びPHYの設定が異常である場合には、システム中のすべてのネットワーク装置10がネットワーク装置10Bに同期することになる。しかし、ネットワーク装置10Bは、精度の高いクロックを発生させるクロック源11Bからのクロックを基準として動作しないため、ネットワーク全体が精度の低いクロックタイミングで動作することになり、ネットワークシステムが正常に動作しない。
【0064】
そこで、本実施の形態では、このような場合に、ネットワーク装置10A及び10BにおけるSync−Eの設定の関係性と、PHYの設定の関係性との状態をアラーム検出部15A及び/又は15B(不図示)で判断し、これらの関係性が不一致であることを検出して、アラーム通知を行う。
【0065】
次に、Sync−Eの設定の関係性と、PHYの設定の関係性との状態を判断する場合の動作について、図4を参照して説明する。図4に示す例は、図3と同様に、ネットワーク装置10Aをマスタに設定し、ネットワーク装置10Bをスレーブに設定する予定のものを、ネットワーク運用者の誤設定によりネットワーク装置10Aをスレーブに設定した場合を示す。尚、この例では、説明が煩雑となるのを防ぐため、動作の説明に不要となる部分についての図示を省略する。
【0066】
まず、ネットワーク装置10Aに設けられたアラーム検出部15Aは、PHY13A_1におけるSync−Eの設定と、PHYの設定とを監視し、これらの関係性を判断する。この例では、PHY13A_1におけるSync−Eの設定がスレーブであり、PHYの設定がスレーブであるため、関係性が一致するため、設定が正常であると判断し、アラームの通知を行わない。
【0067】
一方、ネットワーク装置10Bに設けられたアラーム検出部15Bは、PHY13B_2におけるSync−Eの設定と、PHYの設定とを監視し、これらの関係性を判断する。この例では、PHY13B_2におけるSync−Eの設定がスレーブであり、PHYの設定がマスタであるため、関係性が不一致となる。そのため、アラーム検出部15Bは、設定が異常であると判断してアラーム情報を生成し、自装置に対してアラームを通知する。
【0068】
ところで、互いに接続されたネットワーク装置10A及び10B間では、設定の異常が自装置であるネットワーク装置10Bで発生しているとは限らず、接続されたネットワーク装置10Aで発生していることも考えられる。これは、接続されたネットワーク装置10Aとの関係で、ネットワーク装置10A及び10Bの設定が決定されるためである。
【0069】
例えば、図3に示す例では、アラーム検出部15Aによりネットワーク装置10Aにおける設定が正常であると判断されるが、実際には、ネットワーク装置10Aの設定が誤設定となっている。このような場合に、ネットワーク装置10Bに対してのみアラームを通知しても、ネットワーク運用者が異常を発見することができない。
【0070】
そこで、本実施の形態では、異常を検出したネットワーク装置10だけでなく、異常を検出したネットワーク装置10に接続されたネットワーク装置10に対してもアラームを通知する。これにより、異常を検出したネットワーク装置10、又はこのネットワーク装置10に接続されたネットワーク装置10で誤設定があったことをネットワーク運用者に対して通知することができ、異常箇所を迅速に発見することができる。
【0071】
すなわち、アラーム検出部15Bは、Sync−Eの設定とPHYの設定との関係性が不一致であると判断した場合に、ネットワーク装置10Bに対してアラームを通知すると共に、ネットワーク装置10Aに対してもアラームを通知する。
【0072】
アラーム検出部15Bからネットワーク装置10Aに対して通知されたアラームは、アラーム検出部15Aで検出され、アラーム検出部15Aは、ネットワーク装置10Aに対してネットワーク運用者が認識できるようにアラームを通知する。このときのアラームは、ネットワーク装置10Bで異常を検出したことがわかるように、ネットワーク装置10Bで通知されるアラームと区別可能なものとする。
【0073】
以上のように、本実施の形態によれば、Sync−Eの設定とPHYの設定との関係性が不一致であると判断した場合に、自装置に対してアラームを通知すると共に、接続された他のネットワーク装置に対してもアラームを通知する。これにより、ネットワーク層置換の接続が切断されることなく、アラームを通知できると共に、ネットワーク運用者は、装置の設定が誤設定であることを容易に認識することができ、誤設定に対して対処することができる。
【0074】
また、自装置及び接続された装置に対するアラームを区別できるようにしたため、通知されたアラームによってどの装置で誤設定が発生したかを容易に判断することができ、誤設定に対して迅速に対処することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ネットワークシステム
10(10A、10B) ネットワーク装置
11(11A、11B) クロック源
12(12A、12B) PLL回路
13(13_1、13_2、13A_1、13B_1、13B_2) 物理層デバイス
14(14_1、14_2、14A_1、14B_1、14B_2) 接続インターフェース
15(15A、15B) アラーム検出部
20 PSN
図1
図2
図3
図4