【解決手段】 実施形態の画像形成装置は、媒体に不可視化可能な現像剤で形成された画像を不可視化する処理を行う不可視化部を備えるか接続可能である。画像形成部は、媒体へ画像を形成する。第1の判定部は、トレイへの媒体のセットの有無を判定する。第1の制御部は、セットされた媒体に処理を行うべく不可視化部を制御する。第2の判定部は、処理後の媒体が予め定めた条件に合致するか否かを判定する。第2の制御部は、条件に合致する媒体へ画像を形成するべく画像形成部を制御する。処理部は、条件に合致する媒体へ画像が形成された場合に、利用者に特典を与えるための処理を実行する。
前記画像形成装置は、前記利用者とは別の管理者により管理されるものであるとともに、前記管理者が用意した媒体をセットするための第2のトレイに媒体がセットされているか否かを判定する第3の判定部を備え、
前記第2の制御部は、前記トレイに前記媒体がセットされていないと前記第1の判定部によって判定された場合、あるいは前記第2の判定部によって合致しないと判定された場合であり、かつ前記第2のトレイに前記媒体がセットされていると前記第3の判定部によって判定されている場合には、前記第2のトレイにセットされた媒体へ画像を形成するように前記画像形成部を制御し、
前記処理部は、前記第2のトレイにセットされた媒体へ画像が形成された場合には、前記規定のポイント数よりも低く定められたポイント数を前記在高に加算するか、あるいは前記在高へのポイント数の加算を行わないことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
不可視化可能な現像剤を用いて媒体に形成された画像を不可視化するための処理を行う不可視化部を備えるか、あるいは当該不可視化部に接続可能であり、媒体へ画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置を制御するコンピュータのための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
利用者が持参した媒体をセットするためのトレイに媒体がセットされているか否かを判定する第1の判定部と、
前記トレイに媒体がセットされていると前記第1の判定部によって判定されている場合に、当該媒体に対して前記処理を行うように前記不可視化部を制御する第1の制御部と、
前記処理が行われた後の媒体が予め定めた条件に合致するか否かを判定する第2の判定部と、
前記第2の判定部により合致すると判定された媒体へ画像を形成するように前記画像形成部を制御する第2の制御部と、
前記第2の判定部により合致すると判定された媒体へ画像が形成された場合に、前記利用者に特典を与えるための処理を実行する処理部として機能させることを特徴とする制御プログラム。
不可視化可能な現像剤を用いて媒体に形成された画像を不可視化するための処理を行う不可視化部を備えるか、あるいは当該不可視化部に接続可能であり、媒体へ画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置の動作方法であって、
利用者が持参した媒体がトレイにセットされているか否かを判定し、
前記トレイに媒体がセットされていると判定されている場合に、当該媒体に対して前記処理を行うように前記不可視化部を制御し、
前記処理が行われた後の媒体が予め定めた条件に合致するか否かを判定し、
予め定めた条件に合致すると判定された媒体へ画像を形成するように前記画像形成部を制御し、
予め定めた条件に合致すると判定された媒体へ画像が形成された場合に、前記利用者に特典を与えるための処理を実行することを特徴とする画像形成装置の動作方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下実施の形態の一例につき図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、画像形成装置の機能を備えた複合機を例に説明する。さらにここでは、本実施形態の複合機は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に設置されて、当該店舗の従業者により管理され、来店客により利用されるものであるとする。つまり、従業者が管理者の一例であり、来店客が利用者の一例である。なお、本来は来店客により行われるべき操作を従業者が代行することがあり得るが、そのような場合においては、従業者は来店客であると見なすこととする。
【0011】
図1は本実施形態に係る複合機100の機構的な構造の概略を示す図である。
【0012】
複合機100は、再利用紙トレイ1、不可視化部2、スキャナ3、分配部4、保留トレイ5、新紙トレイ6、原稿トレイ7、スキャナ8、排紙トレイ9、画像形成部10および排紙トレイ11を備える。
【0013】
再利用紙トレイ1は、利用者が持参した画像形成用の媒体をセットするためのものである。媒体は、主として紙であり、シート状である。媒体は、樹脂などの紙以外の素材よりなるものであっても良い。再利用紙トレイ1にセットされた媒体を、以下においては再利用紙と称することとする。再利用紙トレイ1には、新紙をセットすることも可能であるが、本実施形態においては、再利用紙トレイ1にセットされた用紙は全て再利用紙であると見なす。
【0014】
不可視化部2は、再利用紙に対して不可視化処理を施す。例えば本実施形態では、加熱によって科学反応により消色するトナーにより再利用紙に形成された画像を、加熱することによって不可視化することとする。ただし、消色の方法は任意であって良く、対象とする現像剤の性質に合わせた方法を採用すれば良い。また不可視化の方法も任意であって良く、例えば再利用紙から現像剤を除去するなどの別の方法を採用しても良い。
【0015】
スキャナ3は、不可視化部2にて不可視化処理が施された後の再利用紙を読み取って画像データを得る。すなわちスキャナ3は、読取部の一例である。
【0016】
分配部4は、スキャナ3での読み取り位置を通過した再利用紙を、保留トレイ5および画像形成部10のいずれか一方へと送り込む。
【0017】
保留トレイ5は、分配部4により送り込まれた再利用紙を一時的に保留する。保留トレイ5に保留された再利用紙は、
図1では示されない搬送機構によって画像形成部10へと送り込むことができる。
【0018】
新紙トレイ6は、未使用の媒体をセットするためのものである。新紙トレイにセットされた媒体を、以下においては新紙と称することとする。なお、新紙トレイ6には、使用済みの用紙をセットすることも可能であるが、本実施形態においては、新紙トレイ6にセットされた用紙は全て新紙であると見なす。新紙トレイ6にセットされた新紙は、
図1では示されない搬送機構によって画像形成部10へと送り込むことができる。
【0019】
原稿トレイ7は、複写の対象となる画像が形成された原稿をセットするためのものである。
【0020】
スキャナ8は、原稿に形成された画像を読み取って、その画像を表した画像データを生成する。
【0021】
排紙トレイ9は、スキャナ8から排出された原稿を受ける。
【0022】
画像形成部10は、分配部4または保留トレイ5から送り込まれた再利用紙や、新紙トレイ6から送り込まれた新紙を取り込み、この再利用紙または新紙に対し、スキャナ8により得られた画像データが表す画像を形成する。画像形成部10としては、電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式、あるいは熱転写方式などの様々な周知の画像形成方式を適宜に利用できる。本実施形態においては、不可視化部2での不可視化処理により消色されるトナーを用いて電子写真方式により画像形成を行うものとする。
【0023】
具体的には画像形成部10は、現像ユニット10K,10C,10M,10Y、転写ベルト10Bおよび定着装置10Fなどを備える。
【0024】
現像ユニット10K,10C,10M,10Yは、感光体ドラム、帯電器、露光器、現像器、転写器および除電器などをそれぞれ含み、周知の電子写真方式により転写ベルト10Bに現像剤像を形成する。なお、現像ユニット10K,10C,10M,10Yは、画像データを構成する、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のそれぞれの色データに基づいて、各色の現像剤像を転写ベルト10Bの同一領域に形成する。これにより、現像ユニット10K,10C,10M,10Yは、転写ベルト10Bにカラーの現像剤像を形成する。転写ベルト10Bに形成された現像剤像は、転写位置Tで、再利用紙または新紙に転写される。定着装置10Fは、転写位置Tで再利用紙または新紙に転写された現像剤像を、再利用紙または新紙に対して熱定着させる。
【0025】
排紙トレイ11は、画像形成部10から排出された再利用紙または新紙を受ける。
【0026】
図2は複合機100の電気的な構成を示すブロック図である。なお、
図1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
複合機100は、
図1に示す要素に加えて、センサ12、搬送機構13、搬送機構14、搬送機構15、搬送機構16、センサ17、搬送機構18、センサ19、搬送機構20、画像メモリ21、操作パネル22、リーダ・ライタ23、通信部24、インタフェース部25、CPU(central processing unit)26、ROM(read-only memory)27、RAM(random-access memory)28およびシステムバス29を含む。
【0028】
センサ12は、再利用紙トレイ1にセットされた再利用紙を検出する。
【0029】
搬送機構13は、再利用紙トレイ1にセットされた再利用紙を不可視化部2へと搬送する。
【0030】
搬送機構14は、不可視化部2で不可視化処理が施された後の再利用紙を、スキャナ3の読み取り位置および分配部4を通過させつつ、保留トレイ5または搬送機構16へと搬送する。
【0031】
搬送機構15は、保留トレイ5に保留された再利用紙を画像形成部10へ搬送する。
【0032】
搬送機構16は、搬送機構14により送り込まれた再利用紙を画像形成部10へと搬送する。
【0033】
センサ17は、新紙トレイ6にセットされた新紙を検出する。
【0034】
搬送機構18は、新紙トレイ6にセットされた新紙を画像形成部10へと搬送する。
【0035】
センサ19は、原稿トレイ7にセットされた原稿を検出する。
【0036】
搬送機構20は、原稿トレイ7にセットされた原稿をスキャナ8を通過させつつ、排紙トレイ9へ搬送する。
【0037】
画像メモリ21へは、スキャナ8により生成された画像データがスキャナ8によって書き込まれる。画像メモリ21は、画像データを、画像形成部10により取り出されるまで記憶する。
【0038】
操作パネル22は、操作者による指示を入力する入力デバイスと、操作者に対して通知すべき各種の情報を表示する表示デバイスとを備える。操作パネル22としては、例えばタッチパネルが利用できる。
【0039】
リーダ・ライタ23は、データを記憶可能なカードを脱着可能である。リーダ・ライタ23は、セットされたカードが記憶するデータを読み取ったり、セットされたカードへと情報を書き込んだりする。リーダ・ライタ23としては、ICカードまたは磁気カードのような周知のデータカードに関してデータを読み書きする周知のデバイスを利用できる。
【0040】
通信部24は、図示を省略している通信網を介してサーバ200と通信する。
【0041】
インタフェース部25は、不可視化部2、スキャナ3、分配部4、スキャナ8、画像形成部10、センサ12、搬送機構13、搬送機構14、搬送機構16、センサ17、搬送機構18、センサ19、搬送機構20、画像メモリ21、搬送機構15、操作パネル22、リーダ・ライタ23および通信部24とCPU26との間でのデータの授受を仲介する。インタフェース部25は、不可視化部2、スキャナ3、分配部4、スキャナ8、画像形成部10、センサ12、搬送機構13、搬送機構14、搬送機構16、センサ17、搬送機構18、センサ19、搬送機構20、画像メモリ21、搬送機構15、操作パネル22、リーダ・ライタ23および通信部24のそれぞれに適応した複数種類のインタフェース回路を含む。
【0042】
CPU26、ROM27、RAM28およびシステムバス29は、コンピュータを構成する。
【0043】
CPU26は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU26は、ROM27に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムに基づいて、複合機100の各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0044】
ROM27は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM27は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。またROM27は、CPU26が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。アプリケーションプログラムの少なくとも一部は、複合機100にEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、ハードディスクドライブ、あるいはSSD(solid state drive)などの補助記憶デバイスを設けて、この補助記憶デバイスに記憶しても良い。この場合、補助記憶デバイスにアプリケーションプログラムが記憶された状態にて複合機100の譲渡がなされる。あるいは、アプリケーションプログラムが補助記憶デバイスに記憶されない状態で複合機100が譲渡されるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介してアプリケーションプログラムが譲渡され、このアプリケーションプログラムが上記の別途に譲渡された複合機100の補助記憶デバイスに書き込まれても良い。
【0045】
RAM28は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM28は、CPU26が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM28は、CPU26が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0046】
システムバス29は、アドレスバスおよびデータバスなどを含み、CPU26と、ROM27、RAM28およびインタフェース部25とを、データの授受を可能なように接続する。
【0047】
なお、センサ12,17,19としては、媒体の有無により変化する光の反射状況を監視するものや、媒体の自重により変位される移動子の位置を監視するものなどの周知のものを利用できる。
【0048】
また、搬送機構13,14,15,16,18,20は、ガイド部材、ローラおよびモータなどを含む周知のものを利用できる。これらは例えば、モータにより回転されるローラにより媒体を送り出すとともに、その媒体の移動経路をガイド部材により設定するものである。
【0049】
次に以上のように構成された複合機100の動作について説明する。
【0050】
複合機100が通常の動作状態にあるときにCPU26は、ROM27に記憶されたアプリケーションプログラムの1つである制御プログラムに従って制御処理を開始する。なお、以下に説明する制御処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0051】
図3はCPU26による制御処理のフローチャートである。
【0052】
Act1においてCPU26は、原稿トレイ7に原稿がセットされたか否かを確認する。具体的にはCPU26は、センサ19により原稿が検出されているか否かを確認する。CPU26は、センサ19によって原稿が検出されていないならばNOと判定し、Act1を繰り返す。かくしてAct1においてCPU26は、原稿トレイ7に原稿がセットされるのを待ち受ける。
【0053】
来店客が複合機100を利用して原稿をコピーしようとする場合、来店客はコピーの対象となる原稿を原稿トレイ7にセットする。この際に、来店客がポイントサービスの会員であるならば、来店客は所有するIDカードをリーダ・ライタ23にセットする。そしてこのように原稿が原稿トレイ7にセットされたことによってセンサ19により原稿が検出されたならば、CPU26はAct1にてYESと判定し、Act2へと進む。
【0054】
Act2においてCPU26は、再利用紙の使用を来店客が希望するか否かを確認する。具体的にはCPU26は、再利用紙のセットを来店客に促すとともに、再利用紙を使用しないことを来店客が宣言するためのボタンを設けた画像を操作パネル22に表示させる。そしてCPU26は、ボタンのタッチが操作パネル22により検出されるよりも前にセンサ12により再利用紙が検出されたことに応じてYESと判定し、Act3へと進む。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することにより第1の判定部として機能する。
【0055】
Act3においてCPU26は、再利用紙の不可視化を開始する。具体的にはCPU26は、再利用紙トレイ1にセットされた再利用紙の1枚を搬送機構13により不可視化部2へと搬送させ、その再利用紙に対する不可視化処理を不可視化部2により行わせる。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することにより第1の制御部として機能する。
【0056】
Act4においてCPU26は、再利用紙の読取を開始する。具体的にはCPU26は、不可視化部2から排出された再利用紙を搬送機構14により搬送させるとともに、その再利用紙に形成された画像の読み取りをスキャナ3により行わせる。
【0057】
Act5においてCPU26は、スキャナ3が出力する画像データを解析し、不可視化処理を経た再利用紙が使用可能条件に合致するか否かを確認する。一例としてCPU26は、画像データを予め定めた閾値で二値化して、画像データに含まれた全画素のうちの黒画素の割合を求める。そして、当該割合が予め定めた基準値以下である場合に使用条件に合致すると判定し、そうでは無い場合に使用条件に合致しないと判定する。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することによって第2の判定手段として機能する。なお、上記の閾値および基準値は、複合機100の設計者により任意に定められて良い。また、上記の閾値および基準値は、CPU26が操作パネル22での操作などに応じて、従業者または来店客が希望する値に定めても良い。そしてCPU26は、使用可能条件に合致しないためにNOと判定したならばAct6へと進む。
【0058】
Act6においてCPU26は、スキャナ3の読み取り位置を通過した再利用紙を保留トレイ5へと搬送する。具体的にはCPU26は、分配部4に保留トレイ5を選択させ、再利用紙を搬送機構14によって保留トレイ5へと搬送させる。そしてこののちにCPU26は、Act2に戻る。
【0059】
一方でCPU26は、不可視化処理を経た再利用紙が使用可能条件に合致するためにAct5にてYESと判定したならば、Act7へと進む。
【0060】
Act7においてCPU26は、原稿トレイ7にセットされた原稿のうちの1枚を、不可視化処理を経た再利用紙へとコピーする処理を開始する。具体的にはCPU26は、分配部4に搬送機構16を選択させ、再利用紙を搬送機構14,16によって画像形成部10に送り込む。これと並行してCPU26は、原稿トレイ7にセットされた原稿の1枚を搬送機構20によりスキャナ8へと送り込み、当該原稿に形成された画像の読み取りをスキャナ8により行わせる。スキャナ8が出力する画像データは画像メモリ21に記憶されるので、この画像データが表す画像を、搬送機構16によって送り込まれた再利用紙へと形成するように画像形成部10を制御する。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することにより第2の制御部として機能する。画像形成部10から排出される再利用紙、すなわち画像が形成された後の再利用紙は、排紙トレイ11へと排紙される。またスキャナ8を通過した原稿は、排紙トレイ9へと排出される。
【0061】
Act8においてCPU26は、変数Pに予め定めたポイントP1を加算する。なお図示は省略しているが、CPU26は、この制御処理の開始直後に変数Pを0にクリアする。そしてこののちにCPU26は、Act12へと進む。ポイントP1は、任意の値で良く、例えばCPU26が操作パネル22での操作などに応じて、従業者が希望する値に定めることが考えられる。
【0062】
ところでCPU26は、Act2においては、センサ12により再利用紙が検出されることなく、上記のボタンのタッチが操作パネル22にて検出されたことに応じてNOと判定し、Act9へと進む。
【0063】
Act9においてCPU26は、新紙トレイ6に新紙がセットされているか否かを確認する。具体的にはCPU26は、センサ17により新紙が検出されているか否かを確認する。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することにより第3の判定部として機能する。CPU26は、センサ17により新紙が検出されていないならばNOと判定し、Act9を繰り返す。かくしてAct9においてCPU26は、新紙が新紙トレイ6にセットされるのを待ち受ける。そしてCPU26は、新紙がセットされていることを確認できた場合、Act9にてYESと判定し、Act10へと進む。
【0064】
Act10においてCPU26は、原稿トレイ7にセットされた原稿のうちの1枚を、新紙へとコピーする処理を開始する。具体的にはCPU26は、新紙トレイ6にセットされた新紙の1枚を搬送機構18によって画像形成部10に送り込む。これと並行してCPU26は、原稿トレイ7にセットされた原稿の1枚を搬送機構20によりスキャナ8へと送り込み、当該原稿に形成された画像の読み取りをスキャナ8により行わせる。スキャナ8が出力する画像データは画像メモリ21に記憶されるので、この画像データが表す画像を、搬送機構18によって送り込まれた新紙へと形成するように画像形成部10を制御する。画像形成部10から排出される新紙、すなわち画像が形成された後の新紙は、排紙トレイ11へと排紙される。
【0065】
Act11においてCPU26は、変数Pに予め定めたポイントP2を加算する。そしてこののちにCPU26は、Act12へと進む。ポイントP2は、任意の値で良く、例えばCPU26が操作パネル22での操作などに応じて、従業者が希望する値に定めることが考えられる。ただし、通常は、ポイントP1をポイントP2よりも大きな値とする。ポイントP2は、「0」であっても良い。一例としては、ポイントP1を「2」、ポイントP2を「1」にそれぞれ設定することが考えられる。
【0066】
さてCPU26は、Act8またはAct11にて変数Pを変更したのちには、いずれもAct12へと進む。
【0067】
Act12においてCPU26は、原稿トレイ7にセットされた次の原稿があるか否かを確認する。そしてCPU26は、センサ19が原稿を検出しているならばYESと判定し、Act2へと戻る。つまりCPU26は、次の原稿をコピーするために前述と同様な処理を繰り返す。ただしCPU26は、Act2を再度実行する際、センサ12により再利用紙が検出されている場合には、再利用紙のセットを来店客に促す画像を操作パネル22に表示させること無しに、YESと判定しても良い。そしてCPU26は、原稿トレイ7にセットされた原稿の全てについてのコピーが完了し、センサ19により原稿が検出されなくなったならば、Act12にてNOと判定し、Act13へと進む。
【0068】
Act13においてCPU26は、リーダ・ライタ23にカードがセットされているか否かを確認する。これは例えば、リーダ・ライタ23にカードがセットされているか否かを問い合わせ、これに対するリーダ・ライタ23からの応答を確認することにより実現できる。リーダ・ライタ23は、セットされたカードを検出するセンサを備え、このセンサでの検出結果を上記の問い合わせへの応答としてCPU26へ送る機能を備える。そしてCPU26は、リーダ・ライタ23によりカード(前述のように来店客がセットしたIDカード)が検出されているならばAct13にてYESと判定し、Act14へと進む。
【0069】
Act14においてCPU26は、来店客を確認する。具体的にはCPU26は、IDカードに記憶された識別情報をリーダ・ライタ23により読み込ませて、この識別情報をリーダ・ライタ23から取得する。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することにより取得部として機能する。そしてCPU26は、この識別情報がポイントサービスの提供対象者に関連付けられたものであるかを、例えばサーバ200に問い合わせることによって確認する。
【0070】
Act15においてCPU26は、来店客がポイントサービスの提供対象者であるか否かを確認する。そしてCPU26は、提供対象者であるならばYESと判定し、Act16へと進む。
【0071】
Act16においてCPU26は、来店客のポイント口座の在高を更新する。具体的にはCPU26は、IDカードに記憶された在高情報をリーダ・ライタ23により読み込ませて、この在高情報をリーダ・ライタ23から取得する。そしてCPU26は、この在高情報が表す在高に変数Pの値を加算した値を表す新たな在高情報を生成し、この新たな在高情報をIDカードに書き込むようにリーダ・ライタ23に指示する。リーダ・ライタ23はこの指示を受けて、上記の新たな在高情報をIDカードに上書きする。ポイントの付与は、利用者に特典を与える処理の一例である。かくしてCPU26は、制御プログラムを実行することにより処理部として機能する。
【0072】
この後にCPU26は、Act17へと進む。なおCPU26は、リーダ・ライタ23によりカードが検出されていないならばAct13にてNOと判定し、Act14〜17をパスしてAct17へと進む。またCPU26は、来店客がポイントサービスの提供対象者ではない場合はAct15にてNOと判定し、Act16をパスしてAct17へと進む。
【0073】
Act17においてCPU26は、保留紙が有るか否かを確認する。具体的にはCPU26は、今回の制御処理の中でAct6を1度でも実行していれば、保留紙が有るとしてYESと判定し、Act18へと進む。つまり保留紙とは、保留トレイ5へと排出された再利用紙を指す。なおCPU26は、Act6の実行回数を保留紙の枚数としてカウントしておく。ただし、保留トレイ5に貯留されている保留紙を検出するセンサを設けて、このセンサの出力に基づいてCPU26が、保留紙が有るか否かを確認しても良い。この場合、Act6の実行回数のカウントは省略可能である。
【0074】
Act18においてCPU26は、保留紙の全てを排紙トレイ11へと排出するように搬送機構15および画像形成部10を制御する。このときに画像形成部10は、搬送機構15により搬送された保留紙を単に通過させて排紙トレイ11へと排紙するように動作する。そしてCPU26は、保留紙の全てを排出し終えたならば、今回の制御処理を終了する。なおCPU26は、今回の制御処理の中でAct6を1度も実行していないならばAct17にてNOと判定し、Act18をパスして今回の制御処理を終了する。
【0075】
以上のように複合機100を利用してコピーする場合、来店客のポイント口座の在高に対し、再利用紙を使用した場合は1枚当たりポイントP1を、新紙を使用した場合は1枚当たりポイントP2がそれぞれ加算される。従って、前述したようにポイントP1をポイントP2よりも大きな値に設定しておくことにより、再利用紙を使用することによる来店客の利益を生じさせることができ、来店客に再利用紙を持ち込ませる動機付けとなる。一方、来店客が持ち込む再利用紙の量が増加すれば、新紙の使用量が減少することとなり、新紙の購入のための店舗側のコストを減少できるのであり、店舗側も利益を得ることが可能となる。
【0076】
画像形成部10は、不可視化部2での不可視化処理により消色されるトナーを用いて電子写真方式により画像形成を行うものとしている。このため、複合機100を用いてコピーされたコピー原稿は、その後の新たなコピーの際の再利用紙として利用可能である。従って、複合機100を利用して繰り返しのコピーを行うことの動機付けとなり、複合機100の繰り返しの利用、さらには来店客の繰り返しの来店を促すことが可能である。
【0077】
不可視化部2は、再利用紙に形成された画像の全てを不可視化できる保証は無く、不可視化ができないか、あるいは不可視化が不十分な状態の再利用紙にコピーしたのでは、来店客の目的を達成できない恐れがある。再利用紙を持ち込むのは来店客であるから、来店客の責任であると言えなくもないが、再利用紙が不可視化できるかどうかの管理責任を来店客に負わせるのでは、来店客の負担が大きく、複合機100の活発な利用の妨げとなる恐れがある。しかしながら複合機100は、不可視化部2で不可視化を試みた後の再利用紙をスキャナ3によって読み取った画像データを解析して、再度の画像形成に耐え得る状態になっているかどうかを確認している。そして複合機100では、そのような状態になっている場合にのみ、再利用紙を使用してコピーする。かくして複合機100によれば、再利用紙が不可視化できるかどうかの管理責任を来店客に負わせることなしに、十分に不可視化された再利用紙のみを使用して来店客の目的に適うコピー原稿を出力することが可能である。
【0078】
本実施形態では、不可視化の手法として、主として消色を想定している。消色では、一見すると不可視化処理により画像が見えなくなるが、現像剤自体は用紙に定着しているのであるから、不可視化されている画像を何らかの処理により可視化することは不可能ではない。複合機100によれば、不可視化処理を施したものの、コピーに使用しなかった再利用紙については、排紙トレイ11に排出することによって来店客に返却することとしている。このため、上記のように再度の可視化により見られてしまう恐れのある画像が形成されている用紙が他の来店客の手に渡ることを防止できる。
【0079】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0080】
スキャナ3を通過した再利用紙を不可視化部2へと送りこむ搬送機構を追加するか、あるいは再利用紙トレイ1から不可視化部2へと送り込まれる再利用紙の画像を読み取る新たなスキャナを追加するなどして、再利用紙に形成された画像を不可視化前に読み取るようにしても良い。そして、読み取りにより得られた画像データを、例えばUSB(universal serial bus)メモリなどの可搬型の記憶媒体に書き込む機能を追加すれば、不可視化する画像を保存しておくことが可能となる。
【0081】
複合機100を、不可視化部2を備えるユニットと画像形成部10を備えるユニットとを含む複数のユニットに分割して構成することも可能である。
【0082】
不可視化部2で不可視化処理がなされた後の再利用紙をスキャナ8へと搬送する搬送機構と、スキャナ8を通過した再利用紙を分配部4へと搬送する搬送機構とを、搬送機構14およびスキャナ3に代えて設けて、原稿の読み取りと、再利用紙の読み取りとにスキャナ8を共用しても良い。
【0083】
ポイント口座の在高をIDカードに記憶するのではなく、サーバ200等においてポイント口座の在高を管理しても良い。この場合にCPU26は、Act16においてはサーバ200等に在高の更新を要求する。
【0084】
ポイントの付与は、例えば来店客が持参した記憶媒体に記憶されたデータ、複合機100が記憶するデータ、あるいはサーバ200から提供されるデータなどを画像形成部10にてプリントする場合などに行っても良い。
【0085】
利用者へ特典を与えるための処理は、例えば複合機100を用いて提供するコピーサービスの利用代金の割引などのような、ポイント付与とは異なる種々の処理に置き換えることができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。