【解決手段】フィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3は、底壁部12と、底壁部12から立ち上がる周壁部13を有するハウジング10と、ハウジング10内に収容されたコイル26(フィルタ素子)及びコンデンサ30(フィルタ素子)と、コイル26及びコンデンサ30に接続された一対の端子金具20と、コンデンサ30に接続されたアース部材23とを備え、周壁部13には、一対の端子金具20を選択的に取り付けることが可能な取付孔19FL,19FR,19R(取付部)が、少なくとも3箇所に形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明は、前記アース部材が、前記取付部に対して選択的に取り付け可能とされていてもよい。
この構成によれば、アース部材と端子金具との位置関係に関して、設定の自由度が高くなる。
【0010】
(2)本発明は、前記フィルタ素子が、コイルと一対のコンデンサとによって構成され、前記アース部材が、前記コンデンサのリード線に接続されるアース側接続部を有しており、前記ハウジング内を前記コイルの軸線を境として2つの収容空間に分割したときに、前記一対のコンデンサが前記アース側接続部と同じ側の前記収容空間内に配されていてもよい。
この構成によれば、一対のコンデンサとアース側接続部との距離が短くなるので、一対のコンデンサがコイルを挟んでアース側接続部とは反対側に配置されている場合に比べると、リード線の長さを短くすることができる。
【0011】
(3)本発明は、 前記フィルタ素子が、前記アース部材に接続されるコンデンサを有し、
前記アース部材が、前記コンデンサのリード線と接続可能であって、前記底壁部に沿うように配された板状をなすアース側接続部を有しており、
前記アース側接続部の周縁部の少なくとも一部が、前記コイルの形成領域の外部に張り出した形態となっていてもよい。
この構成によれば、板状のアース側接続部が、ハウジングの底壁部に沿って広い範囲に亘って存在しているので、コンデンサがどのような位置に配置されていても、アース側接続部に接続されるリード線の長さを短くすることができる。コンデンサのリード線は比較的細いので、リード線を短くすることは折損回避のために有効な手段である。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図3を参照して説明する。本実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3は、合成樹脂製のハウジング10と、一対の端子金具20と、アース部材23と、1つのコイル26(請求項に記載のフィルタ素子)と、一対のコンデンサ30(請求項に記載のフィルタ素子)とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後方向については
図1〜3における右側を前側と定義し、左右方向については
図1〜3における下側を右側と定義する。
【0013】
<ハウジング10>
ハウジング10は、平面視略方形をなす底壁部12と、底壁部12の外周縁から上方へ立ち上がる周壁部13とを有する箱形部材11と、箱形部材11の上面の開口部を塞ぐ蓋部材(図示省略)とを組み付けて構成されている。底壁部12と周壁部13で囲まれた空間は、収容凹部17となっている。周壁部13は、前壁部14と、左右両側壁部15と、後壁部16とによって構成されている。箱形部材11には、前壁部14の外周縁から前方へ延出した角筒状をなす前部フード部18Fと、後壁部16の外周縁から後方へ延出した角筒状をなす後部フード部18Rとが一体に形成されている。
【0014】
前壁部14には、前後方向に貫通した形態の前右取付孔19FR(請求項に記載の取付部)と前左取付孔19FL(請求項に記載の取付部)とが形成されている。前右取付孔19FRと前左取付孔19FLは、左右対称に配置されている。後壁部16には、前後方向に貫通した形態の後取付孔19R(請求項に記載の取付部)が形成されている。後取付孔19Rは、左右方向における中央位置に配置されている。
【0015】
<端子金具20>
端子金具20は、平面視略L字形をなす金属板材からなる。端子金具20は、ハウジング10に取り付けた状態において前後方向に細長い端子側タブ21と、端子側タブ21の基端部から左右いずれかの方向へ突出した端子側接続部22とから構成されている。端子金具20は、前右取付孔19FRと前左取付孔19FLと後取付孔19Rのいずれに対しても自由に選択して取り付けることができる。
【0016】
取付けに際しては、収容凹部17側から端子側タブ21を取付孔19FL,19FR,19Rに圧入する。端子金具20が取り付けられた状態では、端子側タブ21がフード部18F,18R内に配置され、端子側接続部22が収容凹部17内に配置される。端子側タブ21の先端部は、フード部18F,18R内においてノイズ除去対象回路(図示省略)を構成する相手側端子(図示省略)に接続されるようになっている。端子側接続部22には、後述するコイル26とコンデンサ30のリード線32が接続されるようになっている。端子金具20は、上下反転させた姿勢で取付孔19FL,19FR,19Rに取り付けることができる。つまり、端子側タブ21からの端子側接続部22の突出方向は、左右いずれの向きにも設定することができる。
<アース部材23>
アース部材23は、端子金具20と共通(同一種)の部品である。即ち、アース部材23は、ハウジング10に取り付けた状態において前後方向に細長いアース側タブ24と、アース側タブ24の基端部から左右いずれかの方向へ突出したアース側接続部25とから構成されている。アース部材23は、端子金具20と同様、前右取付孔19FRと前左取付孔19FLと後取付孔19Rのいずれに対しても自由に選択して取り付けることができる。
【0017】
取付けに際しては、収容凹部17側からアース側タブ24を取付孔19FL,19FR,19Rに圧入する。アース部材23が取り付けられた状態では、アース側タブ24がフード部18F,18R内に配置され、アース側接続部25が収容凹部17内に配置される。アース側タブ24の先端部は、フード部18F,18R内において図示しないアース回路を構成する相手側端子(図示省略)に接続され、自動車のボディ等の接地部(図示省略)に接続されるようになっている。アース側接続部25には、コンデンサ30のリード線32が接続されるようになっている。アース部材23は、上下反転させた姿勢で取付孔19FL,19FR,19Rに取り付けることができる。つまり、アース側タブ24からのアース側接続部25の突出方向は、左右いずれの向きにも設定することができる。
【0018】
<コイル26>
コイル26は、軸線26Aを前後方向に向けた円柱形のコア27の外周に、1本の導線28を螺旋状に巻き付けて構成されている。導体は、コア27の一方の端部から巻き始め、他方の端部で折り返し、一方の端部で巻き終わるように二重巻きされている。コイル26は、収容凹部17内、つまり端子側接続部22及びアース側接続部25が収容される空間と同じ空間内に配置されるようになっている。導線28の両端部のうち一方の端部は、半田29により、一対の端子金具20のうち一方の端子金具20の端子側接続部22に接続されるようになっている。導線28の他方の端部は、半田29により他方の端子金具20の端子側接続部22に接続されるようになっている。
【0019】
<コンデンサ30>
コンデンサ30は、コンデンサ本体31と、コンデンサ本体31の上面から延出する一対のリード線32とを備えて構成されている。一対のコンデンサ30は、収容凹部17内、つまり端子側接続部22、アース側接続部25及びコイル26が収容される空間と同じ空間内に配置されるようになっている。一対のリード線32のうち一方のリード線32は、半田29(溶接)によりアース部材23のアース側接続部25に接続されるようになっている。他方のリード線32は、半田29により端子金具20の端子側接続部22に接続される。
【0020】
上記のようにアース部材23と端子金具20に接続されたコイル26と2つのコンデンサ30は、π型のフィルタ回路を構成し、端子金具20に接続されたノイズ除去対象回路のノイズを除去するフィルタとしての機能を発揮する。
【0021】
<フィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3の組付け形態>
図1に示すフィルタ素子内蔵コネクタA1は、一方の端子金具20を前右取付孔19FRに取り付け、他方の端子金具20を前左取付孔19FLに取り付け、アース部材23を後取付孔19Rに取り付けている。つまり、一対の端子金具20は、左右対称に並んだ状態でハウジング10の前端部に配置されている。アース部材23はハウジング10の後端部に配置されている。
【0022】
コイル26は、軸線26Aを前後方向に向けて左右方向中央位置に配置され、コイル26の前端部から導出された一対の導線28の端部が、一対の端子側接続部22に接続されている。一対のコンデンサ30は、コイル26を左右両側から挟むように配置されている。両コンデンサ30における前側のリード線32は一対の端子側接続部22に接続され、両コンデンサ30における後側のリード線32はアース側接続部25に接続されている。
【0023】
図2に示すフィルタ素子内蔵コネクタA2は、一方の端子金具20を前左取付孔19FLに取り付け、他方の端子金具20を後取付孔19Rに取り付け、アース部材23を前右取付孔19FRに取り付けている。つまり、一対の端子金具20は、ハウジング10の前端部と後端部に分かれて配置され、アース部材23は、ハウジング10の前端部において一方の端子金具20と左右に並ぶように配置されている。
【0024】
コイル26と一対のコンデンサ30は、上記フィルタ素子内蔵コネクタA1と同じ位置関係で配置されている。コイル26の前端部から導出された一対の導線28のうち一方の端部は、前左取付孔19FLに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続され、他方の端部は、後方へ延出して後取付孔19Rに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続されている。一対のコンデンサ30のうち右側に位置するコンデンサ30の前側のリード線32は、アース側接続部25に接続され、後側のリード線32は、後取付孔19Rに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続されている。左側に位置するコンデンサ30の前側のリード線32は、前左取付孔19FLに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続され、後側のリード線32は、前右取付孔19FRに取り付けたアース部材23のアース側接続部25に接続されている。
【0025】
図3に示すフィルタ素子内蔵コネクタA3は、一方の端子金具20とアース部材23の配置が上記フィルタ素子内蔵コネクタA2と同じである。即ち、一対の端子金具20は、ハウジング10の前端部と後端部に分かれて配置されている。右側の端子金具20の端子側接続部22は、端子側タブ21から右方へ突出する向きとなっている。アース部材23は、ハウジング10の前端部において一方の端子金具20の右側に隣り合うように配置されている。アース側接続部25は、右側の端子金具20と同じく、アース側タブ24から右方へ突出する向きとなっている。
【0026】
コイル26は、軸線26Aを前後方向に向けて左右方向中央よりも左側へ偏った位置に配置されている。そして、一対のコンデンサ30は、コイル26よりも右方の広い空間内に左右に並ぶように配置されている。つまり、収容凹部17内をコイル26の軸線26Aを境として左右2つの収容空間33L,33Rに分割したときに、一対のコンデンサ30がアース側接続部25及び右側の端子側接続部22と同じ側の収容空間33R内に配されている。
【0027】
コイル26の前端部から導出された一対の導線28のうち一方の端部は、前左取付孔19FLに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続され、他方の端部は、後方へ延出して後取付孔19Rに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続されている。一対のコンデンサ30のうち右側(コイル26から遠い側)に位置するコンデンサ30の前側のリード線32は、アース側接続部25に接続され、後側のリード線32は、後取付孔19Rに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続されている。左側(コイル26の近い側)に位置するコンデンサ30の前側のリード線32は、アース側接続部25に接続され、後側のリード線32は、前左取付孔19FLに取り付けた端子金具20の端子側接続部22に接続されている。
【0028】
<実施例1の作用、効果>
本実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3は、底壁部12と、底壁部12から立ち上がる周壁部13を有するハウジング10と、ハウジング10内に収容されたコイル26及びコンデンサ30と、コイル26及びコンデンサ30に接続された一対の端子金具20と、コンデンサ30に接続されたアース部材23とを備えており、周壁部13には、一対の端子金具20を選択的に取り付けることが可能な取付孔19FL,19FR,19Rが、3箇所に形成されている。
【0029】
一対の端子金具20は、3箇所の取付孔19FL,19FR,19Rのうち選択した2箇所の取付孔19FL,19FR,19Rに取り付けることができる。即ち、一対の端子金具20を取り付ける取付孔19FL,19FR,19Rの選択の仕方を変えることにより、一対の端子金具20相互間の位置関係と、一対の端子金具20とアース部材23との位置関係を、任意の形態に設定することができる。したがって、ハウジング10と端子金具20の種類数を増やすことなく、アース部材23と一対の端子金具20の位置関係を複数の形態に設定することができる。しかも、アース部材23が、端子金具20を取り付けるための取付孔19FL,19FR,19Rに対して選択的に取り付けることが可能となっている。したがって、アース部材23と端子金具20との位置関係に関して、設定の自由度が更に高くなっている。
【0030】
また、
図3に示すフィルタ素子内蔵コネクタA3は、収容凹部17(ハウジング10)内をコイル26の軸線26Aを境として左右2つの収容空間33L,33Rに分割したときに、一対のコンデンサ30がアース側接続部25及び端子側接続部22と同じ側の収容空間33R内に配されている。この構成によれば、一対のコンデンサ30とアース側接続部25との距離が短くなるので、一対のコンデンサ30がコイル26を挟んでアース側接続部25とは反対側に配置されている場合に比べると、リード線32の長さを短くすることができる。リード線32は、コイル26の導線28に比べて線径が細く折損し易いので、リード線32が短くなることは、折損回避の点で有効である。
【0031】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を
図4〜
図6を参照して説明する。本実施例2のフィルタ素子内蔵コネクタB1,B2,B3は、コイル34を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。本実施例2で使用するコイル34は、軸線34Aを前後方向に向けた円柱形のコア35の外周に、1本の導線36を螺旋状に巻き付けて構成されている。導体は、コア35の一方の端部から巻き始め、他方の端部で巻き終わるように一重巻きされたものである。つまり、導線36の巻き方が実施例1のコイル26と異なっている。
【0032】
図4に示すフィルタ素子内蔵コネクタB1は、端子金具20、アース部材23、コンデンサ30の配置、及びこれらの接続形態に関して、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1(
図1を参照)と同一であり、相違するのは、コイル34の導線36における一方の端部の長さと配索経路である。
図5に示すフィルタ素子内蔵コネクタB2は、端子金具20、アース部材23、コンデンサ30の配置、及びこれらの接続形態に関して、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA2(
図2を参照)と同一であり、相違するのは、コイル34の導線36における一方の端部の長さと配索経路である。
図6に示すフィルタ素子内蔵コネクタB3は、端子金具20、アース部材23、コンデンサ30の配置、及びこれらの接続形態に関して、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA3(
図3を参照)と同一であり、相違するのは、コイル34の導線36における一方の端部の長さと配索経路である。
【0033】
<実施例3>
以下、本発明を具体化した実施例3を
図7〜
図9を参照して説明する。本実施例3のフィルタ素子内蔵コネクタC1,C2,C3は、合成樹脂製のハウジング40と、一対の端子金具50と、アース部材53と、1つのコイル26(請求項に記載のフィルタ素子)と、一対のコンデンサ30(請求項に記載のフィルタ素子)とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後方向については
図7〜9における右側を前側と定義し、左右方向については
図7〜9における下側を右側と定義する。
【0034】
<ハウジング40>
ハウジング40は、平面視略方形をなす底壁部42と、底壁部42の外周縁から上方へ立ち上がる周壁部43とを有する箱形部材41と、箱形部材41の上面の開口部を塞ぐ蓋部材(図示省略)とを組み付けて構成されている。底壁部42と周壁部43で囲まれた空間は、収容凹部47となっている。周壁部43は、前壁部44と、左右両側壁部45と、後壁部46とによって構成されている。箱形部材41には、前壁部44の外周縁から前方へ延出した角筒状をなす前部フード部48Fと、後壁部46の外周縁から後方へ延出した角筒状をなす後部フード部48Rとが一体に形成されている。
【0035】
前壁部44には、前後方向に貫通した形態の前右取付孔49FR(請求項に記載の取付部)と前中取付孔49FC(請求項に記載の取付部)と前左取付孔49FL(請求項に記載の取付部)とが形成されている。前右取付孔49FRと前左取付孔49FLは、左右対称に配置され、前中取付孔49FCは左右方向中央に配置されている。後壁部46には、前後方向に貫通した形態の後取付孔49R(請求項に記載の取付部)が形成されている。後取付孔49Rは、左右方向における中央位置に配置されている。
【0036】
<端子金具50>
端子金具50は、全体として細長い金属板材からなる。端子金具50は、ハウジング40に取り付けた状態において前後方向に細長い端子側タブ51と、端子側タブ51の基端部から左右両方向へ対称に突出した端子側接続部52とから構成されている。端子金具50は、前右取付孔49FRと前中取付孔49FCと前左取付孔49FLと後取付孔49Rの4つの取付孔のいずれに対しても、自由に選択して取り付けることができる。
【0037】
取付けに際しては、収容凹部47側から端子側タブ51を取付孔49FC,49FL,49FR,49Rに圧入する。端子金具50が取り付けられた状態では、端子側タブ51がフード部48F,48R内に配置され、端子側接続部52が収容凹部47内に配置される。端子側タブ51の先端部は、フード部48F,48R内においてノイズ除去対象回路(図示省略)を構成する相手側端子(図示省略)に接続されるようになっている。端子側接続部52には、後述するコイル26とコンデンサ30のリード線32が接続されるようになっている。
【0038】
<アース部材53>
アース部材53は、金属板材を曲げ加工して成形されたものである。アース部材53は、ハウジング40に取り付けた状態において前後方向に細長いアース側タブ54と、アース側タブ54の基端部から下方へ延出する脚部55と、脚部55の下端部からアース側タブ54とは反対方向へ延出したアース側接続部56とから構成されている。アース側接続部56は、アース側タブ54よりも幅広であり、ハウジング40に取り付けた状態における平面視形状は略方形である。アース部材53は、端子金具50と同様、前右取付孔49FRと前中取付孔49FCと前左取付孔49FLと後取付孔49Rのいずれに対しても自由に選択して取り付けることができる。
【0039】
取付けに際しては、収容凹部47側からアース側タブ54を取付孔49FC,49FL,49FR,49Rに圧入する。アース部材53が取り付けられた状態では、アース側タブ54がフード部48F,48R内に配置され、アース側接続部56が収容凹部47内に配置される。アース側タブ54の先端部は、フード部48F,48R内において図示しないアース回路を構成する相手側端子(図示省略)に接続され、自動車のボディ等の接地部(図示省略)に接続されるようになっている。アース側接続部56は、底壁部42の上面に沿うように配されている。アース側端子部の形成領域は、平面視において収容凹部47(底壁部42)の広い範囲に亘っている。アース側接続部56には、コンデンサ30のリード線32が接続されるようになっている。
【0040】
<コイル26>
コイル26は、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3で用いたものと同じ部品である。即ち、軸線26Aを前後方向に向けた円柱形のコア27の外周に、1本の導線28を螺旋状に巻き付けて構成されている。導体は、コア27の一方の端部から巻き始め、他方の端部で折り返し、一方の端部で巻き終わるように二重巻きされている。コイル26は、収容凹部47内、つまり端子側接続部52及びアース側接続部56が収容される空間と同じ空間内に配置されるようになっている。導線28の両端部のうち一方の端部は、半田29により、一対の端子金具50のうち一方の端子金具50の端子側接続部52に接続されるようになっている。導線28の他方の端部は、半田29により他方の端子金具50の端子側接続部52に接続されるようになっている。
【0041】
<コンデンサ30>
コンデンサ30は、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3で用いたものと同じ部品である。即ち、コンデンサ本体31と、コンデンサ本体31の上面から導出された一対のリード線32とを備えて構成されている。一対のコンデンサ30は、収容凹部47内、つまり端子側接続部52、アース側接続部56及びコイル26が収容される空間と同じ空間内に配置されるようになっている。一対のリード線32のうち一方のリード線32は、半田29(溶接)によりアース部材53のアース側接続部56に接続されるようになっている。他方のリード線32は、半田29により端子金具50の端子側接続部52に接続されるようになっている。
【0042】
上記のようにアース部材53と端子金具50に接続されたコイル26と2つのコンデンサ30は、π型のフィルタ回路を構成し、端子金具50に接続されたノイズ除去対象回路のノイズを効果的に除去するフィルタとしての機能を発揮する。
【0043】
<フィルタ素子内蔵コネクタC1,C2,C3の組付け形態>
図7に示すフィルタ素子内蔵コネクタC1は、一方の端子金具50を前右取付孔49FRに取り付け、他方の端子金具50を前左取付孔49FLに取り付け、アース部材53を前中取付孔49FCに取り付けている。つまり、一対の端子金具50は、アース部材53を挟むように左右対称に並んだ状態でハウジング40の前端部に配置されている。つまり、前部フード部48F内では、一対の端子側タブ51とアース側タブ54が左右に並列配置されている。
【0044】
コイル26は、軸線26Aを前後方向に向けて左右方向中央位置に配置され、コイル26の前端部から導出された一対の導線28の端部が、一対の端子側接続部52に接続されている。アース部材53の板状をなすアース側接続部56の左右両側縁部は、平面視においてコイル26の外方(左右両側方)において露出している。一対のコンデンサ30は、コイル26とアース側接続部56を左右両側から挟むように配置されている。両コンデンサ30における前側のリード線32は一対の端子側接続部52に接続されている。両コンデンサ30における後側のリード線32は、アース側接続部56の左右両側縁部に接続されている。
【0045】
図8に示すフィルタ素子内蔵コネクタC2は、アース部材53を後取付孔49Rに取り付けたという点を除き、その他の部材の配置等が
図7のフィルタ素子内蔵コネクタC1と同一となっている。アース部材53を後取付孔49Rに取り付けた状態でも、アース側接続部56の左右両側縁部は、平面視においてコイル26の外方(左右両側方)において露出している。したがって、コンデンサ30のリード線32は、
図7に示すフィルタ素子内蔵コネクタC1とほぼ同様の形態でアース側接続部56に接続されている。
【0046】
図9に示すフィルタ素子内蔵コネクタC3は、次の点が
図7のフィルタ素子内蔵コネクタC1と相違している。まず、前右取付孔49FRに取り付けられていた端子金具50を、後取付孔49Rに取り付けている。したがって、ハウジング40の前端部では、アース部材53と端子金具50が並ぶように配置され、ハウジング40の後端部では1つの端子金具50が配置されている。そして、コイル26の軸線26Aの向きを、前後方向から左右方向へ変更し、導線28の両端部がコイル26の左端部から導出するようにしている。また、右側のコンデンサ30に関しては、前側のリード線32をアース側接続部56に接続し、後側のリード線32を後取付孔49Rに取り付けた端子金具50の端子側接続部52に接続している。
【0047】
<実施例3の作用、効果>
本実施例3のフィルタ素子内蔵コネクタC1,C2,C3は、底壁部42と、底壁部42から立ち上がる周壁部43を有するハウジング40と、ハウジング40内に収容されたコイル26及びコンデンサ30と、コイル26及びコンデンサ30に接続された一対の端子金具50と、コンデンサ30に接続されたアース部材53とを備えており、周壁部43には、一対の端子金具50を選択的に取り付けることが可能な取付孔49FC,49FL,49FR,49Rが、4箇所に形成されている。
【0048】
一対の端子金具50は、4箇所の取付孔49FC,49FL,49FR,49Rのうち選択した2箇所の取付孔49FC,49FL,49FR,49Rに取り付けることができる。即ち、一対の端子金具50を取り付ける取付孔49FC,49FL,49FR,49Rの選択の仕方を変えることにより、一対の端子金具50相互間の位置関係と、一対の端子金具50とアース部材53との位置関係を、任意の形態に設定することができる。したがって、ハウジング40と端子金具50の種類数を増やすことなく、アース部材53と一対の端子金具50の位置関係を複数の形態に設定することができる。しかも、アース部材53が、端子金具50を取り付けるための取付孔49FC,49FL,49FR,49Rに対して選択的に取り付けることが可能となっている。したがって、アース部材53と端子金具50との位置関係に関して、設定の自由度が更に高くなっている。
【0049】
また、アース部材53は、コンデンサ30のリード線32と接続可能であって、底壁部42に沿うように配された板状をなすアース側接続部56を有しており、平面視において(底壁部42を正対視したときに)、アース側接続部56の周縁部の少なくとも一部が、コイル26の形成領域の外部に張り出した形態となっている。したがって、コンデンサ30がどのような位置に配置されていても、アース側接続部56に接続されるリード線32の長さを短くすることができる。コンデンサ30のリード線32は比較的細いので、リード線32を短くすることは折損回避のために有効な手段である。
【0050】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例2を
図10〜
図12を参照して説明する。本実施例4のフィルタ素子内蔵コネクタD1,D2,D3は、コイル34を上記実施例3とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例3と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0051】
本実施例4で使用するコイル34は、実施例2のフィルタ素子内蔵コネクタB1,B2,B3で使用したものと同じものである。即ち、軸線34Aを前後方向に向けた円柱形のコア35の外周に、1本の導線36を螺旋状に巻き付けて構成されている。導線36は、コア35の一方の端部から巻き始め、他方の端部で巻き終わるように一重巻きされたものである。つまり、導線36の巻き方が実施例3と異なっている。
【0052】
本実施例4におけるフィルタ素子内蔵コネクタD1,D2,D3の組付け形態のうち
図10に示すフィルタ素子内蔵コネクタD1は、一対の端子金具50、アース部材53、コンデンサ30の配置、及びこれらの接続形態に関して、実施例3のフィルタ素子内蔵コネクタC1(
図7を参照)と同一である。相違するのは、コイル34の軸線34Aの向きが前後方向から左右方向に変更された点と、コイル34の導線36の配索経路である。
【0053】
図11に示すフィルタ素子内蔵コネクタD2は、端子金具50、アース部材53、コンデンサ30の配置、及びこれらの接続形態に関して、実施例3のフィルタ素子内蔵コネクタC2(
図8を参照)と同一である。相違するのは、コイル34の軸線34Aの向きが前後方向から左右方向に変更された点と、コイル34の導線36の配索経路である。
【0054】
図12に示すフィルタ素子内蔵コネクタD3は、端子金具50、アース部材53、コンデンサ30の配置、コイル34の軸線34Aの向き、及びこれらの接続形態に関して、実施例3のフィルタ素子内蔵コネクタC3(
図9を参照)と同一である。相違するのは、後取付孔49Rに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続される導線36の配索長さと配索経路である。
【0055】
<実施例5>
次に、本発明を具体化した実施例5を
図13〜
図16を参照して説明する。本実施例5のフィルタ素子内蔵コネクタE1,E2,E3,E4は、合成樹脂製のハウジング60と、一対の端子金具50と、アース部材72と、1つのコイル26(請求項に記載のフィルタ素子)と、一対のコンデンサ30(請求項に記載のフィルタ素子)とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後方向については
図13〜16における右側を前側と定義し、左右方向については
図13〜16における下側を右側と定義する。
【0056】
<ハウジング60>
ハウジング60は、平面視略方形をなす底壁部62と、底壁部62の外周縁から上方へ立ち上がる周壁部63とを有する箱形部材61と、箱形部材61の上面の開口部を塞ぐ蓋部材(図示省略)とを組み付けて構成されている。底壁部62と周壁部63で囲まれた空間は、収容凹部67となっている。周壁部63は、前壁部64と、左右両側壁部65と、後壁部66とによって構成されている。箱形部材61には、右側壁部65の外周縁から右方へ延出した角筒状をなす右部フード部68Rと、左側壁部65の外周縁から左方へ延出した角筒状をなす左部フード部68Lと、後壁部66の外周縁から後方へ延出した角筒状をなす後部フード部69とが一体に形成されている。
【0057】
右側壁部65には、左右方向に貫通した形態の右前取付孔70RF(請求項に記載の取付部)と右中取付孔70RC(請求項に記載の取付部)と右後取付孔70RR(請求項に記載の取付部)とが形成されている。左側壁部65には、左右方向に貫通した形態の左前取付孔70LF(請求項に記載の取付部)と左中取付孔70LC(請求項に記載の取付部)と左後取付孔70LR(請求項に記載の取付部)とが形成されている。後壁部66には、前後方向に貫通した形態の後右取付孔71R(請求項に記載の取付部)と後中取付孔71C(請求項に記載の取付部)と後左取付孔71L(請求項に記載の取付部)とが形成されている。
【0058】
<端子金具50>
端子金具50は、実施例3のフィルタ素子内蔵コネクタC1,C2,C3で用いたものと同じ部品である。即ち、端子金具50は、全体として細長い金属板材からなり、ハウジング60に取り付けた状態において前後方向又は左右方向に細長い端子側タブ51と、端子側タブ51の基端部から略直角な方向へ対称に突出した端子側接続部52とから構成されている。端子金具50は、9つの取付孔70LC,70LF,70LR,70RC,70RL,70RR,71C,71L,71Rのいずれに対しても、自由に選択して取り付けることができる。
【0059】
取付けに際しては、収容凹部67側から端子側タブ51を取付孔70LC,70LF,70LR,70RC,70RL,70RR,71C,71L,71Rに圧入する。端子金具50が取り付けられた状態では、端子側タブ51がフード部68L,68R,69内に配置され、端子側接続部52が収容凹部67内に配置される。端子側タブ51の先端部は、フード部68L,68R,69内においてノイズ除去対象回路(図示省略)を構成する相手側端子(図示省略)に接続されるようになっている。端子側接続部52には、後述するコイル26とコンデンサ30のリード線32が接続されるようになっている。
【0060】
<アース部材72>
アース部材72は、端子金具50とは形状も大きさも異なる部品である。アース部材72は、全体として平面視形状が前後方向に長い方形をなし、ハウジング60に対しインサート成形等により一体化された状態で取り付けられている。アース部材72の前端側部分は、ハウジング60の前壁部64よりも前方へ露出した接地用取付部73となっている。接地用取付部73には、ボルトとナットとから構成される締結部材(図示省略)の雄ネジ部を貫通させるためのネジ孔74が形成されている。接地用取付部73は、締結部材により、自動車のボディ等の接地部(図示省略)に接続されるようになっている。
【0061】
アース部材72の後端側部分は、アース側接続部75となっている。アース側接続部75は、底壁部62の上面に沿うように配されている。アース側端子部の形成領域は、平面視において収容凹部67(底壁部62)のほぼ全領域に亘っている。アース側接続部75には、コンデンサ30のリード線32が接続されるようになっている。
【0062】
<コイル26>
コイル26は、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3で用いたものと同じ部品である。即ち、軸線を前後方向に向けた円柱形のコア27の外周に、1本の導線28を螺旋状に巻き付けて構成されている。導体は、コア27の一方の端部から巻き始め、他方の端部で折り返し、一方の端部で巻き終わるように二重巻きされている。コイル26は、収容凹部67内、つまり端子側接続部52及びアース側接続部75が収容される空間と同じ空間内に配置されるようになっている。導線28の両端部のうち一方の端部は、半田29により、一対の端子金具50のうち一方の端子金具50の端子側接続部52に接続されるようになっている。導線28の他方の端部は、半田29により他方の端子金具50の端子側接続部52に接続されるようになっている。
【0063】
<コンデンサ30>
コンデンサ30は、実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタA1,A2,A3で用いたものと同じ部品である。即ち、コンデンサ本体31と、コンデンサ本体31の上面から導出された一対のリード線32とを備えて構成されている。一対のコンデンサ30は、収容凹部67内、つまり端子側接続部52、アース側接続部75及びコイル26が収容される空間と同じ空間内に配置されるようになっている。一対のリード線32のうち一方のリード線32は、半田29(溶接)によりアース部材72のアース側接続部75に接続されるようになっている。他方のリード線32は、半田29により端子金具50の端子側接続部52に接続されるようになっている。
【0064】
上記のようにアース部材72と端子金具50に接続されたコイル26と2つのコンデンサ30は、π型のフィルタ回路を構成し、端子金具50に接続されたノイズ除去対象回路のノイズを効果的に除去するフィルタとしての機能を発揮する。
【0065】
<フィルタ素子内蔵コネクタE1,E2,E3,E4の組付け形態>
図13に示すフィルタ素子内蔵コネクタE1は、一方の端子金具50を右後取付孔70RRに取り付け、他方の端子金具50を左前取付孔70LFに取り付けている。つまり、一対の端子金具50は、平面視において対角状に配置されている。コイル26は、軸線を左右方向に向けて収容凹部67の中央に配置されている。コイル26の左端部から導出された一対の導線28の端部は、一対の端子側接続部52に接続されている。一対のコンデンサ30は、コイル26を前後両側から挟むように配置されている。
【0066】
前側に配置されたコンデンサ30における右側のリード線32はアース側接続部75に接続され、左側のリード線32は左前取付孔70LFに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。後側に配置されたコンデンサ30における左側のリード線32はアース側接続部75に接続され、右側のリード線32は右後取付孔70RRに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。
【0067】
図14に示すフィルタ素子内蔵コネクタE2は、一方の端子金具50を左前取付孔70LFに取り付け、他方の端子金具50を左中取付孔70LCに取り付けている。つまり、一対の端子金具50は、ハウジング60の左側縁部において前後に並ぶように配置されている。コイル26と一対のコンデンサ30は、上記フィルタ素子内蔵コネクタE1と同じ位置関係で配置されている。コイル26の前端部から導出された一対の導線28のうち一方の端部は、左前取付孔70LFに取り付けた端子金具50の端子側接続部52に接続され、他方の端部は、左中取付孔70LCに取り付けた端子金具50の端子側接続部52に接続されている。
【0068】
前側に配置されたコンデンサ30における右側のリード線32はアース側接続部75に接続され、左側のリード線32は左前取付孔70LFに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。後側に配置されたコンデンサ30における右側のリード線32はアース側接続部75に接続され、左側のリード線32は左中取付孔70LCに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。
【0069】
図15に示すフィルタ素子内蔵コネクタE3は、一方の端子金具50を右中取付孔70RCに取り付け、他方の端子金具50を左中取付孔70LCに取り付けている。つまり、一対の端子金具50は、平面視において左右対称に配置されている。コイル26は、軸線を前後方向に向けて収容凹部67の中央に配置されている。コイル26の後端部から導出された一対の導線28の端部は、一対の端子側接続部52に接続されている。一対のコンデンサ30は、コイル26を前後両側から挟むように配置されている。
【0070】
前側に配置されたコンデンサ30における左側のリード線32はアース側接続部75に接続され、右側のリード線32は右中取付孔70RCに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。後側に配置されたコンデンサ30における右側のリード線32はアース側接続部75に接続され、左側のリード線32は左中取付孔70LCに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。
【0071】
図16に示すフィルタ素子内蔵コネクタE4は、一方の端子金具50を後右取付孔71Rに取り付け、他方の端子金具50を後左取付孔71Lに取り付けている。つまり、一対の端子金具50は、平面視においてハウジング60の後端部において左右に並ぶように配置されている。コイル26は、軸線を前後方向に向けて収容凹部67の中央に配置されている。コイル26の後端部から導出された一対の導線28の端部が、一対の端子側接続部52に接続されている。一対のコンデンサ30は、コイル26を左右両側から挟むように配置されている。
【0072】
右側に配置されたコンデンサ30における前側のリード線32はアース側接続部75に接続され、後側のリード線32は後右取付孔71Rに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。左側に配置されたコンデンサ30における前側のリード線32はアース側接続部75に接続され、後側のリード線32は後左取付孔71Lに取り付けられている端子金具50の端子側接続部52に接続されている。
【0073】
<実施例5の作用、効果>
本実施例5のフィルタ素子内蔵コネクタE1,E2,E3,E4は、底壁部62と、底壁部62から立ち上がる周壁部63を有するハウジング60と、ハウジング60内に収容されたコイル26及びコンデンサ30と、コイル26及びコンデンサ30に接続された一対の端子金具50と、コンデンサ30に接続されたアース部材72とを備えており、周壁部63には、一対の端子金具50を選択的に取り付けることが可能な取付孔70LC,70LF,70LR,70RC,70RL,70RR,71C,71L,71Rが、9箇所に形成されている。
【0074】
一対の端子金具50は、9箇所の取付孔70LC,70LF,70LR,70RC,70RL,70RR,71C,71L,71Rのうち選択した2箇所に取り付けることができる。即ち、一対の端子金具50を取り付ける取付孔70LC,70LF,70LR,70RC,70RL,70RR,71C,71L,71Rの選択の仕方を変えることにより、一対の端子金具50相互間の位置関係と、一対の端子金具50とアース部材72との位置関係を、任意の形態に設定することができる。端子金具50の取付け形態は、上記フィルタ素子内蔵コネクタE1,E2,E3,E4以外の形態が可能である。したがって、ハウジング60と端子金具50の種類数を増やすことなく、アース部材72と一対の端子金具50の位置関係を複数の形態に設定することができる。
【0075】
また、アース部材72は、コンデンサ30のリード線32と接続可能であって、底壁部62に沿うような板状をなアース側接続部75を有している。このアース側接続部75は、底壁部62の広い範囲(つまり、底壁部62のほぼ全領域)に亘って存在している。つまり、平面視において(底壁部62を正対視したときに)、アース側接続部75の周縁部のほぼ全領域が、コイル26の形成領域の外部に張り出した形態となっている。したがって、コンデンサ30がどのような位置に配置されていても、アース側接続部75に接続されるリード線32の長さを短くすることができる。コンデンサ30のリード線32は比較的細いので、リード線32を短くすることは折損回避のために有効な手段である。
【0076】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1〜5では、2つのコンデンサと1つのコイルによりπ形のフィルタ回路が構成されているが、本発明は、フィルタ回路が、1つのコンデンサと1つのコイルで構成されている場合や、コイルを設けずに1つのコンデンサだけで構成されている場合や、コイルを設けずに2つのコンデンサだけで構成されている場合にも適用できる。
(2)上記実施例1〜4では、取付部を、ハウジングの前壁部と後壁部のみに形成したが、取付部は、少なくともいずれか一方の側壁部を含む異なる2つ以上の壁部に形成することができる。即ち、前壁部と後壁部と側壁部に取付部を形成する形態、前壁部と側壁部のみに取付部を形成する形態、後壁部と側壁部のみに取付部を形成する形態、左右両側壁部のみに取付部を形成する形態とすることが可能である。
(3)アース部材をハウジングに対して固定して設けた実施例5において、左右両側壁部と後壁部に形成する取付部の数は、2つでもよく、1つでもよく、また、いずれかの壁部に取付部を形成しない形態としてもよい。
(4)実施例1,2の
図3,6に示すように、コイルの軸線を境としてハウジング内を2つの収容空間に分割したときに、一対の端子側接続部を同じ収容空間内に配置する形態は、実施例3〜5にも適用できる。
(5)実施例1,2の
図3,6に示すように、コイルの軸線を境としてハウジング内を2つの収容空間に分割したときに、一対のコンデンサを同じ収容空間内に配置する形態は、実施例3〜5にも適用できる。
(6)上記実施例1〜5では、ハウジングに端子金具の取り付けるための取付部を孔状(取付孔)としたが、取付部は溝状であってもよい。
(7)上記実施例5において、実施例2,4で使用されている形態(導線を一重巻きとして、導線の両端部をコアの両端部から導出させる形態)のコイルを適用してもよい。