【解決手段】スイッチ回路100は、入力端子INと出力端子OUTの間の導通、遮断が切りかえ可能である。第1トランジスタM1は、PチャンネルMOSFETであり、入力端子INと出力端子OUTの間に設けられる。第2トランジスタM2は、PチャンネルMOSFETであり、第1電極E1が入力端子INと接続され、ゲートが第1トランジスタM1のゲートと接続され、ゲートと第2電極E2の間が結線される。抵抗R1は、第2トランジスタM2の第2電極E2と接地ラインの間に設けられる。
前記第1トランジスタのゲートと前記第2トランジスタのゲートの間に設けられ、前記第1トランジスタのゲートに前記第2トランジスタのゲート電圧を供給する第1状態と、前記第1トランジスタのゲートに接地ラインの電圧を供給する第2状態と、が切りかえ可能なゲートコントローラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
前記ゲートコントローラは、前記入力端子の電圧と前記出力端子の電圧の電位差が所定値より小さくなると、前記第2状態となることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ回路。
前記入力端子と前記接地ラインの間に、前記第2トランジスタおよび前記抵抗と直列に設けられたシャントスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のスイッチ回路。
前記ゲートコントローラは、前記DC入力端子に前記DC電圧が供給されるときに、前記第1トランジスタのゲート電圧を調節する充電コントローラを含むことを特徴とする請求項12に記載の充電回路。
前記ゲートコントローラは、前記DC入力端子に前記DC電圧が供給されないときに、前記第1トランジスタのゲートに前記第2トランジスタのゲート電圧を供給する第1状態と、前記第1トランジスタのゲートに接地ラインの電圧を供給する第2状態と、が切りかえ可能に構成されることを特徴とする請求項12または13に記載の充電回路。
前記ゲートコントローラは、前記DC入力端子に前記DC電圧が供給されないときに、前記電池端子の電圧と前記システム端子の電圧が実質的に等しくなると、前記第2状態にセットされることを特徴とする請求項14に記載の充電回路。
前記電池端子と前記接地ラインの間に、前記第2トランジスタおよび前記抵抗と直列に設けられ、前記DC電源により前記二次電池を充電中にオフ状態となるシャントスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項14または15に記載の充電回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、
図1のスイッチ回路100rについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。電池20が着脱可能なバッテリパックである場合について考える。電池20が外された状態では、OUT端子に接続されるキャパシタC1は放電されており、出力電圧V
OUTはゼロとなっている。ゲート電圧コントローラ104rが第1状態φ1のときに、電池20が装着されると、電池20からキャパシタC1に電流が流れ、キャパシタC1が充電され、出力電圧V
OUTが電池電圧V
BAT付近まで増大する。
【0007】
ここでスイッチ回路100rの損失を低減するために、トランジスタM1のオン抵抗は数十mΩ程度に設計される場合が多い。したがって電池20の装着時にトランジスタM1がフルオンしていると、電池20からキャパシタC1にラッシュ電流が流れるという問題がある。
【0008】
従来のスイッチ回路100rでは、ラッシュ電流が流れても信頼性が低下しないように、トランジスタM1のトランジスタサイズ、素子間の配線幅、あるいはボンディングワイヤの本数を決定する必要がある。しかしながら、ラッシュ電流は、電池20の内部抵抗、電池20とバッテリホルダの接触抵抗などの影響を受けるところ、これらは未知あるいは予測不能である場合が多いため、スイッチ回路100rにおけるトランジスタM1のトランジスタサイズ、素子間の配線幅、あるいはボンディングワイヤの本数は過大なマージンを考慮して設計する必要があり、最適化設計されているとは言い難い。
【0009】
本発明は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ラッシュ電流を抑制可能なスイッチ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、スイッチ回路に関する。スイッチ回路は、直流電源からの入力電圧を受ける入力端子と、出力端子と、入力端子と出力端子の間に設けられたPチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の第1トランジスタと、第1電極が入力端子と接続され、ゲートが第1トランジスタのゲートと接続され、ゲートと第2電極の間が結線されたPチャンネルMOSFETである第2トランジスタと、第2トランジスタの第2電極と接地ラインの間に設けられた抵抗と、を備える。
【0011】
入力端子に入力電圧が供給されると、第2トランジスタに流れる電流が徐々に増大していく。第2トランジスタと第1トランジスタは、ゲート同士、ソース同士が共通に接続されているため、第1トランジスタに流れる電流は、第2トランジスタに流れる電流に比例して徐々に増大する。これにより、第1トランジスタにラッシュ電流が流れるのを防止できる。
【0012】
ある態様のスイッチ回路は、第1トランジスタのゲートと第2トランジスタのゲートの間に設けられたゲートコントローラをさらに備えてもよい。ゲートコントローラは、第1トランジスタのゲートに第2トランジスタのゲート電圧を供給する第1状態と、第1トランジスタのゲートに接地ラインの電圧を供給する第2状態と、が切りかえ可能であってもよい。
ラッシュ電流が発生するおそれが低下した後に第2状態とすることで、第1トランジスタをフルオンしてオン抵抗を最小とし、電力損失を低減できる。
【0013】
ゲートコントローラは、入力端子の電圧と出力端子の電圧の電位差が所定値より小さくなると、言い換えれば入力端子の電圧と出力端子の電圧が実質的に等しくなると、第2状態となってもよい。
入力端子の電圧と出力端子の電圧の電位差が小さくなるとラッシュ電流のおそれが低下する。この態様によれば、ラッシュ電流を抑制しつつ、電力損失を低減できる。
【0014】
ゲートコントローラは、第2トランジスタのゲートに、入力端子の電圧を供給可能に構成されてもよい。
第2トランジスタのゲートに入力端子の電圧を与えておくことで、第2トランジスタおよび第1トランジスタをオフすることができる。つまり電池が接続された直後に、第1トランジスタ、第2トランジスタがオフ状態から徐々にオンさせることが可能となり、ラッシュ電流をより抑制できる。
【0015】
ある態様のスイッチ回路は、入力端子と接地ラインの間に、第2トランジスタおよび抵抗と直列に設けられたシャントスイッチをさらに備えてもよい。
シャントスイッチを設けることで、そのオフ状態において入力端子から接地ラインに流れる電流を遮断でき、無駄な電流を低減できる。
【0016】
シャントスイッチは、第1状態においてオン、第2状態においてオフであってもよい。これにより、第1トランジスタがフルオン状態となった後には、第2トランジスタを経由する電流を遮断できる。
【0017】
スイッチ回路は、第1トランジスタのバックゲートと第1電極の間に設けられた第1バックゲートスイッチと、第1トランジスタのバックゲートと第2電極の間に設けられた第2バックゲートスイッチと、第1バックゲートスイッチおよび第2バックゲートスイッチを制御するバックゲートコントローラと、をさらに備えてもよい。
【0018】
これにより、入力端子の電圧の方が高い場合のみでなく、出力端子の電圧の方が高い場合においても、入力端子と出力端子の間の導通、遮断を制御可能となり、スイッチ回路の用途を広げることができる。
【0019】
スイッチ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0020】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、上述のいずれかのスイッチ回路を備える。
【0021】
本発明の別の態様は、外部DC電源により二次電池を充電するとともに、負荷に電力を供給する充電回路に関する。充電回路は、DC電源からのDC電圧を受けるDC入力端子と、二次電池が着脱可能に接続される電池端子と、平滑キャパシタが接続されるシステム端子と、第1電極が電池端子と接続されたPチャンネルMOSFETである第1トランジスタと、第1電極が電池端子と接続され、ゲートが第1トランジスタのゲートと接続されたPチャンネルMOSFETである第2トランジスタと、第2トランジスタの第2電極と接地ラインの間に設けられた抵抗と、第1電極がシステム端子と接続され、第2電極が第1トランジスタの第2電極と接続されたPチャンネルMOSFETである第3トランジスタと、第1トランジスタから第3トランジスタのゲート電圧を制御するゲートコントローラと、システム端子とDC入力端子の間に設けられ、DC入力端子にDC電圧が供給されるとき導通状態となるDC入力スイッチと、第1トランジスタのバックゲートと第1電極の間に設けられた第1バックゲートスイッチと、第1トランジスタのバックゲートと第2電極の間に設けられた第2バックゲートスイッチと、第1バックゲートスイッチおよび第2バックゲートスイッチを制御するバックゲートコントローラと、を備える。
【0022】
ゲートコントローラは、DC入力端子にDC電圧が供給されるときに、第1トランジスタおよび第3トランジスタのゲート電圧を調節する充電コントローラを含んでもよい。
【0023】
ゲートコントローラは、第1トランジスタのゲートと第2トランジスタのゲートの間に設けられ、第1トランジスタのゲートに第2トランジスタのゲート電圧を供給する第1状態と、第1トランジスタのゲートに接地ラインの電圧を供給する第2状態と、が切りかえ可能に構成されてもよい。
【0024】
ゲートコントローラは、電池端子の電圧とシステム端子の電圧が実質的に等しくなると、第2状態にセットされてもよい。
【0025】
充電回路は、電池端子と接地ラインの間に、第2トランジスタおよび抵抗と直列に設けられ、DC電源により二次電池を充電中にオフ状態となるシャントスイッチをさらに備えてもよい。
シャントスイッチは、第1状態においてオン、第2状態においてオフであってもよい。
【0026】
充電回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
【0027】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は、二次電池と、二次電池を充電する上述のいずれかの充電回路と、を備える。
【0028】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ラッシュ電流を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0032】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0033】
図2は、実施の形態に係るスイッチ回路100の回路図である。スイッチ回路100は、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2および抵抗R1を備える。IN端子には、直流電源、たとえば電池20からの入力電圧V
INが入力される。電池20は、IN端子に対して着脱可能である。出力端子OUTには、平滑化用のキャパシタC1および図示しない負荷が接続される。接地(GND)端子は接地される。スイッチ回路100は、ひとつの半導体基板に集積化されている。
【0034】
第1トランジスタM1は、PチャンネルMOSFETであり、IN端子とOUT端子の間に設けられる。第1トランジスタM1の第1電極E1(ソース)はIN端子と接続され、その第2電極(ドレイン)E2はOUT端子と接続される。第1トランジスタM1のバックゲートは、IN端子と接続される。
【0035】
第2トランジスタM2は、第1トランジスタM1と同型、すなわちPチャンネルMOSFETであり、その第1電極E1(ソース)はIN端子と接続され、その制御電極(ゲート)は第1トランジスタM1のゲートと接続される。抵抗R1は、第2トランジスタM2の第2電極E2(ドレイン)と接地ライン102の間に設けられる。接地ライン102は、GND端子を介して接地される。第2トランジスタM2のゲートは、そのドレインと結線される。
【0036】
第1トランジスタM1と第2トランジスタM2のトランジスタサイズは、N:1(N>1)となるように設計される。このとき、第1トランジスタM1に流れる電流I
OUTと第2トランジスタM2に流れる電流I
Sは、N:1の関係が成り立つ。
【0037】
たとえばNは、第2トランジスタM2に流れる電流I
Sが数十μAのオーダーとなるように決定すればよい。定格が300mAであるとき、N=10000としてもよい。この場合、電流I
S=300mA/10000=30μAとなる。
【0038】
また抵抗R1の抵抗値は、(V
BAT−V
GS)/R1が数十μAのオーダーとなるように決定される。V
GSはMOSFETのゲートソース間電圧である。たとえばV
BAT=3.5V、V
GS=0.5Vとすると、R1は数十kΩ〜数百kΩとなる。
【0039】
以上がスイッチ回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、
図2のスイッチ回路100の動作波形図である。時刻t0より前に、電池20は取り外されており、入力電圧V
INはゼロ(接地電圧V
GND)となっており、出力電圧V
OUTもゼロである。また第1トランジスタM1および第2トランジスタM2のゲートは、抵抗R1によって接地電圧V
GNDにプルダウンされており、したがってそれらのゲート電圧V
Gはゼロである。
【0040】
時刻t0に、電池20が装着される。電池20が装着されると入力電圧V
INは直ちに、電池電圧V
BATまで上昇する。第1トランジスタM1および第2トランジスタM2のゲートソース間電圧V
GSはV
IN−V
Gであり、時刻t0にV
IN=V
BATとなると、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2はターンオンする。
【0041】
第2トランジスタM2がターンオンすると、電流I
Sが流れはじめ、時間とともに緩やかに増大する。電流I
Sが増大すると、抵抗R1の電圧降下が増大し、したがって第2トランジスタM2のゲート電圧V
Gも増大していく。ゲート電圧V
Gが増大すると、第2トランジスタM2のゲートソース間電圧V
GSが小さくなり、電流I
Sが小さくなるように負帰還が返る。やがて電流I
Sは、ある電流量I
CLでクランプされる。
I
CL=(V
BAT−V
GS)/R1
【0042】
第1トランジスタM1と第2トランジスタM2はゲートソース間電圧が等しいため、第1トランジスタM1には第2トランジスタM2の電流I
Sに比例した電流I
OUT=N×I
Sが流れる。
【0043】
キャパシタC1が第1トランジスタM1の電流I
OUTにより充電されることにより、出力電圧V
OUTが増大する。やがてV
OUT≒V
BATとなると、第1トランジスタM1のドレインソース間電圧が実質的に等しくなり、電流I
OUTはゼロとなる。
【0044】
以上がスイッチ回路100の動作である。スイッチ回路100の利点は、
図1のスイッチ回路100rとの対比により明確となる。
図3には比較のために、
図1のスイッチ回路100rの動作が一点鎖線で示される。スイッチ回路100rでは、トランジスタM1のゲート電圧V
Gは0Vに固定されており、常時、フルオンとなる。したがってトランジスタM1の電流I
OUTは何の制約も受けずに増大し、ラッシュ電流となる。
【0045】
これに対して
図2のスイッチ回路100では、第1トランジスタM1に流れる電流I
OUTは、第2トランジスタM2に流れる電流I
Sに比例して、徐々に増大し、やがて電流量I
CL×Nにてクランプされることとなる。これによりラッシュ電流を抑制することができる。
【0046】
続いてスイッチ回路100の変形例を説明する。
【0047】
(第1変形例)
図4は、第1変形例に係るスイッチ回路100aの回路図である。
スイッチ回路100aは、
図1のスイッチ回路100に加えて、ゲートコントローラ104を備える。ゲートコントローラ104は、第1トランジスタM1のゲートと第2トランジスタM2のゲートの間に設けられる。ゲートコントローラ104は、第1トランジスタM1のゲートと第2トランジスタM2のゲートの間が導通する第1状態φ1と、第1トランジスタM1のゲートと接地ライン102の間が導通する第2状態φ2と、が切りかえ可能となっている。
【0048】
ゲートコントローラ104は、V
IN>V
OUTでありラッシュ電流の発生のおそれがあるときに第1状態φ1となり、V
IN≒V
OUTでありラッシュ電流の発生のおそれがないときに第2状態φ2となる。
【0049】
たとえばゲートコントローラ104は、セレクタ106およびコンパレータ108を備える。セレクタ106は、2入力1出力であり、第1入力端子は第2トランジスタM2のゲートと接続され、第2入力端子は接地ライン102と接続され、出力端子は第1トランジスタM1のゲートと接続される。コンパレータ108は、入力電圧V
INと出力電圧V
OUTの電位差に応じて、セレクタ106を制御する。たとえばコンパレータ108は、電位差が所定のしきい値より大きいときにセレクタ106を第1状態φ1とし、しきい値より小さいときにセレクタ106を第2状態φ2とする。
【0050】
なおゲートコントローラ104の構成は
図4のそれには限定されない。
【0051】
図4のスイッチ回路100aによれば、ラッシュ電流が発生するおそれが低下した後に第2状態φ2に切りかえることで、第1トランジスタM1をフルオンしてそのオン抵抗を最小とし、電力損失を低減できる。
【0052】
またラッシュ電流のおそれは、IN端子の電圧V
INとOUT端子の電圧V
OUTの電位差が小さくなると低下する。したがって、それらの入出力電圧V
IN、V
OUTの電位差に応じてゲートコントローラ104の状態を制御することにより、ラッシュ電流を抑制しつつ、電力損失を低減できる。
【0053】
(第2変形例)
図5は、第2変形例に係るスイッチ回路100bの回路図である。
スイッチ回路100bのゲートコントローラ104は、第2トランジスタM2のゲートに、入力電圧V
INを供給可能に構成される。たとえばゲートコントローラ104は、第2トランジスタM2のゲートソース間に設けられたスイッチ110を含む。
【0054】
スイッチ110がオンすると、第2トランジスタM2のゲートソース間電圧がゼロとなり、第2トランジスタM2がオフとなる。この状態でセレクタ106が第1状態φ1であれば、第1トランジスタM1もオフとなる。
【0055】
図6は、
図5のスイッチ回路100bの動作波形図である。初期状態は第1状態φ1である。時刻t0に電池20が装着され、入力電圧V
INが電池電圧V
BATとなる。スイッチ110は、電池20が接続された直後はオンしており、したがって第2トランジスタM2および第1トランジスタM1のゲートソース間電圧はゼロであり、第1トランジスタM1はオフしている。
【0056】
時刻t1にスイッチ110がオフすると、抵抗R1によって第2トランジスタM2のゲート電圧がプルダウンされ、第2トランジスタM2がオンする。その結果、第2トランジスタM2に電流I
Sが流れはじめ、ゲート電圧V
Gが、抵抗R1による負帰還の影響を受けながら、V
BAT−V
GSに近づいていく。
【0057】
やがて時刻t2に出力電圧V
OUTが入力電圧V
BATと実質的に等しくなると、第2状態φ2となり、第1トランジスタM1のゲート電圧が接地電圧0Vとなり、フルオンする。
【0058】
この変形例によれば、電池20が装着された直後において、第2トランジスタM2がオフの状態から電流I
Sが流れ始めるため、さらにラッシュ電流を抑制できる。
【0059】
(第3変形例)
図7は、第3変形例に係るスイッチ回路100cの回路図である。このスイッチ回路100cは、
図5のスイッチ回路100bに加えてシャントスイッチ112をさらに備える。シャントスイッチ112は、IN端子から接地ライン102に至る経路上に、第2トランジスタM2、抵抗R1と直列に設けられる。その他は
図5のスイッチ回路100bと同様である。
【0060】
たとえば、ゲートコントローラ104が第1状態φ1の間、シャントスイッチ112をオンし、ゲートコントローラ104を第2状態φ2とした後、シャントスイッチ112をオフしてもよい。そのほか、システムのシャットダウン状態において、シャントスイッチ112をオフしてもよい。
【0061】
第2トランジスタM2、抵抗R1に流れる電流I
Sは、負荷に供給されない損失であり、リーク電流と言える。この変形例によれば、シャントスイッチ112を設けることで、そのオフ状態において、IN端子から接地ライン102に流れる電流I
Sを遮断でき、無駄なリーク電流を低減できる。
【0062】
(第4変形例)
図8は、第4変形例に係るスイッチ回路100dの回路図である。
スイッチ回路100dは、
図7のスイッチ回路100cに加えて、DC入力(DCIN)スイッチ、DC入力スイッチ114、第1バックゲートスイッチSW11、第2バックゲートスイッチSW12、バックゲートコントローラ130をさらに備える。
【0063】
DCIN端子には、図示しないDC電源からのDC電圧V
DCが入力される。スイッチ回路100dは、電池電圧V
BATおよびDC電圧V
DCの一方を選択してOUT端子から出力する。DC入力スイッチ114は、DCIN端子とOUT端子の間に設けられる。DC入力スイッチ114は、DC電源からのDC電圧V
DCが入力されているときオンとなる。
【0064】
第1バックゲートスイッチSW11は、第1トランジスタM1の第1電極E1とバックゲートの間に、第2バックゲートスイッチSW12は、その第2電極E2とバックゲートの間に設けられる。バックゲートコントローラ130は、第1バックゲートスイッチSW11、第2バックゲートスイッチSW12のオン、オフを相補的に制御する。具体的にはバックゲートコントローラ130は、V
IN>V
OUTのとき第1バックゲートスイッチSW11をオン、V
IN<V
OUTのとき第2バックゲートスイッチSW12をオンする。
【0065】
これにより、入力端子の電圧の方が高い場合のみでなく、出力端子の電圧の方が高い場合においても、入力端子と出力端子の間の導通、遮断を制御可能となる。
【0066】
(用途)
続いて実施の形態に係るスイッチ回路の用途を説明する。スイッチ回路は、二次電池を充電する充電回路に好適に利用できる。
図9は、充電回路10を備える電子機器1の回路図である。電子機器1は、充電回路10、二次電池20、電源回路22、CPU24および複数の周辺回路26を備える。二次電池20は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などであり、電池電圧V
BATを出力する。
【0067】
複数の周辺回路26は、メモリ(RAM:Random Access Memory)、ハードディスク、ディスプレイなどを含む。電子機器1の外部電源(EXT)端子には、ACアダプタやUSBホストなどのDC電源2が着脱可能となっており、DC電圧V
DCが供給される。
【0068】
充電回路10は、EXT端子にDC電源2が接続されているときには、DC電圧V
DCを受け、二次電池20を充電する。また充電回路10は、電池電圧V
BATあるいはDC電圧V
DCのひとつを選択し、システム(SYS)端子からシステム電圧V
SYSを出力する。
【0069】
電源回路22は、システム電圧V
SYSを受け、それを昇圧または降圧して電源電圧V
DDを生成し、負荷であるCPU24や周辺回路26に供給する。電源回路22は、DC/DCコンバータやチャージポンプ回路、リニアレギュレータ(LDO:Low Drop Output)などを含む。
【0070】
充電回路10は、実施の形態に係る、あるいはその変形例に係るスイッチ回路100を利用して構成される。
図9の充電回路10は、
図8のスイッチ回路100dを基本として構成されている。
図9のBAT端子、DCIN端子、SYS端子はそれぞれ、
図8のIN端子、DCIN端子、OUT端子に対応する。
【0071】
直流入力(DCIN)端子には、DC電源2からのDC電圧V
DCが入力され、電池(BAT)端子には、二次電池20が接続される。DC入力スイッチ114は、DCIN端子とSYS端子の間に設けられる。たとえばDC入力スイッチ114は、逆直列接続された2個のNチャンネルMOSFETを含む。
【0072】
DC電源検出部124は、DCIN端子の電圧にもとづいて、DC電源2が接続されているか否かを判定する。ゲートコントローラ120は、DC電源2が接続されており、正常なDC電圧V
DCが供給されているとき、DC入力スイッチ114をオンする。DC入力スイッチ114がオンすると、SYS端子にはDC電圧V
DCが現れる。
【0073】
第1トランジスタM1は、SYS端子とBAT端子の間に設けられる。第1トランジスタM1のバックゲートと第1電極E1の間、バックゲートと第2電極E2の間にはそれぞれ、バックゲートスイッチSW11、SW12が設けられる。バックゲートコントローラ130は、第1バックゲートスイッチSW11、第2バックゲートスイッチSW12を相補的に制御する。バックゲートコントローラ130は、V
SYS<V
BATのとき、第1バックゲートスイッチSW11をオンし、V
SYS>V
BATのとき第2バックゲートスイッチSW12をオンする。
【0074】
ゲートコントローラ104は、充電コントローラ122を備える。正常なDC電圧V
DCが供給されているとき、充電コントローラ122は二次電池20を充電する。
【0075】
以上が充電回路10の構成である。続いてその動作を説明する。いくつかの場合にわけて説明する。
【0076】
1. DC電源2、電池20がともに接続されているとき
DC入力スイッチ114はオンとなる。またセレクタ106は、第3状態φ3となり、充電コントローラ122の出力を、第1トランジスタM1のゲートに接続する。V
SYS>V
BATであるから、第2バックゲートスイッチSW12がオン、第1バックゲートスイッチSW11がオフする。またシャントスイッチ112はオフである。
【0077】
SYS端子に接続される電源回路22には、DC電源2からのDC電圧V
DCが供給される。また充電コントローラ122は、第1トランジスタM1のゲート電圧を調節し、CC(定電流)充電モードあるいはCV(定電圧)充電モードで二次電池20を充電する。
【0078】
2. DC電源2が非接続であり、電池20が接続されているとき
DC入力スイッチ114はオフである。ゲートコントローラ104は第2状態φ2であり、第1トランジスタM1はフルオンする。V
SYS<V
BATであるから、第1バックゲートスイッチSW11がオン、第2バックゲートスイッチSW12がオフする。SYS端子に接続される電源回路22には、電池20からの電池電圧V
BATが供給される。シャントスイッチ112はオフである。
【0079】
3. DC電源2、電池20がともに非接続であるとき
初期状態では、ゲートコントローラ104は第1状態φ1である。そして、
図3に示すフローにしたがって、第1トランジスタM1を緩やかにオンし、SYS端子の電圧V
SYSが緩やかに増大する。そしてコンパレータ108によりV
SYS=V
BATが検出されると、第2状態φ2となり、第1トランジスタM1がフルオンする。
【0080】
以上が充電回路10の動作である。この充電回路10によれば、電池20が取り付けられたときにSYS端子に流れ込むラッシュ電流を抑制できる。
【0081】
図9の充電回路10と電源回路22を一体化してもよい。電子機器1を正常に起動・停止するためには、CPU24や周辺回路26に対する電源電圧V
DDを所定のシーケンスにしたがって生成、停止する必要があり、そのためにパワーマネージメントコントローラが搭載される場合がある。そこで充電回路10と電源回路22と、パワーマネージメント(PM)コントローラを、ひとつのIC(PMICという)に集積化してもよい。
【0082】
最後に、充電回路10の用途を説明する。
図10は、PMIC40を備える電子機器500の斜視図である。電子機器500はたとえばタブレット端末やスマートホンである。筐体520には、CPU24、RAM、HDDなどの周辺回路26、二次電池20、およびPMIC40が内蔵される。PMIC40は、CPU24やRAM、HDDに加えて、ディスプレイパネル510や、そのドライバ、オーディオ回路などに電源電圧を供給してもよい。なお電子機器500は、ノートPCやコンソールゲーム機器、ポータブルゲーム機器、ウェアラブルPC、ポータブルオーディオプレイヤ、デジタルカメラなどであってもよい。
【0083】
なお、電子機器500は、PMIC40に代えて、充電回路10と電源回路22を個別に備えてもよい。
【0084】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。