特開2015-211713(P2015-211713A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-211713(P2015-211713A)
(43)【公開日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】ミストスプレー装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20151030BHJP
   B05B 17/06 20060101ALI20151030BHJP
   B05B 15/02 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
   A45D34/04 550
   B05B17/06
   B05B15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-94673(P2014-94673)
(22)【出願日】2014年5月1日
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 有一
【テーマコード(参考)】
4D073
4D074
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB03
4D073CC13
4D073CC20
4D074AA01
4D074BB02
4D074DD07
4D074DD09
4D074DD34
4D074DD55
4D074DD62
(57)【要約】
【課題】目詰まりを起こした微細孔の目詰まりを容易に解消するミストスプレー装置を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の微細孔が形成された霧化部を備えた振動板と、振動板を振動させるための振動発生器と、霧化部に液体を供給するための供給部と、を具備し、霧化部に供給された液体が振動板の振動によって霧化されて、噴射されるミストスプレー装置であって、ミストスプレー装置は加温要素をさらに具備し、加温要素は霧化部を加温するために使用されることを特徴とするミストスプレー装置を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の微細孔が形成された霧化部を備えた振動板と、
該振動板を振動させるための振動発生器と、
前記霧化部に液体を供給するための供給部と、を具備し、
前記霧化部に供給された液体が前記振動板の振動によって霧化されて、噴射されるミストスプレー装置であって、
該ミストスプレー装置は加温要素をさらに具備し、該加温要素は前記霧化部を加温するために使用されることを特徴とするミストスプレー装置。
【請求項2】
前記振動発生器は、前記霧化部の周囲に環状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のミストスプレー装置。
【請求項3】
前記加温要素は、前記霧化部の周囲に環状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のミストスプレー装置。
【請求項4】
前記振動発生器は、入力電力に応じた振動を発生する圧電素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のミストスプレー装置。
【請求項5】
前記加温要素はペルチェ素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のミストスプレー装置。
【請求項6】
前記微細孔は、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなったテーパ状の軸方向断面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のミストスプレー装置。
【請求項7】
前記微細孔は、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなったステップ状の軸方向断面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のミストスプレー装置。
【請求項8】
前記微細孔は、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなった指数曲線状の軸方向断面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のミストスプレー装置。
【請求項9】
前記ミストスプレー装置は化粧用途であり、前記液体は化粧液であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のミストスプレー装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のミストスプレー装置と、化粧液と、を含んでいることを特徴とする化粧キット。
【請求項11】
前記ミストスプレー装置はタンクを含み、前記化粧液は前記タンク内に収容されていることを特徴とする請求項10に記載の化粧キット。
【請求項12】
前記化粧液は、前記ミストスプレー装置に搭載可能なケース内に収容されていることを特徴とする請求項10に記載の化粧キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内に収容された液体を霧化して、一定の時間連続的に噴射するミストスプレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧液または純水を霧化して噴射する超音波ミストスプレー装置は、現在では広く使用されている。このミストスプレー装置は、装置内に収容された液体を振動発生器によって霧化している。これらの装置は、非接触の様式において肌に潤いを与え、且つ肌を冷却することが可能である。
【0003】
特許文献1には、複数の微細孔が形成された振動板を圧電振動子によって振動させることにより、微細孔に供給される美容液や水等の液体を霧化してミストを噴射する装置が開示されている。特許文献2には、圧電素子によって振動部を振動させ、振動部に付着した液体を霧化する装置が開示されている。
【0004】
このようなタイプの装置は、長時間連続的に使用されることは少なく、短時間の使用が一日に数回、断続的に繰り返されることが多い。すなわち、装置は使用されていない状態が継続することがあり得る。また、装置が長時間使用されない場合も考えられる。このような場合、微細孔内およびその周囲に残留した化粧液は乾燥して、粘性が極端に高くなるか、または結晶化してしまう。その結果、微細孔の目詰まりが生じるという問題が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願第2 548 665号明細書
【特許文献2】特許出願公開第2010−23038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、目詰まりを起こした微細孔の目詰まりを容易に解消することが可能なミストスプレー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の微細孔が形成された霧化部を備えた振動板と、振動板を振動させるための振動発生器と、霧化部に液体を供給するための供給部と、を具備し、霧化部に供給された液体が振動板の振動によって霧化されて、噴射されるミストスプレー装置であって、このミストスプレー装置は加温要素をさらに具備し、加温要素は霧化部を加温するために使用されることを特徴とするミストスプレー装置を提供する。
【0008】
本発明によるミストスプレー装置は、振動発生器が、霧化部の周囲に環状に配置されてもよく、加温要素が、霧化部の周囲に環状に配置されてもよい。
【0009】
本発明によるミストスプレー装置は、振動発生器が、入力電力に応じた振動を発生する圧電素子であってもよく、加温要素はペルチェ素子であってもよい。
【0010】
本発明によるミストスプレー装置は、微細孔が、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなったテーパ状の軸方向断面を有していてもよい。また、微細孔は、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなったステップ状の軸方向断面を有していてもよい。さらに、微細孔は、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなった指数曲線状の軸方向断面を有していてもよい。本発明によるミストスプレー装置は、噴射される液体が化粧液であってもよい。
【0011】
本発明は、ミストスプレー装置と、化粧液と、を含んだ化粧キットも提供している。一実施形態においては、ミストスプレー装置はタンクを含んでいてもよく、化粧液がそのタンク内に収容されていてもよい。別の実施形態において、化粧液は、ミストスプレー装置に搭載可能なケース内に収容されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるミスト発生部を具備したミストスプレー装置を示した図である。
図2】本発明の実施形態によるミスト発生部を拡大した正面図である。
図3図2のミスト発生部の線A−Aに沿った断面を示した図である。
図4a】テーパ形状の軸方向断面を有する微細孔の断面を示した図である。
図4b】ステップ状の軸方向断面を有する微細孔の断面を示した図である。
図4c】指数曲線状の軸方向断面を有する微細孔の断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態によるミスト発生部を具備したミストスプレー装置1を示した図である。このミストスプレー装置1は装置内に化粧液を収容しており、この化粧液を霧化して、霧化部8から一定の時間、好適に30分間よりも短い、より好適に10分間よりも短い時間連続的に噴射する。
【0014】
このミストスプレー装置1は略円筒形のハウジング2を備えている。ハウジング2内には化粧水を収容するためのタンク(図示略)、電源(図示略)、およびミスト発生部が収容されている。ミスト発生部は、化粧液を霧化するための霧化部8が形成された振動板6、霧化部8に化粧液を供給するための供給部(図示略)、振動板6を振動させるための振動発生器10、および霧化部8を加温するための加温要素12を備えている。
【0015】
ミストスプレー装置1はさらにカバー4を具備している。本実施形態においては、このカバー4は、ミストスプレー装置1の長手(上下)方向において、霧化部8を開放する位置と閉鎖する位置との間でスライド移動可能とされている。カバー4はミストスプレー装置1のパワースイッチも兼ねることが可能である。その場合、カバー4が霧化部8を開放する位置に移動すると、ミストスプレー装置1が作動し、それとは逆に、カバー4が霧化部8を閉鎖する位置に移動すると、ミストスプレー装置1が停止する。
【0016】
図2は、本発明の実施形態によるミスト発生部を示した正面図である。図3は、図2の線A−Aに沿った本発明の実施形態によるミスト発生部の断面を示した図である。ミスト発生部は、霧化部8が形成された振動板6、振動板6を振動させるための振動発生器10、および霧化部8を加温するための加温要素12から成る。
【0017】
本実施形態においては、振動板6は略円形の板として形成されている。振動板6の中心には、霧化部8が形成されている。振動板は好適に金属材料、またはポリイミド等のプラスチック材料から形成されている。プラスチック材料は任意の金属アレルギーを生じないため、プラスチック材料が好適である。ポリイミドは化粧液内に共通に含まれたアルコールおよび保存料に対する耐性を備えているので、ポリイミドが特に好適である。
【0018】
霧化部8は、振動板6を貫通した複数の微細孔から形成されている。各微細孔は、マイクロメートルのオーダーの直径を有する。各微細孔は、好適に液体供給側14の直径よりもミスト噴出側16の直径が大きくなったテーパ形状の軸方向断面(図4a)を有する。この軸方向断面は、ステップ状(図4b)または指数曲線状(図4c)とすることも可能である。本実施形態においては、霧化部8は略円形に且つ振動板6と同心に形成されている。
【0019】
本実施形態においては、振動発生器10は略環状に形成されており、振動板6および霧化部8と同心に振動板6に取り付けられている。振動発生器10はハウジング2内に収容された電源から電力供給を受けて、振動板6を板厚方向に振動させる。この作用により、霧化部8の液体供給側14に供給された化粧液は霧化され、ミスト噴出側16から噴出される。本実施形態においては、振動発生器10としてピエゾ素子が採用されているが、これに限定されるものではない。
【0020】
本実施形態においては、振動板6には、振動板6の霧化部8を加温するための、2つの加温要素12がさらに設けられている。本実施形態においては、2つの加温要素12は、霧化部8の中心に関して互いに対向する位置にそれぞれ配置されている。本実施形態においては、加温要素12としてペルチェ素子が採用されており、素子の発熱側が振動板6と接触するように取り付けられている。
【0021】
本実施形態においては、2つの加温要素12が、霧化部8の中心に関して互いに対向する位置にそれぞれ配置されているが、複数の加温要素が霧化部8の周囲に放射状に配置されることも可能である。また、加温要素12は振動発生器10と同様に環状に形成されて、霧化部8および振動発生器10と同心に配置されることも可能である。さらに、加温要素12として電熱要素等の電気的加温要素が採用されることも可能である。
【0022】
次に、本実施形態によるミストスプレー装置1の動作について説明する。使用されていない状態において、ミストスプレー装置1のカバー4は霧化部8を閉鎖する位置にある。使用する場合、ユーザはカバー4をスライドさせて霧化部8を開放する。
【0023】
霧化部8が開放されると、化粧液が供給部によって霧化部8の液体供給側14に供給される。それと同時に、振動発生器10には電力が供給され、振動発生器10は振動板6を振動させることが可能である。供給された化粧液は振動板6の振動によって霧化され、ミスト噴出側16から噴出される。
【0024】
一方で、霧化部8が開放されると、加温要素12にも電力が供給され得る。電力供給された加温要素12は振動板6を通じて霧化部8を加温する。これによって、霧化部8に残留した化粧液の乾燥による粘度上昇に起因した目詰まりが生じている場合であっても、加温により化粧液の粘度が低下し、目詰まりが解消する。ミストスプレー装置は、水と比較してより高い粘度を有する化粧液、および/または乾燥により目詰りを生じる含有物を含んだ化粧液をスプレーするために、有利に使用される。そのような含有物は、例えばグリセリンのような保湿剤を含んでいる。
【0025】
さらに、加温要素12が振動板6を加温することによって、振動板6には熱膨張が生じる。これによって、霧化部8に形成された微細孔が広がり、噴射されるミストの粒径が拡大される。したがって、加温要素12の温度制御を適切に行うことによって、微細孔の径を制御することが可能となり、これによって噴射されるミストの粒径を制御することが可能である。
【0026】
一実施形態においては、好適にテーパ状、ステップ状、または指数曲線状の軸方向断面を有する微細孔が霧化部8に形成され、それらの微細孔は、液体供給側の直径よりもミスト噴出側の直径が大きくなっている。これらの断面構造を備えた微細孔は、ミストの粒子サイズが変化することを防止することが可能であり、これによってミストの粒子サイズを安定させている。
【0027】
本発明により、ミストスプレー装置に発生した化粧液の乾燥による粘度上昇等に起因した目詰まりを容易に解消することが可能である。また、噴射される化粧液ミストの粒径を容易に制御することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ・・・ミストスプレー装置
2 ・・・ハウジング
4 ・・・カバー
6 ・・・振動板
8 ・・・霧化部
10 ・・・振動発生器
12 ・・・加温要素
14 ・・・液体供給側
16 ・・・ミスト噴出側
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
【外国語明細書】
2015211713000001.pdf