【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名 :電気電子技術者協会(IEEE) 刊行物名 :IEEE SENSORS 2013 予稿集(USBメモリー)、第1577頁 頒布日 :平成25年11月3日 「刊行物等」 研究集会名:IEEE SENSORS 2013 開催日 :平成25年11月3日−6日
【解決手段】車輪22の回転によって交流電力を生成する発電機10と、発電機10から供給される電力により動作し、当該発電機10が出力する電圧信号を整形して出力する整形部12と、発電機10から供給される電力によって整形部12の出力信号を含む車速情報が記録される記憶部14と、を備えている。
前記制御部は、前記整形部の出力信号から求められる自転車の減速度が所定以上の場合に、それ以降の前記車速情報の記録を中断させる、請求項2に記載の自転車用の車速情報記録装置。
前記制御部は、前記車速情報の記録を中断させた後、前記整形部の出力信号から求められる自転車の速度が所定以上となった場合に、新たな車速情報の記録を許容する、請求項3に記載の自転車用の車速情報記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の速度センサは、走行中の自転車のスピードを検出することができるものの、上述のような事故が発生したときの自転車のスピードを事後的に把握することはできない。また、磁気センサに電力を供給するためにバッテリが必要であるともに、利用者自身がバッテリ残量を管理しなければならないので、管理が不十分になり易く、必要なときにバッテリ切れのために速度センサが機能していないこともあり得る。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、事故等が発生したときに事後的に自転車の速度を把握することが可能な自転車用の車速情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る自転車用の車速情報記録装置は、
自転車の車輪の回転によって交流電力を生成する発電機と、
前記発電機から供給される電力により動作し、当該発電機が出力する電圧信号を整形して出力する整形部と、
前記発電機から供給される電力によって前記整形部の出力信号を含む車速情報が記録される記憶部と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記構成の車速情報記録装置は、発電機が出力する電圧信号を整形部が整形して出力し、その出力信号を含む車速情報が記憶部に記録されるので、事故等が発生したときに当該記憶部に記録された車速情報から自転車に車速を事後的に把握することができる。また、整形部の動作や記憶部への車速情報の記録は発電機の電力により行われるので、これらの動作のために別途バッテリを備える必要がなく、バッテリ切れのために必要な車速情報が記録されなくなるという不都合を回避することができる。すなわち、本発明の車速情報記録装置は、発電機によって生成された電力が、整形部や記憶部を動作させるために用いられると共に、その電圧信号から車速情報を求めるためにも用いられており、1つの発電機を2つの用途で利用することによって、それぞれ別個に発電機(信号生成部)を備える場合に比べて構造の簡素化を図ることができる。
なお、本発明における「車速情報」とは、自転車の車速を求めるために用いることができる整形部の出力信号や、その出力信号から求められた車速そのものの情報など、車速に関する情報をいう。
【0009】
(2)上記車速情報記録装置は、前記記憶部への前記車速情報の記録の可否を制御する制御部をさらに備えていることが好ましい。
【0010】
(3)また、前記制御部は、前記整形部の出力信号から求められる自転車の減速度が所定以上の場合に、それ以降の前記車速情報の記録を中断させることが好ましい。
自転車による事故が生じた場合、通常、自転車は急減速を伴って停止する。したがって、自転車の減速度(負の加速度)が、事故が発生したと推定できる程度に大きい場合には、それ以降の車速情報の記録を中断することによって、事故が生じた時点の車速情報を最終のデータとして記憶部に残すことができる。
【0011】
(4)上記(3)の構成において、前記制御部は、前記車速情報の記録を中断させた後、前記整形部の出力信号から求められる自転車の速度が所定以上となった場合に、新たな車速情報の記録を許容することが好ましい。
自転車による事故ではなく、単に自転車を急停止等させた場合、制御部は、これを事故と推定して車速情報の記録を中断する。しかしながら、これは事故によるものはないので、記録を中断したままであると、その後実際に事故が起こったときに車速情報を記録できなくなる。そこで、車速情報の記録を一旦中断したとしても、その後、自転車の速度が所定以上となった場合には、事故は生じていなかったと推定し、新たな車速情報の記録を許容することで、その後事故が起きた場合でも車速情報を残すことができる。
【0012】
(5)上記(4)の構成において、前記制御部は、新たな車速情報を記録する前に、それまでの車速情報を記録部から消去させることが好ましい。
新たな車速情報を記録する場合には、それまでの車速情報は不要となるため、これを消去することによって必要な車速情報のみを残すことが可能となる。
【0013】
(6)前記発電機は、自転車の照明器具に電力を供給するものであってもよい。
【0014】
(7)前記発電機は、車輪のハブに内蔵されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、事故等が発生したときに事後的に自転車の速度を把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔車速情報記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る車速情報記録装置の構成図である。
本実施形態の車速情報記録装置は、自転車の車輪の回転によって発電する発電機10と、発電機10の出力を交流から直流に変換するAC−DCコンバータ11と、発電機10の電力によって動作する整形部12、制御部13、及び記憶部14とを備えている。発電機10は、
図2に示されるように、自転車20の照明器具21を点灯させるために発電するものが兼用されており、前輪22のハブ23に内蔵されている。また、車速情報記録装置の他の構成も前輪22のハブ23に内蔵されていてもよい。
【0018】
発電機10は、図示しないコイルと磁石とを備えており、車輪22の回転に伴ってコイルと磁石とを相対回転させ、コイル内を通る磁束を変化させることによって誘導起電力を発生させる交流発電機とされている。そのため、発電機10が出力する電圧信号の周波数と車輪22の回転数との間には比例関係がある。また、
図1に示されるように、発電機10が生成した電力は、電力供給系Aと信号取得系Bとに分岐して出力される。
【0019】
AC−DCコンバータ11は、発電機10から電力供給系Aを介して出力された交流電圧を、安定化した直流電圧に変換する。具体的に、AC−DCコンバータ11は、交流を直流に整流するダイオードブリッジ等の整流回路や、直流の電圧を安定化させるレギュレータ等を含む安定化回路を備えている。そして、AC−DCコンバータ11によって所定の電圧で安定化された電力は、それぞれ整形部12、制御部13、及び記憶部14に供給され、これらを動作させる。
【0020】
整形部12は、信号取得系Bを介しても発電機10で生成された電力の交流信号が供給され、ダイオード等からなる整流素子によって交流を直流に半波整流し、さらに半波整流された直流をシュミットトリガインバータ等のインバータ回路により交流のデジタル信号に変換するパルス変換器によって構成されている。そして、整形部12は、発電機10のアナログ信号から変換されたデジタル信号を制御部13に出力する。
【0021】
図3は、整形部12に入力された発電機10の電圧信号の波形と、整形部12が出力する整形後の出力信号の波形とを示している。
図3より、整形部12の出力信号は、発電機10の電圧信号と180°位相がずれた状態で同期していることがわかる。
【0022】
制御部13は、整形部12の出力信号を、所定の条件に基づいて記憶部14に記録するか否かを判断し、記録の可否を制御する。この制御部13による記録制御については後述する。
記憶部14は、不揮発性のメモリーによって構成されている。したがって、情報を記録するときには電力供給が必要であるが、電力供給が行われていない状態でも記録された情報を保持可能である。そして、記憶部14には、整形部12において整形されたデジタル信号である出力信号が記録されるようになっている。なお、記憶部14として、SDカード等の可搬型の媒体を用いることができ、この場合、自転車20から取り外し可能に構成してもよい。また、記憶部14は、誰でもが容易に設置場所を把握し取り外すことができないように、自転車20のフレーム内やサドル内等に設けてもよい。
【0023】
前述したように整形部12の出力信号は発電機10が出力する電圧信号と同期し、発電機10の電圧信号の周波数は車輪22の回転数と比例している。したがって、記憶部14に記録される整形部12の出力信号から車輪22の回転数を求めることができる。さらに車輪22の回転数と車輪22の直径とから自転車20の速度を求めることができる。なお、記憶部14は、記録できる容量に限りがあるが、当該容量を超える記録要求があった場合には、古い情報から消去して新たな情報を記録(上書き)するように制御部13によって記録制御される。
【0024】
本実施形態の車速情報記録装置は、自転車20の速度を求めることが可能な情報(車速情報)、すなわち整形部12の出力信号を記憶部14に記録しているので、事故が発生したときには、記憶部14に記録された車速情報から自転車20の速度を事後的に把握することが可能となっている。また、本実施形態の車速情報記録装置は、発電機10によって生成された電力が、整形部12、制御部13、及び記憶部14を動作させるために動力源として用いられると共に、その電圧信号から自転車20の車速情報を求めるためにも用いられており、1つの発電機10を2つの用途で利用することによって、それぞれ別個に発電機(信号生成部)を備える場合に比べて構造の簡素化を図ることができる。
【0025】
以下、制御部13による記憶部14への情報の記録制御について、
図4を参照して説明する。
図4は、制御部13による記憶部14への出力信号の記録制御の手順を示すフローチャートである。
制御部13は、自転車20の走行に伴って整形部12から入力される信号を遂次記憶部14に書き込ませる(ステップS1)。事故が発生した場合、自転車20は急停車すると考えられるので、制御部13は、整形部12から入力される出力信号の周波数の変化から自転車20の急減速の有無を判断し(ステップS2)、急減速が生じていると判断した場合には、記憶部14への出力信号の書き込みを中断する(ステップS3)。急減速の有無の判断は、整形部12の出力信号から求められる自転車20の減速度が所定の閾値以上であるか否かによって行うことができる。
【0026】
一方、事故ではなく自転車20が単に急停止した場合にも、整形部12の出力信号の周波数には同様の変化が生じる。そのため、制御部13は、当該出力信号の記録を中断させることになる。しかしながら、事故以外の急停止の場合、その後、自転車20は通常の速度で走行する。したがって、制御部13は、記憶部14への書き込みを中断した後に整形部12からの出力信号の入力があった場合には、その出力信号から求められる自転車20の速度が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS4)。そして、自転車20の速度が所定の閾値以上と判断した場合には、そのときに記憶部14の記録されていた出力信号をリセット(消去)し(ステップS5)、新たな出力信号の書き込みを再開する(ステップS1)。
【0027】
以上のように自転車20が急停車(急減速)したときに整形部12の出力信号の記録を中断することによって、その後、新たな情報が書き込まれることにより事故の際の情報が上書きされてしまうのを防止することができる。また、自転車20の事故の場合、自転車20を全く動かせなくなることは稀であり、低速であっても人手によって移動させることは可能である。このような低速の移動によっても整形部12の出力信号が制御部13に入力されることがあるが、その速度が所定の閾値以下であれば事故が起きていると推定することができるので、当該出力信号を新たに記憶部14に書き込まないようにすることで、それまでの出力信号の記録を確実に保持することができる。
【0028】
一方、記録を中断した後に、自転車20が所定以上の速度で再び走行した場合には、事故が無かったと推定することができるので、それまでに記録した出力信号の情報は不要となる。したがって、それまでの情報を消去することによって、これから必要な新たな出力信号のみを記録することができる。
【0029】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において変更することができる。
例えば、記憶部に記録する情報は、整形部の出力信号に限らず、この出力信号から求められた車速や、この車速に関連するあらゆる情報とすることができる。
発電機は、前輪のハブ以外の場所に設けられていてもよい。また、発電機は、照明器具を点灯させるものでなくてもよい。
【0030】
また、記憶部には、車速情報だけでなく、自転車の運転に関する他の情報を併せて記録してもよい。例えば、車速情報と併せて自転車の照明器具の点灯の有無についての情報を記録することができる。この場合、事故が発生したときに自転車の照明器具が点灯していたかどうかを把握することができ、事故の原因究明等のために役立てることができる。
照明器具の点灯の有無を記憶部に記録するには、例えば、自転車の照明器具の近傍に、当該照明器具の光で発電する部品(素子)を設置し、その出力電圧を記憶部に書き込めばよい。発電する部品としては、小面積の太陽電池(例えば、球状太陽電池等)や発光ダイオード(例えば、赤色LED)を用いることができる。
【0031】
〔他の開示〕
次に、上述したような自転車用の車速情報記録装置と類似した構成を有する回転玩具の速度情報伝達装置について説明する。
図5は、他の開示に係る回転玩具の速度情報伝達装置の構成図である。
この速度情報伝達装置は、例えばヨーヨーで例示される回転玩具120(
図6参照)の回転を利用して発電する発電機110と、AC−DCコンバータ111と、整形部112と、発振回路(RFオシレーター)115と、送信部(RFスイッチ)116と、受信部117とを備えている。そしてこれらの構成のうち、発電機110、AC−DCコンバータ111、整形部112、発振回路115、送信部116は、ヨーヨー120に設けられている。
【0032】
図6は、速度情報伝達装置を備えたヨーヨー120の正面説明図、
図7は、同ヨーヨー120の側面説明図である。
ヨーヨー120には、発電機110が一体的に設けられている。したがって、この発電機110はヨーヨー120とともに回転する。発電機110は、コイル121と磁石122との相対移動により発電を行う。磁石122は、ギヤ形状に形成されており、自身が回転することによってコイル121内を通る磁束を変化させ、誘導起電力を発生させる。
【0033】
ヨーヨー120には、円盤状の錘123が軸125を介して相対回転可能に連結されている。そして、この錘123には、前記磁石122が噛み合う大ギヤ124が一体回転可能に設けられている。
ヨーヨー120を回転させると、錘123は慣性によってヨーヨー120よりもゆっくりと回転する。そのため、ヨーヨー120と錘123とは相対回転する。この相対回転によって大ギヤ124の外周上を磁石122が自転しながら公転し、磁石122の自転によってコイル121を通過する磁束が変化し、発電機110が発電する。
【0034】
図8は、ヨーヨー120と錘123との回転数を対比して示すグラフである。
ヨーヨー120を回転させると、初期の段階で回転周波数が最大となり、その後徐々に回転周波数は低下していく。これに対して錘123は、ヨーヨー120よりも少ない回転周波数で回転し始めるが、徐々に回転周波数が増し、次第にヨーヨー120と同じ回転周波数で回転する。
【0035】
また、
図8には、ヨーヨー120の回転周波数と錘123の回転周波数との差分である相対回転周波数が併せて示されている。前述したように発電機110による発電は、ヨーヨー120と錘123との相対回転に伴う磁石122の回転により行われるので、その発電量は、ヨーヨー120と錘123との相対回転周波数に比例することになる。この例では、ヨーヨー120の最大回転周波数は相対回転周波数の最大値の約1.7倍となった。
【0036】
図9は、ヨーヨー120の最大回転周波数と相対回転周波数との関係を示すグラフである。
この
図9により、ヨーヨー120の最大回転周波数が1000rpm以上であるときに、相対回転周波数と比例関係にあることが分かる。この相対回転周波数は、発電機110の回転周波数に相関があるので、発電機110が出力する電圧信号の周期から得ることができる。また、相対回転周波数とヨーヨー120の最大回転数とは比例関係にあるので、発電機110の電圧信号の周期からヨーヨー120の最大回転周波数を求めることができる。
【0037】
図10は、発電機110が生成する交流の周期及び発電電力と、発電機110の回転周波数との関係を示すグラフである。
図10より、発電機110が生成する交流信号の周期は、発電機110の回転周波数にほぼ反比例しており、周期=650/R(R:回転周波数)の関係がある。また、回転周波数が500rpmを超えているとき、発電機110は20mWの電力を出力していることがわかる。
【0038】
図5に示されるように、AC−DCコンバータ111は、発電機110から電力供給系Aを介して出力された交流電圧を、安定化した直流電圧に変換する。具体的に、AC−DCコンバータ111は、交流を直流に整流するダイオードブリッジ等の整流回路と、直流の電圧を安定化させるレギュレータ等を含む安定化回路とを備えている。そして、AC−DCコンバータ111によって所定の電圧で安定化された電力は、それぞれ整形部112、発振回路115、及び送信部116に供給され、これらを動作させる。
【0039】
整形部112は、ダイオード等からなる整流素子によって発電機110の交流信号(アナログ信号)を半波整流し、さらに半波整流されたアナログ信号をシュミットトリガインバータ等のインバータ回路により交流のデジタル信号に変換するパルス変換器によって構成されている。そして、整形部112は、発電機110のアナログ信号から変換されたデジタル信号を送信部116に出力する。
【0040】
発振回路115は、搬送波となる高周波信号を生成する。そして、この高周波信号は、送信部116において整形部112からの出力信号で変調され、無線信号として送信される。送信された無線信号は、受信部117において受信され、復調される。
【0041】
図11は、錘123を一定速度で回転させたときの発電機110から整形部112への入力電圧、整形部112の出力電圧(変調電圧)、及び受信部117の受信信号の関係を示すグラフである。
図11より、整形部112は、発電機110からの入力電圧に同期した出力電圧を出力し、受信部117は、整形部112の出力信号に対応する復調信号を得ることができる。したがって、受信部117によって受信し、復調した信号から発電機110の回転周波数を求めることができ、さらにヨーヨー120の回転周波数を取得することが可能となる。
【0042】
図5に示されるように、送信部116はアンテナ116aを備えている。このアンテナ116aは、ヨーヨー120とともに回転することによって回転偏波アンテナとして作用する。したがって、アンテナ116aは、指向性を有していても、ヨーヨー120の周囲のあらゆる位置においてアンテナ116aから送信された信号を受信部117で受信することができる。
【0043】
図12は、送信用のアンテナ116aの放射パターンを示す図である。この
図12では、−22.85dBiの最大利得と、−47.62dBiの最小利得とを有する指向性アンテナの放射パターンを示している。
また、
図13は、送信用のアンテナ116aが回転したときに放射パターンがどのように変化するかを示す説明図である。この
図13(a)に示されるように、送信アンテナ116aの給電点が下側にあるとき、放射電力は、上部で最大となり、側部で最小となる。したがって、受信用のアンテナ117aが送信用のアンテナ116aの側部にあると送信信号を受信することが困難になる。一方、
図13(b)に示されるように、送信用のアンテナ116aの給電点が90°回転した場合、放射電力が側部において最大となる。したがって、受信用のアンテナ117aが送信信号を容易に受信することができる。このようにヨーヨー120とともに回転する送信用のアンテナ116aは、ヨーヨー120の一回転ごとに偏波が受信用のアンテナ117aの偏波と調和し、送信用のアンテナ116aが一回転する間に送信信号が受信される。
【0044】
図14は、受信部117によって受信されたパルスの周期と、パルス数との関係を示すグラフである。
図14より、最小の周期は0.29msとなり、そのときの最大の回転周波数は、前述のヨーヨー120の最大回転周波数と相対回転周波数との関係(約1.7倍の関係)と、発電機110の周期と回転周波数との関係から演算すると3778rpmとなる。つまり、受信部117における受信信号から、ヨーヨー120の最大回転数を求めることができる。
【0045】
以上に説明した回転玩具の速度情報伝達装置は、次の特徴を有している。
すなわち、回転玩具用の速度情報伝達装置は、回転玩具120の回転により発電する発電機110と、この発電機110から供給される電力により動作し、当該発電機110が出力するアナログ電圧信号をデジタル電圧信号に整形して出力する整形部112と、前記発電機110から供給される電力により搬送波を生成する発振回路115と、前記発電機110から供給される電力により前記整形部112の出力信号で前記搬送波を変調して無線送信する送信部116と、送信部116によって送信された無線信号を受信する受信部117とを備えていることを特徴としている。
【0046】
また、回転玩具用の速度情報伝達装置は、回転玩具120と一体的に回転する送信アンテナ116aを備えていることを特徴としている。
【0047】
以上のように、回転玩具用の速度情報伝達装置は、回転玩具120から離れた位置で当該回転玩具120の回転数に関する情報を受信して、当該回転数を容易に取得することができるので、その回転数の情報を用いて回転玩具120の利用方法(遊び方)を拡張することができる。例えば、回転玩具120から送信された信号をゲーム端末で受信し、当該ゲーム端末において仮想世界と現実とを融合した新たなゲームを構築することが可能となる。なお、回転玩具120は、ヨーヨーに限られず、コマ等の他の玩具であってもよい。