【解決手段】ゴム状弾性体から構成されるストッパ部50は、第1規制部31とブラケット部材20との間に介設される。ストッパ部50は、脚部51の車両前後方向一方側の端部に突出部52が設けられ、突出部52は、端部から車両前後方向一方側および車両上下方向両側へ突出する。車両上下方向両側にそれぞれ開口し脚部51に達する深さの有底の2つのすぐり部54が形成される。ストッパ部50が作動すると、車両上下方向の振動入力に対して脚部51はせん断変形が主体となるので、車両上下方向の振動伝達を抑制できる。また、2つのすぐり部54が潰れるときのマウント装置10の姿勢を安定化できる。
パワーユニット側に取り付けられる第1取付具、車体側に取り付けられる第2取付具、及び、前記第1取付具と前記第2取付具との間に介設されると共にゴム状弾性体から構成される防振基体を備えるマウント装置と、
前記マウント装置の第1取付具に取り付けられると共に前記パワーユニットに固着されるブラケット部材と、
前記第2取付具に固着されると共に車両前後方向への前記第1取付具および前記ブラケット部材の変位を規制する変位規制部と、
ゴム状弾性体から構成されると共に前記変位規制部、前記第1取付具または前記ブラケット部材に装着されつつ前記変位規制部と前記第1取付具または前記ブラケット部材との間に介設されるストッパ部とを備え、
前記ストッパ部は、
車両前後方向一方側へ突出する脚部と、
前記脚部の車両前後方向一方側の端部に設けられると共に、前記端部から車両前後方向一方側および車両上下方向両側へ突出する突出部とを備え、
車両上下方向両側にそれぞれ開口し前記脚部に達する深さの有底の2つのすぐり部が形成されていることを特徴とする防振装置。
前記ストッパ部は、前記脚部が設けられる前記第1取付具または前記ブラケット部材を車両前後方向へ投影した領域と、前記変位規制部を車両前後方向へ投影した領域とが重なった領域に前記脚部が配置されることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
前記ストッパ部は、車両前後方向へ延びる仮想直線に直交する平面で切断したときにできる前記脚部の断面の面積が、前記突出部の断面の面積より小さく設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防振装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態における防振装置1の平面図であり、
図2は
図1のII−II線における防振装置1の軸方向断面図である。なお、
図1及び
図2の矢印U−D,L−R,F−Bは、防振装置1が搭載される車両1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している(
図6において同じ)。また、
図2ではマウント装置10に所定の分担荷重が作用した状態が図示されている。
【0017】
図1に示すように防振装置1は、自動車のエンジン等のパワーユニット(図示せず)を支持固定しつつ、パワーユニットが発生する振動を車体(図示せず)へ伝達させないようにするための装置であり、マウント装置10と、マウント装置10をパワーユニット側へ連結するブラケット部材20と、そのブラケット部材20を取り囲む変位規制部材30と、ブラケット部材20の外面に装着されるストッパ部材40(
図2参照)とを主に備えて構成される。
【0018】
図2に示すようにマウント装置10は、下方に向けて先細の円錐状に形成されるアルミニウム合金等の金属製の第1取付具11と、その第1取付具11に対して間隔を隔てつつ同軸状に配置される第2取付具12と、第2取付具12と第1取付具11とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体13とを備えている。
【0019】
第1取付具11は、ブラケット部材20の取り付け面となる上面(
図2上側面)が平端面として形成され、外周面および下面に防振基体13が加硫接着されている。第1取付具11の上面中央には、軸心に沿って延びるめねじ部が形成されており、このめねじ部に螺着されるボルトBにより、ブラケット部材20が第1取付具11に締結固定される。
【0020】
第2取付具12は、筒状に形成されると共に内周面に防振基体13が加硫接着される鉄鋼材料製の筒金具12aと、筒金具12aが内周側に内嵌される筒状の鉄鋼材料製の外側金具12bとを備えている。第2取付具12(外側金具12b)は、車体側に取り付けられる取付部材61,62が固着されている。
【0021】
第2取付具12の筒金具12aの下端開口部には、ダイヤフラム14が取着されることで、ダイヤフラム14と防振基体13との間にエチレングリコール等の液体が封入される液封入室が形成される。液封入室は、仕切体15によって防振基体13側の第1液室16とダイヤフラム14側の第2液室17とに仕切られると共に、第1液室16及び第2液室17は、仕切体15の外周に沿って形成されたオリフィス18によって互いに連通される。
【0022】
ブラケット部材20は、マウント装置10の第1取付具11をパワーユニット側に連結するためのアルミニウム合金等の金属製の連結部材である。ブラケット部材20は、マウント装置10の第1取付具11の上面(
図2上側面)に先端側がボルトBにより締結固定されると共に、根本部23(
図1参照)がパワーユニット側にボルト(図示せず)により締結固定される。
【0023】
ブラケット部材20の先端側の上面(
図1紙面手前側面および
図2上側面)には、平面視円形のボルト固定部21が下面へ向けて凹設され、ボルト固定部21の底面中央には、ボルトBの軸部が挿通される平面視円形のボルト挿通孔22が同心に穿設される。ボルト固定部21の底面はボルトBの頭部の座面となる。ボルト固定部21が凹設される分だけ、ブラケット部材20を軽量化できる。
【0024】
ブラケット部材20の根元部23は、複数の取り付け孔24が穿設される。パワーユニット側から突出されるボルトを取り付け孔24に挿通し、これらボルトをナットで締結することで、根本部23がパワーユニット側に取り付けられる。これによりマウント装置10は、パワーユニットによる主たる振動の入力方向が矢印U−D方向に設定される。
【0025】
変位規制部材30は、ブラケット部材20の変位を規制するための鉄鋼材料製の門型状の部材であり、第2取付具12の外側金具12bに固着されている。変位規制部材30は側方(
図2紙面垂直方向、矢印L−R方向)に開口部30aが開口形成されており、その開口部30aから挿通されたブラケット部材20の外面を覆うように形成される。
【0026】
即ち、変位規制部材30の内面(第1規制部31、第2規制部32及び第3規制部33)は、ブラケット部材20の上面(
図2上側面)と両側面(
図2左右面)との間に間隔を隔てつつこれら各面を取り囲む。よって、パワーユニットから防振装置1に大振幅の振動が入力された場合には、ブラケット部材20の変位規制部材30に取り囲まれた部分が、変位規制部材30の内面に当接されることで、第2取付具12に対するブラケット部材20の相対変位が規制される。
【0027】
変位規制部材30の上面には、ボルトBの頭部が挿通可能な内径を有する円形の開口部30bが開口形成されている。また、変位規制部材30の開口部30aには、第2取付具12の外側金具12bの上端とブラケット部材20との対向間にバウンド規制部材(図示せず)が固着されており、ブラケット部材20の下方への変位を規制し得るように構成されている。
【0028】
ストッパ部材40は、ブラケット部材20とは別体にゴム状弾性体から加硫成形される有底の筒状体であり、その筒状体内へブラケット部材20が先端側から挿入されることで、ブラケット部材20の外面を被覆する。これにより、変位規制部材30によってブラケット部材20の変位が規制されるときの衝撃が緩和される。
【0029】
次に
図3から
図5を参照してストッパ部材40について説明する。
図3はストッパ部材40の平面図であり、
図4はストッパ部材40の底面図であり、
図5は
図3の矢印V方向視におけるストッパ部材40の側面図である。なお、
図3から
図5の矢印U−D,L−R,F−Bは、ストッパ部材40がブラケット部材20に装着されたと仮定した場合の防振装置1が搭載される車両の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。従って、
図3から
図5に示すストッパ部材40の位置関係は、
図1及び
図2の位置関係と対応する。
【0030】
図3から
図5に示すようにストッパ部材40は、上面部41と、その上面部41に所定間隔を隔てつつ平行に配置される下面部42と、それら上面部41と下面部42とを連結する側面部43,44と、側面部43,44を連結する先端面部45とを備え、これら各面部41〜45によって一側(
図3及び
図4下側、矢印L側)が開口した略筒状に形成されている。この筒状体の開口にブラケット部材20が先端側から挿入され、ブラケット部材20の外面がストッパ部材40によって被覆される。
【0031】
上面部41は、ブラケット部材20の上面に装着される部位であり、パワーユニットがリバウンド方向(矢印U方向)へ大変位したときに、ブラケット部材20と第3規制部33(
図2参照)との間に介在してストッパゴムとして機能する。上面部41は、平面視略矩形であって板厚が略一定の平板状に形成されている。上面部41は、上面に半球状の複数の凸起41bが突出されると共に、中央部に、ボルトB(
図2参照)の頭部が挿通可能な平面視円形の挿通孔41aが形成される。挿通孔41aは、ストッパ部材40がブラケット部材20に装着された状態において、ブラケット部材20のボルト固定部21及びボルト挿通孔22と同心に配置される。
【0032】
下面部42は、ブラケット部材20の下面に装着される部位であり、パワーユニットがバウンド方向(矢印D方向)へ大変位したときに、ブラケット部材20とバウンド規制部材(図示せず)との間に介在してストッパゴムとして機能する。下面部42は、平面視略台形であって板厚が略一定の平板状に形成されている。
【0033】
側面部43は、ブラケット部材20の側面に装着される部位であり、パワーユニットが車両後方(矢印B方向)へ大変位したときに、ブラケット部材20と第1規制部31(
図2参照)との間に介在してストッパゴムとして機能する。なお、側面部43はストッパ部50(後述する)が連成されている。側面部44は、ブラケット部材20の側面に装着される部位であり、パワーユニットが車両前方(矢印F方向)へ大変位したときに、ブラケット部材20と第2規制部32(
図2参照)との間に介在してストッパゴムとして機能する。
【0034】
側面部43,44は、上辺の略全体が上面部41に連成される一方、下辺の一部が下面部42に連成される。また、側面部43,44は、それぞれの内面に、上下方向(
図4紙面垂直方向、
図5上下方向)に沿って延びる嵌合突部43a,44aが突設される。嵌合突部43a,44aは、ブラケット部材20からストッパ部材40が抜け落ちることを防止するための抜け止め部として機能する部位であり、ブラケット部材20の側面に凹設された凹溝(図示せず)に嵌合される。
【0035】
先端面部45は、ブラケット部材20の先端面に装着される部位であり、ストッパ部材40の水平方向(矢印F,B,L方向)への位置ずれを規制する部位である。先端面部45は、正面視略矩形であって板厚が略一定の平板状に形成され、上辺が上面部41に連成されると共に、両側辺が側面部43,44に連成される。以上のように各面部41〜45が連成されるので、ストッパ部材40は、ブラケット部材20の先端側の下面全体を露出させる大きさの開口部46が下面側(矢印D方向)に開口形成される。
【0036】
なお、先端面部45は、先端面部45の幅方向(
図4左右方向)中央に、開口部46に連通する凹部45が厚さ方向外側へ向けて凹設される。ブラケット部材20にストッパ部材40が装着された状態では、凹部45は、ブラケット部材20のボルト固定部21の底部に貫通形成された開口部21a(
図1参照)に連通する。これによりボルト固定部21内に浸入した水等は、開口部21a及び凹部45を通って外部に排出される。
【0037】
ストッパ部材40は、ゴム状弾性体から構成されるストッパ部50が側面部43に連成されている。ストッパ部50は、パワーユニットが車両後方(
図2矢印B方向)へ大変位したときに、ブラケット部材20と第1規制部31との間に介設される部位である。ストッパ部50は、側面部43に突設されると共に側面部43から車両後方側(
図5矢印B方向)へ突出する脚部51と、脚部51の水平方向一方側(車両後方側)の端部に設けられると共に、端部から車両後方側(
図5矢印B方向)及び車両上下方向両側(
図5矢印U−D方向)へ突出する突出部52とを備えている。
【0038】
ストッパ部50は、車両上下方向両側(
図5矢印U−D方向)にそれぞれ開口し、脚部51に達する深さの有底の2つのすぐり部54が形成されている。なお、2つのすぐり部54は、側面部43に対する脚部51の突出方向(
図5矢印F−B方向)及び突出部52の上下への突出方向(
図5矢印U−D方向)と直交する車両左右方向両側(
図5紙面垂直方向、矢印L−R方向)にもそれぞれ開口する。
【0039】
脚部51は、すぐり部54によって部分的にストッパ部50の剛性が低下される部位であり、上面部41(
図3参照)の左右方向(矢印L−R方向)長さと略同一の長さに設定される。本実施の形態では、2つのすぐり部54は、同一の深さ(矢印U−D方向寸法)に設定されている。
【0040】
突出部52は、マウント装置10の変位によって圧縮変形されると共に復元するときの反力を利用してマウント装置10の姿勢を安定化するための部位であり、脚部51(
図3参照)の左右方向(矢印L−R方向)長さと同一の長さに設定される。また、突出部52は、側面部43(
図5参照)の上下方向(矢印U−D方向)長さと略同一の長さに設定される。本実施の形態では、突出部52は、車両後方(矢印B方向)の端面が、対面する第1規制部31のフラットな表面形状に対応したフラットな面に形成される。
【0041】
ストッパ部50は、突出部52の水平方向一方側(
図5矢印B方向)に突条部53が突設される。突条部53は、突条状に形成されると共に突出部52の上下への突出方向(
図5矢印U−D方向)と直交する方向(矢印L−R方向)に延在する。本実施の形態では、突条部53は断面半円状に形成されると共に、突出部52に3本設けられている。突条部53は、突出部52(
図3参照)の左右方向(矢印L−R方向)長さと同一の長さに設定される。
【0042】
次に
図6を参照して、車両の前進加速時のストッパ部50の動作について説明する。
図6(a)は突条部53の先端部が第1規制部31に接触して変形を始めるときのストッパ部50の軸方向断面図であり、
図6(b)は変形中のストッパ部50の軸方向断面図である。
【0043】
なお、本実施の形態では、
図6(a)に示すように、脚部51を車両前後方向(矢印F−B方向)へ投影した領域と重なる突出部52の領域に、突条部53の先端部が設けられている。また、ブラケット部材20を車両前後方向(矢印F−B方向)へ投影した領域と、第1規制部31を車両前後方向へ投影した領域とが重なった領域に、ストッパ部50の脚部51が配置される。さらに、車両前後方向(矢印F−B方向)へ延びる仮想直線(図示せず)に直交する平面で切断したときにできる脚部51の断面の面積が、その平面と平行な平面で切断したときにできる突出部52の断面の面積より小さく設定されている。
【0044】
車両の前進加速時には、パワーユニット(図示せず)の移動によりブラケット部材20が車両後方(矢印B方向)へ移動する(
図2参照)。ストッパ部50と第1規制部31との間には所定の隙間が設けられているので、この隙間を速やかに埋めてストッパ部50(突条部53)は第1規制部31に当接する(
図6(a)参照)。このとき、側面部43と突出部52との間に形成されるすぐり部54が潰れながら、突出部52より断面積の小さい脚部51が圧縮変形されるので、ストッパ部50(突条部53)が第1規制部31に当接するときのショック感を抑制できる。また、ストッパ部50(突条部53)が第1規制部31に接触するときの接触音の発生を抑制できる。
【0045】
なお、ストッパ部50は、第1規制部31に突条部53が当接して突条部53が圧縮変形されるので、ショック感の抑制効果をさらに向上できると共に、突条部53が第1規制部31に接触するときに生じる接触音の抑制効果をさらに向上できる。
【0046】
また、突条部53は、突条状に形成されると共に車両左右方向(矢印L−R方向)へ延在するので、主たる振動の入力方向である車両上下方向(矢印U−D方向)の振動入力に対して突条部53をせん断変形させ易くできる。その結果、ストッパ部50の車両上下方向の動的ばね定数を小さくすることができ、車両の前進加速時にストッパ部50が作動したときのパワーユニットによる車両上下方向の振動入力、特に微振幅の振動伝達を抑制できる。
【0047】
図6(b)に示すように突条部53がほぼ潰れても、すぐり部54を潰しながら脚部51が圧縮変形される。脚部51は、車両前後方向(矢印F−B方向)へ延びる仮想直線(図示せず)に直交する平面で切断したときにできる脚部51の断面の面積が、その平面と平行な平面で切断したときにできる突出部52の断面の面積より小さく設定されるので、主たる振動の入力方向である車両上下方向(矢印U−D方向)の振動入力に対して脚部51をせん断変形させ易くできる。その結果、ストッパ部50の車両上下方向の動的ばね定数を小さくすることができ、ストッパ部50が作動したときのパワーユニットによる車両上下方向の振動入力を抑制できる。なお、脚部51はすぐり部54を潰しながら圧縮変形されるので、ストッパ部50のばね定数が急激に増大することを抑制できる。そのため、ショック感を抑制できる。
【0048】
なお、2つのすぐり部54は、車両左右方向両側(矢印L−R方向)にそれぞれ開口するので、すぐり部54を車両左右方向両側に開口させない場合と比較して、車両上下方向(矢印U−D方向)の振動入力に対して脚部51をせん断変形させ易くできる。その結果、ストッパ部50の変形が始まるときの車両上下方向(矢印U−D方向)の振動入力に対する動的ばね定数の上昇を抑制する効果を大きくできる。よって、ストッパ部50が作動したときの車体への振動伝達をさらに抑制できる。
【0049】
ここで、ストッパ部50が作動するとパワーユニットによる車両上下方向(矢印U−D方向)の振動が車体側に伝達され易くなるので、車両の前進加速時にストッパ部50が作動し難くなるように、ストッパ部50と第1規制部31との間隔を、側面部44(
図5参照)と第2規制部32(
図2参照)との間隔より大きく設定することは可能である。しかし、このように設定すると、マウント装置10の防振基体13の変位が大きくなるので、防振基体13の耐久性が低下するおそれがある。
【0050】
これに対し本実施の形態によれば、ストッパ部50が作動した後の車両上下方向の振動伝達を抑制できるので、車両の前進加速時にストッパ部50が作動し難くなるように、ストッパ部50と第1規制部31との間隔を側面部44(
図5参照)と第2規制部32(
図2参照)との間隔より大きく設定する必要がない。その結果、マウント装置10の防振基体13の変位が大きくなることを抑制することができ、防振基体13の耐久性が低下することを防止できる。
【0051】
なお、突条部53及びすぐり部54が完全に潰れると、その後、ストッパ部50がさらに車両後方(矢印B方向)へ移動するためには、ストッパ部50のゴム部分を圧縮変形させる必要がある。そのため、それ以上の変位をストッパ部50によって確実に規制できる。
【0052】
ここでストッパ部50は、突出部52が、脚部51の車両後方(矢印B方向)及びその車両上下方向(矢印U−D方向)両側へ突出し、脚部51に達する深さの有底の2つのすぐり部54が車両上下方向(矢印U−D方向)両側にそれぞれ開口する。よって、2つのすぐり部54が潰れていくときに、マウント装置10(
図2参照)の防振基体13に入力されるこじり方向の荷重を抑制できる。これにより、マウント装置10の姿勢を安定化できる。その結果、マウント装置10の防振基体13の耐久性を向上できる。
【0053】
また、仮にマウント装置10(
図2参照)の防振基体13にこじり方向の荷重が入力されたときも、圧縮変形したストッパ部50が復元されるときに、脚部51及び突出部52によって、ストッパ部50への入力荷重と同じ大きさで向きが反対の反力を発生させることができる。そのため、ストッパ部50が復元されるときの反力を利用してマウント装置10の変位を安定化させ、ひいては防振基体13の耐久性を向上できる。
【0054】
また、ストッパ部50は、脚部51が設けられるブラケット部材20を車両前後方向(矢印F−B方向)へ投影した領域と、第1規制部31を車両前後方向(矢印F−B方向)へ投影した領域とが重なった領域に脚部51が配置される。その結果、脚部51及び突出部52が復元されるときの反力を、脚部51が設けられるブラケット部材20に確実に作用させることができる。よって、マウント装置10の姿勢をさらに安定化できる。
【0055】
特に、本実施の形態によれば、車両前後方向(矢印F−B方向)視して、ボルトBによって第1取付具11が固定されたブラケット部材20の先端側の重心の位置が、脚部51を車両前後方向(矢印F−B方向)へ投影した領域と、第1規制部31を車両前後方向(矢印F−B方向)へ投影した領域とを重ねた領域に設けられる。よって、脚部51及び突出部52が復元されるときの反力を、ブラケット部材20側に確実に伝達できるので、マウント装置10の姿勢をさらに安定化できる。
【0056】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、突出部52に設けられた突条部53の数や大きさ、形状等は適宜設定することが可能であり、突条部53を省略することも可能である。
【0057】
上記実施の形態では、一例として液封入式防振装置をマウント装置10とする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば液封部を省略したマウント装置を採用することは当然可能である。この場合、マウント装置は筒状やブロック状等の適宜形状からなる弾性部材とすることが可能である。
【0058】
上記実施の形態では、第1取付具11にブラケット部材20を取り付け、ストッパ部50が形成されたストッパ部材40をブラケット部材20に被せる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1取付具11の軸方向(矢印U−D方向)長さを大きくして、第1取付具11の所定部が第1規制部31に対面するようにした場合には、第1取付具11にストッパ部材40を装着することは当然可能である。
【0059】
上記実施の形態では、ストッパ部50が、ブラケット部材20に被せられるストッパ部材40の一部である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ストッパ部50をブラケット部材20や第1取付具11と一体に加硫接着することは当然可能である。
【0060】
上記実施の形態では、ブラケット部材20側にストッパ部50を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、変位規制部材30(第1規制部31)にストッパ部50を設けることは当然可能である。この場合もブラケット部材20や第1取付具11と変位規制部材30(第1規制部31)との間にストッパ部50を介設させて、変位規制ができるからである。なお、この場合、変位規制部材30(第1規制部31)にストッパ部50を別部材として被着することは可能であるし、変位規制部材30(第1規制部31)にストッパ部50を一体に加硫接着することも可能である。
【0061】
上記実施の形態では、第1規制部31と対面する突出部52の端面をフラット状(平面状)に形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1規制部31と対面する突出部52の端面を曲面状(円筒面状や球面状等)とすることは当然可能である。これにより、第1規制部31に突出部52の端面が接触するときのショック感をより低減できる。
【0062】
上記実施の形態では、ストッパ部50に形成された2つのすぐり部54の深さ(矢印U−D方向寸法)を同一にする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。入力される荷重の方向等を考慮して、2つのすぐり部54の深さを互いに異ならせることは当然可能である。