【解決手段】清澄化器33で除去されないかなりの数の欠陥がシート11の使用不能な流入端及び遠端に分流されるように、撹拌機34が清澄化器33の流出口側から流入口側に移され、あるいは清澄化器34の基本形状が円筒形断面から双耳(またはガルウイング)形断面に変更され、ガラスシートの使用不能流入端を形成するであろうガラスは清澄化器33の耳に入り、1つまたは複数の清澄化器ベント35は、ベント35によって生じるいかなる均質性欠陥もガラスシート11の使用不能流入端に分流されるように、これらの耳に配され、清澄化器断面は円筒形清澄化器に比較して高められた清澄化効率のための高アスペクト比を有する溶融ガラス搬送装置。
【背景技術】
【0003】
代表的なガラス製造プロセスは、順に、原材料投入/混合/送出システム、ガラス溶融炉、溶融ガラス搬送システム、ガラス形成プロセス、及び切断/クリーニング/梱包/出荷のための完成ガラスハンドリングシステムを含む。
【0004】
図1は代表的な「オーバーフロープロセス」製造システム1を示す。溶融炉2が、温度及び化学組成が実質的に一様な液体ガラス16を清澄化器3に送り、清澄化器3は清澄化器ベント15を通していかなる気体混雑物も除去して、撹拌装置4としても知られる、撹拌機4に液体ガラス16を送る。1つないしさらに多くの撹拌子を有する撹拌機4はガラスを完全に均質化する。従来技術において、撹拌機4は、清澄化器3で生じ得るガラスの不均質性を除去するため、必ず清澄化器3の後に配置される。
【0005】
ガラス16は次いで冷却/状態調整区画5を通してボウル6に導き入れられ、降下管7内に下ろされ、降下管7と形成装置流入管8の間のジョイント14を通して、オーバーフロートラフ9の流入口に送られる。撹拌機4からトラフ9に流れる間、ガラス16,特にシート表面を形成するガラス16は均質なままでなければならない。ボウル6は流れる方向を水平から垂直に変え、ガラスの流れを停止させるための手段を提供する。ガラス16の流れを停止させるため、ニードル13が備えられることが多い。降下管7は2つの主機能を有する。降下管7はボウル6からトラフ流入管8にガラスを導き、シート形成装置に入るガラス16の流量を制御する。降下管7は、降下管7を特定の温度に維持することによりガラス16の所望の流量が所望の値に精確に維持されるように、慎重に設計される。清澄化器3,清澄化器ベント15,撹拌機4,冷却/状態調整区画5,ボウル6,ニードル13及び降下管7は、オーバーフロープロセスの、ガラス16を炉から流入管8の頂部に導き、状態調整する、ガラス搬送システム10を構成する。降下管7とトラフ流入管80の間のジョイント14により、点検/修理のためのシートガラス形成装置の取外しが可能になり、プロセス装置の熱膨張の補償の提供も可能になる。
【0006】
炉2から流出するガラス16は高温(1500℃〜1600℃)にあり、ニュートン液体であるが、気体混雑物欠陥を有し、均質な混合物ではない。搬送システム10は、気体混雑物またはその他の均質性欠陥が最小の、均質な状態で適切な温度(ほぼ1225℃)にあるガラスをオーバーフロー形成プロセスに搬送する。
【0007】
温度及び化学組成が実質的に一様でなければならない、搬送システム10からの溶融ガラス16は流入管8を通って、シート形成装置の、シート形成トラフ9に入る。特許文献1,2及び3に詳細に説明されている、ガラスシート形成装置はくさび形の形成装置9である。これらの特許文献は本明細書に参照として含まれる。ガラス16は次いでくさび形の形成装置9の両側面を流下し、底部尖端で合同して溶融ガラスのシート11を形成する。溶融ガラスシート11は次いで冷却されて、厚さが実質的に一様な固体ガラスシート12を形成する。
【0008】
原材料から溶融されたままのガラスは閉じ込められた気体の小さな泡を多く有する。そのような気泡は光学特性が必要とされるいずれのガラス製品においても欠陥と見なされる。視認できるかまたは製品の機能を妨害する大きさの気泡は除去されなければならない。そのような気泡を除去するためのプロセスは清澄化または脱ガス(本明細書では清澄化)と称される。清澄化は、ガラスが原材料から溶融された後に、ただしガラスが最終製品に形成される前に、行われる。光学品質ガラスにおいて、この清澄化プロセスは、貴金属、一般には白金または白金合金で構成された「清澄化器」(または精製器)内で行われる。清澄化プロセスは化学的プロセス及び物理的プロセスの両者である。ガラス溶融炉及び清澄化器をガラスが通過している間に気泡が大きくなるように、清澄化剤と称される、化学薬品がガラスに添加される。ガラス内の酸化物としてのヒ素またはアンチモンは好ましい清澄化剤であるが、有毒な材料である。スズは普通に用いられる別の清澄化剤であるが、清澄化剤としての効果は小さく、化学的に白金を攻撃して、小粒子をつくり、最終的には白金壁の破壊を生じさせる。セリウムも清澄化剤として用いることができるが、ガラスを黄色に着色する。これらは清澄化剤の中で最も用いられる清澄化剤であるが、他にも技術上既知の清澄化剤がある。
【0009】
光学品質ガラスは流路の乱れがしばしば均質性欠陥を生じさせるという点で独特である。そのような欠陥類は脈理と呼ばれ、製品に光学歪みを生じさせる。清澄化器は本明細書で論じられるようにバッフルを備えて構成されることが多い。バッフル及び1つないし複数の清澄化器ベント15は流れにかなりの乱れを生じさせる。このため、従来技術においては、清澄化器による不均質性が均質化されるように、撹拌機4は流路において清澄化器3の後に配置される。清澄化器及び撹拌機はいずれもほぼ1600℃の高温で動作する。撹拌機から吐出されたガラスは実質的に均質であるが、撹拌機4自体が、本明細書で論じられる、均質性欠陥を生じさせ得る。不均質性のさらなる発生を最小限に抑えるため、冷却/状態調整管5,ボウル6及び降下管7のガラス接触面は流路の乱れを最小限に抑えるために慎重に仕上げられる(平滑化される)。搬送システムにおいては、流れを、停滞流または再循環流の領域をつくらず、大気への暴露を最小限に抑えて、一様に維持することが望ましい。大気への暴露はガラスの化学成分の内のいくらかの気化をおこさせ、したがってガラスの組成及び特性を変化させ、おそらくは均一性欠陥を導入し得る。搬送システム内のガラスの温度は、光学欠陥になるであろうガラスの再結晶化(失透)を防止するため、ガラスの液相線温度より高温に維持されなければならない。多くの構成では自由表面を有するボウルは脈理欠陥及び失透欠陥のソースになり得る。
【0010】
清澄化装置は溶融ガラスからの気泡の除去が最適化されるように構成される。清澄化器は非常に大きいことが多く、ガラス接触表面は白金または白金合金でつくられるから、結果として製作コストが極めて高くなる。従来技術の清澄化プロセスでは、気泡は清澄化装置(清澄化器)の頂部まで上昇し、そこで清澄化器ベント15を通って大気に消散する。除去される気泡の大きさは清澄化器の寸法及び構造並びに溶融ガラスの粘性率(流動率)の関数である。ガラス工業において、これらの気泡は、小さい(直径がほぼ1mm未満)場合はぬか泡と呼ばれ、大きい場合はふくれと呼ばれる。ぬか泡は、直径が小さく、したがってガラスからの除去が一層困難であるから、第一義的な問題である。
【0011】
清澄化器の流入端の底で清澄化器に入るガラスぬか泡は、大気へのベントが配置されている、流出端で清澄化器の頂部まで上昇しなければならない。ガラス内のぬか泡の垂直方向速度は、ガラスの粘性率に反比例し、ぬか泡直径の二乗に比例し、ガラス密度の二乗に比例する。ガラスの粘性率は温度の強い逆関数であり、したがってガラスの温度を実用最高温度まで高めることは与えられた大きさのぬか泡の垂直方向速度を高めることになる。光学製品内のぬか泡の検出はその視認可能な面積の強い関数であり、したがってぬか泡の直径の二乗を品質規準として用いることができる。与えられたガラスに対し、清澄化プロセスにおけるガラス密度の変動は二次効果である。
【0012】
ガラス粘性率を実質的に低下させるに必要なほぼ1600℃の極めて高い温度においては、最高品質の耐火材料であってもガラスによって徐々に溶かされる。これは汚染物を導入し、ガラス内にさらにぬか泡も発生させ得る。従来技術においては、耐火壁の溶解によってガラスが汚染されないように、円筒形の白金または白金合金(本明細書では白金)のチューブがガラスに接触する全ての表面(壁)に用いられる。円筒形チューブは一般に、適切な強度及び断熱特性を有する、耐火材料(煉瓦)によって外部から支持される。清澄化器内のガラスは所要の高温に維持されなければならない。さらに、清澄化器の流入端に入るガラスは所望の清澄化温度まで加熱されなければならないことが多い。これは、(ガスまたは電気)加熱火室内への白金/耐火物清澄化器アセンブリの閉込めによるか、または電気加熱によってなされる。清澄化器の電気加熱は、外部に取り付けられた(通常は白金でつくられる)電気巻線によるか、または直接に円筒形白金チューブを通して電流を流し、よって熱を発生させるためにチューブの電気抵抗を用いることにより、達成される。
【0013】
20世紀前半の実用開始以来一般に用いられてきた従来技術の構造は、内部バッフルを備えているかまたはいない円筒形白金チューブである。今日までの主要な技術革新は、流路を変え、最適なぬか泡除去のためにぬか泡をトラップするためのバッフルの構造にあった。従来技術には内部自由表面を有するかまたは有していない清澄化器構造が含まれる。
【0014】
図2Aは従来技術の代表的なバッフル付清澄化器である。溶融ガラス16は、ガラス流入端23においてバッフル付清澄化器21に入り、流出端24から流出する。流出端24にはバッフル付清澄化器21の頂部にたまるぬか泡を逃すための、大気に通じる、ベント25がある。いくつかのバッフル26には穴22があり、穴22は、ガラスがバッフル付清澄化器21を通って流れる際の溶融ガラス16の平均滞留時間がより一様になるように溶融ガラス流を分布させるための大きさにつくられる。他のバッフル28は流路を垂直方向に動かすように構成される。バッフルも表面ぬか泡をトラップして、破裂して大気に消散する気泡様累積体にするから、ベント29はバッフルの前にあることが多い。
図2Bはバッフル付清澄化器21を通るぬか泡27の移動を示す。バッフル26及び28はバッフル付清澄化器21内のぬか泡27の経路を極めて曲りくねらせる。これにより、小さなぬか泡が合体して、より速く上昇するであろう、大きなぬか泡を形成する機会が大きくなり得る。
【0015】
図2A及び2Bに示される清澄化器の直径は0.382mであり、長さは2.5mである。ガラス流量は7.41メートルトン/日である。ガラスの粘性率は100ポアズ(10Pa・s)である。ぬか泡の直径は0.0007mである。これらのパラメータは式:
Q
1・d
12/η
1=Q
0・d
02/η
0
によって変えることができる。ここで、
Q=ガラスの流量、
η=ガラスの粘性率、及び
d=ぬか泡の直径、
である。
【0016】
従来技術の撹拌機4は1つないしさらに多くの回転素子を有する。最終回転素子の先端にあるガラスは渦にトラップされることが多い。この渦を出たガラスは回転運動及び主流路にあるガラスとは異なる時刻歴を有する。この結果、ガラスが販売され得る製品部分であれば、脈理均質性欠陥が生じ得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図2A】
図2Aは従来技術で知られているようなバッフル付円筒形清澄化器を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における、「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図4A】
図4Aは従来技術で知られているような「オーバーフロープロセス」の側面図である。
【
図4C】
図4Cは、「オーバーフロープロセス」に対して降下管内のガラス流がシートに現れる、
図4Aの線C−Cにわたる断面を示す。
【
図5】
図5は大気ベントの場所及びシートの流入端及び遠端に流れるガラスの場所における双耳形清澄化器の断面を示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態における、「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図7A】
図7Aは、本発明の一実施形態における、「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図7B】
図7Bは、本発明の一実施形態における、ガラス流量を変えるであろう撹拌機の断面を示す。
【
図8A】
図8Aは、本発明の一実施形態における、降下管の底に配された分流器を示す。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aの線B−Bにわたる、本発明の一実施形態における降下管の断面を示す。
【
図8C】
図8Cは、
図8Bの線C−Cにわたる、本発明の一実施形態における降下管の断面を示す。
【
図9A】
図9Aは、本発明の一実施形態における、コーナー丸みが十分大きい高アスペクト比双耳形清澄化器の断面を示す。
【
図9B】
図9Bは、本発明の一実施形態における、コーナーが鋭い高アスペクト比双耳形清澄化器の断面を示す。
【
図9C】
図9Cは、本発明の一実施形態における、コーナーが面取りされた高アスペクト比双耳形清澄化器の断面を示す。
【
図9D】
図9Dは、本発明の一実施形態における、コーナー丸みが中程度である高アスペクト比双耳形清澄化器の断面及び内部自由表面をもつ延長ベントの断面を示す。
【
図10A】
図10Aは、本発明の一実施形態における、コーナー丸みが十分大きく、底面が平坦な、高アスペクト比双耳形清澄化器の断面を示す。
【
図10B】
図10Bは、本発明の一実施形態における、コーナー丸みが十分大きく、底面がV字形の、低アスペクト比双耳形清澄化器の断面を示す。
【
図10C】
図10Cは、本発明の一実施形態における、双耳形状に改変された円筒形清澄化器の断面を示す。
【
図10D】
図10Dは、本発明の一実施形態における、双耳形状に改変された楕円形清澄化器の断面を示す。
【
図11A】
図11Aは、本発明の一実施形態における、傾斜清澄化器を備える「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図11B】
図11Bは、本発明の一実施形態における、機械式ガラス液面レベル測定器を有している清澄化器ベントの断面を示す。
【
図12A】
図12Aは、本発明の一実施形態における、傾斜清澄化器を備える「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図12B】
図12Bは、本発明の一実施形態における、レーザガラス液面レベル測定器を有している清澄化器ベントの断面を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態における、撹拌機がガラスを溶融炉から形成プロセスに流すポンプ作用を有する「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図14A】
図14Aは、本発明の一実施形態における、コーナー丸みが十分大きく、底面が浅いV字形の、高アスペクト比自由表面清澄化器の断面を示す。
【
図14B】
図14Bは、本発明の一実施形態における、コーナー丸みが十分大きく、底面がV字形の、低アスペクト比自由表面清澄化器の断面を示す。
【
図14C】
図14Cは、本発明の一実施形態における、頂部が平坦な形状に改変された円筒形自由表面清澄化器の断面を示す。
【
図14D】
図14Dは、本発明の一実施形態における、頂部が平坦な形状に改変された楕円形自由表面清澄化器の断面を示す。
【
図15A】
図15Aは、本発明の一実施形態における、全長自由表面をもつ傾斜清澄化器及び降下管−流入管接点にオーバーフロー装置を有する、「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図15B】
図15Bは、本発明の一実施形態における、清澄化器ベントに表面バッフルを有する
図15Aに示される全長自由表面清澄化器の断面を示す。
【
図16A】
図16Aは、本発明の一実施形態における、降下管−流入管接点におけるオーバーフロー装置の場所を示す。
【
図16B】
図16Bは、本発明の一実施形態における、オーバーフロー装置の上面図である。
【
図16C】
図16Cは、本発明の一実施形態における、オーバーフロー装置のガラス自由表面より下方に配されたオーバーフロー管の底を示す側断面図である。
【
図16D】
図16Dは、本発明の一実施形態における、オーバーフロー装置のガラス自由表面より上方に配されたオーバーフロー管の底を示す側断面図である。
【
図17A】
図17Aは、本発明の一実施形態における、ボウルへの双耳原理の適用形態の側面図である。
【
図17B】
図17Bは、本発明の一実施形態における、ボウルへの双耳原理の適用形態の端面図である。
【
図18】
図18は、本発明の一実施形態における、ボウルにオーバーフロー装置を有する「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図19】
図19は、本発明の一実施形態における、全長自由表面をもつ傾斜清澄化器を有し、ボウルにオーバーフロー装置を有する、「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図20A】
図20Aは高アスペクト比密閉清澄化器における丸みの一使用形態を示す。
【
図20B】
図20Bは高アスペクト比密閉清澄化器における丸みの別の使用形態を示す。
【
図20C】
図20Cは高アスペクト比密閉清澄化器における丸みの別の使用形態を示す。
【
図21A】
図21Aは高アスペクト比密閉清澄化器における面取りの一使用形態を示す。
【
図21B】
図21Bは高アスペクト比密閉清澄化器における面取りの別の使用形態を示す。
【
図22A】
図22Aは高アスペクト比自由表面清澄化器における丸みの一使用形態を示す。
【
図22B】
図22Bは高アスペクト比自由表面清澄化器における丸みの別の使用形態を示す。
【
図22C】
図22Cは高アスペクト比自由表面清澄化器における丸みの別の使用形態を示す。
【
図23A】
図23Aは高アスペクト比自由表面清澄化器における面取りの一使用形態を示す。
【
図23B】
図23Bは高アスペクト比自由表面清澄化器における面取りの別の使用形態を示す。
【
図23C】
図23Cは高アスペクト比自由表面清澄化器における面取りの別の使用形態を示す。
【
図24A】
図24Aは、本発明の一実施形態における、頂端倒立切妻屋根形状を有し、端が丸められた、6面清澄化器の断面を示す。
【
図24B】
図24Bは、本発明の一実施形態における、頂端倒立切妻屋根形状及び清澄化リブを有し、端が面取りされた、6面清澄化器の断面を示す。
【
図24C】
図24Cは、本発明の一実施形態における、頂端倒立ゴシック風アーチ屋根形状を有し、端が丸められた、6面清澄化器の断面を示す。
【
図24D】
図24Dは、本発明の一実施形態における、頂端倒立ゴシック風アーチ屋根形状及び清澄化リブを有し、端にコーナーベントを有する、6面清澄化器の断面を示す。
【
図25】
図25は、端が完全に丸められた、頂端倒立切妻屋根形状清澄化器を示す。
【
図26】
図26は、本発明の一実施形態における、多重断面を有する清澄化器を示す。
【
図27B】
図27Bは、本発明の一実施形態における、清澄化器の楕円形断面を示す。
【
図27D】
図27Dは、本発明の一実施形態における、清澄化器の長方形断面を示す。
【
図27E】
図27Eは、本発明の一実施形態における、清澄化器の端が面取りされた長方形断面を示す。
【
図27F】
図27Fは、本発明の一実施形態における、清澄化器の側面を湾曲させた長方形断面を示す。
【
図27G】
図27Gは、本発明の一実施形態における、清澄化器の、側面を湾曲させ、上面及び底面がアーチ形状の、長方形断面を示す。
【
図28A】
図28Aは、本発明の一実施形態における、5面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28B】
図28Bは、本発明の一実施形態における、6面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28C】
図28Cは、本発明の一実施形態における、清澄化リブを有する6面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28D】
図28Dは、本発明の一実施形態における、清澄化リブを有し、端が面取りされた、6面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28E】
図28Eは、本発明の一実施形態における、端が丸められた6面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28F】
図28Fは、本発明の一実施形態における、端が丸められ、面取りされた、6面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28G】
図28Gは、本発明の一実施形態における、端が丸められた7面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図28H】
図28Hは、本発明の一実施形態における、清澄化リブを有し、端が面取りされた、6面切妻屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29A】
図29Aは、本発明の一実施形態における、5面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29B】
図29Bは、本発明の一実施形態における、6面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29C】
図29Cは、本発明の一実施形態における、清澄化リブを有する7面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29D】
図29Dは、本発明の一実施形態における、清澄化リブを有し、端が面取りされた、6面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29E】
図29Eは、本発明の一実施形態における、底面が湾曲し、端が丸められた、5面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29F】
図29Fは、本発明の一実施形態における、端が丸められ、面取りされた、6面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29G】
図29Gは、本発明の一実施形態における、端が丸められた7面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図29H】
図29Hは、本発明の一実施形態における、清澄化リブを有し、端が面取りされた、6面ゴシック風アーチ屋根形状清澄化器の断面を示す。
【
図30】
図30は、本発明の一実施形態における、撹拌機がガラスを溶融炉から形成プロセスに流すポンプ作用を有する「オーバーフロープロセス」ガラスシート製造システムの基本構成部品を示す。
【
図31A】
図31Aは、本発明の一実施形態における、溶融炉フォアベイと撹拌機の間の接点の詳細を示す。
【
図31B】
図31Bは、本発明の一実施形態における、溶融炉フォアベイと撹拌機の間の接点の詳細を示す。
【
図33】
図33は溶融炉と清澄化器の間の流体連結の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ガラスを炉から形成プロセスに輸送し、状態調整する、搬送システムと称される装置に関する。オーバーフローダウンドロープロセスにおけるガラスの流れ特性は独特であり、搬送システムの新規な構成の、本発明に導いた特徴をもつ。本発明は搬送システムのコンポーネントパーツを再編成及び再設計し、オーバーフローダウンドロープロセスの品質要件にそぐわないと考えられていた装備の使用を可能にする。
【0030】
本発明は、清澄化器の形状に影響される、清澄化の物理的態様に関する。詳しくは、一実施形態において、本発明の清澄化器形状はオーバーフローダウンドローシートガラス製造プロセスの流れ特性に適合される。与えられたガラスに対し、清澄化プロセスにおけるガラス密度の変動は二次効果であり、したがって本発明ではガラスの粘性率及びぬか泡の面積が主に考察される。
【0031】
本発明の実施形態において用いられる清澄化器形状は、従来技術で用いられる円筒形清澄化器に比較して高められた清澄化性能を与えるために、高アスペクト比(高い幅対高さ比)を有することが好ましい。高アスペクト比清澄化器の例は、米国特許第7150165号明細書及び米国特許出願公開第2007/0084247号明細書に示される。これらの明細書は本明細書に参照として含まれる。
【0032】
本発明は、ガラス溶融炉からシート形成装置への従来技術のガラス搬送システム10をオーバーフローダウンドロープロセスに適合させるために大きく改変する。本発明は、ガラスを均質化し、ガラスからぬか泡及びふくれのほとんどを除去し、次いで残る欠陥のほとんどをオーバーフローダウンドロープロセスで形成されるガラスシートの使用不能な流入端及び遠端に分布させる、ガラス搬送システムを含む。本発明の2つの重要な要素は、清澄化器の流入口側への撹拌機の移設及び、清澄化器によって生じる欠陥が最終的にシートの使用不能な端に集まるような、清澄化器の設計である。そうではないことが別に示されない限り、実施形態の全てにおいて、撹拌機は清澄化器の流出口側から清澄化器の流入口側に移設される。
【0033】
本発明の利益を最大に引き出すためには、実施形態の全てをシステムとして同時に用いることが好ましいが、個々の実施形態のいずれも、選択的に用いることができ、あるいは相互に独立に実施することができる。本発明の実施形態の実際の生産への実施は、製造環境の変更はほとんど常に慎重になされるから、合理的段階を踏んでなされることになろう。
【0034】
本発明の実施形態の説明は、システムに実施され得るであろう順序及び説明が容易になる順序でなされる。他の実施順序は、また個々の実施形態の独立な使用も、本発明の精神の範囲内にある。
【0035】
図3は、撹拌機34が清澄化器の流出口側から清澄化器の流入口側に移設されている、搬送システム30の一実施形態を表す。清澄化器33の基本形状は、円筒形から、ガラスシートの使用不能流入端を形成するであろうガラスが清澄化器の耳57に入る、
図5,9A〜9D及び10A〜10Dに示されるような断面形状に変更される。清澄化器ベント35及び55は、ベントによって生じるいかなる均質性欠陥もガラスシートの使用不能流入端に分流されるように、これらの耳57に配置される。
【0036】
図4A〜4Cは、従来技術の「オーバーフロープロセス」において、降下管7内を流れるガラス16が最終的に形成ガラスシートになる態様を示す。
図4Bに示されるように降下管7の側面近傍のガラス流41は、
図4Cに示されるように最終的に板引きされたシートの中心を形成することになる。
図4Bに示されるように降下管7の前表面近傍のガラス流43はガラス表面全体にわたって分配されるが、
図Cに示されるように流入端においてシートのほぼ1/3にほとんど集中する。この表面ガラス43は、降下管表面及びボウル6内の停滞域のガラスにより、降下管7−流入管8の連結部14において乱される。残余の、シートの実質的に2/3の表面は
図4Bに示されるようにどこにも接触しない内部ガラス42で形成される。
図4Bに示されるようにほぼ45°の角度で前表面から対称にオフセットされた他の2つの領域のガラス流44は、最終的に
図4Cに示されるようにシートの流入端の使用不能近端区画45を形成することになる。
図Bに示されるようにほぼ180°の角度に中心をもつ別の領域46は
図Cに示されるように使用不能遠端区画47に進む。流入端区画45及び遠端区画47は
図4Cに示されるように厚さ及び平坦度の仕様を満たさず、よって販売できないシート部分を含む。本発明において、搬送システム、主として清澄化器の構造は、均質性欠陥及び残余ぬか泡欠陥の大部分がこれらの端区画に分流されるような構造である。
【0037】
図5は本発明の一実施形態の双耳(またはガルウイング)形清澄化器の清澄化器ベント55における断面50を示す。清澄化器ベント55は工場内の空気中に直接排出するかまたはベント付フィルタ及び/または真空システムに排出することができる。この清澄化器は、米国特許第7150165号明細書及び米国特許出願公開第2007/0084247号明細書に説明されるように、高められた清澄化性能を与えるために高い幅対高さ比を有する。清澄化器ベント55は清澄化器断面の耳57に配置される。清澄化器及び搬送システムの大きさは、これらの耳57を流過する領域54におけるガラスが形成されるシートの
図Cに示されるような領域44に流れるであろうような大きさである。よって、領域54において清澄化器ベントによりガラスに生じるいかなるガラス不均質性も最終的に、ガラスシートの使用不能流入端である、領域44に入ることになる。また、清澄化器ベント55近傍の、領域54まで上昇するが、ベント55にトラップされないぬか泡も、形成されるシートの領域44に流れるであろう。清澄化器内で耳57より上のベント内にあるガラスの自由表面58が示されている。自由表面58の垂直方向位置は本発明の意図される性能に影響を与えずにある距離59にかけて変わることができる。
【0038】
図6は、従来技術のボウル6が遷移区画66で置き換えられた、本発明の別の実施形態の搬送システム60を示す。遷移区画66により、冷却/状態調整管5から降下管7への平滑なガラス流が保証され、よって遷移区画66に自由表面はないことが保証される。清澄化器ベント35にあるガラス自由表面が、通常はボウル6にある自由表面に置き換わる。ガラス自由表面は降下管7内の流れの安定化に重要である。
【0039】
図7Aは、成形区画77により清澄化器73が撹拌機34の底部から出て、清澄化器73がベントを有していない、本発明の別の実施形態の搬送システム70を示す。この清澄化器は、米国特許出願公開第2006/0293162号明細書に説明されるように、溶融プロセス中にぬか泡が僅かしか発生しないガラスとともに用いるために構成される。この明細書は本明細書に参照として含まれる。ガラス溶融中に生じるぬか泡は、
図5に示されるように、清澄化器の耳57において領域54に上昇し、
図4Cに示されるような形成されるシートの領域44に流れるであろう。
【0040】
図7Bは撹拌機34の中心を通る断面図であり、2つの撹拌子71及び72を示す。溶融炉2からの溶融ガラス16は入口78で撹拌機34に流入し、回転している撹拌子71の脇を垂直に上昇して、仕切り74をこえる、自由表面75を形成し、次いで回転している撹拌子72の脇を垂直に下降し、次いで撹拌機34を出て清澄化器73に入る。
【0041】
従来技術では、降下管7が搬送システム10を通ってオーバーフロープロセスに向かうガラス流に対する主要な抵抗である。降下管内のガラス温度制御が流量を制御する。降下管7内のガラス粘性率分布を制御する、主として電気的な、加熱手段が降下管7内にある。降下管7内の静圧分布を決定するガラス自由表面がボウル6内にある。ガラス流を制御するための改善された方法が米国特許出願公開第2006/0016219号明細書で論じられている。この明細書は本明細書に参照として含まれる。
【0042】
図7Aの実施形態の搬送システム70において、撹拌機は自由表面75を有するが、撹拌機の下流の清澄化器73,冷却/状態調整管5,または遷移管66には自由表面はない。自由表面はガラス流の制御において重要な要素である。この実施形態70におけるガラス流は、清澄化器73,冷却/状態調整管5及び遷移管66における温度分布の、従来技術よりかなり強い、関数である。このため、ガラス流の制御において緩慢応答(狭制御帯幅)が生じ得る。緩慢応答を克服するため、撹拌機34のポンプ作用によって搬送システム内の静圧が制御される。
【0043】
ほとんどの撹拌子構造はポンプ作用を有する。米国特許第6763684号明細書は一例であり、本明細書に参照として含まれる。
図7Bは2つの撹拌子71及び72を示す、
図7Aの撹拌機34の断面である。この実施形態において、撹拌子71及び72の回転速度は搬送システム内の静水圧を変えるために用いられる。撹拌子71及び72は、構造を同じとすることも異ならせることもでき、同方向にも逆方向にも回転することができる。
【0044】
説明の目的のため、同方向に回転する、2つの同等の撹拌子71及び72があるとする。撹拌子71及び72は設計回転速度において中程度(ガラス柱でほぼ25〜250mm,本例ではガラス柱100mmとする)のポンプ作用がおこるように設計される。ポンプ作用は、撹拌子が回転しているときのガラス自由表面75の高さと撹拌子が回転していないときのガラス自由表面75の高さの間の差として測定される。撹拌子71及び72が静止しているとき、撹拌機34の入口78における溶融ガラス16の静水圧は、ニュートン液体流による圧力損のため、清澄化器入口73における溶融ガラス16の静水圧より若干高い。溶融ガラス16は、回転して静水圧を高める、撹拌子71の脇を上昇し、撹拌子71と同方向に回転して静水圧を低める、撹拌子72の脇を下降する。撹拌子が回転しているとき、撹拌機34の入口78及び清澄化器入口73における静水圧は未だ実質的に同じであるが、撹拌機チャンバ34内のガラスの自由表面75は、撹拌子が静止しているときより100mm(設計ポンプ作用)高い。ガラス流が減少したと判定されれば、清澄化器入口73における静水圧を高めることによって既定の値までのガラス流の迅速な増加を得ることができる。これは撹拌子71の回転速度を高め、撹拌子72の回転速度を低めることによって達成される。それぞれの撹拌子の回転速度の5%の変化で清澄化器入口73における静水圧の10%(ガラス柱10mm)の変化が生じるであろう。撹拌子71による混合にはほぼ5%の増加があり、撹拌子72による混合にはほぼ5%の低下があるであろうから、ガラスの均質化はほぼ同じままであろう。
【0045】
ガラス流量を制御するためのポンプ作用撹拌子速度変化方式は
図1に示される従来技術の構成に、本発明の他のコンポーネントを全く用いずに、直接適用できる。ボウル内に自由表面を有する搬送システムの実施形態においては、上述したような撹拌子の相対速度の変化がボウル内の自由表面の液面を高め、よって降下管内の流れに対する静水頭を高めるであろう。本発明の実施形態または従来技術に適用されるような撹拌機制御作用は、流れの制御帯幅を広げる。撹拌機制御作用は安定な熱制御が回復するまで流量誤差を補正するために用いられるであろう。回復時点で撹拌子回転速度は常態に戻るであろう。
【0046】
多くの工業プロセスでは、液体材料またはスラリー材料の混合またはポンピングにオーガータイプの装置が用いられる。本発明の搬送システムにおける撹拌機は1つないしさらに多くのオーガー、すなわち撹拌子を有することが好ましい。撹拌機の流出端は、主プロセス流と容易に混合しない、渦流領域である。この領域にある程度トラップされた材料は一般に、主プロセス流とは異なる材料特性及び/または物理特性を有し、主プロセス流内の材料と同質ではない。この材料が主プロセス流と混ざるときに、オーガー、すなわち撹拌子の先端から流れるこの非同質材料によって生じる製品内の欠陥は、オーガースポットとして知られる。
【0047】
図7Bを参照すれば、成形区画77は、撹拌子72の先端79から流れる非同質ガラス76が
図5に示されるような清澄化器50の領域56を通って流れ、よって
図4Cに示されるような形成されたシートの遠端における領域46に流れるように設計される。したがって、撹拌子72の先端79からのガラスはガラスシートの販売できる領域に欠陥を生じさせない。この実施形態は、本発明の実施形態では清澄化器33,73の流入口側,または従来技術の清澄化器3の流出口側に配置された撹拌機34とともに用いることができる。撹拌機34を流入口側に移設することが好ましい。
【0048】
図7Cは、撹拌子72の先端79に対する成形区画77の形状を示す、撹拌子72の中心を通る断面図である。
【0049】
搬送システムの壁面近傍を流れるガラスには、組成勾配(脈理)、ぬか泡及び、スズ清澄化ガラスの場合に、白金粒子を含む、不均質性が発現する。清澄化剤として用いられる、ガラス中のスズは、白金を攻撃し、よって白金粒子を生じさせる。白金はガラスより密度が高く、したがって白金粒子は通常、搬送システムの底まで重力によって運ばれるであろうが、高い表面積対体積比を有する白金粒子はいずれも搬送システム壁面近傍を流れ続けるであろう。
図4Bに戻って参照すれば、領域41及び43において壁面近傍を流れるそのような粒子は、最終的には、形成されるガラスに、
図4Cに示されるような対応する領域に取り込まれることになろう。
【0050】
米国特許第6889526号明細書には
図4Bの領域43のガラス流を
図4Cに示される使用不能端区画45に分流するための手段が論じられている。この明細書は本明細書に参照として含まれる。米国特許第6895782号明細書には
図4Bの領域41及び43のガラス流を
図4Cに示される使用不能端区画45及び47に分流させるための手段が論じられている。この明細書も本明細書に参照として含まれる。
【0051】
図8A〜8Cは、搬送システム実施形態10,30,60及び70のいずれかまたは全てに組み込むことができる、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は降下管7の出口端に一組のフローバッフル81及び83を有する。これらのバッフル81及び83の上面は降下管7の内表面に対してある角度82で傾けられている。角度82は−10°から45°まで変わる。
図4Bと8Bを比較すると、
図8Bに示されるフローバッフル81及び83は降下管7のガラス流41及び43と同じ角度の場所に配置され、したがってこれらの領域のガラス流を
図4Bに示されるような降下管7の領域44及び46に分流することが示される。これらのフローバッフル81及び83はガラス流を
図Bの領域41及び43から
図4Cに示される使用不能端区画45及び47に分流するための別の手法である。この実施形態は、本発明の実施形態においては清澄化器の流入口側に、または従来技術のように清澄化器の流出口側に、配置された撹拌機とともに用いることができる。
【0052】
図9A〜9Dは、本明細書で「ガルウイング」と称される形状の、双耳形清澄化器断面の様々な実施形態を示す。
図9Aの実施形態は
図5に示される断面と同じであるが、清澄化器ベントの場所の断面ではない。エンドコーナーと直線区画の間全体に十分大きな丸み91がある。
図9Bの実施形態は、全体形状は同じであるが、コーナー93と直線区画の間の形状には、丸みはなく、面取りもされていない。
図9Cの実施形態では直線区画との間に面取りされたコーナー94がある。
図9A,9B及び9Cの実施形態は断面に自由表面がないとして示される。
図9Dの実施形態は端に小さな丸み95を有し、耳57に自由表面区画99を有する。自由表面区画99は、
図11A及び11Bに示されるように、撹拌機に向かってある距離112だけ戻る、ベントの延長区画である。これにより、一層大きなガラス自由表面98の面積が得られる。自由表面98の長さ112は、望ましければ、清澄化器の全長とすることができる。自由表面98は冷却/状態調整区画5に延び込むことさえできる。
図9Bを参照すれば、清澄化器の耳57間の幅96に対する清澄化器の全幅97の比は1.15と2.25の間である。好ましい実施形態において、この幅比は1.25と1.75の間である。
【0053】
図10A,10B,10C及び10Dは双耳形清澄化器断面の別の実施形態を示す。
図10Aの実施形態は
図9と同じであるが、底面101が平坦である。
図10Bの実施形態は、V字形及び十分大きな端部丸み106を形成する、底部区画102を有する。この実施形態の利点は、ガラス内のいかなる重粒子も、シートの使用不能遠端を形成するであろう、区画56に移動するであろうということである。これは、スズ清澄化ガラスにおいて、スズが搬送システムの白金壁を攻撃する結果、大白金粒子が生じていれば、有用であろう。
図10Cの実施形態では従来技術の円筒形清澄化器が双耳形に改変されている。底面103は円形であり、耳は小さな丸みで形成されている。この実施形態は円筒形清澄化器の構造保全性の大部分を受け継いでいるであろうが、平清澄化器ほどの清澄化効率は有していないであろう。
図10Dの実施形態は双耳楕円形清澄化器である。底面104は大きな楕円形であり、2つの耳57は、丸みでつながれた2つの小さな楕円105で形成される。この清澄化器は
図10Cの双耳円筒形清澄化器より高い清澄化効率を有するであろう。
【0054】
清澄化器高に対する清澄化器断面積の比は、清澄化器構造の相対清澄化性能の指標である。流れに対する面積が大きくなるほど、溶融ガラスの清澄化器通過速度は遅くなり、ぬか泡上昇のための時間を長くとることができる。清澄化器高が小さくなるほど、ぬか泡が上昇しなければならない距離が短くなる。2つのパラメータの比は、本明細書で「性能比」と称される、別のパラメータを与える。性能比が高くなるほど、清澄化器のぬか泡除去効率が高くなる。性能比は、清澄化器の断面形状が一層複雑になったときは特に、性能の正確な規定ではなく、良度指数である。
【0055】
図20〜29は米国特許第7150165号明細書及び米国特許出願公開第2007/0084247号明細書に教示される様々な清澄化器断面を示す。
図27A〜27Hの断面形状は全て同じ周囲長を有し、したがって、構造コストは実質的に等しい。表1は、それぞれの断面形状に対する、高さ、幅、断面積、幅対高さ比(アスペクト比)及び性能比を示す。全ての形状の周囲長は同じであり、長さの単位で1.0に規格化され、よって表1における比較は原材料のコストが同じである形状間の比較である。様々な形状の性能比(=[断面積]/[高さ])間の比較を簡易にするため、従来技術の円筒形清澄化器(
図27A)の性能比を1.0に調整してある。これは[面積]/[長さ]を4倍することで行った。
【0057】
図27Aは従来技術で既知の円筒形断面を示す。円筒形清澄化器は、1.00のアスペクト比及び1.00の性能比を有する。対照的に、本発明の清澄化器の断面形状は、好ましくも、1.00よりかなり大きい幅対高さ比(アスペクト比)を有する。清澄化器のアスペクト比は1.50以上であることが好ましい。好ましい実施形態において、清澄化器のアスペクト比はほぼ3.00である。別の好ましい実施形態において、清澄化器のアスペクト比はほぼ6.00である。
【0058】
図27Bは、アスペクト比が3.00の、本発明の清澄化器の楕円形断面を示す。その性能比は1.41であり、
図27Aの円筒形断面よりも迅速にぬか泡を除去することを意味する。
【0059】
図27Cは清澄化器の正方形断面を示す。その性能比は1.00であるから、ぬか泡は
図27Aの円筒形断面をもつ清澄化器とほぼ同じ効率で除去される。
【0060】
図27Dは本発明の清澄化器の長方形断面を示す。この清澄化器は3.00のアスペクト比及び1.50の性能比を有する。この清澄化器は、
図27Aに示される円筒形断面をもつ清澄化器、または
図27Cに示される正方形断面をもつ清澄化器よりかなり迅速にぬか泡を除去する。
【0061】
図27E,27F,27G及び27Hは実質的に長方形の断面をもつ清澄化器の様々な実施形態である。これらの実施形態は全て3.00のアスペクト比を有する。
図27Eの清澄化器は、側面またはコーナーが好ましくは面取りされているかまたは湾曲している、長方形断面を有する。
図27Fは、側面が丸められているかまたは湾曲している、長方形断面を示す。
図27Gは、側面が丸められているかまたは湾曲し、上面及び底面がアーチを描く、長方形断面を示す。この形状は構造剛性を高める。
図27Hは、上面278及び底面279が平行ではないことを除き、
図27Gの形状と同様である。
図27Gの平行な上面278と底面279の中心における流速は側面271における流速より若干速い。
図27Hの断面は、上面278より大きいアーチを描き、中心における垂直距離270を若干小さくする、底面279を有する。この変形断面はいずれも、中心におけるガラスの相対速度を緩め、ぬか泡が上昇しなければならない距離を縮める。これにより、清澄化器の幅のより大きな比率にわたって清澄化性能が等化される。
【0062】
図28A〜28H及び
図29A〜29Hは、高められた清澄化能力を提供する、別の清澄化器形状を示す。
図28A〜
図28Hにおいて、清澄化器の上部は、ぬか泡が大気ベントでより容易に消散されるであろう清澄化器の中心へのぬか泡の移動を可能にするための、挟角280が鈍角の頂端または稜283を有する切妻屋根形状をもつ。本発明のいくつかの実施形態において、清澄化器の頂端283へのぬか泡の移動は、清澄化器の上面281に取り付けられた狭幅清澄化リブ296によって強化される。これらの清澄化リブ296は清澄化器上面281の構造強化も与える。
【0063】
図28Aは、中心283が鈍角280の、傾斜切妻屋根281を有する5角形である清澄化器断面を示す。断面の側辺284は平行である。鈍挟角280は180°に近づくから、全体形状は実質的に長方形である。中心の高さ288は側の高さ289より大きい。
図29Bは、上面281と対向底面282が平行であり、側面284が平行である、6面の清澄化器断面を示す。幅297をもつルーフベント298も設けられる。
図28Cは、上面281と対向底面282が平行であり、側面284が上面及び底面に対して垂直な、6面の清澄化器断面を示す。中央開口295をもつ清澄化リブ296も示される。
図28Dは、側面284に面取り285を1つもつ、
図28Bの断面を示す。中央開口295をもつ清澄化リブ296も示される。幅297をもつルーフベント298も設けられる。
図28Eは、6面及び丸み286が付けられた側面284を有し、上端丸み286と下端丸み286の大きさは異なる。
図28Eの上面284と底面282は平行ではなく、底面282は中心283における高さ288が側面284の高さ289より小さくなるような角度に折り曲げられている。
図28Fは、上端に面取り285が施され、側面284の底に丸み286が付けられた、
図28Bの断面を示す。ルーフベント298も設けられている。
図28Gは、側面284全体に丸み286が付けられた、
図28Cの断面を示す。
図28Gは、中心における高さ288が側面284の高さ289より大きくなるような、水平な底面区画287も有する。
図28Hは側面284に面取り285が施された、
図28Dの断面を示し、面取りの大きさは異なる。ルーフベント298も設けられる。
【0064】
図29A〜29Hにおいて、清澄化器の上面は、ぬか泡が大気ベントでより容易に消散されるであろう清澄化器の頂端283へのぬか泡の移動を可能にするような頂端283を有する、ゴシック風アーチ形状291を有する。本発明の好ましい実施形態のいくつかにおいて、清澄化器の頂端283へのぬか泡の移動は、清澄化器の上面291に取り付けられた狭幅リブ296によって強化される。これらの清澄化リブ296は清澄化器上面291の構造強化も与える。
【0065】
ゴシック風アーチ形状291は
図28A〜28Hの直辺上面281に優る構造改善である。高い動作温度において、清澄化器の直辺無支持白金ルーフ281は変形し易い。対照的に、ゴシック風アーチ291は変形に抗する本質的構造剛性を有する。内部にガラス自由表面がない清澄化器は、清澄化器がガラスで満たされると、清澄化器内のガラスの静水頭が耐火性支持材料に白金を押し付ける力を提供するから、始動状態中の変形問題を第一義的に有するであろう。上面281及び291の変形は、ガラスが内部ガラス自由表面を有する清澄化器に対して、最も重大な問題である。
【0066】
図29Aの上面291は頂端または稜283における挟角180が鈍角であるゴシック風アーチの形状を有し、側面284における挟角290が鈍角であって、底面292が平坦で、側面284が平行である。
図29Bは、頂端283に幅297をもつ(稜ベントとも称される)頂端ベント298を有する、ゴシック風アーチの形状の上面291を有し、底面292の輪郭が上面291から等距離にあり、側面284が平行である。
図29Cは、ゴシック風アーチの形状の上面291を有し、底面292の輪郭が上面291から等距離にあり、側面284が底面292に対して直角をなす。
図29Cは、中心における高さ288が側面284における高さより大きくなるような、水平底面区画287も有する。中央開口295をもつ清澄化リブ296も示される。
図29Dは、側面284に面取り285を1つ有する、
図29Bの断面を示す。中央開口295をもつ清澄化リブ296及び頂端ベント298も示される。
図29Eは、ゴシック風アーチの形状の上面291を有し、底面292に側面284における高さ289より小さい頂端283からの垂直距離288を有するように輪郭がつけられ、端に半径が異なる丸み286付けられている。
図29Fは、側面284の上端に面取り285が施され、下端に丸み286が付けられた、
図29Bの断面を示す。
図29Gは、側面284全体に丸み286が付けられた、
図29Cの断面を示す。
図29Hは、側面284に、大きさが異なる、面取り285が施された、
図29Dの断面を示す。
図29Hには、中央開口のない清澄化リブ296及び幅297をもつ頂端ベント298も示される。
【0067】
図28F,28H,29F及び29Hは上面281及び291に結合された構造素子299も示す。この構造素子は頂端ベントを一定の幅297に維持する。好ましい実施形態において、構造素子299はその表面がガラス流の方向に平行なウエブである。ウエブ299は、必要な構造強度を与えるため、頂端283に沿って間隔をおいて配される。別の好ましい実施形態において、ウエブは清澄化リブ296の間の距離にわたるが、清澄化リブ296から頂端ベント298内へのぬか泡の移動を可能にするため、清澄化リブにおいて開口を有する。別の好ましい実施形態において、構造素子は、所要の構造強度を与えるための、頂端283に沿って間隔をおいて配されたストラットである。
【0068】
図28C,28D,28H,29C,29D及び29Hに示される清澄化リブ296は清澄化器の上面281に沿ってガラス流の方向に移動しているぬか泡をトラップする。清澄化リブ296は特定の形状のバッフルである。清澄化リブは主に清澄化器の上面281に取り付けられ、上面から清澄化器の高さのほぼ5〜40%まで下方に広がる。ぬか泡のトラッピングに加えて、清澄化リブは清澄化器の上面の構造強化も与える。トラップされたぬか泡は集合して大きなぬか泡になり、次いで浮力によって稜または頂端283に移動する。
図28C,28D,29C及び29Dにおいて、清澄化リブは、ぬか泡が上昇してルーフベント298に入り、ガラス流の方向に移動して清澄化器の流出端にある大気ベントに向かう、ルーフベント298のエッジ295で終端するとして示される。
図28H及び29Hにおいて、清澄化リブ296は清澄化器の頂端283にかけて広がり、構造素子299の態様で構造剛性を与える。清澄化リブ295の頂部は、ぬか泡が上昇してルーフベント298に入り、ガラス流の方向に移動して清澄化器の流出端にある大気ベントに向かうように、頂端ベント298に対して開いている。
【0069】
図28B,28F,29B及び29Fに示される頂端ベント298は丸みが付けられた断面を有し、一方、
図28D,28H,29D及び29Hに示される頂端ベント298は長方形の断面を有する。断面は、代わりに、コーナーが丸められているかまたは面取りされている、三角形、台形、または五角形、等とすることができる。頂端ベント298は清澄化リブ296とともに、清澄化リブ298の作用によって頂端283の領域に移動したぬか泡の、清澄化器の流出端にあるベントへの容易な移動を可能にするようにはたらく。
【0070】
図20A,20B及び20Cは、密閉清澄化器に対して清澄化効率を最大にするであろう、丸みの大きさの範囲を示す。
図20Aにおいて、清澄化器の中心における高さは参照数字203で示され、総幅は参照数字201で示される。清澄化器は、ガラスの自由表面208の幅207が清澄化器の幅201の75%より小さければ、密閉清澄化器と見なされる。
図20B及び20Cに示されるような、上面が水平であってガラスが全幅にわたって上面に接する長方形清澄化器は密閉清澄化器と見なされる。
図20Aは、清澄化器内のガラスの高さ202の20%に等しい丸み204を側面と交わる底面端に有し、清澄化器内のガラスの高さ202の20%に等しい丸み205を側面と交わる上面端に有する。
図20Bは、清澄化器内のガラスの高さ202の50%に等しい丸み204を側面と交わる底面端に有し、清澄化器内のガラスの高さ202の50%に等しい丸み205を側面と交わる上面端に有する。
図20Bにおいて丸みは等しく、清澄化器の側面全体にわたる。
図20Cにおいて、側面と交わる上面端の丸み205は清澄化器内のガラスの高さ202の20%に等しく、側面と交わる底面端の丸み204は清澄化器内のガラスの高さ202の50%に等しい。20%〜50%の範囲内の上面端丸みと底面端丸みのいずれの組合せも、用いられる白金の量に対する清澄化器の効率を高めるであろう。
【0071】
図21A,21B及び21Cは、密閉清澄化器に対して清澄化効率を最大にする面取りの大きさの範囲を示す。清澄化器は、ガラスの自由表面208の幅207が清澄化器の幅201の75%より小さければ、密閉清澄化器と見なされる。上面が水平であってガラスが全幅にわたって上面に接する長方形清澄化器は密閉清澄化器と見なされる。
図21Aにおいて、側面と交わる底面端の面取り214は清澄化器内のガラスの高さ202の14%を占めて45°に等しく、側面と交わる上面端の面取り215は清澄化器内のガラスの高さ202の14%を占めて45°に等しい。
図21Bにおいて、側面と交わる底面端の面取り214は清澄化器内のガラスの高さ202の30%を占めて45°に等しく、側面と交わる上面端の面取り215は清澄化器内のガラスの高さ202の30%を占めて45°に等しい。
図21Cにおいて、側面と交わる上面端の面取り215は清澄化器内のガラスの高さ202の14%を占めて45°に等しく、側面と交わる底面端の面取り214は清澄化器内のガラスの高さ202の30%を占めて60°に等しい。清澄化器内のガラスの高さ202の14%〜30%を占める45°と60°の間の上面端面取りと底面端面取りのいずれの組合せも、用いられる白金の量に対する清澄化器の効率を高める。
【0072】
図22A,22B及び22Cは、自由表面清澄化器に対して清澄化効率を最大にする丸みの大きさの範囲を示す。清澄化器は、ガラスの自由表面228の幅227が清澄化器の幅221の75%より大きければ、自由表面清澄化器と見なされる。
図22Aは、上面端丸み225及び底面端丸み224が清澄化器断面の高さ223の1/2に等しい、半円形側面をもつ自由表面清澄化器を示す。
図22Bにおいて、側面と交わる底面端の丸み224は清澄化器内のガラスの高さ222の71%に等しく、側面と交わる上面端の丸み225は清澄化器の高さ223の20%に等しい。
図22Cは、清澄化器内のガラスの高さ222の20%に等しい、側面と交わる底面端の丸み224を有する。清澄化器の高さの0%〜50%の範囲内の上面端丸みと清澄化器内のガラスの高さの20%〜71%の範囲内の底面端丸みのいずれの組合せも、用いられる白金の量に対する清澄化器の効率を高める。
【0073】
図23A,23B及び23Cは、自由表面清澄化器に対して清澄化効率を最大にする面取りの大きさの範囲を示す。清澄化器は、ガラスの自由表面228の幅227が清澄化器の幅221の75%より大きければ、自由表面清澄化器と見なされる。
図23Aにおいて、側面と交わる底面端の面取り234は清澄化器の高さ223の30%を占めて45°に等しく、側面と交わる上面端の面取り235は清澄化器の高さ223の30%を占めて45°に等しい。
図23Bにおいて、側面と交わる底面端の面取り234は清澄化器内のガラスの高さ222の71%を占めて45°に等しく、側面と交わる上面端の面取り235は清澄化器の高さ223の20%を占めて45°に等しい。
図23Cにおいて、清澄化器の側面と交わる上面端に面取りはなされていない。
図23Cは、清澄化器の高さ223の30%を占めて45°に等しい、側面と交わる底面端の面取り234を有する。清澄化器の高さの0〜30%を占める45°〜60°の範囲内の上面端面取りと清澄化器内のガラスの高さの30%〜71%を占める45°〜60°の範囲内の底面端面取りのいずれの組合せも、用いられる白金の量に対する清澄化器の効率を高める。
【0074】
図24A〜24Dは、頂端が下向きにされ(倒立され)、外縁端244が清澄化器断面の垂直方向で最も高い部位である、頂端倒立清澄化器の実施形態を示す。
図25は
図24Aの断面と同様の断面をもつ清澄化器251の斜視図である。ガラスは流入端253で清澄化器251に入る。これらの実施形態において、ぬか泡は2つの外縁端まで上昇し、清澄化器251の流出端254の上面全体にわたるベントまたは清澄化器251の流出端254にある2つの独立ベントに放散される。この形状は特に単一中央流出口254に適用できる。
【0075】
図24Aは倒立頂端243で鈍角240をなす平坦底面要素242を示す。上面要素241は底面要素242に平行である。側面244は等しい丸み246によって底面及び上面に接続される。
図24Bは倒立頂端243に接続された平坦底面要素を示す。上面要素241は底面要素242に平行である。側面244は不等面取り245によって底面及び正面に接続される。上面にわたって連続な清澄化リブ247は、ベント255に向かうぬか泡の流れを可能にするため、それぞれの上部外端コーナー249で終端する。
図24Cは、倒立ゴシック風アーチの形状を有する、倒立頂端243において鈍角240をなす湾曲底面要素242を示す。上面要素241は底面要素242から等距離にある。側面244は不等丸み246によって底面及び上面に接続される。
図24Dは倒立頂端243に接続された湾曲底面要素242を示す。上面要素242は底面要素242から等距離にある。側面244は鈍角をなして底面要素242に接続される。側面244は、ぬか泡を流出端ベント255に向けて導く、コーナーベント248によって上面要素241に接続される。上面にわたって連続な清澄化リブ247は、流出端ベント255に向かうコーナーベント248内のぬか泡の流れを可能にするため、それぞれの上部外端コーナー249で終端する。倒立切妻屋根清澄化器の好ましい実施形態は140°の鈍挟角240を有する。190°と90°の間の鈍挟角240も本発明の精神の範囲内にある。倒立ゴシック風アーチ屋根清澄化器の好ましい実施形態は160°の頂点鈍挟角240及び130°の縁端鈍挟角250を有する。さらに、頂端鈍挟角240に対しては178°〜130°の範囲内であり、縁端鈍挟角に対しては160°〜90°の範囲内である、鈍挟角も本発明の精神の範囲内にある。
【0076】
図26は、多重断面を有する、流入端263,流出端264及び2つの大気ベント265をもつ清澄化器261の例を示す。この清澄化器261の形状は、流入端263から清澄化器261のある長さの部分までの断面が長方形であり、初めに端に丸みが付けられた長方形断面266に遷移し、次いで端に丸みが付けられた頂端倒立形断面262に遷移して、最後に円形断面の流出端264に遷移する。
図26の断面は異なるアスペクト比も有する。長方形流入口のアスペクト比は2である。端に丸みが付けられた長方形断面266及び端に丸みが付けられた頂端倒立形断面262のそれぞれのアスペクト比は3である。円形断面流出口のアスペクト比は1である。
図26の断面及びアスペクト比の組合せは、本明細書に説明される断面及びアスペクト比をどのようにして組み合わせて多重断面清澄化器にすることができるかの例に過ぎない。
【0077】
好ましい実施形態において、清澄化器断面はその長さに沿って変わり、
図20〜29に示される断面を含み、
図5,
図9A〜9D及び
図10A〜10Dの断面も含む、米国特許第7150165号明細書及び米国特許出願公開第2007/0084247号明細書の断面が参照として含まれる。
【0078】
図11A及び11Bは、清澄化器113内に大きな自由表面118を有し、ガラス自由表面液面レベル測定器117を備える、本発明の実施形態110を示す。
図9Dに示されるような自由表面区画97は清澄化器ベント115から逆方向に撹拌機34に向かってある距離112まで延びる。清澄化器は、自由表面118の深さが一定になるようなある角度119で下方に傾斜する。角度119は清澄化器113内を流れるガラスの液頭損失に適合するように設計される。自由表面区画97の長さ112は、望ましければ、清澄化器の全長とすることができる。自由表面区画97は冷却/状態調整区画5に延び込むことさえできる。
【0079】
図11Bは、従来のガラス接触型液面レベル測定器117が用いられる、本発明の一実施形態を示す。ガラス工業では50年以上にわたりガラス接触型液面レベル測定器が用いられてきた。ガラス接触型液面レベル測定器は適度に信頼でき、安価であるが、販売され得る製品になる領域に液面レベル測定器が接触するとガラス製品に欠陥を残すことが多い。ガラス接触型液面レベル測定器は、液面レベル測定器が接触するガラスは最終的に、
図Cに示されるような、形成されたガラスシートの使用不能流入端45になる、清澄化器ベント115の1つに装着されるから、本発明で用いることができる。
【0080】
図12A及び12Bは、清澄化器123内に大きな自由表面118を有し、ガラス自由表面レベル測定器127を備える、本発明の実施形態120を示す。ガラス工業ではほぼ30年にわたりレーザ液面レベル測定器が用いられている。レーザ液面レベル測定器は信頼できるが、ガラス自由表面118からの反射が可能になる視線が必要である。
図1に示されるような従来のボウル6にレーザ液面レベル測定器を装着することは困難であるが、双耳型清澄化器の頂端の長い軸距離122により、装着に十分以上の余裕が得られる。レーザ液面レベル測定器は、大気にさらされるガラスは最終的に、
図Cに示されるような、形成されたガラスシートの使用不能流入端45になる、清澄化器ベント115の1つに装着されるから、本発明で用いることができる。
【0081】
図13は、溶融炉2から形成プロセスにガラスを流すための静水圧を与えるポンプ作用を撹拌機が有する、本発明の別の実施形態130を示す。米国特許第6763684号明細書はポンプ作用をもつ撹拌子の一例を開示している。この明細書は本明細書に参照として含まれる。清澄化器133は、溶融炉内のガラス自由表面136のガラス液面が冷却/状態調整管135の底138から垂直方向にある距離137だけ下になり、よって撹拌子が静止しているときには重力によりシート形成プロセスにガラスが流れないように、上方にある角度139で傾けられている。撹拌機34の撹拌子は、重力に打ち勝ち、冷却/状態調整管135の底138から垂直方向で上方にガラス液面を上げ、よってシート形成装置へのガラス流を与えるに十分な静水圧をつくるように工作される。この実施形態は、
図1に示される従来技術のニードル13に対する、シート形成プロセスへの流れを停止させるための代替方法である。
【0082】
図14A〜14D,
図15A及び15B,及び
図16A〜16Dは、販売できるガラスシート領域をスズによる白金への攻撃によって生じる白金粒子が汚染することを防止する、本発明の実施形態を示す。清澄化器153または冷却/状態調整区画155でつくられるいかなる白金粒子も、降下管7−流入管158の接点14においてガラスオーバーフロー装置によって排気することができる、ガラス流路領域に閉じ込められる。
【0083】
図14A〜14Dは、清澄化器の幅の大半にわたる自由表面148を有する、清澄化器断面を示す。この広い自由表面148の利点は、ガラス内のスズが清澄化器上面の白金に接触せず、したがって白金を化学的に攻撃しないことである。
図14Aの実施形態は、十分に大きい端丸み147,平坦な上面149及び浅いV字形の底面141を有する。
図14Bの実施形態は、V字形をつくる底面区画142及び十分に大きい端丸み146を有する。これは、大白金粒子がスズ清澄化ガラスにおいてスズが搬送システムの白金壁を攻撃する結果である場合に、有用であろう。
図14Cの実施形態は平坦上面149を有するように改変された円筒形清澄化器143である。この実施形態は自由表面148を有する。この実施形態は円筒形清澄化器の構造保全性をかなり大きく引き継いでいるであろうが、高アスペクト比清澄化器ほどの清澄化効率は有していないであろう。
図14Dの実施形態は楕円形清澄化器である。底面144は大きな楕円であり、上面は平坦上面149でつなぎ合わされた2つの小さな楕円145で形成される。この実施形態は自由表面148を有する。この清澄化器は
図14Cの円筒形清澄化器より高い清澄化効率を有するであろう。広い上部自由表面148をもつ清澄化器断面の利点は、ガラス流の中心に落ち込む白金粒子はないことである。重量対体積比の小さい粒子は縦面及び底面の近傍にとどまる。重量対体積比の大きい粒子は縦側面を下って底面に移動する。V字形底面及び丸められた底面の実施形態の利点はガラス内の重量対体積比の大きい粒子はいずれも、シートの使用不能遠端を形成する区画56に移動することである。
図14A〜14Dの清澄化器に示される平坦上面149は白金使用量に関して最も経済的である。アーチ型上面または湾曲上面は構造上の理由から好ましくなり得るし、機能に変化を与えずに平坦表面に置き換わることができるであろう。
【0084】
図15Aは、本発明の一実施形態における、自由表面が全長にわたる傾斜清澄化器及び降下管−流入管接点にあるオーバーフロー装置を備える、「オーバーフロープロセス」ガラス製造システム150の主要コンポーネントを示す。流入管158は、総ガラス流の内の小率のガラス154をそこから流し出す、オーバーフロー装置151を備えるように改変されている。
【0085】
図15Bは、本発明の一実施形態における、清澄化器ベント15に表面バッフル152を有する、
図15Aに示された、全長自由表面清澄化器153,冷却/状態調整区画155及び遷移区画156の断面を示す。清澄化器153は、ガラスが清澄化器153を流過する際のガラスの静水圧損失に等しい角度159に傾けられ、よってガラス自由表面158は同じ角度159で下方に傾く。冷却/状態調整区画155内のガラスの自由表面はガラスが冷却されるにつれて静水圧損失が大きくなるため、下方への湾曲157を示す。ベント15の下流側にあるバッフル152はいずれの表面気泡も、それらが集合し、破裂して、大気にベントされるように、トラップする。
【0086】
図16Aは、本発明の一実施形態における、降下管7−流入管158の接点14のオーバーフロー装置151の場所を示す。
【0087】
図16Bは
図16Aの区画B−Bを上から見た図である。
図16Bは流入管158の上部をオーバーフロー装置151の形状とともに示す。好ましい実施形態において、降下管7の中心線167は、オーバーフロー装置151から離れる方向に、流入管158の中心線162からある距離161をおいて配される。これにより、降下管7の全周縁からのガラス流が容易になる。図示されるオーバーフロー装置151の形状は代表的な形状である。生産現場におけるオーバーフロー装置151の形状は数学的及び物理的なモデルにより決定されるであろうから、オーバーフロー装置151は多くの形状をとり得る。特別な加熱及び断熱がオーバーフロー装置151に必要であり、技術上知られている。オーバーフロー装置151において廃棄されるガラス154の量はシート形成装置への総ガラス流の1%から20%まで変わり得る。本発明の好ましい実施形態においては2〜5%であろう。
【0088】
図16Cは、本発明の好ましい実施形態における、オーバーフロー装置151内のガラスの自由表面168の下方のある距離165に配された降下管7の底を示す、オーバーフロー装置151を通る断面図である。
【0089】
図16Dは、本発明の好ましい実施形態における、オーバーフロー装置151内のガラスの自由表面168の上方のある距離166に配された降下管7の底を示す、オーバーフロー装置151を通る断面図である。
【0090】
オーバーフロー装置151は、オーバーフロー装置151内のガラス自由表面168の上方、自由表面168と同じ、または下方とすることができる、降下管7の底の特定の場所に対して構成することができる。さらに、オーバーフロー装置151は、降下管7の底部の、垂直方向で、ある範囲内の場所にわたって、欠陥のあるガラス154を廃棄するために構成することができる。
【0091】
オーバーフロー装置151は、降下管7−流入管8の接点14において、ガラス均質性問題を正すためのスタンドアローン実施形態として用いることができる。米国特許第6889526号明細書、米国特許第6895782号明細書、米国特許第6990834号明細書、米国特許出願公開第2007/0068197号明細書及び米国特許出願公開第2007/0056323号明細書はそのような問題を扱っている。これらの明細書は本明細書に参照として含まれる。降下管7−流入管8の接点14における渦流及び停滞流によって生じるガラス欠陥は、疑わしいガラス154をオーバーフロー装置151を介して廃棄することによって排除することができる。この実施形態における流れは、上で論じたような連続である必要はなく、降下管7−流入管8の接点14にともなう欠陥がガラスシート内に見られた場合に、周期的に稼働させることができる。
【0092】
図17A及び17Bは、本発明の一実施形態における、従来技術の搬送システム10への双耳原理の適用を示す。
図17Aは、形成プロセス8,9,11及び16にガラスを送る降下管7にガラスを送る改変されたボウル176にガラスを送る冷却/状態調整管5にガラスを送る撹拌機4を示す。
図17Bは、自由表面178を有する2つのベント175を組み込むように改変されたボウル178の上部を示す、
図17Aの線B−Bに沿う図である。ベント175の1つに従来のガラス接触型液面レベル測定器177が挿入されている。ガラスは自由表面178において、大気への暴露による気化を受け、よってガラス均質性が影響を受け、また測定器177もガラス表面の品質に影響を与える。ベント175及び測定器177は、ボウル176のベント175を流過するガラス174は
図4Bに示される降下管7内の領域44内を流れ、したがって
図4Cに示されるようなシートの使用不能流入端領域45を形成するから、製品品質に悪影響を与えない。ベント175間を流れるガラス173は、搬送システムの内部白金表面と連続的に接触しているから、自由表面178によって乱されることはない。このガラス173は
図4Bに示される降下管7内の領域43内を流れ、したがって
図4Cに示されるようなシートの表面の領域43を形成する。
【0093】
図18は、従来技術のボウル6がオーバーフロー装置181をもつボウル186で置き換えられている、本発明の別の実施形態の搬送システム180を示す。オーバーフロー装置181には、ボウル6に通常の自由表面と同じガラス自由表面188がある。オーバーフロー装置181から流出するガラス184は清澄化器の上表面を流れるガラスを含み、オーバーフロープロセスに流れるガラスの高品質を保証する。通常は清澄化器ベント35を通って抜け出すであろうガラス欠陥はオーバーフロー装置181を通って出ていくガラス流184の一部になるから、図示される清澄化器ベント35は必要に応じて設けられる。必要に応じて、ガラス流を停止させるため、ニードル13が備えられる。
【0094】
図19は、従来技術のボウル6がオーバーフロー装置191をもつボウル196で置き換えられている、本発明の別の実施形態の搬送システム190を示す。清澄化器193,冷却/状態調整区画195及びオーバーフロー装置191内に自由表面198があるように、清澄化器の底はある角度で下方に傾けられる。オーバーフロー装置191から流出するガラス194は清澄化器の上表面を流れるガラスを含み、オーバーフロープロセスに流れるガラスの高品質を保証する。必要に応じて、ガラス流を停止させるため、ニードル13が備えられる。
【0095】
オーバーフローダウンドロープロセス製造プロセスの主要コンポーネントは、溶融炉、搬送システム及びシート形成装置である。代表的な製造キャンペインの長さは現在、最初に機能が停止するかまたは動作性能が劣化したコンポーネントの寿命で制限される。この時点での従来技術の慣行は、1つのコンポーネントの機能が停止したときに3つのコンポーネントの全てを再構築することである。これには、それぞれのコンポーネントの分解及び再組立のためだけでなく、全てのコンポーネントについて冷却及び再加熱に長大な時間が必要であるため、かなりの時間がかかる。溶融炉の寿命は、現在の技術では、ほぼ2年に制限される。主として貴金属でつくられる搬送システムにはそのような固有の寿命限界はないが、実用寿命は4〜6年である。シート形成装置の寿命限界は、米国特許第6889526号明細書、米国特許第6895782号明細書、米国特許第6990834号明細書、米国特許第7155935号明細書、米国特許出願公開第2006/0016219号明細書及び米国特許出願公開第2007/0068197号明細書の技術が実施されなければほぼ2年であり、いずれかが実施された場合であっても達成可能な寿命は4年であろう。これらの明細書は本明細書に参照として含まれる。
【0096】
図1において、接点19における搬送システム3の溶融炉2への固定連結が溶融炉だけの修理/交換に対する主要な障害である。搬送システム及びシート形成装置を高温に保ち、この剛結を形成することが問題である。
図30は、この連結が固定連結ではなく流体連結であり、したがって2つのコンポーネントが容易に切り離され、再連結される、本発明の一実施形態を示す。さらに、相互連結は調節可能であり、フレキシブルである。
図30はフォアベイ309を有する溶融炉302を示し、フォアベイ309は清澄化器303の底308の垂直方向の下方のある距離307にガラス自由表面306を有する。かなりのポンプ作用を有する撹拌機304が下方にガラス306の自由表面に延び込み、ガラスを清澄化器にポンプ作用で送り込み、よって溶融ガラス16をシート形成装置に送る。
【0097】
図31A及び31Bは溶融炉302と撹拌機304の間の連結の2つの実施形態のさらなる詳細を示す。撹拌機は異なる形状をとることができる撹拌子311を有し、撹拌子の内の2つはオーガーまたは米国特許第6763684号明細書の混合撹拌子構造の内の1つになろう。この明細書は本明細書に参照として含まれる。
図31Aは、フォアベイ309内のガラス自由表面306の下方にある距離313まで延びる、撹拌機304の筐体317の底を示す。撹拌子311が、ガラス16を清澄化器303に、続いてシート形成装置に、上昇させるための静水圧を与える。ある種のガラスにともなうこの構成の欠点は、撹拌機304の筐体と溶融炉302及びフォアベイ309の壁の間の停滞流316の区域であろう。
図31Bは、撹拌機304の筐体318の底がフォアベイ309内のガラス自由表面306の上方のある距離314にある構成を示す。撹拌機311の底319は、ガラスの自由表面315を撹拌機304の筐体の底318に吸い込むため、自由表面の下まで下方に延びる。この構成は停滞流316の区域を有することはないであろう。
【0098】
図31Aは撹拌機304の筐体の底318の垂直方向で上方に配された撹拌子311の底319を示し、
図31Bは撹拌機304の筐体の底318の垂直方向で下方に配された撹拌子311の底319を示す。撹拌機304の筐体の底317または318に対する撹拌子311の底319の垂直方向位置は、ガラス均質性欠陥の生成を最小限に抑えるために変えることができる、作業パラメータである。
図31Aは、撹拌機304へのガラス16の平滑な流入を容易にするための形状につくられた、撹拌機304の筐体の底317も示す。
【0099】
図32A及び32Bは溶融炉2と清澄化器3及び323の間の流体連結の2つの例を示す。
図32Aはオーバーフロー装置321である流体連結を示す。溶融ガラス16はオーバーフロー装置321を通って溶融炉2から流れ出して、連結部329で清澄化器3に取り付けられた、受けチャンバ322に入る。
図32Bは降下管7−流入管8の連結部14のアダプタである流体連結を示す。ガラスは溶融炉2からボウル様チャンバ326に流入し、次いで降下管327を流下し、流入管328を通って清澄化器323に入る。
【0100】
図33は溶融炉2と真空清澄化器333の間の流体連結を一例を示す。真空装置335が真空清澄化器333内の自由表面336上に低絶対圧(真空)を誘起し、真空清澄化器333内の溶融ガラス16の自由表面336まで上昇したいかなる気体混雑物(ぬか泡)も除去する。この実施形態において、真空清澄化器333内の真空は溶融炉2のフォアベイ339内の自由表面306から溶融ガラス16を、昇流コンジット334を通して真空清澄化器33に垂直方向に、引き込むために用いられる。溶融ガラス16は次いで真空清澄化器333から降流コンジット337に流入し、次いで撹拌機4,冷却/状態調整管5,ボウル6に流れ、次いで降下管7に流れて、降下管7からシート形成装置に入る。
【0101】
図30,31A、31B、32A、32B及び33に示される本発明の実施形態は、接点19における溶融炉2と搬送システム10の間の熱膨張不整合の従来技術の問題を排除する。
【0102】
図30,31A、31B、32A、32B及び33に示される本発明の実施形態は、オーバーフローダウンドロープロセスの機能停止コンポーネントまたは劣化コンポーネントだけの再構築を容易にする。これらの実施形態は、1つのコンポーネントだがけが機能を停止したときに全てのコンポーネントを完全に再構築する必要を排除する。溶融炉302は、搬送システム及びシート形成装置を高温に維持したまま、適切な場所で再構築することができるであろう。さらに、これらの実施形態により、搬送システム及びシート形成装置を高温に維持したままで、工場内の離れた場所での溶融炉302の製作及び予備加熱が可能になり、予備加熱された溶融炉302の、例えばクレーンまたは軌道による、製造位置への移動が可能になるであろう。溶融炉302の遠隔製作及び予備加熱の実施により、生産操業における定期補修期間は、週ではなく、日で計られることになろう。製造性能によって必要になったときにだけ個別のコンポーネントを再構築することによってかなりのコスト節約にもなるであろう。
【0103】
本発明の肝要な要素は、搬送システムの流れ特性のオーバーフローダウンドローシートガラス製造プロセスとの適合である。オーカーフローダウンドロープロセスにおけるガラス流の多大のモデル計算により、搬送システム内、特に降下管内の流れからのガラスが最終的に形成されるシートのどこになるかの知見が得られた。この知見により、従来技術に比較して革新的な搬送システムコンポーネントの再構成が可能になる。本発明の搬送システムは、清澄化器の上流に配備される撹拌機、基準に満たないガラスが形成されるガラスシートの使用不能端区画に分流されるように構成された清澄化器、ガラス品質に悪影響を与えずに清澄化器ベントに装着されたガラス液面レベル測定器、ある種のガラスとともに装置が用いられる場合には排除される清澄化器ベント、遷移区画で置き換えられたボウル、搬送システム内表面近傍を流れて、形成されるガラスシートの使用不能端区画に分流されるガラス、ボウルにまたは降下管から流入管への接点に配される不均質/有欠陥ガラスを廃棄するためのオーバーフロー装置、及び/または流量制御帯幅を広くするための撹拌機の使用、の実施形態の内の1つないしさらに多くを備えることができる。搬送システムの好ましい実施形態は、本明細書で論じられた実施形態の内の1つないしさらに多くの組合せを備える。これらの実施形態は溶融炉と搬送システムの間の調節可能でフレキシブルな連結と組み合わせて用いることもできる。
【0104】
したがって、本明細書で説明した本発明の実施形態が本発明の原理の応用の例示に過ぎないことは当然である。それぞれ自体が本発明に肝要と見なされるこれらの特徴を挙げている、例示される実施形態の詳細への本明細書における言及は特許請求の範囲の限定を目的としていない。