【課題】増殖性疾患、癌等を治療、予防するのに有用な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素の合成中間体である化合物の調製方法の提供。
【解決手段】2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オールを4−(2−置換−エチル)モルホリン誘導体と反応させて、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを得る方法。さらに、該7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを還元して、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを得る方法。
(G)遊離塩基のN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素を、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素の酸付加塩に変換する工程
をさらに含む、請求項4記載の方法。
工程Fの反応で使用される、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールに対する5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体のモル比率が、約1.0と約1.5の間である、請求項4記載の方法。
7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを還元して、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを得る工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
V.図面の簡単な説明
【0032】
【
図1】
図1a及び
図1bは、化合物(I)の合成スキームを示す。
【
図2】
図2は、DMSO−d
6における2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(III)の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図3】
図3は、2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(III)のMSスペクトルを表す。
【
図4】
図4は、2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(III)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図5】
図5は、DMSO−d
6における2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図6】
図6は、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)のMSスペクトルを表す。
【
図7】
図7は、DMSO−d
6における2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)の
13C NMRスペクトルを表す。
【
図8】
図8は、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図9】
図9は、DMSO−d
6における7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VII)の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図10】
図10は、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VII)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図11】
図11は、DMSO−d
6における7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VIII)の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図12】
図12は、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VIII)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図13】
図13は、DMSO−d
6におけるフェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート(X)の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図14】
図14は、フェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート(X)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図15】
図15は、本明細書に記載の方法を使用して調製した、DMSO−d
6におけるN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図16】
図16は、本明細書に記載の方法を使用して調製したN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図17】
図17は、以前に開示された方法(例えば、米国特許出願公開第2009/0131426号(
図66))を使用して調製したN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図18】
図18は、本明細書に記載の方法を使用して調製したN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図19】
図19は、本明細書に記載の方法を使用して調製したN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩のHPLCクロマトグラムを表す。
【
図20】
図20は、本明細書に記載の方法を使用して調製した、DMSO−d
6におけるN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩の
1H NMRスペクトルを表す。
【
図21】
図21は、本明細書に記載の方法を使用して調製した、DMSO−d
6におけるN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩の
13C NMRスペクトルを表す。
【
図22】
図22は、本明細書に記載の方法を使用して調製した、DMSO−d
6におけるN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩のFTIRスペクトルを表す。
【
図23】
図23は、本明細書に記載の方法を使用して調製した、DMSO−d
6におけるN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩のMSスペクトルを表す。
【
図24】
図24は、本明細書に記載の方法を使用して調製した、DMSO−d
6におけるN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩のDSCスペクトルを表す。
【0033】
VI.詳細な説明
別途定義のない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、当業者により一般に理解される意味と同一の意味を有する。略語は、J.Org.Chem.2007,72,23Aで定義されるとおりである。本明細書で言及する全ての刊行物及び特許は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0034】
A.定義
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「方法」とは、本明細書で提供する化合物を調製するのに有用な、本明細書で開示する方法を意味する。当業者に周知の、本明細書で開示する方法の変更(例えば、出発物質、試薬、保護基、溶媒、温度、反応時間、精製)も本開示に包含される。
【0035】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「添加する」、「反応させる」、「混合する」などは、1つの反応物質、試薬、溶媒、触媒、反応基などを別の反応物質、試薬、溶媒、触媒、反応基などと接触させることを意味する。特記のない限り、反応物質、試薬、溶媒、触媒、反応基などは、個別に、同時に、又は別々に添加でき、或いは順序を問わず添加できる。これらは、熱の存在下又は不在下で添加することもでき、任意選択で不活性雰囲気下で添加されてもよい。「反応させる」とは、その場(in situ)形成又は分子内反応(反応基が同一分子中にある場合)を意味し得る。
【0036】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「約」又は「およそ」とは、当業者により決定されるような特定の値についての許容可能な誤差を意味し、これは、その値がどのようにして測定又は決定されたかによってある程度決まる。ある実施態様において、用語「約」又は「およそ」とは、1、2、3、又は4標準偏差内を意味する。ある実施態様において、用語「約」又は「およそ」とは、所与の値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%又は0.05%以内を意味する。
【0037】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、「実質的に完了」している反応又は「実質的な完了」に追い込まれた反応とは、反応が、約50%超の収率、約60%超の収率、約70%超の収率、約80%超の収率、約90%超の収率、約95%超の収率又は約97%超の収率の所望の生成物を含むことを意味する。或いは、用語「実質的に完了する」又は「実質的な完了」とは、反応が、その出発量に対して、約50%未満の出発物質を含むことを意味し、その出発量に対して、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、約0.05%未満又は約0.01%未満の出発物質を含むことを意味する。
【0038】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、化合物を「実質的に含まない(free)」組成物とは、組成物が、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、約0.01重量%未満、約0.001重量%未満又は約0.0001重量%未満の化合物を含有することを意味する。
【0039】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、「実質的に純粋」である組成物とは、組成物が、約80重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約97重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.99重量%超、約99.995重量%超、約99.999重量%超、約99.9995重量%超又は約99.9999重量%超の純度レベルを有することを意味する。
【0040】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、「実質的に化学的に純粋」である組成物とは、組成物が、約80重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約97重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.99重量%超、約99.995重量%超、約99.999重量%超、約99.9995重量%又は約99.9999重量%超の化学的純度レベルを有することを意味する。すなわち、該組成物は、1つ以上の化学的不純物を実質的に含まない。
【0041】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、「実質的に物理的に純粋」である組成物とは、組成物が、約80重量%超、約90重量%超、約95重量%超、約97重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.99重量%超、約99.995重量%超、約99.999重量%、約99.9995重量%超又は約99.9999重量%超の物理的純度レベル、例えば結晶形の純度レベルなど有することを意味する。すなわち、該組成物は、1つ以上の物理的不純物、例えば多形、結晶形などを実質的に含まない。
【0042】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「有機基」とは、少なくとも1つの炭素原子を含む基を意味する。有機基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボキシル、アシル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「脱離基」とは、結合切断(bond−breaking)工程で分子から切り離すことのできる安定な部分を意味する。一実施態様において、脱離基には、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホネート、エタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−メチルベンゼンスルホネート及びブロモベンゼンスルホネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
特記のない限り、反応性官能基(限定されないが、カルボキシ部分、ヒドロキシ部分、アミノ部分など)を含む、化合物を調製するのに有用な中間体を含む本明細書に記載の化合物には、適したその保護された誘導体も包含される。「保護された誘導体」は、1つ以上の反応部位が、1つ以上の保護基(ブロック基(blocking group)としても知られる)でブロックされた化合物である。カルボキシ部分についての適した保護基には、ベンジル、t−ブチルなどが含まれる。アミノ及びアミド基についての適した保護基には、アセチル、t−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、シリルなどが含まれる。ヒドロキシについての適した保護基には、メチル、ベンジル、アセチル、シリルなどが含まれる。他の適した保護基は、当業者に周知である。保護基の選択及び使用、並びに保護基を導入及び除去するための反応条件は、例えば、Greene&Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」,4th Edition,Wiley Interscience,2006;Kocienski,「Protecting Groups」,3rd Edition,Thieme,2005に記載されている。
【0045】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「水素」には、プロトン(
1H)、重水素(
2H)、三重水素(
3H)及び/又はそれらの混合物が包含される。
【0046】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「ハロ」、「ハロゲン」又は「ハロゲン化物」とは、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素を意味する。
【0047】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「メチレン」とは、二価の−CH
2−基を意味する。
【0048】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「カルボニル」とは、二価の−C(=O)−基を意味する。
【0049】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アルキル」とは、直鎖状又は分枝状の一価の飽和炭化水素ラジカルを意味し、該アルキルは、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。また、用語「アルキル」には、特記のない限り、直鎖状アルキル及び分枝状アルキルの両方が包含される。ある実施態様において、アルキルは、1〜20(C
1−20)、1〜15(C
1−15)、1〜12(C
1−12)、1〜10(C
1−10)若しくは1〜6(C
1−6)個の炭素原子を有する一価の直鎖状飽和炭化水素ラジカルであるか、又は3〜20(C
3−20)、3〜15(C
3−15)、3〜12(C
3−12)、3〜10(C
3−10)若しくは3〜6(C
3−6)個の炭素原子の一価の分枝状飽和炭化水素ラジカルである。本明細書で使用される場合、直鎖状C
1−6アルキル基及び分枝状C
3−6アルキル基は、「低級アルキル」とも称される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(全ての異性体を含む)、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(全ての異性体を含む)、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル(全ての異性体を含む)及びヘキシル(全ての異性体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C
1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子の一価の直鎖状飽和炭化水素ラジカルを意味するか、又は3〜6個の炭素原子の一価の分枝状飽和炭化水素ラジカルを意味する。
【0050】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アリール」とは、単環式芳香族基、及び/又は少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む一価の多環式芳香族基を意味する。ある実施態様において、アリールは、6〜20(C
6−20)、6〜15(C
6−15)又は6〜10(C
6−10)個の環原子を有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びターフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールはまた、二環式又は三環式炭素環であって、環の1つが芳香族であり、その他の環が、飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であってよく、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)であってよい、環を意味する。ある実施態様において、アリールは、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0051】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「ヘテロアリール」とは、単環式芳香族基、及び/又は少なくとも1つの芳香族環を含む多環式芳香族基であって、少なくとも1つの芳香族環が、O、S及びNから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含む基を意味する。ヘテロアリール基の各環は、1つ以上のO原子、1つ以上のS原子及び/又は1つ以上のN原子を含み得るが、但し、各環中のヘテロ原子の総数は4個以下であり、且つ各環は少なくとも1個の炭素原子を含む。ある実施態様において、ヘテロアリールは、5〜20、5〜15又は5〜10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル及びトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チアジアゾロピリミジル及びチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、ベンズインドリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル及びキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0052】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「ヘテロアルキル」又は「ヘテロアルキル基」とは、アルキル基に由来する一価の基であって、少なくとも1つのメチレン基が、O、S、NR(式中、Rは、H又は有機基である)などのヘテロ原子又はヘテロ基に置き換わっている基を意味する。
【0053】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アルコキシ」又は「アルコキシ基」とは、酸素原子を介して別の基と結合しているアルキル基(すなわち、−O−アルキル)を意味する。アルコキシ基は、非置換であるか、又は1つ以上の適切な置換基で置換され得る。アルコキシ基の例としては、−O−メチル、−O−エチル、−O−プロピル、−O−イソプロピル、−O−2−メチル−1−プロピル、−O−2−メチル−2−プロピル、−O−2−メチル−1−ブチル、−O−3−メチル−1−ブチル、−O−2−メチル−3−ブチル、−O−2,2−ジメチル−1−プロピル、−O−2−メチル−1−ペンチル、−O−3−メチル−1−ペンチル、−O−4−メチル−1−ペンチル、−O−2−メチル−2−ペンチル、−O−3−メチル−2−ペンチル、−O−4−メチル−2−ペンチル、−O−2,2−ジメチル−1−ブチル、−O−3,3−ジメチル−1−ブチル、−O−2−エチル−1−ブチル、−O−ブチル、−O−イソブチル、−O−t−ブチル、−O−ペンチル、−O−イソペンチル、−O−ネオペンチル、−O−ヘキシルなどの(C
1−C
6)アルコキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、非置換であるか、又は1つ以上の適した置換基で置換され得る。いくつかの実施態様において、アルキルオキシ基のアルキル鎖は、直鎖状又は分枝状であり、1〜8個の炭素原子を有し、本明細書では、「(C
1−C
8)アルコキシ」と称される。
【0054】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アリールオキシ」又は「アリールオキシ基」とは、O−アリール基(アリールは、本明細書中で別途定義したとおりである)を意味する。アリールオキシ基は、非置換であるか、又は1つ以上の適した置換基で置換され得る。いくつかの実施態様において、アリールオキシ基のアリール環は、6個の炭素原子を含む単環式環であり、本明細書では、「(C
6)アリールオキシ」と称される。
【0055】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アルコキシカルボニル」又は「アルコキシカルボニル基」とは、式−C(=O)−アルコキシの一価基を意味する。いくつかの実施態様において、アルコキシカルボニル基の炭化水素鎖は、直鎖状又は分枝状であり、1〜8個の炭素原子を有し、本明細書では、「低級アルコキシカルボニル」基と称される。
【0056】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アシルオキシ」又は「アシルオキシ基」とは、式−O−C(=O)−アルキル又は−O−C(=O)−アリール(式中、アルキル及びアリールは、本明細書中で別途定義するとおりである)の一価基を意味する。
【0057】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アシル」又は「アシル基」とは、式−C(=O)H、−C(=O)−アルキル又は−C(=O)−アリール(式中、アルキル及びアリールは、本明細書中で別途定義するとおりである)の一価基を意味する。
【0058】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アルケニル」とは、1つ以上(特定の実施態様において、1〜5個)の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖状又は分枝状の一価の炭化水素ラジカルを意味する。アルケニルは、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。用語「アルケニル」には、当業者に理解されるように、「シス」及び「トランス」配置、或いは「E」及び「Z」配置を有するラジカルも包含される。本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」には、特記のない限り、直鎖状アルケニル及び分枝状アルケニルの両方が包含される。例えば、C
2−6アルケニルとは、2〜6個の炭素原子の一価の直鎖状不飽和炭化水素ラジカルか、又は3〜6個の炭素原子の一価の分枝状不飽和炭化水素ラジカルを意味する。ある実施態様において、アルケニルは、2〜20(C
2−20)、2〜15(C
2−15)、2〜12(C
2−12)、2〜10(C
2−10)若しくは2〜6(C
2−6)個の炭素原子の一価の直鎖状炭化水素ラジカルであるか、又は3〜20(C
3−20)、3〜15(C
3−15)、3〜12(C
3−12)、3〜10(C
3−10)又は3〜6(C
3−6)個の炭素原子の一価の分枝状飽和炭化水素ラジカルである。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、アリル、ブテニル及び4−メチルブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アルキニル」とは、1つ以上(特定の実施態様において、1〜5個)の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖状又は分枝状の一価の炭化水素ラジカルを意味する。アルキニルは、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。用語「アルキニル」にはまた、特記のない限り、直鎖状アルキニル及び分枝状アルキニルの両方が包含される。ある実施態様において、アルキニルは、2〜20(C
2−20)、2〜15(C
2−15)、2〜12(C
2−12)、2〜10(C
2−10)若しくは2〜6(C
2−6)個の炭素原子の一価の直鎖状炭化水素ラジカルであるか、又は3〜20(C
3−20)、3〜15(C
3−15)、3〜12(C
3−12)、3〜10(C
3−10)又は3〜6(C
3−6)個の炭素原子の一価の分枝状炭化水素ラジカルである。アルキニル基の例としては、エチニル(−C≡CH)及びプロパルギル(−CH
2C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C
2−6アルキニルは、2〜6個の炭素原子の一価の直鎖状不飽和炭化水素ラジカル、又は3〜6個の炭素原子の一価の分枝状不飽和炭化水素ラジカルを意味する。
【0060】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「シクロアルキル」とは、本明細書に記載のとおり1つ以上の置換基で置換されていてもよい、一価の橋かけ環式及び/又は非橋かけ環式飽和炭化水素ラジカルを意味する。ある実施態様において、シクロアルキルは、3〜20(C
3−20)、3〜15(C
3−15)、3〜12(C
3−12)、3〜10(C
3−10)又は3〜7(C
3−7)個の炭素原子を有する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル及びアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」とは、アリールで置換された一価のアルキル基を意味する。ある実施態様において、アルキル及びアリールはともに、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0062】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」又は「複素環(heterocyclic)」とは、単環式非芳香族環系、及び/又は少なくとも1つの非芳香族環を含む多環式環系であって、1つ以上の非芳香族環原子が、O、S又はNから独立して選択されるヘテロ原子であり、且つ残りの環原子が炭素原子であるものを意味する。ある実施態様において、ヘテロシクリル又は複素環基は、3〜20、3〜15、3〜10、3〜8、4〜7又は5〜6個の環原子を有する。ある実施態様において、ヘテロシクリルは、単環式、二環式、三環式又は四環式の環系であって、縮合環系又は橋かけ環系を含んでよく、且つ環中、窒素又は硫黄原子が酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよく、いくつかの環は、部分的に若しくは完全に飽和であるか、又は芳香族であってよい。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子又は炭素原子で主構造に結合されてよく、これにより、安定した化合物の生成がもたらされる。このような複素環式ラジカルの例としては、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、β−カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル及び1,3,5−トリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、複素環は、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0063】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「置換されていてもよい」とは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどの基が、例えば、
(a)1つ以上(特定の実施態様において、1、2、3又は4個)の置換基Q
1でそれぞれ置換されていてもよい、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−7シクロアルキル、C
6−14アリール、C
7−15アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリル;並びに
(b)ハロ、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO
2)、−C(O)R
a、−C(O)OR
a、−C(O)NR
bR
c、−C(NR
a)NR
bR
c、−OR
a、−OC(O)R
a、−OC(O)OR
a、−OC(O)NR
bR
c、−OC(=NR
a)NR
bR
c、−OS(O)R
a、−OS(O)
2R
a、−OS(O)NR
bR
c、−OS(O)
2NR
bR
c、−NR
bR
c、−NR
aC(O)R
d、−NR
aC(O)OR
d、−NR
aC(O)NR
bR
c、−NR
aC(=NR
d)NR
bR
c、−NR
aS(O)R
d、−NR
aS(O)
2R
d、−NR
aS(O)NR
bR
c、−NR
aS(O)
2NR
bR
c、−SR
a、−S(O)R
a、−S(O)
2R
a、−S(O)NR
bR
c及び−S(O)
2NR
bR
c
{式中、各R
a、R
b、R
c及びR
dは、独立して、
(i)水素であるか、
(ii)1つ以上(特定の実施態様において、1、2、3又は4個)の置換基Q
1でそれぞれ置換されていてもよい、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−7シクロアルキル、C
6−14アリール、C
7−15アラルキル、ヘテロアリール若しくはヘテロシクリルであるか、又は
(iii)R
b及びR
cは、それらが結合するN原子と一緒になって、1つ以上(特定の実施態様において、1、2、3又は4個)の置換基Q
1で置換されていてもよい、ヘテロアリール若しくはヘテロシクリルを形成する}
から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されてよいことを意味することが意図される。本明細書で使用される場合、特記のない限り、置換され得る全ての基は、「置換されていてもよい」。
【0064】
特定の実施態様において、各Q
1は、
(a)シアノ、ハロ及びニトロ;並びに
(b)C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−7シクロアルキル、C
6−14アリール、C
7−15アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリル;並びに
(c)−C(O)R
e、−C(O)OR
e、−C(O)NR
fR
g、−C(NR
e)NR
fR
g、−OR
e、−OC(O)R
e、−OC(O)OR
e、−OC(O)NR
fR
g、−OC(=NR
e)NR
fR
g、−OS(O)R
e、−OS(O)
2R
e、−OS(O)NR
fR
g、−OS(O)
2NR
fR
g、−NR
fR
g、−NR
eC(O)R
h、−NR
eC(O)OR
h、−NR
eC(O)NR
fR
g、−NR
eC(=NR
h)NR
fR
g、−NR
eS(O)R
h、−NR
eS(O)
2R
h、−NR
eS(O)NR
fR
g、−NR
eS(O)
2NR
fR
g、−SR
e、−S(O)R
e、−S(O)
2R
e、−S(O)NR
fR
g及び−S(O)
2NR
fR
g
{式中、各R
e、R
f、R
g及びR
hは、独立して、
(i)水素であるか、
(ii)C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−7シクロアルキル、C
6−14アリール、C
7−15アラルキル、ヘテロアリール若しくはヘテロシクリルであるか、又は
(iii)R
f及びR
gは、それらが結合するN原子と一緒になって、ヘテロアリール又はヘテロシクリルを形成する}
からなる群から独立して選択される。
【0065】
本明細書で提供する化合物が、1つ以上の酸性部分又は塩基性部分を含む場合には、化合物は塩として存在してよい。本明細書で使用され、且つ特記のない限り、化合物の「塩」又は「塩類」という用語は、塩基性基又は酸性基を有する化合物の塩(類)を意味し、塩は、化合物と、無機酸及び有機酸を含む1つ以上の酸、又は無機塩基及び有機塩基を含む1つ以上の塩基とから調製される。ある実施態様において、本明細書で提供する化合物は、天然で塩基性であり、種々の無機酸又は有機酸と塩を形成することができる。このような塩基性化合物の塩を調製するために使用されてよい酸は、本明細書中に別途記載されている。ある実施態様において、本明細書で提供する化合物は、天然で酸性であり、種々の無機塩基又は有機塩基と塩を形成することができる。このような無機塩基との塩の非限定的な例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が挙げられる。ある実施態様において、本明細書で提供する化合物の塩は、1つ以上の酸性又は塩基性の対イオンを含み、アセテート、アスコルベート、ベンゼンスルホナート、ベンゾアート、ビカルボネート、ビタートレート、ブロミド、カルシウムエデテート、カムシレート、カルボネート、クロリド、ヨージド、シトレート、ジヒドロクロリド、エデテート、エジシレート、エストレート、エシレート、フマレート、グルセプテート、グルコネート、グルタメート、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトアート、イセチオネート、ラクテート、ラクトビオネート、マレート、マレエート、マロネート、マンデラート、メシレート、メタンスルホナート、ムスケート(muscate)、ナプシレート、ニトレート、オキサレート、パントテナート、ホスフェート、ジホスフェート、ポリガラクツロネート(polygalacturonate)、サリチレート、ステアラート、スクシナート、サルフェート、ビサルフェート、サルファイト、タンナート、タートレート、テオクレート、トリエチオダイド及び/若しくはパモエートなど;又はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄及び/若しくはアンモニウムイオンなど;又はN,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、2,6−ルチジン、N−メチルモルホリン、ピリジン及び/若しくはトリエチルアミンなど;又はアミノ酸及び/若しくは保護されたアミノ酸などが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書で提供する化合物が、酸性部分又は塩基性部分を含む場合には、化合物は、医薬上許容される塩として提供されてもよい(例えば、「Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use」,Stahl and Wermuth,Ed.;Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照されたい)。本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「医薬上許容される塩」とは、医薬上許容される非毒性の酸(無機酸及び有機酸を含む)又は医薬上許容される非毒性の塩基(無機塩基及び有機塩基を含む)から調製された塩を意味する。一実施態様において、医薬上許容される塩の調製に使用するのに適した酸には、酢酸、アジピン酸、L−アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、カプリン酸、炭酸、クエン酸、フマル酸、ガラクタル酸、D−グルコヘプタン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、馬尿酸、塩酸、DL−乳酸、ラウリル酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、リン酸、セバシン酸、コハク酸、硫酸、(+)−L−酒石酸及びチオシアン酸が含まれるが、これらに限定されない。一実施態様において、医薬上許容される塩の調製に使用するのに適した酸には、アルギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、(+)−ショウノウ酸、カプリル酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−酸、ゲンチシン酸、2−オキソグルタル酸、イソ酪酸、ラクトビオン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(2−naphthoic 1−hydroxy)、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パモン酸、プロピオン酸、(−)−L−ピログルタミン酸及びp−トルエンスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
一実施態様において、塩の調製に使用するのに適した酸には、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アントラニル酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、ショウノウ酸、(+)−ショウノウ酸、(−)−ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、フロン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、ゲンチシン酸、グルカレニック(glucarenic)アシッド、グルコヘプトン酸、グルコン酸、D−グルコン酸、L−グルコン酸、グルクロン酸、D−グルクロン酸、L−グルクロン酸、グルタミン酸、D−グルタミン酸、L−グルタミン酸、グルタル酸、オキソグルタル酸、α−オキソグルタル酸、β−オキソグルタル酸、グリコール酸、グリシド酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸、D−乳酸、L−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、D−リンゴ酸、L−リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、(+)−マンデル酸、(−)−マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、過塩素酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、L−ピログルタミン酸、D−ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、DL−酒石酸、D−酒石酸、L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
一実施態様において、塩の調製に使用するのに適切な塩基には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基;並びにL−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、2,6−ルチジン、モルホリン、N−メチル−モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール及びトロメタミンを含む、一級、二級、三級及び四級の脂肪族及び芳香族アミンなどの有機塩基が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
一実施態様において、化合物(I)の「塩」、「塩類」又は「医薬上許容される塩」とは、本明細書中に別途記載するような、無機酸及び/又は有機酸に由来する、化合物(I)の酸付加塩(類)を意味する。一実施態様において、塩は、塩酸から形成される。一実施態様において、塩は、二塩酸塩である。一実施態様において、塩は、塩酸、臭化水素酸、ホウ酸、リン酸又は硫酸から形成される。一実施態様において、塩は、酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ブロモベンベンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸から形成される。
【0070】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「溶媒和物」とは、非共有結合性分子間力により結合した化学量論量又は非化学量論量の溶媒をさらに含む、本明細書で提供する化合物又はその塩を意味する。溶媒が水である場合には、溶媒和物は水和物(例えば、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)である。
【0071】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「多形」とは、本明細書で提供する化合物又はその塩若しくは複合体の固体結晶形を意味する。同一化合物の異なる多形は、とりわけ、異なる物理的、化学的、生物学的及び/又は分光学的特性を呈し得る。
【0072】
構造異性体が相互変換する場合には、本明細書で提供する化合物は、単一の互変異性体、又は互変異性体の混合物として存在してよいことに留意すべきである。これは、例えば、イミノ、ケト、又はオキシム基を含む化合物ではプロトン互変異性型をとることができ;又は芳香族部分を含む化合物ではいわゆる原子価互変異性型をとることができる。従って、単一化合物は、2つ以上の異性タイプを示してよいことになる。
【0073】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「薬剤」及び「治療剤」とは、状態、障害又は疾患の1つ以上の症状を治療、予防、管理及び/又は改善するために対象に投与される、化合物又はその医薬組成物を意味する。
【0074】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「活性成分」、「活性物質」又は「活性医薬成分」とは、状態、障害又は疾患の1つ以上の症状を治療、予防及び/又は改善するために対象に単独で、又は他の医薬上活性な化合物(1つ以上)、及び/又は1つ以上の医薬上許容される賦形剤と組み合わせて投与される化合物又は物質を意味する。本明細書で使用される場合、「活性成分」、「活性物質」及び「活性医薬成分」は、本明細書に記載の化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物、多形又は光学活性異性体であってよい。
【0075】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「医薬上許容される担体」、「医薬上許容される賦形剤」、「生理学上許容される担体」又は「生理学上許容される賦形剤」とは、医薬上許容される物質、組成物又はビヒクル(液体又は固体のフィラー、希釈剤、溶媒、カプセル化物質など)を意味する。一実施態様において、各構成成分は、医薬製剤の他の成分と適合するという意味において、且つ妥当な利益/危険比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題若しくは合併症を生じさせずに、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触して使用するのに適しているという意味において、「医薬上許容される」。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Lippincott Williams&Wilkins(2005);Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition,Rowe et al.,eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association(2005);及びHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition,Ash&Ash eds.,Gower Publishing Company(2007);Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd Edition,Gibson ed.,CRC Press(2009)を参照されたい。
【0076】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」とは、疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害と関連する1つ以上の症状の根絶又は改善を意味する。ある実施態様において、該用語は、このような疾患又は障害を有する対象に1つ以上の予防剤又は治療剤を投与することによって、疾患又は障害の広がり又は悪化を最小化することを意味する。いくつかの実施態様において、該用語は、特定の疾患の発症後に、他の追加の活性剤とともに又は他の追加の活性剤を伴わずに、本明細書で提供する化合物を投与することを意味する。
【0077】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「予防する」、「予防すること」及び「予防」とは、疾患若しくは障害、又はその1つ以上の症状の発症、再発又は広がりを予防することを意味する。ある実施態様において、該用語は、症状の発症前に、特に本明細書で提供する疾患又は障害の危険性を有する患者に対して、他の追加の活性化合物とともに、又は他の追加の活性化合物を伴わずに、本明細書で提供する化合物で治療すること又は投与することを意味する。該用語には、特定の疾患の症状の阻害又は低減が包含される。ある実施態様において、疾患の家族歴のある患者は、特に、予防的レジメンの候補である。さらに、再発性の既往歴を有する患者も、予防のための有力な候補である。この点において、用語「予防」は、用語「予防的治療」と区別することなく使用されてよい。
【0078】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「管理する」、「管理すること」及び「管理」とは、疾患若しくは障害、又は1つ以上のその症状の進行、広がり又は悪化を予防又は遅延させることを意味する。対象が予防剤及び/又は治療剤から得る有益な効果は、疾患又は障害の治療をもたらさない場合がある。この点において、用語「管理すること」には、疾患の再発を予防又は最小化するために、特定の疾患に罹患した患者を治療することが包含される。
【0079】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「対象」は、哺乳動物などの動物を含むように本明細書で定義され、哺乳動物には、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、対象はヒトである。
【0080】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「増殖性障害又は疾患」とは、多細胞生物に害(すなわち、不快症状又は平均余命の短縮)をもたらす、多細胞生物における1つ以上の細胞サブセットの望ましくない細胞増殖を意味する。増殖性障害又は疾患は、様々なタイプの動物及びヒトで起こり得る。例えば、本明細書で使用される場合、「増殖性障害又は疾患」には、腫瘍性障害及び他の増殖性障害が含まれる。
【0081】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「腫瘍性障害又は疾患」又は「癌」とは、異常又は制御できない細胞増殖から生じる腫瘍を意味する。腫瘍性障害の例としては、骨髄増殖症候群、血小板血症、本態性血小板増加症(ET)、血管新生骨髄様化生、骨髄線維症(MF)、骨髄様化生を随伴する骨髄線維症(MMM)、慢性特発性骨髄線維症(IMF)、真性赤血球増加症(PV)、血球減少症、前癌性骨髄異形成症候群などの造血障害;神経膠腫癌、カルシノーマ、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、頭頚部癌、胃(gastric)癌、肝臓癌、肺癌、上咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、唾液腺癌、小細胞肺癌、皮膚癌、胃(stomach)癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、血液悪性腫瘍(白血病、急性白血病、急性骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア陽性白血病など)などの癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「血液悪性腫瘍」とは、血液、骨髄及びリンパ液系組織を含む骨髄由来細胞の癌を意味する。血液悪性腫瘍の例としては、例えば、骨髄異形成症、リンパ腫、白血病、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、ホジキン病(ホジキンリンパ腫とも称される)、並びに急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、前リンパ性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞型ALL、三血球系骨髄異形成を随伴するAML(AML/TMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)、多発性骨髄腫(MM)などの骨髄腫が挙げられる。
【0083】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「白血病」とは、リンパ系又は骨髄細胞系のいずれかの造血組織の悪性新生物をいい、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病が含まれるが、これらに限定されない。白血病は、再発性、不応性(refractory)、又は従来の療法に抵抗性であり得る。
【0084】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「前骨髄球性白血病」又は「急性前骨髄球性白血病」とは、骨髄細胞系の成熟血液細胞が欠損し、前骨髄球と称される幼若細胞が過剰に存在する、骨髄の悪性腫瘍をいう。これは、通常、15番と17番の染色体部分の転座により特徴付けられる。
【0085】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「急性リンパ性白血病」、「急性リンパ芽球性白血病」又は「ALL」とは、初期の非顆粒性白血球又はリンパ球の異常な増殖及び発達により引き起こされる悪性疾患をいう。
【0086】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「T細胞白血病」とは、Tリンパ球又はT細胞と称されるリンパ系の特定の細胞が悪性転換している疾患をいう。T細胞は、通常、ウイルスに感染した細胞、外来細胞、及び癌細胞を攻撃し;且つ、免疫応答を調節する物質を産生することができる白血球である。
【0087】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「再発した」とは、治療後に癌が寛解した対象又は哺乳動物において、癌細胞が回復した状況をいう。
【0088】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「不応性又は抵抗性」とは、対象又は哺乳動物が、たとえ集中治療した後であっても、その体内に残存する癌細胞を有している状況をいう。
【0089】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「抗癌剤」とは、抗増殖剤及び化学療法剤を含むことを意味し、これらには、代謝拮抗薬(例えば、ピリミジンアナログ(5−フルオロウラシル、フロキシウリジン、カペシタビン、クロファラビンを含むが、これらに限定されない);フルダラビン、5−アザシチジン;シトシンアラビノシド(シタラビン、Ara−C、HDAC(高用量シタラビン)を含むが、これらに限定されない);葉酸アナログ(メトトレキサートを含むが、これに限定されない);微小管阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド;並びにパクリタキセル、ドセタキセルなどのタキサン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、メルファラン、イホスファミド、カルムスチン、アザシチジン、デシチビン(decitibine)、ブスルファン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、及びニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン、ビスクロロエチルニトロソ尿素、ヒドロキシ尿素など))、白金剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン(JM−216)、及びCI−973)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン及びダウノルビシン)、抗腫瘍性抗生物質(例えば、マイトマイシン、ブレオマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン、又はセルビジンを含むが、これらに限定されない)、及びミトキサントロン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド及びカンプトテシン)、プリンアンタゴニスト又はピリミジンアンタゴニスト(例えば、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン、クロファラビン、及びゲムシタビン)、細胞成熟剤(例えば、三酸化ヒ素及びトレチノイン)、DNA修復酵素阻害剤(例えば、ポドフィロトキシン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、及びテニポシド)、細胞生存を妨害する酵素(例えば、アスパラギナーゼ及びペガスパルガーゼ)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット)、任意のその他の細胞傷害性薬剤(例えば、リン酸エストラムスチン、デキサメタゾン、プレドニムスチン、及びプロカルバジン)、ホルモン(例えば、デキサメタゾン、プレドニソン、メチルプレドニゾロン、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、及びメゲストロール)、モノクローナル抗体(例えば、ゲムツズマブオゾガマイシン、アレムツズマブ、リツキシマブ、及びイットリウム−90−イブリツモマブチウキセタン)、免疫調節物質(例えば、サリドマイド及びレナリドマイド)、Bcr−Ablキナーゼ阻害剤(例えば、AP23464、AZD0530、CGP76030、PD180970、SKI−606、イマチニブ、BMS354825(ダサチニブ)、AMN107(ニロチニブ)、及びVX−680)、他のキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、スニチニブ及びソラフェニブ)、ホルモンアゴニスト若しくはアンタゴニスト、部分的アゴニスト若しくはアンタゴニスト、キナーゼ阻害薬、手術、放射線治療(例えば、γ線照射、中性子線放射線治療、電子線放射線治療、陽子線治療、小線源治療、及び全身性の放射性同位元素)、内分泌療法、生物反応調節薬(例えば、インターフェロン、インターロイキン、及び腫瘍壊死因子)、温熱療法及び凍結療法、並びに任意の有害作用を軽減する薬剤(例えば、制吐薬)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
本明細書で使用され、且つ特記のない限り、用語「薬剤抵抗性」とは、疾患が、1種以上の薬剤の治療に反応しない状態を意味する。薬剤抵抗性は、内因性(疾患が1種以上の薬剤に反応したことがないことを意味する)であるか、又は獲得性(疾患が以前に反応した1種以上の薬剤に対して、疾患が反応しなくなることを意味する)であるかのいずれかであり得る。ある実施態様において、薬剤抵抗性は内因性である。ある実施態様において、薬剤抵抗性は獲得性である。本明細書で使用される場合、用語「薬剤抵抗性」には、イマチニブ−抵抗性、エルロチニブ−抵抗性、ソラフェニブ−抵抗性、スニチニブ−抵抗性、ダサチニブ−抵抗性及び/又はニロチニブ−抵抗性が含まれることが意図される。
【0091】
本明細書で使用される場合、特記のない限り、「化合物(I)」又は「AC220」とは以下の化合物:
【0092】
【化7】
【0093】
を意味する。
【0094】
描かれた構造とその構造名との間で何らかの不一致がある場合、描かれた構造が優先する。
【0095】
B.方法
本明細書では、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一般に、本明細書で提供する方法は、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の大規模又は商業的な生産に有用な、安全で、効率的で、費用効率が高く、且つ/又は容易に拡張可能な方法を包含する。
【0096】
【化8】
【0097】
一実施態様において、本明細書では、実質的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、実質的に化学的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、実質的に物理的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、疾患又は状態(増殖性疾患、FLT−3媒介性疾患及び癌を含むが、これらに限定されない)を治療、予防、及び/又は管理するためなどの、ヒトでの使用に適した、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0098】
一実施態様において、本明細書で提供する方法は、1g超、10g超、50g超、100g超、500g超、1,000g超、5,000g超、10,000g超、50,000g超、100,000g超又は500,000g超の規模で、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。
【0099】
一実施態様において、本明細書で提供する方法は、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、又は約95%超の総収率で、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する(収率は、3−アミノ−5−tert−ブチルイソオキサゾール(IX)、化合物(II)、化合物(IV)又は化合物(VI)(本明細書中に別途記載する)などの出発物質に基づいて計算される)。一実施態様において、収率は、例えば、3−アミノ−5−tert−ブチルイソオキサゾール、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、2−ブロモ−4’−ニトロアセトフェノン又は4−(2−クロロエチル)モルホリンなどの出発物質に基づいて計算される。
【0100】
一実施態様において、本明細書で提供する方法は、実質的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。一実施態様において、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の純度は、バッチ全体(total batch)に対して、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.98重量%超又は約99.99重量超である。
【0101】
一実施態様において、本明細書で提供する方法により生産される、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形における不純物の合計は、バッチ全体に対して、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満、約0.005重量%未満又は約0.001重量%未満である。
【0102】
一実施態様において、本明細書で提供する方法により生産される、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形における個別の不純物成分は、バッチ全体に対して、約5重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、約0.001重量%未満、約0.0005重量%未満又は約0.0001重量%未満である。
【0103】
一実施態様において、本明細書で提供する方法は、実質的に物理的及び/又は化学的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。一実施態様において、本明細書で提供する方法は、実質的に物理的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物若しくは水和物の多形又は結晶形を生産する。一実施態様において、本明細書で提供する方法は、実質的に化学的に純粋な、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物若しくは水和物の多形又は結晶形を生産する。一実施態様において、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の物理的な純度は、バッチ全体に対して、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.98重量%超又は約99.99重量%超である。一実施態様において、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の化学的な純度は、バッチ全体に対して、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.98重量%超又は約99.99重量%超である。
【0104】
一実施態様において、本明細書で提供する方法の反応混合物又は単離生成物の純度プロファイルは、本明細書中に別途記載するような、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、GC(ガスクロマトグラフィー)、TLC(薄層クロマトグラフィー)などの1つ以上の分析方法により分析される。一実施態様において、不純物は、例えば、HPLC、GC、TLCなどの分析方法により検出可能である。一実施態様において、予測される不純物は、例えば、HPLC、GC、TLCなどの分析方法により、検出レベル未満、すなわち、検出不可能である。一実施態様において、本明細書で提供する方法の反応混合物又は単離生成物の不純物又は予測される不純物には、反応に使用される出発物質又は手順(proceeding)工程で使用される出発物質が含まれるが、これらに限定されない。一実施態様において、工程F及びGの反応混合物又は単離生成物における不純物又は予測される不純物には、とりわけ、N−{4−[7−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)(4−ヒドロイミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−2−イル)]フェニル}({4−[7−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)(4−ヒドロイミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−2−イル)]フェニル}アミノ)カルボキサミド(XI)が含まれるが、これに限定されない。一実施態様において、フェニルクロロホルメートが工程Fにおける出発物質として使用される場合には、反応混合物又は単離生成物における不純物又は予測される不純物は、フェノールである。一実施態様において、本明細書で提供する方法は、例えばHPLCにより分析(全体に対する面積%)されるように、対称尿素不純物(XI)が、約0%のレベルで存在するか、約0.05%未満、約0.1%未満、約0.5%未満、約0.8%未満、約1%未満、約2%未満、約5%未満、約6%未満又は約7%未満のレベルで存在する、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。一実施態様において、本明細書で提供する方法は、例えばHPLCにより分析(全体に対する面積%)されるように、対称尿素不純物(XI)が、約0.05%未満のレベルで存在する、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。一実施態様において、本明細書で提供する方法は、例えばHPLC分析などにより、対称尿素不純物(XI)が検出できない、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。一実施態様において、本明細書で提供する方法は、
図18又は19に示すような純度プロファイルを有する、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形を生産する。
【0105】
【化9】
【0106】
一実施態様において、本明細書で提供する方法の反応混合物又は単離生成物は、例えばHPLCなどの方法によりモニタリングされるように、検出可能な不純物(XI)を全く含まない。一実施態様において、本明細書で提供する反応混合物又は単離生成物は、バッチ全体に対して、約0.5重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、約0.002重量%未満、約0.001重量%未満、約0.0005重量%未満、約0.0002重量%未満又は約0.0001重量%未満のレベルの不純物(XI)を含む。
【0107】
一実施態様において、本明細書で提供する方法の単離生成物における不純物又は予測される不純物は、例えば、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トルエン、アセトン、メチルt−ブチルエーテル、エタノール、テトラヒドロフランなどの揮発性有機化合物である。一実施態様において、本明細書で提供する方法の単離生成物における不純物又は予測される不純物は、例えば、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トルエン、アセトン、メチルt−ブチルエーテル、エタノール、テトラヒドロフランなどの有機溶媒である。
【0108】
一実施態様において、本明細書で提供する方法により生産される、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の乾燥減量(LOD)は、バッチ全体に対して、約5重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満又は約0.01重量%未満である。
【0109】
一実施態様において、本明細書で提供する方法により生産される、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の強熱残分は、バッチ全体に対して、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満又は約0.01重量%未満である。
【0110】
一実施態様において、本明細書で提供する方法により生産される、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形における重金属系不純物の総量は、バッチ全体に対して、約500ppm(百万分率)(w/w)未満、約200ppm(w/w)未満、約100ppm(w/w)未満、約50ppm(w/w)未満、約20ppm(w/w)未満、約10ppm(w/w)未満、約5ppm(w/w)未満、約2ppm(w/w)未満、約1ppm(w/w)未満、約0.5ppm(w/w)未満、約0.2ppm(w/w)未満又は約0.1ppm(w/w)未満である。
【0111】
一実施態様において、本明細書では、1種以上の残留溶媒(メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、メチルt−ブチルエーテル及びテトラヒドロフランを含むが、これらに限定されない)を実質的に含まない、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、残留溶媒又は予測される残留溶媒は、バッチ全体に対して、約5,000ppm(w/w)未満、約2,000ppm(w/w)未満、約1,000ppm(w/w)未満、約500ppm(w/w)未満、約200ppm(w/w)未満、約100ppm(w/w)未満、約50ppm(w/w)未満、約20ppm(w/w)未満、約10ppm(w/w)未満、約5ppm(w/w)未満、約2ppm(w/w)未満、約1ppm(w/w)未満、約0.5ppm(w/w)未満、約0.2ppm(w/w)未満又は約0.1ppm(w/w)未満である。一実施態様において、例えば、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフランなどの予測される残留溶媒は検出され得ない。
【0112】
一実施態様において、本明細書では、バッチ全体に対して、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.9重量%未満、約0.8重量%未満、約0.7重量%未満、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.4重量%未満、約0.3重量%未満、約0.2重量%未満又は約0.1重量%未満の含水量を有する、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0113】
一実施態様において、本明細書では、白色又はオフホワイト色固体の外観を有する、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0114】
一実施態様において、本明細書で提供する方法の1つ以上の工程は、GMP(Good Manufacturing Process)条件下で実施される。一実施態様において、本明細書で提供する方法の1つ以上の工程は、非GMP条件下で実施される。
【0115】
一実施態様において、本明細書では、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VIII)を5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)と反応させてN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)を得る工程を含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体は、フェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメートである。一実施態様において、5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体は、3−アミノ−5−tert−ブチルイソオキサゾール(IX)から調製される。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応の単離収率は、約70%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約98%超又は約99%超である。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応から単離された生成物(I)の純度は、バッチ全体に対して、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超、約99.98重量%超又は約99.99重量%超である。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応から単離された生成物(I)は、1つ以上の不純物又は予測される不純物を実質的に含まない。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応から単離された生成物(I)は、不純物(XI)を実質的に含まない。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応から単離された生成物(I)は、検出可能な不純物(XI)を全く含まない。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応から単離された生成物(I)は、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.02重量%未満、約0.01重量%未満、約0.005重量%未満、約0.002重量%未満又は約0.001重量%未満の不純物(XI)を含む。一実施態様において、化合物(X)と化合物(VIII)との反応で使用される、化合物(VIII)に対する化合物(X)のモル比率は、約0.8(すなわち、[化合物(X)]/[化合物(VIII)]=0.8)、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9又は約2.0である。一実施態様において、化合物(X)と化合物(VIII)との反応で使用される、化合物(VIII)に対する化合物(X)のモル比率は、約1.0、約1.1、約1.2又は約1.3である。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応生成物(I)は、ろ過又は遠心分離により単離される。一実施態様において、化合物(VIII)と化合物(X)との反応生成物(I)は、カラムクロマトグラフィーを用いることなく単離される。
【0116】
一実施態様において、本明細書では、以下の工程のいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する:
(A)2−アミノ−6−アルコキシベンゾチアゾール(II)(式中、R
1は適切なフェノール性ヒドロキシル保護基である)を2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(III)に変換する工程;
【0117】
【化10】
【0118】
(B)2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(III)を化合物(IV)(式中、X
1は脱離基である)と反応させて、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)を得る工程;
【0119】
【化11】
【0120】
(C)2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)を化合物(VI)(式中、X
2は脱離基である)と反応させて、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VII)を得る工程;
【0121】
【化12】
【0122】
(D)7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VII)を還元して、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VIII)を得る工程;
【0123】
【化13】
【0124】
(E)3−アミノ−5−tert−ブチルイソオキサゾール(IX)を5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)(式中、R
2は、置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アルキル又はシクロアルキルである)に変換する工程;
【0125】
【化14】
【0126】
(F)7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VIII)を5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)と反応させて、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)を得る工程;及び
【0127】
【化15】
【0128】
(G)N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素を、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素の酸付加塩に変換する工程。
【0129】
ある実施態様において、本明細書では、スキーム1で表す(式中、R
1、R
2、X
1及びX
2は、本明細書中で別途定義する)ような、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。特定の実施態様において、本明細書では、スキーム1で表すような、工程A、B、C、D、E、F及びGのいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0130】
スキーム1:
【0131】
【化16】
【0132】
一実施態様において、本明細書では、工程Aを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程Bを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程Cを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程Dを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程Eを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程Fを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程Gを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0133】
一実施態様において、本明細書では、工程E及び工程Fを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程F及び工程Gを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程E、工程F及び工程Gを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0134】
一実施態様において、本明細書では、工程A及び工程Fを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程B及び工程Fを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程C及び工程Fを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程D及び工程Fを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0135】
一実施態様において、本明細書では、工程D、E及びFを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程C、D、E及びFを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程B、C、D、E及びFを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程A、B、C、D、E及びFを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0136】
一実施態様において、本明細書では、工程D、E、F及びGを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程C、D、E、F及びGを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程B、C、D、E、F及びGを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程A、B、C、D、E、F及びGを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0137】
一実施態様において、本明細書では、工程B及びCを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程A及びBを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程A、B及びCを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程B、C及びDを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。一実施態様において、本明細書では、工程A、B、C及びDを含む、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾ−チアゾール−2−イル]フェニル}尿素(I)、又はその医薬上許容される塩、溶媒和物、水和物若しくは多形の調製方法を提供する。
【0138】
工程A、B、C、D、E、F及びGの詳細な説明は、本明細書中に別途記載する。
【0139】
1.工程A
一実施態様において、工程Aの反応で使用される2−アミノ−6−アルコキシベンゾチアゾール化合物(II)は、
【0140】
【化17】
【0141】
(式中、R
1は、適切なフェノール性ヒドロキシル保護基である)である。適切なフェノール性ヒドロキシル保護基は、例えば、Greene&Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」,4
th Edition,Wiley Interscience,2006;Kocienski,「Protecting Groups」,3
rd Edition,Thieme,2005に記載されている。一実施態様において、R
1は、置換されていてもよいC
1−C
6アルキルである。一実施態様において、R
1は、非置換のC
1−C
6アルキルである。いくつかの実施態様において、R
1は、置換されていてもよい直鎖アルキルである。いくつかの実施態様において、R
1は、置換されていてもよい分枝アルキルである。いくつかの実施態様において、R
1は、メチル又はエチルである。いくつかの実施態様において、R
1はメチルである。いくつかの実施態様において、2−アミノ−6−アルコキシベンゾチアゾール(II)は、下記構造:
【0142】
【化18】
【0143】
により表される、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールである。
【0144】
一実施態様において、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールは、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標),Inc.、Alfa Aesar、Apollo Scientific,Ltd.、TCI America及びDu−Hope International Group,Nanjing,Chinaなどの販売業者から得られる。
【0145】
一実施態様において、工程Aの反応は、反応容器中、適した温度で、適した溶媒中の化合物(I)と脱保護試薬との混合物を、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、化合物(I)は、適した溶媒中の脱保護試薬の撹拌混合物に添加される。一実施態様において、脱保護試薬は、適した溶媒中の化合物(I)の撹拌混合物に添加される。
【0146】
一実施態様において、脱保護試薬は、フェノール性ヒドロキシル保護基を脱保護するのに適した試薬である。例えば、Greene&Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,4th Edition,Wiley Interscience,2006を参照されたい。一実施態様において、脱保護試薬は、臭化水素酸、三臭化ホウ素、ヨウ化水素酸又はヨードトリメチルシランである。一実施態様において、脱保護試薬は、臭化水素酸である。一実施態様において、脱保護試薬は、水性臭化水素酸である。一実施態様において、脱保護試薬は、48重量%の水性臭化水素酸である。
【0147】
一実施態様において、モル過剰の脱保護試薬が、工程Aの反応で使用される。一実施態様において、工程Aの反応で使用される、化合物(II)に対する脱保護試薬のモル比率は、約1(すなわち、[脱保護試薬]/[化合物(II)]=1)、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15又は15超である。一実施態様において、工程Aの反応で使用される、化合物(II)に対する脱保護試薬のモル比率は、約10である。
【0148】
一実施態様において、反応は、プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、反応は、非プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、反応は、水中で実施される。
【0149】
一実施態様において、工程Aの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Aの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Aの反応は、還流条件下で実施される。一実施態様において、工程Aの反応は、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約110℃、約120℃又は約120℃超の温度で実施される。一実施態様において、工程Aの反応は、約105℃と約110℃の間の温度で実施される。
【0150】
工程Aの反応時間は、反応温度、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約1時間〜約24時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Aの反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間又は約24時間である。いくつかの実施態様において、脱保護試薬が水性臭化水素酸の場合、約105℃と約110℃の間の反応温度で、反応時間は、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間である。いくつかの実施態様において、反応進行は、一定量の反応混合物を得て、これを適した溶媒で希釈し、HPLCで分析することなどによって、モニタリングされる。一実施態様において、反応は、例えば反応進行モニタリングを介して、実質的に完了していると決定された場合に停止される。一実施態様において、HPLCによる反応進行モニタリングが、2−アミノ−6−アルコキシベンゾチアゾールが反応混合物中に約2%未満(すなわち、HPLC面積%<2%)のレベルで存在することを示す場合に、反応は実質的に完了していると考えられる。
【0151】
一実施態様において、工程Aの反応が実質的に完了している場合に、反応混合物を冷却して、生成物(III)を沈殿させる。一実施態様において、反応混合物は、約0℃、約5℃又は約10℃の温度まで冷却する。一実施態様において、反応混合物は、約0℃と約5℃の間の温度まで冷却する。一実施態様において、反応混合物は、冷却温度(例えば、約0℃、約5℃又は約10℃)で、約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約1.5時間又は約2時間維持する。いくつかの実施態様において、生成物(III)の沈殿を促進するために貧溶媒(counter−solvent)が添加される。他の実施態様において、貧溶媒は添加されない。
【0152】
一実施態様において、沈殿生成物(III)を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。いくつかの実施態様において、湿潤固体は、余分な脱アルキル化試薬又は他の不純物を除去するために加圧される。一実施態様において、固体は、例えば炭酸水素ナトリウム飽和溶液などの中和溶液中に再懸濁され、次いで濾過される。一実施態様において、生成物(III)を含む濾過ケーキは、水で洗浄される。一実施態様において、生成物(III)を含む単離固体は、空気乾燥される。一実施態様において、生成物(III)を含む単離固体は、減圧下で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、乾燥は、周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間又は約24時間、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃又は約50℃の温度で実施される。いくつかの実施態様において、工程Aの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0153】
一実施態様において、工程Aの単離生成物の収率は、約60%超、約70%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約98%超又は約99%超である。一実施態様において、工程Aの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%、約95重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.8重量%又は約99.9重量%である。一実施態様において、工程Aの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超又は約99.9重量%超である。
【0154】
2.工程B
一実施態様において、工程Bの反応で使用される化合物(IV)は、
【0155】
【化19】
【0156】
(式中、X
1は脱離基である)である。一実施態様において、X
1は、ハロ、アルキルスルホネート又はアリールスルホネートである。例えば、Prakash,et al.,Synlett 1994,221;Moriarty,et al.,Synthesis 1992,845を参照されたい。一実施態様において、X
1はハロである。一実施態様において、X
1はヨードである。一実施態様において、X
1はブロモである。一実施態様において、X
1はクロロである。一実施態様において、X
1はフルオロである。一実施態様において、化合物(IV)は、下記構造:
【0157】
【化20】
【0158】
により表される、2−ブロモ−4’−ニトロアセトフェノンである。
【0159】
一実施態様において、化合物(III)は、工程Aから得られる。一実施態様において、化合物(III)は、販売業者から得られる。一実施態様において、2−ブロモ−4’−ニトロアセトフェノンは、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標),Inc.、Alfa Aesar、Betapharma Shanghai Co.,Ltd.、Oakwood Products,Inc.及びDu−Hope International Group,Nanjing,Chinaなどの販売業者から得られる。
【0160】
一実施態様において、工程Bの反応は、適した温度で、適した溶媒中の化合物(III)と化合物(IV)との混合物を、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、塩基の存在下で実施される。一実施態様において、塩基は、適した溶媒中の化合物(III)と化合物(IV)との撹拌混合物に添加され、得られた混合物は、適した温度で、反応が実質的に完了するまで撹拌される。
【0161】
一実施態様において、工程Bの反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、1つ以上の炭酸塩又は炭酸水素塩の存在下で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、炭酸水素ナトリウムの存在下で実施される。
【0162】
一実施態様において、工程Bの反応で使用される、化合物(III)に対する化合物(IV)のモル比率は、約0.9(すなわち、[化合物(IV)]/[化合物(III)]=0.9)、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4又は約1.5である。一実施態様において、工程Bの反応で使用される、化合物(III)に対する化合物(IV)のモル比率は、約1.0、約1.1又は約1.2である。一実施態様において、工程Bの反応で使用される、化合物(III)に対する化合物(IV)のモル比率は、約1.1である。
【0163】
一実施態様において、化合物(III)に対する、工程Bの反応で使用される塩基のモル比率は、約0.9(すなわち、[塩基]/[化合物(III)]=0.9)、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4又は約1.5である。一実施態様において、化合物(III)に対する、工程Bの反応で使用される塩基のモル比率は、約0.9、約1.0又は約1.1である。一実施態様において、化合物(III)に対する、工程Bの反応で使用される塩基のモル比率は、約1.0である。
【0164】
一実施態様において、工程Bの反応は、極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、非極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、非プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、アルコール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、エタノール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、イソプロパノール又はn−ブタノール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、イソプロパノール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、n−ブタノール中で実施される。
【0165】
一実施態様において、工程Bの反応は、塩基の存在下、アルコール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、1つ以上の炭酸塩又は炭酸水素塩の存在下、アルコール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、塩基の存在下、n−ブタノール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、1つ以上の炭酸塩又は炭酸水素塩の存在下、n−ブタノール中で実施される。
【0166】
一実施態様において、工程Bの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、還流条件下で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約95℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃又は約150℃超の温度で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、還流条件下、n−ブタノール中で実施される。一実施態様において、工程Bの反応は、約110℃と約115℃の間の温度で実施される。
【0167】
工程Bの反応の反応時間は、反応温度、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約1時間〜約24時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Bの反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間又は約24時間である。いくつかの実施態様において、炭酸水素ナトリウムを塩基として使用して、約110℃と約115℃の間の反応温度でn−ブタノール中の反応を促進する場合、反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間又は約5時間である。いくつかの実施態様において、反応進行は、一定量の反応混合物を得て、これを適した溶媒で希釈し、HPLCで分析することなどによって、モニタリングされる。一実施態様において、反応が、例えば反応進行モニタリングを介して、実質的に完了していると決定された場合に、反応は停止される。一実施態様において、HPLCによる反応進行モニタリングが、化合物(III)が反応混合物中に約2%未満(すなわち、HPLC面積%<2%)のレベルで存在することを示す場合に、反応は実質的に完了していると考えられる。
【0168】
一実施態様において、工程Bの反応が実質的に完了している場合に、反応混合物を冷却して、生成物(V)を沈殿させる。一実施態様において、反応混合物は、約0℃、約5℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃又は約60℃の温度まで冷却される。一実施態様において、反応混合物は、冷却温度で、約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約1.5時間又は約2時間維持される。一実施態様において、反応が、約100℃超の温度で実施される場合には、反応混合物は、初めに約50℃と約60℃の間の温度まで徐冷され、次いで約0℃と約5℃の間の温度まで徐冷され、約15分間撹拌される。いくつかの実施態様において、貧溶媒は、生成物(V)の沈殿を促進するために添加される。他の実施態様において、貧溶媒は添加されない。
【0169】
一実施態様において、沈殿生成物(V)を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。いくつかの実施態様において、湿潤固体はフィルター上で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、反応混合物の濾過から得た固体は、水中に再懸濁され、約30分間撹拌され、次いで濾過される。一実施態様において、得られた固体は、例えばアセトンなどの有機溶媒中に再懸濁され、撹拌され、次いで濾過される。一実施態様において、フィルター上の固体は、例えばアセトンなどの溶媒で洗浄される。一実施態様において、単離固体は空気乾燥される。一実施態様において、生成物(V)を含む単離固体は、減圧下で乾燥される。一実施態様において、乾燥は、周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間又は約24時間、約20℃、約30℃、約40℃又は約50℃の温度で実施される。いくつかの実施態様において、工程Bの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0170】
一実施態様において、工程Bの単離生成物の収率は、約60%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超又は約98%超である。ある実施態様において、工程Bの単離生成物の収率は、約80%超又は約85%超である。一実施態様において、工程Bの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%、約95重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.8重量%又は約99.9重量%である。一実施態様において、工程Bの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%超、約95重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超又は約99.9重量%超である。
【0171】
3.工程C
一実施態様において、工程Cの反応で使用される化合物(VI)は、
【0172】
【化21】
【0173】
(式中、X
2は脱離基である)である。一実施態様において、X
2は、ハロ、アルキルスルホネート又はアリールスルホネートである。例えば、Prakash,et al.,Synlett 1994,221;Moriarty,et al.,Synthesis 1992,845を参照されたい。一実施態様において、X
2は、トシレート、ノシレート、メシレート又はトリフレートである。一実施態様において、X
2はハロである。一実施態様において、X
2はヨードである。一実施態様において、X
2はブロモである。一実施態様において、X
2はクロロである。一実施態様において、X
2はフルオロである。一実施態様において、化合物(VI)は、下記構造:
【0174】
【化22】
【0175】
により表される、4−(2−クロロエチル)モルホリンである。
【0176】
いくつかの実施態様において、4−(2−クロロエチル)モルホリンは、その塩酸塩として供給され、出発物質として工程Cで使用される。一実施態様において、4−(2−クロロエチル)モルホリンは、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標),Inc.、TCI America、Alfa Aesar、Pfaltz&Bauer,Inc.及びApollo Scientific,Ltdなどの販売業者から得られる。
【0177】
一実施態様において、工程Cの反応は、適した温度で、適した溶媒中の化合物(V)と化合物(VI)との混合物を、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、触媒の存在下で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、塩基と触媒の存在下で実施される。一実施態様において、塩基及び/又は触媒は、適した溶媒中の化合物(V)と化合物(VI)との撹拌混合物に添加され、得られた混合物は、適した温度で、反応が実質的に完了するまで撹拌される。
【0178】
一実施態様において、工程Cの反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、1つ以上の炭酸塩又は炭酸水素塩の存在下で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、炭酸カリウムの存在下で実施される。
【0179】
一実施態様において、工程Cの反応は、触媒の存在下で実施される。一実施態様において、触媒は、相間移動試薬である。一実施態様において、触媒は、テトラブチルアンモニウムヨージドである。
【0180】
一実施態様において、工程Cの反応は、炭酸カリウムとテトラブチルアンモニウムヨージドの存在下で実施される。
【0181】
一実施態様において、工程Cの反応で使用される、化合物(V)に対する化合物(VI)のモル比率は、約1.0(すなわち、[化合物(VI)]/[化合物(V)]=1.0)、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約5.0である。一実施態様において、工程Cの反応で使用される、化合物(V)に対する化合物(VI)のモル比率は、約2.5、約3.0又は約3.5である。一実施態様において、工程Cの反応で使用される、化合物(V)に対する化合物(VI)のモル比率は、約3.0である。
【0182】
一実施態様において、化合物(V)に対する、工程Cの反応で使用される塩基のモル比率は、約0.1(すなわち、[塩基]/[化合物(V)]=0.1)、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約5.0である。一実施態様において、化合物(V)に対する、工程Cの反応で使用される塩基のモル比率は、約2.5、約3.0又は約3.5である。一実施態様において、化合物(V)に対する、工程Cの反応で使用される塩基のモル比率は、約3.0である。
【0183】
一実施態様において、化合物(V)に対する、工程Cの反応で使用される触媒のモル比率は、約0.1(すなわち、[触媒]/[化合物(V)]=0.1)、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5又は約0.5超である。一実施態様において、化合物(V)に対する、工程Cの反応で使用される触媒のモル比率は、約0.1、約0.2又は約0.3である。一実施態様において、化合物(V)に対する、工程Cの反応で使用される触媒のモル比率は、約0.2である。
【0184】
一実施態様において、工程Cの反応は、極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、非極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、非プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン又はN,N−ジメチルホルムアミド中などで実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、無水DMF中で実施される。
【0185】
一実施態様において、工程Cの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約95℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃又は約150℃超の温度で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、約90℃、約100℃又は約110℃の温度で実施される。一実施態様において、工程Cの反応混合物は、最初に約90℃の温度まで加熱され、少なくとも約15分間、90℃で撹拌され、次いで約110℃の温度まで加熱される。一実施態様において、工程Cの反応は、約90℃と約110℃の間の温度で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、約105℃、約110℃又は約115℃の温度で実施される。一実施態様において、工程Cの反応は、約110℃の温度で実施される。
【0186】
工程Cの反応の反応時間は、反応温度、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約1時間〜約24時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Cの反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間又は約24時間である。いくつかの実施態様において、約105℃と約115℃の間の反応温度で、DMF中の反応を促進するために、炭酸カリウムとテトラブチルアンモニウムヨージドがそれぞれ塩基及び触媒として使用される場合、反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間又は約7時間である。いくつかの実施態様において、反応進行は、一定量の反応混合物を得て、これを適した溶媒で希釈し、HPLCで分析することなどによって、モニタリングされる。一実施態様において、反応が、例えば反応進行モニタリングを介して、実質的に完了していると決定された場合に、反応は停止される。一実施態様において、HPLCによる反応進行モニタリングが、化合物(V)が反応混合物中に約1%未満(すなわち、HPLC面積%<1%)のレベルで存在することを示す場合に、反応は実質的に完了していると考えられる。いくつかの実施態様において、反応が、DMF中、約110℃の温度で約6時間後でも実質的に完了していない場合、追加の化合物(VI)を反応混合物に添加して、いずれかの残りの化合物(V)と反応させてよい。
【0187】
一実施態様において、工程Cの反応が実質的に完了している場合に、反応混合物は冷却される。一実施態様において、反応混合物は、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃又は約40℃の温度まで冷却される。いくつかの実施態様において、水及びアセトンが冷却反応混合物に添加され、得られた混合物が撹拌される。一実施態様において、混合物は、約30分間、約1.0時間、約1.5時間、約2.0時間、約2.5時間、約3.0時間又は3.0時間超撹拌される。一実施態様において、工程Cの生成物(VII)は、固体として混合物から沈殿する。
【0188】
一実施態様において、沈殿生成物(VII)を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。いくつかの実施態様において、湿潤固体は、フィルター上で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は、真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、反応混合物の濾過から得られた固体は、水及びアセトンで洗浄される。一実施態様において、単離固体は空気乾燥される。一実施態様において、生成物(VII)を含む単離固体は、減圧下で乾燥される。一実施態様において、乾燥は、周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間若しくは約24時間、又は一定重量となるまで、約20℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃又は約50℃の温度で実施される。いくつかの実施態様において、工程Cの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0189】
一実施態様において、工程Cの単離生成物の収率は、約60%超、約70%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約98%超又は約99%超である。ある実施態様において、工程Cの単離生成物の収率は、約85%超又は約90%超である。一実施態様において、工程Cの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.8重量%又は約99.9重量%である。一実施態様において、工程Cの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%超、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超又は約99.9重量%超である。
【0190】
一実施態様において、工程Cは、GMP条件下で実施される。
【0191】
4.工程D
一実施態様において、工程Dの反応は、水素、又は水素移動試薬(ギ酸、ギ酸アンモニウム及びシクロヘキサジエンを含むが、これらに限定されない)の存在下で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、水素の存在下で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、還元剤の存在下で実施され、還元剤には、塩化スズ、金属スズ若しくは金属鉄(酸の存在下)、水素化アルミニウムリチウム、ナトリウムジチオナイト及び金属サマリウム(ピリジニウム触媒の存在下)が含まれるが、これらに限定されない。一実施態様において、工程Dの反応は、還元触媒の存在下で実施され、還元触媒には、パラジウム触媒、ロジウム触媒及びルテニウム触媒が含まれるが、これらに限定されない。一実施態様において、工程Dの反応は、還元触媒の存在下で実施され、還元触媒には、パラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素及びラネー Niが含まれるが、これらに限定されない。一実施態様において、工程Dの反応は、ラネー Niの存在下で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、水素雰囲気下、ラネー Niの存在下で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、約150psiの水素下、ラネー Niの存在下で実施される。
【0192】
一実施態様において、工程Dの反応は、適した温度で、適した溶媒中の化合物(VII)、及び還元剤又は触媒の混合物を、いくつかの実施態様では水素又は水素移動試薬の存在下で、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、水素雰囲気下、適した温度で、適した溶媒中の化合物(VII)及び還元触媒の混合物を、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、高圧反応器中で実施される。一実施態様において、高圧反応器には、窒素を流した適切な溶媒中の化合物(VII)の混合物が投入される。一実施態様において、還元触媒は、減圧下、又は例えば窒素などの不活性雰囲気下、適した溶媒中の化合物(VII)の混合物に添加される。一実施態様において、適した溶媒中の化合物(VII)及び還元触媒の混合物を含む高圧反応器は、開放され(vented)、例えば50℃などの適した温度まで加熱される。一実施態様において、反応器は、水素ガスで加圧される。一実施態様において、水素雰囲気下にある高圧反応器の中身は、適した温度で、反応が実質的に完了するまで撹拌される。
【0193】
一実施態様において、工程Dの還元触媒は、例えばラネーニッケル、パラジウム炭素などの当分野で公知の水素化触媒である。一実施態様において、工程Dの還元触媒はラネーニッケルである。一実施態様において、工程Dの反応は、ラネーニッケルの存在下で実施される。
【0194】
一実施態様において、工程Dの反応は、水素雰囲気下で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、約150psiの水素下で実施される。一実施態様において、反応進行は、水素取込み試験により、すなわち、反応混合物を含む反応器を水素の特定の陽圧(例えば、150psiなど)まで加圧し、一定期間後(例えば、1時間など)に圧力を確認することにより、モニタリングされる。水素圧が、例えば約5psiなど低下している場合には、上記のプロセスを反復する、すなわち、水素で反応器を再度加圧し、一定期間後に圧力を確認する。水素圧が、例えば初期圧力の約5psi以内など、ほぼ同一のままである場合には、反応器は開放され、反応混合物は、例えばHPLCによる分析など、サンプリングされる。
【0195】
一実施態様において、工程Dの反応で使用される、化合物(VII)に対する還元剤の重量比率は、約1.0(すなわち、[還元剤]/[化合物(VII)]=1.0)、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.0超である。一実施態様において、工程Dの反応で使用される、化合物(VII)に対する還元触媒の重量比率は、約0.01(すなわち、[還元触媒]/[化合物(VII)]=0.01)、約0.05、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5又は約0.5超である。一実施態様において、工程Dの反応で使用される、化合物(VII)に対する還元触媒の重量比率は、約0.10、約0.15、約0.20又は約0.25である。一実施態様において、工程Dの反応で使用される、化合物(VII)に対する還元触媒の重量比率は、約0.18である。
【0196】
一実施態様において、工程Dの反応は、極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、非極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、非プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、2種以上の溶媒混合物中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、メタノール、エタノール中などで実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、メタノール中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、テトラヒドロフラン中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、メタノールとテトラヒドロフランとの混合物中で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、水の存在下で実施される。
【0197】
一実施態様において、工程Dの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃又は約80℃超の温度で実施される。一実施態様において、工程Dの反応は、約50℃の温度で実施される。一実施態様において、工程Dの反応混合物の内部温度は、反応過程を通じて、約55℃以下に調節される。
【0198】
一実施態様において、工程Dの反応は、水素雰囲気下で実施される。一実施態様において、水素雰囲気の圧力は、約1psiと約3000psiの間、約30psiと約200psiの間又は約100psiと約200psiの間である。一実施態様において、水素雰囲気の圧力は、約1、約10、約30、約50、約100、約120、約150、約180、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約750、約1000、約2000又は約3000psiである。一実施態様において、水素雰囲気の圧力は、約150psiである。
【0199】
工程Dの反応の反応時間は、反応温度、水素圧、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約1時間〜約24時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Dの反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間又は約24時間である。いくつかの実施態様において、水の存在下、還元触媒としてラネー Niを使用し、約150psiの水素下、約50℃の反応温度で、メタノールとTHFの混合物中、反応が実施される場合、反応時間は、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間又は約10時間である。いくつかの実施態様において、本明細書中に別途記載の水素取込み試験を用いて、反応進行がモニタリングされる。いくつかの実施態様において、水素取込み試験がほぼ一定の水素圧を示した後に、反応器を開放し、一定量の反応混合物を得、これを適した溶媒で希釈し、HPLCで分析することなどにより、HPLCを使用して反応進行がモニタリングされる。一実施態様において、反応が、例えば反応進行モニタリングを介して、実質的に完了していると決定された場合に、反応は停止される。一実施態様において、HPLCによる反応進行モニタリングが、化合物(VII)が反応混合物中に約0.5%未満のレベル(すなわち、HPLC面積%<0.5%)で存在することを示す場合に、反応は実質的に完了していると考えられる。
【0200】
一実施態様において、工程Dの反応が実質的に完了した場合に、反応混合物は、還元剤又は触媒を除去するために濾過される。一実施態様において、濾過工程は、濾過の間に生成物(VIII)の大部分が可溶化されていることを確保するために、例えば約50℃などの高温で実施される。一実施態様において、高圧反応器は、追加の溶媒、例えば、THFとメタールとの混合物などで洗浄され、洗浄物は濾過される。一実施態様において、濾液は、真空蒸留により濃縮される。一実施態様において、濾液は、約40℃未満の内部温度で真空蒸留により濃縮される。一実施態様において、濾液は、完全に溶媒を除去することなく、体積が減少するまで、真空蒸留により濃縮される。一実施態様において、生成物(VIII)を含む濃縮混合物は、冷却される。一実施態様において、生成物(VIII)を含む濃縮混合物は、約0℃、約10℃、約20℃又は約30℃の温度まで冷却される。一実施態様において、生成物(VIII)を含む濃縮混合物は、約20℃まで冷却される。いくつかの実施態様において、例えばヘプタンなどの貧溶媒が、生成物(VIII)を含む冷却混合物に添加され、得られた混合物は真空蒸留される。いくつかの実施態様において、例えばヘプタンなどの貧溶媒が、生成物(VIII)を含む真空蒸留混合物に添加される。一実施態様において、貧溶媒中の生成物(VIII)を含む混合物は、少なくとも約1時間、例えば約20℃などの周囲温度で撹拌される。一実施態様において、工程Dの生成物(VIII)は、固体として混合物から沈殿する。
【0201】
一実施態様において、沈殿生成物(VIII)を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。一実施態様において、工程Dの生成物は、例えばヘプタンなどの非極性溶媒の存在下、濾過又は遠心分離により集められる。いくつかの実施態様において、濾過又は遠心分離から得られた固体は、例えばヘプタンなどの非極性溶媒で洗浄される。いくつかの実施態様において、固体は空気乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、生成物(VIII)を含む単離固体は減圧下で乾燥される。一実施態様において、乾燥は、周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間若しくは約24時間、或いは一定重量になるまで、約20℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃又は約50℃の温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約50℃未満の温度で、一定重量になるまで、減圧下で実施される。いくつかの実施態様において、工程Dの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0202】
一実施態様において、工程Dの単離生成物の収率は、約50%超、約60%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超又は約99%超である。ある実施態様において、工程Dの単離生成物の収率は、約70%超、約75%超又は約80%超である。一実施態様において、工程Dの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.8重量%又は約99.9重量%である。一実施態様において、工程Dの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%超、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超又は約99.9重量%超である。
【0203】
一実施態様において、工程Dは、GMP条件下で実施される。
【0204】
5.工程E
一実施態様において、工程(E)の5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)は、
【0205】
【化23】
【0206】
(式中、R
2は、置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アルキル又はシクロアルキルである)である。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ、ニトロ、シアノ、アルキル又はアルコキシルで置換されていてもよい。一実施態様において、R
2は、置換されていてもよいアルキル(例えば、メチル、エチルなど)である。一実施態様において、R
2は、置換されていてもよい、アリール又はヘテロアリールである。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ、ニトロ、シアノ、アルキル又はアルコキシルで置換されていてもよい、アリール又はヘテロアリールである。一実施態様において、R
2は、非置換のアリール又はヘテロアリールである。一実施態様において、R
2は、置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2は、1つ以上の電子求引性の置換基で置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ、ニトロ又はシアノで置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ又はニトロで置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2はニトロフェニルである。一実施態様において、R
2はフェニルである。一実施態様において、5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)は、下記構造:
【0207】
【化24】
【0208】
により表される、フェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメートである。
【0209】
一実施態様において、本明細書では、式(X)の化合物(式中、R
2は、本明細書中で別途定義する)を提供する。一実施態様において、本明細書では、フェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメートを提供する。
【0210】
一実施態様において、工程Eにおいて出発物質として使用される3−アミノ−5−tert−ブチルイソオキサゾール(IX)は、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標),Inc.、Matrix Scientific、Apollo Scientific,Ltd.、Alfa Aesar及びSuzhou Yunan Pharmaceuticals&Intermediates Co.,Ltd.,Chinaなどの販売業者から得られる。
【0211】
一実施態様において、工程Eの反応は、適した温度で、適した溶媒中の化合物(IX)と適したカルバメート形成試薬との混合物を、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、ハロホルメート試薬の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、クロロホルメート試薬(例えば、フェニルクロロホルメートなど)の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、ハロホルメート試薬と塩基の両方の存在下で実施される。一実施態様において、ハロホルメート試薬は、適した溶媒中の化合物(IX)と塩基との撹拌混合物に添加され、得られた混合物は、適した温度で、反応が実質的に完了するまで撹拌される。
【0212】
一実施態様において、工程Eの反応は、当分野で公知のカルバメート形成試薬の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、ハロホルメート試薬の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、クロロホルメート試薬の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、フェニルクロロホルメートの存在下で実施される。
【0213】
一実施態様において、工程Eの反応は、塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、1つ以上の炭酸塩又は炭酸水素塩の存在下で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、炭酸カリウムの存在下で実施される。
【0214】
一実施態様において、工程Eの反応で使用される、化合物(IX)に対するカルバメート形成試薬(例えば、クロロホルメートなど)のモル比率は、約1.0(すなわち、[カルバメート形成試薬]/[化合物(IX)]=1.0)、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約5.0である。一実施態様において、工程Eの反応で使用される、化合物(IX)に対するカルバメート形成試薬(例えば、クロロホルメートなど)のモル比率は、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4又は約1.5である。一実施態様において、工程Eの反応で使用される、化合物(IX)に対するカルバメート形成試薬(例えば、クロロホルメートなど)のモル比率は、約1.05である。
【0215】
一実施態様において、化合物(IX)に対する、工程Eの反応で使用される塩基のモル比率は、約1.0(すなわち、[塩基]/[化合物(IX)]=1.0)、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約5.0である。一実施態様において、化合物(IX)に対する、工程Eの反応で使用される塩基のモル比率は、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5又は約1.5超である。一実施態様において、化合物(IX)に対する、工程Eの反応で使用される塩基のモル比率は、約1.3である。
【0216】
一実施態様において、工程Eの反応は、極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、非極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、非プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン又はN,N−ジメチルホルムアミド中などで実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、THF中で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、無水THF中で実施される。
【0217】
一実施態様において、工程Eの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃又は約50℃超の温度で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、約15℃、約20℃又は約25℃の温度で実施される。一実施態様において、工程Eの反応は、約20℃の温度で実施される。
【0218】
工程Eの反応の反応時間は、反応温度、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約1時間〜約24時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Eの反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間又は約24時間である。いくつかの実施態様において、反応が、塩基として使用される炭酸カリウムと、カルバメート形成試薬として使用されるフェニルクロロホルメートとともに無水THF中、約20℃の反応温度で実施される場合、反応時間は、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間又は約8時間超である。いくつかの実施態様において、反応が、塩基として使用される炭酸カリウムと、カルバメート形成試薬として使用されるフェニルクロロホルメートとともに無水THF中、約20℃の反応温度で実施される場合、反応時間は、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間である。いくつかの実施態様において、反応進行は、一定量の反応混合物を得、これを適した溶媒で希釈し、HPLCで分析することなどによってモニタリングされる。一実施態様において、反応が、例えば反応進行モニタリングを介して、実質的に完了していると決定された場合に、反応は停止される。一実施態様において、HPLCによる反応進行モニタリングが、化合物(IX)が反応混合物中に約2%未満(すなわち、HPLC面積%<2%)のレベルで存在することを示す場合に、反応は実質的に完了していると考えられる。いくつかの実施態様において、反応が、THF中、約20℃の温度で、約6時間後でも実質的に完了していない場合、追加の塩基及びカルバメート形成試薬を反応混合物に添加して、いずれかの残りの化合物(IX)と反応させてよい。
【0219】
一実施態様において、工程Eの反応が実質的に完了している場合には、反応混合物は、例えばカリウム塩などの無機塩を除去するために濾過される。一実施態様において、固体は、例えばTHFなどの有機溶媒で洗浄される。一実施態様において、濾液は真空蒸留される。一実施態様において、濾液は、約40℃未満の内部温度に維持しつつ、真空蒸留される。一実施態様において、濾液は、完全に溶媒を除去することなく、体積が減少するまで真空蒸留により濃縮される。一実施態様において、例えば水及び/又はエタノールなどの貧溶媒が、生成物(X)を含む濃縮混合物に添加される。一実施態様において、生成物(X)と貧溶媒とを含む混合物は、約20℃の温度で、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間撹拌される。一実施態様において、工程Eの生成物(X)は、固体として混合物から沈殿する。
【0220】
一実施態様において、沈殿生成物(X)を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。一実施態様において、工程Eの生成物(X)は、例えば水とエタノールとの混合物などの貧溶媒の存在下、濾過又は遠心分離により集められる。一実施態様において、工程Eの生成物(X)は、濾過工程の間に、例えば水などの溶媒で洗浄される。一実施態様において、固体は、フィルター上で乾燥される。一実施態様において、固体は、ブロードライされる(blow−dried)。一実施態様において、固体は空気乾燥される。一実施態様において、固体は減圧下で乾燥される。一実施態様において、固体は真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、乾燥は、周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間若しくは約24時間、又は一定重量まで、約20℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃又は約50℃の温度で実施される。いくつかの実施態様において、工程Eの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0221】
一実施態様において、工程Eの単離生成物の収率は、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超、約98%超又は約99%超である。ある実施態様において、工程Eの単離生成物の収率は、約90%超、約95%超又は約98%超である。一実施態様において、工程Eの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.8重量%又は約99.9重量%である。一実施態様において、工程Eの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約90重量%超、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超又は約99.9重量%超である。
【0222】
一実施態様において、工程Eは、GMP条件下で実施される。
【0223】
6.工程F
一実施態様において、工程(F)の5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)は、
【0224】
【化25】
【0225】
(式中、R
2は、置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アルキル又はシクロアルキルである)である。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ、ニトロ、シアノ、アルキル又はアルコキシルで置換されていてもよい。一実施態様において、R
2は、置換されていてもよい、アリール又はヘテロアリールである。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ、ニトロ、シアノ、アルキル又はアルコキシルで置換されていてもよい、アリール又はヘテロアリールである。一実施態様において、R
2は、非置換のアリール又はヘテロアリールである。一実施態様において、R
2は、置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2は、1つ以上の電子求引性の置換基で置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ、ニトロ又はシアノで置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2は、1つ以上のハロ又はニトロで置換されていてもよいフェニルである。一実施態様において、R
2はニトロフェニルである。一実施態様において、R
2はフェニルである。一実施態様において、5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメート誘導体(X)は、下記構造:
【0226】
【化26】
【0227】
により表される、フェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメートである。
【0228】
一実施態様において、工程Fの反応は、適した温度で、適した溶媒中の化合物(VIII)と化合物(X)との混合物を、反応が実質的に完了するまで撹拌することにより実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、触媒の存在下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、塩基及び触媒の両方の存在下で実施される。一実施態様において、塩基及び/又は触媒は、適切な溶媒中の化合物(VIII)と化合物(X)との撹拌混合物に添加され、得られた混合物は、適切な温度で、反応が実質的に完了するまで撹拌される。一実施態様において、塩基は、適切な溶媒中の化合物(VIII)、化合物(X)及び触媒の撹拌混合物に添加され、得られた混合物は、適切な温度で、反応が実質的に完了するまで撹拌される。
【0229】
一実施態様において、工程Fの反応は、塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、トリエチルアミンの存在下で実施される。
【0230】
一実施態様において、工程Fの反応は、触媒の存在下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で実施される。
【0231】
一実施態様において、工程Fの反応で使用される、化合物(VIII)に対する化合物(X)のモル比率は、約0.8(すなわち、[化合物(X)]/[化合物(VIII)]=0.8)、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0又は約2.0超である。一実施態様において、工程Fの反応で使用される、化合物(VIII)に対する化合物(X)のモル比率は、約1.0と約1.5の間である。一実施態様において、工程Fの反応で使用される、化合物(VIII)に対する化合物(X)のモル比率は、約1.0、約1.1、約1.2又は約1.3である。一実施態様において、工程Fの反応で使用される、化合物(VIII)に対する化合物(X)のモル比率は、約1.0、約1.1である。
【0232】
一実施態様において、化合物(VIII)に対する、工程Fの反応で使用される塩基のモル比率は、約0.1(すなわち、[塩基]/[化合物(VIII)]=0.1)、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0又は約1.0超である。一実施態様において、化合物(VIII)に対する、工程Fの反応で使用される塩基のモル比率は、約0.1又は約0.2である。一実施態様において、化合物(VIII)に対する、工程Fの反応で使用される塩基のモル比率は、約0.15である。
【0233】
一実施態様において、化合物(VIII)に対する、工程Fの反応で使用される触媒のモル比率は、約0.1(すなわち、[触媒]/[化合物(VIII)]=0.1)、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5又は約0.5超である。一実施態様において、化合物(VIII)に対する、工程Fの反応で使用される触媒のモル比率は、約0.05、約0.10又は約0.15である。一実施態様において、化合物(VIII)に対する、工程Fの反応で使用される触媒のモル比率は、約0.06である。
【0234】
一実施態様において、工程Fの反応は、極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、非極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、非プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド中などで実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン若しくはクロロベンゼン、又は他のハロゲン化炭化水素系溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、無水ハロゲン化炭化水素系溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼン中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、ジクロロメタン中で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、無水ジクロロメタン中で実施される。
【0235】
一実施態様において、工程Fの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃又は約80℃超で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、約40℃の温度で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、還流条件下で実施される。一実施態様において、工程Fの反応は、還流条件下、ジクロロメタン中で実施される。
【0236】
工程Fの反応の反応時間は、反応温度、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約1時間〜約48時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Fの反応時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約32時間、約34時間、約36時間、約38時間、約40時間、約42時間、約44時間、約46時間又は約48時間である。いくつかの実施態様において、反応が、それぞれ塩基及び触媒として使用されるトリエチルアミン及びDMAPとともに、還流条件下、ジクロロメタン中で実施される場合、反応時間は、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間又は約30時間である。いくつかの実施態様において、反応進行は、例えば一定量の反応混合物を得、これを適した溶媒で希釈し、HPLCで分析することなどによりモニタリングされる。一実施態様において、反応が、例えば反応進行モニタリングを介して、実質的に完了していると決定された場合に、反応は停止される。一実施態様において、HPLCによる反応進行モニタリングが、化合物(VIII)が、反応混合物中、化合物(I)に対して約1%未満(すなわち、化合物(I)に対する化合物(VIII)のHPLC面積%の比率<1%)のレベルで存在することを示す場合に、反応は実質的に完了していると考えられる。一実施態様において、生成物(I)は、反応過程の間に、反応混合物から沈殿する。
【0237】
一実施態様において、工程Fの反応が実質的に完了している場合に、反応混合物は冷却される。一実施態様において、反応混合物は、約0℃、約10℃、約20℃又は約30℃の温度まで冷却される。一実施態様において、反応混合物は、約0℃の温度まで冷却される。一実施態様において、冷却された反応混合物は、約30分間、約1.0時間、約1.5時間、約2.0時間、約2.5時間、約3.0時間又は3.0時間超撹拌される。一実施態様において、冷却された反応混合物は、少なくとも約2.0時間撹拌される。一実施態様において、工程Fの生成物(I)は、固体として混合物から沈殿する。
【0238】
一実施態様において、沈殿生成物(I)を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。一実施態様において、生成物(I)を含む固体は、例えば冷ジクロロメタンなどの溶媒で洗浄される。一実施態様において、単離固体は、空気乾燥される。一実施態様において、単離固体は、ブロードライされる。一実施態様において、単離固体は、減圧下で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は、フィルター上で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、乾燥は周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間若しくは約24時間、又は一定重量まで、約20℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃又は約50℃の温度で実施される。いくつかの実施態様において、工程Fの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0239】
一実施態様において、工程Fの単離生成物の収率は、約70%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約98%超又は約99%超である。ある実施態様において、工程Fの単離生成物の収率は、約85%超又は約90%超である。一実施態様において、工程Fの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.8重量%又は約99.9重量%である。一実施態様において、工程Fの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.8重量%超又は約99.9重量%超である。一実施態様において、不純物(XI)は、単離生成物(I)中で検出不可能である。一実施態様において、フェニルクロロホルメートが出発物質として使用された場合、フェノールが単離生成物(I)中の主要な不純物である。一実施態様において、フェノール不純物は、HPLC分析により示されるように、生成物(I)に対して、約1%以下のレベルで存在する。
【0240】
一実施態様において、工程Fは、GMP条件下で実施される。
【0241】
7.工程G
一実施態様において、遊離塩基の化合物(I)は、化合物(I)の酸付加塩に変換される。一実施態様において、遊離塩基の化合物(I)は、化合物(I)の塩酸塩に変換される。一実施態様において、遊離塩基の化合物(I)は、化合物(I)の二塩酸塩に変換される。
【0242】
一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、適した温度で、適した溶媒中の化合物(I)の遊離塩基の撹拌混合物に適した酸を添加することにより実施され、得られた混合物は、反応が実質的に完了するまで撹拌される。
【0243】
一実施態様において、塩酸付加塩が形成される場合、工程Gの塩形成反応は、水性塩酸の存在下で実施される。一実施態様において、化合物(I)に対する、工程Gで使用される酸(例えば、塩酸)のモル比率は、約1.0(すなわち、[酸]/[化合物(I)]=1.0)、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0又は約4.0超である。一実施態様において、化合物(I)に対する、工程Gで使用される酸(例えば、塩酸)のモル比率は、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5又は約3.0である。一実施態様において、化合物(I)に対する、工程Gで使用される酸のモル比率は、約2.0超である。一実施態様において、化合物(I)に対する、工程Gで使用される酸のモル比率は、約2.0、約2.5又は約3.0である。一実施態様において、化合物(I)に対する、工程Gで使用される酸のモル比率は、約2.5である。
【0244】
一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、極性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、プロトン性溶媒中で実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール中などで実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール中で実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、メタノール中で実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、無水メタノール中で実施される。
【0245】
一実施態様において、工程Gの反応は、周囲温度で実施される。一実施態様において、工程Gの反応は、高温で実施される。一実施態様において、工程Gの反応は、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃又は約100℃超の温度で実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、還流条件下で実施される。一実施態様において、工程Gの塩形成反応は、還流条件下、メタノール中で実施される。一実施態様において、工程Gの反応は、約65℃の温度で実施される。
【0246】
工程Gの反応の反応時間は、反応温度、試薬、並びに反応混合物中の試薬の当量及び濃度に応じて、約5分間〜約24時間まで変化し得る。特定の実施態様において、工程Gの反応時間は、約5分間、約15分間、約30分間、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約18時間又は約24時間である。いくつかの実施態様において、反応が、還流条件下、メタノール中で実施される場合には、反応時間は、約1時間又は約2時間である。一実施態様において、酸付加塩生成物は、反応過程の間に反応混合物から沈殿する。
【0247】
一実施態様において、工程Gの反応が実質的に完了している場合に、反応混合物は冷却される。一実施態様において、反応混合物は、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃又は約40℃の温度まで冷却される。一実施態様において、反応混合物は、約20℃の温度まで冷却される。一実施態様において、工程Gの酸付加塩生成物は、固体として混合物から沈殿する。
【0248】
一実施態様において、沈殿した酸付加塩を含む懸濁液は、混合物から固体を分離するために濾過又は遠心分離される。一実施態様において、酸付加塩を含む固体は、例えばメタノールなどの溶媒で洗浄される。一実施態様において、単離固体は、空気乾燥される。一実施態様において、単離固体は、ブロードライされる。一実施態様において、単離固体は、減圧下で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は、フィルター上で乾燥される。いくつかの実施態様において、固体は真空オーブンで乾燥される。一実施態様において、乾燥は周囲温度で実施される。一実施態様において、乾燥は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間若しくは約24時間、又は一定重量まで、約20℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃又は約60℃の温度で実施される。いくつかの実施態様において、工程Gの単離生成物は、再結晶化によりさらに精製されてよい。
【0249】
一実施態様において、工程Gの単離生成物の収率は、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約98%超又は約99%超である。ある実施態様において、工程Gの単離生成物の収率は、約85%超又は約90%超である。一実施態様において、工程Gの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、約99.5重量%、約99.9重量%、約99.95重量%又は約99.99重量%である。一実施態様において、工程Gの単離生成物の純度は、バッチ全体に対して、約95重量%超、約96重量%超、約97重量%超、約98重量%超、約99重量%超、約99.5重量%超、約99.9重量%超、約99.95重量%超又は約99.99重量%超である。
【0250】
一実施態様において、工程Gは、GMP条件下で実施される。
【0251】
本明細書で提供する実施態様の任意且つ全ての組合せは、本開示により包含される。本明細書で提示する方法の特定の実施態様を、以下の非限定的な実施例により例示する。
【実施例】
【0252】
VII.実施例
本明細書で提示する方法の特定の実施態様を、以下の非限定的な実施例により例示する。特定の実施態様において、変更可能なもの(反応溶媒、反応時間、反応温度、試薬、出発物質及び官能基を含むが、これらに限定されない)の変更も本開示により包含される。
【0253】
以下の実施例において、特記のない限り、全ての温度は、摂氏で記載し、全ての部及び割合は重量による。試薬は、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標)Chemical Co.などの販売業者から購入してよく、特記のない限り、さらに精製することなく使用してよい。試薬は、当業者に公知の標準的な文献の手順に従って調製してもよい。溶媒は、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標)などから購入してもよく、特記のない限り、受け取ったとおりに使用してよく、或いは当業者に公知の標準的な方法を使用して精製してもよい。
【0254】
特記のない限り、以下に記載の反応は、通常、周囲温度で実施した。特記のない限り、反応は、HPLCにより分析し、出発物質の消費により判断されるとおり、反応を終了した。
【0255】
以下の実施例における化合物の構造及び純度は、1つ以上の以下の方法により確認した:プロトン核磁気共鳴(1H NMR)分光法、
13C NMR分光法、質量分析、赤外分光法、融点、X線結晶学及び/又はHPLC。
1H NMRスペクトルは、特定の電界強度で操作するNMR分光計を使用して測定した。化学シフトは、TMSなどの内部標準からの百万分の一(ppm、δ)低磁場で記録する。或いは、
1H NMRスペクトルは、以下の重水素化溶媒中の残留プロトン由来のシグナルを参照した:CDCl
3=7.25ppm;DMSO−d
6=2.49ppm;C
6D
6=7.16ppm;CD
3OD=3.30ppm。ピーク多重度は以下のとおり表す:s,シングレット;d,ダブレット;dd,ダブレットオブダブレッツ;t,トリプレット;dt,ダブレットオブトリプレッツ;q,カルテット;br,ブローデンド;及びm,マルチプレット。結合定数は、ヘルツ(Hz)で示す。マススペクトル(MS)データは、APCI又はESIイオン化での質量分析を用いて得た。
【0256】
J.Org.Chem.,2007,72(1):23A−24Aで定義されるような標準的な略語及び頭字語を本明細書で使用する。いくつかの実施態様において、本明細書で使用する略語の例は、以下のとおりである:
APCI−大気圧化学イオン化
AR−無水
DCM−ジクロロメタン
DSC−示差走査熱量測定
EA−元素分析
eq−当量(単数又は複数)
IPC−インプロセスコントロール
KF−カールフィッシャー
LCMS−液体クロマトグラフィー質量分析
LOD−乾燥減量
psi−ポンド毎平方インチ
ラネー Ni−ラネーニッケル
RT−室温
SM−出発物質
TBAI−テトラブチルアンモニウムヨージド
TEA−トリエチルアミン
TGA−熱重量測定
XRPD−粉末X線回折
【0257】
A.2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの調製
【0258】
【化27】
【0259】
1.実施例A−1
コンデンサー、加熱マントル及び機械的スターラーを取り付けた1Lの三つ口丸底フラスコに、水性臭化水素酸(48%、632mL、5.6mol、10当量)を投入した。2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール(100g、0.55mol、1当量)を、上記フラスコに15分間にわたって添加した。還流するまで反応温度を徐々に上げた(105〜110℃)。約80℃で透明な暗褐色溶液が観察された。105〜110℃で約4時間、還流を継続した。反応進行はHPLCによりモニタリングした。2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールが2%未満になった場合に、反応は実質的に完了した。
【0260】
反応生成物(reaction mass)を0〜5℃まで冷却し、この時点で、固体の沈殿が観察された。混合物を0〜5℃で0.5時間維持し、濾過し、ケーキに圧力をかけて、HBrを除去した。機械的スターラーを取り付けた2Lの丸底フラスコに、湿潤ケーキを移した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(〜1500mL)を周囲温度で徐々に添加し、その時に多量の泡が観察された。溶液のpHが約6.5〜7であることが認められた。混合物を周囲温度で0.5時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを水(500mL)で洗浄し、フィルター上で乾燥し、次いで30〜35℃で10〜12時間、減圧下で乾燥して、生成物2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(82g、収率89%、HPLC純度=99%)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6,500MHz):δ7.12(d,1H),7.06(S,2H,NH
2),7.01(d,1H),6.64(dd,1H);MS(m/z)=167.1[M
++1]。
【0261】
【表1】
【0262】
HPLCクロマトグラフィーの条件は以下のとおりであった:使用したカラムは、XTerra RP8、250×4.6mm、5μ又は等価物であった。移動相Aは、1.0Lの水中3.48gのリン酸水素二カリウムを混合し、リン酸でpHを9.0に調整することにより調製したバッファーであった。移動相Bはメタノールであった。流量は、1.0mL/分であった。検出は、UV270nmで設定した。注入体積は、20μLであり、サンプルは希釈液(移動相A:移動相B=70:30)で希釈した。約25mgのサンプルを正確に量り、それを100mLのメスフラスコに移し、20〜30mLの希釈液で溶解し、希釈液で基準(mark)まで体積を補い、混合することにより試験溶液を調製した。同量のブランク溶液及び試験溶液を別々に注入し、全ての注入についてクロマトグラムを記録することによりHPLCを実施した。面積百分率法(area normalization method)により純度を計算した。
【0263】
【表2】
【0264】
2.実施例A−2
2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールを、>70℃の温度で、約3時間、加熱した水性HBrと反応させ、次いで透明な溶液を周囲温度まで一晩冷却した。沈殿した固体を集め、熱水に溶解し、pHをpH=4.5と5.5の間に調整した。得られた固体を集め、乾燥し、イソプロパノールから再結晶化した。2番目の収穫物(crop material)を集めた。固体を真空乾燥して、2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールを得た。
【0265】
反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングした。生成物は、99.4%の純度(HPLC面積%)を有する白色固体として単離した。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6)を収集し、これは構造と一致した。
【0266】
3.実施例A−3
22Lの三つ口丸底フラスコに、機械的アジテーター、熱電対プローブ、還流冷却器及び加熱マントルを取り付けた。フラスコに臭化水素酸(14L、123.16mol、13.10当量)を投入した。加熱を開始し、10分間にわたって、撹拌しながら2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールを添加した(1.7kg、9.4mol、1.00当量)。反応混合物の加熱を継続して還流し、およそ5時間維持(>107℃)した。75℃〜85℃の間で、反応混合物は透明な溶液に変化した。反応進行は、出発物質が観察されなくなるまで、TLCによりモニタリングした(A〜0.5mLの反応混合物のアリコートを、〜0.5mLの水で透明な溶液として希釈し、酢酸ナトリウムでpHを〜5に中和し、1mLのジクロロメタンで抽出した。有機層をスポットした:5%メタノール/ジクロロメタン;R
f(生成物)=0.35;R
f(出発物質)=0.40)。
【0267】
反応混合物を〜20℃まで冷却した(一晩)。白色固体が沈殿した。固体をポリプロピレンフィルターで濾過し、その後のpH調整工程を容易にするために、加圧して、できるだけ多くの臭化水素酸を固体から除去した。わずかに湿った粗生成物を熱水(50℃,5L)中に溶解した。透明な溶液を濾過して、存在する不溶性物質のいずれをも除去し、固体を50℃の水で洗浄した。濾液を10℃まで冷却した。冷却した濾液を、激しく撹拌しながら、酢酸ナトリウム(〜1.0kg)でpH=4.5〜5.5に中和した。濃厚(thick)白色固体が沈殿した。濾過により固体を集め、冷(〜10℃)水(2×1.0L)で洗浄し、空気乾燥した。
【0268】
湿潤粗生成物を加熱した(50℃)イソプロパノール(3L)中に簡単にスラリー化し、冷却室(〜5℃)に一晩置いた。濾過により固体を集め、メチルtert−ブチルエーテル(2×500mL)で洗浄した。固体を、真空オーブン(<30mmHg)中、30℃で一晩乾燥した(1番目の収穫物)。収率:1068g(68%)、白色固体。HPLC:99.4%(面積)。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6)は、構造と一致した。
【0269】
総量1.0Lの有機濾液を集め、10℃まで冷却した。オフホワイト色固体が沈殿し、濾過により集めた。固体を、真空オーブン(<30mmHg)中、30℃で一晩乾燥した(2番目の収穫物)。収率:497g(32%)、オフホワイト色固体。HPLC:99.8%(面積)。
【0270】
1番目の収穫物と2番目の収穫物を合わせた全体収率は、1565g(99%)であった。
【0271】
B.2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オールの調製
【0272】
【化28】
【0273】
1.実施例B−1
コンデンサー、加熱マントル及び機械的スターラーを取り付けた3Lの三つ口丸底フラスコに、n−ブタノール(1.5L)を投入し、それに続いて、2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(75g、0.45mol、1.0当量)、2−ブロモ−4’−ニトロアセトフェノン(121g、0.50mol、1.1当量)及び炭酸水素ナトリウム(41.6g、0.50mol、1.0当量)を投入した。反応温度を徐々に上昇させて還流し、2〜3時間還流状態で維持した(110〜115℃)。温度を上昇させる間、反応生成物は透明な溶液に変化し、次いで、65〜75℃ですぐに橙色懸濁液に変化した。1時間ごとにHPLC分析によって反応進行をモニタリングした(反応生成物サンプルをQCに供した)。2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールのレベルが2%未満である場合に、反応は実質的に完了した。
【0274】
反応生成物を50〜60℃まで徐冷し、次いでさらに0〜5℃まで冷却し、15分間撹拌した。沈殿固体を濾過により集め、フィルター上で乾燥した。湿潤ケーキを1Lの丸底フラスコに移し、水(600mL)を添加した。懸濁液を0.5時間撹拌し、濾過し、固体をフィルター上で乾燥した。湿潤ケーキを再度1Lの丸底フラスコに入れ、アセトン(200mL)とともに撹拌した。スラリーを濾過し、アセトン(2×100mL)で洗浄し、固体をフィルター上で乾燥し、取り出し(unloaded)、さらに真空オーブン中、周囲温度で乾燥して、生成物2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(V)(120g、収率85.7%、HPLC純度=98.7%)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6,500MHz):δ9.96(s,1H,OH),8.93(s,1H),8.27(d,2H),8.06(d,2H),7.78(d,1H),7.38(d,1H),6.97(dd,1H);MS(m/z)=312[M
++1]。
【0275】
【表3】
【0276】
HPLCクロマトグラフィーの条件は以下のとおりであった:使用したカラムは、XTerra RP8、250×4.6mm、5μ又は等価物であった。移動相Aは、1.0Lの水中3.48gのリン酸水素二カリウムを混合し、リン酸でpHを9.0に調整することにより調製したバッファーであった。移動相Bはメタノールであった。流量は、1.0mL/分であった。検出は、UV235nmで設定した。注入体積は、10μLであった。200μLのDMSOと200μLの2M NaOHを10mLのメスフラスコに移し、メタノールで基準まで体積を補い、混合することによりブランクを調製した。試験溶液は、約10mgのサンプルを正確に量り、それを50mLのメスフラスコに移し、1mLのDMSO及び1mLの2M NaOHで溶解し、溶解するために超音波処理し、メタノールで基準まで体積を補い、混合することにより調製した。同量のブランク溶液及び試験溶液を別々に注入し、全ての注入についてクロマトグラムを記録することによりHPLCを実施した。面積百分率法により純度を計算した。
【0277】
【表4】
【0278】
2.実施例B−2
50Lの三つ口丸底フラスコに機械的アジテーター、熱電対プローブ、還流冷却器及び加熱マントルを取り付けた。フラスコに2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(1068g、6.43mol、1.0当量)及びエタノール(200proof、32.0L)を投入し、懸濁液を10分間撹拌した。2−ブロモ−4−ニトロアセトフェノン(1667g、6.49mol、1.01当量)を一度に添加した。反応混合物を加熱還流(78℃)した。およそ25時間還流を維持し、黄色懸濁液が得られた。TLCにより反応進行をモニタリングした(20%メタノール/酢酸エチル;R
f(生成物)=0.85;R
f(出発物質)=0.30)。24時間還流後、TLCは、〜50%の2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾールを示した。テトラブチルアンモニウムヨージド(10g)を添加し、還流をさらに12時間維持した。TLCは、未だ〜50%の出発物質の存在を示した。結合は、チアゾール及びアミンの両方で生じることが見出された。
【0279】
反応混合物を0〜5℃まで冷却した。固体を濾過により集め、黄色固体をエタノール(200proof、2×1.0L)及びジエチルエーテル(2×1.5L)で洗浄した。固体を真空オーブン(<10mmHg)中、40℃で乾燥した。収率:930g(46%)、黄色固体。HPLC:99.5%(面積)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。
【0280】
3.実施例B−3
工程Bの反応は、溶媒、温度及び塩基を変更した複数のラン(run)で実施した。結果を下記表に要約した。生成物(V)は、黄色又は緑色固体として単離され、これは、構造が一致した
1H NMR、及びHPLC分析による約98%超の純度を有した。
【0281】
【表5】
【0282】
C.7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールの調製
【0283】
【化29】
【0284】
1.実施例C−1
2000Lのガラスライン(glass−lined)(GL)反応器にDMF(298kg)を投入し、撹拌を開始した。窒素ブランケット下、反応器に2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(36.8kg、118.2mol、1.0当量)、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(57.2〜66.0kg、307.3〜354.6mol、2.6〜3.0当量)、テトラブチルアンモニウムヨージド(8.7kg、23.6mol、0.2当量)及び炭酸カリウム(49.0kg、354.6mol、3.0当量)を投入した。得られた黄色懸濁液を加熱し、90±5℃で少なくとも15分間撹拌し、次いで温度を110±5℃まで上げた。混合物を少なくとも1時間撹拌し、次いでサンプリングした。HPLCにより2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オールが<1%の場合に、反応が完了したと判断した。反応が完了していない場合には、加熱を継続し、反応物をサンプリングした。反応が6時間後でも不完全である場合には、追加の4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩を投入してよい。一般に、所与のスケールでは、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の追加の投入は必要とされなかった。
【0285】
反応器を20±5℃まで冷却し、水(247kg)及びアセトン(492kg)を投入した。20±5℃で、少なくとも1時間、混合物を撹拌した。生成物(VII)を濾過又は遠心分離により単離し、水及びアセトンで洗浄し、次いで真空オーブン中、45℃で一定重量まで乾燥して、黄色固体(46.2kg、収率92%、HPLC純度=97.4面積%)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。
【0286】
2.実施例C−2
2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール、4−(2−クロロエチル)−モルホリン塩酸塩、炭酸カリウム及びテトラブチルアンモニウムヨージドをN,N−ジメチルホルムアミドに添加し、>50℃の温度で3時間以上加熱して黄色懸濁液が形成された。反応物を冷却し、固体を集め、水にスラリー化し、濾過し、アセトンにスラリー化し、濾過し、アセトンで洗浄して黄色固体を得、これを減圧下で乾燥して、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを得た。
【0287】
反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングした。生成物は、黄色固体として単離され、これは、99%の純度(HPLC面積%)及び0.20%の含水量を有した。赤外(IR)スペクトルを収集し、これは構造と一致した。
【0288】
3.実施例C−3
50Lの三つ口丸底フラスコに、機械的アジテーター、熱電対プローブ、乾燥チューブ、還流冷却器及び加熱マントルを取り付けた。フラスコに2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(1.770kg、5.69mol、1.0当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(18.0L)、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(2.751kg、14.78mol、2.6当量)、炭酸カリウム(2.360kg、17.10mol、3.0当量)及びテトラブチルアンモニウムヨージド(0.130kg、0.36mol、0.06当量)を撹拌しながら投入した。得られた黄色懸濁液を約90℃〜95℃に加熱し、およそ5時間温度を維持した。反応は、TLCにより、出発物質が観察されなくなるまでモニタリングした(20%メタノール/酢酸エチル;R
f(生成物)=0.15;R
f(出発物質)=0.85)。
【0289】
反応混合物を〜10℃まで冷却し、ポリプロピレンフィルターパッドで濾過により黄色固体を集めた。固体を水(2×5L)にスラリー化し、濾過した。湿潤粗生成物をアセトン(5L)にスラリー化し、濾過し、固体をアセトン(2×1.5L)ですすいだ。固体を真空オーブン(<10mmHg)中、45℃で乾燥した。収率:2.300kg(95%)、黄色固体。TLC:R
f=0.15(20%メタノール/EtOAc)。HPLC:95.7%(面積)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。
【0290】
【表6】
【0291】
4.実施例C−4
反応器に、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(1.0kg)、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(1.6kg)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.24kg)及び炭酸カリウム(1.3kg、無水、極微細、吸湿性)を添加した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(8.6L)を反応器に添加した。使用したDMFは、0.05重量%以下の含水量を有した。混合物を15分と30分の間撹拌し、均質な懸濁液とし、これを85℃と95℃の間まで加熱し、85℃と95℃の間で15〜30分間撹拌した。次いで、混合物を105℃と120℃の間まで加熱し、105℃と120℃の間(例えば、115℃)で、反応が完了するまで(出発物質の消費をモニタリングするためのHPLCにより決定されるとおり)撹拌した。いくつかの実施態様において、必要な場合には(例えば、HPLC分析により示されるように、6時間後でも反応が完了しなかった場合)、追加の4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(0.03kg)を添加し、反応が完了するまで、反応混合物を105℃と120℃の間(例えば、115℃)で撹拌してよい。
【0292】
反応混合物を20℃と30℃の間まで冷却した(例えば、3時間にわたって)。別の反応器に、脱イオン水(7.6L)及びアセトン(15L)を添加した。次いで、水及びアセトンの混合物を、20℃と30℃の間の温度に維持しながら、反応混合物に添加した。次いで、20℃と30℃の間の温度で1〜2時間混合物を撹拌した。混合物を濾過し、固体を脱イオン水(例えば、約45x脱イオン水)で、洗浄物のpHが8未満となるまで洗浄した。次いで、固体をアセトン(9.7L)で洗浄した。カールフィッシャーによる含水量が0.30重量%未満となり、TGA曲線が、約229℃で0.30重量%未満の質量損失を示すまで(およそ6時間毎にサンプリング)、固体を50℃未満の温度で減圧下で乾燥した。HPLCによる約99%の純度を有し、約89%の収率で、所望の生成物が得られた。
【0293】
5.実施例C−5
反応器に、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(1.0kg)、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(1.6kg)及び炭酸カリウム(1.3kg、無水、極微細、吸湿性)を添加した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(8.6L)を反応器に添加した。使用したDMFは、0.05重量%以下の含水量を有した。混合物を15分と30分の間撹拌し、均質な懸濁液とし、これを95℃と120℃の間(例えば、100℃と105℃の間)で加熱し、反応が完了するまで(出発物質の消費をモニタリングするためのHPLCにより決定されるとおり)、95℃と120℃の間(例えば、105℃)で撹拌した。いくつかの実施態様において、必要な場合には(例えば、HPLC分析により示されるように、6時間後でも反応が完了しなかった場合)、追加の4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(0.03kg)及び炭酸カリウム(0.024kg)を添加して、反応が完了するまで、反応混合物を100℃と120℃の間(例えば、105℃)で撹拌してよい。
【0294】
反応混合物を、少なくとも60分間にわたって、60℃と70℃の間まで冷却した。工業用水(6L)を反応器に添加した。反応混合物を20℃と30℃の間まで冷却した。アセトン(6L)を反応器に添加した。混合物を、20℃と30℃の間の温度で1〜2時間撹拌した。混合物を濾過し、固体を、洗浄物のpHが8未満となるまで、工業用水(例えば、約45x工業用水)で洗浄した。次いで、固体をアセトン(9.7L)で洗浄した。カールフィッシャーによる含水量が0.30重量%未満となり、TGA曲線が、約229℃で0.30重量%未満の質量損失を示すまで(およそ6時間毎にサンプリング)、固体を50℃未満の温度で減圧下で乾燥した。
【0295】
6.実施例C−6
反応器に、2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−オール(1.0kg)、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(1.6kg)及び炭酸カリウム(1.3kg、無水、極微細、吸湿性)を添加する。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(8.6L)を反応器に添加する。DMFは、0.05重量%以下の含水量を有する。混合物を15分と30分の間撹拌して、均質な懸濁液とし、これを95℃と120℃の間(例えば、100℃と105℃の間)まで加熱し、反応が完了するまで(出発物質の消費をモニタリングするためのHPLCにより決定されるとおり)、95℃と120℃の間(例えば、105℃)で撹拌する。いくつかの実施態様において、必要な場合には(例えば、HPLC分析により示されるように、6時間後でも反応が完了しない場合)、追加の4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(0.03kg)及び炭酸カリウム(0.024kg)を添加して、反応が完了するまで、反応混合物を100℃と120℃の間(例えば、105℃)で撹拌してよい。
【0296】
反応混合物を20℃と30℃の間まで冷却する(例えば、3時間にわたって)。別の反応器に、脱イオン水(7.6L)及びアセトン(15L)を添加する。次いで、20℃と30℃の間の温度を維持しながら、水とアセトンの混合物を反応混合物に添加する。次いで、20℃と30℃の間の温度で1〜2時間、混合物を撹拌する。混合物を濾過し、固体を脱イオン水(例えば、約45x脱イオン水)で、洗浄物のpHが8未満となるまで洗浄する。次いで、固体をアセトン(9.7L)で洗浄する。カールフィッシャーによる含水量が0.30重量%未満となり、TGA曲線が、約229℃で0.30重量%未満の質量損失を示すまで(およそ6時間毎にサンプリング)、固体を50℃未満の温度で減圧下で乾燥する。
【0297】
D.7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールの調製
【0298】
【化30】
【0299】
1.実施例D−1
200Lの高圧(HP)反応器に、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VII)(7.50kg、17.7mol、1.0当量)のメタノール(30kg)スラリーを投入した。容器を追加のメタノール(10kg)ですすぎ、すすいだものを反応器に投入した。次いで、反応器にTHF(67kg)及びメタノール(19kg)を投入した。内容物を撹拌し、窒素と真空を交代させることにより窒素を流した。反応器に真空を適用し、サンプルラインを介してラネー Ni触媒(1.65kg、0.18当量)を投入した。サンプルラインを介して水(1kg)を投入し、ラインをすすいだ。窒素と真空を交代させることにより、反応器を窒素で流した。次いで、反応器を開放し、50℃まで加熱した。反応器を密閉し、内部温度を55℃未満に保ちつつ、15psiまで水素ガスで加圧した。反応器を開放し、全部で5回、水素ガスで再度加圧し、次いで、水素ガスで150psiまで加圧した。内容物を50℃で少なくとも4時間撹拌した。この時点で、水素取込み試験を適用した:反応器を150psiまで再度加圧し、1時間後に確認した。5psiを超える圧力の低下が観察された場合には、このプロセスを繰り返した。圧力低下が<5psiのままであれば、反応器を開放し、サンプリングした。7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(VII)が、HPLCにより≦0.5%であった場合に、反応は完了したと考えられた。
【0300】
上記で示すように、反応器に窒素を流した。200LのHP反応器に、バグフィルター及びポリッシュフィルターを通過する2000LのGL反応器を繋いだ。バグフィルター及びポリッシュフィルターを蒸気で加熱した。200LのHP反応器を加圧し(3psi窒素)、その内容物を2000L反応器へと濾過した。濾液は熱かった。200L反応器を開放し、THF(67kg)及びメタノール(59kg)を投入し、反応器を撹拌し、2000LのGL反応器へと濾過した。
【0301】
全部で6回還元(46.2kg処理)を実施し、合わせたバッチを真空蒸留により(内部温度が40℃を超えることなく)〜180Lの体積まで濃縮した。反応器を20℃まで冷却し、ヘプタン(250kg)を投入し、再度、〜180Lの体積まで真空蒸留した。反応器にヘプタン(314kg)を投入し、20℃で少なくとも1時間撹拌し、次いで、生成物を遠心分離、又はヌッチェフィルターで集めることにより単離し、ヘプタンで洗浄した(遠心分離については部分当たり2〜5kg、続いて、10〜20kgのヘプタンで反応器をすすぐ;又はヌッチェ濾過については94kg、初めに反応器をすすぐ)。ケーキをブロードライし、真空オーブンに移し、≦50℃に温度を維持しながら、一定重量まで乾燥して、所望の生成物(VIII)(34.45kg、収率80%、HPLC純度=97.9%)を得た。
【0302】
2.実施例D−2
7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールをメタノール及びTHFに溶解し、水素化反応器(hydrogenator)中に置いた。ラネーニッケルを添加し、ベッセルを水素で加圧し、>24時間撹拌した。反応混合物を濃厚なペーストになるまで濃縮し、メチルtert−ブチルエーテルで希釈した。得られた固体を濾過し、メチルtert−ブチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを得た。
【0303】
反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングした。生成物は、99%の純度(HPLC面積%)を有する黄色固体として単離された。IRを収集し、これは構造と一致した。
【0304】
3.実施例D−3
5ガロンのオートクレーブに、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(580g、1.37mol、1.0当量)、THF(7.5L)、メタノール(7.5L、AR)を添加し、〜55gのラネーニッケル触媒を静かに添加した。反応ベッセルを窒素(3×50psi)及び水素(2×50psi)でパージし、加圧下で簡単に撹拌し、次いで開放した。オートクレーブを水素(150psi)で加圧した。混合物を撹拌し、24時間にわたって、必要に応じて再度加圧しながら、水素圧を150psiで維持した。反応進行はTLCによりモニタリングした(10%メタノール/クロロホルム(1滴の水酸化アンモニウムを含む);R
f(生成物)0.20;R
f(SM)0.80)。典型的には150psiで24時間撹拌した後、TLCが、出発物質が存在しないことを示した場合に、反応は実質的に完了した。水素化は、150psiで、最低4時間継続するか、又は出発物質が開始4時間後にも存在する場合には完了するまで継続した。
【0305】
濾紙で覆われたガラス繊維フィルターを取り付けたブフナー漏斗に、反応混合物を通した。反応していない出発物質が触媒とともに除去された。全量が0.5Lになるまで濾液を濃縮し、残渣をメチルtert−ブチルエーテル(0.5L)で粉末化した。得られた固体を濾過により集め、メチルtert−ブチルエーテル(0.3L)で洗浄した(1番目の収穫物)。
【0306】
濾液を乾燥するまで濃縮し、残渣をメチルtert−ブチルエーテル(2L)で希釈した。得られた固体を濾過により集め、メチルtert−ブチルエーテル(0.5L)で洗浄した(2番目の収穫物)。
【0307】
固体を真空オーブン(<10mmHg)中、25℃で乾燥した。収率:510g(95%)、ベージュ色固体。TLC:R
f0.2(10%メタノール/クロロホルム(1滴の水酸化アンモニウムを含む))。HPLC:99.0%(面積)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。
【0308】
【表7】
【0309】
4.実施例D−4
工程Dの反応は、各種条件下、例えば、触媒負荷量、反応物質濃度、反応温度及び/又は後処理手順などを変更して、複数のランで実施した。結果を以下の表に要約する。
【0310】
【表8】
【0311】
【表9】
【0312】
5.実施例D−5
窒素雰囲気下の圧力反応器に、ラネーニッケルの水(0.22kg)のスラリー(例えば、水中、約0.14kgの乾燥触媒)を添加し、投入ラインを脱イオン水(0.13L)ですすいだ。別の反応器(反応器B)にメタノール(5.05L)及び7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(1.0kg)を添加し、混合物を15分と30分の間撹拌して、均質な懸濁液とした。懸濁液を圧力反応器に移した。反応器Bをメタノール(4.88L)で洗浄し、洗浄物を圧力反応器に移した。テトラヒドロフラン(10.1L)を圧力反応器に添加した。水素を2.0barと3.0barの間の圧力まで圧力反応器に投入した。反応器を45℃と55℃の間の温度まで加熱した。次いで、水素を6.0barと7.0barの間の圧力まで圧力反応器に投入した。反応が完了するまで(出発物質の消費をモニタリングするためのHPLCにより決定されるとおり)水素圧を6.0barと7.0barの間に維持しながら、混合物を45℃と55℃の間(例えば、50℃)の温度で撹拌した。
【0313】
35℃と50℃の間の温度で維持しながら、混合物を濾過した。圧力反応器及びフィルターを、45℃と55℃の間(例えば、50℃)の温度まで予め加熱したTHF(10.1L)とメタノールとの混合物で洗浄した。合わせた濾液を減圧下、40℃以下の温度で体積が2.4Lと2.8Lの間になるまで濃縮し、沈殿が形成された。メタノール(7.5L)を添加した。スラリーを5℃と−5℃の間の温度まで冷却し(例えば、3時間にわたって)、5℃と−5℃の間の温度に維持しながら少なくとも1時間(例えば、3時間)撹拌した。懸濁液を濾過した。固体をメタノール(2×1.2L)で洗浄した。次いで、GCにより分析されるように、メタノールとTHFの含有量がそれぞれ3000ppm未満(例えば、1500ppm未満)になるまで、50℃未満の温度で減圧下、固体を乾燥した。所望の生成物が、約99%のHPLCによる純度を有し、約88.5%の収率で、得られた。
【0314】
E.フェニル 5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イルカルバメートの調製
【0315】
【化31】
【0316】
200Lのガラスライン(GL)反応器のジャケット温度は20℃に設定した。反応器に、5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−アミン(15.0kg、107.0mol、1.0当量)を投入し、次いで、K
2CO
3(19.5kg、141.2mol、1.3当量)及び無水THF(62kg)を投入した。撹拌(agitation)を開始し、次いで、フェニルクロロホルメート(17.6kg、112.4mol、1.05当量)を投入した。投入ラインを追加の無水THF(5kg)ですすいだ。20±5℃で少なくとも3時間反応物を撹拌し、次いでサンプリングした。5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−アミンが、HPLCにより≦2%である場合に、反応が完了したと考えられた。6時間後でも反応が完了していない場合には、追加のK
2CO
3及びフェニルクロロホルメートを添加して、反応を完了させてもよい。
【0317】
反応が完了した場合に、反応物を濾過(ヌッチェ)した。フィルターをTHF(80kg)ですすいだ。内部温度が40℃を超えることなく、〜50L残るまで、濾液を真空蒸留した。水(188kg)及びエタノール(45L)を投入し、20℃のジャケット温度で、混合物を少なくとも3時間撹拌した。得られた固体を遠心分離により、又はヌッチェフィルターで集めることにより単離し、水(各遠心分離部分については2〜5kg;ヌッチェ濾過については30kg)ですすぎ、ブロードライした。次いで、固体を真空オーブン(45℃)で一定重量まで乾燥して、所望の生成物(19.4kg、収率92%、HPLC純度=97.4%)を得た。800gのスケールでは、1559gの所望の生成物(収率98%)を、99.9%のHPLC純度で得られた。
1H NMR(DMSO−d
6)δ11.17(s,1H);7.4(m,2H);7.2(m,3H);1.2(s,9H)。LCMS(M+H)
+261。
【0318】
F.N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素の調製
【0319】
【化32】
【0320】
1.実施例F−1
2000LのGL反応器のジャケットを20℃にセットし、反応器に、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(26.7kg、67.8mol、1.0当量)、3−アミノ−5−t−ブチルイソオキサゾールフェニルカルバメート(19.4kg、74.5mol、1.1当量)、DMAP(0.5kg、4.4mol、0.06当量)及びDCM(無水、260kg)を投入した。撹拌(agitation)を開始し、トリエチルアミン(1.0kg、10.2mol、0.15当量)を投入し、それに続いて、投入ラインを介して追加のDCM(5kg)を投入した。反応物を加熱還流(〜40℃)し、少なくとも20時間撹拌し、完全な溶解が観察され、続いて、〜30分後に溶液から生成物を結晶化した。反応物をサンプリングし、HPCL分析が、化合物(I)に対する化合物(VIII)の比率が≦1%であることを示す場合に、完了したと考えられた。
【0321】
反応器を0℃まで冷却し、少なくとも2時間撹拌した。反応器の内容物を遠心分離により単離した。各部分を2〜3kgの冷(0℃)DCMですすぎ、10psiの窒素でパージして、少なくとも5分間、遠心分離により脱水した。最後の部分については、反応器を10kgの冷(0℃)DCMですすぎ、遠心分離機に移して、10psiの窒素でパージして、少なくとも5分間遠心分離により乾燥した。合わせた濾過ケーキを真空棚段乾燥器に移し、50℃で、少なくとも>20インチHgで、一定重量まで乾燥して、所望の生成物(I)(35.05kg、収率92%、HPLC純度=98.8%)を得た。フェノールが、検出された不純物の主要なものであり(0.99%)、3種の他の不純物(<0.10%)も検出された。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。
【0322】
2.実施例F−2
種々の溶媒を工程Fの反応で使用して、良好な収率及び純度プロファイルのために最適化した。対称尿素不純物(XI)の含量を比較し、以下の表に要約した:
【0323】
【表10】
【0324】
3.実施例F−3
工程Fの反応は、各種条件下、例えば、反応条件、例えば、反応温度、反応時間、使用する試薬の当量、溶媒、及び/又は後処理手順などを変更して、複数のランで実施した。結果を以下の表に要約する。ラン1〜8は、溶媒としてTHF中で実施した。各種の後処理条件をラン1〜4で評価した。対称尿素不純物(XI)の形成を最小化するために、各種の3−アミノ−5−t−ブチルイソオキサゾールフェニルカルバメート当量をラン5〜8で使用した。ラン9〜12は、酸性条件下の反応を評価するために実施した。所望の生成物の収率及び純度を最適化し、対称尿素不純物(XI)の形成を最小化するために、各種溶媒をラン13〜17で使用した。ラン18〜22は、DCM中で実施した。
【0325】
【表11】
【0326】
【表12】
【0327】
【表13】
【0328】
【表14】
【0329】
【表15】
【0330】
【表16】
【0331】
【表17】
【0332】
4.実施例F−4
窒素雰囲気下の反応器Aに、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール(1kg)及びDMAP(0.02kg)を添加した。窒素雰囲気下の反応器Bに、3−アミノ−5−t−ブチルイソオキサゾールフェニルカルバメート(0.73kg)及びDCM(5.6L)を添加した。使用したDCMは、0.05重量%未満の含水量を有した。反応器Bの混合物を溶解するまで撹拌した。溶液を反応器Aに移し(溶液を反応器Aへと濾過して、カルバメート出発物質中の不溶性の不純物のいずれも除去できる)、混合物を反応器A中で撹拌した。反応器BをDCM(0.8L)で洗浄し、洗浄物を反応器Aに移した。反応器AをDCM(0.9L)で洗浄した。反応器Aにトリエチルアミン(0.1L)を添加し、投入ベッセル及びラインをDCM(0.1L)で反応器Aへとすすいだ。次いで、混合物を加熱還流し、反応が完了するまで(出発物質の消費をモニタリングするためのHPLCにより決定されるとおり)還流状態で撹拌した。
【0333】
反応混合物を−5℃と5℃の間(例えば、0℃)の温度まで冷却(例えば、2〜3時間にわたって)した。次いで、混合物を−5℃と5℃の間(例えば、0℃)の温度で2〜3時間撹拌した。懸濁液を濾過した。固体を冷DCM(2×1.5L)(−5℃と5℃の間の温度まで予め冷却)で洗浄した。GCにより分析されるように、DCM含有量が1000ppm未満になるまで(例えば、600ppm未満)、減圧下、45℃未満の温度で固体を乾燥した。所望の生成物が、約99%のHPLC純度で得られた。
【0334】
G.N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩の調製
【0335】
【化33】
【0336】
1.実施例G−1
2000LのGL反応器のジャケットを20℃に設定し、反応器にN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(35.0kg、62.4mol、1.0当量)を投入し、続いてメタノール(553kg)を投入した。撹拌を開始し、反応混合物を加熱還流(〜65℃)した。濃水性HCl(15.4kg、156.0mol、2.5当量)を急速に投入し(<5分間)、投入ラインを反応器へとメタノール(12kg)ですすいだ。2.0当量未満のHClを添加すると、通常、不溶性固体が形成された。反応混合物を少なくとも1時間還流状態で加熱した。HClを添加すると、スラリーが溶解し、ほぼすぐに塩が結晶化し始め、ポリッシュ濾過のための十分な時間は残らなかった。
【0337】
反応器を20℃まで冷却し、生成物を濾過(ヌッチェ)により単離し、反応器をすすぎ、次いでメタノール(58kg)でケーキをすすいだ。次いで、固体を真空オーブン(50℃)で一定重量まで乾燥して、所望の二塩酸塩(35kg、収率89%、HPLC純度=99.94%)を得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。
【0338】
2.実施例G−2
N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素の温めたメタノール懸濁液に濃HClを添加して溶液を形成し、ゆっくりと沈殿し始めた。反応混合物を2時間にわたって還流し、次いで周囲温度で一晩撹拌した。二塩酸塩を集め、減圧下で乾燥した。
【0339】
3.実施例G−3
50Lの三つ口丸底フラスコに、機械的アジテーター、熱電対プローブ、窒素注入口、乾燥チューブ、還流冷却器、滴下漏斗及び加熱マントルを取り付けた。フラスコに、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(775g、1.38mol、1.0当量)及びMeOH(40L、AR)を投入した。得られたオフホワイト色懸濁液を加熱還流(68℃)した。透明な溶液は形成されなかった。HCl(37%水性)(228mL、3.46mol、2.5当量)を68℃で5分間にわたって添加した。反応混合物は透明な溶液に変化し、次いでおよそ3分以内に新たな沈殿が形成された。およそ5時間、還流状態で加熱を継続した。反応混合物を周囲温度まで一晩冷却させた。オフホワイト色固体をポリプロピレンフィルターでの濾過により集め、MeOH(2×1L、AR)で洗浄した。
【0340】
この方法で調製した物質の2つのロット(lot)を合わせた(740g及び820g)。合わせた固体を30分間にわたって、還流状態でメタノール(30L)中にスラリー化し、室温まで冷却させた。ポリプロピレンフィルターでの濾過により固体を集め、メタノール(2×1.5L)ですすいだ。固体を真空オーブン(<10mmHg)中、40℃で乾燥した。収率:1598g(84%)、オフホワイト色固体。HPLC:98.2%(面積)。MS:561.2(M+1)
+。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6)は構造と一致した。元素分析(EA):理論値、54.97%C;5.41%H;13.26%N;5.06%S;11.19%Cl;実測値、54.45%C;5.46%H;13.09%N;4.99%S;10.91%Cl。
【0341】
4.実施例G−4
機械的スターラー、加熱マントル、コンデンサー及び窒素注入口を備えた50Lの三つ口丸底フラスコに、N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素(1052.4g、1.877mol、1.0当量)及びメタノール(21L)を投入した。反応器を加熱し、撹拌した。>50℃の内部温度で、濃HCl(398.63mL、4.693mol、2.5当量)を滴下漏斗を介して5分間にわたって投入した。滴下の間、混合物は、淡黄色懸濁液から白色懸濁液へと変化した。滴下の終わりの内部温度は55℃であった。混合物を1時間加熱還流し、次いで加熱を止め、混合物を室温まで冷却させた。混合物を2つの部分に濾過し、各濾過ケーキをメタノール(2×1L)で洗浄し、トレイに移し、一定重量まで真空オーブン(45℃)で乾燥した。乾燥したトレイを合わせて、1141.9gの塩(収率96%、99.1%HPLC純度、滴定による10.9%塩化物)を得た。
【0342】
5.実施例G−5
工程Gの反応は、各種条件下、例えば、使用する塩酸塩の当量、反応時間及び/又は後処理手順などを変更して、複数のランで実施した。結果を以下の表に要約する。
【0343】
【表18】
【0344】
【表19】
【0345】
H.分析データ
1.N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩
本明細書に記載の方法を使用して、約30グラムのN−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−N’−{4−[7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)イミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール−2−イル]フェニル}尿素二塩酸塩のバッチを調製した。このロットは、GMP条件下、臨床の医薬品有効成分(Active Pharmaceutical Ingredients)(API)の生産に必要な条件に従って調製した。このバッチの分析データを得、代表的なデータを本明細書に記載した。
【0346】
【表20】
【0347】
以下の条件を使用してHPLC分析を実施した:
【0348】
【表21】
【0349】
2つ以上の別々のランで上記分析方法を使用して、HPLCクロマトグラムを得た。上記30gの二塩酸塩のロットの30mgのサンプル2つを分析し、ランをランA及びランBと表した。ランA及びランBについてのHPLCクロマトグラムをそれぞれ
図18及び
図19に示す。平均面積%値を以下の表にまとめる。予測される対称尿素不純物(XI)を含む個々の不純物はいずれも、全体に対するHPLC面積%が0.05%を超えなかった。
【0350】
【表22】
【0351】
二塩酸の追加の分析データを得、
図20〜24に示した。
【0352】
2.HPLC分析方法
実施例C−1、D−1、D−4、E、F−1、F−2、F−3、G−1及びG−5で使用したHPLC分析方法を以下に要約する。
【0353】
サンプルは、1:1のアセトニトリル/水、メタノール、ジメチルスルホキシド、1:1のテトラヒドロフラン/水、75:25の水/アセトニトリル中0.1%リン酸、又は4:1の水/ジメチルスルホキシド中0.1%リン酸に希釈した。得られた溶液を、逆相HPLCにかけ、230nmでUV検出を実施した。カラム温度は40℃であった。注入体積は5μLであった。流量は1.0mL/分であった。取込み時間(acquisition time)は25分プラス5分のポストランであった。勾配は以下のとおりであった:
【0354】
【表23】
【0355】
Agilent 1100/1200HPLCシステム又は等価物を使用した。Waters XTerra RP18、4.6×150mm、5μmカラムを使用した。移動相Aは、水中0.1%リン酸であった。移動相Bは、アセトニトリル中0.1%リン酸であった。単離固体について、分析する約25〜30mgのサンプルを正確に計量し、希釈液に溶解し、HPLCにより分析した。インプロセスコントロールのために、例えば約20〜50μL量の反応混合物のサンプルを約2〜10mLの希釈液で希釈し、必要な場合には、シリンジフィルターで濾過し、HPLCにより分析した。
【0356】
3.HPLC分析方法
図17並びに実施例A−2、C−2及びD−2で使用したHPLC分析方法を以下に要約する。
【0357】
使用したHPLCカラムは、Altima C18 150×4.6mm、5μであった。モニタリング波長は、290nmであった。移動相Aは、水中0.1%トリフルオロ酢酸であった。移動相Bは、アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸であった。流量は1.5mL/分であった。注入体積は20μLであった。ランタイムは15分であった。ニードル洗浄溶液は、1:1のアセトニトリル/水(v/v)であった。希釈液は、水中0.1%トリフルオロ酢酸であった。カラム温度は30℃であった。サンプルコンパートメントは周囲温度であった。使用した勾配は以下のとおりであった:
【0358】
【表24】
【0359】
上記実施態様は単なる例示と解釈され、当業者ならば、単なる通常の実験を使用するだけで、具体的な化合物、物質及び手順の多数の等価態様を認識し、或いは確かめることができるだろう。すべてのこのような等価態様は、開示の範囲内であると考えられる。
【0360】
本明細書で言及した全ての特許、特許出願、及び刊行物は全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。本出願におけるいずれの参考文献の引用又は認定も、このような参考文献が本出願の従来技術として利用されることを認めるものではない。本開示の全範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、さらに理解される。
7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを還元して、7−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾールを得る工程をさらに含む、請求項1記載の方法。