【実施例】
【0077】
(実施例1)
<材料合成・調整>
(光架橋高分子(PEGDA(Mn=3,350))の合成)
図16は、光架橋高分子(PEGDA(Mn=3,350))の合成の工程図である。
まず、
図1(a)に示すように、300mL三口フラスコ内で、両末端水酸基PEG10g(Mn=3,350)を、20mLのdichloromethaneに溶解させた。
次に、
図16(b)に示すように、50mLのTetrahydrofuranを加えた。
【0078】
次に、
図16(c)に示すように、溶液を氷冷してから、窒素(N
2ガス)フロー条件下、20mLのAcryloyl Chlorideを静かに滴下し、12h反応させた。
次に、
図16(d)に示すように、反応後の溶液をdiethyletherに再沈澱させて、精製し、白色のPEGDA(Mn=3,350)粉末を得た。
【0079】
(光架橋高分子(PEGDA(Mn=10,000))の合成)
次に、末端水酸基PEG10g(Mn=10,000)を用いた他は同様にして、白色のPEGDA(Mn=10,000)粉末を得た。
【0080】
<ゲル合成・調整>
(光架橋高分子含有自己修復性ゲル(PEGDA(Mn=3,350)含有自己修復性ゲル)の作成)
まず、PEGDA(Mn=3,350)粉末、及び、4−arm PEG−phos(Mn=40,000)を光開始剤含有水溶液に溶かして、PEGDA(Mn=3,350)−4−arm PEG−phos−光開始剤含有水溶液を調製した。光開始剤としては、irgacure2959を3mg、水1350mLに溶かして調製した。
次に、VCl
3水溶液を調製した。濃度は0.3mol/lとした。
【0081】
次に、ゲルの型枠として、ガラスプレートの上に、PDMS製のリング型枠を配置して、凹部を設けた。
次に、PEGDA(Mn=3,350)−4−arm PEG−phos−光開始剤含有水溶液と、VCl
3水溶液を、4−arm PEG−phosポリマー濃度10wt%となる割合で、リング型枠内に注ぎいれた。
40秒ほどで混合溶液が固まり、円板状のPEGDA(Mn=3,350)含有自己修復性ゲルが形成された。直径13mm、厚さ4mmとした。
このゲルの組成の条件は、4−arm PEG−phos:50mg、VCl
3水溶液=100μL(0.3M)、Water=350μL、PEGDA=50mgであった。
【0082】
(光架橋高分子含有自己修復性ゲル(PEGDA(Mn=10,000)含有自己修復性ゲル)の作成)
次に、PEGDA(Mn=3,350)粉末の代わりにPEGDA(Mn=10,000)粉末を用いた他は同様にして、光架橋高分子含有自己修復性ゲル(PEGDA(Mn=10,000)含有自己修復性ゲル)を作成した。
【0083】
(蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))・光架橋高分子含有ゲルの作成)
まず、蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))50gを準備した。
次に、PEGDA(Mn=3,350)粉末の代わりに蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))を用いた他は同様にして、蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))・光架橋高分子含有ゲルを作成した。
【0084】
<構成部分の作成>
(円板状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分の作成)
図17は、円板状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分の作成工程図である。
次に、
図17に示すように、円板状のPEGDA(Mn=3,350)含有自己修復性ゲルを型枠から外し、中心点を通るようにナイフで半分に切断して、半円板状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分を作成した。
【0085】
(帯状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分の作成)
図18は、帯状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分の作成工程図である。
次に、
図18に示すように、円板状のPEGDA(Mn=3,350)含有自己修復性ゲルを型枠から外し、ナイフで切りだして、帯状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分を作成した。
【0086】
(円板状PEGDA(Mn=10,000)含有3次元型構成部分の作成)
次に、円板状のPEGDA(Mn=10,000)含有自己修復性ゲルを型枠から外し、中心点を通るようにナイフで半分に切断して、半円板状PEGDA(Mn=10,000)含有3次元型構成部分を作成した。
【0087】
(帯状PEGDA(Mn=10,000)含有3次元型構成部分の作成)
次に、円板状のPEGDA(Mn=10,000)含有自己修復性ゲルを型枠から外し、ナイフで切りだして、帯状PEGDA(Mn=10,000)含有3次元型構成部分を作成した。
【0088】
(円板状蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))含有3次元型構成部分の作成)
次に、円板状の蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))・光架橋高分子含有ゲルを型枠から外し、中心点を通るようにナイフで半分に切断して、半円板状蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))・光架橋高分子含有3次元型構成部分を作成した。
【0089】
<特性評価>
(異種高分子含有ゲルの接合・一体化実験:PEGDA含有自己修復性ゲルの自己修復能の確認実験1)
図19は、異種高分子含有ゲルの作成工程図である。
次に、
図19に示すように、半円板状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分と、半円板状蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))含有3次元型構成部分とを、円板状となるように配置して、切断面を接触させた。
【0090】
次に、一定の放置時間ごとに、励起光を照射して蛍光ポリマーを蛍光発光させて光学写真を撮影し、蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))の拡散の様子を経時観察した。放置時間は0、10、20、30、40、50、60、120、180、240minとした。
【0091】
図20は、蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))の拡散の経時蛍光観察結果を示す光学写真である。
図20に示すように、0minでは、蛍光ポリマー(FITC dextran(Mn=3000〜5000))を含有する半円部分が半透明な黄色であり、他の半円部分は色なしの透明と、明確に色分けされていた。
50minぐらいから、界面が明確ではなくなり、60minでは界面は消失した。つまり、60分で切断面が完全に接合され、一体化したゲルが形成された。
120minでは透明部は残っていたが、180minでは透明部分はなくなり、240minでは全体にほぼ均一に分散するように蛍光ポリマーは拡散した。
張り合わせたゲル界面は物質(蛍光ポリマー)の拡散を阻害しなかった。ネットワーク内部におけるFITC dextranの移動を確認できた。
【0092】
(異分子量の架橋高分子(PEGDA)接合・一体化・架橋ゲルの作成)
図21は、異分子量の架橋高分子(PEGDA)接合・一体化・架橋ゲルの作成工程図である。
次に、
図21に示すように、半円板状PEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分と、半円板状PEGDA(Mn=10,000)含有3次元型構成部分とを、円板状となるように配置して、切断面を接触させた。
図22は、異分子量の架橋高分子(PEGDA)の接触前の光学写真(a)と、接触後60分間放置後の光学写真(b)である。
60分放置することにより、接合界面では、分子量の異なるPEGDAが互いに型ポリマー・ネットワークの間隙部を移動して、切断面を完全に接合した。このような自己修復効果により、接合・一体化したゲルが形成された。このゲルは、PEGDAの濃度勾配が形成されたゲルのネットワークを有していた。
【0093】
放置時間が短い場合には、semi−IPN構造を持つ自己修復−PEGDAゲル内部において、PEGDA(Mn=10,000)の移動度が小さいので、ゲルのネットワーク形成が不十分となるおそれがある。
なお、セミ−IPN(semi−IPN)とは、異種の架橋高分子網目が相互に侵入し合った網目構造をもつ混合物である相互侵入高分子 (interpenetrating polymer network:IPN)において、異種の架橋高分子網目の一方の成分が直鎖状で他方の成分が高分子網目である系をいう。
なお、このゲルは紫外線照射前のこの段階でピンセットによってハンドリングが可能であった。
【0094】
次に、この接合・一体化したゲルに、15分間、紫外線を照射した。紫外線照射により、ゲルの内部の複数のPEGDAが光架橋され、ゲルの内部にネットワーク構造を有する架橋ポリマーが形成された。
なお、事前の光照射試験により、PEGDAが5分間の紫外線照射によって速やかにゲルを形成することを確認した。
【0095】
次に、紫外線を照射した接合・一体化したゲルを、24時間、水に浸漬した。水に浸漬することにより、型ポリマー・ネットワークを構成する配位結合が外れ、4−arm PEG−phos(Mn=40,000)が水に溶解された。これにより、純粋なPEGDAのみからなり、PEGDAが架橋ポリマー・ネットワークを形成し、半円板状の分子量の異なるPEGDAが接合・一体化・架橋されてなる異分子量の架橋高分子(PEGDA)接合・一体化・架橋ゲルが形成された。
【0096】
なお、水の代わりにリン酸水溶液を用いた実験も追加的に行った。この場合、型ポリマー・ネットワークの溶解が短時間で行われた。このリン酸処理によって、型ポリマー・ネットワークの溶解を行っても、異分子量の架橋高分子(PEGDA)接合・一体化・架橋ゲルには何ら影響を与えず、界面剥離を生じさせることはなかった。
【0097】
(膨潤度試験)
次に、異分子量の架橋高分子(PEGDA)接合・一体化・架橋ゲルを膨潤させて、光学写真撮影した。
図23は、異分子量の架橋高分子(PEGDA)接合・一体化・架橋ゲルを膨潤させたときの光学写真である。PEGDAの分子量が異なる2つの部分はそれぞれ膨潤度が異なる。PEGDA(Mn=3350)ゲルに比べて、PEGDA(Mn=10,000)ゲルで、膨潤度の上昇が顕著となる。架橋密度の減少によると考えられる。そのため膨潤させると、大きく変形した。このように変形させても、界面剥離は生じなかった。
【0098】
また、UV照射後、PEGDA(Mn=3350)ゲルの白濁が観察された。
4−arm PEG−phosは、PEGDAの質量平均分子量40,000と大きく、長いので、PEGDAゲルのネットワークを形成した後、型ネットワークを外しても、PEGDAゲルのネットワークから抜け出せない4−arm PEG−phosのポリマー鎖が残存するおそれが発生する。
【0099】
PEGDA(Mn=10,000)ゲルに比べて、PEGDA(Mn=3,350)ゲルのネットワーク密度は高く、空隙部が少なく、小さくなるので、PEGDA(Mn=3,350)ゲルでの4−arm PEG−phosのポリマー鎖の残存量は、PEGDA(Mn=10,000)ゲルに比べて多くなる。
【0100】
そのため、PEGDA(Mn=10,000)ゲルに比べて、PEGDA(Mn=3,350)ゲルでは、PEGDAゲルのネットワークから抜け出せず、残存した4−arm PEG−phosのポリマー鎖が相互作用により結晶性サイトを形成し、これが光の散乱を起したと考察した。
【0101】
(1H−NMR測定)
次に、ゲルの1H−NMR測定した。
1H−NMRから算出したPEGDA(Mn=3,350)の両末端のアクリロイル基導入率は80%であった。
また、1H−NMRから算出したPEGDA(Mn=10,000)の両末端のアクリロイル基導入率は51%であった。
【0102】
PEGDA(Mn=10,000)のアクリロイル基導入率は、PEGDA(Mn=3,350)のアクリロイル基導入率よりも低かった。この導入率の低さも、架橋密度を下げる一つの要因となったと考察した。
【0103】
なお、溶液とマトリックス内において作製したサンプルの膨潤度に差が生じた。このため、自己修復性ゲルのネットワークがゲル形成に影響を与えたと考察した。
【0104】
自己修復性ゲルを鋳型にして、PEGDAゲルを構築した場合、ゲルは大きな膨潤ミスマッチを持ちながらも剥離すること無く接着した状態を維持した。
ゲルの界面においてポリマーの濃度勾配をつくり、きれいな界面の接合が出来た。つまり、自己修復材料を鋳型として、傾斜材料の構築ができた。
【0105】
(変形・接合構造体−架橋高分子(PEGDA)ゲルの作成1)
図24は、変形・接合構造体−架橋高分子(PEGDA)ゲルの作成工程
図1である。
まず、
図24に示すように、帯状に切断したPEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分をテフロン棒にらせん状に巻きつけて、60分間放置(incubation)した後、光学写真を撮影した。
図25は、構成部分をテフロン棒にらせん状に巻きつけ放置後の光学写真である。
【0106】
次に、この状態で、15分間、紫外線を照射した。これにより、らせん状の架橋構造体が得られた。
図26は、変形・接合構造体−架橋高分子(PEGDA)ゲルの作成工程
図2である。
次に、
図26に示すように、らせん状の架橋構造体を水に浸漬し、24時間後、引き上げた。水に浸漬することにより、型ポリマー・ネットワーク構成する配位結合が外れ、4−arm PEG−phos(Mn=40,000)が水に溶解された。これにより、純粋なPEGDAのみからなり、PEGDAが架橋ポリマー・ネットワークを形成し、らせん状に変形された構造体の架橋高分子(PEGDA)ゲルが形成された。
これを光学写真撮影した。
図27は、らせん状に変形された構造体の架橋高分子(PEGDA)ゲルの光学写真である。
【0107】
(変形・接合構造体−架橋高分子(PEGDA)ゲルの作成2)
図28は、変形・接合構造体−架橋高分子(PEGDA)ゲルの作成工程
図3である。
まず、
図28に示すように、帯状に切断したPEGDA(Mn=3,350)含有3次元型構成部分をテフロン棒に2重になるように巻きつけて、重ね合わせた面を接触させた状態で、60分間放置(incubation)した後、光学写真を撮影した。
図29は、60分間放置した後のゲルの光学写真である。
【0108】
次に、テフロン棒から取り外し、作成した筒状の変形・接合構造体−架橋高分子(PEGDA)ゲルの光学写真を撮影した。
図30は、筒状ゲルの光学写真である。界面が消失し、自己修復されていることを確認できた。
【0109】
次に、この状態で、15分間、紫外線を照射した。
次に、24時間、水に浸漬した。0.5Mリン酸(H
3PO
4)水溶液に浸漬することにより、型ポリマー・ネットワーク構成する配位結合が外れ、4−arm PEG−phos(Mn=40,000)が水に溶解された。これにより、純粋なPEGDAのみからなり、PEGDAが架橋ポリマー・ネットワークを形成し、筒状に変形された構造体の架橋高分子(PEGDA)ゲルが形成された。これを光学写真撮影した。
図31は、筒状に変形された構造体の架橋高分子(PEGDA)ゲルの光学写真である。
【0110】
(比較例1)
PEGDA溶液を直接光架橋して、架橋PEGDAゲル(比較例1)を作成した。
架橋PEGDAゲル(比較例1)に比べて、自己修復−PEGDAゲルにUV照射して作成したゲルの方が膨潤度に上昇が見られたことを確認できた。
【0111】
(2層型架橋ポリマーゲルの作成)
図32〜35は、2層型架橋ポリマーゲルの作成工程の一例を示す図である。
まず、
図32に示すように、4−arm PEG−phos(Mn=40,000):75mgと、PEGDA(Mn=3,350):300mgと、Irgacure 2959:3.0mgと、Water:1050μLと、VCl
3:300μLとを混合し、カバーグラス上に塗布してから、別のカバーグラスで押さえつけて、膜厚0.5mmの板状ゲル(PEGDA(Mn=3,350)含有ゲル)にした。
型枠として、平面視正方形状の孔部を有するシリコンスペーサーを用いた。
【0112】
次に、
図33に示すように、4−arm PEG−phos(Mn=40,000):75mgと、PEGDA (Mn=10,000):300mgと、Irgacure 2959:3.0mgと、Water:1050μLと、VCl
3:300μLとを混合し、カバーグラス上に塗布してから、別のカバーグラスで押さえつけて、膜厚0.5mmの板状ゲル(PEGDA(Mn=10,000)含有ゲル)にした。
型枠として、平面視正方形状の孔部を有するシリコンスペーサーを用いた。
【0113】
次に、
図34に示すように、各ゲルを2層に重ねてから、カバーガラスの間で押さえつけて、膜厚1mmの2層型ゲルとした。
次に、
図35(a)に示すように、2層型ゲルに紫外線照射した。
図36は、紫外線照射後のサンプルの写真である。
次に、
図35(b)に示すように、3日間水に浸漬して、2層型架橋ポリマーゲルを作成した。
図37は、3日間水に浸漬後のサンプルの写真であり、正面方向からの写真(a)と、側面方向からの写真(b)である。二層型のゲルは水に浸漬後、膨潤ミスマッチによって自ら折れ曲がった構造(self−folding structure)を示した。
【0114】
自己修復ゲルの中において光架橋したゲルの膨潤率はそれぞれ平均してMn=3,350のPEGDAゲルの場合は32.8であり、Mn=10,000のゲルの場合は106.5であった。この膨潤度の差がゲルのself−foldingを引き起こしたと考えられる。
膨潤率は以下の式(1)から求めた。なおWsは最膨潤させたゲルの質量、Wdは凍結乾燥させたゲルのサンプルの質量である。
【0115】
【数1】
【0116】
(2層型架橋ポリマーゲル・スプリングの作成)
図38は2層型架橋ポリマーゲル・スプリングの作成工程図(a)、外側のゲル層をPEGDA(Mn=3350)にして巻き付けたときのトップビュー(b)、外側のゲル層をPEGDA(Mn=10,000)にして巻き付けたときのトップビュー(c)である。
【0117】
まず、先の2層型架橋ポリマーゲルを用いて、
図46(b)に示すように、外側のゲル層をPEGDA(Mn=3350)にしてテフロン棒にらせん状に巻き付けた。
次に、紫外線照射した。
次に、水に浸漬して、2層型架橋ポリマーゲル・スプリング(外側PEGDA(Mn=3350))を作成した。
【0118】
次に、先の2層型架橋ポリマーゲルを用いて、
図46(c)に示すように、外側のゲル層をPEGDA(Mn=10,000)にしてテフロン棒にらせん状に巻き付けた。
次に、紫外線照射した。
次に、水に浸漬して、2層型架橋ポリマーゲル・スプリング(外側PEGDA(Mn=10,000))を作成した。
【0119】
図39は、2層型架橋ポリマーゲル・スプリング(外側PEGDA(Mn=3350))と2層型架橋ポリマーゲル・スプリング(外側PEGDA(Mn=10,000))の浸漬後の水中の観察写真である。
2層型架橋ポリマーゲル・スプリング(外側PEGDA(Mn=3350))は緩い巻き方であり、2層型架橋ポリマーゲル・スプリング(外側PEGDA(Mn=10,000))はきつい巻き方であった。
【0120】
(架橋ポリマーゲル・立方体コンテナの作成)
図40は架橋ポリマーゲル・立方体コンテナの作成工程図である。 まず、
図40(a)に示すように、平面視略矩形状のPETフィルムから立方体の展開図を切り出した。
図41は切り出したPETフィルムの立方体展開図の写真である。立方体の展開図となる紙のテンプレートを作成してから、これに合わせてPETフィルムの立方体展開図を切り出した。1辺5mmと、8mmの2つのサイズの立方体展開図を作成した。
次に、
図480(b)に示すように、PETフィルム展開図上に、PEGDA含有4arm PEG−phos自己修復ゲルを展開図に沿って切り出した。
図42は、切り出した自己修復ゲルの写真である。
次に、
図40(c)に示すように、PETフィルムを外側にし、自己修復ゲルを内側にするように、PETフィルム展開図を折り込み、立方体を作成した。立方体は、その形状を保持するため、シリコンゴム型に保持して、放置した。
図43は、シリコンゴム型に挿入した立方体の写真である。
次に、
図40(d)前段に示すように、外側のPETフィルム展開図のみを取り外し、立方体ゲルを作成した。立方体ゲルの各接辺は自己修復され、界面は消失していた。
次に、
図40(d)後段に示すように、UVで光架橋した。
図44は、光架橋後の立方体の写真であって、1辺8mmと1辺5mmである。
図45は、光架橋後の立方体を水に浮かべた写真である。内部に閉じられた空間(中空部)を有するため、いずれも水に浮かんだ。
【0121】
次に、水に24時間浸漬して、内部に閉じられた空間(中空部)を有する架橋ポリマーゲル・立方体コンテナを作成した。水に浸漬することにより、1辺8mmの立方体は、1辺10mmの立方体(体積2倍)に膨潤した。
図46は、浸漬後の1辺8mmの立方体を水に浮かべた写真である。
図46に示すように、体積が2倍に膨潤し、浸透圧および水圧によって、水がゲル内部に侵入したにもかかわらず、水に浮いた。ゲル内の気泡は小さかった。
【0122】
図47は、浸漬後の1辺5mmの立方体を水に浮かべた写真である。
図47に示すように、水に浸漬することにより、1辺5mmの立方体は、1辺7.1mmの立方体(体積2.9倍)に膨潤した。また、水に浮いた状態であった。