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特開2015-212416コア−シェル−コアナノ粒子系、コア−シェル−コアFeCo/SiO2/MnBiナノ粒子系を調製する方法、およびMnBiナノ粒子とのFeCo/SiO2ナノ粒子のコア−シェル−コアナノ凝集体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-212416(P2015-212416A)
(43)【公開日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】コア−シェル−コアナノ粒子系、コア−シェル−コアFeCo/SiO2/MnBiナノ粒子系を調製する方法、およびMnBiナノ粒子とのFeCo/SiO2ナノ粒子のコア−シェル−コアナノ凝集体
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20151030BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20151030BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20151030BHJP
   H01F 1/06 20060101ALI20151030BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
   B22F1/00 Y
   B22F1/02 E
   B22F9/24 A
   H01F1/06 A
   H01F41/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-89300(P2015-89300)
(22)【出願日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】14/270,619
(32)【優先日】2014年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ポール・ロー
(72)【発明者】
【氏名】リャン・ダニエル・デソーテルズ
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA03
4K017BA06
4K017CA07
4K017CA08
4K017DA04
4K017EJ01
4K018BA16
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC28
4K018BD01
4K018KA45
5E040AA11
5E040AA14
5E040AA20
5E040BC01
5E040CA01
5E040HB14
5E040HB17
5E040NN05
5E040NN06
5E062CC05
5E062CD04
5E062CG01
(57)【要約】
【課題】高い保磁力を有する硬磁性粉末を提供する。
【解決手段】鉄−コバルト合金コア、シリカシェル、およびシリカシェルの表面上のマンガンビスマス合金コアまたはナノ粒子のコア−シェル−コアナノ粒子(FeCo/SiO2/MnBi)が提供される。コア−シェル−コアナノ粒子は、軟磁性鉄コバルトにナノメートルの近さで近接する硬磁性マンガンビスマスにより、希土類永久磁石の代替材料である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア−シェル−コアナノ粒子系であって、
鉄コバルト合金を備える超常磁性コアと、
前記超常磁性コアを被覆する二酸化ケイ素の中間シェルと、
前記中間二酸化ケイ素シェル上のマンガンビスマス合金の外側コアと、
前記超常磁性コアと前記二酸化ケイ素シェルとの間の金属ケイ酸塩界面層とを備え、
前記超常磁性コアの直径は200nm未満である、コア−シェル−コアナノ粒子系。
【請求項2】
前記外側コアの直径は0.5〜200nmである、請求項1に記載のコア−シェル−コアナノ粒子系。
【請求項3】
前記金属ケイ酸塩界面層の前記金属ケイ酸塩はケイ酸鉄およびケイ酸コバルトの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のコア−シェル−コアナノ粒子系。
【請求項4】
前記金属ケイ酸塩界面層の厚みは0.5nm〜15nmである、請求項1に記載のコア−シェル−コアナノ粒子系。
【請求項5】
前記超常磁性コアは鉄コバルト合金からなる、請求項1に記載のコア−シェル−コアナノ粒子系。
【請求項6】
前記超常磁性コアの直径は2〜75nmである、請求項1に記載のコア−シェル−コアナノ粒子系。
【請求項7】
コア−シェル−コアFeCo/SiO2/MnBiナノ粒子系を調製する方法であって、
共通の溶液から鉄イオンおよびコバルトイオンをともに還元することと、
FeCo合金ナノ粒子を共沈することと、
前記FeCoナノ粒子を還元混合物から単離することと、
前記FeCoナノ粒子上にシリカコーティングを形成してコア−シェルナノ粒子を得ることと、
Mnおよび水素化ホウ素リチウム還元錯体イオンでのBiイオンの還元によりコア−シェルナノ粒子上にMnBi合金ナノ粒子を形成して、前記シリカシェル上にMnBi合金ナノ粒子を得ることとを備える、方法。
【請求項8】
シリカシェル表面に付着したMnBi合金ナノ粒子とのFeCo/SiO2ナノ粒子のコア−シェル−コアナノ凝集体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、中間シリカシェルおよび全体に分散されたマンガンビスマス合金ナノ粒子とともに鉄コバルト合金コアを有するナノ粒子の磁性ナノ凝集体に関する。これらのナノ粒子は、軟磁性MnBiを組合わせ、標準的なネオジム鉄ホウ酸永久磁石材料の代替として、希土類元素を含有しない永久磁石の調製に好適なナノ粒子材料を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景の考察
発明者らは、湿式化学合成プロセスから得られるナノ粒子材料を用いて得られる軟磁性および硬磁性材料の両方を調査する研究プログラムを実施している。このように、2013年9月12日に出願された特許文献1は、硬磁性材料の源として、粒子径が5〜200nmであるMnBiナノ粒子を開示する。加えて、2014年4月14日に出願された特許文献2は、軟磁性材料の源として、シリカシェルおよび金属ケイ酸塩界面を有する、200nm未満の鉄コバルトナノ粒子コアを有するコア−シェルナノ粒子を開示する。両方の出願の開示はここにその全体が引用により援用される。
【0003】
磁性材料は一般的に、永久的に磁化され得る硬磁性物質、または低い印加される場で磁性が反転することがある軟磁性材料として指定される2つのクラスに分類される。軟磁性材料においては、通常は「磁心損失」と称されるエネルギ損失が最小限に保たれることが重要である一方で、硬磁性材料においては、磁性の変化に対して耐性を有することが好ましい。したがって、高い磁心損失は永久磁性材料の特性であり、軟磁性材料においては望ましくない。
【0004】
今日の進化している技術の多くは、デバイス構造の基本構成要素として、効率的かつ強力な硬磁石を要件とする。そのようなデバイスは、携帯電話から高性能電気モータの範囲に及び、現在の要件を満たすだけでなく、効率的で、より安価で、かつ容易に生産される硬磁石材料に対するますます高まりつつある要求も満たす材料を見出すための大規模な取組みが業界を通して進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国出願第14/025,033号
【特許文献2】米国出願第14/252,036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、最も強力で最も性能のよい利用可能な硬磁石材料の1つとしてネオジム鉄ホウ酸が一般的に認識されている。しかしながら、この材料は希土類元素であるネオジム系であるため高価であり、利用可能な供給が安定しないことがしばしばである。したがって、硬磁石としてネオジム鉄ホウ酸と同等またはそれ以上に機能するが、容易に利用可能でより安価な成分材料系の材料に対する必要性が存在する。
【0007】
磁気デバイスの部品は、粉末を規定された形状に成形し、次に成形体を200℃以上の温度で焼結することによって粉末から構築される。粒子同士の間の結合およびしたがって強度を与えることによって部品の良好な機械的性質を達成するのに、成形に引続く部品の焼結が必要である。
【0008】
通信および発電の分野のすべての局面での技術的進歩は、経済的かつ容易に入手可能な、誂えられた磁性部品の生産を可能にする制御可能なまたは適合可能な磁性を有するますます強力な磁性粉末を要件とする。
【0009】
このように、本発明の目的は、永久磁石部品を生産するために高い保磁力を有する硬磁性粉末を提供することである。粉末は、従来の永久磁石材料と比較して経済的でなくてはならず、容易に入手可能でなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
これらおよび他の目的は本発明に従って達成され、その第1の実施形態はコア−シェル−コアナノ粒子を含み、コア−シェル−コアナノ粒子は、鉄コバルト合金を備える超常磁性コアと、超常磁性コアを被覆する二酸化ケイ素の中間シェルと、中間二酸化ケイ素シェル上のマンガンビスマス合金の別のナノ粒子コアと、超常磁性コアと二酸化ケイ素シェルとの間の金属ケイ酸塩界面層とを備え、超常磁性コアの直径は200nm未満である。
【0011】
1つの実施形態では、MnBi合金コアの直径は0.5〜200nmであってもよい。
上記実施形態のいずれかの局面では、金属ケイ酸塩界面の厚みは0.5〜10nmであってもよく、厚みは、二酸化ケイ素シェルを調製する湿式合成の時間の長さによって制御されてもよい。
【0012】
以上の段落は一般的な導入のために与えられており、以下の請求項の範囲を限定することを意図しない。現在好ましい実施形態は、さらなる利点とともに、添付の図面と関連した以下の詳細な説明を参照することによって最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実験例で調製されるコア−シェル−コアナノ粒子のTEM画像の図である。
図2】実験例で調製されるコア−シェル−コアナノ粒子についてのDSCおよびM(T)データのスキャンを示す図である。
図3】実験例で調製されるコア−シェル−コアナノ粒子のZコントラストTEM画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
この記載を通じて、記載されるすべての範囲は、他に示されなければ、そのすべての範囲およびその部分範囲を含む。
【0015】
加えて、不定冠詞「a」または「an」は、他に示されなければ、記載を通じて「1つ以上」の意味を持つ。
【0016】
磁性材料および特にナノ粒子磁性材料の進行中の研究において、本発明者は、永久磁石の製造用のネオジム鉄ホウ酸の代わりに、潜在的な有用性を有する材料として、ナノ粒子形態のマンガンビスマス合金を同定した。MnBiナノ粒子は、4T程度の高い保磁力を発現することが予測された。2013年9月12日に出願された特許文献1に開示される発明がその仕事のいくつかの結果を開示する。
【0017】
発明者らは、2014年4月14日に出願された特許文献2に開示されるものなどの、軟磁性ナノ粒子材料を用いた進行中の研究も行なっており、ここでは、シリカシェルおよび金属ケイ酸塩界面を有する、200nm未満の鉄コバルトナノ粒子コアを有するコア−シェルナノ粒子が開示されている。
【0018】
これらおよび他の系の進行中の研究で、発明者らは驚くべきことに、マンガンビスマスナノコーティングをFeCo合金コアシリカコーティングコア−シェルナノ粒子に塗布することによって得られるコア−シェル−コアナノ粒子が、コア−シェル−シェル構成要素の各々の相対的な大きさおよび性質に従って高度に適合可能な磁性を有する材料を提供することを発見した。1つのナノ粒子内の軟磁性および硬磁性成分のそのような複雑な組合せは新規であり、新たな磁性材料およびデバイスの発見および開発の多くの機会を与える。
【0019】
第1の実施形態では、本発明は、コア−シェル−コアナノ粒子を含み、コア−シェル−コアナノ粒子は、
鉄コバルト合金を備える超常磁性コアと、
超常磁性コアを被覆する二酸化ケイ素の中間シェルと、
中間二酸化ケイ素シェル上のMnBiナノ粒子の球形のナノスケール性に基づきコアとも称される、外側マンガンビスマス合金ナノ粒子と、
超常磁性コアと二酸化ケイ素シェルとの間の金属ケイ酸塩界面層とを備え、
超常磁性コアの直径は200nm未満である。
【0020】
発明者らは、さまざまな厚みのシリカシェルで被覆された個々のFeCo合金ナノ粒子の形成を、拡張性のある湿式化学的プロセスを介して達成し得ることを発見した。驚くべきことに、発明者らは、界面金属ケイ酸塩の形成がこれらの超高表面積FeCo合金ナノ粒子系におけるナノ磁性を大きく変えることがあることを発見した。金属ケイ酸塩の界面層が形成されたという証拠は、FeおよびCoの2p遷移にわたって集められたX線光電子スペクトルにおいて観察された。(シリカ反応の持続時間を変更することによって)シリカシェルの厚みが増すにつれてより厚い界面金属ケイ酸塩層が形成され、上昇したブロッキング温度および変更された保磁力によって証明されるように、ナノ粒子の全体的な磁気異方性を増大させた。このように、発明者らは驚くべきことに、湿式合成処理時間の度合いを異ならせてシリカシェル中に封入される超常磁性鉄コバルト合金ナノ粒子を作製することによって、異なるナノ磁性を有するコアシェルFeCoナノ粒子が得られることがあることを発見した。ある実施形態では、鉄コバルト合金ナノ粒子コアの直径は100nm未満であり、さらなる実施形態では、鉄コバルト合金ナノ粒子コアの直径は2nm〜50nmである。
【0021】
発明に従うと、鉄コバルト合金ナノ粒子の粒は、鉄コバルト合金の単一の粒子磁区の大きさであるかまたはそれに近づいており、したがって超常磁性である。理論に拘束されないが、発明者らは、粒径をほぼ粒子磁区の大きさに制御することが、本発明に従う磁心の低減された履歴現象に寄与する要因であると考えている。さらに、コア粒周りの絶縁シリカシェルの存在が、本発明に従う磁心の低い渦電流形成に寄与する要因である。
【0022】
単一磁区粒子が超常磁性を呈する粒子径の範囲が粒子の化学的組成の上側境界特性を有することは従来から公知である。
【0023】
発明者らは、二酸化ケイ素シェルの合成の間に、金属ケイ酸塩薄層界面が偶然に一致して形成されることを発見した。金属ケイ酸塩の界面層が形成されたという証拠は、FeおよびCoの2p遷移にわたって集められたX線光電子スペクトルにおいて観察された。(シリカ反応の持続時間を変更することによって)シリカシェルの厚みが増すにつれてより厚い界面金属ケイ酸塩層が形成され、上昇したブロッキング温度および変更された保磁力によって証明されるように、ナノ粒子の全体的な磁気異方性を増大させた。発明者らは、磁性を制御するこの界面金属ケイ酸塩層の効果の理解が、低損失変圧器鉄芯としての適用例でのこれらの材料の効果的な有用性についての重要な要素であることを認識した。
【0024】
FeCo合金コアシェルナノ粒子の研究において、発明者らは、二酸化ケイ素シェルコーティング合成の際に形成される界面金属ケイ酸塩が、剥き出しのFeCoナノ粒子と比較して、ナノ粒子の「磁気的に活性の容積」を増大させるように働くFeおよびCo系ケイ酸塩の組合せであるより高い異方性相としてのナノ粒子の全体的な磁気異方性を変更することを発見した。
【0025】
二元合金FeCo単一磁区ナノ粒子試料を合成した(実施例を参照)。例外は、SiO2の反応時間の持続時間を変更したことであるが、これにより、異なる厚みのSiO2シェルができた。すなわち、1分の反応時間で3nm厚のシェルが作製され、10分の反応時間で4nm厚のシェルが作製され、20分の反応時間で6nm厚のシェルが作製された。平均的なFeCoナノ粒子径およびSiO2シェル厚みを測定し、すべての3つのコア/シェルナノ粒子試料(FeCo/SiO2(3nm)、FeCo/SiO2(4nm)、およびFeCo/SiO2(6nm))について、平均のFeCoコア径が4±1nmであるとわかり、このことはナノ粒子コア合成における高度な再現性を示した。同様にシリカシェルの厚みを測定し、それぞれFeCo/SiO2(3nm)、FeCo/SiO2(4nm)、およびFeCo/SiO2(6nm)の試料について、3±1nm、4±1nm、および6±1nmであるとわかった。TEM画像から、FeCoコアがシリカシェルで完全に被覆されていると観察された。X線回折パターンの分析は、FeおよびCoケイ酸塩の両者の存在を示した。しかしながら、相対的な比率は可変であると思われ、理論に拘束されることを望まないが、発明者らは、金属ケイ酸塩含有量が金属ケイ酸塩の形成の熱力学的エネルギに関係しているかもしれないと考えている。研究は、合成プロセスの際にFe−およびCo−ケイ酸塩がFeCoナノ粒子コアとSiO2シェルとの間の界面に形成したと示した。しかしながら、異なるコア/シェルナノ粒子系のFe0およびCo0金属性ピークの相対的な積分面積は、Fe−ケイ酸塩がCo−ケイ酸塩よりも優先的に形成されることがあることを示した。
【0026】
水酸化ナトリウムおよび臭化テトラオクチルアンモニウムの溶液中で二塩化鉄および二塩化コバルトと水素化ホウ素ナトリウムとをエタノール反応させることによって、Fe−Co/SiO2のナノ粒子を合成してもよい。得られたナノ粒子を、塩基触媒としてトリエチルアミンを用いて水エタノール混合物中でテトラエチルオルトシリケートで処理して、シリカシェルを形成してもよい。次に、これらの粒子を、水性エタノールでの濯ぎを用いて清浄してもよい。
【0027】
示されるように、Fe−Coナノ粒子の処理の長さによって二酸化ケイ素コーティングの幅が決まり、対応して金属ケイ酸塩層の幅が決まる。処理時間が長くなるほど、コーティングの量もより大きくなり、金属ケイ酸塩層の幅がより大きくなる。
【0028】
合成は、0.5〜20nm、好ましくは0.8〜10nm、および最も好ましくは1.0〜8nmの金属ケイ酸塩層を調製するのに必要な時間の間行なってもよい。
【0029】
マンガン−ビスマス合金コーティングは、FeCoシリカコアシェルナノ粒子の存在下で、水素化物還元剤とともにMn粉末を処理してボールミリングによって組合せることと、攪拌を継続しつつ長鎖カルボン酸塩のビスマス塩およびアルキルアミンの溶液をMn−水素化物還元剤に加えることと、ビスマス塩溶液の添加が完了すると、攪拌を継続してコア−シェル−コアFeCo/SiO2/MnBiナノ粒子を形成することとを備える方法によって形成されてもよい。
【0030】
水素化物処理用のエーテル溶媒は、水素化物反応条件と両立する任意のエーテルであってもよい。好適なエーテル溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、およびメチルtert−ブチルエーテルを含む。THFが好ましい溶媒であってもよい。
【0031】
水素化物還元剤は、マンガンと反応してマンガン還元剤錯体を形成することができる任意の材料であってもよく、NaH、LiH、CaH2、LiAlH4、およびLiBH4を含んでもよい。LiBH4が好ましい水素化物処理剤であってもよい。
【0032】
マンガン水素化ホウ素リチウム還元剤錯体形成は、4時間まで150〜400rpmでプラネタリーボールミル中でマンガン粉末と水素化物還元剤とをボールミリングすることによって達成されてもよい。得られる性質を適切に修正するため、この手順の変更を最適化してもよく、これは当業者には理解されるであろう。
【0033】
加えて、得られるナノ粒子の条件および性質を修正するために、水素化物処理剤の量を変更してもよく、これを、Mnに対する水素化物の等量比で1/1〜100/1に異ならせてもよい。
【0034】
ビスマスは任意のエーテル可溶性塩の形態で添加されてもよく、好ましくは長鎖カルボン酸の塩として添加される。好ましい実施形態では、ビスマスネオデカノエートとしてBiが添加される。Mnに対するBiのモル比は0.8/1〜1.2/1に異なってもよい。好ましくは、Bi/Mnの比は0.9/1〜1.1/1であり、最も好ましくはBi/Mnの比は1/1である。ビスマス化合物の添加時間は、MnBiの大きさおよび性質を最適化しかつ修正するように変更してもよい。幅は0.5〜200nm、好ましくは1.0〜100nm、および最も好ましくは2〜20nmであってもよい。好ましくは、添加時間は1時間未満であり、好ましい実施形態では添加時間は約20分である。
【0035】
アルキルアミンは好ましくは、6〜12個の炭素の炭素鎖を有する1級アミンであり、、オプションで反応に添加してもよい。
【0036】
図2に示されるように、発明のコア−シェル−コアナノ粒子がアニールプロセスで熱処理されると、軟質相FeCoおよび硬質相MnBiの両方がそれぞれFeCoおよびMnBiの特徴的な温度でアニールする。
【0037】
この発明を一般的に記載したが、本明細書中に例示のみの目的で与えられかつ他に示されなければ限定的であることを意図されないある具体例を参照することによって、一層の理解を得ることができる。
【実施例】
【0038】
コア−シェル−コア鉄−コバルト/シリカ/マンガンビスマスナノ粒子
0.489gの水酸化ナトリウム、12.892gの臭化テトラオクチルアンモニウム、10.922gの塩化鉄(II)四水和物、および12.042gの塩化コバルト六水和物を250mLのエタノールに溶解し、アルゴン下に置いた。次に450mLのエタノールに溶解した12.258gの水素化ホウ素ナトリウムの溶液を鉄コバルト混合物に添加した。水素化ホウ素の添加が完了すると、反応混合物を100mLの水で希釈した。次に、生成物であるFeCoナノ粒子を70%水/30%エタノールで洗浄した。
【0039】
次に、FeCoナノ粒子を625mLの水および2mLのトリエチルアミンの混合物中に懸濁した。次に390mLのエタノール中0.5mLのテトラエチルオルトシリケートの溶液をFeCo懸濁液に添加し、得られた混合物を15分間反応させて、シリカで被覆されたナノ粒子を得た。次に被覆されたナノ粒子をエタノールで洗浄した。
【0040】
シリカで被覆されたFeCoナノ粒子(0.27g)を200mLのTHF中に懸濁した。0.152gのヘプチルシアニド、0.008gの水素化ホウ素リチウム、および0.012gのMn(LiBH42をFeCoナノ粒子懸濁液に添加した。次に15mLのTHF中0.082gのビスマスネオデカノエートの溶液を1滴ずつ攪拌懸濁液に添加した。最終的に生成物をTHFで洗浄した。
【0041】
調製されたコア−シェル−コアナノ粒子のTEM画像を図1に示す。
図3のZコントラストTEM画像は、MnBi相がどのようにFeCo/SiO2のあちこちにアイランド状に分布しているかを示す。
【0042】
図2は、両方のデータセットからの観察される性質が、FeCo軟磁性相およびMnBi硬磁性相の区別される存在を示し、こうしてコア−シェル−コアナノ構造中の両者の存在を確認する、温度範囲にわたるDSCおよびM(T)データを示す。
図1
図2
図3