(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-212584(P2015-212584A)
(43)【公開日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】排熱回収ボイラ
(51)【国際特許分類】
F22B 37/40 20060101AFI20151030BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20151030BHJP
F22B 17/02 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
F22B37/40
F22B1/18 J
F22B1/18 R
F22B17/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-94338(P2014-94338)
(22)【出願日】2014年5月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】菊池 太希
(72)【発明者】
【氏名】高畠 重俊
(57)【要約】
【課題】ボイラ本体部分に排気ガスを流すことでボイラ本体に設けている水管の加熱を行う排熱回収ボイラにおいて、ボイラ本体部分における熱の吸収量を増加する。
【解決手段】ボイラ本体1部の対向する位置に入口ダクト3と出口ダクト4を設け、ボイラ本体部分に設けた水管を排気ガスによって加熱するようにしている排熱回収ボイラにおいて、ボイラ本体1部分の排気ガス流路下方部に、前記水管と平行方向に延びるものであって排気ガスの流れを遮る面を持った下部案内板11、ボイラ本体部分の排気ガス流路上方部に、前記水管と平行方向に延びるものであって排気ガスの流れを遮る面を持った上部案内板7をそれぞれ設け、下部案内板11と上部案内板7は排気ガスの流動方向に間隔を開けて設置しておくことで、ボイラ本体部分を流れる排気ガス流を蛇行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンなどから排出される高温の排気ガスからの熱回収を行う排熱回収ボイラであって、ボイラ本体部の対向する位置に入口ダクトと出口ダクトを設け、入口ダクトを通して導入した高温の排気ガスを入口ダクトからボイラ本体部を通して出口ダクトへ流し、ボイラ本体部分に設けた水管を前記排気ガスによって加熱するようにしている排熱回収ボイラにおいて、
ボイラ本体部分の排気ガス流路下方部に、前記水管と平行方向に延びるものであって排気ガスの流れを遮る面を持った下部案内板、
ボイラ本体部分の排気ガス流路上方部に、前記水管と平行方向に延びるものであって排気ガスの流れを遮る面を持った上部案内板をそれぞれ設け、
下部案内板と上部案内板は排気ガスの流動方向に間隔を開けて設置しておくことで、ボイラ本体部分を流れる排気ガス流を蛇行させることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項2】
請求項1に記載の排熱回収ボイラにおいて、前記の下部案内板及び/又は上部案内板には部分的に開口穴を設けており、一部の排気ガス流は案内板の開口穴を通して案内板の裏面へ流れるようにしていることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排熱回収ボイラにおいて、
入口ダクトは上部に排気ガス入口、出口ダクトも上部に排気ガス出口を持つものであり、
ボイラ本体に設けている最も入口ダクトに近い水管よりも入口ダクト側に下部案内板、
ボイラ本体に設けている最も出口ダクトに近い水管よりも出口ダクト側に上部案内板を設けるようにしていることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の排熱回収ボイラにおいて、
上部案内板と下部案内板はそれぞれ複数設けており、上部案内板と下部案内板は交互に配置していることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の排熱回収ボイラにおいて、
前記の下部案内板及び/又は上部案内板は先端側が出口ダクトの方向に近づくように傾斜を設けていることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の排熱回収ボイラにおいて、
前記の下部案内板及び/又は上部案内板はボイラ本体の排気ガス流下流側に設置する案内板ほど先端までの長さを長くしていることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンなどから排出された高温の排気ガスから熱を回収する排熱回収ボイラに関するものであり、より詳しくはボイラ本体の側部に入口ダクト、入口ダクトとは反対側のボイラ本体側部に出口ダクトを設け、入口ダクトより高温の排気ガスを導入し、ボイラ本体部分に設けている垂直水管に対して交差方向に排気ガスを流すことによって加熱を行い、排気ガスは出口ダクトを通して排出する構成としている排熱回収ボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスエンジンなどで燃焼を行って発電を行い、ガスエンジンなどから排出される排気ガスは排熱回収ボイラへ供給し、排熱回収ボイラで排気ガスから熱の回収を行うようにしたコージェネレーションが近年増加している。この場合の排熱回収ボイラは、特開2001−124301号公報に記載しているように、ボイラ本体の側部に入口ダクト、ボイラ本体の入口ダクトとは反対側に出口ダクトを設置しておき、排気ガスをボイラ本体の一端から他端へ流すようにしている。
【0003】
図4に記載しているような排熱回収ボイラでは、入口ダクト3の上部に排気ガス入口5を設けており、入口ダクト3には下向きに排気ガスを導入する。入口ダクトと隣り合う位置にボイラ本体1を設けており、入口ダクト3とボイラ本体4は側面を開口してつなげておくことで、入口ダクト内に入った排気ガスは入口ダクトの側面からボイラ本体の伝熱部へ入る。排気ガスの流れは入口ダクト内を下向きに流れ、入口ダクト内の底部まで達すると流れの方向を90度変化させ、ボイラ本体側へ向けて流れる。
【0004】
ボイラ本体1部分では、上部に上部管寄せ、下部に下部管寄せを設けており、上下の管寄せ間に多数の垂直水管8を設ける。ボイラ本体部分での排気ガスは、垂直水管8を設けた部分を横向きに流れる。排気ガスを垂直水管に接触させると、排気ガスは垂直水管を加熱し、水管内の缶水を加熱して蒸気を発生する。ボイラ本体の入口ダクトとは逆側の側面には出口ダクト4を設けており、ボイラ本体部分を通過した排気ガスは出口ダクト内に入る。出口ダクト4にも上部に排気ガス出口6を設けているため、出口ダクト内に入った排気ガスは、出口ダクト内で流れ方向を再び変更し、上向きの流れとなって出口ダクトから出ていく。
【0005】
この場合、ボイラ本体部分を流れる排気ガスは、ボイラ本体での排気ガス流路の全体を均一に流れることが理想であり、排気ガスの流れに片寄りが発生し、排気ガス流れの多い部分と少ない部分ができると、熱の吸収効率が低下することになる。しかし
図4に記載の排熱回収ボイラでは、入口ダクト3に入った排気ガスは入口ダクト内で下向きに流れ、多くの排気ガスは入口ダクトの底面まで達する。排気ガスは入口ダクトの底面に衝突した後にボイラ本体方向へ流れの向きを変えるため、ボイラ本体部分での排気ガスは、流路の下方部に多く流れ、ボイラ本体部分の上方部では排気ガスの流れが少なくなるデッドスペース9ができていた。ボイラ本体部分において、排気ガスの流量が少ないデッドスペース9ができると、熱の吸収量が低下することになっていた。
【0006】
また、このような排熱回収ボイラでは、伝熱面積を大きくすれば排気ガスから水管に移動する熱の量が多くなる。そのため水管の設置本数を多くし、ボイラ本体を大きくすることによってボイラ本体での熱吸収量を増加することができる。ただし、水管の設置本数を多くすることは装置コストの増大に直結するため、水管の設置本数を無闇に増加することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−124301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、
ボイラ本体の側部に入口ダクト、入口ダクトとは反対側のボイラ本体側部に出口ダクトを設け、入口ダクトより高温の排気ガスを導入し、ボイラ本体部分に排気ガスを流すことでボイラ本体に設けている水管の加熱を行い、水管の加熱に使用した排気ガスは出口ダクトを通して排出する構成としている排熱回収ボイラにおいて、ボイラ本体部分における熱の吸収量を増加することのできる排熱回収ボイラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、
ガスエンジンなどから排出される高温の排気ガスからの熱回収を行う排熱回収ボイラであって、ボイラ本体部の対向する位置に入口ダクトと出口ダクトを設け、入口ダクトを通して導入した高温の排気ガスを入口ダクトからボイラ本体部を通して出口ダクトへ流し、ボイラ本体部分に設けた水管を前記排気ガスによって加熱するようにしている排熱回収ボイラにおいて、
ボイラ本体部分の排気ガス流路下方部に、前記水管と平行方向に延びるものであって排気ガスの流れを遮る面を持った下部案内板、
ボイラ本体部分の排気ガス流路上方部に、前記水管と平行方向に延びるものであって排気ガスの流れを遮る面を持った上部案内板をそれぞれ設け、
下部案内板と上部案内板は排気ガスの流動方向に間隔を開けて設置しておくことで、ボイラ本体部分を流れる排気ガス流を蛇行させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、下部案内板及び/又は上部案内板には部分的に開口穴を設けており、一部の排気ガス流は案内板の開口穴を通して案内板の裏面へ流れるようにしていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、入口ダクトは上部に排気ガス入口、出口ダクトも上部に排気ガス出口を持つものであり、ボイラ本体に設けている最も入口ダクトに近い水管よりも入口ダクト側に下部案内板、ボイラ本体に設けている最も出口ダクトに近い水管よりも出口ダクト側に上部案内板を設けるようにしていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、
上部案内板と下部案内板はそれぞれ複数設けており、上部案内板と下部案内板は交互に配置していることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、
前記の下部案内板及び/又は上部案内板は先端側が出口ダクトの方向に近づくように傾斜を設けていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、
前記の下部案内板及び/又は上部案内板はボイラ本体の排気ガス流下流側に設置する案内板ほど先端までの長さを長くしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明を実施することにより、ボイラ本体部分を流れる排気ガスは大きく蛇行しながら流れ、ボイラ本体に排気ガスのデッドスペースはできにくくなり、ボイラ本体の全体で熱を吸収することができる。そのため、ボイラ本体では排気ガスからより多くの熱を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明を実施している排熱回収ボイラの排気ガスフローを示した説明図
【
図3】本発明を実施している排熱回収ボイラの第2の実施例を示した説明図
【
図4】本発明を実施していない排熱回収ボイラにおける排気ガスフローを示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している排熱回収ボイラの排気ガスフローを示した説明図、
図2は
図1のA−Aにおける断面を示した平面図である。実施例のボイラは、ガスエンジンなどから排出されている高温の排気ガスから熱を回収して蒸気を発生する排熱回収ボイラである。
発電を行うガスエンジンなどの燃焼装置と、燃焼装置から排出される排気ガスを熱源とした排熱回収ボイラからなるコジェレーションシステムは、エネルギの有効活用が図れるために近年増加傾向にある。排熱回収ボイラの構成は大きく分けると、高温の排気ガスを導入する入口ダクト3、導入した排気ガスの熱によってボイラ水の加熱を行うボイラ本体1、ボイラ本体を通過した排気ガスをボイラから取り出す出口ダクト4からなる。
【0014】
入口ダクト3は、上部に排気ガス入口5を持ち、入口ダクト3の側面で接しているボイラ本体1との間は開口するようにしている。
ボイラ本体1には、上部に上部管寄せ、下部に下部管寄せを設け、上下の管寄せ間に多数の垂直水管8を設置している。
垂直水管8の外側表面には、熱吸収用のフィンを多数設けることで伝熱面積を拡大している。
入口ダクト3から入った排気ガスはボイラ本体1で垂直水管8と熱交換を行い、垂直水管8内の缶水を加熱することで蒸気を発生する。ボイラ本体1で垂直水管8の加熱を行うことで温度の低下した排気ガスは、ボイラ本体1の下流側に設けている出口ダクト4へ送られ、出口ダクト4の排気ガス出口6からボイラ外へ排出する。
【0015】
出口ダクト4には、ボイラ本体部分での熱交換を終えた後の排気ガスとボイラ給水の間で熱交換を行う給水予熱装置2を設けている。
給水予熱装置2は、排気ガス通路内に水平方向に延びる多数の給水予熱管からなる。給水予熱管は出口ダクト4内を通る排気ガス流とは交差するように設置しており、給水予熱管の外側表面には熱吸収用のフィンを多数設けることで伝熱面積を拡大している。多数の給水予熱管は、連結することによって長い流路を形成しており、給水予熱管内にボイラ給水を通すと、ボイラ給水は排気ガスの熱を吸収することで温度が上昇する。給水予熱装置2で温度を上昇させたボイラ給水は、ボイラ本体1に供給する。
【0016】
ボイラ本体1と入口ダクト3の境界部分には、下方部に下部案内板11を設けている。
入口ダクト3との境界部分に設けている下部案内板11は、垂直水管8と平行な方向に延びる板であり、入口ダクト3から出口ダクト4へ流れる排気ガスの流れに対して交差する大きな面を持ち、排気ガスの流れを遮るようにしている。
下部案内板11は下端で排気ガス流路の底面に接しており、下部案内板11の上方は排気ガス流路の天井面との間が大きく開いている。下部案内板11はパンチング板を使用しており、下部案内板11の排気ガス流を遮る面には多数のパンチング穴10を開けている。
【0017】
ボイラ本体1の入口ダクト3との境界から出口ダクト4の方向へ少し入った部分、図では垂直水管8の入口ダクト側から2列目と3列目の間には、上方部に上部案内板7を設けている。この上部案内板7も下部案内板11と同様に、垂直水管8とは平行な方向に延びる板であり、入口ダクト3から出口ダクト4へ流れる排気ガスの流れに対して交差する大きな面を持ち、排気ガスの流れを遮るようにしている。
そして上部案内板7は上端で排気ガス流路の天井面に接しており、上部案内板7の下方は排気ガス流路の底面との間が大きく開いている。
この上部案内板7もパンチング板を使用しており、上部案内板7の排気ガス流を遮る面には多数のパンチング穴10を開けている。
【0018】
そして実施例では、排気ガス流の更に下流側である垂直水管8の4列目と5列目の間に下部案内板11を設け、最下流の垂直水管8の下流側に上部案内板7を設けている。そして二段目の下部案内板11はパンチング板であってパンチング穴10を開けているが、最下流段に設けている上部案内板7のみ、パンチング穴10を開けていない平板を使用している。複数枚設けている案内板は、排気ガス流の下流側ほど先端までの長さを大きくしており、下流側の案内板の方が排気ガス流を遮る面積を大きくしている。
【0019】
排気ガスの流れを説明する。
入口ダクト3は上部に排気ガス入口5を設けているため、排気ガス入口から入ってきた排気ガスは入口ダクト3内を下向きに流れる。排気ガスが入口ダクト3の底部に衝突すると、流動方向をボイラ本体1の方向へ変え、ボイラ本体1との境界部分に設けている下部案内板11へ向けて流れる。
【0020】
入口ダクト3との境界に設けている下部案内板11は、多数の穴を開けたパンチング板であるため、排気ガスがこの下部案内板11に衝突すると、一部の排気ガスは入口ダクト3の下方部からパンチング穴を通してボイラ本体の下方部へ入るが、制限された量となる。下部案内板11は、上方に大きく開いた開口部があるため、入口ダクト3の下方まで達した排気ガス流のうち、下部案内板11によってボイラ本体1の下方部へ入ることが遮られた排気ガスは下部案内板11の上方を通ってボイラ本体1の上方部に入ることになる。
この場合、入口ダクト3に近い部分の垂直水管8においては、上部には下部案内板11の上側を乗り越えた排気ガスが流れ、下部には下部案内板11のパンチング穴10を抜けた排気ガスが流れることになる。
そのため、排気ガスの流動量が少なくなるデッドスペース9はできず、垂直水管8の全体で熱の吸収を行うことができる。
また、排気ガス流がパンチング穴10を抜ける際には乱流を発生することになり、乱流は垂直水管8への伝熱効率を向上させることになる。
【0021】
しかし、下部案内板11にはパンチング穴10を開けていても、下部案内板11の裏側に送られる排気ガス量は全体の一部であって、下部案内板上方の開口部を通る排気ガス量に比べて少なくなる。そのため、下部案内板11のパンチング穴10を抜ける排気ガス量のみでは、下部案内板11の裏側となる垂直水管8の下部での熱吸収量が減少することになる。
この場合、下部案内板11の下流側に上部案内板7を設けていると、
入口ダクト3からボイラ本体1の上方部に入った排気ガス流は、出口ダクト4の方向へ向けて流れることになるが、上部案内板7によってここでも排気ガスの流れ方向の変更が行われる。この上部案内板7もパンチング穴10を開けているため、一部の排気ガス流は上部案内板7の裏側へ流れるが、上部案内板7の遮蔽面によって遮られた排気ガスの多くは、上部案内板7の下方に大きく空いている開口部へ向けて流れるために下向きの流れとなる。ここで下向きの流れになった排気ガス流は、さきほどの下部案内板11の裏側にあたる垂直水管8の下方部にも送られることになり、この部分における熱吸収量を増加することができる。またボイラ本体1部分で排気ガスを上下方向に流すと、排気ガス流の乱流促進を図ることができ、このことによっても垂直水管8での熱吸収量が増加する。ボイラ本体の下方部に達した排気ガス流は、上部案内板7の下方を通って出口ダクト4の方向へ流れる。
【0022】
更にその下流には2枚目の下部案内板11を設けているため、ここでも同様に排気ガスの流れ方向の変更が行われる。この下部案内板11もパンチング穴10を開けているため、一部の排気ガス流は下部案内板11の裏側へ流れる。そして下部案内板11の場合は上方に大きな開口があるため、下部案内板11で流れを遮られた排気ガス流はここで上向きの流れとなり、流路の上方を通って出口ダクト4の方向へ流れる。
ここでも流路の上方部に排気ガスを送ることにより、先の上部案内板7の裏側にも排気ガスを供給することになるため、上部案内板7の裏側まで十分な量の排ガスを供給することができる。
【0023】
ボイラ本体1の最下流部に設けている上部案内板7は、それまでの3枚の案内板とは違ってパンチング穴10を開けていない。
そのためにこの上部案内板7の部分に達した排気ガス流は、パンチング穴10を通して上部案内板7の裏側へ流れるということはなく、全て上部案内板7の下方へ流れる。上流側3枚の案内板でパンチング穴10を設けていた理由は、パンチング穴10を通して案内板の裏側へも一定量の排気ガスを送ることで、垂直水管8の案内板のすぐ裏側となる部分でも熱の吸収を行うためである。出口ダクト4の場合、給水予熱装置2を設けているために上部案内板7の裏側へも排気ガスを送る必要があるという点では、先に説明した3枚の案内板と同じである。しかし、出口ダクト4では、排気ガス出口6を上部に設けているため、排気ガスの全てを出口ダクト4の下方へ送り込むようにしても、出口ダクト4内で排気ガスは上向きの流れとなり、上部案内板7の裏側にも流れる。そのために、上部案内板7にパンチング穴10を設ける必要ない。そして排気ガス流の全てを下方へ向けて流すことで、ボイラ本体1での最下流の垂直水管8での熱吸収量を増加することができる。
また、もしこの最下流の上部案内板7にパンチング穴10を設けた場合には、パンチング穴10を通して送られた排気ガス流は、給水予熱装置2の上部からすぐに排気ガス出口6へ流れることになる。そうなると、給水予熱装置2での熱吸収量が減少することになるため、その点からも、最下流の上部案内板7ではパンチング穴10は開けない方が好ましい。
【0024】
以上のように、ボイラ本体1に下部案内板11と上部案内板7を交互に設置しておくと、ボイラ本体1内を入口ダクト3側から出口ダクト4へ向けて流れる排気ガス流は、上部案内板7及び下部案内板11に流れを遮られる。そして、上部案内板7では流路の下方部、下部案内板11では流路の上方部は大きく開口しているため、排気ガス流は、上部案内板7又は下部案内板11に衝突後は、大きく空いている開口へ向けて流れ、上部案内板7の下側や下部案内板11の上側を流れていく。
このように排気ガスの流れには、上向きの流れと下向きの流れを繰り返す蛇行が発生することになると、案内板の裏側にも十分な量の排気ガスが流れるために垂直水管8が排気ガス流から吸収する熱量を増加することができる。
【0025】
図4に記載しているように、下部案内板11及び上部案内板7がない場合には、入口ダクト3からボイラ本体1内の下部に入った排気ガスは、入口ダクト3から出口ダクト4へ向けて直線状に流れる。この場合、排気ガス流には片寄りが発生し、ボイラ本体部分の全体における熱の吸収量が少なくなっていた。上部案内板7及び下部案内板11を設けてボイラ本体部分を流す排気ガスを蛇行させすることで、ボイラ本体での熱吸収効率を向上させることができる。
【0026】
また、ボイラ本体1内を流れている排気ガス流は、垂直水管8との間で熱交換を行いながら流れているため、温度は徐々に低下していく。排気ガスの温度が低下すると、排気ガスの容積も低下するため、排気ガス流では下流ほど容積が小さくなっていく。排気ガスの容積が小さくなると垂直水管8との間での伝熱量は小さくなるが、案内板の長さを下流側で長くしておくと、案内板の先側にできる開口部の大きさが小さくなり、排気ガスによる垂直水管8への伝熱量を多くすることができる。
【0027】
図3は本発明の第2の実施例に関するものである。
図1に記載した実施例との違いは、
図1の下部案内板11及び上部案内板7ではほぼ垂直に設置していたのに対し、第2の実施例では下部案内板11及び上部案内板7は先側が出口ダクト4に近づく方向に傾斜させている点で異なっている。ボイラ本体1部分での排気ガス流は、大きくは入口ダクト3から出口ダクト4の方向へ流れている。下部案内板11及び上部案内板7を垂直方向から下流側へ傾斜させると、排気ガス流が下部案内板11及び上部案内板7に衝突した際に、排気ガス流は下部案内板11及び上部案内板7が抵抗となり難くなるため、圧力損失をあまり発生させることなく流すことができる。
【0028】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ボイラ本体
2 給水予熱装置
3 入口ダクト
4 出口ダクト
5 排気ガス入口
6 排気ガス出口
7 上部案内板
8 垂直水管
9 デッドスペース
10 パンチング穴
11 下部案内板