【解決手段】気体燃料を燃焼させるガスバーナ1であって、パイロットバーナ10と、パイロットバーナ10を中心として周方向に間隔をあけて配置される複数の噴出口17と、複数の噴出口17に燃焼用空気と燃料ガスとの混合気を供給する混合気供給路と、を備え、隣り合って配置される2つの噴出口17の間の距離は、15mm以下である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のガスバーナの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るガスバーナ1を具備するボイラ装置100を示す縦断面図である。
図2は、ガスバーナ1を示す縦断面図であり、
図1に示すボイラにおけるガスバーナを拡大して示す図である。
図3は、ガスバーナ1を示す底面図であり、
図1に示すボイラにおけるガスバーナを底面側から見た図である。
図1に示すように、本実施形態のガスバーナ1は、ガス等の気体燃料を燃焼させて水を加熱し、蒸気又は温水を生成するボイラ装置100の一部を構成する。
【0014】
ボイラ装置100は、
図1に示すように、缶体20と、複数の水管30と、下部管寄せ40と、上部管寄せ50と、ガスバーナ1と、を備える。また、缶体20の内部には、燃焼室22及び燃焼ガス通路23が形成される。
【0015】
缶体20は、円筒形状に構成され、ボイラ装置100の外形の主要部を構成する。缶体20は、高さ方向が鉛直方向に沿うように配置される。缶体20の周面の上部には、開口21が形成されている。
【0016】
複数の水管30は、缶体20の内部に上下方向に延びて配置される。複数の水管30は、
図1に示すように、内側水管群31と、この内側水管群31の外側に配置される外側水管群32と、を構成する。内側水管群31は、複数の水管30が缶体20の中心軸Xと同軸となるように環状に配置されて構成される。本実施形態では、内側水管群31を構成する水管30は、
図1に示すように、下部の径が細く構成されており、この下部を除く部分において、隣り合って配置される水管30同士が当接して配置される。
【0017】
外側水管群32は、複数の水管30が缶体20の中心軸Xと同軸となるように、環状に配置されて構成される。また、外側水管群32は、内側水管群31との間に所定の空間が形成されるように缶体20の内面の近傍に配置される。本実施形態では、外側水管群32を構成する水管30は、
図1に示すように、上部の径が細く構成されており、この上部を除く部分において、隣り合って配置される水管30同士が当接して配置される。
【0018】
燃焼室22は、
図1に示すように、缶体20の内部において、内側水管群31に囲まれた空間により構成される。この燃焼室22では、後述するガスバーナ1の噴出口17から噴出された燃料が燃焼される。
燃焼ガス通路23は、内側水管群31の外側と缶体20の内面との間の空間により構成される。この燃焼ガス通路23には、燃焼室22で燃料が燃焼されて発生した燃焼ガスが流通する。
【0019】
下部管寄せ40は、缶体20の内部における下部に配置される。この下部管寄せ40は、環状の容器により構成される。下部管寄せ40には、複数の水管30(内側水管群31及び外側水管群32)の下端部が連結される。
上部管寄せ50は、缶体20の内部における上部に配置される。この上部管寄せ50は、環状の容器により構成される。上部管寄せ50には、複数の水管30(内側水管群31及び外側水管群32)の上端部が連結される。
ガスバーナ1は、缶体20の上部、より具体的には、燃焼室22の上部に配置される。ガスバーナ1は、気体燃料を燃焼させる。
【0020】
図2及び
図3に示すように、ガスバーナ1は、パイロットバーナ10と、パイロットバーナ10の外側を覆うように配置される第1筒部11と、第1筒部11の外側に配置される第2筒部12と、第2筒部12の外側に配置される第3筒部13と、第1筒部11の先端における第1筒部11よりも内側を塞ぐ第1蓋部14と、第1筒部11、第2筒部12及び第3筒部13の先端部における第1筒部11よりも外側を塞ぐ第2蓋部15と、第2筒部12に形成される貫通孔16と、第2蓋部15に形成される複数の噴出口17と、複数の噴出口17に燃焼用空気と燃料ガスとの混合気を供給する混合気供給路18と、を備える。
【0021】
パイロットバーナ10は、缶体20の中心軸Xと重なるように鉛直方向(上下方向)に延びて配置される。パイロットバーナ10は、気体燃料に着火して、燃焼室22における気体燃料の燃焼を開始させる。
第1筒部11、第2筒部12及び第3筒部13は、円筒状である。第1筒部11は、中心軸が缶体20の中心軸Xと一致するように配置される。第2筒部12及び第3筒部13は、中心軸が第1筒部11の中心軸に一致するように配置される。
【0022】
第1蓋部14は、中央に形成された開口部141を備える。第1蓋部14は、開口部141がパイロットバーナ10の先端部に近接するように配置される。
第2蓋部15は、第1蓋部14よりも外側に配置される。第2蓋部15は、後述する複数の噴出口17が形成された位置にそれぞれ配置される複数のノズル151を有する。ノズル151は、噴出口17から噴出された混合気が流通する。
【0023】
貫通孔16は、第2筒部12の先端側に形成される。貫通孔16は、第2筒部12の周方向に間隔をあけて複数形成される。
複数の噴出口17は、パイロットバーナ10を中心として周方向に間隔をあけて配置される。噴出口17は、燃焼室22に混合気を噴出する。
【0024】
図3に示すように、複数の噴出口17は、周方向に等間隔で配置される。隣り合って配置される2つの噴出口17の間の距離δ1は、15mm以下である。また、それぞれの噴出口17とパイロットバーナ10との間の距離δ2は、噴出口17から噴出される気体燃料に、容易に着火する観点から、100mm以下であることが好ましい。
【0025】
混合気供給路18は、燃料供給路181と、空気供給路182と、を備える。燃料供給路181は、第1筒部11の外側と第2筒部12の内側との間に形成される。燃料供給路181は、基端側において燃料ガスを供給する図示しない燃料供給装置に接続される。空気供給路182は、前記第2筒部の外側と前記第3筒部の内側との間に形成される。空気供給路182は、基端側において燃焼用空気を供給する図示しない空気供給装置に接続される。
【0026】
以上説明したガスバーナ1は、次のように動作する。
燃料供給装置(図示せず)から供給された燃料ガスは、燃料供給路181を基端側から先端側(
図1における上側から下側)に向かって流通する。燃料供給路181を流通した燃料ガスは、貫通孔16を通じて空気供給路182に供給される。空気供給装置(図示せず)から供給された燃焼用空気は、空気供給路182を基端側から先端側(
図1における上側から下側)に向かって流通する。空気供給路182の先端側に到達した燃焼用空気は、貫通孔16を通じて空気供給路182に供給された燃料ガスと混合される。
【0027】
燃焼用空気と燃料ガスとの混合気は、噴出口17から噴出されて、ノズル151を流通し、燃焼室22に供給される。燃焼室22に供給された混合気(気体燃料)は、パイロットバーナ10によって着火されて燃焼する。
ボイラ装置100の運転の安定性を維持し、排ガスのNOx濃度を抑える観点から、噴出口17から噴出される混合気の流速は、55m/s〜70m/sであることが好ましい。
【0028】
次に、本実施形態に係るガスバーナ1を具備するボイラ装置100の動作につき説明する。
ボイラ装置100では、まず、燃焼室22においてガスバーナ1により供給された気体燃料が燃焼される。燃焼室22において気体燃料が燃焼して発生した燃焼ガスは、燃焼室22を囲むように配置された複数の水管30(内側水管群31)の内部を流通する水を加熱する。次いで、燃焼ガスは、燃焼室22の下部に形成された隙間から燃焼ガス通路23を通り、更に複数の水管30(内側水管群31及び外側水管群32)の内部を流通する水を加熱する。そして、燃焼ガス通路23を通った燃焼ガスは、缶体20の上部に形成された開口21から、この開口21に連結された排気筒(図示せず)を通って外部に排出される。
【0029】
なお、複数の水管30の内部には、複数の水管30の下部に配置された下部管寄せ40から水が供給される。そして、複数の水管30の内部において加熱された水は、蒸気となり、上部管寄せ50から蒸気供給管(図示せず)に供給される。
【0030】
以上説明した本実施形態に係るガスバーナ1によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態においては、パイロットバーナ10を中心として周方向に間隔をあけて配置される複数の噴出口17を備えるガスバーナ1において、隣り合って配置される2つの噴出口17の間の距離δ1を15mm以下にした。
これにより、従来のバーナから大幅に設計変更をしていないにも関わらず、排ガスの更なる低NOx化を可能にできる。
【0031】
また、本実施形態においては、混合気供給路18が、第1筒部11の外側と第2筒部12の内側との間に形成され気体燃料が流通する燃料供給路181と、第2筒部12の外側と第3筒部13の内側との間に形成され燃焼用空気が流通する空気供給路182と、を備えるものとした。また、第2筒部12に貫通孔16を形成した。
このように、本実施形態に係るガスバーナ1は、いわゆる予混合燃焼方式のガスバーナであり、安定して気体燃料を燃焼させることができる。
【0032】
また、本実施形態においては、パイロットバーナ10と噴出口17との間の距離δ2を100mm以下とした。
これにより、噴出口17から噴出される気体燃料への着火を容易に行うことができる。
【0033】
以上、本発明のガスバーナ1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、ガスバーナ1が噴出口17を8個備えるものとしたが(
図3)、本発明はこれに限定されない。本発明では、隣り合って配置される2つの噴出口の間の距離を15mm以下にすれば、ガスバーナの備える噴出口の数を8個よりも多く(少なく)してもよい。
また、本実施形態においては、ガスバーナ1をボイラ装置100が具備するものとしたが、本発明に係るガスバーナの用途はこれに限定されない。
【実施例】
【0034】
以下、実施例に基いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0035】
実施例においては、上記実施形態において説明したガスバーナ1と同様のガスバーナを用いて、噴出口の間の距離と排ガスのNOx濃度の関係を調べた。より詳しくは、本実施例においては、ガスバーナ1の噴出口17(ノズル151)の配置や数を調整することで、距離δ1(
図3)の異なる複数のガスバーナを作製した。
【0036】
それぞれのガスバーナについて、流速61m/sで気体燃料(設定O
2濃度:4%)を、ボイラ装置100の燃焼室22(
図1)に供給して燃焼させた。そして、気体燃料を燃焼させている際の、排ガス中のNOx濃度、O
2濃度を、それぞれJIS B 7982:2002及びJIS B 7983:1994に準拠して測定した。噴出口の間の距離と排ガスのNOx濃度の関係を
図4のグラフに示した。
なお、
図4のNOx濃度は、O
2濃度0%換算時の値を、更に温湿度補正した値である。
【0037】
図4に示すように、吐出口の間の距離δ1が15mm以下である場合、排ガスのNOx濃度が20ppmを下回った。このような結果から、隣り合って配置される2つの噴出口の間の距離δ1を15mm以下にすることによって、排ガスの更なる低NOx化が可能であることが明らかになった。なお、環境省のガイドラインによれば、ガスを燃料とするボイラの排ガスNOx濃度は50ppmであることが推奨されている。このように、20ppmを下回る、排ガスのNOx濃度は、十分に低いものと認められる。
【0038】
距離δ1を15mm以下にすることによって、排ガスのNOx濃度が低くなるのは、以下の理由によると推測される。すなわち、距離δ1を15mm以下にすることによって、隣り合って配置される2つの噴出口17(ノズル151)の間の低流速領域が少なくなり、ガスバーナの保炎位置が下流にシフトする。このように、ガスバーナの保炎位置が下流にシフトすると、排ガス循環量が増加し、燃焼によるNOxの生成が抑えられる。