特開2015-213024(P2015-213024A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015213024-燃料電池システム 図000003
  • 特開2015213024-燃料電池システム 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-213024(P2015-213024A)
(43)【公開日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/06 20060101AFI20151030BHJP
   H01M 8/04 20060101ALI20151030BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20151030BHJP
   H01M 8/12 20060101ALN20151030BHJP
【FI】
   H01M8/06 G
   H01M8/04 J
   C01B3/38
   H01M8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-95413(P2014-95413)
(22)【出願日】2014年5月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】安井 賢志
(72)【発明者】
【氏名】古川 英夫
【テーマコード(参考)】
4G140
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB03
4G140EB16
4G140EB43
5H026AA06
5H127AA07
5H127AC05
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA36
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DA20
5H127DB04
5H127DB14
5H127DB78
5H127DC83
(57)【要約】
【課題】付着したカーボンを除去して安定的に燃料電池システムを運用することができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システム1は、触媒上で燃料G1と水Wとを反応させて、燃料電池11に供給されるアノードガスG2を生成する改質器12と、改質水Wを改質器12に供給する改質水供給部21と、燃料G1を改質器12に供給する燃料供給部20と、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水W及び燃料供給部20から改質器12に供給される燃料G1の量を調整する制御を、改質水供給部21及び燃料供給部20に対して行う制御部51と、を備える。制御部51は、燃料電池11の発電準備の間に、又は、燃料電池11の発電中に所定時間経過する毎に、S/Cが3よりも多くなる制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
触媒上で燃料と水とを反応させて、前記燃料電池に供給されるアノードガスを生成する改質器と、
改質水を前記改質器に供給する改質水供給部と、
燃料を前記改質器に供給する燃料供給部と、
前記改質水供給部から前記改質器に供給される改質水及び前記燃料供給部から前記改質器に供給される燃料の量を調整する制御を、前記改質水供給部及び前記燃料供給部に対して行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記燃料電池の発電準備の間に、又は、前記燃料電池の発電中に所定時間経過する毎に、前記改質水供給部に対する、S/Cが3よりも多くなるための改質水を前記改質水供給部から前記改質器に供給する制御、及び/又は、前記燃料供給部に対する、S/Cが3よりも多くなるための燃料を前記燃料供給部から前記改質器に供給する制御、を行う燃料電池システム。
【請求項2】
前記改質器で生成されたアノードガスが前記燃料電池に向けて流通するアノードガス供給ラインと、
前記アノードガス供給ラインにおけるアノードガス中のアノードガス組成によって決まる値を検出するアノードガスセンサと、を備え、
前記制御部は、前記アノードガスセンサが所定の範囲外である前記値を検出した場合に、S/Cが3よりも多くなるように、前記改質水供給部から前記改質器に供給される改質水の量、及び/又は、前記燃料供給部から前記改質器に供給される燃料の量、を調整する制御を行う請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池から排出されるアノードオフガスが流通するアノードオフガスラインと、
前記アノードオフガスラインにおけるアノードオフガス中のアノードオフガス組成によって決まる値を検出するアノードガスセンサと、を備え、
前記制御部は、前記アノードガスセンサが所定の範囲外である前記値を検出した場合に、S/Cが3よりも多くなるように、前記改質水供給部から前記改質器に供給される改質水の量、及び/又は、前記燃料供給部から前記改質器に供給される燃料の量、を調整する制御を行う請求項1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する水素含有ガスと空気とを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池(固体酸化物型燃料電池:SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)等)がある。このような燃料電池に加え、改質器と、燃焼器とを備えた燃料電池システムが知られている。燃料電池システムにおいては、改質器が都市ガス等の炭化水素系燃料を改質させて発生させた水素含有ガスを燃料電池に供給し、燃焼器が燃料電池から排出されるアノードオフガスを燃焼処理する。このような燃料電池システムは、安定的かつ長期的に運用できることが望まれている。
【0003】
特許文献1においては、燃料電池システムは、燃料電池から排出されるオフガスに含まれる水素が燃焼される際に、運転状態によって使用する触媒が変更される。これにより、オフガス水素の燃焼に用いられる触媒の消耗を極力抑え、かつ効率のよい熱交換をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−17211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池システムを長期的に運用すると、改質器の触媒や燃料電池のセル・スタック内に燃料ガスに由来するカーボンが付着することがある。このようなカーボンの付着は、燃料電池の発電効率を低下させ、改質効率を低下させ、また、配管を目詰まりさせることがあった。
【0006】
すなわち、従来の燃料電池システムは、長期的に運用するとカーボンが付着して、安定的に運用することができなかった。
【0007】
本発明は、長期的に運用しても、付着したカーボンを除去して安定的に燃料電池システムを運用することができる燃料電池システムを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、燃料電池と、触媒上で燃料と水とを反応させて、前記燃料電池に供給されるアノードガスを生成する改質器と、改質水を前記改質器に供給する改質水供給部と、燃料を前記改質器に供給する燃料供給部と、前記改質水供給部から前記改質器に供給される改質水及び前記燃料供給部から前記改質器に供給される燃料の量を調整する制御を、前記改質水供給部及び前記燃料供給部に対して行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記燃料電池の発電準備の間に、又は、前記燃料電池の発電中に所定時間経過する毎に、前記改質水供給部に対する、S/Cが3よりも多くなるための改質水を前記改質水供給部から前記改質器に供給する制御、及び/又は、前記燃料供給部に対する、S/Cが3よりも多くなるための燃料を前記燃料供給部から前記改質器に供給する制御、を行う燃料電池システムに関する。
【0009】
また、本発明は、前記改質器で生成されたアノードガスが前記燃料電池に向けて流通するアノードガス供給ラインと、前記アノードガス供給ラインにおけるアノードガス中のアノードガス組成によって決まる値を検出するアノードガスセンサと、を備え、前記制御部は、前記アノードガスセンサが所定の範囲外である前記値を検出した場合に、S/Cが3よりも多くなるように、前記改質水供給部から前記改質器に供給される改質水の量、及び/又は、前記燃料供給部から前記改質器に供給される燃料の量、を調整する制御を行うことが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記燃料電池から排出されるアノードオフガスが流通するアノードオフガスラインと、前記アノードオフガスラインにおけるアノードオフガス中のアノードオフガス組成によって決まる値を検出するアノードガスセンサと、を備え、前記制御部は、前記アノードガスセンサが所定の範囲外である前記値を検出した場合に、S/Cが3よりも多くなるように、前記改質水供給部から前記改質器に供給される改質水の量、及び/又は、前記燃料供給部から前記改質器に供給される燃料の量、を調整する制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期的に運用しても、付着したカーボンを除去して安定的に燃料電池システムを運用することができる燃料電池システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の燃料電池システム1を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態のリフレッシュ運転制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[燃料電池システム1の概略]
以下、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の燃料電池システム1を示す概略図である。図1において、実線の矢印はラインを示し、点線の矢印は制御装置50からの信号を示している。
【0014】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池11と、改質器12と、燃焼器13と、ガス貯留部14と、水貯留部15と、流量調整部30と、ポンプ31と、アノードガスセンサ40と、アノードガスセンサ41と、制御装置50とを備える。
【0015】
また、燃料電池システム1は、燃料ガス供給ラインL1と、水供給ラインL2と、アノードガス供給ラインL3と、空気供給ラインL4と、アノードオフガスラインL5と、カソードオフガスラインL6と、屋外排出ラインL7と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0016】
[ラインの説明]
燃料ガス供給ラインL1においては、燃料ガス供給ラインL1の一端部は、都市ガス等の燃料ガス(燃料)G1を供給可能なガス貯留部14に接続され、燃料ガス供給ラインL1の他端部は改質器12に接続されている。燃料ガス供給ラインL1の途中には、流量調整部30が設けられている。流量調整部30は、燃料ガスG1の流量を調整する流量調整弁として構成され、制御装置50から出力される制御信号に応じて弁が開閉することにより燃料ガスG1の流量を調整する。燃料ガスG1は、ガス貯留部14から燃料ガス供給ラインL1を流通して、改質器12に供給される。なお、ガス貯留部14、燃料ガス供給ラインL1及び流量調整部30は、改質器12に燃料ガスG1を供給する燃料供給部20を構成する。
【0017】
水供給ラインL2の一端部は、水貯留部15に接続され、水供給ラインL2の他端部は、改質器12に接続されている。水供給ラインL2の途中には、ポンプ31が接続されている。ポンプ31は、改質器12に改質水Wを供給するために、水貯留部15からの改質水(水)Wを加圧する。水貯留部15内の改質水Wは、ポンプ31の駆動によって、水貯留部15から水供給ラインL2を流通して、改質器12へ供給される。ポンプ31は、駆動力を増減することにより、改質水Wの供給量を調整する。なお、水貯留部15、水供給ラインL2及びポンプ31は、改質器12に改質水Wを供給する改質水供給部21を構成する。
【0018】
アノードガス供給ラインL3においては、アノードガス供給ラインL3の一端部は改質器12に接続され、アノードガス供給ラインL3の他端部は燃料電池11に接続されている。改質器12において生成される水素を含むアノードガスG2は、アノードガス供給ラインL3を流通して、燃料電池11に供給され、発電に用いられる。
【0019】
空気供給ラインL4においては、空気供給ラインL4の一端部は、酸素を含む空気A1を燃料電池11に供給するための空気供給部としてのブロワ(図示せず)及びフィルタ(図示せず)に接続されている。空気供給ラインL4の他端部は燃料電池11に接続されている。空気A1は、ブロワからフィルタを通過し、空気供給ラインL4を流通して、燃料電池11に供給される。
【0020】
アノードオフガスラインL5においては、アノードオフガスラインL5の一端部は、燃料電池11に接続され、アノードオフガスラインL5の他端部は、燃焼器13に接続されている。アノードオフガスG3は、アノードオフガスラインL5を流通して、燃焼器13に供給される。
【0021】
カソードオフガスラインL6においては、カソードオフガスラインL6の一端部は、燃料電池11に接続され、カソードオフガスラインL6の他端部は、燃焼器13に接続されている。カソードオフガスG4は、カソードオフガスラインL6を流通して、燃焼器13に供給される。
【0022】
屋外排出ラインL7においては、屋外排出ラインL7の一端部は、燃焼器13に接続され、屋外排出ラインL7の他端部は、屋外に開放している。燃焼器13によって燃焼された燃焼排ガスG5は、屋外排出ラインL7を流通して屋外に排出される。
【0023】
[各装置の説明]
燃料電池11としては、高温型の固体酸化物形燃料電池(SOFC)が用いられる。燃料電池11は、燃料電池スタック(図示せず)を有している。燃料電池スタックは、複数の発電セル(図示せず)とセパレータ(図示せず)とを交互に積層することで形成される。
【0024】
発電セルは、アノード(燃料極)と、カソード(空気極)と、アノードとカソードとの間に設けられた電解質層と、を有する。アノードは、ニッケル等から形成され、還元性ガスにより還元雰囲気に保たれている。燃料電池11は、改質器12からアノードガス供給ラインL3を介してアノードに供給されるアノードガスG2と、空気供給ラインL4からカソードに供給される空気A1中の酸素とを反応させることにより、発電を行なうことができる。燃料電池11による発電時の温度である運転温度は、500℃〜1000℃程度の高温である。燃料電池11によって発電された電気は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られ、AC電圧に変換される。
【0025】
燃料電池11は、アノードからのオフガスであるアノードオフガスG3、及び、カソードからのオフガスであるカソードオフガスG4を排出する。
【0026】
改質器12は、燃料供給部20から供給された燃料ガスG1と改質水供給部21から供給された改質水Wとを、触媒上で反応させて、水素を含むアノードガスG2を生成する。この際、燃料ガスG1は、500℃〜800℃程度にまで加熱されて供給される。改質器12によって生成された水素を含むアノードガスG2は、アノードガス供給ラインL3を介して燃料電池11へ供給される。
【0027】
改質器12においては、燃料電池システム1が発電運転からリフレッシュ運転に切り替わると、燃料供給部20から改質器12に供給される燃料ガスG1の供給量が減少し、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水Wの供給量が増加する。これにより、改質器12は、スチームと炭素との割合(S/C比率)についてスチームの割合が高い(S/C比率が高い)アノードガスG2を生成する。
このようなS/C比率の高いアノードガスG2は、スチームが多く含まれているがために、燃料電池11、改質器12及びアノードオフガスラインL5等の配管に付着したカーボンを、スチームと反応させることにより、除去する。
【0028】
燃焼器13は、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を燃焼処理する。燃焼器13により燃焼されたアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4は、燃焼器13の下流側に接続された屋外排出ラインL7を通じて、燃焼排ガスG5として排出される。
【0029】
アノードガスセンサ40は、アノードガス供給ラインL3の途中に設置され、アノードガス供給ラインL3を流通するガス濃度を計測可能に設置されている。アノードガスセンサ40は、アノードガス供給ラインL3を流通するアノードガスG2のアノードガス組成を検出するように構成される。例えば、アノードガスセンサ40は、アノードガスG2に含まれるガス濃度を熱伝導性に基づいて検出する熱伝導センサ及びアノードガスG2に含まれるガスの密度を測定するガス密度計として構成されてよい。
【0030】
アノードガスセンサ41は、アノードオフガスラインL5の途中に設置され、アノードオフガスラインL5を流通するガス濃度を計測可能に設置されている。アノードガスセンサ41は、アノードオフガスラインL5を流通するアノードオフガスG3のアノードオフガス組成を検出するように構成される。例えば、アノードガスセンサ41は、アノードオフガスG3に含まれるガス濃度を熱伝導性に基づいて検出する熱伝導センサ及びアノードオフガスG3に含まれるガスの密度を測定するガス密度計として構成されてよい。
【0031】
制御装置50は、流量調整部30やポンプ31を制御することにより燃料電池システム1においてリフレッシュ運転を行うことを目的としたものであり、各種演算処理を行う制御部51や各種情報を記憶する記憶部に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部及びディスプレイによる表示部を備えた汎用パーソナルコンピュータやシーケンサーである。
制御装置50は、図1で示すように、流量調整部30、ポンプ31、アノードガスセンサ40及びアノードガスセンサ41と有線乃至無線で接続されており、各種信号を入出力することができるようになっている。
【0032】
具体的に、制御装置50の制御部51は、燃料電池11の発電準備の間に、又は、燃料電池11の発電中に所定時間経過する毎に、リフレッシュ運転を行うために、流量調整部30及びポンプ31に制御信号を入力して、S/C比率が大きくなるように流量調整部30及びポンプ31を制御する。また、制御部51は、リフレッシュ運転を行う際に、アノードガスセンサ40が検出したアノードガス供給ラインL3に流通するアノードガスG2のアノードガス組成の入力、又は、アノードガスセンサ41が検出したアノードオフガスラインL5を流通するアノードオフガスG3のアノードガス組成の入力を受け付けて、流量調整部30及びポンプ31に制御信号を入力して、S/C比率を調整する。
【0033】
[リフレッシュ運転の制御処理]
続いて、図2を参照して、燃料電池システム1において、制御部51が制御するリフレッシュ運転の制御処理について説明する。図2は、燃料電池システム1において、制御部51が制御するリフレッシュ運転の制御処理の流れを示すフローチャートである。
燃料電池システム1を構成する制御装置50の制御部51は、燃料電池11が発電準備の場合に、又は、燃料電池11の発電中に所定時間経過した場合に、リフレッシュ運転の行うために処理を開始する。
【0034】
制御部51は、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水W及び燃料供給部20から改質器12に供給される燃料ガスG1の量を調整する制御を、改質水供給部21及び燃料供給部20に対して行う(ステップS1)。
具体的には、制御部51は、リフレッシュ運転の開始に応じて、S/C比率が3よりも多くなるように、制御信号を燃料供給部20の流量調整部30及び改質水供給部21のポンプ31に出力する。流量調整部30は、制御信号を受け付けたことに応じて、リフレッシュ運転以外のときよりも弁の開度を閉じて、燃料ガスG1をリフレッシュ運転以外のときよりも少なく供給する。ポンプ31は、制御信号を受け付けたことに応じて、リフレッシュ運転以外のときよりも駆動力を増加させて、改質水Wをリフレッシュ運転以外のときよりも多く供給する。改質器12は、リフレッシュ運転以外のときよりも燃料ガスG1の供給が減少し改質水Wの供給が増加するため、S/C比率が高くなった(すなわち、スチームが多く含まれる)アノードガスG2を生成する。生成されたアノードガスG2は、スチームを多く含むために、付着したカーボンを除去する。
【0035】
続いて、制御部51は、アノードガスセンサ40からアノードガスの組成を取得する(ステップS2)。制御部51は、アノードガスセンサ40から取得したアノードガスG2の組成が所定の範囲内かを確認する(ステップS3)。制御部51は、確認した値が所定の範囲外の場合(NO)に、制御部51は、S/C比率を調整するために、ステップS4に処理を進める。制御部51は、S/C比率を調整する必要はないため、ステップS5に処理を進める。
【0036】
ここで、所定の範囲とは、カーボンを除去しうる最低限のS/C比率(例えば、3)に対応する値を超えるものであって、燃料電池システム1の運転に支障を生じないS/C比率に対応する値以下のものが設定される。燃料電池システム1の運転に支障を生じないとは、例えば、スチームが多く含まれるために燃焼器13の温度が過剰に上昇しない程度のS/C比率であってよい。
【0037】
続いて、制御部51は、アノードガスの組成が所定の範囲内になるように(S/C比率が所定の範囲内になるように)、制御信号を流量調整部30及びポンプ31へ出力する(ステップS4)。
【0038】
続いて、制御部51は、リフレッシュ運転を開始してから所定の時間が経過したか否かを確認する(ステップS5)。リフレッシュ運転を開始してから所定の時間が経過した場合(YES)に、制御部51は、ステップS6に処理を進める。リフレッシュ運転を開始してから所定の時間が経過していない場合(NO)に、制御部51は、リフレッシュ運転を継続するため、ステップS2に処理を進める。
【0039】
続いて、制御部51は、リフレッシュ運転を終了するために、S/C比率が3よりも少なくなるように、制御信号を流量調整部30及びポンプ31へ出力して(ステップS6)、処理を終了する。
【0040】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の燃料電池システム1は、触媒上で燃料G1と改質水(水)Wとを反応させて、燃料電池11に供給されるアノードガスG2を生成する改質器12と、改質水Wを改質器12に供給する改質水供給部21と、燃料G1を改質器12に供給する燃料供給部20と、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水W及び燃料供給部20から改質器12に供給される燃料G1の量を調整する制御を、改質水供給部21及び燃料供給部20に対して行う制御部51と、を備え、制御部51は、燃料電池11の発電準備の間に、又は、燃料電池11の発電中に所定時間経過する毎に、改質水供給部21に対する、S/Cが3よりも多くなるための改質水Wを改質水供給部21から改質器12に供給する制御、及び、燃料供給部20に対する、S/Cが3よりも多くなるための燃料G1を燃料供給部20から改質器12に供給する制御を行う。
【0041】
このような燃料電池システム1においては、制御部51の制御によりS/Cが3よりも多くなる改質水W及び燃料G1が供給されて、改質器12において、S/Cが3よりも多いアノードガスG2が生成される。そして、改質器12において生成されたアノードガスG2はスチームを多く含むために、燃料電池11、改質器12及びアノードオフガスラインL5等の配管に付着したカーボンを除去することができ、燃料電池システム1は長期間にわたって安定的に運転することができる。
【0042】
また、燃料電池システム1は、改質器12で生成されたアノードガスG2が燃料電池11に向けて流通するアノードガス供給ラインL3と、アノードガス供給ラインL3におけるアノードガスG2中のアノードガス組成によって決まる値を検出するアノードガスセンサ40と、を備え、制御部51は、アノードガスセンサ40が所定の範囲外である値を検出した場合に、S/Cが3よりも多くなるように、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水Wの量、及び、燃料供給部20から改質器12に供給される燃料G1の量、を調整する制御を行う。
【0043】
このような燃料電池システム1においては、S/Cが3よりも多くなるように、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水Wの量、及び、燃料供給部20から改質器12に供給される燃料G1の量が常時調整されるため、改質器12において、S/Cが3よりも多いアノードガスG2を常時生成することができる。
【0044】
また、燃料電池システム1は、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3が流通するアノードオフガスラインL5と、アノードオフガスラインL5におけるアノードオフガスG3中のアノードオフガス組成によって決まる値を検出するアノードガスセンサ41と、を備え、制御部51は、アノードガスセンサ41が所定の範囲外である値を検出した場合に、S/Cが3よりも多くなるように、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水Wの量、及びは、燃料供給部20から改質器12に供給される燃料G1の量、を調整する制御を行う。
【0045】
このような燃料電池システム1においては、S/Cが3よりも多くなるように、改質水供給部21から改質器12に供給される改質水Wの量、及び、燃料供給部20から改質器12に供給される燃料G1の量が常時調整されるため、改質器12において、S/Cが3よりも多いアノードガスG2を常時生成することができ、そのため、燃料電池11にスチームを多く含むアノードガスG2を常時供給することができる。
【0046】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0047】
例えば、上述の実施形態においては、ステップS2において制御部51は、アノードガスセンサ40からアノードガスの組成を取得していたが、これに限られない。例えば、制御部51は、アノードガスセンサ41からアノードオフガスG3の組成が所定の範囲内かを確認してもよい。また、制御部51は、アノードガスセンサ40及びアノードガスセンサ41双方からアノードガスの組成を取得してもよい。
【0048】
また、上述の実施形態においては、アノードガスセンサ40及びアノードガスセンサ41を備えていたが、これに限られず、アノードガスセンサ40又はアノードガスセンサ41何れか片方のみを備えるものであってよい。
【0049】
また、上述の実施形態においては、制御部51は、流量調整部30及びポンプ31に制御信号を出力していたが、これに限られず、流量調整部30又はポンプ31何れか片方のみに制御信号を出力するものであってよい。
【符号の説明】
【0050】
1 燃料電池システム
11 燃料電池
12 改質器
20 燃料供給部
21 改質水供給部
40 アノードガスセンサ
41 アノードガスセンサ
51 制御部
L3 アノードガス供給ライン
L5 アノードオフガスライン
G1 燃料ガス(燃料)
G2 アノードガス
G3 アノードオフガス
W 改質水(水)
図1
図2