特開2015-213032(P2015-213032A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-213032(P2015-213032A)
(43)【公開日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20151030BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20151030BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20151030BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20151030BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20151030BHJP
   H01G 2/04 20060101ALI20151030BHJP
   H01G 2/16 20060101ALI20151030BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20151030BHJP
   H01M 10/48 20060101ALN20151030BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20151030BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20151030BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALN20151030BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/20 A
   H01M2/34 A
   H01G11/76
   H01G11/16
   H01G1/03 Z
   H01G1/11 105A
   H01M10/613
   H01M10/48 P
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/6555
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-95693(P2014-95693)
(22)【出願日】2014年5月7日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】坂田 知之
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
(72)【発明者】
【氏名】中川 謙治
【テーマコード(参考)】
5E078
5H030
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AA14
5E078AB01
5E078JA02
5E078JA06
5E078JA10
5E078KA01
5E078KA04
5E078LA07
5E078ZA10
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
5H031AA09
5H031CC01
5H031EE01
5H031KK01
5H040AA12
5H040AA18
5H040AA20
5H040AA28
5H040AA39
5H040AA40
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY06
5H040DD03
5H040DD22
5H040DD26
5H040GG01
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA09
5H043AA13
5H043AA17
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA28
5H043DA27
5H043FA04
5H043FA33
5H043GA03
5H043GA25
5H043HA31D
5H043HA31F
5H043HA35F
5H043JA03D
5H043JA03F
5H043JA04D
5H043JA04F
5H043JA07D
5H043JA07F
5H043JA13D
5H043JA13F
5H043JA28D
5H043JA28F
5H043KA01
5H043KA01F
5H043KA22D
5H043KA22F
5H043KA44D
5H043KA44F
5H043KA45D
5H043KA45F
5H043LA02D
5H043LA02F
5H043LA21D
5H043LA21F
5H043LA22D
5H043LA22F
5H043LA24D
5H043LA24F
5H043LA25D
5H043LA25F
5H043LA31D
5H043LA31F
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でありながらも、蓄電素子の積層方向の公差を吸収することのできる蓄電モジュールを提供する。
【解決手段】蓄電モジュール10は、リード端子14を有する蓄電素子12を複数積層してなる蓄電素子群11と、リード端子14と電気的に接続される接続部材43と、接続部材43と外部機器とを電気的に接続するコネクタ50と、接続部材43とコネクタ50とを電気的に接続する端子部材44と、を備える。接続部材43は、蓄電素子12の積層方向に平行に配され、端子部材44と接続される接続部43Bを有し、端子部材44は、蓄電素子12の積層方向に移動可能な状態で接続部43Bに接続されている。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード端子を有する蓄電素子を複数積層してなる蓄電素子群と、
前記リード端子と電気的に接続される接続部材と、
前記接続部材と外部機器とを電気的に接続するコネクタと、
前記接続部材と前記コネクタとを電気的に接続する端子部材と、を備え、
前記接続部材は、前記蓄電素子の積層方向に平行に配され、前記端子部材と接続される接続部を有し、
前記端子部材は、前記蓄電素子の積層方向に移動可能な状態で前記接続部に接続されている蓄電モジュール。
【請求項2】
前記コネクタは、前記端子部材を、前記蓄電素子の積層方向への移動を許容しつつ前記接続部材と電気的に接続された状態で保持するハウジングを備える請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記コネクタには、前記リード端子と電気的に接続されるヒューズを装着するヒューズ装着部が設けられている請求項1または請求項2に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車やハイブリッド車両に搭載される電池モジュールは、一般に、多数の単電池をバスバーを介して直列または並列接続することにより構成されている。
このような電池モジュールは、例えば、単電池群の状態(電圧や温度等)を検出するための端子や、当該端子とECU等のコントローラとを接続する電線を備える(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−91003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、電圧検知電線が圧着された電圧検知端子が、単電池間を接続するバスバーとともに電極にボルト締めされており、これにより、電圧検知端子が単電池群およびバッテリを制御するECU等のコントローラと電気的に接続可能とされる。
【0005】
ところで、単電池の状態を検出するための検知端子とバッテリを制御するコントローラ等の外部機器とを接続する方法として、ボルト締め以外に、コネクタを用いる方法がある。
【0006】
ここで、単電池を複数積層してなる単電池群を備える電池モジュールにおいて、検知端子と外部機器とをコネクタを用いて接続する場合、単電池の積層方向における公差により、コネクタと検知端子との接続位置がずれることがあるため、単電池の積層方向における公差を考慮した構造のコネクタを用いる必要があった。
【0007】
本発明は、簡易な構成でありながらも、蓄電素子の積層方向の公差を吸収することのできる蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、リード端子を有する蓄電素子を複数積層してなる蓄電素子群と、前記リード端子と電気的に接続される接続部材と、前記接続部材と外部機器とを電気的に接続するコネクタと、前記接続部材と前記コネクタとを電気的に接続する端子部材と、を備え、前記接続部材は、前記蓄電素子の積層方向に平行に配され、前記端子部材と接続される接続部を有し、前記端子部材は、前記蓄電素子の積層方向に移動可能な状態で前記接続部に接続されている蓄電モジュールである。
【0009】
本発明において、接続部材は、蓄電素子の積層方向に平行に配され、端子部材と接続される接続部を有し、端子部材は、蓄電素子の積層方向に移動可能な状態で接続部に接続されているので、端子部材が蓄電素子の積層方向に移動することにより蓄電素子の積層方向の公差を吸収することができる。その結果、本発明によれば、接続部材の接続部を蓄電素子の積層方向に平行に配される構成とし、端子部材が積層方向に移動可能に接続部材(接続部)に接続されている構成とするだけで、蓄電素子の積層方向の公差を吸収することができるので、簡易な構成でありながらも蓄電素子の積層方向の公差を吸収することができる。
【0010】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記コネクタは、前記端子部材を、前記蓄電素子の積層方向への移動を許容しつつ前記接続部材と電気的に接続された状態で保持するハウジングを備えていてもよい。
【0011】
蓄電素子の積層方向への移動を許容されている端子部材が、接続部材との接続位置を超えて移動すると、接続部材との電気的な接続状態が悪化することが懸念される。しかしながら、上記のような構成とすると、端子部材が蓄電素子の積層方向への移動を許容されつつ接続部材と電気的に接続された状態で保持されるので、端子部材と接続部材との電気的な接続状態を確保することができる。
【0012】
前記コネクタには、前記リード端子と電気的に接続されるヒューズを装着するヒューズ装着部が設けられていてもよい。
このような構成とすると、ヒューズを蓄電素子のすぐ近くに配置することができるので、過電流の影響が他の蓄電素子に及び難くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構造でありながらも、蓄電素子の積層方向の公差を吸収することのできる蓄電モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の蓄電モジュールを左側方から示した斜視図
図2】蓄電モジュールを右側方から示した斜視図
図3】蓄電モジュールの平面図
図4図3のA−A線における断面図
図5図3のB−B線における断面図
図6】蓄電モジュールの左側面図
図7】蓄電モジュールの右側面図
図8】第1ハウジングを右側方から示した斜視図
図9】第1ハウジングを蓄電素子側から示した斜視図
図10】第2ハウジングを右側方から示した斜視図
図11】第2ハウジングの右側面図
図12図7のC−C線における断面図
図13】コネクタの右側面図
図14図13のD−D線における断面図
図15】コネクタと接続部材との接続状態を上面側から示した図
図16】コネクタと接続部材との接続状態を背面側から示した図
図17】第1保持部材の平面図
図18】第2保持部材の平面図
図19】第3保持部材の平面図
図20】第4保持部材の平面図
図21】第5保持部材の平面図
図22】第6保持部材の平面図
図23】端子部材が積層方向(上方向)に移動している様子を示す斜視図
図24】端子部材が積層方向(下方向)に移動している様子を示す斜視図
図25】積層体の厚み寸法が最も大きい状態のときの蓄電モジュールの正面図
図26】積層体の厚み寸法が最も小さい状態のときの蓄電モジュールの正面図
図27】積層体の厚み寸法が最も大きい状態のときの蓄電モジュールの背面図
図28】積層体の厚み寸法が最も小さい状態のときの蓄電モジュールの背面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図28によって説明する。図面においては、複数の同一部材のうち一の部材にのみ符号を付し、他の同一部材については符号を省略する場合がある。以下の説明において、図1における左側を前方とし右側を後方とする。
【0016】
本実施形態の蓄電モジュール10は、図1及び図2に示すように、複数(本実施形態では、6個)の蓄電素子12が積層された蓄電素子群11を備える。本実施形態においては、蓄電素子12は、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等、必要に応じて任意の蓄電素子12を用いることができる。本実施形態に係る蓄電素子12としては、二次電池が用いられている。
【0017】
本実施形態の蓄電モジュール10は、保持部材30が取り付けられた伝熱部材22に蓄電素子12を載置してなる蓄電ユニット21を6つ積層してなる積層体20を備える。
【0018】
(蓄電ユニット21)
積層体20を構成する蓄電ユニットのうち、最も下の段に配されるものを第1蓄電ユニット21Aとし、下から2段目〜5段目に配されるものを第2蓄電ユニット21Bとし、最も上の段に配されるものを第3蓄電ユニット21Cとする。各蓄電ユニット21は長手方向の両端部にそれぞれ保持部材30が取り付けられた伝熱部材22と、伝熱部材22の上に載置されるとともに保持部材30により保持される蓄電素子12と、を備える。
【0019】
(伝熱部材22)
伝熱部材22は熱伝導性材料からなる部材である。本実施形態では、熱伝導性材料として、熱伝導性に優れたアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。伝熱部材22の長手方向における一対の側縁には、図1に示すように、上方に起立する熱伝導壁23が4つずつ間隔をあけて形成されている。この熱伝導壁23は、積層体20をケース(図示せず)に収容したときにケース内壁面に接触するように配置されて、蓄電素子12から発生する熱をケースに伝導する機能を有する。蓄電素子12から発生した熱は熱伝導壁23を介してケースに伝わり、ケースの外に放熱されるようになっている。
【0020】
伝熱部材22の長手方向における両端部には、それぞれ絶縁樹脂材料からなる保持部材30が取り付けられており、伝熱部材22の上面には蓄電素子12が載置される。
【0021】
(蓄電素子12)
蓄電素子12は、図3に示すように、上方から見て略長方形状をなしている。蓄電素子12は、略長方形状をなす一対のラミネートフィルムの側縁を溶着してなる容器13と、容器13の内部に収容された図示しない蓄電要素と、容器13の内部において蓄電要素に接続されると共に、容器13の側縁から外部に導出されるリード端子14と、を備える。容器13の一方の側縁から導出されるリード端子14の極性は、他方の側縁から導出されるリード端子14の極性と異なっている。
【0022】
図4に示すように、積層方向に重ねられた蓄電素子12同士は、それぞれの蓄電素子12のリード端子14同士が重なり合うように配されることにより、直列に、又は並列に接続される。
【0023】
本実施形態では図4に示すように、積層方向(図4の上下方向)において隣り合うリード端子14の端部は、垂直上方または垂直下方に折り曲げられ相互に重なり合うように配されている。
【0024】
積層方向に重ねられた蓄電素子12同士は、極性の相違するリード端子14同士が電気的に接続されることにより、直列に接続されている。積層方向において隣り合うリード端子14同士は、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続することができる。
【0025】
リード端子14には、蓄電素子12の電圧を検知するための金属製の電圧検知バスバー43(接続部材の一例)が、溶接、ハンダ付け、ロウ付け等、公知の手法により接続されている。
【0026】
(保持部材30)
絶縁材料からなる保持部材30には、図17図22に示すように、固定部材(図示せず)を挿通可能な2つの貫通孔31が貫通して設けられている。各保持部材30には、図3に示すように、リード端子14の幅広領域15の角部15Aが嵌り込む凹状の蓄電素子保持部32が形成されている。この蓄電素子保持部32により、リード端子14(蓄電素子12)は移動を規制される。
【0027】
本実施形態では6種類の保持部材30を用いる。最下段の第1蓄電ユニット21Aを構成する2つの保持部材30のうち、後方に配される保持部材30が第1保持部材30Aであり(図17参照)、前方に配される保持部材30が第2保持部材30Bである(図18参照)。
【0028】
下から2段目〜5段目の第2蓄電ユニット21Bを構成する2つの保持部材30のうち、一方の保持部材30が第3保持部材30Cであり(図19参照)、他方の保持部材30が第4保持部材30Dである(図20参照)。2段目および4段目では第3保持部材30Cが後方に配され、第4保持部材30Dが前方に配される。3段目および5段目では第3保持部材30Cが前方に配され、第4保持部材30Dが後方に配される。
【0029】
最上段の第3蓄電ユニット21Cを構成する2つの保持部材30のうち、後方に配される保持部材30が第5保持部材30Eであり(図21参照)、前方に配される保持部材30が第6保持部材30Fである(図22参照)。
【0030】
本実施形態において、蓄電素子12の積層方向において隣り合う保持部材30は、蓄電素子12の積層方向に移動可能に係止されている(図25図28参照)。
【0031】
第1保持部材30Aの図17における左右の端縁には、積層した際に上方に配される第3保持部材30Cの係止部33を受け入れる係止受け部34がそれぞれ突出形成されている。第2保持部材30Bの図18における左右の端縁には、積層した際に上方に配される第4保持部材30Dの係止部33を受け入れる係止受け部34がそれぞれ突出形成されている。
【0032】
第3保持部材30Cの図19における左右の端縁には、積層した際に下方に配される保持部材30の係止受け部34に受け入れられる係止部33がそれぞれ突出形成されており、第3保持部材30Cの図19における左右の端縁には、積層した際に上方に配される保持部材30の係止部33を受け入れる係止受け部34がそれぞれ形成されている。
【0033】
第4保持部材30Dの図20における左右の端縁には、積層した際に下方に配される保持部材30の係止受け部34に受け入れられる係止部33がそれぞれ突出形成されており、第4保持部材30Dの図20における左右の端縁には、積層した際に上方に配される保持部材30の係止部33を受け入れる係止受け部34がそれぞれ形成されている。
【0034】
第5保持部材30Eの図21における左右の端縁には、積層した際に下方に配される保持部材30の係止受け部34に受け入れられる係止部33がそれぞれ形成されている。
【0035】
第6保持部材30Fの図22における左右の端縁には、積層した際に下方に配される保持部材30の係止受け部34に受け入れられる係止部33がそれぞれ形成されている。
【0036】
第1保持部材30Aおよび第5保持部材30Eには、それぞれ、外部機器(図示せず)と接続される外部接続バスバー36を保持するバスバー保持部35が設けられている。バスバー保持部35は、外部接続バスバー36がはめ込まれる凹み部35Aと、凹み部35Aにはめ込まれた外部接続バスバー36を抜け止めする抜け止め突部35Bと、を備える。
【0037】
外部接続バスバー36は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製材料からなり、リード端子14と重なり合うように配される。外部接続バスバー36の端部は前方に突出しており、その端部には外部接続端子(図示せず)と接続される接続孔36Aが設けられている。
【0038】
第1保持部材30A、第2保持部材30B、第3保持部材30Cおよび第5保持部材30Eには、それぞれ、電圧検知バスバー43が保持される検知端子保持部37が設けられている。
【0039】
検知端子保持部37は、電圧検知バスバー43の端子接続部43Aがはめ込まれる凹部37Aが設けられているとともに、端子接続部43Aを取り付ける取付ピン37Bおよび端子接続部43Aを抜け止めする一対の抜け止め片37Cが突出形成されている。
【0040】
(電圧検知バスバー43)
電圧検知バスバー43は、蓄電素子12のリード端子14と電気的に接続される(接続部材の一例)。電圧検知バスバー43は、図15および図16に示すように、リード端子14に重ねられ接続される端子接続部43Aと、端子接続部43Aに対して垂直上方に折り曲げられ、ヒューズ40と電気的に接続される接続部43Bと、を備える。
【0041】
電圧検知バスバー43の端子接続部43Aの端部には保持部材30に形成された取付ピン37Bが挿通される取付孔43Cが貫通して形成されている。
【0042】
電圧検知バスバー43は、蓄電素子12の積層方向に平行に配され、第1中継端子44(端子部材の一例)と接続される接続部43B(端子部材と接続される接続部の一例)を有している。
【0043】
(第1中継端子44)
電圧検知バスバー43は第1中継端子44を介してヒューズ40と電気的に接続されている。第1中継端子44は例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製材料からなる。第1中継端子44は端部に2股に分岐されることにより形成された音叉端子部44Aと、音叉端子部44Aに対して垂直に切り立つヒューズ接続部44Bとを備える。
【0044】
第1中継端子44の音叉端子部44Aには電圧検知バスバー43の接続部43Bが挟持され、接続される。第1中継端子44の音叉端子部44Aは、図23および図24に示すように、電圧検知バスバー43の接続部43Bに対して積層方向に移動可能に接続される。第1中継端子44の音叉端子部44Aは、電圧検知バスバー43とコネクタ50とを電気的に接続する部材であって端子部材の一例である。
【0045】
(ヒューズ40)
ヒューズ40は、第1中継端子44の音叉端子部44Aに挟まれて電気的に接続される接続部40Aと、第2中継端子45のヒューズ接続部45Aと電気的に接続される接続部40Bと、2つの接続部40A,40Bをつなげるように設けられている絶縁樹脂製の絶縁部41と、を有する。2つの接続部40A,40Bは絶縁部41の内部においてつながっている。接続部40A,40Bは金属材料からなる。ヒューズ40に過電流が流れた場合、ヒューズ40が溶断することにより、過電流が遮断される。
【0046】
(第2中継端子45)
第2中継端子45は例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製材料からなり、ヒューズ40に接続されるヒューズ接続部45Aと、ヒューズ接続部45Aから連なりコネクタ50の端子収容部59内に配されるタブ状の雄端子45Bと、を備える。
【0047】
(コネクタ50)
本実施形態では、蓄電モジュール10の前方(図1の左側)と後方(図1の右側)に、それぞれコネクタ50が取り付けられている。コネクタ50は、電圧検知バスバー43(接続部材)と電池コントロールユニットなどの外部機器(図示せず)とを電気的に接続する。
【0048】
蓄電モジュール10の前方に取り付けられているコネクタ50Bは3つの端子収容部59を有するのに対し、後方に取り付けられているコネクタ50Aは4つの端子収容部59を有する。
【0049】
コネクタ50は蓄電素子12側に配される第1コネクタ51と、第1コネクタ51と嵌合する第2コネクタ56とからなる。ここで第1コネクタ51のハウジングを第1ハウジング52とし、第2コネクタ56のハウジングを第2ハウジング57とする。図8図11には蓄電モジュール10の後方に配されるコネクタ50Aのハウジング51,56が示されている。
【0050】
第1ハウジング52には図8および図9に示すように蓄電素子12側に突出し、保持部材30の貫通孔31に重ねて配され、固定部材が挿通される固定部53が設けられている。固定部53には貫通孔31と重なり合って1つの孔を形成する円形孔53Aが貫通して設けられており、最下段の第1保持部材30Aおよび最上段の第5保持部材30Eに設けた固定突部(図示せず)を受け入れる長方形状の固定孔53Bが設けられている。
【0051】
また、第1ハウジング52の図8における左側の内壁部には、第2ハウジング57を嵌合案内するガイド部54が設けられている。第1ハウジング52内には、電圧検知バスバー43の接続部43Bが配されるバスバー配置部55が設けられている。
【0052】
第2ハウジング57は、図11に示すように、右側に端子収容部59を有するとともに、左側にヒューズ装着部58を有する。図14に示すように、端子収容部59およびヒューズ装着部58は、それぞれ、開口部59A,58Aを有している。第2ハウジング57は、端子収容部59の開口部59Aを覆う収容部カバー62と、ヒューズ装着部58の開口部58Aを覆うヒューズカバー60とを有する。
【0053】
第2ハウジング57の側壁(図11の左側壁)には、ヒューズカバー60を係止するカバー係止突部57Aが突出形成されている。また第2ハウジング57の上壁と下壁には、収容部カバー62を係止するカバー係止突部57Aが突出形成されている。ヒューズカバー60には、カバー係止突部57Aに係止される係止孔61が形成されており、収容部カバー62には、カバー係止突部57Aに係止される係止孔63と、電線48が配される電線配置孔64とが形成されている。
【0054】
第2ハウジング57の端子収容部59には、第2中継端子45の雄端子45Bが配されており、この雄端子45Bに雌型端子47が嵌合し、端子収容部59内に配されるようになっている。また、第2ハウジング57の端子収容部59の内壁には、図14に示すように、雄端子45Bと電気的に接続される雌型端子47を係止するランス59Cが形成されている。
【0055】
第2ハウジング57のヒューズ装着部58の内部には、第2中継端子45のヒューズ接続部45Aと、第1中継端子44のヒューズ接続部44Bとが配されるようになっている。第2ハウジング57においては、第1中継端子44とヒューズ40と第2中継端子45とが接続されている。
【0056】
第2ハウジング57は第1中継端子44を、蓄電素子12の積層方向への移動を許容しつつ電圧検知バスバー43と電気的に接続された状態で保持する(第2ハウジング57はハウジングの一例)。
【0057】
雌型端子47は、端子収容部59の内壁に形成されたランス59Cに係止されることにより、端子収容部59内に抜け止め状態で保持されるようになっている。雌型端子47は金属板材を所定の形状をプレス加工してなる。雌型端子47は電線48の端部に接続されている。雌型端子47は、電線48に接続された部分と反対側の位置に、第2中継端子45の雄端子45Bと接続される筒状の端子接続部47Aを備える。端子接続部47Aの内部には、雄端子45Bと弾性的に接触する弾性接触片47Bが配されている。雄端子45Bと弾性接触片47Bとが弾性的に接触することにより、ヒューズ40と雌型端子47とが第2中継端子45を介して電気的に接続されるようになっている。電線48は雌型端子47の2組のバレル部47Cを圧着することにより接続されている。
【0058】
(蓄電モジュール10の組み立て方法)
第1保持部材30Aと第2保持部材30Bとを取り付けた伝熱部材22と、第3保持部材30Cと第4保持部材30Dとを取り付けた伝熱部材22を4つと、第5保持部材30Eと第6保持部材30Fとを取り付けた伝熱部材22と、を用意する。
【0059】
外部接続バスバー36をバスバー保持部35に取り付け、電圧検知バスバー43を検知端子保持部37に保持させる。電圧検知バスバー43の端子接続部43Aを凹部37Aにはめ込むと端子接続部43Aは抜け止め片37Cにより抜け止めされる。電圧検知バスバー43の端子接続部43Aを取付ピン37Bにより取り付けると電圧検知バスバー43は保持部材30に固定される。
【0060】
次に各伝熱部材22に蓄電素子12を載置し、外部接続バスバー36とリード端子14、ならびに電圧検知バスバー43とリード端子14をそれぞれ溶接等の方法により接続し、各蓄電ユニット21を作製する。
【0061】
次に6つの蓄電ユニット21を積層し積層体20を作製する。第1蓄電ユニット21Aの上に、第2蓄電ユニット21Bを4層重ねて、第3蓄電ユニット21Cを重ねる。このとき、積層方向において隣り合う保持部材30の係止部33を係止受け部34に係止させるようにする。
【0062】
本実施形態において、積層方向において隣り合う保持部材30の係止部33と係止受け部34との間には、詳細は図示しないが、隙間が形成されているので、保持部材30は蓄電素子12の積層方向に移動可能である。
【0063】
蓄電ユニット21を積層した後、積層方向において隣り合うリード端子14同士を溶接等の方法により接続し積層体20を作製する。すると保持部材30の貫通孔31が重なり合って1つの孔が形成される。
【0064】
積層体20を作製する工程と同時にあるいは前後して、第2ハウジング57に、第1中継端子44および第2中継端子45を取り付ける。具体的には、第1中継端子44を、第2ハウジング57のヒューズ装着部58の内部に収容する。第2中継端子45のヒューズ接続部45Aを第2ハウジング57のヒューズ装着部58内に配するとともに、第2中継端子45の雄端子45Bを第2ハウジング57の端子収容部59に配する。
【0065】
次に端子収容部59の開口部59Aから雌型端子47を挿入すると雌型端子47がランス59Cに係止されて抜け止めされるとともに、雌型端子47の端子接続部47Aの弾性接触片47Bと雄端子45Bとが弾性的に接触する(図14を参照)。
【0066】
次に、ヒューズ装着部58にヒューズ40を差し込んで装着するとヒューズ40の接続部40Aは、第1中継端子44の音叉端子部44Aに挟まれ、接続部40Bは第2中継端子45のヒューズ接続部45Aと接続される。次に、収容部カバー62を端子収容部59の開口部59Aにかぶせつけて第2ハウジング57に係止させ、ヒューズカバー60をヒューズ装着部58の開口部58Aにかぶせつけて第2ハウジング57に係止させると、第2コネクタ56が得られる。
【0067】
次に、積層体20に第1コネクタ51の第1ハウジング52を取り付ける。第1ハウジング52の固定部53を保持部材30に取り付けると、固定部53の円形孔53Aが保持部材30の貫通孔31と重なり合って1つの孔が形成されるとともに、固定部53の固定孔53Bに最上段に配される保持部材30の固定突部および最下段に配される保持部材30の固定突部がそれぞれはまり込む。また第1ハウジング52のバスバー配置部55には、電圧検知バスバー43の接続部43Bが配される。
【0068】
次に、第2コネクタ56の第2ハウジング57を第1コネクタ51の第1ハウジング52に嵌合させると、第2ハウジング57内に配された第1中継端子44の音叉端子部44Aが第1ハウジング52のバスバー配置部55に配された電圧検知バスバー43の接続部43Bに対して積層方向に移動可能に接続されれる。
【0069】
図23および図24においては、第1中継端子44の音叉端子部44Aが積層方向(上下方向)に移動可能に接続される様子を示している。なお、図23および図24においては第1ハウジング52、第2ハウジング57、外部接続バスバーおよび他の蓄電ユニット21等を省略している。電圧検知バスバー43の接続部43Bに対する第1中継端子44の音叉端子部44Aの位置は、例えば、1つの蓄電ユニット21において、蓄電素子12の厚み寸法が大きい場合に上方に配され、蓄電素子12の厚み寸法が小さい場合に下方に配される。図23に示す第1中継端子44の音叉端子部44Aのほうが図24に示す第1中継端子44の音叉端子部44Aよりも上方に配されている。このように、蓄電素子12の厚み寸法のばらつきを、第1中継端子44の音叉端子部44Aが電圧検知バスバー43の接続部43Bにおいて蓄電素子の積層方向に移動して、その接続位置を調整することにより積層方向における公差を吸収している。
【0070】
第1中継端子44の音叉端子部44Aが第1ハウジング52のバスバー配置部55に配された電圧検知バスバー43の接続部43Bに対し積層方向に移動し、蓄電素子12の積層方向における公差を吸収する。ここで、図25および図27においては、蓄電ユニット21の厚み寸法の合計(積層体20の厚み寸法)が最も大きい場合を示しており、図26および図28においては、蓄電ユニット21の厚み寸法の合計(積層体20の厚み寸法)が最も小さい場合を示している。図25および図27に示すように、積層体20の厚み寸法が最大の場合には積層体20とコネクタ50の上端との間に隙間がないが、図26および図28に示すように積層体20の厚み寸法が小さいと積層体20とコネクタ50の上端との間に隙間Sがある。
【0071】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。
本実施形態によれば、電圧検知バスバー43は蓄電素子12の積層方向に平行に配され、第1中継端子44と接続される接続部43Bを有し、第1中継端子44は、蓄電素子12の積層方向に移動可能な状態で接続部43Bに接続されているので、第1中継端子44が蓄電素子12の積層方向に移動することにより蓄電素子12の積層方向の公差を吸収することができる。
【0072】
その結果、本実施形態によれば、電圧検知バスバー43の接続部43Bを蓄電素子12の積層方向に平行に配される構成とし、第1中継端子44が積層方向に移動可能に接続部43Bに接続されている構成とするだけで、蓄電素子12の積層方向の公差を吸収することができるので、簡易な構成でありながらも蓄電素子12の積層方向の公差を吸収することができる。
【0073】
ところで、蓄電素子12の積層方向への移動を許容されている第1中継端子44が、電圧検知バスバー43との接続位置を超えて移動すると、電圧検知バスバー43との電気的な接続状態が悪化することが懸念される。
【0074】
しかしながら、本実施形態において、コネクタ50は、第1中継端子44の音叉端子部44Aを、蓄電素子12の積層方向への移動を許容しつつ電圧検知バスバー43と電気的に接続された状態で保持する第2ハウジング57を備えているから、第1中継端子44が蓄電素子12の積層方向への移動を許容されつつ電圧検知バスバー43と電気的に接続された状態で保持されるので、第1中継端子44と電圧検知バスバー43との電気的な接続状態を確保することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、コネクタ50には、リード端子14と電気的に接続されるヒューズ40を装着するヒューズ装着部58が設けられているから、ヒューズ40を蓄電素子12のすぐ近くに配置することができるので、過電流の影響が他の蓄電素子12に及び難くなる。
【0076】
さらに、本実施形態によれば、蓄電素子12の積層方向において隣り合う保持部材30は、蓄電素子12の積層方向に移動可能に係止されているから、蓄電素子12の積層方向における公差を吸収することができる。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態ではコネクタ50は、第1中継端子44を蓄電素子12の積層方向への移動を許容しつつ電圧検知バスバー43と電気的に接続された状態で保持するハウジング57を備える構成を示したが、ハウジングを備えない構成であってもよい。
(2)上記実施形態では、リード端子14と電気的に接続されるヒューズ40を装着するヒューズ装着部58が設けられているコネクタ50を示したが、ヒューズ装着部が設けられていないコネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…蓄電モジュール
11…蓄電素子群
12…蓄電素子
14…リード端子
20…積層体
21…蓄電ユニット
21A…第1蓄電ユニット
21B…第2蓄電ユニット
21C…第3蓄電ユニット
30…保持部材
30A…第1保持部材
30B…第2保持部材
30C…第3保持部材
30D…第4保持部材
30E…第5保持部材
30F…第6保持部材
33…係止部
34…係止受け部
37…検知端子保持部
37A…凹部
37B…取付ピン
37C…抜け止め片
40…ヒューズ
43…電圧検知バスバー(接続部材)
43A…端子接続部
43B…接続部
44…第1中継端子(端子部材)
44A…音叉端子部(端子部材)
44B…ヒューズ接続部
45…第2中継端子
47…雌型端子
48…電線
50…コネクタ
51…第1コネクタ
52…第1ハウジング
56…第2コネクタ
57…第2ハウジング
58…ヒューズ装着部
59…端子収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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