(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-213421(P2015-213421A)
(43)【公開日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】無線電力受信装置及びそれを備える電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 17/00 20060101AFI20151030BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
H02J17/00 B
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-86408(P2015-86408)
(22)【出願日】2015年4月21日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0052696
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0120459
(32)【優先日】2014年9月11日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、イン ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ダエ フン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】本発明は、無線電力受信装置及びそれを備える電子機器に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態による無線電力受信装置は、第1共振周波数を有する第1共振回路と、上記第1共振回路と並列に接続され、第2共振周波数を有する第2共振回路と、上記第1共振回路と前記第2共振回路の何れか一方または両方の共振回路で受信した無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1共振周波数を有する第1共振回路と、
前記第1共振回路と並列に接続され、第2共振周波数を有する第2共振回路と、
前記第1共振回路と前記第2共振回路の何れか一方または両方の共振回路で受信した無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、を含む無線電力受信装置。
【請求項2】
前記第1共振回路と前記第2共振回路は直接接続される、請求項1に記載の無線電力受信装置。
【請求項3】
前記第1共振回路と前記第2共振回路はスイッチなしに接続される、請求項1または2に記載の無線電力受信装置。
【請求項4】
前記第1共振周波数での前記第1共振回路のインピーダンスよりも、前記第2共振回路が前記第1共振周波数で大きいインピーダンスを有することに起因して、前記第1共振周波数である前記無線電力の周波数に応じ、前記無線電力が前記第1共振回路を介して前記整流部に供給され、
前記第2共振周波数での前記第2共振回路のインピーダンスよりも、前記第1共振回路が前記第2共振周波数で大きいインピーダンスを有することに起因して、前記第2共振周波数である前記無線電力の周波数に応じ、前記無線電力が前記第2共振回路を介して前記整流部に供給される、請求項1から3の何れか一項に記載の無線電力受信装置。
【請求項5】
前記第1共振回路は、第1キャパシタ、及び前記第1キャパシタと直列に接続された第1コイルを有する、請求項1から4の何れか一項に記載の無線電力受信装置。
【請求項6】
前記第2共振回路は、第2キャパシタ、及び前記第2キャパシタと直列に接続された第2コイルを有する、請求項1から5の何れか一項に記載の無線電力受信装置。
【請求項7】
前記第2共振周波数は前記第1共振周波数の5倍に等しいか、または5倍より大きい、請求項1から6の何れか一項に記載の無線電力受信装置。
【請求項8】
前記第1共振周波数はWPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、
前記第2共振周波数はA4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数である、請求項1から7の何れか一項に記載の無線電力受信装置。
【請求項9】
整流部が配置される第1領域と、
第1コイル、第2コイル、第1キャパシタ、及び第2キャパシタが配置される第2領域と、を含む印刷回路基板を有し、
前記第1コイルの一端は前記整流部と接続され、前記第1コイルの他端は前記第1キャパシタと接続され、
前記第1キャパシタの一端は前記第1コイルと接続され、前記第1キャパシタの他端は前記整流部と接続され、
前記第2コイルの一端は前記整流部と接続され、前記第2コイルの他端は前記第2キャパシタと接続され、
前記第2キャパシタの一端は前記第2コイルと接続され、前記第2キャパシタの他端は前記整流部と接続され、
互いに接続された前記第1コイル及び前記第1キャパシタは、互いに接続された前記第2コイル及び前記第2キャパシタと並列に接続される、無線電力受信装置。
【請求項10】
前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタは前記印刷回路基板の前記第2領域に埋め込まれる、請求項9に記載の無線電力受信装置。
【請求項11】
前記第1コイル及び前記第2コイルは前記印刷回路基板の前記第2領域の同一面に配置される、請求項9または10に記載の無線電力受信装置。
【請求項12】
前記第1コイルは前記第2コイルの内周側に配置される、請求項11に記載の無線電力受信装置。
【請求項13】
前記第1コイルの外周側に前記第2コイルが配置される、請求項11に記載の無線電力受信装置。
【請求項14】
前記第1コイルは前記印刷回路基板の前記第2領域の一の面に配置され、
前記第2コイルは前記印刷回路基板の前記第2領域の他の面に配置される、請求項9または10に記載の無線電力受信装置。
【請求項15】
前記第2コイルと前記第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、前記第1コイルと前記第1キャパシタによって決まる第1共振周波数の5倍と等しいか、または5倍より大きい、請求項9から14の何れか1項に記載の無線電力受信装置。
【請求項16】
前記第1コイルと前記第1キャパシタによって決まる第1共振周波数は、WPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、前記第2コイルと前記第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、A4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数である、請求項9から15の何れか1項に記載の無線電力受信装置。
【請求項17】
第1キャパシタ、第2キャパシタ、及び整流部が配置される第1領域と、
第1コイル及び第2コイルが配置される第2領域と、を含む印刷回路基板を含み、
前記第1コイルの一端は前記整流部と接続され、前記第1コイルの他端は前記第1キャパシタと接続され、
前記第1キャパシタの一端は前記第1コイルと接続され、前記第1キャパシタの他端は前記整流部と接続され、
前記第2コイルの一端は前記整流部と接続され、前記第2コイルの他端は前記第2キャパシタと接続され、
前記第2キャパシタの一端は前記第2コイルと接続され、前記第2キャパシタの他端は前記整流部と接続され、
互いに接続された前記第1コイル及び前記第1キャパシタは、互いに接続された前記第2コイル及び前記第2キャパシタと並列に接続される、無線電力受信装置。
【請求項18】
前記第1コイルと前記第2コイルは前記印刷回路基板の同一面に配置される、請求項17に記載の無線電力受信装置。
【請求項19】
前記第1コイルは前記印刷回路基板の一の面に配置され、
前記第2コイルは前記印刷回路基板の他の面に配置される、請求項17に記載の無線電力受信装置。
【請求項20】
前記第2コイルと前記第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、前記第1コイルと前記第1キャパシタによって決まる第1共振周波数の5倍と等しいか、または5倍より大きい、請求項17から19の何れか1項に記載の無線電力受信装置。
【請求項21】
前記第1コイルと前記第1キャパシタによって決まる第1共振周波数は、WPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、前記第2コイルと前記第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、A4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数である、請求項17から20の何れか1項に記載の無線電力受信装置。
【請求項22】
第1共振周波数を有する第1共振回路と、
前記第1共振回路と並列に接続され、第2共振周波数を有する第2共振回路と、
前記第1共振回路と前記第2共振回路の何れか一方または両方の共振回路で受信した無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、
前記充電電流を受けて前記充電電流により充電される充電池と、を含む、電子機器。
【請求項23】
前記第1共振回路は、第1キャパシタ、及び前記第1キャパシタと直列に接続された第1コイルを有する、請求項22に記載の電子機器。
【請求項24】
前記第2共振回路は、第2キャパシタ、及び前記第2キャパシタと直列に接続された第2コイルを有する、請求項22または23に記載の電子機器。
【請求項25】
前記第2共振周波数は前記第1共振周波数の5倍と等しいか、または5倍より大きい、請求項22から24の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項26】
前記第1共振周波数はWPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、
前記第2共振周波数はA4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数である、請求項22から25の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項27】
それぞれ異なる共振周波数を有する複数の共振回路を有し、無線電力を受けるためにスイッチを使用することなく、前記複数の共振回路のうち、伝送される前記無線電力の周波数と等しい共振周波数を有する何れか1つの共振回路を自動的に動作させる受信部と、
前記受信部で受信した前記無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、
を含む無線電力受信装置。
【請求項28】
前記複数の共振回路のそれぞれは、互いに直列に接続されたコイル及びキャパシタを有する、請求項27に記載の無線電力受信装置。
【請求項29】
前記複数の共振回路は、スイッチを介して接続されることなく直接、互いに並列に接続される、請求項27または28に記載の無線電力受信装置。
【請求項30】
前記複数の共振回路は、
伝送される前記無線電力の前記周波数と等しい共振周波数を有する共振回路をのぞき、伝送される前記無線電力の前記共振周波数で、それぞれ十分に大きいインピーダンスを有し、
伝送される無線電力の前記周波数と等しい前記共振周波数を有する前記共振回路をのぞき、前記複数の共振回路の何れによっても、伝送される前記無線電力が実質的に受信されない、請求項27から29の何れか1項に記載の無線電力受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線で電力を受信する装置及びそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線電力伝送(Wireless Power Transfer)技術は、スマートフォンを始めとする様々な通信機器及び様々な家電機器の充電器分野に幅広く適用される傾向にあり、今後、電気自動車などにも適用され得るなどその活用分野が非常に広い。
【0003】
無線電力伝送技術は、大きく磁気誘導方式と磁気共振方式が開発されている。WPC(Wireless Power Consortium)規格方式による磁気誘導方式は110kHz〜205kHzの周波数を使用し、A4WP(Alliance for Wireless Power)規格方式による磁気共振方式は6.78MHzの周波数を使用している。
【0004】
最近では、磁気誘導方式と磁気共振方式が統合された方式も開発されている。例えば、110kHz〜205kHzの周波数を使用する磁気誘導方式で磁気共振動作を行って遠距離無線充電を実現する技術の開発が成されている。
【0005】
しかしながら、磁気誘導方式を用いると、遠距離無線充電が困難であり、磁気共振方式を用いると、回路が複雑になり、共振周波数が一つに固定されていることにより、無線電力受信に限界があるという問題があった。
【0006】
また、様々な共振周波数の無線電力を受信することができる方案が提案されているが、従来の技術は、共振周波数を選択するためのスイッチなどを使用し、そのため、それを制御するための制御回路が必要であることから回路が複雑になるなど実現性が低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本公開特許公報2010−119193号
【特許文献2】韓国公開特許公報第2013−0102218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態によると、接触充電だけでなく、遠距離無線充電も可能で、様々な共振周波数を有することができ、回路構成も簡単な無線電力受信装置が提供される。
【0009】
本発明の他の一実施形態によると、上記無線電力受信装置を備える電子機器が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の側面において、無線電力受信装置は、第1共振周波数を有する第1共振回路と、第1共振回路と並列に接続され、第2共振周波数を有する第2共振回路と、第1共振回路と第2共振回路の何れか一方または両方の共振回路で受信した無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、を含む。
【0011】
第1共振回路と第2共振回路は直接接続されてよい。
【0012】
第1共振回路と第2共振回路はスイッチなしに接続されてよい。
【0013】
第1共振周波数での第1共振回路のインピーダンスよりも、第2共振回路が第1共振周波数で大きいインピーダンスを有することに起因して、第1共振周波数である無線電力の周波数に応じ、無線電力が第1共振回路を介して整流部に供給され、第2共振周波数での第2共振回路のインピーダンスよりも、第1共振回路が第2共振周波数で大きいインピーダンスを有することに起因して、第2共振周波数である無線電力の周波数に応じ、無線電力が第2共振回路を介して整流部に供給されてよい。
【0014】
第1共振回路は、第1キャパシタ、及び第1キャパシタと直列に接続された第1コイルを有してよい。
【0015】
第2共振回路は、第2キャパシタ、及び第2キャパシタと直列に接続された第2コイルを有してよい。
【0016】
第2共振周波数は第1共振周波数の5倍に等しいか、または5倍より大きくてよい。
【0017】
第1共振周波数はWPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、第2共振周波数はA4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数であってよい。
【0018】
他の側面において、無線電力受信装置は、整流部が配置される第1領域と、第1コイル、第2コイル、第1キャパシタ、及び第2キャパシタが配置される第2領域と、を含む印刷回路基板を有し、第1コイルの一端は整流部と接続され、第1コイルの他端は第1キャパシタと接続され、第1キャパシタの一端は第1コイルと接続され、第1キャパシタの他端は整流部と接続され、第2コイルの一端は整流部と接続され、第2コイルの他端は第2キャパシタと接続され、第2キャパシタの一端は第2コイルと接続され、第2キャパシタの他端は整流部と接続され、互いに接続された第1コイル及び第1キャパシタは、互いに接続された第2コイル及び第2キャパシタと並列に接続される。
【0019】
第1キャパシタ及び第2キャパシタは印刷回路基板の第2領域に埋め込まれてよい。
【0020】
第1コイル及び第2コイルは印刷回路基板の第2領域の同一面に配置されてよい。
【0021】
第1コイルは第2コイルの内周側に配置されてよい。
【0022】
第1コイルの外周側に第2コイルが配置されてよい。
【0023】
第1コイルは印刷回路基板の第2領域の一の面に配置され、第2コイルは印刷回路基板の第2領域の他の面に配置されてよい。
【0024】
第2コイルと第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、第1コイルと第1キャパシタによって決まる第1共振周波数の5倍と等しいか、または5倍より大きくてよい。
【0025】
第1コイルと第1キャパシタによって決まる第1共振周波数は、WPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、第2コイルと第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、A4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数であってよい。
【0026】
他の側面において、無線電力受信装置は、第1キャパシタ、第2キャパシタ、及び整流部が配置される第1領域と、第1コイル及び第2コイルが配置される第2領域と、を含む印刷回路基板を含み、第1コイルの一端は整流部と接続され、第1コイルの他端は第1キャパシタと接続され、第1キャパシタの一端は第1コイルと接続され、第1キャパシタの他端は整流部と接続され、第2コイルの一端は整流部と接続され、第2コイルの他端は第2キャパシタと接続され、第2キャパシタの一端は第2コイルと接続され、第2キャパシタの他端は整流部と接続され、互いに接続された第1コイル及び第1キャパシタは、互いに接続された第2コイル及び第2キャパシタと並列に接続される。
【0027】
第1コイルと第2コイルは印刷回路基板の同一面に配置されてよい。
【0028】
第1コイルは印刷回路基板の一の面に配置され、第2コイルは印刷回路基板の他の面に配置されてよい。
【0029】
第2コイルと第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、第1コイルと第1キャパシタによって決まる第1共振周波数の5倍と等しいか、または5倍より大きくてよい。
【0030】
第1コイルと第1キャパシタによって決まる第1共振周波数は、WPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、第2コイルと第2キャパシタによって決まる第2共振周波数は、A4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数であってよい。
【0031】
他の側面において、電子機器は、第1共振周波数を有する第1共振回路と、第1共振回路と並列に接続され、第2共振周波数を有する第2共振回路と、第1共振回路と第2共振回路の何れか一方または両方の共振回路で受信した無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、充電電流を受けて充電電流により充電される充電池と、を含む。
【0032】
第1共振回路は、第1キャパシタ、及び第1キャパシタと直列に接続された第1コイルを有してよい。
【0033】
第2共振回路は、第2キャパシタ、及び第2キャパシタと直列に接続された第2コイルを有してよい。
【0034】
第2共振周波数は第1共振周波数の5倍と等しいか、または5倍より大きくてよい。
【0035】
第1共振周波数はWPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数であり、第2共振周波数はA4WP(Alliance for Wireless Power)標準周波数であってよい。
【0036】
他の側面において、無線電力受信装置は、それぞれ異なる共振周波数を有する複数の共振回路を有し、無線電力を受けるためにスイッチを使用することなく、複数の共振回路のうち、伝送される無線電力の周波数と等しい共振周波数を有する何れか1つの共振回路を自動的に動作させる受信部と、受信部で受信した無線電力を整流して充電電流を出力する整流部と、を含む。
【0037】
複数の共振回路のそれぞれは、互いに直列に接続されたコイル及びキャパシタを有してよい。
【0038】
複数の共振回路は、スイッチを介して接続されることなく直接、互いに並列に接続されてよい。
【0039】
複数の共振回路は、伝送される無線電力の周波数と等しい共振周波数を有する共振回路をのぞき、伝送される無線電力の共振周波数で、それぞれ十分に大きいインピーダンスを有し、伝送される無線電力の周波数と等しい共振周波数を有する共振回路をのぞき、複数の共振回路の何れによっても、伝送される無線電力が実質的に受信されなくてよい。
【0040】
他の特徴及び側面は後述の記載、図面及び特許請求の範囲から理解されるであろう。
【発明の効果】
【0041】
本発明の一実施形態による無線電力受信装置及び電子機器は、遠距離無線充電が可能であると共に、様々な共振周波数を有することができる。例えば、様々な送信部から送信された様々な共振周波数を有する無線電力を受信することができる本発明の一実施形態による無線電力受信装置を利用することにより、無線充電受信装置の汎用性を確保することができる。また、別途の更なる選択スイッチなしにコイル及びキャパシタのみを用いて具現できるため、回路構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】無線電力受信装置を備える電子機器の構成の一部を示したものである。
【
図2】無線電力受信装置の第1共振周波数と第2共振周波数の関係を説明するためのものである。
【
図3】第1共振周波数を有する無線電力が受信されるときの、
図1の無線電力受信装置の等価回路図を示したものである。
【
図4】第2共振周波数を有する無線電力が受信されるときの、
図1の無線電力受信装置の等価回路図を示したものである。
【
図5】無線電力受信装置の実際の実施の例を示したものである。
【
図6】
図5の無線電力受信装置の第2領域に形成されたコイルの一実施形態を示したものである。
【
図7】
図5及び
図6において無線電力受信装置の第2領域にキャパシタが形成された場合の第2領域の断面を示したものである。
【
図8】
図5の無線電力受信装置の第2領域に形成されたコイルの他の一実施形態を示したものである。
【
図9】
図5の無線電力受信装置の第2領域に形成されたコイルのさらに他の実施形態を示したものである。
【
図10】無線電力受信装置が電子機器に装着された例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の詳細な説明は、ここで説明される方法、装置及び/またはシステムを十分な理解を助けるために提供される。しかしながら、ここで説明される方法、装置及び/またはシステムの様々な変更、修正及び等価物は当業者にとって明らかであろう。説明される処理ステップ及び/または動作のシーケンスは単なる例であり、従って、或る順序で出現することが必要な段階及び/または動作の例外を除いては、動作のシーケンスは、ここでの説明に限定されず、当該技術分野で知られるように変更され得る。また、当業者にとって周知の機能及び構造の説明は、明瞭さ及び簡潔さを高める目的で省略され得る。
【0044】
図面及び詳細な説明を通して、同じ符号は同じ要素を指す。符号の左端の1または複数の桁はその符号が最初に出現した図面を示す。図面は縮尺を変更するものではないかもしれず、図中の要素の相対的なサイズ、比率、及び描写は、明瞭さ、説明、及び簡便性のために誇張されるかもしれない。
【0045】
図1は、無線電力受信装置を備える電子機器の構成を示す。電子機器は無線電力受信装置100及び充電池200を含み、上記無線電力受信装置100は受信部10及び整流部20を含む。
【0046】
以下では、
図1に示したブロックのそれぞれの機能について説明する。
【0047】
図1の例において、受信部10は、2つのコイルL1、L2と2つのキャパシタC1、C2を含み、送信部から伝送された無線電力を受信する。しかしながら、上記コイルとキャパシタの数は変更されてもよい。
図1の例において、コイルL1とキャパシタC1とは直列に接続され、コイルL2とキャパシタC2とは直列に接続される。直列に接続されたコイルとキャパシタ(L1、C1)は、第1共振周波数を有する共振回路を構成し、直列に接続されたコイルとキャパシタ(L2、C2)は、第1共振周波数とは異なる第2共振周波数を有する共振回路を構成する。従って、受信部10は、以下の2つの異なる共振周波数(
【数1】
、
【数2】
)を有することができる。従って、受信部10は、2種類の異なる送信部から伝送された異なる2つの共振周波数を有する2種類の無線電力を、共振動作を介して受信することができる。上記共振周波数(fr1、fr2)は、fr1<<fr2の関係を満たすことができる。
【0048】
図1には、受信部10が2つのコイルL1、L2と2つのキャパシタC1、C2からなるものが例示されているが、受信部10は、3つ以上のコイルと3つ以上のキャパシタを含んでもよく、この場合、3つ以上の共振周波数を有する3種類以上の無線電力を、それぞれ3つ以上の共振動作を介して3つ以上の送信部から受信することができる。
【0049】
整流部20は、受信部10で受信した無線電力を整流して直流電力に変換する。整流部20は、無線電力受信装置100により電力を供給される装置からの電力要求に基づき、必要に応じて上記直流電力の電圧を昇圧または減圧することもできる。
【0050】
充電池200は、上記整流部20から直流電力の供給を受けて、直流電力のエネルギーを貯蔵する。
【0051】
一例において、本発明の一実施形態による無線電力受信装置100を備える電子機器は、上記充電池200に貯蔵されたエネルギーを利用して多様な動作をする。例えば、上記電子機器は、音声通話や無線インターネット接続、及び、携帯端末によって行われる、当業者に知られた他の任意の動作などの様々な動作をすることができるスマートフォン、タブレットPC、ノート型パソコン、PDA(personal digital assistant)などの様々な種類の携帯端末の何れであってもよい。
【0052】
他の例において、無線電力受信装置100を備える電子機器は、無線電力受信装置100と、外部電源から伝送された無線電力を充電し得る充電池200とを備え、外部の機器に電力を供給する電力供給装置である。
【0053】
図2は、無線電力受信装置100の第1共振周波数と第2共振周波数の関係の例を説明する。
図2は、無線電力受信装置の共振周波数と、伝送される無線電力の共振周波数の比による電力伝送効率の例を示したものである。
図2において、ω
0は無線電力受信装置の共振周波数、ω
Aは伝送される無線電力の共振周波数であり、周波数比(Frequency Ratio)はこれらの比を示す。また、伝達率(Transmissibility)(|G(ω
A)|)は電力伝送効率、δは減衰係数(Damping coefficient)を示す。
【0054】
図2から分かるように、減衰係数δに関係なく、ω
A/ω
0が約5になると、伝達率がほぼ0である。即ち、伝送される無線電力の共振周波数ω
Aが無線電力受信装置100の共振周波数ω
0の約5倍になると、実質的に無線電力は無線電力受信装置100に伝達されないことが分かる。言い換えると、第2共振周波数(fr2)が第1共振周波数(fr1)の約5倍になると、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力を伝送する送電コイルと第2共振周波数(fr2)を有する第2共振回路L2、C2の間のカップリングまたは干渉が殆どなく、同様に、第2共振周波数(fr2)を有する無線電力を伝送する送電コイルと第1共振周波数(fr1)を有する第1共振回路L1、C1の間のカップリングまたは干渉が殆どない。従って、本発明の一実施形態における第2共振周波数(fr2)は、カップリングまたは干渉を避けるべく、第1共振周波数(fr1)の5倍に等しいか、または5倍より大きく設定されることができる。
【0055】
一例において、第1共振周波数(fr1)と第2共振周波数(fr2)は、異なる無線電力伝送規格による共振周波数である。例えば、第1共振周波数(fr1)はWPC(Wireless Power Consortium)標準周波数またはPMA(Power Matters Alliance)標準周波数で、第2共振周波数(fr2)はA4WP(Alliance for Wirelses Power)標準周波数であることができる。上記WPC標準周波数は110kHzから205kHzで、上記PMA標準周波数は277kHzから357kHzで、上記A4WP標準周波数は6.78MHzである。従って、無線電力受信装置100を用いると、共振周波数を選択するスイッチを制御することなく、様々な規格で伝送される無線電力を全て受信することができる。
【0056】
図3は、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力が受信されるときの、
図1の無線電力受信装置の等価回路図の例を示したものである。
【0057】
図3を参照して、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力が受信されるときの、無線電力受信装置の動作を以下に説明する。
【0058】
上述したように、
【数3】
、
【数4】
及びfr1<<fr2である。第1共振周波数(fr1)を有する無線電力が受信されるとき、第1共振周波数fr1での第2コイルL2のインピーダンスの大きさ(ω1・L2)(ここで、ω1=2π・fr1)は、第1共振周波数fr1での第2キャパシタC2のインピーダンスの大きさ(1/(ω1・C2))に比べると、無視できる程度に小さい。従って、
図1の第2コイルL2と第2キャパシタC2は、
図3に示したように、等価容量特性C2を有する。
【0059】
また、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力が受信されるとき、第1コイルL1と第1キャパシタC1の合成インピーダンスは極めて小さい値(理想的には、0)になるため、第1コイルL1と第1キャパシタC1の合成インピーダンスと比較して、第2キャパシタC2のインピーダンスは極めて大きい値になる。従って、第1コイルL1及び第1キャパシタC1と並列に接続された第2キャパシタC2は開回路であるとみることができ、第2キャパシタC2は第1コイルL1及び第1キャパシタC1の共振回路に影響を与えなくなる。
【0060】
よって、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力が受信されるとき、無線電力受信装置の受信部10は、第1コイルL1及び第1キャパシタC1のみで構成されたものとみることができ、その結果、受信部10は共振動作によって、共振周波数fr1を有する上記無線電力を受信することができる。
【0061】
図4は、第2共振周波数(fr2)を有する無線電力が受信されるときの、
図1の無線電力受信装置の等価回路図を示したものである。
【0062】
図4を参照して、第2共振周波数(fr2)を有する無線電力が受信されるときの、無線電力受信装置100の動作を以下に説明する。
【0063】
上述したように、
【数5】
、
【数6】
、及びfr1<<fr2である。第2共振周波数(fr2)を有する無線電力が受信されるとき、第2共振周波数fr2での第1キャパシタC1のインピーダンスの大きさ(1/(ω2・C1))(ここで、ω2=2π・fr2)は、第2共振周波数fr2での第1コイルL1のインピーダンスの大きさ(ω2・L1)に比べると、無視できる程度に小さい。従って、
図1の第1コイルL1と第1キャパシタC1は、
図4に示したように、等価誘導特性L1を有する。
【0064】
また、第2共振周波数(fr2)を有する無線電力が受信されるとき、第2コイルL2と第2キャパシタC2の合成インピーダンスは極めて小さい値(理想的には、0)になるため、第2コイルL2と第2キャパシタC2の合成インピーダンスと比較して、第1コイルL1のインピーダンスは相対的に極めて大きい値になる。従って、第2コイルL2及び第2キャパシタC2と並列に接続された第1コイルL1は開回路であるとみることができ、第1コイルL1は第2コイルL2及び第2キャパシタC2の共振回路に影響を与えなくなる。
【0065】
よって、第2共振周波数(fr2)を有する無線電力が受信されるとき、無線電力受信装置の受信部10は、第2コイルL2及び第2キャパシタC2のみで構成されたものとみることができ、その結果、受信部10は共振動作によって、共振周波数fr2を有する上記無線電力を受信することができる。
【0066】
図3及び
図4では、本発明の一実施形態による無線電力受信装置100が第1共振周波数(fr1)または第2共振周波数(fr2)を有する無線電力を受信した場合を、それぞれ例に挙げて説明したが、本発明の一実施形態による無線電力受信装置100は、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力と第2共振周波数(fr2)を有する無線電力を同時に受信することもできる。この場合、第1共振周波数(fr1)を有する無線電力は受信部10の第1コイルL1と第1キャパシタC1を介して受信され、第2共振周波数(fr2)を有する無線電力は受信部10の第2コイルL2と第2キャパシタC2を介して受信される。
【0067】
図5は、無線電力受信装置100の実際の実施の例を示したものである。この例の無線電力受信装置100は、集積回路及び電子部品などが実装される第1領域40、及びコイルなどが実装される第2領域50を含む印刷回路基板(Printed Circuit Board、PCB)を備える。
【0068】
この例では、無線電力受信装置100(
図1参照)の整流部20(
図1参照)は、上記第1領域40に配置される。整流部20(
図1参照)は、一つのチップ状として実施されることができる。
【0069】
無線電力受信装置100(
図1参照)の受信部10(
図1参照)の第1コイルL1及び第2コイルL2は、第2領域50に形成される。
【0070】
無線電力受信装置100(
図1参照)の受信部10(
図1参照)の第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は、第1領域40に配置されてもよく、第2領域50に形成されてもよい。上記第1キャパシタC1及び上記第2キャパシタC2が第2領域50に配置される場合、上記第1キャパシタC1及び上記第2キャパシタC2は、上記印刷回路基板の内部に埋め込まれる(embedding)形態に形成されてもよい。
【0071】
図6は、
図5の無線電力受信装置100の第2領域50に形成されたコイルの一実施形態を示したものである。
【0072】
図6に示したように、第1コイルL1は、第1コイルL1と同じ印刷回路基板の同じ表面に配置される第2コイルL2から間隔dだけ離れて、その内側に配置される。
図6の例では、第1コイルL1が第2コイルL2の内周側に、第2コイルL2が第1コイルL1の外周側に配置される場合が示されているが、第1コイルL1と第2コイルL2の配置は変わってもよい。
【0073】
また、
図6の例では、第1コイルL1と第2コイルL2が円形である場合が例示されているが、第1コイルL1と第2コイルL2は他の形状を有してもよい。
【0074】
図7は、
図5及び
図6の無線電力受信装置100の第2領域50の断面の例を示したものであって、無線電力受信装置100の第2領域50に形成されたキャパシタの一実施形態を示したものである。
【0075】
図7の例では、第2領域50には、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2が配置され、印刷回路基板(PCB)の内部に埋め込まれている。埋め込まれた第1キャパシタC1は、対応するビアホール(via)を介して第1コイルL1と整流部20(
図1参照)との間に接続され、埋め込まれた第2キャパシタC2は、対応するビアホール(via)を介して第2コイルL2と整流部20(
図1参照)との間に接続されている。しかしながら、第1キャパシタC1が第1コイルL1と直列に、第2キャパシタC2が第2コイルL2と直列に接続される限りにおいて、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2は
図7に図示された位置に限定される。
【0076】
代わりに、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は、第2領域50ではなく、第1領域40に配置されてもよい。
【0077】
図8及び
図9は、
図5の無線電力受信装置100の第2領域50に形成されたコイルの他の一実施形態を示したものである。
【0078】
図8の例では、第1コイルL1と第2コイルL2は、同じPCB基板の表面の左右に並列配置される。
【0079】
また、
図9の例では、第1コイルL1と第2コイルL2が印刷回路基板の異なる面、例えば、印刷回路基板の一の面と他の面に配置される。
【0080】
第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は第1領域40または第2領域50に配置されてもよく、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2が第2領域50に配置される場合、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は、
図7及び
図9に示したように、印刷回路基板(PCB)の内部に埋め込まれることができる。
【0081】
図10は、無線電力受信装置100が装着された電子機器300を示したものであり、
図10における200は充電池である。
【0082】
図10に示したように、無線電力受信装置100は、電子機器300の背面に装着される。無線電力受信装置100の端子と電子機器300の端子が互いに接続できる位置に無線電力受信装置100を配置することにより、無線電力受信装置100が受信した無線電力が充電池200に供給されることができる。
【0083】
図10には、本発明の一実施形態による無線電力受信装置100が電子機器300の背面に装着される場合が例示されているが、無線電力受信装置100は、様々な方法で電子機器300に装着されるか、接続されることができる。例えば、電子機器300が別途のポート(例えば、USBポート、または、電力を受信可能な他のポートなど)を備え、無線電力受信装置100が上記ポートに接続される形態に具現されてもよい。
【0084】
さらに、無線電力受信装置100は、充電池200と一体型に具現されてもよく、電子機器300と一体型に具現されてもよい。
【0085】
以上では、本発明の一実施形態による無線電力受信装置が2つのコイルと2つのキャパシタで構成される場合を例に挙げて説明したが、コイルとキャパシタの数は3つ以上であってもよく、この場合、無線電力受信装置は、3つ以上の異なる共振周波数を有する3種類以上の無線電力を3つ以上の共振動作により受信することができる。
【0086】
本発明の一実施形態による無線電力受信装置は、それぞれのコイル及びキャパシタの直列回路の出力側の接続をそれぞれ制御するための別途のスイッチなしに自動的に送信された無線電力の共振周波数に同期化されたコイル及びキャパシタの直列回路のみが活性化され、活性化されたコイル及びキャパシタの直列回路を介して受信した無線電力が整流部に伝達される。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0088】
100 無線電力受信装置
200 充電池
10 受信部
20 整流部