【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収穫機の特徴構成は、
植立穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部にて刈り取られた刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する搬送装置とが備えられ、
前記搬送装置は、
穀稈搬送用の搬送ケースと、前記搬送ケースの内部に架設されて動力が伝達される回転軸と、前記回転軸の軸芯方向に間隔をあけて備えられ且つ前記回転軸に連結固定部を介して一体回転自在に連結固定された一対の回転体と、一対の前記回転体に巻回され穀稈搬送方向に沿って延びる一対の無端回動体と、一対の前記無端回動体にわたって横向きに架設される複数の搬送部材と、一対の前記連結固定部を覆い且つ前記回転軸に一体回転自在に支持された一対のカバーとを備えている点にある。
【0008】
本発明によれば、一対の回転体の夫々に対応する連結固定部の外方側が全周にわたってカバーにより覆われるので、連結固定部にて作物が引っ掛かるおそれがない。しかも、カバーは回転軸と一体的に回転するので、回転体により連れ回る作物が存在していても、その作物は、回転体とカバーとの間の隙間に作物が引っ掛かるおそれは少ない。
【0009】
従って、搬送される作物が回転体の横側箇所で堆積するのを回避することができ、収穫した作物を搬送する搬送装置が長期にわたり良好な搬送作動を行えるようにすることが可能となった。
【0010】
本発明においては、前記回転体に、前記カバーの端部が入り込み係合する係合溝が形成されていると好適である。
【0011】
本構成によれば、カバーの端部が回転体に形成された係合溝の入り込み係合するので、カバーと回転体とが軸芯方向に重複するので、それらの間の隙間に作物が挟み込まれるおそれが少ないものになる。
【0012】
本発明においては、前記係合溝は、前記回転体の側面に形成されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、回転体の側面に係合溝が形成されていると、カバーの端部が係合溝に対して回転軸の軸芯方向に沿って入り込み係合することになる。そうすると、回転体の側面とカバーとの間には軸芯方向に沿う隙間が無い状態となる。回転体に連れ回る作物は、その稈身が回転体の側面に沿う状態で連れ回りすることが多いが、このような作物が回転体の側面に沿って入り込もうとしても、回転体とカバーとの間には軸芯方向に沿う隙間が無いので、引っ掛かるおそれが少ない。
【0014】
本発明においては、前記一対の前記連結固定部の夫々が、一対の前記回転体が互いに向かい合う内側に位置する状態で備えられ、前記係合溝は、一対の前記回転体が互いに向かい合う内側の側面に形成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、連結固定部を覆うカバーが、一対の回転体が互いに向かい合う内側に位置する状態で備えられることになり、回転体の内側の側面に形成された係合溝にカバーの端部が入り込み係合することになる。
通常は、一対の回転体同士の間の方が、夫々の回転体と搬送ケースとの間よりも間隔が広いので、上記したように、一対の連結固定部の夫々が、一対の前記回転体が互いに向かい合う内側に位置する状態で備えられるので、回転体を回転軸に取り付けし易いものになる。そして、係合溝が一対の回転体が互いに向かい合う内側の側面に形成されるので、回転体とカバーとの軸芯方向に沿う隙間を少なくすることができ、作物が引っ掛かるおそれは少ない。
【0016】
従って、回転体の回転軸への組付けがし易いものでありながら、搬送される作物が回転体の横側箇所で堆積するのを良好に回避することができる。
【0017】
本発明においては、前記回転体に前記回転軸に対して外嵌されるボス部が形成され、前記係合溝は前記ボス部の外周面に形成されていると好適である。
【0018】
本構成によれば、回転体は、それに形成されたボス部が回転軸に対して外嵌されて、そのボス部に備えられた連結固定部を介して一体回転自在に回転軸に連結固定される。そして、ボス部の外周面に形成された係合溝に対して、カバーの端部が径方向に沿って入り込み係合する。
【0019】
カバーが径方向に入り込み係合することで、稈身がボス部の外周面に沿う状態で連れ回りする作物が、回転体とカバーとの間に引っ掛かるおそれが少ないものとなり、しかも、カバーの端部が径方向に沿って入り込み係合するので、カバーが軸芯方向に沿って位置ずれするのを防止することができ、カバーにより連結固定部の外方側を全周にわたって覆う状態を維持し易いものとなる。
【0020】
本発明においては、前記カバーは周方向で複数の分割カバー体に分割可能であると好適である。
【0021】
本構成によれば、カバーは、複数の分割カバー体同士を連結することで、連結固定部を覆う一体的なカバーとなる。そして、複数の分割カバー体は、周方向で分割されるので、複数の分割カバー体同士の連結を解除することで、回転軸の外周部からそのまま径方向外方に取り外すことができる。
【0022】
つまり、刈取作業を行うときは、複数の分割カバー体同士を連結固定して一体的なカバーとして機能するものでありながら、修理点検等のメンテナンス作業を行うときは、カバーを回転軸の軸芯方向に抜き外す等の煩わしい操作が不要であり、作業が行い易いものになる。
【0023】
本発明においては、前記カバーは2個の分割カバー体に分割可能であると好適である。
【0024】
本構成によれば、刈取作業を行うときは2個の分割カバー体は連結固定されて一体的なカバーとして機能する。このようにカバーが2分割される構成であれば、例えば、分割面同士の接続箇所が一致するような形状として、夫々の分割カバー体を同一構造のものを用いることが可能であり、同一構造の分割カバー体を2つ用いることにより、部材の共用化により作製工程の手間を少なくすることが可能となる。
【0025】
本発明においては、前記複数の分割カバー体は、夫々に形成されたフランジ部同士を連結して固定されていると好適である。
【0026】
本構成によれば、複数の分割カバー体をフランジ連結により固定するので、連結用の繋ぎ部材等を別途用意して分割カバー体を連結する場合に比べて簡単な構造でカバーを一体化することができる。
【0027】
本発明においては、前記カバーは、前記連結固定部を覆う被覆部と、前記回転軸に外挿される軸外挿部とを備えていると好適である。
【0028】
本構成によれば、カバーの被覆部によって連結固定部の外方側が覆われ、カバーの軸外挿部によって回転軸に一体回転自在に支持されることになる。
【0029】
本発明においては、前記カバーは周方向で複数の分割カバー体に分割可能であり、前記複数の分割カバー体は、前記被覆部及び前記軸外挿部の夫々に形成されたフランジ部同士を連結して固定されていると好適である。
【0030】
連結固定部の外方側を覆うために大径に形成される被覆部と、回転軸に外挿される小径の軸外挿部の夫々にフランジ部が形成され、夫々のフランジ部同士を連結することにより、複数の分割カバー体が連結固定される。
【0031】
その結果、被覆部がフランジ連結により強固に一体的に連結されることにより、連結固定部の外方側を良好に覆うことができ、軸外挿部がフランジ連結により強固に一体的に連結されることにより、回転軸に安定的に支持することができる。
【0032】
本発明においては、一対の前記カバー同士に亘って延び且つ前記各カバーと一体回転する巻付き防止体が備えられていると好適である。
【0033】
本構成によれば、一対の回転体夫々の連結固定部の外方側を覆うために備えられるカバーを利用して巻付き防止体が備えられる。この巻付き防止体は、回転軸よりも大径のカバーに備えられるので、回転軸の外周面よりも径方向外方側に位置する状態で回転することになる。その結果、巻付き防止体は、小径の回転軸に比べてその外周部に作物が巻き付いて付着堆積するおそれは少ない。
【0034】
巻付き防止体は、カバーと一体回転するので、作物が巻付き防止体とカバーとの間の隙間に入り込んで引っ掛かるおそれが少なく、そのことに起因して作物が堆積するおそれも少ない。
【0035】
従って、回転軸の外周部に作物が巻き付いたり、部材同士の隙間に作物が引っ掛かること等に起因して、短期間で作物が堆積して搬送作動が良好に行えなくなるといった不利を回避し易いものになる。
【0036】
本発明においては、前記巻付き防止体が前記回転軸の径方向に沿う姿勢の板状体にて形成されていると好適である。
【0037】
本構成によれば、複数の搬送部材によって搬送される作物が回転軸やカバーの外周部に近付こうとした場合、回転軸の径方向に沿う姿勢の板状体からなる巻付き防止体によって、その作物が径方向外方に跳ね飛ばされたり、板状体による風によって外周側に吹き飛ばされたりして、回転軸やカバーの外周部に近づくことを回避させることが可能となる。
【0038】
長尺の作物の茎稈が回転軸やカバーに巻き付こうとしても、巻付き防止体によって径方向外方側に大きく引き離されるように案内されるので巻き付きを回避させることが可能となる。
【0039】
その結果、作物の巻き付きを回避することが可能であり、搬送作動に伴って作物が堆積するおそれが少ないものとなった。
【0040】
本発明においては、前記カバーは周方向で複数の分割カバー体に分割可能であり、前記巻付き防止体が、前記分割カバー体同士により挟持して支持されていると好適である。
【0041】
本構成によれば、巻付き防止体が、径方向に沿う分割面にて分割された複数の分割カバー体同士により挟持した状態で支持される。このように分割される複数の分割カバーを利用して、巻付き防止体を支持するので、専用の取付部材を設ける等の構成の複雑化を招くことなく、簡易な構造で巻付き防止体を支持することができる。
【0042】
本発明においては、前記巻付き防止体が、一対の前記カバー同士に亘って延びる円筒状体にて形成されていると好適である。
【0043】
本構成によれば、巻付き防止体は、回転軸の外径よりも大径で且つ一対のカバー同士に亘って延びる円筒状体にて形成される。このように構成することで、巻付き防止体の構成を簡素化することができ、カバーを分割式に構成しなくても、巻付き防止体を容易に装着することができる。
【0044】
又、巻付き防止体を円筒状体にて形成するにあたり、例えば、軸芯方向に沿って軸芯方向全幅に亘るスリットを形成するとともに弾性変形自在な部材で構成すれば、搬送ケースに対して駆動軸が既に組付けられていても、巻付き防止体を径方向に沿って装着したり取外したりすることができ、組み付け作業や取り外し作業は行う易いものになる。
【0045】
本発明においては、一対の前記カバーの夫々に円筒状の支持部が形成され、前記巻付き防止体が、一対の前記カバー夫々の前記支持部にて支持されていると好適である。
【0046】
本構成によれば、円筒状体からなる巻付き防止体が、一対のカバー夫々に形成された円筒状の支持部にて支持される。このように一対のカバーを利用して巻付き防止体を支持するようにしたので、専用の取付部材を設ける等の構成の複雑化を招くことなく、簡易な構造で巻付き防止体を支持することができる。