【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、
刈取穀稈を脱穀フィードチェーンにより搬送しながら脱穀処理する脱穀装置と、
刈取部で刈り取った刈取穀稈を前記脱穀フィードチェーンに向けて搬送する穀稈搬送装置と、
枕扱き作業時に作業者が手動で穀稈を前記脱穀装置に供給するための枕扱き穀稈供給部と、
前記枕扱き穀稈供給部に備えられて、手動での穀稈の供給を可能にする規制解除状態と手動での穀稈の供給を規制する規制状態とに切り換え自在な規制部材と、
前記規制部材が前記規制状態であるか前記規制解除状態であるかを検出する検出センサと、
前記検出センサが前記規制状態を検出すると刈取作業用の運転状態になり、前記検出センサが前記規制解除状態を検出すると枕扱ぎ用の運転状態になるように、前記脱穀装置の駆動速度を制御する脱穀制御部とが備えられ、
前記穀稈搬送装置を支持するフレーム体に、前記検出センサを支持する支持部材が連結固定され、
前記規制部材が、横向き軸芯周りで揺動自在に前記支持部材に支持され、且つ、前記軸芯周りでの揺動により前記規制状態と前記規制解除状態とに切り換わるように構成されている点にある。
【0008】
本発明によれば、手動操作により規制部材が規制解除状態に切り換えられ、検出センサがそのことを検出すると、脱穀制御部は枕扱ぎ用の運転状態になるように脱穀装置の駆動速度を制御する。つまり、作業者が枕扱ぎ作業を行う場合、例えば、刈取作業用の運転状態における駆動速度よりも低速で駆動される等、脱穀フィードチェーンが枕扱ぎに適した運転状態で駆動される。
【0009】
規制部材が規制状態であれば、手動で穀稈を枕扱き穀稈供給部に供給することができないので、枕扱き作業時には、作業者は常に規制部材を規制解除状態に切り換える必要がある。その結果、枕扱き作業時においては、枕扱ぎ用の運転状態にて脱穀装置が駆動されるので、作業を良好に行うことができる。
【0010】
穀稈搬送装置を支持するフレーム体に連結固定されている支持部材により検出センサが支持され、規制部材は、横向き軸芯周りで揺動自在に支持部材に支持されている。このように検出センサ及び規制部材が穀稈搬送装置側に支持されているので、脱穀装置側に備える場合に比べて強い振動が作用しないので不具合を起こすおそれが少ないものになって、耐久性の向上を図ることができる。
【0011】
しかも、検出センサ及び規制部材は、フレーム体に直接に支持されるのではなく、フレーム体に連結固定された支持部材に支持される。このように支持部材を追加して検出センサ及び規制部材を支持する構成とすることで、穀稈搬送装置を支持するために大型の部材となるフレーム体に特別な加工を施さなくても、穀稈供給の規制に適した位置に規制部材を備えることができ、しかも、規制部材の状態を検出するのに適した位置に検出センサを備えることができる。
【0012】
従って、枕扱ぎ作業の際には、枕扱ぎ作業に適した運転状態で脱穀装置を作動させることにより作業を良好に行うことができるものでありながら、耐久性の向上を図ることが可能となり、しかも、合理的な支持構造により簡単な構造改良で対応することができる。
【0013】
本発明においては、前記規制部材を前記規制状態に向けて揺動付勢する付勢手段が備えられていると好適である。
【0014】
本構成によれば、規制部材は付勢手段により規制状態に向けて揺動付勢されるから、枕刈り作業が行われていないときには、付勢手段の付勢力により規制部材を的確に規制状態に維持することができる。
【0015】
本発明においては、前記付勢手段は、前記規制部材が所定揺動位置を越えて前記規制解除状態側へ揺動すると、前記規制部材を前記規制解除状態に向けて揺動付勢する状態で設けられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、規制部材を規制状態から規制解除状態側へ揺動して所定揺動位置を越えると、付勢手段により規制解除状態に向けて揺動付勢される。つまり、一つの付勢手段により、規制部材を規制状態と規制解除状態との夫々において位置保持することができる。
【0017】
本発明においては、前記枕扱き穀稈供給部に、枕扱き作業時に作業者が手動で供給する穀稈を受け止め案内する受止め台と、前記穀稈搬送装置から搬送される刈取穀稈を上方から押え案内する案内杆とが備えられ、
前記受止め台及び前記案内杆の夫々が、機体前部側の横向き軸芯周りで揺動自在に、前記支持部材に支持されていると好適である。
【0018】
本構成によれば、枕扱ぎ作業時には、手作業で供給する穀稈を受止め台にて受止め案内しながら安定した姿勢で脱穀装置に供給することができる。刈取部による刈取作業時には、穀稈搬送装置から搬送される刈取穀稈を案内杆により上方から押え案内しながら良好に脱穀装置に向けて受渡し搬送することができる。
【0019】
又、受止め台及び案内杆の夫々が、機体前部側の横向き軸芯周りで揺動自在に支持部材に支持されるので、例えば、メンテナンス作業時等において、受止め台及び案内杆の夫々を機体前部側の横向き軸芯周りで上方に揺動させることができ、受止め台や案内杆が作業の邪魔になることがなく、作業が行い易いものになる。
【0020】
本発明においては、前記規制部材が、前記受止め台の揺動軸芯と同一軸芯周りで揺動自在に支持されていると好適である。
【0021】
本構成によれば、規制部材と受止め台とが同一軸芯周りで揺動自在に支持される。従って、揺動軸芯を共用することにより、支持構造を簡素なものにすることができる。
【0022】
本発明においては、前記規制部材が、前記規制状態において、前記受止め台に受止め支持されて下限位置が規定されていると好適である。
【0023】
本構成によれば、規制部材は、規制状態に切り換えられると、受止め台に受止め支持されてそれ以上の下方揺動が阻止されて下限位置が規定される。
【0024】
従って、枕扱ぎ作業が行われていないときは、規制部材が規制状態になると、受止め台に対して上方側から接当して、受止め台を位置保持する押え部材を兼用することができる。
【0025】
本発明においては、前記規制部材は、前記受止め台よりも機体横外側に設けられていると好適である。
【0026】
本構成によれば、規制部材は、受止め台よりも機体横外側に位置するので、枕扱ぎ作業時には、手作業で姿勢切り換えするときは、機体横外方側に居る作業者から近い位置に規制部材が位置することになり、作業が行い易いものになる。
【0027】
本発明においては、前記支持部材は、前記刈取部で刈り取られて後方に搬送される刈取穀稈の搬送経路の上方近傍箇所に位置し且つ穀稈送り方向に沿う形態で設けられていると好適である。
【0028】
本構成によれば、支持部材は、刈取穀稈の搬送経路の上方近傍箇所に位置し且つ穀稈送り方向に沿う形態で設けられるので、穀稈送り方向に沿って長尺状に設けることにより、刈取穀稈の搬送を阻害することなく、規制部材を穀稈の供給を規制する規制作用に適した位置に設けることが可能となる。
【0029】
本発明においては、前記規制部材を切り換え操作するための手動操作部が、前記規制部材に一体的に連結された状態で備えられていると好適である。
【0030】
本構成によれば、規制部材に一体的に手動操作部が備えられるので、作業者は、この手動操作部を手で持って規制部材の姿勢切り換え操作を行うことができる。規制部材は、穀稈の供給を規制するのに適した位置に設けられるが、手動操作部を規制部材とは異なる操作し易い位置に備えることができ、規制部材を手で持って操作するのに比べて操作性の向上を図ることが可能となる。