(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-21383(P2015-21383A)
(43)【公開日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】グラウンドおよびロックアンカー
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20150106BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-146840(P2014-146840)
(22)【出願日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】13177343.4
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510092915
【氏名又は名称】エフ.ヨット.アシュヴァンデン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F.J.Aschwanden AG
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】トマ ケレ
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GA01
2D041GB01
2D041GC02
2D041GC12
2D041GC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドリル穴内での定着およびアンカー体での定着が最適に実行され、製造が簡単なグラウンドおよびロックアンカーを提供する。
【解決手段】長手方向に安定した可撓性の引張部材1中に引張部材1が一方の端部区域4で固定されるアンカー体2、および引張部材1がもう一方の端部区域6で保持されるアンカーヘッド装置を備える、グラウンドおよびロックアンカー3。前記アンカー体は、地盤中または岩盤中のドリル穴に導入され、そこで定着されるように設計される。長手方向に安定した可撓性の引張部材1はアンカー体2内に固定される少なくとも一方の端部区域4に少なくとも一つの第一のループ5を備える。アンカー体2は、硬化性組成物によって形成される実質的に角柱形または円筒形の長手状の本体8であり、それによって、長手方向に安定した可撓性の引張部材1の少なくとも一つの第一のループ5が取り囲まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に安定した可撓性の引張部材(1)、中に引張部材(1)が一方の端部区域(4)で固定されるアンカー体(2)、および引張部材(1)がもう一方の端部区域(6)で保持されているアンカーヘッド装置(16)を備え、該アンカー体(2)が地盤中または岩盤中のドリル穴(15)内に導入され、そこで定着されるように設計された、グラウンドおよびロックアンカーであって、長手方向に安定した可撓性の引張部材(1)がアンカー体(2)内に固定された少なくとも一方の端部区域(4)において少なくとも一つの第一のループ(5’、5’’、5’’’)を備え、および、アンカー体(2)が硬化性組成物によって形成される実質的に角柱形または円筒形の長手状の本体(8)であり、それによって、長手方向に安定した可撓性の引張部材(1)の少なくとも一つの第一のループ(5’、5’’、5’’’)が取り囲まれていることを特徴とする、グラウンドおよびロックアンカー。
【請求項2】
長手方向に安定した可撓性の引張部材(1)が繊維強化プラスチック材料で作製されることを特徴とする、請求項1に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項3】
長手方向に安定した可撓性の引張部材(1)が、複数の層からなり、アンカー体(2)内に固定される一方の端部区域(4)において、各層または層の束が、いずれの場合にも、分離した第一のループ(5’、5’’、5’’’)を形成し、その分離した第一のループ(5’、5’’、5’’’)が各々異なる長さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項4】
アンカー体(2)が作製される硬化性組成物がモルタル系組成物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項5】
アンカー体(2)の表面(10)が構造物(11)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項6】
構造物(11)が、アンカー体(2)の表面(10)上に突出したリブ(12)からなり、そのリブは引張部材(1)およびアンカー体(2)に作用する力の引っ張る方向に対してほぼ横断方向に向いていることを特徴とする、請求項5に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項7】
アンカー体(2)が引張リング(13)によって少なくともその長さのサブ区域において取り囲まれていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項8】
引張部材(1)の入口区域において、引張リング(13)がアンカー体(2)内に配置されることを特徴とする、請求項8に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項9】
引張リング(13)が、アンカー体(2)内の引張部材(1)の第一のループ(5’、5’’、5’’’)の端部区域に各々配置されることを特徴とする、請求項7または8に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項10】
引張部材(1)のもう一方の端部区域(6)が第二のループ(7)の形態を取ることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項11】
引っ張る方向に対して横断方向に配置されたボルト(19)がアンカーヘッド装置(16)内に備えられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項12】
第二のループ(7)がボルト(19)上に据えられることを特徴とする、請求項11に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【請求項13】
ボルト(19)が、アンカーヘッド装置(16)内に配置された張力装置内に取り付けられることを特徴とする、請求項11または12に記載のグラウンドおよびロックアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に安定した可撓性の引張部材、中に引張部材が一方の端部区域で固定されるアンカー体、および引張部材がもう一方の端部で保持されているアンカーヘッド装置を備える、グラウンドおよびロックアンカーに関するものであり、アンカー体は地盤中または岩盤中のドリル穴に導入され、そこで定着されるように設計されている。
【背景技術】
【0002】
そのようなグラウンドおよびロックアンカーは、特に、安定化すべき地盤および岩塊の表面区域において、アンカー体によって吸収されるべき力をより深部にある安定した土層に導入することによって、勾配および岩盤の表面を安定化させることに役立つ。アンカー体からより深部にある土層へとこれらの力を移動させるために、従来、より深い土層に定着される、棒またはワイヤストランドから形成された引張部材が使用される。この目的のため、これらの棒またはワイヤストランドは、対応するドリル穴に注入されたモルタル組成物を使用して固定される。アンカーヘッド装置によって引張部材に張力をかけることが可能であり、一方、上で支持部分が支持されているアンカープレートによって表面土または岩塊を適切に安定化させることができる。
【0003】
そのようなグラウンドおよびロックアンカーは永久使用を意図するものであり、すなわち、グラウンドおよびロックアンカーの対応する構成部品は特に腐食に対して保護されなければならないことを意味する。この目的のために、様々な方法が公知であり、例えば、引張部材をプラスチックシース内に挿入するか、または、引張部材をやはり、例えばグリースで充填したプラスチックパイプ内に収容することがある。
【0004】
腐食防止されたそのようなグラウンドおよびロックアンカーの製造は比較的複雑であり、特に、また、そのようなグラウンドおよびロックアンカーを設置した状態でテストして、腐食が生じるか、そのようなグラウンドおよびロックアンカーの強度に何が極めてマイナスな作用を有するのかを確証することが必要である。そのようなモニタリング作業は例えば耐性測定による公知の方法で実行されるが、それもまた複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根本的な問題は、製造が簡単なグラウンドおよびロックアンカーを提供することであり、また、それによって特にドリル穴内での定着および同様にアンカー体での定着が最適に実行され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、この問題は、長手方向に安定した可撓性の引張部材が、アンカー体内に固定された少なくとも一方の端部区域に少なくとも一つの第一のループを備えていること、および、そのアンカー体が硬化性組成物で形成された、実質的に角柱形または円筒形の長手状の本体であり、それによって、長手方向に安定した可撓性の引張部材の少なくとも一つの第一のループが取り囲まれていることによって解決される。
【0007】
アンカー体内に固定される長手方向に安定した可撓性の引張部材の少なくとも一つの第一のループを有するアンカー体は、あらかじめ作製されており、したがって、アンカー体におけるこのループの固定が最適であることが保証されている。硬化性組成物から形成され、固定された引張部材を有するこの長手状の本体は、ドリル穴に挿入され、さらにドリル穴に硬化性組成物を注入することによって、長手状の本体はドリル穴の底部で定着され、最適に保持される。
【0008】
長手方向に安定した可撓性の引張部材は、繊維強化プラスチック材料、好ましくは炭素繊維強化プラスチック材料によって有利に作製され、それによって腐食を排除できる。そのような引張部材は、さらに、曲げやすいという利点を有する。すなわち、可撓性の引張部材はグラウンドおよびロックアンカーの輸送のために例えば巻き上げることができ、したがって、そのようなロックアンカーの長さ方向の広がりについて空間を節約する。長手方向に安定した可撓性の引張部材の巻き上げまたは曲げの可能性によって、空間要件は、グラウンドおよびロックアンカーの挿入時にドリル穴の正面に最小量だけの空間が必要であることになる。
【0009】
有利には、長手方向に安定した可撓性の引張部材は、複数の層からなり、アンカー体内に固定されている一方の端部区域において、各層または一束の層はいずれの場合にも分離した第一のループを形成し、その分離した第一のループは各々異なる長さを有する。これにより、この引張部材をアンカー体内に漸進的に固定することができ、それによって、定着および力の吸収が著しく改善される。
【0010】
本発明のさらに有利な構成は、アンカー体が作製される硬化性組成物が、モルタル系組成物であるということにある。このモルタル系組成物を、可撓性の引張部材の一方の端部区域が挿入された鋳型内に流し込むことができ、それによって、硬化後のモルタル系組成物と可撓性引張部材の第一のループとの間の固定的接着が確実になる。
【0011】
有利には、アンカー体の表面は、アンカー体が製造され、かつ第一のループが鋳造される鋳型内で用意され得る構造物を備えており、それによって、アンカー体の表面とドリル穴内に注入された硬化性組成物との間に最適な接着が生じる。
【0012】
有利には、構造物は、アンカー体の表面上に突出するリブからなり、そのリブは引張部材およびアンカー体に作用する力の引っ張る方向に対してほぼ横断方向に向いており、それによって最適な固定がなされる。
【0013】
本発明のさらに有利な構成は、アンカー体が少なくともその長さのサブ区域において引張リングによって取り囲まれていることからなる。これらの引張リングは、モルタル系組成物から硬化した長手状の本体がこれらの区域で破断するのを防ぐ。
【0014】
有利には、ある一つの引張リングは、引張部材のアンカー体内への入口区域での力の吸収が極めて大きいので、この区域に配置される。
【0015】
有利には、これらの引張リングは、アンカー体内の引張部材の第一のループの端部区域において破断のリスクがその最大であるので、これらの区域に各々配置される。
【0016】
本発明のさらに有利な構成は、引張部材のもう一方の端部を第二のループとして形成することからなる。その結果、引張部材はエンドレスループとして製造され得、これがその強度に良好な効果をもたらす。
【0017】
有利には、アンカーヘッド装置内に、引っ張る方向に対して横断方向に配置されたボルトが備えられており、その上に引張部材の第二のループを単純に据えつけると、引張部材をアンカーヘッド装置内で最適に保持させることができる。
【0018】
ボルトは、アンカーヘッド装置内に配置された張力装置内に取り付けられ、それによって、ボルトを移動させることによってより大きいまたは小さい範囲で引張部材に簡単に張力をかけることができる。
【0019】
本発明の一実施態様は、例として下記の添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】アンカー体に挿入したグラウンドおよびロックアンカーの引張部材の三次元表示を示す図である。
【
図2】複数の第一のループおよび第二のループを有する引張部材の三次元表示を示す図である。
【
図3】
図5の線III−IIIに沿った、引張部材および引張リングが挿入されたアンカー体の断面図を示す図である。
【
図4】
図5の線IV−IVに沿った、引張部材および引張リングが挿入されたアンカー体の断面図を示す図である。
【
図5】
図4の線V−Vに沿った、引張部材が挿入されたアンカー体の断面図を示す図である。
【
図6】基層に挿入されたときの、本発明によるグラウンドおよびロックアンカーを示す図である。
【
図7】基層に挿入されたときの、本発明によるグラウンドおよびロックアンカーの断面図を示す図である。
【
図8】挿入された状態のアンカーヘッド装置の断面図を示す図である。
【
図9】基層に挿入されたときの、引張部材が挿入されたアンカー体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、グラウンドおよびロックアンカー3の長手方向に安定した可撓性の引張部材1とアンカー体2とを図示している。この引張部材1の一方の端部区域4はアンカー体2内に固定されている。アンカー体2は、硬化性組成物、特にモルタル系組成物からなり、アンカー体2と引張部材1との間の接着は、引張部材1の一方の端部区域4が、硬化性組成物によって充填された鋳型または型枠内に挿入されることによって実現される。この組成物の硬化後、鋳型またはシェルを除去することができ、引張部材の一方の端部区域4が中に固定され最適に保持されている、アンカー体2が得られる。このアンカー体2は、この例示的実施態様では長手状の本体8によって形成されており、その形状は円筒形である。この長手状の本体8が角柱状またはその他の適した形状であることも実現可能であることは言うまでもない。この場合、引張部材1の一方の端部区域4は第一のループ5の形状を取り、さらに下記に説明するように、引張部材1は複数の第一のループ5を備え得る。
【0022】
引張部材1のもう一方の端部区域6は第二のループ7の形状を取り、それは下記に詳細に記載するように、アンカーヘッド装置(図示せず)内にしっかり固定できる。
【0023】
図2は、長手方向に安定した可撓性の引張部材1を図示したものである。この引張部材1は、繊維強化プラスチック材料、好ましくは炭素繊維強化プラスチック材料で形成されるが、ガラス繊維強化プラスチック材料または他の適した強化プラスチック材料でも実現可能である。この引張部材1を製造するために、炭素繊維強化プラスチック材料の複数の層を使用することができるが、これらの層の各々または層の束はエンドレスループを形成する。最も内側の層または層の束は第一のループ5’を形成し、第二または中央の層または層の束は第一のループ5’’を形成し、最も外側の層または層の束は第一のループ5’’’を形成し、これらの三つの第一のループ5’、5’’、5’’’は異なる長さを有する。第二のループ7の区域でこれらの層は全部重ねられ、それによって、単一の第二のループ7を形成する。引張部材1の中央区域で、ループを形成する全ての層は重ねられるように配置される。これらの層の各々はバンドを形成し、したがって、引張部材1の中央区域9は複数の重ねられたバンドからなる。これらのバンドはその長さ全体をラミネート加工されるか、または、複数のゾーンにおいて交互にラミネート加工されるだけでもよい。グラウンドおよびロックアンカーを適用する態様に応じて、他の数の層またはループを選択することができるのは言うまでもない。また、層は重ねられて、および/または互いに隣り合わせて配置することができ、その結果、長さの異なるループを互いに隣り合わせて配置することも実現可能である。加えて長いループには収縮性を備えることもできる。
【0024】
図3および4は、アンカー体2を形成する長手状の本体8を図示している。
図4は、特に、長手状の本体8を形成する硬化性組成物に埋め込まれたものとして第一のループ5’、5’’、5’’’を図示している。第一のループ5’、5’’、5’’’のこの配置によって、モルタル系組成物によって形成された、長手状の本体8内での最適な固定が確実にされる。従来、公知の高強度のモルタル系組成物が使用される。このモルタル系組成物は、また、その強化追加のため繊維性材料と公知の方法で混合され得る。
【0025】
図3および4で同様に明らかなように、アンカー体2を形成する長手状の本体8の表面10はその表面10上に突出した構造物11を備える。ここで図示した例示的な実施態様では、これらの構造物11はリブ12の形状を取り、引張部材1に作用する力の引っ張る方向に対してほぼ横断方向に向いており、例えば、らせん状に伸びるリブ12の形態を取る。これらの構造物11またはリブ12は鋳造鋳型の表面内に組み込まれており、鋳造プロセスを使用する長手状の本体8の製造時に、これらは長手状の本体の表面10上に再現される。
【0026】
第一のループ5’、5’’、5’’’の端部区域内および引張部材1のアンカー体2内への入口区域内で、長手状の本体8は、いずれの場合にも、下記にさらに詳細に記載するように、引張リング13によって取り囲まれている。これらの引張リング13は、特に、引張部材1のアンカー体2内への入口区域内および第一のループ5’、5’’、5’’’の区域内において長手状の本体8を補強するのに役立つ。これらの区域では、グラウンドおよびロックアンカーが装着されるときモルタル系組成物の破断の危険性をそれによって最小化する。
【0027】
図5はアンカー体2を形成する長手状の本体8の横断面を図示している。モルタル系組成物から構成されるこの長手状の本体8には、第一のループ5’または5’’ または5’’’が埋め込まれている。引張リング13はいずれの場合にも、上述したように、ループの端部区域において長手状の本体8の周囲にはめ込まれている。同様に炭素繊維強化プラスチック材料から構成され得るこの引張リング13は、第一のループ5’、5’’、5’’’の区域において長手状の本体8を取り囲み、これらの区域におけるモルタル系組成物の破断が防止され、したがって、アンカー体2を補強するのに役立つ。
図5は、また、長手状の本体8の表面10上に突出したリブ12を図示している。
【0028】
図6および7は、安定化すべき基層14内に挿入された本発明によるグラウンドおよびロックアンカー3を図示している。この目的で、引張部材1のアンカー体2を有する一方の端部区域4が、基層14内のドリル穴15内に導入される。挿入の目的で、公知の方法で、例えば長手状の本体8をドリル穴15内へと押すための棒のような補助器具を使用できる。アンカー体2のドリル穴15内での正確な位置決定後、公知の方法で硬化性組成物がアンカー体2およびドリル穴15の壁の周囲の空洞内へと注入され、ひとたびこの充填材料が硬化したならば、アンカー体2と基層14との間に最適な接着が実現される。
【0029】
第二のループ7の形態を取る、グラウンドおよびロックアンカー3のもう一方の端部区域6は、アンカーヘッド装置16内にしっかりと固定され、下記に見られるように、張力装置の形態を取る。挿入されたそのようなグラウンドおよびロックアンカー3は、70mまたはそれ以上の長さを有し得る。そのような長さでは、引張部材1を複数の部分にさらに分割して、連結手段を使用してそれらを接合させることが便利であり、それにより取扱いを単純にし得る。長手状の本体8は、軽く6mの長さを有することがあり、それによって、安定化すべき基層14のドリル穴15内での最適な定着が実現され得る。
【0030】
図8はアンカーヘッド装置16を図示しており、それによって、グラウンドおよびロックアンカー3の引張部材1のもう一方の端部区域6が保持されている。アンカーヘッド装置16は、二つの長手状のスロット18を備える支持用スターラップ17から構成される。ボルト19がこれらの長手状のスロット18に挿入される。引張部材1の第二のループ7は、このボルト19上に据えつけられる。ボルト19は、長手状のスロット18の方向で引張部材1の第二のループ7と一緒に張力をかけられることができる。このために、締め付けねじ20が備えられており、これはボルト19内へとねじ留めされ、支持用スターラップ17で支持されている。これによって、望まれる張力まで引張部材1に簡単に張力をかけることが可能である。支持用スターラップ17は、傾斜を吸収する、対応して形成された支持部分21に支持され、前記支持プレートは、例えばコンクリートから構成され得る、更なるプレート22上に配置されており、それによって基層は表面区域で安定化される。アンカーヘッド装置16は、公知であるが図示していない方法で腐食から保護されている。
【0031】
図9は、また、グラウンドおよびロックアンカー3の長手状の本体8および基層に定着されたアンカー体2とともに一方の端部区域4を図示している。ドリル穴15を通して案内された引張部材1は、自由なままにしてもよいが、適切な硬化性組成物によってドリル穴を先端まで充填することも実現可能である。
【0032】
そのようなグラウンドおよびロックアンカーは製造するのが簡単であり、安定化すべき基層内へのアンカー体を介した力の導入は最適であり、引張部材はいかなる腐食も受けず、したがって、対応する検査の手間を省くことができる。そのようなグラウンドおよびロックアンカーは、簡単に基層に挿入され、また、引張部材が可撓性であり巻き上げることができるので、それによって空間を大きく節約するので、簡単に輸送することもできる。加えて、引張部材はまたその重量が極めて小さいことで際立っている。引張部材は適切に寸法を決定され、どのような力が吸収される必要があるかに応じて、バンドをより広くおよび/またはより厚くすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 引張部材
2 アンカー体
3 グラウンドおよびロックアンカー
4 端部区域
5 第一のループ
6 端部区域
7 第二のループ
8 長手状の本体
11 構造物
13 引張リング
16 アンカーヘッド装置
17 支持用スターラップ
18 スロット
19 ボルト
【外国語明細書】