特開2015-214242(P2015-214242A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214242(P2015-214242A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/03 20060101AFI20151106BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20151106BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   B60R16/02 670S
   B60R16/02 670J
   H02M3/155 H
   H02M3/155 K
   H02P9/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-97975(P2014-97975)
(22)【出願日】2014年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】角野 裕
【テーマコード(参考)】
5H590
5H730
【Fターム(参考)】
5H590AA02
5H590CA23
5H590CE05
5H590FA08
5H590HA02
5H590JA08
5H730AA14
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB57
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FD61
5H730FF09
5H730FG12
5H730FG26
(57)【要約】
【課題】変圧の効率を一定効率以上に維持することができ、変圧回路が高温になることがない電源システムを提供する。
【解決手段】電源システム1では、変圧回路20は、発電機として機能するオルタネータ11が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧をバッテリ12及び負荷13に出力する。DC/DCコンバータ10の制御部26は、変圧回路20が行っている変圧の効率を算出する。発電制御部14は車両の走行に関する走行情報を取得する。発電制御部14及び制御部26は、算出した変圧の効率と、取得した走行情報とに基づいてオルタネータ11が発生する発電電圧を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、該発電機が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧を出力する変圧回路とを備え、車両に搭載される電源システムにおいて、
前記変圧回路が行っている変圧の効率を算出する効率算出手段と、
前記車両の走行に関する走行情報を取得する取得手段と、
前記効率算出手段が算出した効率、及び、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて、前記発電機が発生する発電電圧を調整する調整手段と
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記調整手段は、前記効率算出手段が算出した効率の高/低に応じて高/低となる前記発電電圧の上限電圧を設定し、設定した上限電圧以下の範囲にて、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて前記発電電圧を調整するように構成してあること
を特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記調整手段は、
前記効率算出手段が算出した効率が所定効率未満であるか否かを判定する判定手段と、
前記取得手段が取得した走行情報に基づいて電圧を設定する設定手段と
を有し、
前記判定手段が前記所定効率未満であると判定した場合に、前記発電電圧を、前記設定手段が設定した設定電圧よりも低い電圧に調整するように構成してあること
を特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記変圧回路に入力されている電力を算出する入力電力算出手段と、
前記変圧回路から出力されている電力を算出する出力電力算出手段と
を備え、
前記効率算出手段は、該出力算出手段が算出した電力を、前記入力電力算出手段が算出した電力で除することによって前記効率を算出するように構成してあること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電源システム。
【請求項5】
発電機と、該発電機が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧を出力する変圧回路とを備え、車両に搭載される電源システムにおいて、
前記変圧回路周辺の温度を検出する温度検出手段と、
前記車両の走行に関する走行情報を取得する取得手段と、
前記温度検出手段が検出した温度、及び、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて、前記発電機が発生する発電電圧を調整する調整手段と
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項6】
前記調整手段は、前記温度検出手段が検出した温度の高/低に応じて低/高となる前記発電電圧の上限電圧を設定し、設定した上限電圧以下の範囲にて、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて前記発電電圧を調整するように構成してあること
を特徴とする請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記調整手段は、
前記温度検出手段が検出した温度が所定温度以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記取得手段が取得した走行情報に基づいて電圧を設定する設定手段と
を有し、
前記判定手段が前記所定温度以上であると判定した場合に、前記発電電圧を、前記設定手段が設定した設定電圧よりも低い電圧に調整するように構成してあること
を特徴とする請求項5に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機が発生した電圧が変圧回路によって変圧され、変圧された電圧が変圧回路から出力される電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの車両には、車両が減速する場合に車両の運動エネルギーから交流の回生電力に変換し、変換した交流の回生電力を直流の回生電力に整流し、整流した直流の回生電力に係る直流電圧を発電電圧として出力するオルタネータ(発電機)が搭載されている。
【0003】
このようなオルタネータは、車両が一定速度で走行している状況、車両が加速している状況、及び、車両が減速している状況等に応じて異なる発電電圧を出力する。一方で、オルタネータによって給電されるランプ又はワイパー等の負荷には、安定した動作を行わせるため、所定の電圧を出力し続ける必要がある。
【0004】
特許文献1には、負荷に所定の電圧を出力することができる電源システムが開示されている。この電源システムでは、変圧回路がオルタネータの発電電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷に出力する。このため、オルタネータの発電電圧の変動に無関係に負荷に所定の電圧を出力し続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−270330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オルタネータから出力されている種々の発電電圧を所定の電圧に変圧する変圧回路は、通常、コイルと、一端が該コイルの一端に接続してあるスイッチング素子とを備え、該スイッチング素子のオン/オフを繰り返すことによって、変圧回路は変圧を行う。このような変圧回路が行う変圧の効率は、オルタネータによって入力される電圧の高/低に応じて低/高となる。これは、入力電圧が高い程、スイッチング素子がオフである場合にスイッチング素子の両端間に印加されている電圧が高く、スイッチング素子のオン/オフの切替えで生じる電力の損失、所謂スイッチング損失が大きいからである。
【0007】
以上のように、変圧回路に入力される電圧の高/低に応じて変圧の効率が低/高となるので、車両の走行状況に応じてオルタネータが発電電圧を変更し、変圧回路がオルタネータの発電電圧を所定の電圧に変圧する従来の電源システムでは、変圧回路が行う変圧の効率が著しく低くなる可能性がある。変圧の効率が著しく低い場合、多量のエネルギーが熱として消費されるため、変圧回路が発熱して高温になる虞がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、変圧の効率を一定効率以上に維持することができ、変圧回路が高温になることがない電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源システムは、発電機と、該発電機が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧を出力する変圧回路とを備え、車両に搭載される電源システムにおいて、前記変圧回路が行っている変圧の効率を算出する効率算出手段と、前記車両の走行に関する走行情報を取得する取得手段と、前記効率算出手段が算出した効率、及び、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて、前記発電機が発生する発電電圧を調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、変圧回路は、発電機が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧を例えば負荷に出力する。変圧回路が行っている変圧の効率を算出し、車両の走行に関する走行情報を取得する。算出した変圧の効率と、取得した走行情報とに基づいて、発電機が発生する発電電圧を調整する。
【0011】
例えば、変圧回路が行う変圧の効率が低い場合に発電電圧を低下させることによって、変圧の効率を一定効率以上に維持することが可能となる。この場合、変圧回路から放出される熱の量が少ないため、変圧回路が高温になることはない。
【0012】
本発明に係る電源システムは、前記調整手段は、前記効率算出手段が算出した効率の高/低に応じて高/低となる前記発電電圧の上限電圧を設定し、設定した上限電圧以下の範囲にて、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて前記発電電圧を調整するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、算出した変圧の効率の高/低に応じて高/低となる発電電圧の上限電圧を設定する。そして、設定した上限電圧以下の範囲において、取得した走行情報に基づいて発電電圧を調整する。具体的には、取得した走行情報に基づいて設定した電圧が上限電圧以上である場合には、発電電圧を上限電圧に調整し、取得した走行情報に基づいて設定した電圧が上限電圧未満である場合には、発電電圧を、設定した電圧に調整する。
これより、変圧の効率が一定効率以上に確実に維持される。
【0014】
本発明に係る電源システムは、前記調整手段は、前記効率算出手段が算出した効率が所定効率未満であるか否かを判定する判定手段と、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて電圧を設定する設定手段とを有し、前記判定手段が前記所定効率未満であると判定した場合に、前記発電電圧を、前記設定手段が設定した設定電圧よりも低い電圧に調整するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、算出した効率が所定効率未満であるか否かを判定する。算出した効率が所定効率未満であると判定した場合、発電電圧を、取得した走行情報に基づいて設定した設定電圧よりも低い電圧に設定する。
このため、簡単な構成で変圧の効率を一定効率以上に維持することが可能となる。
【0016】
本発明に係る電源システムは、前記変圧回路に入力されている電力を算出する入力電力算出手段と、前記変圧回路から出力されている電力を算出する出力電力算出手段とを備え、前記効率算出手段は、該出力算出手段が算出した電力を、前記入力電力算出手段が算出した電力で除することによって前記効率を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、変圧回路に入力されている電力と変圧回路から出力されている電力とを算出する。変圧回路から出力されている電力を、変圧回路に入力されている電力で除する。
これにより、変圧の効率が正確に算出される。
【0018】
本発明に係る電源システムは、発電機と、該発電機が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧を出力する変圧回路とを備え、車両に搭載される電源システムにおいて、前記変圧回路周辺の温度を検出する温度検出手段と、前記車両の走行に関する走行情報を取得する取得手段と、前記温度検出手段が検出した温度、及び、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて、前記発電機が発生する発電電圧を調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、変圧回路は発電機が発生した発電電圧を変圧し、変圧した電圧を例えば負荷に出力する。変圧回路周辺の温度を検出し、車両の走行に関する走行情報を取得する。検出した温度と、取得した走行情報とに基づいて、発電機が発生する発電電圧を調整する。
【0020】
例えば、変圧回路周辺の温度が高い場合、即ち、変圧回路が行っている変圧の効率が低い場合に発電電圧を低下させることによって変圧の効率を一定効率以上に維持することが可能となる。この場合、変圧回路から放出される熱の量が少ないため、変圧回路が高温になることはない。
【0021】
本発明に係る電源システムは、前記調整手段は、前記温度検出手段が検出した温度の高/低に応じて低/高となる前記発電電圧の上限電圧を設定し、設定した上限電圧以下の範囲にて、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて前記発電電圧を調整するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、検出した温度の高/低に応じて低/高となる発電電圧の上限電圧を設定する。そして、設定した上限電圧以下の範囲において、取得した走行情報に基づいて発電電圧を調整する。具体的には、取得した走行情報に基づいて設定した電圧が上限電圧以上である場合には、発電電圧を上限電圧に調整し、取得した走行情報に基づいて設定した電圧が上限電圧未満である場合には、発電電圧を、設定した電圧に調整する。
これより、変圧の効率が一定効率以上に確実に維持される。
【0023】
本発明に係る電源システムは、前記調整手段は、前記温度検出手段が検出した温度が所定温度以上であるか否かを判定する判定手段と、前記取得手段が取得した走行情報に基づいて電圧を設定する設定手段とを有し、前記判定手段が前記所定温度以上であると判定した場合に、前記発電電圧を、前記設定手段が設定した設定電圧よりも低い電圧に調整するように構成してあることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、検出した温度が所定温度以上であるか否か、言い換えると、変圧の効率が所定効率未満であるか否かを判定する。検出した温度が所定温度以上である、即ち、変圧の効率が所定効率未満であると判定した場合、発電電圧を、取得した走行情報に基づいて設定した電圧よりも低い電圧に設定する。
このため、簡単な構成で変圧の効率を一定効率以上に維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、効率が高い変圧を実現することができ、変圧回路が高温になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】制御部が実行する上限電圧設定処理を示すフローチャートである。
図3】発電制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2における制御部が実行する効率調整処理を示すフローチャートである。
図5】発電制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図7】制御部が実行する上限電圧設定処理を示すフローチャートである。
図8】実施の形態4における制御部が実行する効率調整処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。この電源システム1は、車両に好適に搭載され、DC/DCコンバータ10、オルタネータ11、バッテリ12、負荷13及び発電制御部14を備える。DC/DCコンバータ10は第1端、第2端及び第3端を有する。DC/DCコンバータ10において、第1端はオルタネータ11の一端に接続され、第2端はバッテリ12の正極と、負荷13の一端とに接続され、第3端は発電制御部14に接続されている。オルタネータ11及び負荷13夫々の他端と、バッテリ12の負極とは接地されている。
【0028】
オルタネータ11は、発電機として機能し、エンジンと連動して発電する。具体的には、オルタネータ11は、交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に整流し、整流した直流電力に係る直流電圧を発電電圧としてDC/DCコンバータ10に出力する。また、オルタネータ11は、車両が減速する場合、車両の運動エネルギーを回生電力に変換する。従って、車両が減速する場合においては、前述した交流電力は、車両の運動エネルギーを変換することによって得られる交流の回生電力である。
【0029】
オルタネータ11には、発電制御部14から、オルタネータ11が発電すべき発電電圧が示されている発電情報が入力される。オルタネータ11は、入力されている発電情報が示す発電電圧をDC/DCコンバータ10に出力する。
オルタネータ11は、例えば車両がアイドリングストップすることによって、エンジンが停止している場合、発電を停止している。
【0030】
DC/DCコンバータ10は、オルタネータ11が発電している間、オルタネータ11が発生した発電電圧を一定の目標電圧に変圧し、該目標電圧をバッテリ12及び負荷13に出力する。また、DC/DCコンバータ10は、オルタネータ11が発電していない場合、変圧を停止する。更に、DC/DCコンバータ10は、オルタネータ11が発電する発電電圧の上限電圧を示す電圧情報を発電制御部14に出力する。
【0031】
バッテリ12は例えば鉛蓄電池である。バッテリ12の出力電圧は、DC/DCコンバータ10が出力する目標電圧よりも低い。従って、DC/DCコンバータ10が作動している場合、目標電圧がバッテリ12に印加され、バッテリ12は電力を蓄える。DC/DCコンバータ10が停止している場合、バッテリ12は蓄えた電力を負荷13に供給する。
【0032】
負荷13はライト又はワイパー等の車載機器である。DC/DCコンバータ10が作動している場合、負荷13には、DC/DCコンバータ10によって目標電圧が印加される。これにより、負荷13は給電される。また、負荷13は、DC/DCコンバータ10が停止している間、バッテリ12によって給電される。
【0033】
発電制御部14には、DC/DCコンバータ10から電圧情報が入力される。更に発電制御部14は、外部から、電源システム1が搭載されている車両の走行に関する走行情報を取得する。走行情報は、車速を示す情報、ブレーキペダルの踏み込み量を示す情報、及び、アクセルペダルの踏み込み量を示す情報の少なくとも1つを含む。発電制御部14は、DC/DCコンバータ10から入力された電圧情報と、外部から取得した走行情報とに基づいて、オルタネータ11が発電すべき発電電圧を設定し、設定した発電電圧を示す発電情報をオルタネータ11に出力する。発電制御部14は取得手段として機能する。
【0034】
DC/DCコンバータ10は、変圧回路20、入力電圧検出部21、出力電圧検出部22、入力電流検出部23、出力電流検出部24、記憶部25及び制御部26を有する。変圧回路20は入力端、出力端及び接続端を有する。変圧回路20の入力端はオルタネータ11の一端に接続され、変圧回路20の出力端はバッテリ12の正極と負荷13の一端とに接続されている。変圧回路20の接続端は制御部26に接続されている。
【0035】
入力電圧検出部21は変圧回路20の入力端と制御部26とに各別に接続され、出力電圧検出部22は変圧回路20の出力端と制御部26とに各別に接続されている。制御部26は、変圧回路20、入力電圧検出部21及び出力電圧検出部22の他に、発電制御部14、入力電流検出部23、出力電流検出部24及び記憶部25に各別に接続されている。
【0036】
変圧回路20の入力端にはオルタネータ11の発電電圧が入力される。変圧回路20は図示しないコイルと、一端が該コイルの一端と接続している図示しないスイッチング素子とを有しており、変圧回路20が有するスイッチング素子は制御部26によってオン/オフされる。制御部26がこのスイッチング素子のオン/オフを繰り返した場合、変圧回路20は、入力端に入力されている電圧を目標電圧に変圧し、該目標電圧を出力端からバッテリ12及び負荷13に出力する。より具体的には、変圧回路20は、入力端に入力されている16ボルト、24ボルト又は42ボルト等の電圧を、目標電圧、例えば13.5ボルトに降圧し、該目標電圧を出力端から出力している。
【0037】
制御部26は、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフを繰り返す場合、該スイッチング素子のオフからオンへの切替えを周期的に行う。制御部26は、1周期に対するスイッチング素子のオン期間の割合、所謂デューティを調整することによって、出力電圧検出部22が検出した出力電圧が目標電圧となるように、変圧回路20の入力端に入力されている電圧の降圧幅を調整する。
制御部26が変圧回路20におけるスイッチング素子のオン/オフの繰り返しを停止した場合、例えば、該スイッチング素子をオフに維持した場合、変圧回路20は変圧を停止する。
【0038】
入力電圧検出部21は変圧回路20の入力端に入力されている入力電圧を検出する。入力電圧検出部21が検出した入力電圧は、制御部26によって入力電圧検出部21から読込まれる。
出力電圧検出部22は変圧回路20の出力端から出力されている出力電圧を検出する。出力電圧検出部22が検出した出力電圧は、制御部26によって出力電圧検出部22から読込まれる。
【0039】
入力電流検出部23は、変圧回路20の入力端に入力されている入力電流を検出する。入力電流検出部23が検出した入力電流は、制御部26によって入力電流検出部23から読込まれる。
出力電流検出部24は、変圧回路20の出力端から出力されている出力電流を検出する。出力電流検出部24が検出した出力電流は、制御部26によって出力電流検出部24から読込まれる。
【0040】
記憶部25は、変圧回路20が行う変圧の効率に対応付けて、発電電圧の上限電圧となり得る候補電圧を記憶している。低い変圧の効率には低い候補電圧が対応付けられており、高い変圧の効率には高い候補電圧が対応付けられている。記憶部25に記憶されている内容は制御部26によって読み出される。
【0041】
制御部26はオルタネータ11が発電しているか否かを判定する。制御部26は、例えば、入力電圧検出部21が検出した入力電圧が所定の電圧以上である場合にオルタネータ11が発電していると判定し、入力電圧検出部21が検出した入力電圧が所定の電圧未満である場合にオルタネータ11が発電していないと判定する。
【0042】
また、制御部26は、例えば、入力電流検出部23が検出した入力電流が所定の電流以上である場合にオルタネータ11が発電していると判定し、入力電流が所定の電流未満である場合にオルタネータ11が発電していないと判定してもよい。
更に、例えば、制御部26に、オルタネータ11が発電しているか否かを示す情報が入力されており、制御部26は入力されている該情報に基づいてオルタネータ11が発電しているか否かを判定してもよい。オルタネータ11が発電しているか否かを示す情報は、イグニッションスイッチのオン/オフを示す情報、又は、車両がアイドリングストップしているか否かを示す情報等である。
【0043】
制御部26は、オルタネータ11が発電していると判定した場合、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフを繰り返すことによって、変圧回路20に変圧を行わせ、オン/オフのデューティを調整することによって変圧回路20が出力端から出力する電圧を目標電圧に調整する。
【0044】
制御部26は、以上に述べた処理を行うと共に、オルタネータ11が発生する発電電圧の上限電圧を設定する上限電圧設定処理を実行する。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間に上限電圧設定処理を実行する。
【0045】
図2は制御部26が実行する上限電圧設定処理を示すフローチャートである。制御部26は、まず、入力電圧検出部21から入力電圧を読込み(ステップS1)、入力電流検出部23から入力電流を読込む(ステップS2)。そして、制御部26は、ステップS1で読込んだ入力電圧と、ステップS2で読込んだ入力電流とから、変圧回路20に入力されている入力電力を算出する(ステップS3)。入力電力は入力電圧及び入力電流の積によって算出される。制御部26は入力電力算出手段として機能する。
【0046】
次に、制御部26は、出力電圧検出部22から出力電圧を読込み(ステップS4)、出力電流検出部24から出力電流を読込む(ステップS5)。そして、制御部26は、ステップS4で読込んだ出力電圧と、ステップS5で読込んだ出力電流とから、変圧回路20から出力されている出力電力を算出する(ステップS6)。出力電力は出力電圧及び出力電流の積によって算出される。制御部26は出力電力算出手段としても機能する。
【0047】
次に、制御部26は、ステップS6で算出した出力電力をステップS3で算出した入力電力で除することによって、変圧回路20が行っている変圧の効率を算出する(ステップS7)。これにより、制御部26は、変圧回路20が行っている変圧の効率を正確に算出することができる。制御部26は効率算出手段としても機能する。
【0048】
その後、制御部26は、ステップS7で算出した効率に基づいて、オルタネータ11が発生する発電電圧の上限電圧を設定する(ステップS8)。具体的には、制御部26は、ステップS7で算出した効率に対応付けられている候補電圧を読み出し、読み出した候補電圧を上限電圧に設定する。前述したように、低い変圧の効率には低い候補電圧が対応付けられており、高い変圧の効率には高い候補電圧が対応付けられているため、制御部26は、ステップS8において、ステップS7で算出した効率の高/低に応じて高/低となる発電電圧の上限電圧を設定する。制御部26は調整手段の一部としても機能する。
【0049】
次に、制御部26は、ステップS8で設定した上限電圧を示す電圧情報を発電制御部14に出力し(ステップS9)、上限電圧設定処理を終了する。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間、上限電圧設定処理を繰り返し実行する。
【0050】
図3は発電制御部14が実行する動作の手順を示すフローチャートである。発電制御部14は、まず、DC/DCコンバータ10の制御部26から電圧情報が自身に入力されたか否かを判定する(ステップS11)。発電制御部14は、電圧情報が入力されていないと判定した場合(S11:NO)、処理をステップS11に戻し、制御部26から電圧情報が入力されるまで待機する。
【0051】
発電制御部14は、電圧情報が入力されたと判定した場合(S11:YES)、外部から走行情報を取得したか否かを判定する(ステップS12)。発電制御部14は、走行情報を取得していないと判定した場合(S12:NO)、処理をステップS12に戻し、走行情報を取得するまで待機する。
【0052】
発電制御部14は、走行情報を取得したと判定した場合(S12:YES)、DC/DCコンバータ10の制御部26から入力された電圧情報が示す上限電圧以下の範囲において、外部から取得した走行情報に基づいて、オルタネータ11が発生すべき発電電圧を設定する(ステップS13)。
【0053】
具体的には、発電制御部14は、まず、外部から取得した走行情報に基づいて設定電圧を設定する。このとき、発電制御部14は、例えば、アクセルペダルが踏み込まれておらず、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれている状態で車速が低下している場合、車両の運動エネルギーを効率的に回生電力に変換するため、ブレーキペダルの踏み込み量の大/小に応じて設定電圧を高/低に設定する。そして、発電制御部14は、アクセルペダルが踏み込まれており、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態で車速が上昇している場合、設定電圧を、車速が低下している場合に設定される設定電圧よりも低い電圧に設定する。
【0054】
ステップS13において、発電制御部14は、走行情報に基づいて設定した設定電圧が上限電圧以上である場合、発電電圧を上限電圧に設定し、走行情報に基づいて設定した設定電圧が上限電圧未満である場合、発電電圧を設定電圧に設定する。
【0055】
次に、発電制御部14は、ステップS13で設定した発電電圧を示す発電情報をオルタネータ11に出力する(ステップS14)。これにより、オルタネータ11は、発電制御部14から入力された発電情報が示す発電電圧を出力する。
【0056】
以上のように、発電制御部14は、DC/DCコンバータ10の制御部26が設定した上限電圧以下の範囲において、外部から取得した走行情報に基づいて、オルタネータ11が発生する発電電圧を調整する。発電制御部14は調整手段の他部としても機能する。即ち、DC/DCコンバータ10の制御部26と、発電制御部14とは、制御部26が算出した変圧の効率と、発電制御部14が外部から取得した走行情報とに基づいてオルタネータ11が発生する発電電圧を調整する。
【0057】
発電制御部14は、ステップS14を実行した後、処理を終了する。発電制御部14は、処理を終了した後、再び、ステップS11を実行する。
【0058】
以上のように構成された電源システム1においては、発電電圧の上限電圧は変圧の効率の高/低に応じて高/低に調整され、発電電圧が上限電圧を超えることはないため、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフの切替えで生じるスイッチング損失は小さい。このため、変圧回路20が行う変圧の効率を一定効率以上に確実に維持することができる。更には、変圧回路20から放出される熱の量は少ないため、変圧回路20が高温になることはない。
【0059】
なお、制御部26が上限電圧を設定する構成は、変圧の効率に対応付けて記憶されている候補電圧の記憶内容に基づいて上限電圧を設定する構成に限定されない。制御部26は、例えば、変圧の効率と上限電圧との関係式を用いて上限電圧を設定してもよい。この関係式は、変圧の効率の高/低に応じて上限電圧が高/低となる式である。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態1における電源システム1では、変圧回路20が行っている変圧の効率の高/低に応じて、オルタネータ11が発生する発電電圧の上限電圧を高/低に設定することによって、変圧の効率を一定効率以上に維持している。
【0061】
しかしながら、変圧の効率の高/低に応じて発電電圧を高/低に調整する構成は、上限電圧を設定する構成に限定されず、変圧の効率が予め設定されている基準効率未満となった場合に発電電圧を下げる構成であってもよい。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
実施の形態2における電源システム1は、好適に車両に搭載され。実施の形態1における電源システム1と同様の構成部を備える。実施の形態2におけるDC/DCコンバータ10は、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ10と同様の構成部を有する。実施の形態2においては、実施形態1と比較して、DC/DCコンバータ10の制御部26が上限電圧設定処理の代わりに、変圧回路20が行っている変圧の効率を調整する効率調整処理を行う点と、発電制御部14が実行する動作の手順とが異なる。従って、実施の形態2においても、発電制御部14は、外部から走行情報を取得しており、取得手段として機能する。
なお、制御部26は、効率調整処理を行うため、実施の形態1のように、上限電圧を示す電圧情報を発電制御部14に出力することはない。
【0063】
図4は実施の形態2における制御部26が実行する効率調整処理を示すフローチャートである。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間に効率調整処理を実行する。制御部26が効率調整処理で実行するステップS21からS27夫々は、実施の形態1において制御部26が実行した上限電圧設定処理のステップS1からS7(図2参照)と同様であるため、ステップS21からS27の説明を省略する。
【0064】
従って、制御部26は実施の形態2においても入力電力算出手段、出力電力算出手段及び効率算出手段として機能する。このため、制御部26は、変圧回路20が行っている変圧の効率を正確に算出することができる。
【0065】
制御部26は、ステップS27を実行した後、ステップS27で算出した変圧の効率が、予め設定されている基準効率未満であるか否かを判定する(ステップS28)。制御部26は、実施の形態2において、判定手段として機能し、調整手段の一部としても機能する。制御部26は、変圧の効率が基準効率未満であると判定した場合(S28:YES)、発電電圧の低下を指示する低下指示を発電制御部14に出力する(ステップS29)。
【0066】
制御部26は、変圧の効率が基準効率以上であると判定した場合(S28:NO)、又は、ステップS29を実行した後、処理を終了する。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間、効率調整処理を繰り返し実行する。
【0067】
図5は発電制御部14が実行する動作の手順を示すフローチャートである。発電制御部14は、外部から走行情報を取得したか否かを判定する(ステップS31)。発電制御部14は、走行情報を取得していないと判定した場合(S31:NO)、処理をステップS31に戻し、走行情報を取得するまで待機する。
【0068】
発電制御部14は、走行情報を取得したと判定した場合(S31:YES)、実施の形態1におけるステップS13の説明で前述したように、外部から取得した走行情報に基づいて設定電圧を設定する(ステップS32)。
【0069】
次に、発電制御部14は、DC/DCコンバータ10の制御部26から低下指示が入力されたか否かを判定する(ステップS33)。制御部26から低下指示が発電制御部14に入力されることは、変圧回路20が行っている変圧の効率が基準効率未満であると制御部26が判定したことに相当する。制御部26から低下指示が発電制御部14に入力されていないことは、変圧回路20が行っている変圧の効率が基準効率以上であると制御部26が判定したことに相当する。
【0070】
発電制御部14は、制御部26から低下指示が入力されたと判定した場合(S33:YES)、オルタネータ11が発生すべき発電電圧を、ステップS32で設定した設定電圧よりも低い電圧に設定する(ステップS34)。発電制御部14は、ステップS34において、例えば、ステップS33で設定した設定電圧から所定電圧を引いた電圧を、オルタネータ11が発生すべき発電電圧に設定する。発電制御部14は実施の形態2において設定手段としても機能する。
【0071】
発電制御部14は、制御部26から低下指示が入力されていないと判定した場合(S33:NO)、オルタネータ11が発生すべき発電電圧を、ステップS32で設定した設定電圧に設定する(ステップS35)。発電制御部14は、ステップS34又はS35を実行した後、発電情報をオルタネータ11に出力する(ステップS36)。ステップS36において、発電制御部14は、ステップS34を実行している場合、ステップS34で設定した発電電圧を示す発電情報をオルタネータ11に出力し、ステップS35を実行している場合、ステップS35で設定した発電電圧を示す発電情報をオルタネータ11に出力する。発電制御部14がステップS36を実行することにより、オルタネータ11は、発電制御部14から入力された発電情報が示す発電電圧を出力する。
【0072】
以上のように、発電制御部14は、DC/DCコンバータ10の制御部26によって、変圧回路20が行っている変圧の効率が基準効率未満であると判定した場合に、オルタネータ11が発生する発電電圧を、ステップS32で設定した設定電圧よりも低い電圧に調整する。発電制御部14は実施の形態2において調整手段の他部としても機能する。DC/DCコンバータ10の制御部26と発電制御部14とは、制御部26が算出した変圧の効率と、発電制御部14が外部から取得した走行情報とに基づいてオルタネータ11が発生する発電電圧を調整する。
【0073】
発電制御部14は、ステップS36を実行した後、処理を終了する。発電制御部14は、処理を終了した後、再び、ステップS31を実行する。
【0074】
以上のように構成された実施の形態2における電源システム1において、DC/DCコンバータ10の制御部26によって変圧回路20が行っている変圧の効率が基準効率未満であると判定された場合、発電制御部14は、外部から取得した走行情報に基づいて設定した電圧よりも低い電圧に設定する。このため、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフの切替えで生じるスイッチング損失は小さく、簡単な構成で変圧の効率を一定効率以上に維持することができる。更には、変圧回路20から放出される熱の量は少ないため、変圧回路20が高温になることはない。
【0075】
なお、実施の形態2において、変圧の効率が基準効率未満であるか否かを判定する構成は、変圧の効率が基準効率未満であるか否かを制御部26が判定する構成に限定されない。例えば、制御部26が、算出した効率を示す情報を発電制御部14に出力し、この情報を用いて、変圧の効率が基準効率未満であるか否かを発電制御部14が判定してもよい。
【0076】
また、オルタネータ11が発電すべき発電電圧を設定電圧よりも低い電圧に設定する場合において、発電制御部14が設定電圧から引く電圧は所定電圧に限定されず、発電制御部14は設定電圧から引く電圧を逐次的に変更してもよい。例えば、DC/DCコンバータ10の制御部26は、低下指示を発電制御部14に出力する場合に、算出した変圧の効率と基準効率との差分値を示す差分情報も発電制御部14に出力し、発電制御部14は、制御部26から入力された差分情報が示す差分値が大きい程、設定電圧から大きい電圧を引いてもよい。
【0077】
なお、実施の形態1及び2において、変圧回路20が行っている変圧の効率を算出する構成は、DC/DCコンバータ10の制御部26が変圧の効率を算出する構成に限定されず、発電制御部14が変圧の効率を算出する構成であってもよい。例えば、制御部26は入力電圧、入力電流、出力電圧及び出力電流を示す情報を発電制御部14に出力し、該情報を用いて発電制御部14が変圧の効率を算出してもよい。
【0078】
(実施の形態3)
実施の形態1における電源システム1では、変圧回路20の入力電力及び出力電力から直接に算出した変圧の効率に基づいて上限電圧を設定した。しかしながら、変圧の効率が低い程、変圧回路20が放出する熱の量が多いので、変圧の効率ではなく、DC/DCコンバータ10内の温度、具体的には、変圧回路20周辺の温度に基づいて上限電圧を設定してもよい。
【0079】
以下では、実施の形態3について、実施の形態実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図6は実施の形態3における電源システム3の要部構成を示すブロック図である。この電源システム3は、車両に好適に搭載され、実施の形態1における電源システム1と同様に、オルタネータ11、バッテリ12、負荷13及び発電制御部14を備える。電源システム3は、実施の形態1における電源システム1において、DC/DCコンバータ10の代わりにDC/DCコンバータ30を備える。DC/DCコンバータ30は、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ10と同様に第1端、第2端及び第3端を有する。オルタネータ11、バッテリ12、負荷13、発電制御部14及びDC/DCコンバータ30は実施の形態1と同様に接続されている。ここで、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ10は、DC/DCコンバータ30に対応する。
【0081】
DC/DCコンバータ30は、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ10と同様に作用する。即ち、DC/DCコンバータ30は、オルタネータ11が発電している間、オルタネータ11が発生した発電電圧を目標電圧に変圧し、該目標電圧をバッテリ12及び負荷13に出力する。また、DC/DCコンバータ30は、オルタネータ11が発電していない場合、変圧を停止する。更に、DC/DCコンバータ30は、オルタネータ11が発電する発電電圧の上限電圧を示す電圧情報を発電制御部14に出力する。
【0082】
オルタネータ11、バッテリ12、負荷13及び発電制御部14夫々は実施の形態1と同様に作用する。ここで、実施の形態1におけるこれらの説明において、電源システム1は電源システム3に対応し、DC/DCコンバータ10はDC/DCコンバータ30に対応する。
従って、発電制御部14は、電源システム3が搭載されている車両の走行に関する走行情報を取得するので、実施の形態3においても取得手段として機能する。
【0083】
DC/DCコンバータ30は、実施の形態1におけるDC/DCコンバータ10と同様に、変圧回路20、出力電圧検出部22、記憶部25及び制御部26を有し、これらは実施の形態1と同様に接続されている。DC/DCコンバータ30は更に温度検出部40を有し、温度検出部40は制御部26に接続されている。
変圧回路20及び出力電圧検出部22は実施の形態1と同様に作用する。従って、変圧回路20はオルタネータ11が発生した発電電圧を目標電圧に変圧し、該目標電圧をバッテリ12及び負荷13に出力する。出力電圧検出部22は変圧回路20から出力されている出力電圧を検出し、検出した出力電圧は制御部26によって出力電圧検出部22から読込まれる。
【0084】
温度検出部40は、DC/DCコンバータ30内の温度、具体的には、変圧回路20周辺の温度を検出する。温度検出部40が検出した温度は、制御部26によって温度検出部40から読込まれる。温度検出部40は、実施の形態3において温度検出手段として機能する。
【0085】
記憶部25は、変圧回路20周辺の温度に対応付けて、発電電圧の上限電圧となり得る候補電圧を記憶している。ここで、高い温度には低い候補電圧が対応付けられており、低い温度には高い候補電圧が対応付けられている。記憶部25に記憶されている内容は制御部26によって読み出される。
【0086】
実施の形態3における制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせる場合、実施の形態1における制御部26と同様に、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフを繰り返し、該スイッチング素子のオフからオンへの切替えを周期的に行う。制御部26はデューティを調整することによって、出力電圧検出部22が検出した出力電圧が目標電圧となるように、変圧回路20の入力端に入力されている電圧の降圧幅を調整する。
制御部26が変圧回路20におけるスイッチング素子のオン/オフの繰り返しを停止した場合、例えば、該スイッチング素子をオフに維持した場合、変圧回路20は変圧を停止する。
【0087】
制御部26は、実施の形態1と同様に、オルタネータ11が発電しているか否かを判定する。例えば、制御部26に、オルタネータ11が発電しているか否かを示す情報が入力されており、制御部26は入力されている該情報に基づいてオルタネータ11が発電しているか否かを判定してもよい。オルタネータ11が発電しているか否かを示す情報は、イグニッションスイッチのオン/オフを示す情報、又は、車両がアイドリングストップしているか否かを示す情報等である。
【0088】
制御部26は、オルタネータ11が発電していると判定した場合、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフを繰り返すことによって、変圧回路20に変圧を行わせ、オン/オフのデューティを調整することによって変圧回路20が出力端から出力する電圧を目標電圧に調整する。
【0089】
制御部26は、以上に述べた処理を行うと共に、オルタネータ11が発生する発電電圧の上限電圧を設定する上限電圧設定処理を実行する。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間に上限電圧設定処理を実行する。
【0090】
図7は制御部26が実行する上限電圧設定処理を示すフローチャートである。制御部26は、まず、温度検出部40から変圧回路20周辺の温度を読込む(ステップS41)。変圧回路20における変圧の効率が低い程、変圧回路20周辺の温度は高く、変圧回路20における変圧の効率が高い程、変圧回路20周辺の温度は低い。
【0091】
次に、制御部26は、ステップS41で読込んだ温度に基づいて、オルタネータ11が発生する発電電圧の上限電圧を設定する(ステップS42)。具体的には、制御部26は、ステップS41で読込んだ温度に対応付けられている候補電圧を読み出し、読み出した候補電圧を上限電圧に設定する。前述したように、高い温度には低い候補電圧が対応付けられており、低い温度には高い候補電圧が対応付けられているため、制御部26は、ステップS42において、ステップS41で読込んだ温度の高/低に応じて低/高となる発電電圧の上限電圧を設定する。制御部26は、実施の形態3において調整手段の一部として機能する。
【0092】
次に、制御部26は、ステップS42で設定した上限電圧を示す電圧情報を発電制御部14に出力し(ステップS43)、上限電圧設定処理を終了する。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間、上限電圧設定処理を繰り返し実行する。
【0093】
実施の形態3における発電制御部14は、実施の形態1における発電制御部14と同様の処理(図3参照)と同様の処理を行う。ここで、実施の形態1における発電制御部14が実行する動作の手順において、DC/DCコンバータ10はDC/DCコンバータ30に対応する。
【0094】
従って、発電制御部14は、DC/DCコンバータ30の制御部26が設定した上限電圧以下の範囲において、外部から取得した走行情報に基づいて、オルタネータ11が発生する発電電圧を調整し、実施の形態3において調整手段の他部として機能する。発電制御部14と、DC/DCコンバータ30の制御部26とは、温度検出部40が検出した変圧回路20周辺の温度と、発電制御部14が外部から取得した走行情報とに基づいてオルタネータ11が発生する発電電圧を調整する。
【0095】
以上のように構成された電源システム3においては、発電電圧の上限電圧は、変圧回路20周辺の温度の高/低に応じて低/高に調整され、発電電圧が上限電圧を超えることはないため、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフの切替えで生じるスイッチング損失は小さい。このため、変圧回路20が行う変圧の効率は一定効率以上に確実に維持することができる。更には、変圧回路20から放出される熱の量は少ないため、変圧回路20が高温になることはない。
【0096】
なお、実施の形態3において、制御部26が上限電圧を設定する構成は、変圧回路20周辺の温度に対応付けて記憶されている候補電圧の記憶内容に基づいて上限電圧を設定する構成に限定されない。制御部26は、例えば、変圧回路20周辺の温度と上限電圧との関係式を用いて上限電圧を設定してもよい。この関係式は、変圧回路20周辺の温度の高/低に応じて上限電圧が低/高となる式である。
【0097】
なお、実施の形態1及び3において、上限電圧を設定する構成は、制御部26が上限電圧を設定する構成に限定されず、例えば、発電制御部14が上限電圧を設定してもよい。この場合、実施の形態1においては制御部26が、算出した効率を示す情報を発電制御部14に出力し、この情報を用いて発電制御部14は上限電圧を設定する。実施の形態3においては、制御部26が、温度検出部40によって検出された変圧回路20周辺の温度を示す情報を発電制御部14に出力し、この情報を用いて発電制御部14は上限電圧を設定する。
【0098】
(実施の形態4)
実施の形態3における電源システム3では、変圧回路20周辺の温度の高/低に応じて、オルタネータ11が発生する発電電圧の上限電圧を低/高に設定することによって、変圧回路20周辺の温度の高/低に応じて発電電圧を低/高に調整した。
【0099】
しかしながら、変圧回路20周辺の温度の高/低に応じて発電電圧を低/高に調整する構成は、上限電圧を設定する構成に限定されず、変圧回路20周辺の温度が予め設定されている基準温度以上となった場合に発電電圧を下げる構成であってもよい。
以下では、実施の形態4について、実施の形態3と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1、2又は3と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0100】
実施の形態4における電源システム3は、好適に車両に搭載され、実施の形態3における電源システム3と同様の構成部を備える。実施の形態4におけるDC/DCコンバータ30は、実施の形態2におけるDC/DCコンバータ30と同様の構成部を有する。実施の形態4においては、実施の形態3と比較して、DC/DCコンバータ30の制御部26が上限電圧設定処理の代わりに、変圧回路20が行っている変圧の効率を調整する効率調整処理を行う点と、発電制御部14が実行する動作の手順とが異なる。従って、発電制御部14は電源システム3が搭載されている車両の走行に関する走行情報を取得し、DC/DCコンバータ30の温度検出部40夫々は、変圧回路20周辺の温度を検出する。発電制御部14及び温度検出部40夫々は、実施の形態4においても取得手段及び温度検出手段として機能する。
なお、制御部26は、効率調整処理を行うため、実施の形態3のように、上限電圧を示す電圧情報を発電制御部14に出力することはない。
【0101】
図8は実施の形態4における制御部26が実行する効率調整処理を示すフローチャートである。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間に効率調整処理を実行する。制御部26は、温度検出部40から変圧回路20周辺の温度を読込む(ステップS51)。変圧回路20における変圧の効率が低い程、変圧回路20周辺の温度は高く、変圧回路20における変圧の効率が高い程、変圧回路20周辺の温度は低い。
【0102】
次に、制御部26は、ステップS51で読込んだ変圧回路20周辺の温度が、予め設定されている基準温度以上であるか否かを判定する(ステップS52)。制御部26は、実施の形態4において、判定手段として機能し、調整手段の一部としても機能する。制御部26は、変圧回路20周辺の温度が基準温度以上であると判定した場合(S52:YES)、発電電圧の低下を指示する低下指示を発電制御部14に出力する(ステップS53)。
【0103】
制御部26は、変圧回路20周辺の温度が基準温度未満である(S52:NO)、又は、ステップS53を実行した後、処理を終了する。制御部26は、変圧回路20に変圧を行わせている間、効率調整処理を繰り返し実行する。
【0104】
実施の形態4における発電制御部14は、実施の形態2における発電制御部14と同様の処理(図5参照)と同様の処理を行う。ここで、実施の形態2における発電制御部14が実行する動作の手順において、DC/DCコンバータ10はDC/DCコンバータ30に対応する。従って、発電制御部14は、実施の形態4において設定手段としても機能する。
制御部26から低下指示が発電制御部14に入力されることは、温度検出部40が検出した変圧回路20周辺の温度が基準温度以上であると制御部26が判定したことに相当する。制御部26から低下指示が発電制御部14に入力されていないことは、温度検出部40が検出した変圧回路20周辺の温度が基準温度未満であると制御部26が判定したことに相当する。
【0105】
また、実施の形態4における発電制御部14は、DC/DCコンバータ30の制御部26によって、変圧回路20周辺の温度が基準温度以上であると判定した場合に、オルタネータ11が発生する発電電圧を、車両の走行情報に基づいて設定した設定電圧よりも低い電圧に調整する。発電制御部14は実施の形態4において調整手段の他部としても機能する。即ち、発電制御部14と、DC/DCコンバータ30の制御部26とは、温度検出部40が検出した変圧回路20周辺の温度と、発電制御部14が外部から取得した走行情報とに基づいてオルタネータ11が発生する発電電圧を調整する。
【0106】
以上のように構成された実施の形態4における電源システム3において、DC/DCコンバータ30の制御部26によって変圧回路20周辺の温度が基準温度以上であると判定された場合、発電制御部14は、外部から取得した走行情報に基づいて設定した電圧よりも低い電圧に設定する。このため、変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフの切替えで生じるスイッチング損失は小さく、簡単な構成で変圧の効率を一定効率以上に維持することができる。更には、変圧回路20から放出される熱の量は少ないため、変圧回路20が高温になることはない。
【0107】
なお、実施の形態4において、温度検出部40が検出した温度が基準温度以上であるか否かを判定する構成は、制御部26が、温度検出部40によって検出された温度が基準温度以上であるか否かを判定する構成に限定されない。例えば、制御部26が、温度検出部40によって検出された温度を示す情報を発電制御部14に出力し、この情報を用いて、発電制御部14が、温度検出部40によって検出された温度が基準温度以上であるか否かを判定してもよい。
【0108】
また、オルタネータ11が発電すべき発電電圧を設定電圧よりも低い電圧に設定する場合において、発電制御部14が設定電圧から引く電圧は所定電圧に限定されず、発電制御部14は設定電圧から引く電圧を逐次的に変更してもよい。例えば、DC/DCコンバータ10の制御部26は、低下指示を発電制御部14に出力する場合に、温度検出部40が検出した温度と基準温度との差分値を示す差分情報も発電制御部14に出力し、発電制御部14は、制御部26から入力された差分情報が示す差分値が大きい程、設定電圧から大きい電圧を引いてもよい。
【0109】
なお、実施の形態1〜4において、変圧回路20は入力端に入力されている電圧を目標電圧に降圧し、該目標電圧を出力端から出力する回路に限定されない。変圧回路20は、入力端に入力されている電圧を目標電圧に昇圧する回路であってもよい。この場合も、制御部26は、変圧回路が有するスイッチング素子のオン/オフに係るデューティを調整することによって、出力電圧検出部22が検出した出力電圧が目標電圧となるように、変圧回路20の入力端に入力されている電圧の昇圧幅を調整する。更に、変圧回路20は、入力端に入力されている電圧の昇圧及び降圧を行う回路であってもよい。この場合も、制御部26は変圧回路20が有するスイッチング素子のオン/オフに係るデューティを調整することによって、入力端に入力されている電圧の昇圧幅及び降圧幅を調整する。
【0110】
開示された実施の形態1〜4は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
1,3 電源システム
11 オルタネータ(発電機)
14 発電制御部(取得手段、調整手段の一部、設定手段)
20 変圧回路
26 制御部(効率算出手段、調整手段の他部、判定手段、入力電力算出手段、出力電力算出手段)
40 温度検出部(温度検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8