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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214269(P2015-214269A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/60 20060101AFI20151106BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20151106BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20151106BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20151106BHJP
   G03B 17/08 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   B60S1/60 Z
   H04N5/225 E
   H04N5/225 C
   G03B17/02
   G03B15/00 V
   G03B17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-98668(P2014-98668)
(22)【出願日】2014年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 耕太
(72)【発明者】
【氏名】成田 達郎
【テーマコード(参考)】
2H100
2H101
3D025
5C122
【Fターム(参考)】
2H100EE06
2H101CC60
3D025AA04
3D025AC01
3D025AC03
3D025AD11
3D025AE57
3D025AE84
3D025AF08
5C122DA14
5C122EA02
5C122FB03
5C122FB09
5C122HA84
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】あらゆる走行条件でレンズ又は保護ガラスへの光の透過性を確保するために、粘性の高い汚れ(融雪剤、泥等)を確実に除去でき、粘性の低い汚れ(雨水の跳ね上げ等)も蓄積しにくくするとともに、洗浄液の飛散を抑制し、払拭によるレンズ表面又は保護ガラス表面への耐擦傷性を高めることを可能とするカメラ装置を提供する。
【解決手段】車両の外部に搭載されるカメラ部12のレンズ11の表面を払拭するためのワイパブレード14と、洗浄液を吐出するための洗浄液ノズル46と、を備え、ワイパブレード14は、洗浄液ノズル46から吐出される洗浄液を吸収可能な洗浄液吸収材からなり、洗浄液吸収材は、洗浄液ノズル46の直下で洗浄液を吸収可能な位置に配置され、洗浄液吸収材で洗浄液を吸収した状態で、レンズ11の表面を払拭する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に搭載されるカメラの対物レンズ又は対物レンズを覆う保護ガラスの表面を払拭するためのワイパブレードと、
洗浄液を吐出するための洗浄液ノズルと、を備え、
前記ワイパブレードは、前記洗浄液ノズルから吐出される洗浄液を吸収可能な洗浄液吸収材からなり、
当該洗浄液吸収材は、前記洗浄液ノズルの直下で洗浄液を吸収可能な位置に配置され、
前記洗浄液吸収材で洗浄液を吸収した状態で、前記対物レンズ又は前記保護ガラスの表面を払拭することを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記洗浄液ノズルが接続された配管に、洗浄液の液圧を下げる減圧弁を備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記ワイパブレードは、両端部よりも中央部が下方に位置する屈曲形状に形成され、前記ワイパブレードに供給された洗浄液を前記対物レンズ又は前記保護ガラスの中央部に滴下することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記ワイパブレードは、V字状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記対物レンズ又は前記保護ガラスは、その表面が親水性を有する材料でコーティングされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記配管は、前記カメラの筐体に配置され、前記配管の途中にヒータが設けられることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外環境で走行する移動体に取付けられたカメラのレンズ表面又はレンズの保護ガラス表面に付着した水滴や汚れなどの付着物を除去する洗浄払拭機能を備えたカメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外環境で走行する車両に取付けられたカメラには、雨天走行時や未舗装路の走行時など、走行環境によって自車が走行する際の巻き上げによって、カメラのレンズ表面に水滴や泥などが付着する。
付着物が降雨などによる水滴の場合、水分が蒸発すれば光の透過性が確保されるが、蒸発するまでに長い時間を要し、連続的に水分が巻き上がっている状態では、常に透過性が悪い状態になる。
【0003】
一方、付着物に泥などの水分以外の不純物が混在している場合、水分が蒸発した後もレンズ表面に不純物が堆積し、汚れとなって透過の妨げになる。レンズ表面が汚れると、本来、ドライバーの死角を補うためのカメラ機能が損なわれてしまう。また、カメラの映像を使ってレーンや移動物体を認識するシステムにおいては、誤認識や不認識が発生し、システムの信頼性が低下するといった課題がある。
汚れたレンズ表面をユーザが直接清掃するのは煩わしく、レンズ表面の汚れに気づかない場合もありうる。
【0004】
これまでに、カメラの対物レンズ又はレンズの保護ガラスに付着した汚れを除去する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2が知られている。
特許文献1では、カメラのレンズに圧縮空気と高圧の水とを噴射できるような構造を備え、圧縮空気や高圧の水を噴射することによってレンズ表面の汚れを除去できるようにしている。特許文献2では、洗浄液の噴射機構とワイパブレードによる払拭機構とを備え、ヘッドランプの保護カバー面に付着した汚れを除去できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−171491号公報
【特許文献2】特開2006−176028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、粘性の低い水滴などの除去には有効であるが、泥などの粘性の高い付着物や、融雪剤を含む水分に対しては十分な洗浄効果が得られない可能性がある。また、自車が巻き上げる路面の水分には、水以外の不純物が含まれているため、それを圧縮空気で繰り返し乾燥させると、不純物がレンズ表面に析出して白濁した汚れになり、光の透過の悪化に繋がる。
【0007】
特許文献2に記載の技術は、洗浄液をヘッドランプの前方から高圧で噴射し、その後、ワイパを駆動させることによってヘッドランプに付着した汚れを払拭する構造である。
引用文献2の洗浄方法では、洗浄液の噴射時に洗浄液が飛散し、飛散した洗浄液で車体を汚してしまうといった課題がある。また、車室外に取付けられたカメラ(例えば、リアカメラ)に適用しようとした場合、カメラの光軸が下方に向いているため、洗浄液をレンズ面に噴射しても、洗浄液がレンズ面から流れ落ちてしまう。その結果、ワイパでの払拭時の摩擦抵抗が大きくなり、レンズ面を傷付けてしまう可能性がある。更に、レンズ面に十分な量の洗浄液が残らないため、洗浄効果が低下してしまうといった課題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みて創案されたものであって、あらゆる走行条件でレンズ又は保護ガラスへの光の透過性を確保するために、粘性の高い汚れ(融雪剤、泥等)を確実に除去でき、粘性の低い汚れ(雨水の跳ね上げ等)も蓄積しにくくするとともに、洗浄液の飛散を抑制し、払拭によるレンズ表面又は保護ガラス表面への耐擦傷性を高めることを可能とするカメラ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、車両の外部に搭載されるカメラの対物レンズ又は対物レンズを覆う保護ガラスの表面を払拭するためのワイパブレードと、洗浄液を吐出するための洗浄液ノズルと、を備え、前記ワイパブレードは、前記洗浄液ノズルから吐出される洗浄液を吸収可能な洗浄液吸収材からなり、当該洗浄液吸収材は、前記洗浄液ノズルの直下で洗浄液を吸収可能な位置に配置され、前記洗浄液吸収材で洗浄液を吸収した状態で、前記対物レンズ又は前記保護ガラスの表面を払拭することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ワイパブレードを洗浄液吸収材で構成し、洗浄液ノズルの直下に洗浄液吸収材を配置することで、洗浄液を含ませた洗浄液吸収材で対物レンズ表面を払拭することができるため、粘性の高い汚れ(融雪剤、泥等)を確実に除去し、粘性の低い汚れ(雨水の跳ね上げ等)も蓄積しにくくすることが可能となる。更に、洗浄液を含ませた状態で対物レンズ表面を払拭するため、対物レンズ表面又は保護ガラス表面との摩擦抵抗が小さくなり、対物レンズ表面又は保護ガラス表面での擦り傷の発生を抑えることができる。更に、洗浄液を直下のワイパブレードに滴下するように供給できるため、洗浄液の飛散を抑制することができ、車両を汚れにくくすることができる。
【0011】
上記構成において、前記洗浄液ノズルが接続された配管に、洗浄液の液圧を下げる減圧弁を備えるようにしても良い。この構成によれば、減圧弁で洗浄液の吐出圧力を制御することで、吐出された洗浄液をワイパブレードに少量ずつ滴下することができ、ワイパブレードに吸収させることができる。このとき、洗浄液の吐出量を必要最小限に抑えて節約しつつ洗浄液の車体への飛散を抑えることができ、洗浄液による車体の汚れを防ぐことができる。また、ワイパブレードからも洗浄液を少量ずつレンズ表面又は保護ガラス表面に滴下する点眼制御が可能になり、対物レンズ表面又は保護ガラス表面に洗浄液の膜を形成しやすくすることができる。この洗浄液の膜の形成により、外部から水滴が付着した時の透過性確保と、レンズ面又は保護ガラス面の防汚効果とを得ることができる。また、洗浄液ノズルから洗浄液吸収材に洗浄液の供給を一定時間続けることで、ワイパブレードに付着した汚れを洗浄液で洗い流すことができる。
【0012】
また、上記構成において、前記ワイパブレードは、両端部よりも中央部が下方に位置する屈曲形状に形成され、前記ワイパブレードに供給された洗浄液を前記対物レンズ又は前記保護ガラスの中央部に滴下するようにしても良い。この構成によれば、ワイパブレードに供給された洗浄液を対物レンズ表面又は保護ガラス表面の中央部に滴下して、ワイパブレードを作動させたときに、洗浄液を対物レンズ又は保護ガラスの全体に広がるようにすることができ、洗浄効果及び擦傷防止効果を高めることができる。
また、上記構成において、前記ワイパブレードは、V字状に形成されていても良い。この構成によれば、洗浄液は、ワイパブレードのV字の中央部に集まりやすくなり、対物レンズ表面又は保護ガラス表面の中央部に滴下しやすくすることができる。
【0013】
また、上記構成において、前記対物レンズ又は前記保護ガラスは、その表面が親水性を有する材料でコーティングされていても良い。この構成によれば、洗浄液を対物レンズ又は保護ガラスの表面に滴下した際に、対物レンズ表面又は保護ガラス表面における洗浄液の均一な膜の形成を促すことができ、洗浄液の膜によって、対物レンズ又は保護ガラスを、外部から飛散してくる雨水、泥等から保護してより一層汚れにくくすることができる。
また、上記構成において、前記配管は、前記カメラの筐体に配置され、前記配管の途中にヒータが設けられるようにしても良い。この構成によれば、ヒータで温められた洗浄液により、対物レンズ又は保護ガラスの表面の洗浄効果を高めることができる。また、対物レンズ又は保護ガラス、筐体へ付着し凍結してできた氷、積もった雪等を温められた洗浄液で融かすことができ、透過性を確保するとともにワイパブレード等の可動部の作動を良好とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、車両の外部に搭載されるカメラの対物レンズ又は対物レンズを覆う保護ガラスの表面を払拭するためのワイパブレードと、洗浄液を吐出するための洗浄液ノズルと、を備え、ワイパブレードは、洗浄液ノズルから吐出される洗浄液を吸収可能な洗浄液吸収材からなり、洗浄液吸収材は、洗浄液ノズルの直下で洗浄液を吸収可能な位置に配置され、洗浄液吸収材で洗浄液を吸収した状態で、対物レンズ又は保護ガラスの表面を払拭するので、ワイパブレードを洗浄液吸収材で構成し、洗浄液ノズルの直下に洗浄液吸収材を配置することで、洗浄液を含ませた洗浄液吸収材で対物レンズ表面を払拭することができるため、粘性の高い汚れ(融雪剤、泥等)を確実に除去し、粘性の低い汚れ(雨水の跳ね上げ等)も蓄積しにくくすることが可能となる。
【0015】
更に、洗浄液を含ませた状態で対物レンズ表面を払拭するため、対物レンズ表面又は保護ガラス表面との摩擦抵抗が小さくなり、対物レンズ表面又は保護ガラス表面での擦り傷の発生を抑えることができる。更に、洗浄液を直下のワイパブレードに滴下するように供給できるため、洗浄液の飛散を抑制することができ、車両を汚れにくくすることができる。また、ワイパブレードからも洗浄液を少量ずつレンズ表面又は保護ガラス表面に滴下する点眼制御が可能になり、対物レンズ表面又は保護ガラス表面に洗浄液の膜を形成しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のカメラ装置を示す正面図である。
図2】カメラ装置を示す側面図である。
図3】カメラ装置を示す平面図である。
図4】ワイパアームに取付けられたワイパブレードを示す説明図であり、図4(A)はワイパブレードを示す背面図、図4(B)は図4(A)のB矢視図、図4(C)は図4(A)のC矢視図である。
図5】ワイパ駆動部の作用を示す作用図であり、図5(A)は付着物を払拭する前のワイパアームの初期位置を示す図、図5(B)は付着物を払拭中の状態を示す図、図5(C)は付着物を払拭した後のワイパアームの最終位置を示す図である。
図6】洗浄部の作用を示す作用図であり、図6(A)〜(E)は洗浄液をレンズに供給する各過程を示す図である。
図7】洗浄払拭装置の作用を示す作用図であり、図7(A)〜(C)はレンズを払拭する各過程を示す図である。
図8】カメラ装置の構成を示すブロック図である。
図9】カメラ装置の洗浄払拭処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図に示す符号FRはカメラの前方を示している。
図1は、本発明の一実施形態のカメラ装置10を示す正面図である。
カメラ装置10は、車両の外部に搭載され、カメラ部12、筐体13、洗浄払拭装置16、遮光部17、カバー部材18を備える。
カメラ部12は、前面にレンズ11(又はレンズ11と、レンズ11を保護するためにレンズ11の前方を覆う保護ガラス)が設けられている。レンズ11又は保護ガラスは、その表面が凸状の球面に形成されている。筐体13は、カメラ部12を収納する箱状のものである。洗浄払拭装置16は、レンズ11(又は保護ガラス)の表面に付着した泥、融雪剤等の付着物を洗浄及び払拭するために筐体13に設けられている。遮光部17は、レンズ11に上方から入射する光を遮るために筐体13の前部上部に設けられている。カバー部材18は、筐体13及びワイパブレード14の外側を覆っている。
【0018】
洗浄払拭装置16は、ワイパアーム21を備えるワイパ駆動部16Aと、筐体13の上部に設けられた洗浄部16Bとを備える。
ワイパ駆動部16Aは、筐体13の両側面13a,13aに上下揺動可能に取付けられたワイパアーム21を備える。ワイパアーム21は、コ字形状のアーム本体23と、アーム本体23に取付けられたワイパブレード14とからなる。アーム本体23は、筐体13の側面13a,13aに沿って揺動するサイドアーム23a,23bと、サイドアーム23a,23bの各先端部間を接続するセンタアーム23cとから一体に形成されている。図では、ワイパアーム21のセンタアーム23c及びワイパブレード14は、カメラ部12のレンズ11の上方に配置されている。
【0019】
図2は、カメラ装置10を示す側面図、図3は、カメラ装置10を示す平面図である。
図2に示すように、ワイパ駆動部16Aは、一方のサイドアーム23aの端部に取付けられた支持部材23eと、支持部材23eに設けられた永久磁石26及び磁性体27と、永久磁石26及び磁性体27の回動軌跡に略沿って筐体13の内側に配置された駆動部28とを備える。駆動部28は、下端部に設けられた永久磁石31と、永久磁石31の上部に隣接して設けられたコイル32(又はコイル及び鉄芯からなる電磁石)とを備える。
【0020】
永久磁石31は、永久磁石26と協働して引き合い、ワイパアーム21を初期位置(図に示した位置)に保持する。コイル32は、通電されることで磁場を発生させ、その磁場により発生する磁力で永久磁石26及び磁性体27を引き付ける又は永久磁石26については反発させることで、ワイパアーム21を揺動させる。
【0021】
図2及び図3に示すように、アーム本体23は、弾性変形可能で筐体13に着脱可能に取付けられる樹脂等の弾性素材製部品であり、サイドアーム23a,23bには、筐体13の側面13a,13aに設けられた穴部13b,13bに揺動可能に嵌合する軸部23d,23dが設けられている。
軸部23d,23dは、カメラ部12のレンズ11の球面状で凸に湾曲した表面の曲率中心に配置されている。従って、ワイパブレード14は、ワイパアーム21の揺動中は、常にレンズ11の表面に一定の押圧力で押し付けられ、付着物を安定して払拭することが可能である。なお、図中のRはレンズ11の表面の曲率半径である。
【0022】
筐体13の少なくとも一方の側面13aには、ワイパアーム21の可動範囲を規制するストッパー24,25が設けられている。ストッパー24は、ワイパアーム21におけるレンズ11の上端側位置を規制する部品であり、側面13aに取付けられたストッパー軸24aと、ストッパー軸24aに取付けられたゴム、シリコンゴム、スポンジ等の緩衝材24bとからなる。ストッパー25は、ワイパアーム21におけるレンズ11の下端側位置を規制する部品であり、ストッパー24と同様に、ストッパー軸25aと、緩衝材25bとからなる。緩衝材24b,25bは、ワイパアーム21が当たったときに発生する打音を軽減する部品である。このようなストッパー24,25を設けることで、ワイパアーム21の可動範囲の終端位置を確実に規制することができる。
【0023】
図1図3において、洗浄部16Bは、車両の設けられた洗浄液タンク(不図示)内の洗浄液を圧送するためのウォッシャポンプ(不図示)と、ウォッシャポンプから延びる洗浄液ホース43と、筐体13の上部中央部に設けられて洗浄液ホース43の先端部が接続される洗浄装置本体44とを備える。洗浄液タンクは、車両のフロント・リアウインドウを洗浄する洗浄液が貯められている。
洗浄装置本体44は、その前端部に配置されてレンズ11(又はレンズ11の保護ガラス)の上部、ワイパブレード14に洗浄液を滴下する洗浄液ノズル46と、一端が洗浄液ノズル46に接続されるとともに他端が洗浄液ホース43に接続された配管45と、この配管45に設けられたヒータ47及び減圧弁48とを備える。
【0024】
洗浄液ノズル46は、洗浄液の吐出口46aが、ワイパアーム21の初期位置では、レンズ11及びワイパブレード14の真上に配置されている(換言すれば、吐出口46aの直下にレンズ11及びワイパブレード14が配置されている)ので、洗浄液ノズル46から吐出された洗浄液がレンズ11及びワイパブレード14に確実に供給される。ヒータ47は、通電することで洗浄液を温めることができるので、洗浄効果を高めるとともに、温められた洗浄液によるレンズ11の表面に付着した水分の凍結、ワイパ駆動部16Aの凍結を防止する。
【0025】
また、ヒータ47は、筐体13の上部に設けられているので、筐体13自体を温め、筐体13の上部に積もった雪や筐体13に付着した氷を融かすことが可能になる。減圧弁48は、ウォッシャポンプから圧送された洗浄液の液圧を下げ、洗浄液ノズル46から吐出される洗浄液を必要最小限に抑え、洗浄液ノズル46から洗浄液を少量ずつ滴下させる。これにより、洗浄液の節約と、車体に対する洗浄液の飛散を防ぐことが可能になる。
また、レンズ11の表面には、親水性のコーティングが施されている。この親水性のコーティングにより、洗浄液をレンズ11の表面に滴下した際にレンズ11の表面全体に洗浄液の膜が均一に形成され、洗浄液の膜によってレンズ11に飛散した泥等を付着しにくくすることができる。
【0026】
図4は、ワイパアーム21に取付けられたワイパブレード14を示す説明図であり、図4(A)はワイパブレード14を示す背面図、図4(B)は図4(A)のB矢視図、図4(C)は図4(A)のC矢視図である。
図4(A)に示すように、ワイパアーム21のセンタアーム23cは、両端よりも中央が低くなったV字形状に形成され、センタアーム23cの背面に、センタアーム23cの形状に沿うようにV字形状に形成されたワイパブレード14が、例えば接着により貼り付けられている。ワイパブレード14の左右の長さは、レンズ11(図1参照)の外径よりも大きく形成されている。このように、ワイパブレード14をV字形状とすることで、ワイパブレード14に滴下された洗浄液を、レンズ11(図1参照)の中央部に供給することが可能になる。
【0027】
ワイパブレード14は、吸水性が高く且つ柔らかいスポンジ、マイクロファイバー等の材料からなる。このような材料を用いることにより、素材自体の柔らかさに加えて洗浄液を吸収させることで、レンズ11の表面との摩擦抵抗を抑え、擦り傷の発生を抑えることが可能になる。また、上記材料は、速乾性も備えるため、レンズ11の表面の払拭以外のときの洗浄液の垂れ落ちを抑制することができる。即ち、洗浄液を用いた払拭が必要なときにはワイパブレード14に洗浄液を供給して払拭を行い、払拭が不要なときにはワイパブレード14の洗浄液を素早く乾燥させる機能を有する。
【0028】
図4(B),(C)に示すように、ワイパブレード14は、レンズ11側に臨む背面14aの中央部に、レンズ11に押し当てられて払拭する凹状の球面からなる払拭面14bを備える。
払拭面14bは、曲率半径がレンズ11の表面と同一の曲率半径Rに形成されている。
これにより、払拭面14bがレンズ11に押し当てられたときに、払拭面14bの全体が圧縮されながらレンズ11の表面に追従し易くすることができ、洗浄性を確保しながら、払拭面14bに発生する面圧が小さく抑えられるため、擦り傷の発生を抑制することが可能である。
【0029】
以上に述べたカメラ装置10のワイパ駆動部16Aの作用を次に説明する。
図5は、ワイパ駆動部16Aの作用を示す作用図であり、図5(A)は付着物を払拭する前のワイパアーム21の初期位置を示す図、図5(B)は付着物を払拭中の状態を示す図、図5(C)は付着物を払拭した後のワイパアームの最終位置を示す図である。
図5(A)に示すように、駆動部28の永久磁石31において、ワイパアーム21に臨む面を、例えばS極とし、ワイパアーム21の永久磁石26において、駆動部28に臨む面を、例えばN極とする。この状態では、駆動部28の永久磁石31のS極と、ワイパアーム21の永久磁石26のN極とが引き合い、ワイパアーム21は、所定位置(初期位置)に保持される。
【0030】
この状態で、図5(B)に示すように、駆動部28のコイル32に通電して、コイル32において、永久磁石31に近い側の一端部にS極、他端部にN極を発生させたときに、コイル32のS極の磁力が、永久磁石31のS極の磁力より強くなると、コイル32のS極とワイパアーム21の永久磁石26のN極との引き合いによって、ワイパアーム21は、矢印Aに示すように回動して図の位置に至る。
【0031】
次に、図5(C)に示すように、コイル32の電流の向きを逆にし、コイル32において、永久磁石31に近い側の一端部にN極、他端部にS極を発生させると、コイル32のN極とワイパアーム21の永久磁石26のN極とが反発し合うとともに、コイル32の長手方向中央より磁力の強いコイル32の端部のS極にワイパアーム21の磁性体27が引かれ、また、永久磁石26のN極も引かれるため、ワイパアーム21は、矢印Bで示すように更に回動して、レンズ11の表面の下端(最終位置)に至る。
【0032】
このワイパアーム21を、最終位置から初期位置に戻す場合は、まず、図7(C)の状態(コイル32において、永久磁石31に近い側の一端部にN極、他端部にS極が発生した状態)からコイル32の電流の向きを逆にして、図7(B)に示すように、コイル32において、永久磁石31に近い側の一端部にS極、他端部にN極を発生させる。これにより、コイル32のS極とワイパアーム21の永久磁石26のN極とが引き合って、ワイパアーム21は、矢印B(図5(C)参照)とは反対の方向に回動し、図5(B)の位置に至る。次に、図5(B)の状態でコイル32への通電を停止すれば、コイル32に磁極が発生しなくなるため、駆動部28の永久磁石31のS極とワイパアーム21の永久磁石26のN極とが引き合い、ワイパアーム21は、矢印Aとは反対の向きに回動して図5(A)の初期位置に至り、保持される。
【0033】
図6は、洗浄部16Bの作用を示す作用図であり、図6(A)〜(E)は洗浄液をレンズ11に供給する各過程を示す図である。なお、図6(A)〜(E)において、ワイパブレード14には粗さの粗いドットを付け、洗浄液には粗さの細かいドットを付け、また、洗浄液が吸収されたワイパブレード14には粗さの細かいドッドを付けている。
図6(A)に示すように、ウォッシャポンプを駆動させて、洗浄液を洗浄液ノズル46の吐出口46aから吐出させ、ワイパブレード14に滴下する。この結果、図6(B)に示すように、洗浄液は、ワイパブレード14に浸み込む。
【0034】
次に、図6(C)に示すように、再びウォッシャポンプを駆動させて洗浄液ノズル46からワイパブレード14に洗浄液を滴下する。この時、図6(D)に示すように、ワイパブレード14における洗浄液の保持能力が飽和すると、保持しきれなくなった洗浄液がしずく50となってワイパブレード14から垂れてレンズ11の中央部に滴下される。この結果、図6(E)に示すように、レンズ11に滴下された洗浄液は、レンズ11のコーティングによってレンズ11の表面全体に広がり、洗浄液の膜50aを形成する。
図6(A)及び図6(C)に示したウォッシャポンプの駆動は、洗浄液が、洗浄液ノズルから一滴ないし数滴を所定の時間間隔(例えば、30秒間隔)でワイパブレード14に供給されるように一定時間断続的に行われる。
【0035】
図7は、洗浄払拭装置16の作用を示す作用図であり、図7(A)〜(C)はレンズ11を払拭する各過程を示す図である。
図7(A)に示すように、ワイパアーム21の初期位置において、洗浄液を、洗浄液ノズル46の吐出口46aから吐出し、ワイパブレード14に供給する。なお、符号51〜53はレンズ11の表面に付着した付着物である。
図7(B)に示すように、ワイパブレード14に洗浄液が浸み込んだ状態で、ワイパアーム21を、矢印Cで示すように、レンズ11の表面に沿って揺動させ、レンズ11の表面の付着物51〜53を払拭する。例えば、ワイパアーム21を揺動させる前に、洗浄液がレンズ11の表面全体に広がるようにしても良い。
【0036】
図7(C)は、ワイパアーム21の揺動が終了した状態を示している。レンズ11の表面の付着物は除去され、透過性が確保される。
ワイパブレード14への洗浄液の供給は、例えば、ワイパアーム21の揺動(初期位置→最終位置→初期位置が1回の揺動)5回に対して1回行われ、ワイパアーム21は、連続で5回揺動される。
ワイパブレード14の付着物を払拭した回数(ワイパアーム駆動回数)が多くなり、ワイパブレード14自体に付着物が多く付着した場合には、図6(A),(C)に示したウォッシャポンプの駆動を長時間行い、洗浄液を多くワイパブレード14に供給して、ワイパブレード14の付着物を洗い流す。このとき、ワイパブレード14から付着物の除去を促すために、ワイパアーム21の揺動を同時に行っても良い。
【0037】
図8は、カメラ装置10の構成を示すブロック図である。
カメラ装置10は、カメラ部12、ワイパ駆動部16A、洗浄部16B及び洗浄払拭制御部20を備える。
カメラ部12は、レンズを通過した光を電気信号に変換する撮像素子からなる撮像部61と、撮像部61を制御する撮像素子制御部62と、撮像部61から出力された信号を撮像素子制御部62から出力された制御信号により映像信号に変換する映像信号処理部63と、映像信号処理部63で処理された映像を外部モニタ64に出力する映像出力部66と、ワイパ駆動部16Aの磁力制御部71を制御するとともに、レンズ11(図1参照)を洗浄する際に撮像素子制御部62に洗浄の開始又は終了の信号を送って洗浄中の撮像を一次停止させる洗浄機能制御部67と、洗浄機能制御部67と外部との通信を行う外部通信部68とを備える。
【0038】
ワイパ駆動部16Aは、洗浄機能制御部67からの制御信号が入力された際に、洗浄払拭制御部20からの指令に基づいて、コイル32に対する通電と通電停止、通電方向を制御する磁力制御部71と、磁力制御部71により磁極の発生が制御されるコイル32と、コイル32によって駆動されるワイパアーム21とを備える。
洗浄部16Bは、洗浄液を圧送するウォッシャポンプ81と、ウォッシャポンプ81に洗浄液ホース43を介して接続された減圧弁48と、減圧弁48の下流側に設けられたヒータ47と、ヒータ47の下流側に設けられた洗浄液ノズル46とを備える。ヒータ47については、例えば、通電が必要なときには手動でスイッチがオンとされる。
洗浄払拭制御部20は、以下に説明するワイパスイッチ83及びウォッシャスイッチ84からのスイッチ情報(オンオフ信号)に基づいて、磁力制御部71にワイパ駆動指令を発するとともにウォッシャポンプ81に作動信号を送る。
【0039】
車両には、フロント・リアウインドウ用ワイパを作動させる際に使用される洗浄液を貯める洗浄液タンク82と、フロント・リアウインドウ用ワイパを作動させるワイパスイッチ83と、ウォッシャポンプ81を駆動させるウォッシャスイッチ84と、外部モニタ64とを備える。洗浄液タンク82には、ウォッシャポンプ81が接続されている。
図中に示す符号86は車両通信ラインであり、カメラ部12の外部通信部68からの通信信号、ワイパスイッチ83及びウォッシャスイッチ84のスイッチ情報が車両通信ライン86に入力され、また、車両通信ライン86から洗浄払拭制御部20にワイパスイッチ83及びウォッシャスイッチ84のスイッチ情報が出力される。
【0040】
図9は、カメラ装置10の洗浄払拭処理を示すフローチャートである。(符号については、図8参照。)
カメラ装置10の洗浄払拭制御部20は、まず、車両のフロントウインドウ用又はリアウインドウ用のウォッシャスイッチ84がONであるかどうか判断する(ステップS1)。フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれかのウォッシャスイッチ84がONである(ステップS1:YES)場合は、洗浄払拭制御部20は、払拭モードを実行する。即ち、ウォッシャポンプ81を短期駆動させる(ステップS2)。短期駆動とは、所定の時間間隔(例えば、30秒間隔)で一定時間(例えば、3分間)だけウォッシャポンプ81を駆動させる。これにより、カメラ部12のレンズ表面に洗浄液が滴下される。そして、カメラ用ワイパアーム21をN回駆動させ、レンズ表面の付着物を払拭する(ステップS3)。ここで、これまでのワイパアーム総駆動回数Nwaに払拭モードでのワイパアーム駆動回数Nを加えて新たなワイパアーム総駆動回数Nwaとする。これで、払拭モードは終了である。
【0041】
フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれのウォッシャスイッチ84もOFFである(ステップS1:NO)場合は、洗浄払拭制御部20は、フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれかのワイパスイッチ83がONであるかどうか判断する(ステップS4)。フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれかのワイパスイッチ83がONである(ステップS4:YES)場合は、洗浄払拭制御部20は、洗浄液滴下モードを実施する。フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれのワイパスイッチ83もOFFである(ステップS4:NO)場合は、処理を終了する。
【0042】
洗浄液滴下モードでは、ウォッシャポンプ81を短期駆動させ、レンズ表面に洗浄液を滴下する(ステップS5)。そして、フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれのワイパスイッチもOFFであるかどうか判断する(ステップS6)。
フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれのワイパスイッチもOFFである(ステップS6:YES)場合は、カメラ用ワイパアーム21をN回駆動させ、レンズ表面の付着物を払拭する(ステップS7)。ここで、これまでのワイパアーム総駆動回数Nwaに洗浄液滴下モードでのワイパアーム駆動回数Nを加えて新たなワイパアーム総駆動回数Nwaとする。
フロントウインドウ用又はリアウインドウ用のいずれかのワイパスイッチがONである(ステップS6:NO)場合は、再びウォッシャポンプ81を短期駆動させる(ステップS5)。これで、洗浄液滴下モードは終了である。
【0043】
次に、洗浄払拭制御部20は、ワイパアーム総駆動回数Nwaがワイパアーム所定駆動回数Nstよりも大きいか、あるいは等しいかどうか判断する(ステップS8)。
Nwa≧Nstである(ステップS8:YES)場合は、ワイパブレード洗浄モードを実行する。
Nwa<Nstである(ステップS8:NO)場合は、処理を終了する。
ワイパブレード洗浄モードでは、洗浄払拭制御部20は、ウォッシャポンプ81を長期駆動する(ステップS9)。ワイパブレード14(図1参照)の使用回数(ワイパアーム駆動回数)が多いので、ワイパブレード14が汚れている可能性が高いため、ウォッシャポンプ81を長期駆動(例えば、10分間駆動)させて、洗浄液をワイパブレード14に供給し、ワイパブレード14に付着した汚れを洗い流す。ここで、ワイパアーム総駆動回数Nwaのカウンタをクリアし、ゼロにする。これで、カメラ装置10の洗浄払拭処理は終了である。
【0044】
以上の図1及び図7に示したように、車両の外部に搭載されるカメラとしてのカメラ部12のレンズ(対物レンズ)11又はレンズ11を覆う保護ガラスの表面を払拭するためのワイパブレード14と、洗浄液を吐出するための洗浄液ノズル46と、を備え、ワイパブレード14は、洗浄液ノズル46から吐出される洗浄液を吸収可能な洗浄液吸収材からなり、洗浄液吸収材は、洗浄液ノズル46の直下で洗浄液を吸収可能な位置に配置され、洗浄液吸収材で洗浄液を吸収した状態で、レンズ11又は保護ガラスの表面を払拭する。
【0045】
この構成によれば、ワイパブレード14を洗浄液吸収材で構成し、洗浄液ノズル46の直下に洗浄液吸収材を配置することで、洗浄液を含ませた洗浄液吸収材でレンズ11の表面を払拭することができるため、粘性の高い汚れ(融雪剤、泥等)を確実に除去し、粘性の低い汚れ(雨水の跳ね上げ等)も蓄積しにくくすることが可能となる。更に、洗浄液を含ませた状態でレンズ11の表面を払拭するため、レンズ11の表面との摩擦抵抗が小さくなり、レンズ11の表面での擦り傷の発生を抑えることができる。更に、洗浄液を直下のワイパブレード14に滴下するように供給できるため、洗浄液の飛散を抑制することができ、車両を汚れにくくすることができる。
【0046】
また、図3に示したように、洗浄液ノズル46が接続された配管45に、洗浄液の液圧を下げる減圧弁48を備えるので、減圧弁48で洗浄液の吐出圧力を制御することで、吐出された洗浄液をワイパブレード14に少量ずつ滴下することができ、ワイパブレード14に吸収させることができる。このとき、洗浄液の吐出量を必要最小限に抑えて節約しつつ洗浄液の車体への飛散を抑えることができ、洗浄液による車体の汚れを防ぐことができる。また、ワイパブレード14からも洗浄液を少量ずつレンズ11の表面に滴下する点眼制御が可能になり、レンズ11の表面に洗浄液の膜50a(図6(E)参照)を形成しやすくすることができる。この洗浄液の膜50aの形成により、外部から水滴が付着した時の透過性確保と、レンズ11の表面の防汚効果とを得ることができる。また、洗浄液ノズル46から洗浄液吸収材に洗浄液の供給を一定時間続けることで、ワイパブレード14に付着した汚れを洗浄液で洗い流すことができる。
【0047】
また、図1及び図6に示したように、ワイパブレード14は、両端部よりも中央部が下方に位置する屈曲形状に形成され、ワイパブレード14に供給された洗浄液をレンズ11の表面の中央部に滴下するので、ワイパブレード14に供給された洗浄液をレンズ11の表面の中央部に滴下して、ワイパブレード14を作動させたときに、洗浄液をレンズ11の表面の全体に広がるようにすることができ、洗浄効果及び擦傷防止効果を高めることができる。
また、ワイパブレード14は、V字状に形成されているので、洗浄液は、ワイパブレード14のV字の中央部に集まりやすくなり、レンズ11の表面の中央部に滴下しやすくすることができる。
【0048】
また、レンズ11は、その表面が親水性を有する材料でコーティングされているので、洗浄液をレンズ11の表面に滴下した際に、レンズ11の表面における洗浄液の均一な膜50aの形成を促すことができ、洗浄液の膜50aによって、レンズ11を、外部から飛散してくる雨水、泥等から保護してより一層汚れにくくすることができる。
また、図3に示したように、配管45は、カメラ部12の筐体13に配置され、配管45の途中にヒータ47が設けられるので、ヒータ47で温められた洗浄液により、レンズ11の表面の洗浄効果を高めることができる。また、レンズ11、筐体13へ付着し凍結してできた氷、積もった雪等を温められた洗浄液で融かすことができ、透過性を確保するとともにワイパブレード14等の可動部の作動を良好とすることができる。
【0049】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図4(A)に示したように、ワイパアーム21のセンタアーム23c及びワイパブレード14をV字形状としたが、これに限らず、U字形状、下方に凸となった円弧形状でも良く、要は、両端よりも中央が低くなっていれば良い。
【符号の説明】
【0050】
10 カメラ装置
11 レンズ(対物レンズ)
12 カメラ部(カメラ)
13 筐体
14 ワイパブレード
45 配管
46 洗浄液ノズル
47 ヒータ
48 減圧弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9