特開2015-214327(P2015-214327A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンコック タイヤ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開2015214327-車両用空気入りタイヤ 図000003
  • 特開2015214327-車両用空気入りタイヤ 図000004
  • 特開2015214327-車両用空気入りタイヤ 図000005
  • 特開2015214327-車両用空気入りタイヤ 図000006
  • 特開2015214327-車両用空気入りタイヤ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214327(P2015-214327A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】車両用空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20151106BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   B60C11/12 A
   B60C11/12 C
   B60C11/03 300D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-10833(P2015-10833)
(22)【出願日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0054074
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】502365519
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンソプ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,サンタク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,スンヒー
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ムヨン
(57)【要約】
【課題】雪上路面での走行性能、特に操縦安定性や加速性能、制動性能を向上させることができる車両用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】同一位置で方向性を持つ2つの漏斗形状がカーフの幅および深さ方向に反復形成される3Dカーフ40を備え、タイヤの動き方向に関係なしに均一な接地圧および剛性を維持して雪面および凍りついた路面での走行性能に優れた車両用空気入りタイヤである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドとサイドウォールとビード部とで構成され、前記トレッド上に複数のトレッドブロックと複数のグルーブが形成され、前記トレッドブロックにカーフが形成される車両用空気入りタイヤにおいて、
前記カーフの内壁面は、
地面と接触する前記トレッドの最外側表面に形成されている枠部と、
前記枠部に連結されて前記カーフの深さ方向および長さ方向に反復形成される複数の凹カーフ部および凸カーフ部と、
を具備し、
前記カーフの一内壁面の前記凹カーフ部は前記カーフの対向する他の内壁面の前記凸カーフ部と整合し、前記カーフの一内壁面の前記凸カーフ部は対向する他の内壁面の前記凹カーフ部と整合するように構成され、
前記長さ方向に繰り返される前記凹カーフ部と前記凸カーフ部の突出方向が互いに反対となるように構成されることを特徴とする車両用空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記枠部は波形またはジグザグ形状であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記凹カーフ部および前記凸カーフ部は中間の漏斗形状の中央部と、前記中央部の両側面に接して形成されるテーパ面である円弧状の側面部と、で構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記カーフの直線区間の厚さは0.1乃至5.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記カーフの凸部分を含む拡張区間の厚さは1.1乃至15mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記カーフの凸部分を含む拡張区間の厚さは直線区間の厚さの1.1倍乃至3倍であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記カーフの一つの凹カーフ部と一つの凸カーフ部の長さおよび幅は1乃至15mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記カーフの前記枠部の曲率半径は0.5乃至100mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記凹カーフ部および前記凸カーフ部の側面部の円弧の曲率半径は0.5乃至100mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記カーフの深さは前記ルーブの深さの50乃至90%であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記凹カーフ部および前記凸カーフ部の中央部の両側面部の円弧の曲率半径は同一または互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気入りタイヤに関し、より詳しくは、トレッドブロックに剛性最適化3Dカーフを適用してブロック内の均一な接地力と剛性を確保して雪上路面および乾いた路面ならびに濡れた路面での走行性能に優れた車両用空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤのエッジ効果を向上させて雪上路面での走行性能を向上させる空気入りタイヤと関連して様々な提案がなされている。例えば、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向に向かって延長される複数のブロックにカーフが形成されている空気入りタイヤが提案されている。
【0003】
しかし、このような従来の空気入りタイヤではトレッドブロックにカーフが形成されて、トレッドブロックがカーフにより分割されるので、ブロックの剛性が低下してブロックが変形しやすくなる。これによって、走行時にカーフによって区画されたトレッドブロックの小ブロックの変形に伴ってカーフが崩れて、路面との摩擦による摩擦力が減少し、タイヤが進行する先端部(leading portion)が巻き込まれる現象が発生してタイヤの走行性能、特に操縦安定性や加速・制動性能が低下する問題があった。
【0004】
このようなカーフを改良するために、水平方向の形状だけでなく垂直方向の形状まで曲線に変化して形成されたいわゆる3Dカーフを有するタイヤが提案された。従来のこのような3Dカーフ技術としては、二股ブレードを有する通称Y型ブレード(EP0543267 B1)(特許文献1)によるカーフ、ブレードの側面に多様な形態の突出部が形成された構造のブレード(EP1073562 B1)(特許文献2)を有するカーフ、垂直断面が直線および波状のブレード(JP2005−170308)(特許文献3)を有するカーフなどの技術が開示されている。
【0005】
しかし、カーフによるブロック剛性の低下問題は依然として改善の余地があり、段差のあるカーフの場合、摩耗時に段差部でのブロックが薄くなってぼろぼろになり、外観品位が損傷する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0543267号明細書
【特許文献2】欧州特許第1073562号明細書
【特許文献3】特開2005−170308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は上述した従来技術の問題点を解消するためのものであって、本発明の一つの目的は、タイヤの雪上での回転時により効果的なカーフのエッジ効果を発揮しながらも規則的に摩耗することによってブロック内の均一な接地圧および剛性を確保して、雪上路面での走行性能、特に操縦安定性や加速性能、制動性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、カーフの凹カーフと凸カーフが互いにインターロッキングされてブロック剛性を向上させることによって、雪面および凍りついた路面での走行性能と乾いた路面での走行性能を同時に向上させることはもちろん、規則的な摩耗形状がタイヤの摩耗末期にも維持されてタイヤが摩耗しても雪上路面で均一な接地力を確保し、カーフが段差なしに連続する曲線で構成されてタイヤが摩耗しても外形が損傷しないタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するための本発明の一つの態様は、トレッドとサイドウォールとビード部とで構成され、トレッド上に複数のブロックと複数のグルーブが形成され、前記トレッドブロックに一つ以上のカーフが形成される空気入りタイヤにおいて、前記カーフの内壁面は、トレッドが地面と接触するトレッドの最外側表面に形成されている枠部と、枠部に連結されてカーフの深さ方向および長さ方向に反復形成される複数の凹カーフ部および凸カーフ部と、を具備し、カーフの一内壁面の凹カーフ部はカーフの対向する他の内壁面の凸カーフ部と整合し、カーフの一内壁面の凸カーフ部は対向する他の内壁面の凹カーフ部と整合するように構成され、前記長さ方向に繰り返される凹カーフ部と凸カーフ部の突出方向が互いに反対となるように構成されることを特徴とする車両用空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タイヤの雪面での走行性能の向上のためにトレッドの表面に多数のカーフを形成する場合にもカーフの左右のブロックがカーフの立体的な曲面により互いに噛み合って拘束されることによって、雪面および凍りついた路面での走行性能と乾いた路面および濡れた路面での走行性能を同時に満足させる効果はもちろん、摩耗中期以降に自然に増加するブロックの剛性が初期設計値に近く維持できるようにして摩耗後期にも雪面での高い走行性能が期待できるという効果がある。
【0011】
また、本発明の車両用空気入りタイヤによれば、カーフの段差発生部分がなく、摩耗時にもタイヤの外観品質を有利に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤのトレッドブロックとカーフを示した要部斜視図である。
図2】本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤのカーフの内壁面の概略斜視図である。
図3】本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤのカーフの内壁面とタイヤの動きに応じたカーフの作用を説明するための模式図である。
図4】本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤでトレッドブロックおよびカーフに加わる力の作用関係を説明する模式図である。
図5】本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤのカーフの仕様を説明するためのカーフ部分の正面図、平面図、側断面図および斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。図面において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付ける。
本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤはトレッドとサイドウォールとビード部とで構成され、トレッド上に複数のトレッドブロックと複数のグルーブが形成される。
【0014】
図1は本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤのトレッドブロックとカーフを示した要部斜視図であり、図2は本発明の一実施例の車両用空気入りタイヤのカーフの内壁面の概略斜視図である。図1および図2に示したように、空気入りタイヤにおけるトレッド10にはタイヤ周方向およびタイヤ幅方向に延長される複数のグルーブ20によって形成される複数のトレッドブロック10a、10bが配置されている。具体的には、トレッドにはタイヤ周方向に向かって延長される複数の縦グルーブとトレッドの幅方向に延長される複数の横グルーブとによって形成される複数のトレッドブロック10a、10bに、グルーブ20より細いカーフ40が形成されている。
【0015】
本発明の車両用空気入りタイヤにおいて、カーフ40の一内壁面40a は地面と接触するトレッド10の最外側表面に形成されている枠部41と、当該枠部41に連結されてカーフ40の深さ方向および長さ方向に反復形成される複数の凹カーフ部42および凸カーフ部43と、を備える。枠部41はタイヤのトレッド幅方向にジグザグ形状または穏やかな波形で構成される。カーフ40の一内壁面40aの凹カーフ部42はカーフの対向する他の内壁面40bの凸カーフ部44と整合し、カーフ40の一内壁面40aの凸カーフ部43は対向する他の内壁面40bの凹カーフ部45と整合するように構成され、前記長さ方向に繰り返されるカーフの突出方向が互いに反対となるように構成される。このようにカーフ40の一内壁面40aの凹カーフ部42は平面上で見て凸カーフ部43が突出した方向と反対方向に突出し、他の内壁面40bの凸カーフ部44とインターロッキングされる。一方、カーフ40の一内壁面40aの凸カーフ部43は平面上で見て凹カーフ部42が突出した方向と反対方向に突出し、他の内壁面40bの凹カーフ部45とインターロッキングされる。
【0016】
図2を参照すれば、カーフ40の凹カーフ部42と凸カーフ部43はカーフ40の深さ方向および長さ方向に反復形成されるが、凸カーフ部43の側面にはカーフ40の長さ方向に凹カーフ部42’および凸カーフ部43’が順次形成され、カーフ40の深さ方向にも凹カーフ部42の下方に凸カーフ部43”が形成され、その下に凹カーフ部42”が形成される。本発明におけるカーフ40は同一位置で方向性を持っているが、2つの形状が繰り返される形状でタイヤの動き方向に関係なしに均一なブロック剛性を維持することができる。
【0017】
図3および図4を参照すれば、タイヤのブロックの動きにより方向性を持ってインターロッキングが発生するが、カーフ40の位置によって方向性が異なって、インターロッキングが極大化され、せん断力と荷重の合力が作用する面に垂直な部分で反力が最も大きく発生し、反力が最も大きい位置でインターロッキング効果が最も大きく発生する。このように本発明のタイヤの改良されたカーフは凹カーフ部と凸カーフ部がインターロッキングされてブロック剛性を高めることができるように設計され、乾燥した路面および濡れた路面での走行性能を向上させることができる。また、規則的な摩耗形状が摩耗末期までも維持され、タイヤが摩耗しても雪上路面で均一な接地力を確保することができる。
【0018】
図5を参照すれば、カーフ40の直線区間の厚さtは0.1乃至5.0mmであり、カーフ40の凹カーフ部42および凸カーフ部43による凸部分を含む拡張区間の厚さtは1.1乃至15mmである。カーフ40の凸部分を含む拡張区間の厚さtは前記直線区間の厚さの1.1倍乃至3倍でありうる。
【0019】
本実施例では、カーフ40の一つの凹カーフ部42と一つの凸カーフ部43の長さおよび幅はそれぞれ1mm乃至15mmの範囲内である。
【0020】
図6を参照すれば、凹カーフ部42は中央に上端面から下側に円錐形状または漏斗形状をなす中央部42−1と、当該中央部42−1の両側面に接している円弧状の側面部42−2と、で構成され、凸カーフ部43は中間の円錐形状、イチョウ葉または漏斗形状の中央部43−1と、当該中央部43−1の両側面に接して形成されるテーパ面である円弧状の側面部43−2と、で構成される。上記のように凹カーフ部42の中央部42−1は所定の深さを有する凹な漏斗形状に形成され、両側の側面部42−2は隣り合う凸カーフ部43の側面部43−2と連結されるテーパ面で形成される。このとき、カーフの中央部42−1の両側面部42−2の円弧の曲率半径は同一または互いに異なることができる。
【0021】
カーフ40の枠部41の曲率半径R1は0.5乃至100mmであり、カーフ40の側面部42−2、43−2の円弧の曲率半径 R2は0.5乃至100mmであり、上面と下面を連結する曲率半径R3は0.5乃至100mmである。一方、カーフ40の深さはグルーブ20の深さの50乃至90%に形成されることができる。
【0022】
以上、本発明を特定の実施例に関連して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱しない限度で、本発明の様々な改変および変形が可能であることは通常の知識を有する者にとっては容易に理解できるはずである。従って、本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲およびそれと均等な範囲により解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0023】
10 トレッド
10a、 10b トレッドブロック
40 カーフ
40a、 40b カーフの内壁面
41 枠部
42、42'、42”、45 凹カーフ部
43、43'、43”、44 凸カーフ部
図1
図2
図3
図4
図5