【解決手段】原稿トレイ34に積載された原稿を原稿台上に搬送し、原稿トレイ34の下方に設けられた排紙トレイに排出するADFを備える画像読取装置であって、原稿トレイ34の上面34aから突出しており、原稿トレイ34上に積載された原稿の重みに応じて上下に移動する少なくとも1つの第1突起部40と、原稿トレイ34の下面34bから突出しており、原稿が排紙トレイ上に排出される際に原稿の先端を原稿トレイ34の下面から離れる方向へガイドする少なくとも1つの第2突起部42とを備え、第2突起部42は、第1突起部40と連動して上下に移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような画像読取装置において原稿が排紙トレイに排出される際に、原稿の先端が原稿トレイの下面に接触し、原稿が巻き上がる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、ADFによって原稿が排紙トレイに排出される際に、原稿が巻き上がるなどの排紙不良の発生を減少させることができる画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像読取装置は、原稿トレイに積載された原稿を原稿台上に搬送し、前記原稿トレイの下方に設けられた排紙トレイ上に排出する自動原稿搬送装置を備える画像読取装置であって、前記原稿トレイの上面から突出しており、前記原稿トレイ上に積載された原稿の重みに応じて上下に移動する少なくとも1つの第1突起部と、前記原稿トレイの下面から突出しており、前記原稿が前記排紙トレイ上に排出される際に前記原稿の先端を前記原稿トレイの下面から離れる方向へガイドする少なくとも1つの第2突起部とを備え、前記第2突起部は、前記第1突起部と連動して上下に移動する。
【0007】
この構成によれば、原稿の先端を原稿トレイの下面から離れる方向へガイドする第2突起部が、原稿トレイ上に載置された原稿の重みに応じて上下に移動する第1突起部と連動する。したがって、原稿トレイ上の原稿が減少して排紙トレイ上の原稿が増加した場合に、第2突起部を上方に移動させることができ、排紙トレイ上の原稿の上面と第2突起部との距離を適切に設定することができる。その結果、排紙トレイ第2突起部は、排紙トレイ上に排出されるときの原稿の先端を、排紙トレイ上に既に載置された原稿上に適切にガイドすることができ、原稿が巻き上がるなどの排紙不良の発生を減少させることができる。
【0008】
例えば、前記第2突起部は、前記原稿トレイの下面からの突出量が、前記排紙トレイ上に排出されるときの前記原稿の進行方向に沿って増加する形状を有してもよい。
【0009】
この構成によれば、第2突起部の原稿トレイの下面からの突出量を、排紙トレイ上に排出されるときの原稿の進行方向に沿って増加させることができる。したがって、第2突起部は、より円滑に原稿の先端を下方にガイドすることができ、排紙不良の発生を減少させることができる。
【0010】
例えば、複数の前記第2突起部は、前記排紙トレイ上に排出されるときの前記原稿の進行方向に交差する方向に並んで配置されてもよい。
【0011】
この構成によれば、複数の第2突起部は原稿の進行方向に交差する方向に並んで配置される。したがって、より安定的に原稿の先端をガイドすることができ、排紙不良の発生を減少させることができる。
【0012】
例えば、前記画像読取装置は、さらに、前記第1突起部および前記第2突起部に対して上方向の力を付与する弾性部を備えてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1突起部および第2突起部に対して上方向の力を付与することができる。したがって、原稿トレイの上面に原稿が積載されていない場合に、(i)第1突起部を最も突出した状態で維持し、かつ、(ii)第2突起部を最も突出していない状態で維持することができる。
【0014】
例えば、前記画像読取装置は、さらに、前記弾性部は、前記第1突起部および前記第2突起部と一体に構成されてもよい。
【0015】
この構成によれば、弾性部を第1突起部および第2突起部と一体に構成することができるので、部品点数を減少させることができ、製造コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る画像読取装置は、ADFによって原稿が排紙トレイ上に排出される際に、原稿が巻き上がるなどの排紙不良の発生を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
(実施の形態1)
[画像読取装置の全体構成]
まず、
図1および
図2を参照しながら、実施の形態1に係る画像読取装置10の全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1において蓋体を開けた状態における画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【0021】
画像読取装置10は、例えば、フラットベッド型のイメージスキャナである。
図1に示すように画像読取装置10は、筐体20と、蓋体30とを備える。
【0022】
筐体20には、原稿台22と、スキャン部24と、操作パネル26とが設けられている。
【0023】
原稿台22は、筐体20の上面に設けられた透明な板状部材である。具体的には、原稿台22は、第1プラテンガラス22aと、第2プラテンガラス22bとを有する。
【0024】
スキャン部24は、筐体20内に配置され、例えば、ラインイメージセンサ、レンズ、光源などを備える。スキャン部24は、原稿台22上の原稿に対して相対的に移動しながら当該原稿を光学的にスキャンする。
【0025】
具体的には、スキャン部24は、筐体20の内部を所定方向(X軸方向)に移動しながら、第1プラテンガラス22a上に載置された原稿をスキャンする。また、スキャン部24は、第2プラテンガラス22bの下方に停止した状態で、第2プラテンガラス22b上を通過する原稿をスキャンする。
【0026】
操作パネル26は、ユーザが画像読取装置10を操作するためのユーザインタフェースである。操作パネル26は、例えば、タッチディスプレイ、プッシュボタンなどを備える。
【0027】
蓋体30は、原稿台22を開閉自在に塞ぐ部材である。蓋体30には、原稿100を原稿台22上に供給するADF32が設けられている。
【0028】
ADF32は、原稿トレイ34と、排紙トレイ36と、搬送機構(図示せず)とを備える。ADF32は、原稿トレイ34上に積載された原稿100を1枚ずつ順に原稿台22上に搬送する。そして、ADF32は、原稿台22上に搬送された原稿100を原稿トレイ34の下方に設けられた排紙トレイ36上に排出する。
【0029】
具体的には、原稿100は、例えば、搬送機構によって以下のように搬送される。
【0030】
まず、原稿トレイ34上に積載された原稿100のうちの1枚の原稿は、X軸の負の方向に搬送され、蓋体30の内部に進入する。蓋体30の内部に進入した原稿は、蓋体30内でUターンして、蓋体30の下面に形成された開口部38をX軸の正の方向に通過する。つまり、原稿は、第2プラテンガラス22b上を通過する。このとき、原稿は、スキャン部24によってスキャンされる。開口部38を通過した原稿は、そのままX軸の正の方向に搬送され、蓋体30の内部から排紙トレイ36上に排出される。
【0031】
[ADFの構成]
次に、ADF32の構成の詳細について
図3〜
図6を用いて説明する。ここでは、原稿が巻き上がることを抑制するための構成を中心に説明する。
【0032】
図3は、実施の形態1に係る蓋体の外観を示す斜視図である。
図4は、実施の形態1に係る第1突起部および第2突起部の周辺部分を示す斜視図である。
図5は、実施の形態1に係る原稿トレイを下側から見た斜視図である。
図6は、実施の形態1に係る第1突起部および第2突起部を構成する部材の斜視図である。
【0033】
ADF32は、原稿トレイ34および排紙トレイ36に加えて、ガイド部材45と、弾性部46とを備える。ガイド部材45は、第1突起部40と、第2突起部42と、連結部44とを備える。
【0034】
第1突起部40の各々は、原稿トレイ34の上面34aから突出している。ここでは、第1突起部40は、原稿トレイ34上から搬送されるときの原稿100の進行方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)に並んで配置されている。
【0035】
第1突起部40は、原稿トレイ34上に積載された原稿100の重みに応じて上下に移動する。つまり、第1突起部40は、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が重くなるほど下方に移動する。逆に、第1突起部40は、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が軽くなるほど上方に移動する。
【0036】
言い換えると、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が重くなるほど、原稿トレイ34の上面34aからの第1突起部40の突出量が減少する。逆に、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が軽くなるほど、原稿トレイ34の上面34aからの第1突起部40の突出量が増加する。
【0037】
また、第1突起部40は、原稿が搬送される際の抵抗が大きく増加しないように設置される。つまり、第1突起部40の各々は、原稿トレイ34の上面からの突出量が、原稿トレイ34上から搬送されるときの原稿の進行方向に沿って増加する形状を有する。より具体的には、第1突起部40の各々は、原稿トレイ34の上面34aからの突出量がX軸の負の方向に沿って徐々に増加する形状を有する。例えば、第1突起部40の各々は、原稿の進行方向に沿って高さが増加する傾斜部を有する。
【0038】
第2突起部42の各々は、原稿トレイ34の下面34bから突出している。ここでは、第2突起部42は、排紙トレイ36上に排出されるときの原稿の進行方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)に並んで配置されている。
【0039】
第2突起部42は、第1突起部40と連動して上下に移動する。例えば、第2突起部42は、第1突起部40が移動したときに、第1突起部40と同じ方向に移動する。つまり、第2突起部42も、原稿トレイ34上に積載された原稿100の重みに応じて上下に移動する。
【0040】
つまり、第2突起部42は、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が重くなるほど下方に移動する。逆に、第2突起部42は、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が軽くなるほど上方に移動する。
【0041】
言い換えると、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が重くなるほど、原稿トレイ34の下面34bからの第2突起部42の突出量が増大する。逆に、原稿トレイ34の上面34aに積載された原稿100が軽くなるほど、原稿トレイ34の下面34bからの第2突起部42の突出量が減少する。
【0042】
また、第2突起部42は、原稿が排紙トレイ36上に排出される際に当該原稿の先端を原稿トレイ34の下面34bから離れる方向へガイドする。具体的には、第2突起部42の各々は、原稿トレイ34の下面34bからの突出量が、排紙トレイ36上に排出されるときの原稿の進行方向に沿って増加する形状を有する。より具体的には、第2突起部42の各々は、原稿トレイ34の下面34bからの突出量がX軸の正の方向に沿って徐々に増加する形状を有する。例えば、第2突起部42の各々は、原稿100の進行方向に沿って高さが増加する傾斜部を有する。
【0043】
本実施の形態では、
図5および
図6に示すように、第1突起部40および第2突起部42は、長尺状の連結部44によって連結されている。第1突起部40、第2突起部42、連結部44は、例えば、一体に樹脂成形される。
【0044】
弾性部46は、第1突起部40および第2突起部42を含むガイド部材45に対して上方向の力を付与する。具体的には、例えば
図4および
図5に示すように、弾性部46は、圧縮コイルバネであり、ガイド部材45(連結部44の両端)を下側から押す。これにより、原稿トレイ34の上面34aに原稿が積載されていない場合に、(i)第1突起部40は最も突出した状態で維持され、(ii)第2突起部42は最も突出していない状態で維持される。
【0045】
[効果]
次に、以上のように構成された画像読取装置10の効果について
図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態1に係る画像読取装置の効果を説明するための図である。
【0046】
図7の(a)に示すように、原稿トレイ34上に載置された原稿100aが多い場合、排紙トレイ36上の原稿100bは少なく、原稿トレイ34の下面34bと原稿100bの上面との距離は大きい。このような場合、第1突起部40が原稿100aの重みによって大きく下方に移動するので、第2突起部42も、第1突起部40と連動して大きく下方に移動する。
【0047】
したがって、第2突起部42と排紙トレイ36上の原稿100bとの距離が適切に設定される。その結果、第2突起部42は、排紙トレイ36上に排出されるときの原稿100cの先端を、排紙トレイ36上に既に載置された原稿100b上に適切にガイドすることができ、排紙不良の発生を減少させることができる。
【0048】
一方、
図7の(b)に示すように、原稿トレイ34上に載置された原稿が減少した場合、排紙トレイ36上の原稿100bが増加する。つまり、排紙トレイ36上の原稿100bの上面は上昇する。このような場合、第1突起部40および第2突起部42は、原稿100aの重みが減少することによって、
図7の(a)における位置から上方に移動する。
【0049】
その結果、第2突起部42と排紙トレイ36上の原稿100bとの距離が適切に設定される。つまり、第2突起部42と原稿100bとによって原稿100cが堰き止められることを抑制することができる。言い換えると、第2突起部42は、排紙トレイ36上に排出されるときの原稿100cの先端を、排紙トレイ36上に既に載置された原稿100b上に適切にガイドすることができ、排紙不良の発生を減少させることができる。また、ユーザが排紙トレイ36上の原稿100bを取り出す際に、第2突起部42が原稿100bの移動を妨げることを抑制することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る画像読取装置によれば、原稿の先端を原稿トレイの下面から離れる方向へガイドする第2突起部が、原稿トレイ上に載置された原稿の重みに応じて上下に移動する第1突起部と連動する。したがって、原稿トレイ上の原稿が減少して排紙トレイ上の原稿が増加した場合に、第2突起部を上方に移動させることができ、排紙トレイ上の原稿の上面と第2突起部との距離を適切に設定することができる。その結果、排紙トレイ第2突起部は、排紙トレイ上に排出されるときの原稿の先端を、排紙トレイ上に既に載置された原稿上に適切にガイドすることができ、原稿が巻き上がるなどの排紙不良の発生を減少させることができる。
【0051】
また、本実施の形態に係る画像読取装置によれば、第2突起部の原稿トレイの下面からの突出量を、排紙トレイ上に排出されるときの原稿の進行方向に沿って増加させることができる。したがって、第2突起部は、より円滑に原稿の先端を下方にガイドすることができ、排紙不良の発生を減少させることができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る画像読取装置によれば、複数の第2突起部は原稿の進行方向に交差する方向に並んで配置される。したがって、より安定的に原稿の先端をガイドすることができ、排紙不良の発生を減少させることができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る画像読取装置によれば、第1突起部および第2突起部に対して上方向の力を付与することができる。したがって、原稿トレイの上面に原稿が積載されていない場合に、(i)第1突起部を最も突出した状態で維持し、かつ、(ii)第2突起部を最も突出していない状態で維持することができる。
【0054】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、第1突起部40および第2突起部42に対して上方向の力を付与する弾性部が第1突起部および第2突起部と一体に構成される点が実施の形態1と異なる。以下に、本実施の形態に係る弾性部について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0055】
図8は、実施の形態2に係るガイド部材を下側からみた斜視図である。
図8に示すように、弾性部46Aは、ガイド部材45Aと一体に構成される。具体的には、弾性部46Aは、連結部44Aの両端の下面に設けられる。より具体的には、弾性部46Aは、例えば、連結部44Aと一体に成形された樹脂製の板ばねである。
【0056】
以上のように、本実施の形態に係る画像読取装置によれば、弾性部を第1突起部および第2突起部と一体に構成することができるので、部品点数を減少させることができ、製造コストを削減することができる。
【0057】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態に係る画像読取装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0058】
例えば、上記各実施の形態において、第1突起部および第2突起部の数はそれぞれ3つであったが、これに限定されない。例えば、第1突起部および第2突起部は、それぞれ1つであってもよい。また、第1突起部の数と第2突起部の数とが異なってもよい。
【0059】
また、第1突起部および第2突起部の形状は上記各実施の形態に限定されない。例えば、第1突起部は半円形状であってもよい。また、第1突起部および第2突起部は、薄板形状ではなく、棒形状であってもよい。
【0060】
また、上記実施の形態において、弾性部は、コイルバネおよび板バネであったが、これに限定されない。例えば、弾性部は、トーションバネであってもよい。また、弾性部は、ゴムであってもよい。
【0061】
また、上記各実施の形態において、弾性部は、長尺状の連結部の両端に設置されていたが、これに限らない。例えば、弾性部は、第2突起部の間に設置されてもよい。
【0062】
また、第1突起部は、原稿トレイ上の原稿の有無を検知するセンサとして機能してもよい。
【0063】
また、上記各実施の形態において、画像読取装置は、プリンタを備えてもよい。つまり、各実施の形態に係る画像読取装置と、画像を印刷するプリンタとを備える複合機あるいはコピー機として実現されてもよい。
【0064】
また、上記各実施の形態において、第1突起部および第2突起部は一体に構成されていたが、別体に構成されてもよい。この場合、画像読取装置は、第1突起部と第2突起部とを連動させるための連動機構を備えればよい。