【解決手段】発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、第一剤が酸性物質及び増粘剤を含有する組成物であり、第二剤が前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、水及び/又は保湿剤を含有する組成物であるキット。第1剤が固体状組成物であり、第2剤が50,000mPa・s以下の粘度である液状組成物であるキット。
発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、第一剤が酸性物質、及び増粘剤を含有する組成物であり、第二剤が前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、水及び/又は保湿剤を含有することを特徴とするキット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、第一剤が酸性物質、及び増粘剤を含有する組成物であり、第二剤が前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、水及び/又は保湿剤を含有することを特徴とするキットである。
【0010】
そして、本発明のキットにおいては、使用者が、使用時に、前記第一剤と第二剤とを適宜混合することにより炭酸ガス発生による発泡を生じせしめ、皮膚に塗布して用いることができる。本発明のキットは、第一剤と第二剤に分けることにより保存安定性が良く、かつ、使用者が使用時に取り扱いやすいという特徴を有す。以下、本発明のキット及び本発明のキットを用いて得られる発泡性皮膚外用剤に含まれる各構成成分及びその製法について説明する。
【0011】
<第一剤>
本発明のキットにおける第一剤(以下、第一剤とも言う)は、酸性物質及び増粘剤を含有する。第一剤は固体状の組成物であることが好ましく、第二剤との混合時の混合のしやすさの観点から顆粒状、細粒状、粉末状の形態であることがより好ましい。
【0012】
≪酸性物質≫
本発明の第一剤に用いられる酸性物質としては、有機酸、無機酸のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。また、使用する酸性物質は、固体状が好ましく、第一剤中に含まれるその他成分との混合のしやすさや、第二剤との混合時の混合のしやすさから、顆粒状、細粒状、粉末状がより好ましい。
【0013】
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸又はその塩類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸又はその塩類、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はその塩類、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸又はその塩類等が挙げられ、無機酸としては、リン酸、亜硫酸等の無機酸又はその塩類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、安全性、第二剤への溶解性の観点から、クエン酸又はその塩類、アスコルビン酸又はその塩類、リンゴ酸又はその塩類、コハク酸又はその塩類が好ましく、クエン酸又はその塩類、アスコルビン酸又はその塩類がより好ましい。
【0014】
前記酸性物質は、その他成分との混合物として第一剤で使用することができる。ここで、前記酸性物質とその他成分とを造粒することにより、前記酸性物質の顆粒を得る場合、その他成分の含有量としては特に制限はないが、上記顆粒中において95質量%未満とすることが好ましい。その他成分が95質量%を超える含有量で存在する場合、発泡性が低くなるため好ましくない。
【0015】
上記粉末あるいは顆粒の製造方法は、本実施例に限定されることはなく、乾式破砕造粒法や湿式破砕造粒法、流動層造粒法、高速撹拌造粒法、押し出し造粒法等の常法に従い製造できる。
【0016】
例えば、顆粒の製造においては、顆粒の成形等の機能を有するマトリックス基材を使用しても良い。マトリックス基剤として、低融点化合物を使用する場合は、ビーカー等の容器中で加熱により溶融させた低融点化合物に前記酸性物質を加えて十分撹拌、混合する。必要に応じてこれに適当な添加剤を加えてもよい。これを室温で徐々に冷やしながら更に撹拌し、固まるまで放置する。ある程度固まってきたら冷蔵庫等で急速に冷却してもよい。
【0017】
また、例えば、流動層造粒機に上記材料を投入し、数分間気流で混合し、これに、水を噴霧することにより造粒してもよい。
【0018】
マトリックス基剤に低融点化合物を用いない場合は、ビーカー等の容器中で顆粒化剤を水又はエタノールのような適当な溶媒に溶解又は分散させ、これに前記炭酸ガス発生物質を溶解又は分散させて十分混合した後にオーブン等で加熱して溶媒を除去し、乾燥させる。完全に固まったら粉砕し、粒の大きさを揃えるために篩過した後、顆粒とする。
【0019】
前記酸性物質の形状としては、例えば、不規則な形状、平面な形状、多面体形状、球状、しずく状、繊維状、円柱状、微粉状等が特に制限なく採用できる。また、その粒径としては、幅広い範囲のものが、特に制限なく使用できる。特に、取り扱いのしやすさ、粘性組成物との混合のしやすさの点から、粒径分布が1,000μm以下程度のものがより好ましい。本発明における上記粒径分布は、通常のレーザー回折/散乱法によって求めることができる。
【0020】
酸性物質は、第一剤に含有されている成分とともに、そのまま配合してもよいが、同一剤内のその他成分と物理的に接触しないように配合され、共存しても良い。この場合、例えば、前記酸性物質とその他成分とのいずれか一方又は両方に、これを包むコート層を設けてもよいし、前記酸性物質とその他成分とのいずれか一方又は両方をカプセル化してもよい。また、前記酸性物質と成分の間に、これらが直接接しないように前記酸性物質及びその他成分を含有しない層を挟み、圧縮成形してもよい。
【0021】
以下に、前記酸性物質とその他成分の同一剤内への共存化手段について具体的に述べるが、これらに限定されない。
【0022】
[コート層形成]
コート層形成方法としては、例えば、酸性物質又はその他成分の少なくとも一つにおいてコート層を形成させる方法を使用しても良い。コート層を設けることにより、同一剤内に前記酸性物質、前記その他成分及びその他成分の安定性、耐久性の点から好ましい。
【0023】
上記コート層を構成するに好ましい被覆剤としては、前記酸性物質又は前記その他成分と反応性が低いものであれば特に限定することなく使用することができる。例えば、油脂、脂肪酸、脂肪酸塩、アセチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、可溶性デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、小麦デンプン、多糖類(例えば白糖、乳糖等)、クエン酸塩等が挙げられる。特に、クエン酸等の酸性物質を被覆する場合には、クエン酸カルシウム等のクエン酸塩を採用することが好ましい。また、加熱によって一定以上の温度で溶解する、固体炭化水素ワックス、固体油脂等を使用してコート層を形成してもよい。
【0024】
酸性物質及び/又はその他成分に対する被覆剤の使用量は、酸性物質又はその他成分に対して、好ましくは1〜20%(w/w)、さらに好ましくは1〜10%(w/w)程度とされる。
【0025】
コート層の被覆法は、粒子の被覆に通常用いられるものであれば、いずれの方法で行ってもよい。例えば、噴霧造粒や転動造粒等により、造粒と同時に被覆してもよく、粉末又は造粒物に油脂コーティング、造粒コーティング、輸送層法、パンコーティング、転動コーティング、流動コーティング又はドライコーティング等の方法を用いて被覆してもよい。コーティングの際、過度な熱や、物理的な力が加わったりすると、前記酸性物質又は前記その他成分が破壊されると共に、生成した被膜が壊れ、前記酸性物質又は前記その他成分の表面全体に上記脂質粉状体を均一にコーティングすることが難しくなるばかりか、表面に前記酸性物質又は前記その他成分が漏出し吸湿による固化、あるいは配合時に他成分へ及ぼす悪影響の原因ともなるので、コーティング条件はコート層及びコーティング対象が破壊されない程度のものとする必要がある。
【0026】
[カプセル化]
酸性物質及び/又はその他成分をカプセル化する場合は、特に限定されること無く公知の方法を採用しても良い。
【0027】
カプセル化の方法としては、公知の方法が特に限定されること無く適用することができ、カプセル化の材料としては、ゼラチン、デンプン、アラビアゴム、メチルセルロース、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、シリコーン樹脂、固形ワックス、ポリエチレン、脂肪酸、高級アルコール等、またリポソーム等の界面活性剤の多重層を形成したもの等が含まれるが、これらに限定することなく広く用いることができる。例えば、カプセルの基本構造が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレンから選択される一種以上のモノマーから形成されるホモポリマー又はコポリマーからなる、もしくは前記モノマーとアクリル酸、メタクリル酸、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートから選択されるモノマーとから形成されるコポリマーからなる樹脂カプセルとすることも好ましい。この様なマイクロカプセルは、内容物とカプセルの外殻を構成するポリマーの構成モノマーとを水等の反応溶媒中に乳化させて、これにアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を加えて、乳化重合を行えばよい。かかる乳化に用いる界面活性成分としては、例えば、「ラポナイトXLG」の名称で販売されているヘクスライト等が好適に例示できる。生じたマイクロカプセルを遠心分離等の手段で分離し、所望により、洗浄することにより、本発明のマイクロカプセルを製造することができる。
【0028】
[圧縮成形]
圧縮成形の方法としては、前記酸性物質を含む第一層と前記その他成分を含む第二層の間にこれらが直接接しないように、前記酸性物質及び前記その他成分以外の物質(例えば、賦形剤、増粘剤等)からなる第三層を挟み、圧縮成形する方法を採用しても良い。前記圧縮成形された剤形としては、錠剤状、球状、板状等、固体状であればどのような剤形でも構わない。ここで、用いる前記酸性物質と前記その他成分は、そのまま使用してもよいし、第一層又は第二層いずれか一方以上に、上記の方法でコート層を設けた前記酸性物質又は前記その他成分や、カプセル化した前記酸性物質又は前記その他成分を使用してもよい。圧縮成形の方法は、特に限定されること無く公知の方法を適用することができる。
【0029】
上記第一層及び第二層に含まれる前記酸性物質及び前記その他成分は、そのまま使用してもよいし、それ以外に賦形剤、増粘剤等を混合して使用してもよい。第一層、第二層及び第三層に用いられる賦形剤、増粘剤等としては、上記顆粒剤の説明において記載したものを特に限定無く使用することができる。
【0030】
前記酸性物質は、第一剤中に1〜50質量%含有されることが好ましく、3〜40質量%含有されることがより好ましく、5〜30質量%含有されることが更に好ましい。上記範囲を超えてしまうと第一剤の安定性が悪くなり、使用時の発泡性が悪くなったり、発泡性皮膚外用剤として使用する際のpHが強酸性や強塩基性になってしまい、皮膚への刺激が強くなったりしてしまう。
【0031】
≪増粘剤≫
本発明の第一剤に使用される増粘剤としては、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水溶性成分であれば特に限定されるものでなく、合成高分子、半合成高分子、天然高分子、粘度鉱物等が使用できる。
【0032】
合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、プルロニックをはじめとする親水性合成高分子が挙げられる。
【0033】
半合成高分子としては、セルロース誘導体としては例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。その他の半合成高分子として、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、デキストリン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0034】
天然高分子としては、多糖類及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、アガロース、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キトサン及びその誘導体などが挙げられる。その他の天然高分子としては、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性タンパク質、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類などが挙げられる。
【0035】
粘土鉱物としては、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられる。
【0036】
以上の増粘剤のなかでも、第二剤への溶解性又は分散性が高いものを用いることが、第一剤をダマを生じず均一に溶解又は分散でき、且つ、未溶解成分や未分散成分に起因する肌のざらつき感を緩和することができるため好ましい。ここで、第二剤への溶解性の良否は、室温程度の第二剤を加え撹拌した際に、皮膚外用剤が瞬時に水又は保湿剤に溶けて、あるいは分散して均一に溶解することによって炭酸ガスを保持するのに十分な粘度を有することや、溶解時又は分散時にダマを生じないこと等から判断することができる。
【0037】
このような増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等を挙げる事ができ、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、キサンタンガム、カラギーナン、アルブミンを用いることが好ましい。上記増粘剤は1種又は2種以上を使用できる。2種以上を使用する場合は、発生した炭酸ガスの保持、炭酸ガスによる泡質の観点から水溶性タンパク質を使用することが好ましく、水溶性タンパク質とその他増粘剤とを組み合わせて使用することがより好ましい。水溶性タンパク質としては、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンが好ましい。
【0038】
上記増粘剤は、第一剤中に1〜50質量%含有されることが好ましく、3〜45質量%含有されることがより好ましく、5〜40質量%含有されることが更に好ましい。上記含有量が少ないと、第一剤と第二剤との混合時に、未溶解成分や未分散成分に起因するざらつき感が生じやすいため、使用感が損なわれる。また、使用時に垂れ落ちを生じやすく肌との密着性に欠けることに加え、発生した炭酸ガスの保持能力も劣るため、十分な血行促進作用を得ることができなくなる。一方、増粘剤含有量が上記範囲を超えて多いと、第二剤への溶解性及び分散性に劣り、ダマを発生して肌への塗布時に不快感を生じたり、粘度が高すぎるため肌への塗布がしにくくなったり、洗い流しにくくなる。また、炭酸ガスの発生にムラが生じ、発生した炭酸ガスの保持能力もあまり高くないことから、十分な血行促進作用を得ることができなくなる。
【0039】
第一剤は必要に応じて賦形剤を使用することができる。使用できる賦形剤は化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる賦形剤が使用できる。具体例としては、例えばグルコース、マルチトール、乳糖、デキストリン、デンプン、タルク、シリカ等が挙げられ、グルコース、デキストリン、デンプンが好ましい。
【0040】
<第二剤>
本発明のキットにおける第二剤としては、酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、水及び/又は保湿剤を含有する。好ましくは、炭酸ガス発生物質、水及び保湿剤を含有する。
【0041】
≪炭酸ガス発生物質≫
本発明の第二剤に用いられる炭酸ガス発生物質としては、様々なものが特に限定されることなく使用できる。また、使用する炭酸ガス発生物質は、固体状が好ましく、水又は保湿剤への溶解性の観点から、顆粒状、細粒状、粉末状がより好ましい。
【0042】
前記炭酸ガス発生物質として、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうち、炭酸水素塩が好ましく使用でき、程よい発泡力を実現することができる点で炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0043】
上記炭酸ガス発生物質は、第二剤中に0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が更に好ましい。
【0044】
≪水≫
第二剤として使用できる水は、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水を使用することができるが、精製水、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水、が好ましい。配合量においては、第二剤中に1質量%以上配合していれば良く、好ましくは3〜95質量%であり、より好ましくは5〜90質量%である。上記含有量が1質量%より少ないと、第一剤と第二剤とを混合した際に炭酸ガスが発生しにくくなる、炭酸ガスの発生量が減少する等の問題が生じてしまい、その結果、十分な血行促進作用を得ることができなくなる。
【0045】
≪保湿剤≫
第二剤に用いる保湿剤としては、多価アルコール類、糖類、アミノ酸類、有機酸類、ステロール類、尿素、蛋白質類、植物抽出物類等、通常化粧品、外用医薬品、医薬部外品等に使用できる保湿剤が使用できる。具体例としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ソルビトール、ポリグリセリン誘導体などの多価アルコール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アーモンド、アボカド、アルテア、アロエ、ウスベニアオイ、オノニス、カラスムギ、甘草、クインスシード、クララ(クジン)、クチナシ、グレープフルーツ、クレソン、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、ゴボウ、コムギ、サイシン、サボテン、サボンソウ、サンザシ、ジオウ、シモツケ、ショウガ、ゼニアオイ、クワ、タチジャコウソウ、冬虫夏草、ドクダミ、ハッカ、ハトムギ、ハマメリス、バラ、ヒノキ、フキタンポポ、ブドウ、プルーン、ヘチマ、ボダイジュ、ホップ、マツ、マルメロ、マロニエ、メリッサ、ヤグルマソウ、ユリ、ライム、ラベンダー、リンゴ、コメ及びコメヌカ、ブラックカラント、イブキトラノオ、ノイバラ、エゾウコギ、海藻等の植物抽出物が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。上記保湿剤のうち、第二剤の保存安定性や製造コスト、使用時の皮膚への刺激緩和の観点から少なくとも1種の多価アルコールを使用することが好ましく、特にグリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールのうち少なくとも1種を使用することが好ましい。保湿剤を使用する場合、その配合量は、保湿剤の種類によって若干の差はあるが、0.01質量%以上であれば良く、0.01〜95質量%が好ましく、0.5〜90質量%がより好ましく、1〜80質量%が更に好ましい。上記含有量が0.01質量%より少ないと、拡散水分量や弾力等の肌への効果が低くなるだけでなく、使用時の取り扱いやすさ、例えば混ぜやすさや塗りやすさ、垂れにくさ、除去のしやすさが悪くなる。また、90質量%より多いと、第一剤と第二剤とを混合した際に炭酸ガスが発生しにくくなる、炭酸ガスの発生量が減少する等の問題が生じてしまい、その結果、十分な血行促進作用を得ることができなくなる。
【0046】
本発明の第二剤は、炭酸ガス発生物質とともに水及び/又は保湿剤を含有するが、水及び保湿剤を含有することが好ましい。水及び保湿剤を含有することで、発泡時間を適度に保持できるとともに、後述の実施例2〜4からも明らかなとおり、角層水分量や弾力、肌のしっとり感、明るさ、赤みといった肌状態の改善効果のみでなく、使用時の混ぜやすさ、塗りやすさ、垂れにくさといった使用感が向上する。
【0047】
本発明の第二剤は液状の組成物であることが好ましく、第一剤との混合性の観点から、粘度が低いことがより好ましい。具体的には、25℃における粘度が、好ましくは50,000mPa・s以下であり、より好ましくは30,000mPa・s以下であり、特に好ましくは10,000mPa・s以下、更に好ましくは5,000mPa・s以下である。また、本発明の第二剤は、実質的に増粘剤を含まないことが好ましい。ここで、実質的に増粘剤を含まないとは、本発明の第一剤で用いる増粘剤を、第二剤に含まないことを言う。本発明において、第二剤の粘度が50,000mPa・sを超える場合、第一剤との混合時に第一剤が粘性組成物である第二剤に均一に分散しにくくなり、炭酸ガスによる発泡にムラが発生しやすくなる。また、発泡が開始するまでに時間がかかってしまう。第二剤に粘度の低い液状の組成物を用いることは、後述する実施例5から明らかなように、肌を明るくし、その明るさを持続できるとともに、肌のしっとり感、弾力等肌状態が向上する効果を有するとともに、使用時の混ぜやすさ、塗りやすさといった使用感が向上するため、好ましい。
【0048】
また、発泡性皮膚外用剤を得るための2剤式のキットとしては、第一剤に炭酸ガス発生物質を含有する粉末、第二剤に酸性物質と水を含有する液体の形態も考えられる。しかし、第二剤に酸性物質を使用する場合、例えば酸性物質そのものが分解したり、配合成分が酸性物質により分解したり、酸性物質が触媒となって配合成分同士の反応が起こってしまい、変色や粘度、pHの変化が発生しやすく長期保存しにくくなってしまう。また、第二剤のみを誤って皮膚に使用した場合、肌に強い刺激を与えてしまう等、安全上の問題がある。一方、本発明の第二剤のように炭酸ガス発生物質を使用する場合は炭酸ガス発生物質やその他配合成分の分解や配合成分同士の反応の恐れがないため安定性に優れている。また、誤って第二剤のみを使用した場合でも肌への刺激は少ない。更に、後述する実施例2から明らかなように、本発明の第二剤は炭酸ガス発生物質を使用することで、第二剤に酸性物質を使用する場合に比べて使用時の混ぜやすさ、塗りやすさ、垂れやすさ、除去のしやすさといった使用感が向上すると共に、肌のしっとり感、弾力、明るさ、赤みといった肌状態向上効果も有するため、好ましい。
【0049】
<皮膚外用剤>
本発明のキットを用いて製造される発泡性型皮膚外用剤は、用途や目的に応じ、第一剤、第二剤に含まれる成分に加え、その他有効成分、防腐剤、pH調整剤、油脂、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、アルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤、無機塩、滑沢剤、溶剤等の、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上を使用することができる。この場合、添加する成分は第一剤、第二剤いずれか一方の剤に使用することができるし、どちらの剤にも使用しても良い。
【0050】
以下、本発明のキットを用いて製造される発泡性型皮膚外用剤に含有される、酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、保湿剤以外の成分の代表的なものについて更に説明する。
【0051】
本発明に使用される有効成分としては、特に限定されることなく、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等に用いられる薬剤や植物等を目的に応じ使用することができる。代表的なものとして、例えば、グリチルリチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン、パンテノール、アラントイン等の抗炎症剤、アスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン及びその誘導体並びにその塩、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、プラセンタ、ハイドロキノン及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、グルタチオン等の美白剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤、サリチル酸、オウバク抽出物等の殺菌剤、トコフェロール及びその誘導体、甘草、アロエ、茶葉等の植物成分、エストラジオール等のホルモン等が挙げられる。なお、植物成分を使用する場合は、その全草、葉(葉身、葉柄等)、果実(成熟、未熟等)、種子、花(花弁、子房等)、茎、根茎、根、塊根等を、そのまま、切断、破砕、粉砕、搾取、抽出して用いるか、又はこれら処理されたものを乾燥若しくは粉末化して用いることができる。本発明に使用される有効成分は、第一剤、第二剤のいずれにも使用することができる。
【0052】
本発明において抽出物を用いる場合、抽出に用いる溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エチルエーテル、アセトンなどの有機溶媒を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。安全性等の点から、人体に無害な水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、又はこれらの混合溶媒を抽出溶媒として用いることが好ましい。抽出は抽出溶媒の沸点以下であればよく、抽出温度によって適宜抽出時間は変更することができる。抽出物を本発明の第一剤で使用する場合、抽出物は、抽出溶媒として使用した水を含む場合もあるが、第一剤の成分として使用する場合は実質的に水を含まないものが好ましい。ここで、実質的に水を含まないとは、第一剤の保存中に品質を劣化させるために必要な量の水分を含まないことを言う。
【0053】
本発明に使用される界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は合成界面活性剤、天然界面活性剤のいずれも使用できるが、皮膚への安全性の観点から、天然界面活性剤が好ましい。ここで言う天然界面活性剤とは、主に動物または植物の由来の界面活性効果を有する物質のことを言い、具体例としては、レシチンなどのリン脂質、糖脂質、ラノリン、コレステロール、サポニン、セラミドなどのスフィンゴ脂質、ペクチン、グリチルリチン酸塩、胆汁酸、植物抽出アミノ酸系界面活性剤等が挙げられる。その中でも、リン脂質、サポニン、スフィンゴ脂質、ペクチン、グリチルリチン酸塩を含む抽出物を含有していることが好ましく、サポニンを含む抽出物を含有していることが特に好ましい。サポニンを含む抽出物としては、植物由来の抽出物を用いることが好ましい。サポニンを含む植物の例としては、ダイズ、アズキ、インゲン、ホウレンソウ、サトウダイコン、ブドウ、キキョウ、甘草、セネガ、キラヤ、ムクロジ、サボンソウ、オタネニンジン、ヘチマ、茶種子、エンジュ、ユリ科植物や、ヤマノイモ科植物、チモ(知母)、バクモンドウ(麦門冬)などを挙げることができる。本発明においては、サポニンを含む抽出物として、これら植物のうち、ダイズ、アズキ、甘草、ムクロジ、ヘチマから選ばれる1種以上の植物の抽出物を含有することが好ましく、とりわけ、ムクロジの抽出物を含有することが好ましい。
【0054】
上記天然界面活性剤は増粘剤と併用することで気泡をより長く保つことができる。併用できる増粘剤は、第一剤に使用するそれと同じである。
【0055】
<発泡性皮膚外用剤の使用形態>
本発明のキットは、発泡性皮膚外用剤を得るための使用に際し、第一剤と第二剤を適量容器内で混合することにより炭酸ガスによる発泡を生じさせる。第一剤と第二剤は1:0.1〜1:30の割合で混合することが好ましく、1:0.5〜1:10の割合で混合することがより好ましく、1:1〜1:5の割合で混合することが特に好ましい。
【0056】
本発明のキットを保存する方法としては、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等を保存する方法を用いることができ、特に制限はないが、第一剤は水分を遮断し接触しない状態で保存されているのが良い。使用される保存容器の形状は、目的に応じて適宜選択でき、カップ状、チューブ状、バッグ状、瓶状、スティック状、ポンプ状、ジャー状、缶詰状等が挙げられる。また、保存容器を構成する材料は、例えば、プラスチック、ガラス、アルミニウム、紙、各種ポリマー等を単独あるいは2種以上選択して用いることができるが、これらに限定されない。
【0057】
容器の具体例としては、密閉性、内容物の保存安定性、製造コスト等の点で、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミスティック、アルミバッグ等の保存容器、チャック付きスタンドパウチ、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミフィルム等で蓋をヒートシールしたポリエチレンテレフタレート製の保存容器等が好ましい。
【0058】
<発泡性皮膚外用剤の用途>
本発明のキットを使用して得られる発泡性皮膚外用剤は、皮膚血流量の増加を促すものであり、美白、肌質改善、そばかす改善、肌の若返り、肌の引き締め、部分痩せ、皮膚を清浄にする、肌を整える、肌のキメを整える、皮膚をすこやかに保つ、肌荒れを防ぐ、肌をひきしめる、皮膚にうるおいを与える、皮膚の水分,油分を補い保つ、皮膚の柔軟性を保つ、皮膚を保護する、皮膚に乾燥を防ぐ、肌を柔らげる、肌にはりを与える、肌にツヤを与える、肌を滑らかにする、日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ、乾燥による小ジワを目立たなくすることを目的とした化粧品だけでなく、肌あれ、あれ性、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびの予防、油症肌、かみそりまけの予防、日やけによるしみ・そばかすの予防、日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ、肌をひきしめる、肌を清浄にする、肌を整える、皮膚をすこやかに保つ、皮膚にうるおいを与える、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ等を目的とした、化粧品、医薬部外品、薬品等の医薬品のいずれにも好適に使用することができる。本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品としての使用が好ましく、乳液、クリーム、パック剤、ピーリング剤等の化粧品、薬用化粧品としての使用がより好ましい。特にその中でもパック剤として使用すると、使用感がよく、短時間で高い肌状態改善効果が得やすいため好ましい。
【0059】
本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤をパック剤として使用する場合、所望の部位を覆うように0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上の厚さに塗布すればよい。0.2mm以上の厚さに塗布することで、炭酸ガスによる肌状態改善効果を得ることができる。また、使用時間は1分以上であれば良く、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上である。塗布終了後は拭き取るか、水などで洗い流すか、あるいはその両方を行ってもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。下記の各実施例及び比較例において、使用する原料は特にことわりのない限り、市販品を用いた。
【0061】
<発泡性皮膚外用剤の製造>
表1に示した組成に従い、本発明のキットを製造した。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例1〜4、比較例1
[第一剤]
第一剤に記載の原料を混合し、粉末状の第一剤を得た。
[第二剤]
ビーカーに精製水を加え、次いで第二剤に記載の原料を加えて撹拌し、液状の第二剤を得た。
比較例2
[第一剤]
第一剤に記載の原料を混合し、粉末状の第一剤を得た。
[第二剤]
ビーカーに精製水を入れ、次いで増粘剤を加えて撹拌し、粘性組成物の第二剤を得た。
【0064】
<発泡性皮膚外用剤の特性評価>
下記要領に従い、上記実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた発泡性皮膚外用剤の特性を評価した。
[評価例1.第二剤粘度の評価]
表1に記載の第二剤において、粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて実施例1〜4、比較例1〜2の粘度を測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0065】
[評価例2.発泡量の評価]
実施例1〜4、比較例1
直径約4.8cm、高さ約10.5cmの瓶に第二剤27gを入れ、これに第一剤9gを加えて、10秒間に20回撹拌した。1分後、10分後、20分後の体積を測定し、撹拌前の体積に対する体積の増加率を測定した。その結果を、
図1に示す。
【0066】
比較例2
直径約4.8cm、高さ約10.5cmの瓶に第二剤18.93gを入れ、これに第一剤1.07gを加えて、10秒間に20回撹拌した。1分後、10分後、20分後の体積を測定し、撹拌前の体積に対する体積の増加率を測定した。その結果を、
図1に示す。
【0067】
[評価例3.使用前後の肌状態測定]
上記実施例1〜4、比較例1及び2で得られた本発明のキットを用いて発泡性皮膚外用剤を調製し、得られた発泡性皮膚外用剤の使用前後における角層水分量(測定機器:SKICON―200EX)、及び弾力(測定機器:Cutometer MPA580)を測定した。
被験者(20代〜30代女性3名)の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごした。次に、発泡性皮膚外用剤使用前の測定を行った。次に、測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。洗浄後15分経過してから発泡性皮膚外用剤使用後の測定を行った。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。
使用後の肌状態測定結果を表3に示す。表3は角層水分量及び弾力の測定結果である。表3はそれぞれ発泡性皮膚外用剤使用前を1とした比較値を表す。角層水分量は数値が大きいほど良いことを示し、弾力は数値が大きいほど良いことを示す。
【0068】
【表3】
【0069】
[評価例4.発泡性皮膚外用剤の使用感の評価]
上記実施例1〜4、比較例1及び2で得られた本発明のキットを用いて発泡性皮膚外用剤を調製し、得られた発泡性皮膚外用剤の使用時、及び使用後について、表4に示す項目の評価を行った。
まず、被験者(20代〜30代女性3名)の前腕内側を洗顔料で洗浄し、15分間安静に過ごした。次に、測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。その後、表4の(1)〜(8)の8項目についてアンケートを実施した。アンケートの評価は、下記(1)〜(8)の項目について、実施例1を基準とし、実施例1と同等の場合を4(どちらでもない)とし、1(悪い)〜7(良い)の7段階で評価し、3人の平均点を算出した。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。
【0070】
【表4】
【0071】
表2より、実施例1〜4は第二剤に粘性がなく、優れた流動性を示す液状組成物であることがわかる。また、
図1より、炭酸ガスの発泡量は、撹拌直後は実施例2>実施例1>実施例4>実施例3>比較例2であり、20分後では実施例24>実施例4>実施例1,3>比較例2であった。このことから、比較例2に比べて実施例1〜4は炭酸ガスがよく保持できていることがわかる。
表3より、使用後の肌の状態は、角層水分量は実施例4>実施例2>実施例3>比較例1>実施例1>比較例2の順でよい結果が得られ、弾力は実施例2>実施例4>実施例3>実施例1>比較例1>比較例2の順でよい結果が得られた。すなわち、比較例1、2に比べて実施例1〜4は使用後の状態向上に効果があることがわかり、特に水と保湿剤を併用した実施例2〜4でその効果が高くなる、すなわち、肌をみずみずしく保つことがわかる。
また、表4より、本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤は比較例1、2と比べて使用時の評価が高いことがわかる。特に、第一剤と第二剤の混合時に混ぜやすく、混合後に塗りやすく、垂れにくく、使用後に除去しやすく、かつ、使用後の肌のしっとり感、弾力、肌が明るくなる、肌の赤みが確認できる効果が得られているため、使用者にとって容易に使用しやすく、かつ、肌への効果が高いことがわかる。
以上の結果より、本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤は、使用者にとって容易に使用しやすく、かつ、肌への効果が高いことがわかり、特に、第二剤に水及び保湿剤を併用した場合、その効果が顕著に現れることがわかる。
【0072】
<発泡性皮膚外用剤の製造>
表5に示した組成に従い、本発明のキットを製造した。実施例5、6及び比較例3は実施例1と同様の方法で、比較例4は比較例2と同様の方法で製造した。
【0073】
【表5】
【0074】
<発泡性皮膚外用剤の特性評価>
下記要領に従い、上記実施例5、6、比較例3及び4で得られた発泡性皮膚外用剤の特性を評価した。
[評価例5.第二剤粘度の評価]
表5に記載の第二剤において、粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて実施例5、6、比較例3及び4の粘度を測定した。結果を表5に示す。
【0075】
【表6】
【0076】
[評価例6.美白効果の評価]
表5に示した組成の実施例4、5、比較例3及び4の本発明のキットで得られた発泡性皮膚外用剤について、使用後の美白効果、及び使用感の評価を行った。実施例4、5、比較例3は実施例1と同様の製造方法にて、比較例4は比較例2と同様の製造方法にて調製した。美白効果は使用前後における肌の色差(測定機器:色彩色差計)を用いて測定した。
被験者(20代〜30代女性4名)の前腕内側を水で洗浄し測定室で15分間安静に過ごした。次に、発泡性皮膚外用剤使用前の測定を行った。次に、測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。洗浄後15分、60分及び120分経過に発泡性皮膚外用剤の使用後の色差の測定を行った。発泡性皮膚外用剤の使用前に対する使用後の肌の明度の変化値(ΔL*値)を求め、その平均値で評価した。ΔL*値は、数値が大きいほど使用後に肌の色が白くなったことを示す。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。結果を表7に示す。
【0077】
【表7】
【0078】
[評価例7.発泡性皮膚外用剤の使用感の評価]
上記実施例5、6、比較例3及び4で得られた本発明のキットを用いて発泡性皮膚外用剤を調製し、得られた発泡性皮膚外用剤の使用時、及び使用後について、表8に示す項目の評価を行った。
まず、被験者(20代〜30代女性4名)の前腕内側を水で洗浄し、15分間安静に過ごした。次に、測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。その後、表7の(1)〜(5)の5項目についてアンケートを実施した。アンケートの評価は、下記(1)〜(5)の項目について、比較例3を基準とし、同等の場合を4(どちらでもない)とし、1(悪い)〜7(良い)の7段階で評価し、4人の平均点を算出した。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。
【0079】
【表8】
【0080】
表6より、実施例5及び6は第二剤に粘性がなく、優れた流動性を示す液状組成物であることがわかる。
表7より、本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤実施例5及び6は、使用15分後のΔL*値が0.5以上であり、比較例3、4と比較して高い数値を示した。また、120分経過後、比較例3、4のΔL*値はほぼ0であり、使用前と同等の肌の色であったのに対し、実施例4、5のΔL*値は0.30以上と高い数値を維持していた。実施例5、6を用いることで肌を明るくし、かつ、その明るさを持続できることがわかる。
表8より、本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤は比較例3、4と比べて使用時の評価が高いことがわかる。特に、肌に塗りやすく、使用者にとって容易に使用しやすいことがわかる。さらに、使用後の肌のしっとり感、肌の明るさが良くなる効果が得られているため、使用者にとって容易に使用しやすく、かつ、肌への効果が高いことがわかる。
以上の結果より、本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤は、肌への効果、特に短時間の使用で肌の美白作用に効果があり、かつ、使用者にとって容易に使用しやすいものであることがわかる。特に、第一剤が酸性物質を含有する粉末であり、第二剤が炭酸ガス発生物質を含有する粘性の低い液体である場合、比較例に比べて高い美白作用を有し、かつ、使用感が良いものであることがわかる。
【0081】
以下に、本発明のキットの具体的な処方例を示す。第一剤、第二剤とも実施例1の製法と同様の製法又は一般的な化粧品の製法にて製造することができる。
【0082】
実施例7
【表9】
【0083】
表9に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:3で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0084】
実施例8
【表10】
【0085】
表10に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:2で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0086】
実施例9
【表11】
【0087】
表11に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:1で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0088】
実施例10
【表12】
【0089】
表12に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:10で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0090】
実施例11
【表13】
【0091】
表13に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:5で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0092】
実施例12
【表14】
【0093】
表14に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:3で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0094】
実施例13
【表15】
【0095】
表15に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:2で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0096】
実施例14
【表16】
【0097】
表16に記載の処方にて、実施例1と同様の方法で発泡性皮膚外用剤用キットを調整した。得られたキットの第一剤と第二剤を1:1で混合すると、発泡性皮膚外用剤を得ることができる。
【0098】
上記検討から明らかなように、本発明のキットは、均一に混合することが容易であり、使用時に炭酸ガスがムラなく発生するという効果を奏する。更に、本発明のキットを用いて得られた発泡性皮膚外用剤を用いることで、肌を白く、みずみずしく保つという効果を奏することがわかる。