【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー100重量部と、アクリル系モノマー3〜20重量部と、式(1)で示される構造を有する重合禁止剤0.002〜0.2重量部とを含有していることを特徴とする。
【0013】
【化1】
(式(1)中、Rは、H又はアルキル基である。)
【0014】
放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーは、主鎖となるアクリル系ポリマーに側鎖(ペンダント基)として放射線反応性基が結合しており、放射線の照射によって放射線反応性基にラジカルが発生し、アクリル系モノマーがアクリル系ポリマーにグラフト重合反応することによって、アクリル系ポリマー間に架橋構造が形成される。
【0015】
主鎖となるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーの重合体又は共重合体である。アクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)メタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜8のアルキル(メタ)アクリレートは、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートが好ましい。アクリル系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0016】
放射線反応性基とは、放射線の照射によって励起されて重合反応の引き金となるラジカルを発生させて、アクリル系モノマーを放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーにグラフト重合させて、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーを架橋させる官能基をいう。放射線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、中性子線などが挙げられる。
【0017】
放射線反応性基としては、例えば、ベンゾフェノン骨格を有する官能基、ベンジル骨格を有する官能基、o−ベンゾイル安息香酸エステル骨格を有する官能基、チオキサントン骨格を有する官能基、3−ケトクマリン骨格を有する官能基、2−エチルアントラキノン骨格を有する官能基、カンファーキノン骨格を有する官能基などが挙げられ、ベンゾフェノン骨格を有する官能基が好ましい。
【0018】
放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーは、アクリル系ポリマーの側鎖に放射線反応基を汎用の要領で導入して製造してもよいし、又は、アクリル系モノマーと、これと共重合可能で且つ放射線反応性基を有するビニルモノマーとを含むモノマー混合物を重合させて製造してもよい。
【0019】
アクリル系ポリマーに導入された放射線反応性基の量は、ポットライフが長くて優れた粘着性を有する放射線硬化型ホットメルト粘着剤を得ることができるので、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー全体の重量に対して0.1〜5重量%が好ましい。
【0020】
アクリル系モノマーと共重合可能で且つ放射線反応性基を有するビニルモノマーとしては、特に限定されないが、ベンゾフェノン骨格を有するアクリル系モノマーが好ましい。ベンゾフェノン骨格を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシ−4’−ブロモベンゾフェノンなどが挙げられる。なお、ベンゾフェノン骨格を有するアクリル系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0021】
放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーは、BASF社から商品名「acResin(登録商標)UV」にて市販されている。2−エチルへキシルアクリレート成分を含むアクリル系ポリマーを主鎖とし且つ側鎖としてベンゾフェノン基が結合しているアクリル系ポリマーは、BASF社から商品名「acResin(登録商標)A203 UV」及び「acResin(登録商標)A204 UV」にて市販されている。ブチルアクリレート成分を含むアクリル系ポリマーを主鎖とし且つ側鎖として放射線反応性基が結合しているアクリル系ポリマーは、BASF社から商品名「acResin(登録商標)A258 UV」にて市販されている。2−エチルへキシルアクリレート成分及びメチルメタクリレート成分を含むアクリル系ポリマーを主鎖とし且つ側鎖としてベンゾフェノン基が結合しているアクリル系ポリマーは、BASF社から商品名「acResin(登録商標)3532 UV」にて市販されている。その他に、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーは、BASF社から商品名「acResin(登録商標)DS3552X UV」にて市販されている。
【0022】
放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーの130℃における溶融粘度は、5〜60Pa・sが好ましく、10〜50Pa・sがより好ましい。放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーの130℃における溶融粘度が60MPa・sを超えると、塗工機による放射線硬化型ホットメルト粘着剤の塗工性が低下することがある。放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーの130℃における溶融粘度が5MPa・s未満であると、アクリル系ポリマーの分子量が低くなり、放射線による架橋を加味しても、放射線硬化型ホットメルト粘着剤が十分な凝集力を得られないことがある。なお、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーの130℃における溶融粘度は、JIS K6862:1984にしたがって測定された値をいう。
【0023】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、アクリル系モノマーを含有している。アクリル系モノマーは、放射線の照射によって、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー間に架橋構造を形成し、放射線照射後の放射線硬化型ホットメルト粘着剤の凝集力を向上させて、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の熱、紫外線又は湿気などに対する耐久性が向上する。
【0024】
アクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、多官能性アクリル系モノマーを含むことが好ましい。多官能性アクリル系モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの2官能アクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートなどの2官能メタクリレート;エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能アクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの3官能メタクリレート;エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの4個以上のアクリロイル基を有するアクリレート、2個以上のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート、及び、多分岐型アクリレート(例えば、大阪有機化学工業社製の商品名「STAR−501」)などが挙げられる。放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー間に適度に架橋構造を形成し、放射線照射後の放射線硬化型ホットメルト粘着剤の凝集力を向上させて、熱、紫外線又は湿気などに対する耐久性がより向上するので、1分子中に2〜6個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有することが好ましく、1分子中に4〜6個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有することがより好ましく、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが特に好ましい。なお、アクリル系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0025】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤中におけるアクリル系モノマーの含有量は、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して3〜20重量部であり、5〜15重量部が好ましい。放射線硬化型ホットメルト粘着剤中におけるアクリル系モノマーの含有量を3重量部以上とすることによって、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー間に架橋構造を形成し、放射線照射後の放射線硬化型ホットメルト粘着剤の凝集力を向上させて、熱、紫外線又は湿気などに対する耐久性を向上させることができる。放射線硬化型ホットメルト粘着剤中におけるアクリル系モノマーの含有量を20重量部以下とすることによって、放射線硬化型ホットメルト粘着剤のポットライフを長くすることができる。
【0026】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、式(1)で示される構造を有する重合禁止剤を含有している。
【0027】
【化2】
(式(1)中、Rは、H(水素原子)又はアルキル基である。)
【0028】
アルキル基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられ、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の塗布工程における加熱によるゲル化を効果的に抑制でき且つ放射線硬化型ホットメルト粘着剤のゲル化を変色によって効果的に視認することができるので、炭素数が1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0029】
Rは、H(水素原子)又はアルキル基であるが、H(水素原子)及び炭素数が1〜4のアルキル基が好ましく、H(水素原子)、メチル基及びエチル基がより好ましく、H(水素原子)及びメチル基が特に好ましい。Rがメチル基である重合禁止剤(4−メトキシ−1−ナフトール)は、例えば、川崎化成工業社から商品名「QS−30」にて市販されている。
【0030】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、塗工にあたって加熱、溶融させて用いられるが、この加熱によって、アクリル系モノマーが自己重合を生じて放射線硬化型ホットメルト粘着剤がゲル化するのを抑制するために、式(1)で示される構造を有する重合禁止剤を含有している。この重合禁止剤は、ナフトヒドロキノン骨格を有しており、ナフトヒドロキノン骨格は優れたラジカル捕捉効果を奏し、アクリル系モノマーが自己重合することを効果的に抑制する。これにより、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、ポットライフが長く取扱性に優れている。
【0031】
一方、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーを主成分としており、このアクリル系ポリマーは透明に近い色を呈しており、不測にゲル化した場合に容易に認識することができない。
【0032】
そこで、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、上述のように、式(1)に示した構造を有する重合禁止剤を含有させて、放射線硬化型ホットメルト粘着剤が不測にゲル化した場合に、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の色が変わることによって、放射線硬化型ホットメルト粘着剤がゲル化したことが容易に認識できるように構成されている。
【0033】
即ち、式(1)に示した構造を有する重合禁止剤は、ナフトヒドロキノン骨格を有しており、ラジカルの捕捉に伴ってナフトヒドロキノン骨格はナフトキノン骨格に変化し、この骨格の変化に伴って色が変化する。
【0034】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、塗工のための加熱によってラジカルが発生し、この発生したラジカルを重合禁止剤が効果的に捕捉し、アクリル系モノマーが自己重合するのを防止しているが、ラジカルの発生量が多くなりすぎると、重合禁止剤によるラジカルの捕捉が不十分となり、ラジカル発生量が急激に増加し、アクリル系モノマーの自己重合を抑制しきれなくなって放射線硬化型ホットメルト粘着剤は急激にゲル化を生じる。この時点において、殆どの重合禁止剤が消費され、重合禁止剤のナフトヒドロキノン骨格はナフトキノン骨格に変化しており、これによって色が変化し、放射線硬化型ホットメルト粘着剤はゲル化前後において色が変化する。従って、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、ゲル化が生じたことを色の変化に基づいて容易に認識することができる。塗工時において放射線硬化型ホットメルト粘着剤のゲル化が生じた場合、このゲル化を直ちに認識でき、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の塗工に悪影響が生じるのを防止することができると共に、塗工機にダメージが生じることを防止することができる。
【0035】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤中における上記重合禁止剤の含有量は、アクリル系モノマーの自己重合に伴うゲル化を抑制してポットライフの長い放射線硬化型ホットメルト粘着剤を得ることができると共に、放射線硬化型ホットメルト粘着剤のゲル化を色の変化によって容易に認識できることから、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して0.002〜0.2重量部であり、0.005〜0.05重量部が好ましい。
【0036】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は紫外線重合開始剤を含有していてもよい。紫外線重合開始剤は、アクリル系モノマーの放射線照射による重合反応を開始させ促進する。紫外線重合開始剤は、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系などの紫外線重合開始剤が好ましい。
【0037】
紫外線重合開始剤は、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーとの相溶性に優れており、熱、紫外線又は湿気などに対する耐久性に優れた放射線硬化型ホットメルト粘着剤を得ることができるので、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系及びアシルフォスフィンオキサイド系の紫外線重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系の紫外線重合開始剤がより好ましい。紫外線重合開始剤は、例えば、BASF社より商品名「IRGACURE(商標登録)」にて市販されている。
【0038】
ベンゾフェノン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0039】
アルキルフェノン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
【0040】
アシルフォスフィンオキサイド系の紫外線重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0041】
チタノセン系の紫外線重合開始剤としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
【0042】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤における紫外線重合開始剤の含有量は、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の粘着性に優れ且つ架橋後の放射線硬化型ホットメルト粘着剤の着色が少ないので、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して3重量部以下が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましい。
【0043】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤には粘着付与剤が含有されていてもよい。粘着付与剤としては、ロジン系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、クマロン−インデン系粘着付与剤、ポリアミド粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤、ナフテンオイル系粘着付与剤、及びケトン系粘着付与剤などが挙げられる。粘着付与剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0044】
ロジン系粘着付与剤としては、未変性ロジン(例えば、トールロジン、ガムロジン、及びウッドロジンなど)、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマール酸変性ロジン、並びにこれらのエステル(例えば、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、及びエチレングリコールエステルなど)などが挙げられる。
【0045】
石油樹脂系粘着付与剤としては、石油樹脂(例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、及びジシクロペンタジエン系石油樹脂)、並びに水素添加石油樹脂などが挙げられる。
【0046】
テルペン系粘着付与剤としては、テルペン樹脂(例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、及びジペンテン重合体など)、並びに変性テルペン樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、及び水素添加テルペン系樹脂など)などなどが挙げられる。
【0047】
フェノール系粘着付与剤としては、フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、及びロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
【0048】
スチレン系粘着付与剤としては、スチレン単独重合体、α−メチルスチレン単独重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体などのスチレン系樹脂が挙げられる。
【0049】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤における紫外線重合開始剤の含有量は、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマーとの相溶性と、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の粘着性向上の観点から、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して30重量部以下が好ましく、10〜20重量部がより好ましい。
【0050】
なお、放射線硬化型ホットメルト粘着剤には、その物性を損なわない範囲内において、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、及び帯電防止剤などの他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0051】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤の製造方法としては、特に限定されず、例えば、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー、アクリル系モノマー及び上記重合禁止剤、並びに、必要に応じて含有されるその他の成分を汎用の混練装置に供給して加熱しながら攪拌、混練することによって放射線硬化型ホットメルト粘着剤を製造する方法が挙げられる。
【0052】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、加熱、溶融された上で被着体に塗工される。放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、通常、塗工機に供給され、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は加熱、溶融される。
【0053】
放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、上記式(1)で示される重合禁止剤が含有されているので、塗工のための加熱、溶融工程において、アクリル系モノマーの自己重合が概ね抑制されてゲル化が略防止されており、ポットライフが長く、取扱性に優れている。
【0054】
又、放射線硬化型ホットメルト粘着剤には、式(1)に示した構造を有する重合禁止剤が含有されており、上述のように、アクリル系モノマーが自己重合するのを抑制しているが、ラジカルの発生量が多くなりすぎた場合には、重合禁止剤の存在にもかかわらず、放射線硬化型ホットメルト粘着剤がゲル化することがある。このような場合にあっても、重合禁止剤は、ラジカルの捕捉に伴って色が変わるので、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、その全体の色が重合禁止剤によって変化し、ゲル化に伴って色が変化する。従って、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、これがゲル化したか否かを色の変化によって容易に認識することができ、塗工時の加熱にゲル化が不測に発生しても、放射線硬化型ホットメルト粘着剤の被着体への塗工不良が生じる前に放射線硬化型ホットメルト粘着剤の塗工を中止するなどして迅速な対応を採ることができると共に、塗工機などの塗工装置へのダメージを無くし又は最小限にとどめることができる。
【0055】
加熱されて溶融状態となった放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、被着体に塗工された後、放射線を照射されて、放射線反応性基を有するアクリル系ポリマー間に架橋構造が形成されて、放射線硬化型ホットメルト粘着剤は、熱、紫外線又は湿気などに対する耐久性に優れていると共に所望の粘着性を発現する。