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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214676(P2015-214676A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】調湿建材用組成物および調湿建材
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/06 20060101AFI20151106BHJP
   C04B 24/16 20060101ALI20151106BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20151106BHJP
   C04B 14/08 20060101ALI20151106BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20151106BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20151106BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20151106BHJP
   E04F 13/02 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   C08L101/06
   C04B24/16
   C04B28/14
   C04B14/08
   C04B24/26 E
   C04B24/26 D
   C08K3/00
   E04B1/64 D
   E04F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-45509(P2015-45509)
(22)【出願日】2015年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-87231(P2014-87231)
(32)【優先日】2014年4月21日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 昌泰
(72)【発明者】
【氏名】太田 上総
(72)【発明者】
【氏名】突廻 恵介
【テーマコード(参考)】
2E001
4G112
4J002
【Fターム(参考)】
2E001DB03
2E001FA03
2E001FA11
2E001FA14
2E001GA85
2E001HD11
2E001JA06
4G112PA05
4G112PB22
4G112PB31
4J002AC061
4J002BG011
4J002BG121
4J002DE086
4J002DE146
4J002DE236
4J002DG046
4J002DG056
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002FD016
4J002FD140
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】室内の湿度を制御するための十分な吸放湿特性を有すると共に、吸放湿時における形状安定性に優れ、着色がなく、建材としての強度に優れた調湿建材を提供する。また、その調湿建材を作製するための調湿建材用組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る調湿建材用組成物は、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(ここで、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)を有する重合体と、無機材料と、を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(ここで、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)を有する重合体と、
無機材料と、
を含有する調湿建材用組成物。
【請求項2】
前記重合体と前記無機材料の合計含有量を100質量%としたときに、前記無機材料の含有量が50質量%以上99質量%以下である、請求項1に記載の調湿建材用組成物。
【請求項3】
前記重合体中の−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基の総モル数が、1.5mmol/g以上である、請求項1または請求項2に記載の調湿建材用組成物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の調湿建材用組成物を成形して作製される調湿建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿建材用組成物および該調湿建材用組成物を成形して得られる調湿建材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来、日本の木造家屋では、土壁などの調湿性を有する建材を利用することで適度な調湿性、防露性、防かび性を実現していた。しかしながら、近年、耐震性向上の観点からこのような土壁は敬遠され、また外気の公害物質が室内に侵入することを避けるために建築物の高気密化が進められている。
【0003】
これに対して、近年の気候変動による従来以上の高温多湿化に伴い、これまでの建材では室内を快適な湿度に維持することが困難になりつつある。これを解決すべく、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているような、従来の土壁などの調湿機構に類似したゼオライトや珪藻土などの多孔質無機材料を利用して湿度を調節する機能を有する調湿建材の検討が行われている。
【0004】
一方、特許文献3や特許文献4に記載されているような有機材料からなる重合体は、単位重量あたりの吸湿量が大きく吸湿速度が速いという特徴を有するが、水分吸脱着時の体積変化が大きく形状を維持することが困難であるなど、調湿建材に要求される適度な強度と調湿性を両立させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−1589号公報
【特許文献2】特開2012−214931号公報
【特許文献3】特開2009−74098号公報
【特許文献4】特開2013−107070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、室内の湿度を制御するための十分な吸放湿特性を有すると共に、吸放湿時における形状安定性に優れ、着色がなく、建材としての強度に優れた調湿建材を提供することであり、また、その調湿建材を作製するための調湿建材用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0008】
[適用例1]
本発明に係る調湿建材用組成物の一態様は、
−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(ここで、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)を有する重合体と、
無機材料と、
を含有することを特徴とする。
【0009】
[適用例2]
適用例1の調湿建材用組成物において、
前記重合体と前記無機材料の合計含有量を100質量%としたときに、前記無機材料の含有量が50質量%以上99質量%以下であることができる。
【0010】
[適用例3]
適用例1または適用例2の調湿建材用組成物において、
前記重合体中の−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基の総モル数が、1.5mmol/g以上であることができる。
【0011】
[適用例4]
本発明に係る調湿建材の一態様は、
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の調湿建材用組成物を成形して作製されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る調湿建材用組成物によれば、室内の湿度を制御するための十分な吸放湿特性を有すると共に、吸放湿時における形状安定性に優れ、着色がなく、建材としての強度に優れた調湿建材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」および「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。また、「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレート」および「〜メタクリレート」の双方を包括する概念である。
【0014】
以下、本実施形態に係る調湿建材用組成物、該調湿建材用組成物を成形して作製される調湿建材について詳細に説明する。
【0015】
1.調湿建材用組成物
本実施形態に係る調湿建材用組成物は、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(ここで、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)を有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)と、無機材料と、を含有する。
【0016】
1.1.特定重合体
1.1.1.特定重合体の構造
本実施形態に係る調湿建材用組成物に含有される、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(特定重合体)は、下記一般式(2)で表される構造単位および下記一般式(6)で表される構造単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する重合体からなることが好ましい。また、−COO(Mn+1/nで表される基を有する重合体を用いることで、得られる調湿建材の着色をより効果的に抑制できることから、さらに好ましく用いることができる。
【0017】
【化1】
(式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、Rは−SO(Mn+1/nで表される基、−COO(Mn+1/nで表される基、下記一般式(3)で表される基、下記一般式(4)で表される基または下記一般式(5)で表される基である。なお、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
(一般式(6)中、R〜R16はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基
、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、R〜R16の少なくとも1つは−SO(Mn+1/nで表される基または−COO(Mn+1/nで表される基である。なお、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)
【0022】
前記一般式(2)および前記一般式(6)において、R〜RおよびR〜R16が取り得る炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基を、RおよびR〜R16が取り得る−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基において、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンである。一価の金属イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウム、カリウム、リチウムなどを例示することができ、二価の金属イオンとしては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどを例示することができる。金属イオンとして、ナトリウムやカリウムなどの一価の金属イオンを用いることで、得られる調湿建材の吸放湿性能が優れることから好ましい。また、これらのカチオン種は、種々のイオン交換法により他種のカチオン種と相互に交換することが可能である。
【0023】
本実施の形態に係る調湿建材用組成物における前記特定重合体の含有量は、前記特定重合体と後記無機材料の合計含有量を100質量%としたときに、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。特定重合体の含有量が前記範囲にあると、吸放湿特性、吸放湿時における形状安定性、及び建材としての強度のバランスに優れた調湿建材を作製することができる。
【0024】
1.1.2.特定重合体の製造方法
本発明における−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体の製造方法としては以下の方法を挙げることができる。なお、nは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。
【0025】
(1)−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体と架橋性単量体とを共重合する方法(以下、「製造方法(1)」ともいう。)。
(2)−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含まない単量体と架橋性単量体とを共重合した後、共重合体へ−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を導入する方法(以下、「製造方法(2)」ともいう。)。
(3)−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体を重合する方法(以下、「製造方法(3)」ともいう。)。
【0026】
このようにして作製した特定重合体に対して、必要に応じてイオン交換等によりMn+の一部またはすべてを異なるイオンに交換するなどして重合体を製造することもできる。
【0027】
以下、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表されるよりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体の製造方法(1)〜(3)について詳細に説明する。
【0028】
<製造方法(1)>
製造方法(1)は、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体と架橋性単量体とを共重合する方法である。
【0029】
−SO(Mn+1/nで表される基を有する単量体(以下、「スルホン酸基含有単量体」ともいう。)としては、−SO(Mn+1/nで表される基を有し、かつ、重合性不飽和基を有する化合物が用いられる。具体的には、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有芳香族ビニル系化合物;イソプレンスルホン酸(即ち、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸)などのスルホン酸基含有脂肪族ジエン系化合物;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びこれらの塩などが挙げられる。これらのうちでも単量体の反応性が高く、容易に−SO(Mn+1/nで表される基を重合体に導入できるため、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸が好ましい。なお、スルホン酸基含有単量体は、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0030】
−COO(Mn+1/nで表される基を有する単量体(以下、「カルボン酸基含有単量体」ともいう。)としては、−COO(Mn+1/nで表される基を有し、かつ、重合性不飽和基を有する化合物が用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸及びこれらの塩などが挙げられる。これらのうちでも単量体の反応性が高く−COO(Mn+1/nで表される基を容易に重合体に導入できるため、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。なお、カルボン酸基含有単量体は、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体は、重合する全単量体のモル比に対して、好ましくは5〜97モル%、より好ましくは20〜95モル%である。−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体のモル比が前記範囲であると、良好な吸放湿特性を有する調湿建材を作製することができる。
【0032】
架橋性単量体としては、1分子中に2個以上の重合性不飽和基または反応性基を有するものが好ましい。具体的には、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ジグリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、(ポリ)グリセロー
ル(ポリ)グリシジルエーテル、ソルビトール(ポリ)グリシジルエーテル、トリメチロールプロパン(ポリ)グリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(ポリ)グリシジルエーテル、多官能(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これら架橋性単量体は1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。
【0033】
架橋性単量体は、重合する全単量体のモル比に対して、好ましくは3〜60モル%、より好ましくは5〜50モル%である。架橋性単量体のモル比が前記範囲であると、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体は非水溶性となるため、べたつきが抑制された、良好な吸放湿特性を有する調湿建材を作製することができる。
【0034】
なお、本発明において「水溶性」とは、1気圧、23℃における水1gへの溶解度が0.01g以上であることをいう。本発明における「非水溶性」とは、1気圧、23℃における水1gへの溶解度が0.01g未満であることをいう。
【0035】
また、特定重合体を重合する際に、−SO(Mn+1/nで表される基を有する単量体、−COO(Mn+1/nで表される基を有する単量体および架橋性単量体以外のその他の単量体を共重合することもできる。その他の単量体としては、芳香族ビニル系化合物、共役ジエン系化合物、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアン化ビニル系化合物、アクリルアミドなどを挙げることができる。
【0036】
重合方法は、水溶液重合、溶液重合、乳化重合、ミニエマルション重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、沈殿重合などが挙げられる。
【0037】
<製造方法(2)>
製造方法(2)は、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含まない単量体と架橋性単量体とを共重合した後、共重合体へ−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を導入する方法である。
【0038】
−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含まない単量体としては、芳香族ビニル系単量体及び脂肪族ビニル系単量体のうち少なくとも一方、好ましくはガラス転移温度の調整が容易であるため両方を含むものであり、また、適宜、他の単量体を含むことができる。
【0039】
上記芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどが挙げられる。中でも、スチレンが好ましく用いられる。芳香族ビニル系単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記脂肪族ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのほか、分岐した炭
素数4〜7の各種脂肪族あるいは脂環族ジエン類が挙げられる。中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられる。
【0041】
架橋性単量体としては、前記製造方法(1)に例示した単量体と同様のものを使用することができる。
【0042】
重合方法としては、溶液重合、乳化重合などが挙げられる。次いで、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含まない単量体と架橋性単量体との共重合体をスルホン化または加水分解することにより、該共重合体に−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を導入するが、これらの官能基の導入方法としては、公知の方法、例えば日本化学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)、あるいは、特開平2−227403号公報などに記載された方法を用いることができる。また、特開2001−11320号公報や特開2000−17101号公報などに記載されているニトリルの加水分解や酸無水物、エステル、アミドの加水分解により−COO(Mn+1/nで表される基を共重合体に導入することもできる。このようにして作製した重合体に対して、イオン交換するなどしてMn+の種類を適時調節することにより、本実施形態において好適に使用することのできる重合体を製造することができる。
【0043】
スルホン化の方法として、具体的には、共重合体中の二重結合部分あるいは芳香族環を、スルホン化剤と適宜溶媒を用いてスルホン化し、さらに必要に応じて水又は塩基性化合物を作用させることにより得ることができる。スルホン化の際には、二重結合が開環して単結合になるか、あるいは、二重結合を残したまま水素原子が−SO(Mn+1/nで表される基と置換する。芳香族環の場合には、主としてパラ位がスルホン化される。
【0044】
上記スルホン化剤の好適な例としては、無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体のほか、硫酸、クロルスルホン酸、発煙硫酸、亜硫酸水素塩(Na塩、K塩、Li塩など)などが挙げられる。
【0045】
上記電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられる。中でも、スルホン化を安定に進行させるためには、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
【0046】
上記溶媒としては、スルホン化剤に不活性な溶媒が用いられる。具体的には、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオウ、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;水等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
上記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、
ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが好ましい。
【0048】
<製造方法(3)>
製造方法(3)は、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体を重合する方法である。
【0049】
−SO(Mn+1/nで表される基を有する単量体としては、上記製造方法(1)と同様に−SO(Mn+1/nで表される基を有し、かつ、重合性不飽和基を有する化合物が用いられる。具体的には、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有芳香族ビニル系化合物;イソプレンスルホン酸(即ち、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸)などのスルホン酸基含有脂肪族ジエン系化合物;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びこれらの塩などが挙げられる。これらのうちでも単量体の反応性が高く、−SO(Mn+1/nで表される基を容易に重合体に導入できるため、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸が好ましい。なお、−SO(Mn+1/nで表される基含有単量体は、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0050】
−COO(Mn+1/nで表される基を有する単量体としては、上記製造方法(1)と同様に−COO(Mn+1/nで表される基を有し、かつ、重合性不飽和基を有する化合物が用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸及びこれらの塩などが挙げられる。これらのうちでも単量体の反応性が高く、−COO(Mn+1/nで表される基を重合体に容易に導入できるため、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。なお、−COO(Mn+1/nで表される基含有単量体は、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0051】
−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体は、重合する全単量体のモル比に対して、5〜97モル%、好ましくは20〜95モル%である。−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体のモル比が前記範囲であると、良好な吸放湿特性を有する調湿建材を作製することができる。
【0052】
−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体は、その他の単量体と共重合することができる。その他の単量体としては、芳香族ビニル系化合物、共役ジエン系化合物、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアン化ビニル系化合物、アクリルアミドなどを挙げることができる。
【0053】
重合方法は、(水)溶液重合、乳化重合、ミニエマルション重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、沈殿重合などが挙げられる。このようにして得られる重合体の重量平均分子量範囲
は、GPCの溶離液(超純水/アセトニトリル/硫酸ナトリウム)に重合体が溶解する場合、好ましくは2000〜1000000、より好ましくは5000〜500000である。
【0054】
1.1.3.特定重合体の特徴
特定重合体に含有される−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基の総モル数は、前記特定重合体中に1.5mmol/g以上であることが好ましく、3〜15mmol/gであることがさらに好ましい。−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基の含有量が前記範囲であると、作製される調湿建材へ十分な吸湿性能を付与することができる。
【0055】
本発明において、−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基の総モル数は、これらを有する重合体を十分に乾燥後、0.5gを精秤し、100gのイオン交換水及び酸型イオン交換樹脂15gを加えて室温で5時間撹拌した後、吸引濾過後の濾液を5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定する方法により測定することができる。
【0056】
なお、該特定重合体に含有される−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基から選ばれる少なくとも1種の基は、陽イオン(Mn+)をカウンターイオンとして有する必要がある。しかし、全てのカウンターイオンが同種の陽イオンである必要はなく、少なくとも一部が水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、及びオニウムイオンから選ばれる少なくとも一種であればよい。前記一価の金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオンを例示することができる。
【0057】
カウンターイオンであるMn+がオニウムイオンである場合、有機オニウムイオンが好ましい。有機オニウムイオンとしては、第4級アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられる。これらのうち、第4級アンモニウムイオンであることが好ましく、具体的には下記一般式(1)で示されるイオンが挙げられる。
【0058】
【化6】
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、およびアルキロール基から選ばれる1種を表す。ただし、全てが水素原子である場合はない。)
【0059】
第4級アンモニウムイオンとしては、例えば、脂肪族アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ベタイン類、レシチン等を例示できる。具体的には、ヒドロキシポリオキシエチレントリアルキルアンモニウム、ヒドロキシポリオキシプロピレントリアルキルアンモニウム、ジ(ヒドロキシポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム、ジ(ヒドロキシポリオキシプロピレン)ジアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、メチルエチルジオクチルアンモニウム、メチルエ
チルジオクチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、メチルトリドデシルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルメチルジオクチルアンモニウム、ベンジルメチルジドデシルアンモニウム、ベンジルエチルジオクチルアンモニウム、ベンジルエチルジオクチルアンモニウム、ベンジルトリオクチルアンモニウム、ベンジルトリドデシルアンモニウム等が挙げられる。
【0060】
これらのカチオン種は、種々のイオン交換技法により他種のカチオン種と相互に交換することが可能である。
【0061】
1.2.無機材料
本実施の形態に係る調湿建材用組成物に含有される無機材料としては、無機酸化物、無機水酸化物、無機硫酸塩、無機炭酸塩等を好ましく例示することができる。無機酸化物としては二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム等を例示することができ、無機水酸化物としては水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等を例示することができ、無機硫酸塩としては硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム等を例示することができ、無機炭酸塩としては炭酸カルシウム等を例示することができる。
【0062】
本実施の形態に係る調湿建材用組成物に含有される無機材料としては、無機多孔質材料であることが好ましい。本発明において、無機多孔質材料とは材料の内部に複数の微細な細孔を有した無機材料のことである。無機材料として無機多孔質材料を用いることにより、特定重合体が吸湿した水分が無機多孔質材料の微細な細孔に移送されて水分が蓄えられると推測される。この作用により、調湿建材の吸放湿特性が大幅に向上する。
【0063】
無機多孔質材料としては、例えば、珪藻泥岩、珪質頁岩、アロフェン、イモゴライト、セピオライト、ゼオライト、活性白土、大谷石又はシリカゲルなどを挙げることができ、工業製品として生産可能なシリカゲル又は活性白土を用いることが好ましい。上記したこれらの無機多孔質材料は、要求される色彩によっても使い分けることもできる。例えば、白色が要求される場合は、シリカゲル、活性白土などを用いることができ、茶褐色が要求される場合には、珪質頁岩、アロフェンなどを用いることができる。
【0064】
本発明においては、本実施形態に係る調湿建材用組成物を用いて作製される調湿建材に要求される特性に応じて、上記の無機多孔質材料の形状を適時選択することができる。具体的には、粒子状、フレーク状、針状、繊維状であることができる。
【0065】
本実施の形態に係る調湿建材用組成物に含有される無機材料は、上記に示した無機酸化物、無機水酸化物、無機硫酸塩、無機炭酸塩等を含んでいれば、市販の建築素材を用いることができる。このような市販の建築素材としては、例えばセメント、モルタル、珪藻土、石膏、漆喰などを用いることができる。
【0066】
本実施の形態に係る調湿建材用組成物における前記無機材料の含有量は、前記特定重合体と前記無機材料の合計含有量を100質量%としたときに、50質量%以上99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上95質量%以下であることが特に好ましい。無機材料の含有量が前記範囲にあると、吸放湿特性、吸放湿時における形状安定性、及び建材としての強度のバランスに優れた調湿建材を作製することができる。
【0067】
1.3.添加剤
本実施の形態に係る調湿建材用組成物は、必要に応じて架橋剤や、レベリング剤、塗れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、酸化防止剤、
帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料等の添加剤を含有することができる。
【0068】
本実施の形態に係る調湿建材用組成物に含有される重合体が、上記の製造方法(3)のように、架橋性単量体を用いずに得られた重合体である場合には、架橋剤を添加することが好ましい。
【0069】
添加することのできる架橋剤としては、上記特定重合体と架橋構造を形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、以下のようなものを使用することができる。このような架橋剤の好ましい例としては、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ジヒドラジド系架橋剤、(ブロック)イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤などの架橋剤;珪素、亜鉛、チタン、ジルコニアなどの無機金属を有するアルコキシド系架橋剤、キレート系架橋剤を挙げることができる。架橋剤の添加量は、上記特定重合体100質量部に対して1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部である。なお、これら添加する架橋剤は、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0070】
2.調湿建材
本実施の形態に係る調湿建材は、上述の調湿建材用組成物を、成形して作製しても良く、基材等に担持させて製造してもよい。上記手法を用いて作製、製造された調湿建材は、主に内装用の天井材、壁材、床材、収納材などに好ましく用いることができる。
【0071】
上述の調湿建材用組成物を成形して調湿建材を作製する場合、例えば所望の形状を有する型枠の中に調湿建材用組成物を流し込み、媒体を除去したり、プレス成形や押出成形した後に乾燥したり、抄造機を用いて湿式抄造したり、下地材に鏝等を用いて直接塗布した後に乾燥したり、上述の特定重合体を架橋など行うことで硬化させて成形することができる。
【0072】
上述の調湿建材用組成物を基材に担持して調湿建材を作製する場合、基材としては特に制限は無く、不織布、メッシュ、紙、パルプ、樹脂、金属、ガラスなどが挙げられる。担持させる方法は特に制限されるものではないが、刷毛塗り、筆塗り、鏝塗り、バーコーター、ナイフコーター、ドクターブレード、スクリーン印刷、スプレー塗布、スピンコーター、アプリケーター、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーター、ディップコート、フレキソ印刷、ポッティング、すきこみ処理等の手法を用いることができ、他の基材、例えば転写基材上に塗布した後に転写してもよい。
【0073】
上述の調湿建材用組成物を成形して調湿建材を作製する場合、上述の調湿建材用組成物に含有される−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(ここでnは1〜2の整数であり、Mn+は、水素イオン、一価の金属イオン、二価の金属イオン、またはオニウムイオンを表す。)を有する重合体は、調湿建材中で架橋構造を有することが好ましい。このような架橋構造は、上述の調湿建材用組成物に架橋剤を添加し、調湿建材用組成物を成形して調湿建材を作製する成形工程において架橋させてもよく、上述の調湿建材用組成物に含有される特定重合体をあらかじめ架橋させてもよい。調湿建材が架橋した特定重合体を含有することにより、得られる建材の体積変化が小さく、形状安定性に優れた調湿建材を得ることができる。
【0074】
−SO(Mn+1/nおよび−COO(Mn+1/nで表されるよりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体が上記の製造方法(1)により作製される場合、架橋性単量体は重合する全単量体のモル比に対して3〜60モル%、好ましくは
5〜50モル%である。架橋性単量体のモル比が前記範囲であると、得られる調湿建材のベタツキを抑制することができる。また、架橋性単量体のモル比が前記範囲であると−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する単量体のモル比が大きくなることから、得られる調湿建材の吸放湿特性を向上させることができる。
【0075】
3.実施例
次に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、目的とした調湿建材の製造方法に応じた加工方法に適用することができる。また、以下において、「%」とは、特別な記載がない場合、「質量%」を示す。「部」とは、特別な記載がない場合、「質量部」を示す。
【0076】
3.1.合成例
3.1.1.合成例1
イソプレンスルホン酸ナトリウム塩40%水溶液301部、アクリル酸80%水溶液141部、ジアセトンアクリルアミド20%水溶液102部を混合して単量体水溶液を調製した。この単量体水溶液中のイソプレンスルホン酸ナトリウム塩、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミドのモル比は、30/65/5である。攪拌機、還流冷却機、滴下ロート、窒素ガス導入管を付設した容量1リットルの四ツ口セパラブルフラスコに、水224部および35%過酸化水素水4部を入れ、フラスコ内温を100℃に保ち、上記単量体水溶液を2時間かけて滴下した。単量体水溶液を添加終了後さらに重合を1時間続けたのち、48%水酸化ナトリウム水溶液29部を添加して部分中和を行った。得られたイソプレンスルホン酸ナトリウム塩−アクリル酸−ジアセトンアクリルアミド共重合体の部分中和物の重量平均分子量は30,000であった。
続いて、得られた共重合体の部分中和物33%水溶液100部に架橋剤としてジヒドラジド系架橋剤40%水溶液(アジピン酸ジヒドラジド)3部を添加し、固形分濃度33%の硬化性組成物水溶液(A−1)を得た。
【0077】
3.1.2.合成例2
イソプレンスルホン酸ナトリウム塩40%水溶液326部、アクリル酸80%水溶液221部を混合して単量体水溶液を調製した。この単量体水溶液中のイソプレンスルホン酸ナトリウム塩、アクリル酸のモル比は、25/75である。攪拌機、還流冷却機、滴下ロート、窒素ガス導入管を付設した容量1リットルの四ツ口セパラブルフラスコに、水165部および35%過酸化水素水26部を入れ、フラスコ内温を100℃に保ち、上記単量体水溶液を2時間かけて滴下した。単量体水溶液を添加終了後さらに重合を1時間続けたのち、48%水酸化ナトリウム水溶液45部を添加して部分中和を行った。得られたイソプレンスルホン酸ナトリウム塩−アクリル酸共重合体の部分中和物の重量平均分子量は15,000であった。
続いて、得られた共重合体の部分中和物40%水溶液100部に架橋剤としてオキサゾリン系架橋剤25%水溶液(エポクロスWS−700、日本触媒製)32部を添加し、固形分濃度36%の硬化性組成物水溶液(A−2)を得た。
【0078】
3.1.3.合成例3
ビーカー中に、イオン交換水681部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸90部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド10部、過硫酸ナトリウム5%水溶液20部を投入し溶解し水溶性モノマー溶液を作製した。
別のビーカー中に、シクロヘキサン1300部、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム70%溶液(リカサーフ M−30)7.1部を溶解した乳化剤溶液を作製した。
【0079】
上記で作製した水溶性モノマー溶液に乳化剤溶液を攪拌しながらゆっくり滴下し、全量加えた。その後氷浴中で冷却しながら超音波分散機(「UH−600S」、SMT社製)を用いて120秒間の超音波照射を3回行い、逆相エマルションを得た。得られたエマルションをセパラブルフラスコ中に全量移し、70℃で3時間加熱した。その後、減圧乾燥することにより2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−メチレンビスアクリルアミド共重合体粒子を得た。得られた共重合体粒子(硬化性組成物;A−3)を乾燥させ透過型電子顕微鏡(H−7650、日立ハイテク社製)にて観察したところ一次粒子径0.2μmであった。
【0080】
3.1.4.合成例4
イソプレンスルホン酸ナトリウム塩40%水溶液301部、アクリル酸80%水溶液141部、ジアセトンアクリルアミド20%水溶液102部を混合して単量体水溶液を調製した。この単量体水溶液中のイソプレンスルホン酸ナトリウム塩、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミドのモル比は、30/65/5である。攪拌機、還流冷却機、滴下ロート、窒素ガス導入管を付設した容量1リットルの四ツ口セパラブルフラスコに、水224部および35%過酸化水素水4部を入れ、フラスコ内温を100℃に保ち、上記単量体水溶液を2時間かけて滴下した。単量体水溶液を添加終了後さらに重合を1時間続けたのち、48%水酸化ナトリウム水溶液29部を添加して部分中和を行った。得られたイソプレンスルホン酸ナトリウム塩−アクリル酸−ダイセトンアクリルアミド共重合体の部分中和物(硬化性組成物;A−4)の固形分濃度は33%、重量平均分子量は30,000であった。
【0081】
3.1.5.合成例5
ビーカー中に、イオン交換水336部、アクリル酸80%水溶液97部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド10部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル10%水溶液(エマルゲンA−60)12部、過硫酸ナトリウム5%水溶液10部を投入し溶解し水溶性モノマー溶液を作製した。
別のビーカー中に、n−ヘプタン927部、ソルビタンモノオレート7.5部を溶解した乳化剤溶液を作製した。
上記で作製した水溶性モノマー溶液に乳化剤溶液を攪拌しながらゆっくり滴下し、全量加え、攪拌することで逆相エマルションを得た。得られたエマルションをセパラブルフラスコ中に全量移し、80℃で3時間加熱した。その後、減圧乾燥することによりアクリル酸−メチレンビスアクリルアミド共重合体粒子を得た。得られた共重合体粒子(硬化性組成物;A−5)を乾燥させ透過型電子顕微鏡(H−7650、日立ハイテク社製)にて観察したところ一次粒子径は約50μmであった。
【0082】
3.1.6.合成例6
ビーカー中に、イオン交換水345部、アクリル酸80%水溶液97部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド1部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル10%水溶液(エマルゲンA−60)12部、過硫酸ナトリウム5%水溶液10部を投入し溶解し水溶性モノマー溶液を作製した。
別のビーカー中に、n−ヘプタン927部、ソルビタンモノオレート7.5部を溶解した乳化剤溶液を作製した。
上記で作製した水溶性モノマー溶液に乳化剤溶液を攪拌しながらゆっくり滴下し、全量加え、攪拌することで逆相エマルションを得た。得られたエマルションをセパラブルフラスコ中に全量移し、80℃で3時間加熱した。その後、減圧乾燥することによりアクリル酸−メチレンビスアクリルアミド共重合体粒子を得た。得られた共重合体粒子(硬化性組成物;A−6)を乾燥させ透過型電子顕微鏡(H−7650、日立ハイテク社製)にて観察したところ一次粒子径50μmであった。
【0083】
3.2.重合体の評価
(1)固形分濃度
合成例1、2、4にて得られた重合体水溶液それぞれをアルミ皿に1g程度量り取り、ホットプレート上200℃で30分間加熱した後の重量変化から各重合体水溶液に含有される重合体の含有量を算出し、固形分濃度とした。
【0084】
(2)GPC測定
合成例1、2、4にて得られた重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、下記条件で測定し、ポリスチレン換算値として示した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)、
カラム:TSK−gel GWPWXL(東ソー社製)、
溶離液:超純水/アセトニトリル/硫酸ナトリウム、
流量:1.0mL/min、測定温度40℃
【0085】
(3)溶解性判断
合成例1〜6にて得られた重合体を、1気圧、23℃の条件にて水へ溶解させて溶解性を判断した。水1gへの溶解度が0.01g以上である場合、重合体が「水溶性」であると判断し、溶解度が0.01g未満である場合、重合体が「非水溶性」であると判断した。
【0086】
3.3.実施例及び比較例
3.3.1.実施例1
合成例1にて得られた硬化性組成物水溶液(A−1)50質量部に無機材料として珪藻土16質量部、β半水石膏68質量部を加えてミキサーで攪拌することによりスラリーとし、幅25cm×15cm、厚み1.2cmの上部解放の箱型にスラリーを流し込み、上部を一体化しロールで軽く厚締し、150℃、30分乾燥処理することで調湿建材用の成型体を作製した。得られた成形体について、中湿度領域の吸放湿特性、形状安定性、着色、曲げ強度を評価した。結果を表1に示す。なお、表中の親水性官能基総量とは(A−1)中の重合体に含有される−SO(Mn+1/nで表される基および−COO(Mn+1/nで表される基の総モル数(mmol/g)を示す。評価方法は下記のとおりである。
【0087】
(1)中湿度領域の吸放湿特性
成形体の表面を露出させ、その他の五面(側面、裏面)をアルミニウムでシールした状態にし、あらかじめ23℃、50%RHの雰囲気中に放置して恒量になったものを23℃、75%RHの雰囲気中12時間放置した後、さらに23℃、50%RHの雰囲気中で12時間放置した際の水分吸放湿量を評価した。得られた水分吸放湿量が成形体中に含まれる調湿建材用組成物の質量比率で10質量%以上であると「○」、10質量%未満であると「×」と判断した。この数値が良好であるほど調湿建材としての調湿性能に優れていると言える。
【0088】
(2)形状安定性
上記中湿度の吸放湿特性試験後の成形体の変形やベタツキを評価した。試験後の成形体に変形やベタツキが無く形状安定性が良好であると「○」、成形体に変形は無いがややベタツキが見られるものの、形状安定性には問題無いレベルと判断したものを「△」、成形体の変形やベタツキがあり、形状安定性が不十分であるものを「×」と判断した。
【0089】
(3)着色
得られた成形体の着色を目視で判断した。成形体に黄変等の着色が無いものを「◎」、やや黄変等の着色があるものの、問題無いレベルと判断したものを「○」と判断した。
【0090】
(4)曲げ強度
JIS A 1408に準拠して行った。成形体より作製した試験体を曲げ試験機の支持部に置き、試験体の中心部に懸架部を合わせ、懸架部を250N/minで加圧する。試験体が割れたときの荷重を曲げ強度とした。得られた曲げ強度の数値が本発明の調湿建材組成物を加えずに作製した成形体と同等以上の曲げ強度を有するものを「○」、曲げ強度がやや悪化するものの実用性能には問題ないレベルと判断したものを「△」とした。
【0091】
3.3.2.実施例2
合成例2にて得られた硬化性組成物水溶液(A―2)50質量部に無機材料として珪藻土18質量部及びβ半水石膏64質量部を加えてミキサーで攪拌することによりスラリーとし、さらに実施例1と同様に処理することで調湿建材用の成形体を作製した。得られた成形体について、上記実施例1と同様にして、中湿度の吸放湿特性、形状安定性、着色、曲げ強度を評価した。結果を表1に示す。
【0092】
3.3.3.実施例3
合成例3にて得られた硬化性組成物(A−3)16質量部に水34質量部、無機材料として珪藻土16質量部及びβ半水石膏68質量部を加えてミキサーで攪拌することによりスラリーとし、さらに実施例1と同様に処理することで調湿建材用の成形体を作製した。得られた成形体について、上記実施例1と同様にして、中湿度の吸放湿特性、形状安定性、着色、曲げ強度を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
3.3.4.実施例4〜12、比較例1〜4
上記実施例1〜3と同様にして、実施例4〜12及び比較例1〜4の調湿建材用組成物(スラリー)を調製し、上記実施例1と同様に処理することで調湿建材用の成形体を作製した。得られた成形体について、上記実施例1と同様にして、中湿度の吸放湿特性、形状安定性、着色、曲げ強度を評価した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
なお、表1〜表3中に示す無機材料の成分として、以下の材料を使用した。
<重合体>
・上記合成例で作製した硬化性組成物(A−1)〜(A−6)
<無機材料>
・珪藻土:和光純薬工業株式会社製
・シリカゲルB:商品名「ドライヤーン」、山仁薬品株式会社製
・ゼオライト:商品名「Y型ゼオライト 320HOA」、東ソー株式会社製
・CaCl:和光純薬工業株式会社製
・β半水石膏:商品名「TA−85N」、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製
【0098】
表1〜3に示すとおり、本発明の実施例1〜12で得られた調湿建材は、調湿建材として必要な中湿度領域での調湿性能、繰り返し使用に耐え得る形状安定性、着色、建材として強度の全てが良好であることがわかる。一方、比較例1〜4によれば、本願発明の要件が一つでも欠けると、バランスのとれたものとはならないことが明らかになった。すなわち、比較例1〜4は硬化性組成物を含んでいない例である。これらを比較すると、硬化性
組成物を含んでいない場合は吸放湿性能の不足や形状安定性が不十分となる場合があることも併せて明らかになった。