(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214810(P2015-214810A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】車両側方に研削体を備えた舗装路面の表面研削装置
(51)【国際特許分類】
E01C 23/12 20060101AFI20151106BHJP
【FI】
E01C23/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-97192(P2014-97192)
(22)【出願日】2014年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】592061854
【氏名又は名称】ヒートロック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】白石 英治
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA03
2D053BA01
2D053DA03
2D053DA05
(57)【要約】
【課題】 車両重量が小さく、舗装路面の縁部近傍を研削できる舗装路面の表面研削装置を提供する。
【解決手段】
舗装路面の表面研削装置(1)の円柱状の研削体(6)を車両(5)の側方に車輪(3)より外側になるように配置する。研削体(6)の円柱面には複数個の研削部を設け、該研削部は舗装路面に対して所定の研削幅で面状に当接して舗装路面を研削するようにする。このような研削体(6)は、回転軸(13)と、複数枚のブレード(14)とから構成する。それぞれのブレード(14)は、略長方形の所定板厚のプレート(15)と、この両短辺の縁部に設けられている円弧状の研削片(16)とから構成し、プレート(15)の中心には回転軸(13)に挿通される軸穴(18)を明ける。複数枚のブレード(14)は互いに回転方向にずらして重ね合わせて研削体(6)を形成する。研削片(16)はダイヤモンド粒子を含んだ金属材料から焼結によって得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面を走行する車両と、回転駆動される略円柱状の研削体とからなり、該研削体の円柱の側面において舗装路面の表面が研削されるようになっている舗装路面の表面研削装置であって、
前記研削体は、前記車両の側方に該車両の車輪より外側になるように配置されており、
前記研削体の円柱面には複数個の研削部が設けられ、該研削部は前記舗装路面に対して所定の研削幅で面状に当接して前記舗装路面を研削するようになっていることを特徴とする舗装路面の表面研削装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表面研削装置において、前記研削体は、回転軸と、該回転軸に設けられている複数枚のブレードとからなり、
前記ブレードは、中心に前記回転軸に挿通される軸穴が明けられた所定板厚の略長方形のプレートと、該プレートの前記長方形の両短辺の縁部に設けられている円弧状の研削片とからなり、
前記研削体において複数枚の前記ブレードは、隣り合うブレードのそれぞれに設けられている前記研削片同士が回転方向にずれるように互いに回転方向にずらして重ね合わされており、
前記研削片は前記プレートの板厚より幅広に形成され、外側の面が前記研削部になっており、前記研削体が回転して舗装路面の表面を研削するとき、任意の隣り合うブレードのそれぞれの前記研削片によって研削される前記研削幅は所定の重ね代だけ重複するようになっていることを特徴とする舗装路面の表面研削装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表面研削装置において、前記研削片はダイヤモンド粒子を含んだ金属材料から焼結によって形成されていることを特徴とする舗装路面の表面研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、劣化した舗装路面の補修に使用され、舗装路面の表面を研削する舗装路面の表面研削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルト合材によって舗装された舗装路面は、道路の耐久性を高めると共に快適な走行性を提供している。しかしながら、舗装路面は長期間の利用によって表面が劣化したり摩耗する。あるいは轍が形成されて平面度が低下する。従って舗装路面は適宜補修する必要がある。舗装路面が劣化したり摩耗した場合は、舗装路面を広範囲で補修する必要があり、まず舗装路面の表面を全面的に浅く削り取って劣化したアスファルト合材を除去する。次いで、その上に新しいアスファルト合材によって再舗装する。舗装路面の一部の平面度を回復する比較的簡易な補修をする場合には、凸状に隆起した部分を平面状に削り取り、凹状になっている部分を新しいアスファルト合材で埋める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−41319号公報
【特許文献2】特許第5367920号公報
【特許文献3】特開2007−9540号公報
【0004】
このような舗装路面の補修において、舗装路面の表面の劣化したアスファルト合材を削り取る路面切削装置は周知であり、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の路面切削装置は、回転駆動される回転ドラムとこの回転ドラムの表面に設けられている複数本のカッタビットとを備え、これらのカッタビットは先端が爪状の金属片になっている。従って路面切削装置を低速で移動させながら回転ドラムを回転すると、複数本のカッタビットがその先端で舗装路面を打撃する。この打撃によって打撃された部分とその近傍を破砕し、その結果、舗装路面は表面が削り取られるが、多数の粗い筋状のひっかき傷が形成されることになる。つまり削り取られた切削面は凹凸のある表面になる。
【0005】
舗装路面の補修において、舗装路面の表面を所定の幅で研磨するように削り取る装置も周知であり、例えば本出願人によっても特許文献2によって提案している。このような装置は、円柱状の研削体を備え、研削体は円柱面がグラインダー状を呈している。従ってこのような研削体を回転させて舗装路面に押し当てると舗装路面の表面が研磨されて、得られる表面は滑らかになる。
【0006】
回転ドラムに設けられた複数本のカッタビットによって舗装路面の表面を切削する路面切削装置も自走する車両に回転ドラムが設けられているし、そして研削体によって舗装路面の表面を研削する路面研削装置も自走する車両に研削体が設けられている。いずれにおいても車両には舗装路面上を走行するための車輪が設けられ、車輪は車両の左右の側部に配置されている。このような車両は、回転ドラムあるいは研削体の上下位置を車輪の高さに対して相対的に調整できるようになっていて、切削深さあるいは研削深さを所望の深さに調整できるようになっている。従って、車輪が走行する部分は基準高さになるので、切削したり研削して高さが変化しないようにする必要がある。従って、このような車両においては回転ドラムあるいは研削体は、左右の車輪の間に配置され、回転ドラムによって切削される切削範囲や研削体によって研削される研削範囲は、左右の車輪が走行する走行範囲と重複しないようになっている。
【0007】
ところで、複数本のカッタビットが設けられた回転ドラムが、車両の側方に設けられている路面切削装置も周知であり、例えば特許文献3において示されている。この文献に記載の路面切削装置は、回転ドラムは車両の側方に、該車両の車輪より外側になるように設けられている。従って車輪の走行範囲は、回転ドラムの切削範囲と重複しない。この路面切削装置は、車両の側方に設けられている回転ドラムによって、車両の側方において舗装路面を切削できるようになっている。従って、舗装路面の縁部を容易に研削できることになる。ただし、この路面切削装置は、舗装路面の表面を広範囲に切削することを目的とするものではなく、比較的狭い幅の切削溝を形成することを目的としている。従って回転ドラムは軸方向の長さが短い。また、この路面切削装置の車両は、操縦者が乗って操作するようになっていて車両は大きく、当然に重量は大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の路面切削装置によっても、あるいは特許文献2に記載の路面研削装置によっても、舗装路面の表面の劣化したアスファルト合材を除去することはでき優れてはいる。しかしながら、これらは回転ドラムあるいは研削体が車両の左右の車輪の間に設けられているので問題が見受けられる。具体的には、切削したり研削する範囲は左右の車輪の走行範囲の内側になるので、車輪の走行範囲は切削したり研削することができないという問題がある。そうすると舗装と面の縁部を切削したり研削できない。特に、ガードレールや縁石があったり舗装路面の縁部に他の障害物があると、このような車両は舗装路面の縁部から離間して走行しなければならないので、縁部近傍の比較的広い範囲を切削したり研削することができなくなってしまう。そうすると舗装路面の補修において問題が生じる。特許文献3に記載の路面切削装置は、回転ドラムが車両の側方に配置されているので、舗装路面の縁部を切削することはでき、この問題は解決できそうである。しかしながら特許文献3に記載の路面切削装置にも問題が見受けられる。この路面切削装置が切削できる幅は、前記したように比較的狭い幅であるので、舗装路面の縁部近傍に障害物があると、切削できない場合もある。そこで、例えば特許文献3に記載の路面切削装置において、軸方向に長い回転ドラムを採用すれば、比較的広い範囲において舗装路面を切削できるかも知れない。しかしながらこのようにすると、切削時において車両が回転するという新たな問題が発生してしまう。車両は、舗装路面に対して車輪がグリップして回転しないようになっているが、単純に回転ドラムを軸方向に長くすると、回転ドラムが舗装路面から受ける反力によって回転し易くなるからである。回転ドラムは、多数のカッタビットによって舗装路面を切削するようになっているが、これらのカッタビットは前記したように舗装路面を打撃して打撃部分近傍を破砕するようになっている。この破砕による反力は大きいので、回転ドラムを軸方向に長くすると、車両を回転させようとする力が高くなってしまう。このような理由によって、特許文献3に記載の路面切削装置は回転ドラムを軸方向に短くせざるを得ないが、他の問題もある。それは回転ドラムは軸方向に短くても、回転ドラムが舗装路面から受ける反力は破砕による反力であるので、破砕による振動が大きいという問題がある。車両は車輪のグリップ力によって回転が抑制されているが、振動によってグリップ力は低下するからである。このグリップ力の低下を補うために、特許文献3に記載の路面切削装置は車両の重量を大きくせざるを得ない。そうすると装置のコストが高くなるし、装置を搬送するコストも高くなる。
【0009】
本発明は、上記したような問題点を解決した、舗装路面の表面研削装置を提供することを目的としている。すなわち、障害物の有無に拘わらず舗装路面の縁部近傍を研削することができ、かつ車両重量を小さくすることが可能な舗装路面の表面研削装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、舗装路面を補修する際にその表面を研削して劣化したアスファルト合材を除去する、略円柱状の研削体を備えた舗装路面の表面研削装置として構成する。研削体は、車両の側方に該車両の車輪より外側になるように配置する。そして研削体の円柱の側面には複数個の研削部を設け、該研削部は舗装路面に対して所定の研削幅で面状に当接して舗装路面を研削するようにする。このような研削体は、例えば回転軸と、該回転軸に設けられている複数枚のブレードとから構成する。それぞれのブレードは、略長方形の所定板厚のプレートと、プレートの両短辺の縁部に設けられている円弧状の研削片とから構成し、プレートの中心には回転軸に挿通される軸穴を明ける。そして研削体において、複数枚のブレードは互いに回転方向にずらして重ね合わせ、隣り合うブレードの研削片同士が干渉しないようにする。研削片は、その外側の面が研削部になっているが、横幅はプレートの板厚より幅広に形成する。それによって研削体が回転して舗装路面の表面を研削するとき任意の隣り合うブレードのそれぞれの研削片が研削する研削幅が所定の重ね代だけ重複するようする。このような研削片はダイヤモンド粒子を含んだ金属材料から焼結によって形成する。
【0011】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、舗装路面を走行する車両と、回転駆動される略円柱状の研削体とからなり、該研削体の円柱の側面において舗装路面の表面が研削されるようになっている舗装路面の表面研削装置であって、前記研削体は、前記車両の側方に該車両の車輪より外側になるように配置されており、前記研削体の円柱面には複数個の研削部が設けられ、該研削部は前記舗装路面に対して所定の研削幅で面状に当接して前記舗装路面を研削するようになっていることを特徴とする舗装路面の表面研削装置として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表面研削装置において、前記研削体は、回転軸と、該回転軸に設けられている複数枚のブレードとからなり、前記ブレードは、中心に前記回転軸に挿通される軸穴が明けられた所定板厚の略長方形のプレートと、該プレートの前記長方形の両短辺の縁部に設けられている円弧状の研削片とからなり、前記研削体において複数枚の前記ブレードは、隣り合うブレードのそれぞれに設けられている前記研削片同士が回転方向にずれるように互いに回転方向にずらして重ね合わされており、前記研削片は前記プレートの板厚より幅広に形成され、外側の面が前記研削部になっており、前記研削体が回転して舗装路面の表面を研削するとき、任意の隣り合うブレードのそれぞれの前記研削片によって研削される前記研削幅は所定の重ね代だけ重複するようになっていることを特徴とする舗装路面の表面研削装置として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の表面研削装置において、前記研削片はダイヤモンド粒子を含んだ金属材料から焼結によって形成されていることを特徴とする舗装路面の表面研削装置として構成される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明は、舗装路面を走行する車両と、回転駆動される略円柱状の研削体とからなり、該研削体の円柱の側面において舗装路面の表面が研削されるようになっている舗装路面の表面研削装置であって、研削体は、車両の側方に該車両の車輪より外側になるように配置されている。従って舗装路面の縁部近傍を研削することができる。そして、本発明によると研削体の円柱面には複数個の研削部が設けられ、該研削部は舗装路面に対して所定の研削幅で面状に当接して舗装路面を研削するようになっている。つまり舗装路面を研削するときに舗装路面の表面を破砕するのではなく、研磨的に研削するようになっている。そうすると研削時に研削体が舗装路面から反力を受けるとき、振動はほとんどない。そうすると振動によって車輪のグリップ力が低下することがない。そして研磨的に研削するので、舗装路面に研削体を押しつける力は少なくて済む。つまり舗装路面を破砕するのに比して小さな押しつけ力で足りる。これによって研削体が舗装路面から受ける反力も小さくなり、車両が回転し難い。従って舗装路面の表面研削装置の車両は小型化・軽量化することができる。そして車両が回転し難いので、研削体を軸方向に長くすることが可能で有り、比較的広い範囲の舗装路面を研削することできる。また他の発明によると、研削体は、回転軸と、該回転軸に設けられている複数枚のブレードとからなり、ブレードは、中心に回転軸に挿通される軸穴が明けられた所定板厚の略長方形のプレートと、該プレートの長方形の両短辺の縁部に設けられている円弧状の研削片とからなり、研削体において複数枚の前記ブレードは、隣り合うブレードのそれぞれに設けられている研削片同士が回転方向にずれるように互いに回転方向にずらして重ね合わされており、研削片はプレートの板厚より幅広に形成され、外側の面が研削部になっており、研削体が回転して舗装路面の表面を研削するとき、任意の隣り合うブレードのそれぞれの研削片によって研削される研削幅は所定の重ね代だけ重複するようになっている。従って、研削体は隙間が多くなっており、全体として重量が小さい。研削体は軽量なので結果的に舗装路面からの反力も小さいし、これを駆動するエネルギーも小さくて済む。そして、このように研削体が隙間が多いので、研削時に発生する摩擦熱は放熱されやすく、研削片が過度に高温になることを防止して劣化し難い効果が得られる。そして研削幅は所定の重ね代だけ重複しているので、研削片が長期間の使用によって摩耗して角が丸みを帯びてきても、研削される面には筋が形成されない。そして他の発明は、研削片はダイヤモンド粒子を含んだ金属材料から焼結によって形成されている。ダイヤモンドは硬度が高く摩耗しにくいので研削片は劣化し難いという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る舗装路面の表面研削装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る舗装路面の表面研削装置を上面から見た透視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る研削体を構成するブレードを示す図で、その(A)、(B)は第1の種類のブレードの斜視図と平面図、その(C)、(D)は第2、3の種類のブレードの平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る研削体を示す図で、その(A)は研削体を構成する回転軸の斜視図、その(B)は研削体の側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る研削体を示す図で、その(A)は一部を断面で示す研削体の正面図、その(B)は研削体の一部を示す正面図、その(C)は研削体が回転した状態における研削体の一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について説明する。本実施の形態に係る舗装路面の表面研削装置1は、
図1、
図2に模式的に示されているように、前輪3、3、後輪4によって走行する車両5と、略円柱状を呈する本発明の実施の形態に係る研削体6と、この研削体6を回転するモータ7と、舗装路面の研削時に発生する粉塵の拡散を防ぐために研削体6を囲んでいる防塵カバー8と、粉塵を吸引して捕集する集塵装置10とから概略構成されている。車両5にはハンドル12、12が後方に設けられており、ハンドル12、12には操作スイッチ等が設けられており、作業者が立った状態でハンドル12、12を操作して表面研削装置1を運転できるようになっている。ところで、本実施の形態においては、車両5の後輪4は1個だけであり2個の前輪3、3と併せて3輪によって走行するようになっているが、後輪を2個として4輪で走行するように変形されていてもよい。本実施の形態において、前輪3、3は駆動機構が設けられていてハンドル12、12における操作によって走行速度が調整できるようになっており、後輪4は左右に所定の範囲で首振りされるのようになっており、これによって走行方向を変更できるようになっている。次に詳しく説明する研削体6は、舗装路面の表面を研磨的に研削する部材であるが、これは所定の調整機構によって車両5に対する相対的な上下位置、および車両5に対する角度を所定の範囲で調整できるようになっている。この調整機構は
図1、2には示されていないが、これによって研削体6を下方に下げることができるので、舗装路面の研削深さを調整することができる。また研削対象である車両5の側方の舗装路面が、車両5が走行する舗装路面に対して傾斜していても、調整機構によって研削体6の角度を調整できるので、適切に研削することができる。
【0015】
本実施の形態に係る表面研削装置1は、研削体6の取付け位置に特徴があり、これが第1の特徴になっている。すなわち略円柱状の研削体6は、車両5の側方に設けられ、前輪3よりも外側に配置されている。従って研削体6によって研削される範囲は、車輪3、3、4の走行する範囲より外側になっている。これによって車両5の側方を研削できるので、舗装路面の縁部近傍を研削できることになる。なお、本実施の形態においては、研削体6の回転軸13は、ユニバーサルジョイント30を介して駆動シャフト31に接続されている。ユニバーサルジョイント30によって接続されているので、研削体6を車両5に対して相対的に上下させたり角度を変化させても駆動シャフト31の回転が研削体6に伝達される。駆動シャフト31にはプーリ32が設けられ、モータ7に設けられている駆動プーリ33との間にベルト35が掛け回されている。
【0016】
本実施の形態に係る表面研削装置1は、研削体6の形状にも特徴があり、これが第2の特徴になっている。具体的には舗装路面を研削する研削部が面状になっており、これによって舗装路面を研磨的に研削できるようになっている。研削体6について詳しく説明する。
【0017】
本実施の形態に係る研削体6は、
図4の(A)に示されている回転軸13に対し、
図3に示されているブレード14が複数枚重ね合わせるように挿入されて、全体として略円柱状に形成されている。ブレード14は、
図3の(A)、(B)に示されているように、所定板厚の鋼板からなる略長方形状を呈するプレート15と、このプレート15の長方形の両方の短辺に設けられている研削片16、16、…とから構成されている。プレート15には、その中心に回転軸13が挿通される軸穴18が明けられている。回転軸13は、
図4の(A)に示されているように、円柱を一方と他方の側面から切り落とすようにして形成されており、その断面は円の両側を切り落とした縦長に形成されている。このように断面を非円形に形成することによって、いわゆるキー付き回転軸のように回転力が損失無く伝達されることになる。プレート15の軸穴18は、この回転軸13が係合するように同様の形状に明けられているが、ブレード14、14、…によってこの軸穴18の向きは違っている。すなわち
図3の(A)に示されている第1の種類のブレード14aにおいては、軸穴18の縦長の方向がプレート15の縦長の方向に一致しているが、第2の種類のブレード14bにおいては軸穴18の縦長の方向は
図3の(C)に示されているように45度回転しており、第3の種類のブレード14cにおいては
図3の(D)に示されているように90度回転している。このように軸穴18、18、…が回転方向にずれているので、ブレード14a、14b、14cを回転方向にずらした状態で回転軸13に挿通できるようになっている。なお、本実施の形態においてはブレード14a、14b、14cの種類は3種類だけであり、軸穴18が第1の種類のブレード14aに対して135度回転しているものはないが、第2の種類のブレード14bの表裏を反転すると、軸穴18が135度回転しているブレードに相当することになる。
【0018】
研削片16、16、…はダイヤモンド粒子を練り込んだ焼結材から、焼結によって形成されており、直方体を湾曲させた形状を呈している。このように湾曲しているので、軸穴18を中心とした円の円弧を構成している。これによって研削片16、16、…の外側の面は、軸穴18を中心軸とする円柱の円柱面の一部を構成することになる。この外側の面が、舗装路面の表面に面状に当接して舗装路面を研削する研削部になっている。このような研削片16、16、…は、その幅あるいは厚さがプレート15の板厚よりも大きい。つまり研削部は広い。これによって、後で説明するように、ブレード14、14、…が重ね合わされて形成された研削体6によって舗装路面を研削するとき、研削される面が滑らかになることが保証される。なお、本実施の形態においては1枚のブレード14に設けられている研削片16、16、…は一方の短辺に2個、他方の短辺に2個の計4個になっているが、これらはブレード14の短辺に設けられている限り、その個数については制限はない。本実施の形態においては、このように隙間が1箇所形成されているので、1辺の短辺に設けられている研削片16、16は2個になっている。このような研削片16、16、…はプレート15に対して溶着されているが、プレート15の接続部分には切欠20、21、…が形成されている。
【0019】
本実施の形態に係る研削体6は、
図4の(A)に示されている回転軸13に、第1〜3の種類のブレード14a、14b、14c、…を順次挿通して重ね合わせるようにして組み立てられている。すなわち
図4の(B)に示されているように、回転軸13に第1の種類のブレード14aを挿通し、その次に第2の種類のブレード14bを挿通し、次いで第3の種類のブレード14cを挿通する。そしてその次に第2の種類のブレード14bを表裏を反転して挿通する。
図4の(B)には、この状態を側面すなわち軸方向から見た様子が示されている。このように4枚のブレード14a、14b、…を回転軸13に挿通すると、側面から見て複数の研削片16、16、…が均等に円周上に配置されることになる。また、隣り合うブレード14、14、…に属するそれぞれの研削片16、16、…は、回転方向にずれている。従って研削片16、16、…の厚さがプレート15の板厚より大きくても、互いに干渉することがない。引き続き、順次第1〜3の種類のブレード14a、14b、14cを挿通すると、研削体6が得られる。なお、回転軸13にブレード14、14、…を挿通するときに任意のブレード14、14の間に薄板からなるスペーサ23を挟むようにしてもよい。
【0020】
図5の(A)には、組み立てられた研削体6を正面から見た様子が示されている。この例においては隣り合うブレード14、14、…の間には薄板のスペーサ23、23…が挿入されている。
図5の(B)には、
図5の(A)において符号25で示されている部分が拡大して示されているが、隣り合うブレード14、14、…のそれぞれに設けられている研削片16、16、…は、軸方向の幅が所定の幅26だけ、重複している。これによって研削体6を回転して舗装路面を研削するとき、任意のブレード14の研削片16、16、…が研削する研削幅と、その隣のブレード14の研削片16、16、…が研削する研削幅は、
図5の(C)に示されているように重ね代26だけ重複することになる。
【0021】
本実施の形態に係る舗装路面の表面研削装置1の作用を説明する。本実施の形態に係る表面研削装置1によって表面が劣化した舗装路面を研削するには次のようにする。モータ7によって研削体6を回転する。図に示されていない調整機構によって研削体6の高さおよび角度を調整し、研削体6が舗装路面に所定の押し当て力で当てるようにする。そうすると舗装路面の表面が所定の深さで研削される。本実施の形態に係る表面研削装置1は、研削体6が車両5の側方に配置されているので、車両の側方に位置する舗装路面が研削される。従って舗装路面の縁部であっても容易に研削することができる。車両5を一定の速度で移動させると、研削体6の幅で舗装路面を研削することができる。ところで、研削体6は上記で説明したように研削部が面状に舗装路面に当接するので、舗装路面の表面を研磨するように研削することができる。また、隣り合うブレード14、14のそれぞれに設けられている研削片16、16、…は、研削する研削幅同士が重ね代26だけ重複しているので、研削されて得られる研削面には筋が形成されず滑らかになる。表面研削装置1を走行させ、舗装路面の全面に渡って表面を研削する。これによって劣化したアスファルト合材を除去することができる。本実施の形態に係る舗装路面の表面研削装置1は、研削体6が車両5の側方に設けられているので、舗装路面の研削時に研削体6が受ける力によって車両5には回転方向のモーメントが作用する。しかしながら、本実施の形態に係る研削体6は、舗装路面を研磨するように研削するので振動がほとんどなく、また研削時に受ける舗装路面からの反力も小さい。このように振動もなく反力も小さいので、車両5は回転しない。本実施の形態に係る舗装路面の表面研削装置1は舗装路面を研削しながら安定的に走行することができ所望の範囲を研削することができる。
【0022】
上記において、研削する対象はアスファルト合材として説明したが、舗装路面にはコンクリートや樹脂系合材からなるものもある。このような他の材料からなる舗装路面に対しても、本実施の形態に係る表面研削装置1によって当然に研削して、その後再舗装することができる。また上記においては、舗装路面の補修は、舗装路面の表面を研削し、その後再舗装するように説明したが、必ずしも再舗装は必要ではない。すなわち舗装路面に轍のようなこぶが形成されている場合には、このこぶを本実施の形態に係る表面研削装置1によって滑らかに研削して補修を完了することもできる。
【符号の説明】
【0023】
1 表面研削装置 3 前輪
4 後輪 5 車両
6 研削体 8 防塵カバー
13 回転軸 14 ブレード
15 プレート 16 研削片
18 軸穴 20 切欠
23 スペーサ 26 重ね代